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No.1-1 ▼
太陽の塔 (新潮文庫) / レビュー総評点:156
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ASIN:4101290512 / 売上順位:2775
新潮社(2006-05)森見 登美彦 ¥ 420(中古:¥ 1)
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レビュー総評点:
156
学歴コンプレックスの連中が京大だからと批判し京大卒の馬鹿どもが周辺地理を面白がる。この作品はそれだけの価値しかないのか?否、この作品は、日本語を愛し、もてないで悶々と過ごした青春時代をもち、自分というものの価値を信じているすべての男性のための切ない物語だ。そして、私はそう読めなかった人たちがうらやましくてならない。おそらく、男臭さむんむんとする部屋で友人と語り続けてた経験もなく成長されたのだろうと思うからだ。しかし、この作品はそういう人たちに読まれるべき作品ではない。女性にもスポーツにも縁がない学生時代を持つ(生きる)人にこそ読まれるべき作品なのだ。(たかちん / 2007-01-23)
初めて森見登美彦の本を読み、文学的な文章というよりもこれはおたく的な文章だなと思いました。ひたすら濃く、くどい。
話が掴みづらい上に文章は濃くどうにも疲れるので、途中からつらつらと流し読みました。 結局息切れ切れになりながらも最後まで読みきりましたが、内容をあまり覚えていないのに妙な感覚だけが残るという変な作品でした。 先日、数ヶ月前のその感覚を不意に思い出し、この話の何がひっかかったのか解明すべくじっくりと読み返してみました。 結論として、私には二度読みがちょうどよかったです。 私の疲れで見落としてしまっていた全体のお話や随所にちりばめられているシーンがとてもよく、危うく知らないままにするところでした。 変な言い方しかできないですが、森見登見彦は感覚を外側から表現するのがうまいなと思いました。 嫌々読んだはずなのに二度読みさせられた私の完敗です。(フジノ / 2008-08-17)
大学生の失恋の話。もてない男達がうだうだと集まって明晰な頭脳によって恋愛の下らなさを否定するのだが、当然思想という深い森に迷い込むだけでもてないという事実からは逃れられず、さらにもんもんとする話。
主人公が振られた彼女にもつ切実な想いを、屈折した言葉を使って振られたことを肯定していこうとする心理状態を面白く面白く書いていく技術や、言葉の使い方に共時的な面白さを感じることができた。 物語としても、最後に物語を盛り上げるために「ええじゃないか」があったり、なぜか、悲しくなるラストはよかった。 自意識過剰な感じはするが、それはそれで私はあまり気にならない。とても面白いと思う。 (津和差志 / 2007-01-14)
主人公はひたすら傲慢不遜でその上やってることはただのストーカーなのだが、長篇一本通して読者に嫌悪感をまったく催させない微妙な匙加減がほんとすごい。
インテリストーカーをこれほど愛すべき存在として描出する筆力とバランス感覚は見事としか言いようがない。 主人公の持つ傲慢さや過剰な自意識は学生時代の男子ならばだれでも通過するものとして共感できるように描かれているし、やってることの悲壮さや惨めさもユーモアにまで見事に昇華している。 どちらのマイナス要素をも作品内でプラス要素に転換しているのだ。 文体も非常に面白い。意図的に前時代的な文体で面白みを引き出す手法なのだが、巧いなあ。 単なる思いつきだけで、ここまでの長篇を書ききれるものではない。確かな文章力、豊富な語彙、知識、教養がバックボーンにあって初めて書ける馬鹿小説。 知識や教養、洞察力が不毛な方面に活かされているのは主人公だけでなく、この作品構造自体についても通じている。 しかし不毛さを突き詰めるとひとつの芸として成立するという好例でもあり、同時に主人公同様に悶々と日々懊悩する底辺インテリたちの希望でもある逸品。 (人間の屑 / 2009-10-03)
第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞。
理屈っぽく偏屈な男子大学生が元カノへの未練をジレンマにモンモンとした毎日を過ごす、という日常生活を面白おかしく、どこか切ないモノローグで綴った作品。 ・・・という、ありふれた紹介では収まらないほどに、異常な描写と思考が連続する痛快極まりない内容だった(笑) 読み始めた当初、これは精神異常者を題材にしたストーカー小説かな?と思った。でも違った。 確かに、異常すぎるほど豊かに展開される主人公の妄想と思考は変質者まっしぐらなのかもしれないが、そこには一般的な風潮や文化を否定したがる「哲」学生特有の青臭さと、意地が垣間見られる。 一般的なもの・・・それは特に男女の色恋についてだ。主人公は(そして彼のかけがえない友人達は)自分がそんなものに現を抜かすような俗深き人間ではない、と主張し続ける。俺は孤高だ、俺が答えだと叫び続ける。(無論心の中で) 一般的な道楽を正常とするなら、彼らは異常な存在だ。けれど異常な自分を肯定し続けることが彼らにとって正常なことであり、俗にまみれることが逆に異常なことなのだ。異常=異界に身をおく彼らにとっては、むしろ現実こそ異世界である。しかし、どうしても元カノである水尾さんが忘れられない主人公は、その境界線が実は真実ではないことに、うすうすと感づいている。もっと言ってしまえば答えは分かっているのだ。でもそれを認めたくないからこそ、彼はさらに異常な所業を、とひたむきに頑張るのである。 読者を異常な妄想譚で欺き弄び、お腹いっぱいになるまでシュールな笑いを提供してくれる本作品だが、主人公の意識にひっそり隠れている健気で臆病な想いに気づいた時、この小説は夏の青空ばりの清清しさを心に残してくれるはずだ。 失恋している人もそうでない人も、ぜひ読んでみて欲しい。(まんねんろう / 2008-08-20)
いわゆる「童貞」ジャンルの映画や漫画(吉田秋生とか)
そして小説(みうらじゅん、原田宗典とか)って、 実は結構たくさんあると思うんですが、 この「太陽の党」は著者の膨大な知識と知性、 そしてユーモアによって、一線を画す作品になっています! 実際のところ、主人公の「わたし」が童貞かどうかは分からないのですが、 膨れ上がる欲望を女の子にぶつけることも出来ず、 男同士でひたすら妄想を弄ぶ。 そして世の幸福な男女へひたすら悪態をつき続けるその様は、 まさに「童貞スピリット」。 痛々し過ぎて、愛しくさえなってくるんです。 男性のみならず、女性も共感できるのではないでしょうか? これといった起承転結のストーリーもないし、 ファンタジーノベル大賞受賞のわりにさしてファンタジーでも無いのですが、 その語り口の軽妙さが最後まで読み手を引っ張っていってくれるでしょう。 できれば「夜は短し歩けよ乙女」を読む前に読んでおいて頂きたいですね☆ 森見登見彦さん、今一番注目している作家の一人です。(moripu / 2007-03-22)
妄想ワールド炸裂。
どこまでが現実でどこからが妄想か。 不思議な物語。 しかし、面白い。 女の子に振られた『私』はその振った相手『水尾さん』研究に いそしむようになる。 しかし、一歩間違えれば、というか すでに間違っていると思うが、 その行為はまさしくストーカー。 理路整然と自分の行動の正当性を訴えるけれど やっぱりストーカーだよな〜。 しかし、ストーカー物とは一線を画す物語。 でも誰にも経験あるような、妄想。 妄想に生きる男の性、 分かるような分からないような・・・ いや、分かっちゃうんだよな。 でもここまでの行動は起こさないけど。 ところどころ「くすっ」とか「がはっ」とか笑えます。 人前では読めません。 登場人物がわけの分からない人たちばっかりですけど、 でも愛嬌があって、とても愛おしい。 森見登美彦はまってしまいそうな作家です。(なおっち / 2007-01-25)
話題作です。
「夜は短し、歩けよ乙女」と同じく、独特の作風はすでに本作で 確立されています。文体や構成、なにより主題が非常に独特で、 読めばすぐ、この作者の作品だとわかります。このような感覚は ジャンルは違いますが、京極夏彦を初めて読んだときに近いものが あります。 内容はすでに他のレビュアーの皆さんがお書きになっているように、 京都を舞台にした、妄想大魔王達の疾走する日常が、半ば強引に 勢いだけで語られていきます。前半の盛り上がり、絶妙な言い回しの 連発に比べて、後半少し盛り下がりますが、作品の主題が、そもそも 勢いと妄想にあるようなので、それもまた良いのかもしれません。 久しぶりに登場した貴重な若手作家だと思います。 妄想族だけでなく、万人が読むべき21世紀の純文学です。((た) / 2007-11-04)
遠藤周作〜椎名誠へと続く、明るく爽やかで清潔な男女交際・・・といった言葉とは
完全にシンメトリーを成す青春文学小説です。 しっかし、驚きましたよ。ここまで徹底的に自分をさらけ出すことができるなんて。 この作者には間違いなく力があります。夜は短しの方はつまらなかったけどね。 今後も頑張って欲しい。(ぷーやん / 2008-06-02)
独特な表現や、回りくどい言い回しがとても面白かった。暇な学生のくだらない妄想や言動のためでしょうが、全体的にふざけた雰囲気というか、コミカルな雰囲気がとても楽しかった。読んでいて、時々ニヤニヤしてしまいました。(seiji / 2008-01-21)
自意識過剰かつ生意気な感じの文章がかなりツボにはまって、読んでるあいだは吹き出したり、ニヤニヤしたりの連続でした。なかなか面白かったです。ファンタジーノベル大賞受賞作と聞いて予想する作品とはだいぶ違うけど、現実と、京大生ならではの巨大な脳(?)から紡がれる幻想というか妄想とが混在している様と独特な古風さは、ファンタジーと言えなくもないかも。また京都っていう舞台も大きいかと。出てくる固有名詞も「叡山電車」「北白川別当交差点」「幽水荘」など妙に魅力的だし。東京じゃこうはいかないだろうな。四天王の学生たちの浮世離れした生活ぶりには少し憧れる(モテないところ以外は・・・)。ラストは若干拍子抜けしたけど。ところで解説を読んで「まなみ号」の意味がわかりました。(冬苺 / 2007-06-14)
「私」が、振られた彼女の水尾さんを追っかけている話だと、はじめにそう思ったのですが、どうもそればかりでもないのです。
書き出しでは、水尾さんにまつわる手記だと思わせながら、その内容のほとんどが彼の日常で埋め尽くされており、終始晴れない胸中を語り続けています。 しかし、その悶々たるや、まことに絶妙です。流行の恋愛小説家などが書けば、憂鬱に口をふさぎたくなるかもしれませんが、この作品、前向きなネガティブとでもいいましょうか、やや高尚な文体ながらギャグテイストが満載であり、笑いが止まりません。 愉快な仲間たちの紹介に明け暮れていた感もあり、ストーリー的には贅肉が多かったかもしれませんが、美味しいご馳走となりました。 これがファンタジーノベル大賞というのが素敵な選考です。 最後に回想される水尾さんとの想い出には、自分と重なるところもあり、ほろりとしました。 ありがとうございました。(くまスリー / 2007-09-24)
さえない大学生の失恋およびその大学生活についておもしろおかしく書かれた本。
京都で学生生活を経験したことのある人ならば一層本書を楽しむことができるだろう。 そして、とにかく文章が素晴らしい。 古風な日本文学的な言い回しで語られる文章は、読んでいてとても気持ちがよい。 声を出して笑える箇所や、独特のセンスを感じさせる表現が幾度となく現われた。 最近売れている作家の多くの本はとても読みやすく現代的なのだけれども、 何か物足りないと私は感じていた。 なんというか、最近の本は文章が透明すぎるのである。 しかし本書はそうではない。 古風で濃厚な文章を用いながらも、とても読みやすく出来上がっている。 筆者の今後に大いに期待したい。 現代文学に何か物足りなさを感じている人におすすめです。 (almost transparent blue / 2007-08-26)
京大農学部を休学中の五回生(作者自身がモデル?)が語る,イケてない日常の日々。
中盤までは爆笑の日常の連続。こういう勘違い系の学生って,やっぱ多いのかな。彼らの綴る馬鹿馬鹿しい日々が,大仰な文体で綴られているためか「プッ」と吹き出してしまうことが何度も。 時はクリスマス商戦真っ只中。イケてない学生にとって,クリスマスは恋人と過ごすものと定義される昨今の風潮は到底受け入れがたい。そこで彼らは「恋愛ファシズムに対する挑戦」を企て,「我々の精神の持つエネルギーで,鴨川に座る男女を焼き払う!」と息巻く。すげーよ,そのエネルギー。 ただね。第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品ということですが,この本の何をもって「ファンタジー」とするかについては議論がありそう。特に後半では現実とファンタジーの境界があいまいで,作者の世界から置いていかれそうになりました。そこが少々,心残り。 (たつパパ / 2006-11-19)
古きよき、文芸盛んなりし頃の”小説家”を思わせる文体が、とっても巧い。
でも、舞台はあくまで現代。 そのギャップがとても新鮮だった。 本質的には、近代以降、変わらぬ、青春、恋愛、葛藤小説。 でも、時代にあったディテールを消費したいという文系若者層の欲望に、みごとにハマったと思う。 それにしても、この作品が、「ファンタジー大賞」!? 投稿した著者も、選者も、やるなあ、と関心してしまった!(misora / 2007-07-23) レビュー数 78 [残りも全部見る][amazonでレビューを書く] 平均点:4.0 |
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