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レビュー総評点:
121
この本は、レビューなど気にせずに、すぐに読むことをお薦めする。何しろ、これまでの自分や他人の行動が説明されていく・・・これは、面白く、やや怖くもある。さて、目次、つまらぬ我がレビューをお読みいただくより、本文の一部のほうが優れたinvitationになろう・・・『大昔から、哲学者はなぜ人間どうしが互いを理解できるかについて頭をかきむしってきた。その困惑はもっともだ。かつてはそうしたことを研究する科学が基本的になかったのである。この一五〇年ほどは、心理学や認知科学者や神経科学者がそれぞれの専門分野から---そしてこの五〇年ほどはさらに多くの科学分野で---研究できるようになってきたが、それでも長いこと科学者たちは頭をかきむしっていた。他人のしていることや考えていることや感じていることを私たち人間はどうしてわかるのか、その仕組みは誰にも説明ができなかった。今では、それ説明できる。人間は脳にある特殊な細胞の集まりのおかげで、他人をきわめて微妙なところまで鋭敏に理解することができるのだ。それらの細胞群を総称してミラーニューロンと言う。この微小な奇跡によって、私たちは一日を切り抜けている。・・・』。サァー続きはお読みください。この研究が広い分野(精神医学は勿論、薬学、・・・ビジネスにまで)に関わる可能性も論じられています。面白いことは大切で、著者は一級の神経学者ですから信用できる著書です。記述も良い。是非お読みください。お薦め! (Dr.Shigeharu Mutoh / 2009-07-13)
ミラーニューロンが物真似細胞だということは他の脳科学・神経科学の書籍を通じて知ってはいましたが、本書を読んでミラーニューロンが人間個人と集団、社会に及ぼす影響の大きさを知ることができました。 例えば、 ミラーニューロンを通じて様々な言動が模倣されていくことで文化が生まれ、その文化をミラーニューロンを通じて更に模倣されていくという、文化形成スパイラルの一翼をミラーニューロンが担っているとのことです。ドーキンスが提唱したミーム(文化遺伝子)とミラーニューロンがここで繋がります。今後はミラーニューロンを介したジーン(遺伝子)とミームの関係についての研究が進んでいくのでしょう。 ミラーニューロンが進化の過程で形成されてきたことから、ミラーニューロンが模倣しやすいのは人間の本性に適ったもののようであり、なんでもかんでも模倣すうわけではないとのことです。従って文化として形成されるものは人間の本性という制約から逃れることは容易ではなさそうです。人間と社会がここで繋がります。今後は文化の要素と人間の本性との関係につての研究が進んでいくのでしょう(最近、集団志向的な文化を持つ国々の国民の多くに特異的な遺伝子の変異が見られたというプレスリリースがありました)。 ミラーニューロンは島という脳領域を経由して感情を司る大脳辺縁系につながっていることから、言動を意識的に認知するより前に、無意識下で情動が呼び起こされるとのことです。ダマシオの仮想身体ループ・ソマティックマーカー仮説とミラーニューロンがここで繋がります。これまで認知科学の領域だけで説明されてきた模倣・学習という人間の能力について、今後は理性と感情の関係がより上手く整理されていくのでしょう。 ミラーニューロンの発見が、「生物学におけるDNAの発見に匹敵する」と称されるだけのことはあると思わされます。 (“脳と生命の科学を経営に活かす” / 2009-11-06)
自分を知りたければ、自分の周りの人を見てみること。自分が他人にしてほしいと思うことを、他人にしてあげること。他人の幸福を喜ぶことが、自分を幸福に導く。なんとなく真実らしく語られてきたこれらのことが、ミラーニューロンの発見によって科学的に裏付けられた。 誰かに会ったときは、まず自分から笑顔であいさつをしてみる。あなたの笑顔を見た相手の脳の中では、ミラーニューロンがあなたの表情をそっくりそのままシミュレーションして、相手は幸せな気分になるとともに、あなたに笑顔を返す。相手のこれらの行動は、ほとんど本人の意識的なコントロールが及ばないうちに行われる。笑顔を作っただけですでにいくぶん幸福感を感じていたあなたは、相手の笑顔を見てさらに幸福になる。 この逆のことも起こりえる。楽観的な気分で歩いていた友人が、たまたま道であなたに出会ったとする。あなたは、昨日起こったイヤな出来事が頭から離れず、苦虫をかみつぶしたような顔をしている。友人の脳の中でミラーニューロンがあなたのしかめっ面をシミュレーションする。友人もイヤな気分になって、眉間にしわを寄せた顔をあなたに向ける。その顔を見て、あなたはますます暗い気分になる。 簡単に言えば、ミラーニューロンはこんなことをするらしい。人間には他人の喜びを自分の喜びと感じたり、他人の痛みをあたかも自分の痛みであるかのように感じる能力があるのだ。周りの人を大切にする人は、自分を大切にする人でもある。この本は、科学的根拠に基づいて、そのことを実感させてくれる。 テレビで戦争でケガをした人たちの姿を目にすると、まるで自分が傷つけられたかのような痛みを感て、戦争に反対する気持ちが強くなる。レーダーに映るピンポイント爆撃の映像を見ただけでは感じられない痛みだ。戦場で多くの人が虫けらのように殺されていく場面を見た兵士が、頭の中で自分が殺される場面をシミュレーションしているとしたら、帰還兵たちの中にPTSDを発症する人が多くいることにも納得がいく。
(Izolde / 2009-08-12)
最初の100ページくらいはミラーニューロンの神経学的説明が多いので、少しとっつきにくいけれど、それを使って、以下のような疑問に答えていくあたりは圧巻。 人はどのように他者の表情を読むか。 他者に共感する能力はどのように育つのか。 自己認識や社会意識はどのように発達するか。 自閉症では何が問題なのか、 メディア上の暴力と暴力行動の相関性。 人は自分自身をどのくらい知っているか。 人が他人の感情を読むにあたって、今までの心理学の説明にあるような、難しい推論はしていないだろう、もっと自動的で簡単な方法で人の気持ちを読んでいるはずだ。著者は、この誰もが感じていた疑問に明快に答えてくれる。 私は知的障害者の施設で仕事をしたことがあるが、彼らの多くは、人の気持ちを読む力は普通だった。だから、人の気持ちを知るのに小難しい推論はいらないという著者の主張はとても良くわかる。しかし、人の気持ちを認識する能力が、そのまま対人能力と相関するという主張は受け入れられない。人の気持ちをよく読める知的障害者たちの対人能力は、多くの場合、優れてはいなかった。彼らは、自分が他人から好かれていないことを知っていた。しかし、どうしたら人に好かれるようになるのかを考えて、問題を解決することはできなかった。これは知的障害者に限ったことではないと思う。対人関係に問題がある人の多くは、人の気持ちが読めないわけではなく、問題解決ができないのだ。例えば、体臭恐怖などというのは、珍しくもないようだ。彼らは人間関係がうまくいかない理由を自分の体臭に求めているが、多くの場合、その理由付けは間違っていて、問題は解決しない。 ものごころついたとき、その人が他人に好かれていて、うまくやっていけていれば、たとえ知的障害があったとしても、成り行きでうまくやっていけるようだ。問題は、そうじゃなかったときだ。自分は人に好かれていない。さてどうしたらよいか。この問題は知的障害がなかったとしても、相当な難問なのではないだろうか。 (ともこ / 2010-01-16)
文句なく面白い内容だ。少し専門用語がでてくるが、適当に読み飛ばしても理解できる。ただ、残念なのはタイトルが原著と少し印象が違うことだ。それに日本人もかなり、この分野で活躍しているはずだが、本文に紹介が少ないのが気になる。英語力と押しの強さが必要なのだろう。 (佐伯ニューロ / 2009-08-30)
ミラーニューロン〜脳内でのモノマネ細胞 人は、相手の行動を見るだけでも脳内細胞の一部が活発化する。 それが、ミラーニューロンなわけですが そのミラーニューロンシステムなるものが人間の大事な部分 「共感」「自己意識」「言語」にとって重要だという事を唱えている。 モノマネをさせる事によって、ミラーニューロンを活性化させる事に繋がるらしい。 よって、子供の頃に行う「ままごと」なんかも情操教育上、とても良いんだと会得。 そんな目線で、興味深かったです。 (スケダチ / 2010-03-10)
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