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レビュー総評点:
37
「共感覚」とは、文字に色が見える、音に手触りを感じる、痛みから不思議な映像が浮かぶ等のことが「比喩ではなく」起こる、五感のうち二つの感覚が同時に働く知覚様式のことだそうです。 そのような感覚を持つ人たちは「共感覚者」と呼ばれ、データには諸説あるようですが、この本の文中では「二千人に一人」の割合で現れるとされる稀な神経現象であるらしく、これに関しては、定義付けの問題や研究者による見解の違い、また、共感覚を持つ人たちは、周囲の理解が得られず、齟齬が生まれ、人にあまり語りたがらないということもあるなど、様々な原因でデータに偏りが出るようです。 この本では、著者の生々しい体験談や、様々なタイプの共感覚者の実例が出てきます。 ランボーやナボコフ、スクリャービンなど、多くの詩人、作家や音楽家、画家も共感覚者であったといわれています。 「私は当然のように、世界中の誰もが私と同じように知覚しているものだと思っていた」という、著者のパトリシアさんの独白が印象的でした。 共感覚者が語る不思議な世界― まさに、「あなたと私の見ているものは同じですか?」ということを、考えさせられる一冊です。(Celeste / 2002-11-23)
自らも共感覚者である著者によって書かれた、共感覚という現象の紹介と共感覚にまつわる自らの想いを綴った本。 共感覚(Synesthesia)とは、通常独立したものとして感じられる2つ以上の感覚が不可分のものとして感じられるような現象をさす(のだと思う)。典型的な例としては、黒いインクで印刷された文字や数字に色がついて見えるのだという。共感覚そのものは19世紀半ばから記録に残っているそうだが、科学的な研究対象とされることはほとんどなかったそうだ。2000人に1人くらいの比率で共感覚者が存在するのではないか、とのこと。 残念なことに妙なテイストの本に仕上がってしまっているように思う。本書の各章は、著者が自身の経験談や他の共感覚者との対話、共感覚者による芸術作品について語り出すところから始まり、共感覚の主観的経験について詳しく述べ、関連する研究や専門家の考えを紹介し、それに対する共感覚者としての著者の想いを綴る、という形式で書かれている。本書全体としてこのような構成で書かれていれば良かったと思うのだが、明確なテーマの違いがない各章で毎回同じサイクルが繰り返されるため、共感覚の主観的経験、脳神経学的な解説、共感覚者として生きるということの意味、等が整理されずに記されているように感じた。共感覚の主観的経験を詳細に記述することができるのは、もちろんこの著者ならではなのだが…。 本書での脳神経学的な記述もそれなりに専門的で、脳についての本を1冊も読んだことのない読者には難しいと思う。共感覚について脳神経学的に理解したいという読者は専門家の書いた本を読んだ方がむしろやさしく感じるかもしれない。 (萩原 湖太郎 / 2007-03-04)
文字が色つきに見える、音を聞くと色が見える、不思議な能力についての本。 著者は共感覚を持った人で、その具体的な事象について詳しく書かれている。 共感覚者の「見た目」どおりに色を着色したアルファベットの画像は貴重。 後半は脳のしくみなどについて書かれているが、私には難解。 難しいのを我慢して読んだのに、結論が出ていないのも消化不良。 共感覚について概要を把握するなら、この本よりも「共感各社の驚くべき日常」がお勧め。 この本は具体的な事象の例を把握する参考書に良い。(garbanzo / 2004-10-14)
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文字や音に色、痛みに形など、二つ以上の感覚が同時に働く「共感覚」。非常に興味深い。先天的にその能力を持つ人々は、周囲の人がその感覚を持たないと知ったとき、非常に驚くという。この能力はとても素晴らしいと私は思う。特に芸術方面にこの感覚を生かせば、どれだけの素晴らしい作品が生まれるか。しかし残念なことに、その感覚は人によってばらばらで色も形も共通しないと言う。 ひとつ気の毒に思ったのが地下鉄の事例。著者の文をそのまま引用する。「チェコのプラハで地下鉄に乗り、迷ったことがある。その地下鉄では、Aラインは緑で、Bラインはオレンジだった。しかし、私のアルファベット列上では、AがオレンジでBが緑なのだ。」そう。この能力のために、著者は地下鉄を乗り間違えてしまう。しかも指摘されるまで間違いに気づかないのだ。それだけ共感覚の「色」の方の刺激が大きいからだ。 実際に共感覚を持つ人によって書かれたこの本は、人間の感覚の奥深さを我々に教えてくれる。(ポチR / 2009-07-29)
「ぼくには数字が風景に見える」(ダニエル・タメット)は著者自身が共感覚の持ち主であったが、主に対人関係的な困難さの克服に焦点が与えられていて、共感覚自体を深く知ることができなかった。「共感覚者の驚くべき日常」(リチャード・E・シトーウィック)はこの分野の著名な研究者によるものだが、外部観察者としての視点であり、共感覚の感覚そのものの理解があまり進まなかった。(ただし本書ではシトーウィックの研究成果から共感覚のメカニズムについての引用が多くなされている) 自らも共感覚を持ち、ライターとして活躍している著者による本書では、カラーページでは共感覚者の視覚が明らかになる。共感覚者同士の感覚の互換性のある部分とない部分の解説、そして視覚以外の聴覚などに現れる共感覚。過去から現在までの共感覚者の調査もかなり行われていて、彼女が主催する共感覚者のインターネット掲示板を介した交流から、この現象の事例を幅広く知ることができたことが紹介されていて、いままでの不満がかなり解消された。 巻末の養老孟司による「社会を作るのは、脳である」という趣旨の解説も読み応えがある。 (まる・ち / 2008-12-09)
‾文字に色彩的なイメージが伴う。 音にニオイや味が伴う。 時間や空間は視覚化されイメージとして認識される。 共感覚って、いわゆる単独で機能する認知機能が複数機能してしまうという。 当事者にとっては僕なんかには想像出来ない程の苦労があるだろうけど、 羨ましい。 文字や音に色やにおい、味や感触が‾‾あったならば、 自分さがしや個性的になる為の無駄な努力をしなくたって、 個性は自分の身近なトコにあることに気が付くはず。 それだけ、世界は豊かなイメージを隠しもっているんだろう。 だから、この著者もポジティブにこの「才能」を捉えている。‾(ngmkz / 2005-05-06)
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