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レビュー総評点:
44
何年も前に原書を読んだ。今回、訳本の邦題を見て「ちがうな」と感じた。自転車の話じゃなくて。が原題なのに、この邦題はないだろう。日本では自転車ファンしか著者を知らないのでツールドフランスのヒーローだと示したくてこの邦題になったのかもしれないが、マイヨ・ジョーヌが何かを知っている人は著者を知っているだろう。 しかし、読んでみてあらためて面白かった。面白いというのがはばかられるほど深刻な話でもある。私の英語力では原書からは充分に読み取れていなかったのだろう。 まずは癌との壮絶な闘病記である。医師が生存率3%とも考えた癌からの生還。ただ医師まかせにするのではなく、母親、恋人、友人の力を借り、能動的に選択し、戦っていく姿。そんな著者でさえ吐き続け起き上がれなくなるほどの抗癌剤治療と手術。 そして、世界的スポーツ選手としてのサクセスストーリーである。激しすぎる気性、強靭な肉体、そして苦しみに耐える精神力。それは恵まれたものであったかもしれないが、いかに危ういものであったかも感じることができる。暴走させたカマロで、自転車レースの下りで、練習中の大型トラックとの事故で、いつ終わっていたとしても不思議ではなかったのだ。 母親や、恋人や、周囲の人との関係も描かれていて興味深い。これでも描いていない部分もあるのだろうが、エゴと感情むき出しに振舞った姿が取り繕わずに書かれている。 現れてくるのは人間像であり、半生記である。それは常人のものではないかもしれないし、現代の金満スポーツビジネスに毒されている部分があるかもしれない。しかし、父を持たずに生まれた一人の若者が、自分に与えられたものだけで、まさに命がけで闘った栄光の記録でもある。 原題を噛み締めたい。My Journey Back to Life. 小説なら馬鹿馬鹿しいかもしれない。が、実話なのだ。多くの人に薦めたい。少々厚い本だが、原作の平易な文章とメリハリの利いた構成と優れた翻訳のおかげでたいへん読みやすい。 ハードカバーも含めると多くの方がレビューを書いておられる。その受け止めかたも様々なのが、かえって興味深い。私は絶対☆5つ。スポーツ好きでもそうでなくても、若くてもそうでなくても、癌を患っていても健康でも・・・読む価値がある。 (hig / 2009-11-14)
単行本発行時から気になっていたのですが、文庫化を機に読みました。 スポーツ選手の書いた本の中では、近年読んだ中でも1、2を争う良書だと思います。 ヨーロッパでは人気の自転車競技ですが、日本ではまったくのマイナースポーツ。 著者が活躍する前のアメリカでも状況は似たような感じだったのでしょう。しかし、 今ではマイケル・ジョーダンやタイガー・ウッズと並ぶ人気と知名度を誇っています。 そのトップアスリートが、癌に冒され命の危機に瀕していたというのですから、 驚きとともに非常に興味を掻き立てられました。 この本は、昨年以前に読まなくてよかったです。 なぜなら、今年家族が癌の手術を受けたから。そうした状況で読むことで、一層の 共感と関心を持つことができたからです。周りに癌について悩んでいる人がいるなら、 この本をすすめてあげてください。苦しみをやわらげる、一つのヒントにはずです。 多面的な読み方ができるので、★5つ。(joyjoy-manman / 2008-07-02)
この本はランス・アームストロングが自転車選手として一流になるまでの足跡を辿ったものではない。生存率の極めて低い癌を克服した男の記録である。 ツール・ド・フランスは世界で最も美しく、その過酷さにおいてはフルマラソンを凌ぐスポーツだと思う。確かにF1ほど華麗ではないし、オートバイレースのスピードにもかなわない。でも、ここには日本の国技である相撲にも似た伝統が息づいている。 アームストロングは〈ツール・ド・フランスは単なる自転車レースではない。それは試練だ。ツールは僕の肉体を試し、精神を試し、そして道徳的にも僕という人間を試すのだ〉と書いている。彼はヨーロッパの文化と対峙し、このように学んだわけだ。しかも、彼は癌という分厚い壁とも闘った。 彼はツールの覇者という肩書よりも癌生還者の肩書を選ぶという。なぜなら癌が〈人間として、男として、夫として、息子として、父親としての僕に、かけがえのないものを与えてくれた〉からだという。 本書を読めば、こみあげてくる感動と共に、この言葉をごく自然に受け入れることができるはずだ。 アームストロングの快挙に対してフランスは必ずしも手放しで賞賛したわけではない。終始ドーピングの疑いがかけられた。この問題に関してはツール関係の本に力を入れている未知谷の新刊『ジャン=マリ・ルブラン総合ディレクター ツールを語る』がたいへん参考になる。 (単行本へのレビューを転載)(むじな丸 / 2008-07-05)
ランス・アームストロングの劇的な復活には、我々常人には想像もつなかいほどの 地道で過酷な努力があったと思いますが、それは決して彼個人だけでなしえたもの ではないと感じました。 貧しいシングルマザーでありながら、常に息子を強く励まし続けた母親、 癌を治療するだけでなく、競技者として復活させるべく難しい道を選んだ医師、 無私で献身的な看護を行った看護士など、いかに多くの素晴らしい人たちが 彼を支えたかが、本書には克明に書かれています。 彼らに共通するのは、どんな困難な状況でも諦めず、前向きに努力し続ける 「ポジティブ」という、アメリカらしい価値観でしょう。 マスコミに限らず、批判や不満の多い日本社会と比較すると、こうした 偉大な行為を支える土壌に、大きな差があることを感じます。 日本の将来を悲観することは簡単ですが、私自身、困難な状況にあっても、 彼のようにポジティブな信念を失わず、周りの人を巻き込みつつ、 より良い未来を切り開いていこうと、強い刺激を受けました。(Jasper / 2009-12-12)
癌で悩んでいる人に、是非おすすめします。 私も癌患者ですが、夢中で読んでしまった。 ただのサクセスストーリーではなく、どん底に落ち、無力になり、現実から逃げる時期もあり、しかしながらも死と向き合いながら、悩み苦しみ、そして徹底的に生きることを選ぶ。 このプロセスは、癌患者にとって、共感と勇気と生きる希望を与えられると思います。 彼は、猛烈な負けず嫌いでストイック、ひたすら根性で乗り越えていくところに、自分も頑張ろうと思えます。 また、これを読む人が、大事な人が癌であるのなら、彼を取り巻く家族や友人からも、学べるところがあります。 癌患者やその家族に是非読んでもらいたい1冊です。(OIE / 2009-09-13)
アームストロングが引退して後からツールドフランスなどのステージレースのファンになり、この本がとても気になっていました。 ところが、内容は壮絶な闘病記!(想像を絶する薬の副作用・家族の苦しみ・本人の絶望)私の父も母も祖父も祖母も癌で亡くなりましたが、癌のことは良く知らないし、また知ろうともしませんでした。 医療関係の方が書いた癌についての詳細な本よりも、癌とはどういう病気かが良く分かると思います。著者も癌を良く知ってもらうことを望んでいて、世界の癌患者への応援歌としてのメッセージを発信しているのだと思います。 ランスの腕白な少年時代の話も読む価値のあるエピソードだと思います。(ブルックス / 2008-10-18)
がっかりしました。ツール・ド・フランスにもやや幻滅を感じてしました。ロードってカッコイイ知的なもののように錯覚していたのですが、意外に野蛮な格闘スポーツなんですね。トレーナーとか自転車メーカーは科学的なものを持っているでしょうが、ツール7連覇のランスにしてこの知的レベルでは。。。選手はただ肉体的に優れていればいい素材にすぎないのでしょうか。失礼とは知りながら、他のレビューが盲目的賞賛ばかりなので、辛口に書かせていただきます。表面的に強いものが精神的にも優れているとはかぎりません。本質を見抜く必要があります。 闘病生活や自転車の練習のありさまはよくわかりましたが、そこには読者が具体的に活かせるものがありません。そこにあるのは「強靭な体力」だけ。これで癌もツールも制覇したというなれば、ああそうですか、よかったですね、うらやましいです、としか言いようがないでしょう。 この本はアメリカにありがちな出版社のライターが代筆したものと想像されます。なぜ彼が強いのか、どうしたら強くなれるのか、読書を通じてわれわれの学ぶべきことが何も書けてないのです。強靭な体力のほかに本書で読まされるのは、あまり参考にしたくない結構すさんだ彼の生活環境のみ。彼の強さの本質を把握することはこのライターの能力ではできなかったのです。この本はランス・アームストロングのネームバリューに便乗した出版社の営利本です。読まなければよかった。(ほん / 2009-11-14)
ランスをスポーツマン オブ ジ イヤーに導いた大ベストセラー。 いかにもゴーストライターが書いた風の読み手を過剰に意識した書きっぷり が気になることもあるが、エピソードの一つ一つが素晴らしく感動の連続。 つらく地味なレースの雰囲気も十分に伝わってきて読んでいてツールが わかったような気になってしまった。 それにしても、本中であんなにランスを支えた奥様とその後離婚したのは理解しがたい。(akasaka OPERA / 2010-02-12)
ランス・アームストロングと言えば、「癌から奇跡の復活を遂げ、ツール・ド・フランス を制覇した男」と言うのが定説ですが、この本を読むと、そのような評価が如何に表面的 なものであるか、良くわかります。 彼が癌を克服するために、あらゆる手段を動員し、医者任せにせずに治療法を決めていく 下りは、医者に頼りがちな日本人には無い発想で、圧倒されます。これを読めば、彼が 「奇跡的に」回復したのではなく、ベストを尽くして困難を克服した事がよくわかります。 結果はともあれ、徹底的に調べ、それに向かって努力する。当たり前の事が、当たり前の ように語られています。ある意味ではビジネス書とも言え、非常に為になる本です。(浪速のスライサー / 2009-09-02)
ガンと戦うだけでなく、世界一になるその生き様に感動。 その後の彼の社会貢献の大きさも考えると、こんな男、ちょっといない。 映画みたいな本当の話(ドクトル / 2009-04-15)
彼のように不屈の精神で人生を生きれるかと問われると、私には難しいが。逆境に立たされている人には、何か得られるものがあると思う。10代に人にも是非読んでほしい。(MATHMATICS / 2009-02-12)
「サクリファイス」にて自転車競技に興味を持ち、本書を手に取った。 ランス・アームストロングという名前ぐらいは聞いたことあると思ったが、それはルイ・アームストロング、もしくはアームストロング船長だったかもしれない。 とくかく、ランスは強い。体も、心も。 そして、なぜに外国人はここまで露骨に母親への感謝を述べれるのであろうか? 日本人はちょっと恥ずかしがると思う。 逆に、それが強さの秘密では?(たまごめし / 2008-09-09)
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平均点:4.5
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