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暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3) / レビュー総評点:31
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ASIN:4102159738 / 売上順位:667
新潮社(2007-06)原著:Simon Singh/サイモン シン/翻訳:青木 薫 ¥ 660(中古:¥ 329)
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レビュー総評点:
31
ウェブ社会の恩恵は企業にとっても個人にとっても計り知れないものとなっている。それを可能にしているのは顧客と企業を結ぶ安全な通信手段である。そしてその通信手段の天守閣こそが暗号である。
上巻を通して語られているように暗号には国家の存亡に関わるほどの強い力と深い歴史がある。下巻のはじめにも暗号がいかに戦争の行方を左右したかということが鮮明に描かれている。かくも重要な暗号であるが、1960年代以前のものには大きな弱点があった。それは「鍵配送問題」である。 ある人が他の人に暗号を送る場合、暗号を送るだけでは正当な受信者はそれを復号できない。復号するには、「鍵」が必要で、それをある法則に従って暗号に当てはめ、解読することが必要となる。従って通信を成功されるには送信者は受信者に鍵を事前に知らせておく必要がある。 この鍵を知らせるためには、それを直接持っていく、または第三者に委託するなどの方法があるが、いずれも盗み見られたり奪われたりする危険性を免れない。この機密性の不完全さが問題の一つである。さらに、戦争などの場面を考えると、コストが問題になってくる。それは、軍隊への通信を可能にするには各部隊に暗号復号用の鍵を知らせておかなければならず、鍵が変わる度に多くの部隊にそれを配送しなければならないからだ。実際、戦時中は鍵を配送するために多大な費用が掛かっていたという記録がある。また、ウェブ社会では相手が不特定多数になるため、一々配ったりすることもできず、この問題は大きな障害となる。 この「鍵配送問題」は長い間、解決できないものだとされてきた。しかしながら、これはある数学的知見により見事に解決されることとなる。それは、一方向関数という概念(を応用したもの)で、ある一定の状況に限って復元可能な(=双方向な)関数になるというものだ。これにより、暗号化には公開鍵(文字通り広く公開されていて問題ないもの)を使って一方向関数にいれ、それを相手に送り、受信者は個人鍵(自分で決められる)という一方向関数を唯一逆転できるものを使って復号する。これは個人鍵さえ機密にされていれば暗号の送受信は成功することを意味している。ここで重要なのはどちらの鍵も「配送」というプロセスを得ていないということである。 この鍵配送問題は下巻で最も力点が置かれる部分であるといえる。なるほど思わず唸ってしまうような知恵が、平明な文章で記述されており、筆者・訳者の力量に脱帽である。 また、暗号の強力さに関して、ある一定以下に保とうとする国家と暗号推進者の攻防も実に興味深い。暗号が強力になることは国家がそれを解読できないことでありテロリスト達の暗躍に拍車をかけることになる。これは国家にとって大きな脅威となる。一方で、ウェブに代表されるように暗号は私たち一般市民のプライバシーを守るためにも欠かせない。現状では企業の後押しなどもあって後者が勝っているが、いつ(どこかの)国家が暗号に制限をかけてもおかしくない状況だという。このことは、暗号技術は国家をも揺るがすものだということを改めて示している。(pragma / 2007-09-28) 暗号の歴史を分かりやすく解説するだけでなく、ドラマチックに見せてくれる本書。 素因数分解という意味不明な(僕にとってですが)数学的テクニック(?)を初めて 現実に役立つ物として見せてくれた本書。必読! 有名な「シーザー暗号」に始まり、第二次大戦中ドイツの暗号機エニグマを通り 現代のコンピューター通信に用いられるRSA暗号に至り、さらには次世代の暗号テクニック (実際には既に使用されているかもしれないが)量子暗号まで。 本書の案内に従って読み進めてゆけば、僕のような数学のずぶの素人にも (とりあえずは)暗号の歴史とそのテクノロジーを理解する事ができる。 しかも人間同士の、暗号制作者と、解読者との知恵比べのドラマは読み物としても上々の出来だ。 この文庫本版の良さは、原書から約十年の月日が流れたため、 追補として現在(2007年)の暗号の現状を挙げてくれているところだろう。 なんと、作者が量子コンピューターの登場を待たねば解読不能と断じた、 RSA暗号を用いた暗号システムDESが現在では解読可能といえるまでになっているのだ。 素因数分解を利用したこの暗号方式は、地球上全てのコンピューターを稼働させても、 一つのメッセージを解読するまで千年かかると言われていた。 十年の時間はコンピューターの速度を飛躍的に向上させてだけでなく、数学のルール上あり得ない と言われていた素因数分解の近道を発見させるまでに至ったようだ。 まったく、まったくもって人間同士の知恵比べには驚嘆させられる! さて、本書には原著と同じ暗号例題が巻末に付録している。 文庫版で残念なのは、それらの懸賞付き十問がすでに破られている事だろうか・・・・。 しかし僕はと言えば、その知恵比べに参加どころか、 舌を巻いて見守り、尻尾を巻いて降参するしかない。(タック / 2007-08-08)
「フェルマーの最終定理」のサイモン・シンさん、
暗号解読の歴史というドキュメンタリーのこの素材を、 ストーリーテラーとして本当に上手く料理されてます。 冒頭に、暗号の重要さを説明する例として、 16世紀後半のスコットランド女王メアリーの悲劇を紹介・・・ 暗号が破らなければ助かるが、暗号が破られると死刑・・・という究極の状況。 副題通り、ロゼッタストーンのヒエログリフの解読から、 量子暗号の原理まで、読みごたえありました。 (papillon / 2007-12-22)
下巻では,まず古代文字の解読に始まって,少数部族の言葉を暗号として使うという話が出てきます.確かに知らない言葉はそれこそ暗号です.そして,公開鍵暗号から量子暗号へと話が進みますが,いずれも難しい話をやさしく解説してあります.すばらしい.
暗号というと文字通り暗いイメージがあり,一般人の生活とはあまり関係ない感じがしますが,実は暗号技術があってこそ今のインターネットの世界が成り立っているのです. 原作では,著者から読者に向けて暗号解読の懸賞問題が掲載されていました.この文庫本が出版された時点では,これらは既に解読されていたのですが,この「史上最強の暗号」とその解答も収録されていますので,こちらもお見逃しなく. (wave115 / 2009-09-11)
面白いです
もう少し掘り下げて欲しいところも若干ありますが 星が4なのは ヒエログリフ解読について 教科書でもお馴染みのフランスのシャンポリオンがイギリスのヤングという物理から言語学まで幅広く研究好きな医者の発表した論文を基にヒエログリフを解読したと強く主張している点 情報通信が全く行き届いてないフランス革命直後の混乱期の大陸にいるシャンポリオンがイギリスで発表された論文に目を通す可能性は低く、また、読んだという証拠はない しかし、シャンポリオンは解読に成功している 史実をちゃんと踏まえ主張して欲しい (ほうき星 / 2009-01-04)
歴史のさまざまな場面で決定的な役割を果たし、現代情報化社会の根幹を支えている暗号技術とその解読について、詳細かつ非常に分かりやすく書かれています。
内容の詳しい紹介は他のレビューに譲りますが、今まで関心のなかった事柄が一冊の本をきっかけに、二度と無関心ではいられなくなるそんな体験ができる一冊です。 現時点で無敵の公開鍵暗号を葬り去り情報化社会の根底を破壊しうる量子コンピュータと、原理的に解読不可能な量子暗号は、 私たちが生きている間に実用化されるのでしょうか、そしてその後の世界はどんな姿になるのでしょうか。 暗号の歴史はまさに現在進行形なのです。(眼鏡越しの宙 / 2008-06-24)
歴史のあらゆる局面で、まさに鍵の役割を果たしてきた暗号。その基礎技術と、暗号を中心に繰り広げられてきたストーリーが一気に読める「暗号解読(上)」のつづき。
「失われた言葉」古代文字の解読から、現代の高速・大量データ通信に欠かせない現代の最新暗号技術(DES,AES,RSA)、そして、その安全性の根拠になっている基礎理論。さらに、現代暗号を打ち破る量子コンピュータの可能性と、その先を行く量子暗号の現状までが綴られる。 暗号をかける側は何としても読まれたくない。暗号を解く側はあらゆる手を駆使する。長い歴史の中で繰り広げられてきた高度な「知」のパズルは、それに関わった人たちを中心に、壮大なストーリーを残してきた。 「暗号解読(上/下)」を通して、暗号の歴史はもちろん、基本的な技術解説も非常にわかりやすくまとめられている。翻訳本とは思えない読みやすさもあり、すばらしい本でした。 (mnishikawa / 2008-03-29)
邦訳リリースは2001年7月、文庫版は2007年7月。オリジナルは1999年である。非常に難解な暗号の歴史と技術をこれだけ噛み砕いて時系列的に配置した本はこれ以上にない、と言いきれるくらい傑作だ。そしてこの本を翻訳するというのは生半可な作業ではなかったろうな、と思った。
この本を読む前にまず、ブルース・シュナイアーの名著、『暗号の秘密とウソ』・『暗号技術大全』・『セキュリティはなぜやぶられたのか』の3冊を読み、ロス・アンダーソンの『情報セキュリティ技術大全』を読んでから取りかかった。しかしながらこの本はそういった専門書を遙かに平易に遙かに歴史的流れに沿って、その上遙かにドラマテックに読者に教えてくれた。たとえば良い例が、RSA暗号で使われている非対称暗号における公開鍵と秘密鍵の説明だった。シンはこう平易に説明している。 公開鍵→二つの素数aとbの積 秘密鍵→その積の元となった二つの素数 そしてその積の長さが充分に長ければ暗号強度は強い。 実に解りやすい説明だ。僕はこれ以上に解りやすい非対称暗号における公開鍵と秘密鍵の説明を見たことがない。 この例のような極めて冴えた説明が最後まで衰えない。有名なアリスとボブとイブも後半に登場するのだが(物理学においてアリスとボブの例えというのは通例になっているようだ)、この有名なキャラクタもシンの手にかかるとより一層見事な例示をしてくれる。超難解な量子力学においてですらだ。翻訳共々すばらしい作品で読み逃せない傑作だ。(voodootalk / 2008-05-04)
暗号解読(下)の白眉は 現代社会における暗号の善悪のせめぎあいを描いた部分だ。
ネットは完全に社会のインフラとなった。情報流通の「早さ」と「量」と「質」が飛躍的に進歩した現代において もはやネットが無いことは考えられない。もちろん 将来的にはネットが 発展解消的に新しいものに生れ変わるとは思うが 情報社会の高度化という 大きな流れにはなんら変わりはないはずだ。 その時代に「暗号」がいかに重要なものになったかを本書は描く。 暗号は戦争から始まった。戦争に不可欠な暗号が 僕らの日常のネット生活に不可欠になったということは とりもなおさず 僕らの日常が「戦場化」したことを意味している。 僕らが何気なく行っているネット上での「買い物」や「やりとり」が「戦場」で行われていることは 最近の各種の詐欺を見ていればわかる。 更に言うなら 各種テロもネット抜きには語れない時代だ。今目の前に見ている このPCこそが 戦場への「入口」といっても良いのかもしれない。 その時代に僕らは「暗号」で自分をプロテクトする。自分をプロテクト出来る点で暗号は「善」だ。但し 犯罪者が自分をプロテクトしつつ 犯罪を犯すとしたら 暗号は「悪」なのかもしれない。そうして この「善悪」に関しては 余りに色々な判断が可能なだけに 現段階では結論が出ていないということなのだと思う。 暗号はずいぶん遠いところまで来てしまったということだと思う。暗号の持つ人間臭さは 誰もがなんらかの形で「暗号」を使っているからだ。「交換日記」で符号を作った甘酸っぱい記憶がある方も多いのだと思う。 暗号という一つの「人間の所作」から見えてくるものの 驚くべき「深い淵」ということが本書の読み応えだ。 はっきりしていることは 僕らは既に恐ろしいくらいに「暗号」に依存しているということだ。(くにたち蟄居日記 / 2008-06-13)
本書はフェルマー最終定理などで有名なサイモン・シンによる暗号解読に関する歴史を
記述した本です。 本書は暗号に関する人類の歴史をわかりやすく解説しています。 一言でいうと非常に面白いです。 本書を一読するだけで暗号に関する知識が身に付きます。 私はIT関連の仕事をしていますが、現在セキュリティが重要になっている中で 暗号化の理解は非常に重要です。 セキュリティを専門にしていなくいても、暗号化の基本は理解しておく非常があります。 本書を読めば、前提知識なしに暗号化に仕組みについて理解できます。 しかも、物語になっていますので、面白く読んでいると読み終わったあとに知らずに 知識が身に付いているという感じです。 暗号化について知りたい人はまずこれを読みましょう。 文庫版なので価格も安くておすすめです。(I am an intellectual cat / 2010-01-07) レビュー数 10 [amazonでレビューを書く] 平均点:5.0 |
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