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レビュー総評点:
10
『日中はいやでも共存しなければならない。「仲良くする必要はない。喧嘩だけはさけようよ。」という思いから筆を執った』という著者の気持ちが良く伝わる一冊だ。残念なのは、その思いのあまり、著者が言っているように『できるだけ双方の主張を紹介しながら、客観的に論を進めたつもり‥』になっていることだ。『日本の現状を顧みれば、一方的に中国を糾弾できるほど成熟した社会ではない。』という著者は、さすがに中国が専門だけあって儒教や古典の知識も豊富であり、君子の如き鷹揚さだ。しかし、成熟した社会ではないのは中国も同様ではないのか?なぜ、中国が一方的に日本を糾弾するのは是とするのか?‥など君子とは程遠い匹夫の私としては疑問が残る。外務省のチャイナスクールと同様、学問の世界でも中国を研究する者はどうしても中国寄りの立場に立たざるを得ないのだろうか。それとも著者は共産党を批判して中国を追われたので、深く反省した結果なのだろうか。特に本文最後の結びの部分は、「日本」と「中国」を入れ替えて読んでみると、これからの中国の行き方に対しての興味深い示唆となっていることがわかる。日本と中国、お互いの対等な努力こそが、健全な国交を樹立してゆく上で必要だということを、著者はこのような高度な手法を取って読者に訴えているのだとしたら、実に見事な著作といえよう。そう思ってほかの部分も同様にして読み返してみたら、なまじなミステリーより面白いことになった。(やじうま / 2005-08-17)
著者は近現代中国史研究者。 サッカー、買春事件、西安寸劇事件、反日デモ、歴史問題、反日教育、江沢民来日、瀋陽領事館駆け込み事件、原潜領海侵犯、ODA問題などを取り上げている。 中国のサイトの書き込みや、シンポジウムでの中国側研究者たちの発言内容を具体的に要約・紹介しており、一読の価値がある。 本書は最後に、主要な争点は歴史問題、尖閣諸島問題、台湾問題の三つであるとし、それぞれについて要点をまとめた上で、いくつかの理由によって完全な和解や解決は困難との認識のもと、コンフリクトをエスカレートさせないシステム作りが必要だと結ぶ。 過激な中国批判を期待している人にとっては肩透かしの内容かもしれない。批判よりも主張紹介が中心となっているのだから。しかし、本書で紹介されている主張を理解することで、中国を批判したい人も建設的な批判ができるようになると思う。( / )
タイトルのとおり「反日・反中問題」を日中の両側から見た良書である。しかしながら、両国の改善に向けた著者の提案があまりにも悲しすぎる。両国の現状について詳細に検証した結果、何かあきらめてしまっている感もある。例えば靖国問題にしても、あたかもA級戦犯の分祀をしてしまえば解決するような著者の主張も見受けられるが、一方で中国共産党はチャイナデイリでは「A,B級戦犯に問題あり」ともいっているように一貫しておらず、日本側からは総意としての見解を反論できるよう、国内での議論が必要である。著者にはもっと積極的な見解を述べて欲しかった。(一読者 / 2005-09-05)
2005年10月の現時点で、知っておくべき基本的事項は網羅されており、教科書的な意味も含めて、この問題に関心のあるないに関わらず、多くの日本人が目を通しておくべき内容と思う。本書で著者も指摘されておられるように、中国に関して「想像上の脅威」と「実質としての脅威」を混同してはならない、というのは極めて重要で、これは両国民に求められることだが、視野狭窄と思しき日本の政治家には特に声を大にして言っておきたい。著者は、中国近現代史の専門家だが、物事の相対化が十分出来た上での視点であり、親中・反中、護憲・改憲派の区別を超えて、最低限抑えておきたい内容を含んだ良書である。(七海光一 / 2005-10-26)
日本と中国の現代的な問題点を、過去の歴史から紐解いた評論。 両国の「政冷」状況は、深刻な問題ですが、日本のマスコミも火に油を注いでいるような気がします。 両国間の問題は、長い歴史の上に積み上げられたものです。 今話し合って、すぐに解決できるほど、歴史は浅くないでしょう。 中国の友人たちとの付き合いでは、お互い憎しみあう関係ではありませんし、それほど深刻な状況ではないと考えています。 また、中国の反日家と言われる方も、日本での反中家と同じように、一部の方です。 一部の方の考え方を、その国民全体が考えているように、あるいは中国を適視する前提でみていくことは、政治や外交問題を複雑にしてしまいます。 この書は、内容的には少し難しさを感じますが、問題点を歴史的に整理されており、今後役立つのではないでしょうか。 (とし坊 / 2005-12-08)
現在の日中関係は言って言いっぱなし。 「中国は国民の共産党への不満をそらすため靖国問題を利用しているに過ぎない」云々。 政治家も評論家もきちんとした対話をせずに相手方の思いを想像して議論している。そうこうするうちに麻生さんが「話し合いによる解決」を呼びかけても中国は反応しないくらいに悪化した日中関係。 まずは相手の思いを聞く事。双方の言い分を歴史的背景から説きおこし、簡潔にまとめた書。バイアスをかけず淡々とした語り口。(driven / 2005-11-01)
著者の姿勢はタイトルのように、日本、中国を等距離の位置からそれぞれの感情を論じている。肯定する部分が多い。だが、言説について一般論としていってるのか、それとも個人的見解を述べているのか不明な個所がある。( / )
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平均点:4.0
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