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No.1-1 ▼
夜は短し歩けよ乙女 / レビュー総評点:270
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ASIN:4048737449 / 売上順位:12891
角川書店(2006-11-29)森見 登美彦 ¥ 1,575(中古:¥ 1)
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レビュー総評点:
270
世界の豊かさを味わえる一冊。
しいてあらすじを伝えるなら「天然少女と、彼女に恋した青年を中心としたドタバタコメディ」となるが、これは「となりのトトロ」を「田舎に引っ越してオバケに出会う物語」と書くのに等しい。あらすじにすると、取り落としてしまうものが多すぎる。 主人公二人もいいのだが、この小説の本当の面白さは二人をとりまく人々の豊かさにある。十数人にも上る脇役が、それぞれ人格をもつ存在として書き込まれている。てんでばらばらな立場の、ばらばらな願望をもつ人々が、つながり結ばれていく面白さ。起こりえない事件、ご都合主義な展開でありながら、網の目のような人間の結びつきにリアリティと温かさがある。 多くの小説、映画が「目的を持つ主人公と、乗り越えるべき障害」というシンプルな構造で進んでゆくのに比べれば、実に雑多で魅力的だ。 「なにをいいたいのかわからない」という人がいるのも理解できるが、起承転結のストーリー、大上段のテーマばかりが小説の面白さではないだろう。ストーリーとテーマ性ばかりが重視されるようになってから、小説も映画も(ハリウッドを代表として)痩せてつまらなくなったのではないか? そうした作品とは対極の「豊かな」作品として、これは傑作だ。 なお特徴的な文体は、夏目漱石や太宰治などの古典的作品や、慣用句を下敷きにしたパロディを含んでいる。そうした古い文章になじみのある人なら、台詞回しにニヤっとさせられること請け合い。(三水 / 2009-06-16)
なじめたら星5つ、なじめなかったら星1つ
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本書の良さについては多くの方が書かれているので、別の面から書いてみたいと思います。
この独特な文章になじめるかどうかで評価は大きく別れてくるでしょう(これもすでに指摘されている方がいますが)。 わたしはなじめませんでした。 その具体的な箇所をいくつか挙げてみます。 ネタバレ注意。 ・・・ 私の手なんぞ何の面白みもありません。紅葉饅頭のほうが断然可愛いに違いないのです。 p.22 私は頬が火照るのを感じましたが、それは酔いのためではなく恥じらいのためでした。豆ッ恥、豆ッ恥。 p.47 しかも私が中学生の頃から欲しかった本が、百円玉一枚だとは! お財布への信頼に一抹の翳りある我々にとってはありがたすぎるお話です。ビバ、「ビギナーズラック」。それとも私は古本市巡りの才能があるのかしらん。私の興奮はいやが上にも高まります。 pp.81-82 そして樋口氏から、彼女がその絵本を追い求めて古本市をさまよっていたことを聞いた刹那、「千載一遇の好機がついに訪れた」と直感した。今ここに一発逆転の希望を得て、ついにふたたび起動する私のロマンチック・エンジン。 p.117 なぜ先輩はあんなに驚いたのだろうと私は思いました。私の顔に何かオモシロオカシイものが? p.138 この先どんなオモチロイことが私を待ち受けているのであろうか! と我が興奮が天井知らずに高まるのも宜なるかな。 p.156 もちろん私は普段から精神を研ぎ澄ましているような人間ではありませんが、その「ボーッ」は、「ボーッ」の中の「ボーッ」、「世界ボッーとする選手権」というものがあれば日本代表の座も間違いなしと思われるほどに筋金入りのボーッであったのです。 p.228 ・・・ こういう文章に違和感を感じなければ読んで損はしないはずです。 いずれにせよ、購入する前に一度立ち読みしてみてください。 10ページも読めば雰囲気がつかめると思いますので。(モノクロ / 2007-02-07)
初めて森見登美彦さんの作品を読みました。独特な文体ついては、始めのうちとっつきにくいと思っていましたが、読み進めていくうちに、その文体が出てくると、心地よくなってきました。逆に、それが出てこないと気持ち悪くなるくらいでした。
不思議な登場人物と京都の雰囲気が絶妙にマッチした作品になっていると思います。(都彌那嘉 / 2009-02-08)
“先輩”と“黒髪の乙女”の二人の登場人物が交互に登場し
それぞれ一人称で語る短編の連作4編。 小説の完成度に関しては 評価できる資格はワタクシにはない。 ただ、この二人の語り手が極めて魅力的なことはよくわかる。 とりわけ“黒髪の乙女”の天然で無邪気なところがとても良い。 そしてこの二人の語る文章の何とも言えないリズムと内容が可笑しい。 はじめはその文章のリズムと内容が微妙にずれていて違和感があるのだが いつの間にかシンクロしていく感覚もとても心地よい。 どういうエンディングを迎えるのか期待しながら 残りのページ数がどんどん少なくなっていくのがなんだか惜しくて・・・ そんな感覚を味わうのも久しぶりだ。 ご都合主義で奇想天外な内容ではあるけれど 少なくとも読んでいる時間はとても楽しい。 表紙の中村佑介のイラストもなかなかカワイイ。 (由良上野介 / 2008-11-28)
表紙とタイトルに惹かれ、とりあえず1ページ目だけを読んだ時は、その文体に慣れておらず買おうか迷ったものでしたが、買ってその先を少し読めばあっというまに世界に引き込まれてしまいました。
読み終わった後味も甘くて心地よく、とても楽しくて、ステキな物語です。 いい本に出会えたので、いろんな人にオススメしたくなりました。 面白く不思議な登場人物や、不思議な(それでいてこんなことあるか!という文句は言いたくならないほど気持ちいい)出来事がたくさん詰まっているので、サブカルな漫画などが好きな人にも、是非読んでみてほしいです。 片想い中の方も、青春真っ只中の方も男女問わず是非!(リョコ / 2007-01-21)
ずっと待ってました。
思えば、「四畳半神話体系」が出版されてから実に2年が経過しているわけです。 その間、「Seet Blue Age」や「きつねのはなし」と氏の作品は出版されましたが、 前者は本作品の1話目のみ、後者は「太陽の塔」で絶賛された独特の文体と世界観から 離れ新境地を開拓した作品だったため、作品の出来とは別に物足りなさを感じていました。 というわけで、個人的な気持ちとしては2年間待ったということになるのですが。 しかし、この作品を読んだ後は、待った甲斐があったという満足感でいっぱいです。 今回は「太陽の塔」のような「不思議な幕引き」や、「四畳半神話体系」のような 「実験的構成」も無く、先の2作でいまいちとの判断を下した人にも、納得の行く 作品に仕上がってるのではないかと思います。 大げさかもしれませんが、この作品をきっかけに本格的なブレイクを果たすのでは という手応えを感じました。(日々是好日 / 2006-12-02)
春の夜、先斗町や木屋町界隈。夏の下鴨納涼古本市。秋も終わりの青春闇市たる学園祭@本部構内&吉田南構内。そして、冬。クリスマスを前に浮き足立つはずの四条河原町など。
この本を楽しむには、やはり、京都を知っているほうが有利だ。京都で大学生活を送ったり、京都の大学生の生活を知っている人なら、尚よい。 癖のある文体がクセになった。大袈裟でしかつめらしい文章で、荒唐無稽な物語を紡ぐ。好き嫌いは別れるところだろう。物語よりも、この文章が個性だ。 全文がパロディのようなノリのよさに釣られ、見知った地名の懐かしさを追うに連れて、最初の読みづらさも減じた。 腹の底、心の奥をそうっと温めてくれるようなのどかさがある。偽電気ブランに酔うように、世界で神々と遊び、雰囲気を楽しみたい。(香桑 / 2007-02-16)
大傑作。文句なしに今年の恋愛小説ナンバーワン。(大森望 文芸評論家)
天然キャラの女子に萌える男子の純情!キュートで奇抜な恋愛小説in京都。 とにかく読んで損無しです。読むほどに引き込まれ、映画を見ている様な感覚に引き込まれて行きます。 是非とも、スタジオジブリの次回作品に推薦したいほど楽しい作品です。 奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々と運命の大回転にほんろうされる、恋愛の行方に引き込まれてみては如何でしょう。 今年最後の恋愛小説にピッタリな作品です。とても楽しい作品ですよ。ご賞味あれ。(トトロの寝言 / 2006-12-09)
かわいらしい表紙イラストに惹かれて買ったのですが、
古臭さを装った文体に最初は馴染めませんでした。主人公のへタレぶりもイライラするし。 ところが読み進むうちに、そのエキセントリックワールドに嵌ってしまったのです。 登場人物はみな一筋縄でいかない変な人ばかりで飽きさせない。 そして主人公が思いを寄せる不思議ちゃんが、だんだん愛おしく思えてくる…。 ラストのキュートなエンディングは胸がきゅんとなります。 はちゃめちゃなようでよく計算された小説です。 作者の力量は大変なものだと思いました。 (アマゾン三郎 / 2007-05-02)
このカバーデザイン、凄いアイキャッチですよ。
いかにもイマドキらしいピンとした線の絵柄と、ちょっと古びた浮世絵のような色彩で、 道後温泉がチンチン電車に乗っかったような不思議な乗り物が描かれている。 これが平積みにされてしまうと、そこだけ何じゃこりゃなキッチュな世界が広がっていて、 思わず手に取って見ずにはいられませんでした。 で、即立ち読みモード突入。 どうせ2,3ページ読んだら「クダラネ」って展開になるだろうなとか思ってました。 しかしこれが見事に裏切られましたよ(いい意味で) ページを繰るごとに、不覚にもこの不思議世界にどっぷり引きずり込まれてしまい、 知らず知らずのうちに私も夜の先斗町を徘徊しておりましたですよ。なんですかこの世界は。 京都の町を舞台とし、浮世絵模様の光景が怒濤のように展開します。 「んなバカな」 と言ってしまえばそれまで、でも何故か最後まで読ませてしまうパワーは認めざるを得ません。 まいったな、コレ面白いですよ。一章を読み切った所でレジ直行でした。 春夏秋冬「彼女」と「私」を巡る4つの恋のエピソード集・・・それがこの作品です。ま、オムニバスですね。 こう書くといかにも「キュートでポップ!とびきりのラブコメディ!」なんて陳腐な帯とともに、 新刊本の洪水に流れ去ってゆく一冊にも見えますが、案外コイツはむんと胸を張って踏ん張りそうな予感がします。 散りばめられた近代文学のテイストや、作中で見せる著者の本オタクぶりなど、ところどころ小技が効いてます。 漱石、太宰、いや千と千尋かうる星やつらか、電車男か。何だか色んな物ごっちゃ混ぜの不思議世界を冒険した気が。 このキャッチーな装丁と、作風が見事にマッチしてますよ。 本屋さん大賞ノミネートもむべなるかな、飛んで火にいる夏の虫とは私のことです。 やられました。(@poor work / 2007-04-19)
普段あまり小説の類は読まないけれど、これにはやられた。完全にノックダウンです。リアルに描写された京都の街に忽然と立ち現れる、衒学的でレトロポップな恋愛ファンタジー。『千と千尋の神隠し』のような世界を高橋留美子の漫画のようなキャラクターが練り歩き、アイロニーたっぷりに人間哲学を論じ合う。そんな作品。主人公とヒロインの視点を交互に移りながら、輻輳するドタバタ劇をテンポよくまとめあげていく手法はお見事。
暗くて甘酸っぱい思弁を巡らせながら青春を過ごしてきた男子諸賢にとり、主人公の自嘲と諧謔に満ちた独白は胸の奥のわだかまりを代弁し、ヒロインの天真爛漫な挙動と思考回路は遠い日々の理想を具現化させる一服の清涼剤となるであろう。(しらま / 2008-02-09)
やっぱり何だかんだ言ったって、恋をするって楽しいことだよね、っていうそんな感想を持ちました。
恋愛小説の9割5分は書いていることが同じっていう本だけど、この本はそれに該当しない。 数少ない「残りの5分」の作品です。設定は在り来たり、アプローチは上手くいかないって、恋愛話の 典型パターンなのに、こんなに面白いのはどうしてだろう。只、話に浮世離れ?している所があるので ファンタジーが全く駄目な方は読めないかな…。残念です。 語り口調が特徴的で好みが分かれるかもしれませんが、口調だけでこの本を避けては勿体無い! できれば全人類に読んで欲しい! ハードカバーは学生にとってはお高いけど、買って読んで大切にしていく価値は充分にあります。 こういう恋愛小説には、二度と会えないかもしれない。(アパート / 2007-02-01)
中村祐介さんのカバーに惹かれてジャケ買いしたのですが、
25年の間に読んだ小説の中ではイチバンのヒットです! もうツボに入りまくり!! ラリホー♪と我が道を行くカワイすぎる ”黒髪の乙女” と 妄想が暴走しまくりの永久外堀埋立機関 ”私” と かなーり濃い登場人物たちが織り成すどこかレトロで ほんわりあたたかくずっと胸キュンな小説です。 小説を読んでいて『ぶはっ』と吹き出したのは初めて。 好き嫌い分かれるとは思いますが、私はとっても好き。 出会えてよかったです。(andouchable / 2007-07-24)
可愛らしい装丁に惹かれ、手にとって1ページ目を読んだらやられてしまった。
緻密で繊細で愛らしい文体。選び抜かれた語彙。こんな文を書く人がいたなんて!頭を撃ちぬかれたような衝撃だった。 本書はシャイな大学生男子が想いを寄せる黒髪の乙女をひたすら追い掛ける話だ。しかし話の展開は恋愛小説の枠を軽く超え、あまりにも予想だにしないない方向へコロコロと転がっていく。妙な事件に巻き込まれながらも右往左往して黒髪の乙女の姿を探しているのは何やら自分のような気さえしてくる。 空から降ってくる鯉を迎えたり、古本の神様に会ったり、学園祭テロを追いかけたり。著者は一体このアイデアをどこから持ってきているのだろう。あまりにも既存の枠に収まらないので皆目検討もつかない(強いて言えば千と千尋か!?)。本書ですっかり著者のファンになってしまった。「なむなむ!」と唱えながらゆっくり次の作品を待ちたいと思う。(桑の実からできた泡 / 2007-09-01)
私にとってまるで「本の神様」がめぐり合わせてくれたような、愛すべき本です。
有名な作家の本でもいつも「まあ、こんなもんか・・・」くらいにしか思えないのですが、こんなにむさぼるように読んだのは小学生のときに読んだ「太閤記」以来でしょうか。 とにかく、かわいい!おもしろい!作者の視点はヒロインへの愛に満ちていて、それがとても私の心を暖かくします。高い教養に裏打ちされた、とんでもなくおバカな笑いが痛快☆ すぐにもう一度読み直しましたが、こんなことは人生初です。 日本語という言語の無限の可能性を余すことなく操る森見登美彦という才能が、早く世間にお披露目されないか楽しみのような、ずっと秘密にしておきたいような・・・(maiko / 2006-12-23) レビュー数 120 [残りも全部見る][amazonでレビューを書く] 平均点:4.0 |
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