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レビュー総評点:
12
1粒で2度おいしい本です。おいしいところ1、基本的なマクロ金融論の教科書的な知識が身につく。おいしいところ2、歴史における経済的なイベント(昭和恐慌、江戸時代の各改革、幕末期の金流出な、第一次大戦後のハイパーインフレなど)の意味を1の基礎知識をベースに理解可能となる。 この2のうち、昭和恐慌に関してはすでに、いわゆるリフレ派(本書の著者も含む)の面々の類書でさんざん書かれていることなので、特に目新らしさはない。一方、江戸時代のほうは、大岡越前の改鋳は武士からも特に批判されることはなかったのに、その後の改鋳はことごとく批判されており、その理由と必ずしも商人にとってはマイナスでない(批判を書くのはもっぱら知識階級である武士なので、なんとなくすべて悪いと考えてしまう。)ことなど、目から鱗の話が書いてあります。 という具合に間違いなくいい本なのですが、雑誌連載が元になっているため、(つまり1回ごとにそれなりのまとまりをもたないといけない制約がある。)おいしいところ1と2が同時進行になっていて、1についての理解のすっきり感に欠けるところ。(各章末のまとめがそれを補ってはいるが)また、歴史と経済の両方に興味があり、かつかなりまじめに金融論を勉強したいと考える読者層がどれくらいいるのかという点での本の販売戦略に疑問があるので、1つ星を減らしました。でも、値段の分の価値はあるので、みんなに読んでほしいと思う本です。(怪力乱神 / 2007-08-15)
積極的に執筆活動を行う若手経済学者の新刊である。著者は、日経・経済図書文化賞を受賞して話題になった「昭和恐慌の研究」(岩田規久男編)の共著者でもある。同書でなされた、近代経済学の立場から日本経済史を捉えなおすという視点を保ちつつ、テーマを貨幣理論に絞り、対象を入門者に絞った好著である。 明示はされていないが、基本的にはケインズ経済学を軸として、マネタリズム、マルクス経済学の貨幣観の基礎的な部分は網羅するよう配慮がなされている。その上で、貨幣数量説、為替レート、金融政策の3点を説明している。 各テーマについて説明された後、それを主として江戸時代から昭和初期の日本経済に当てはめるという構成になっているため、結果として各史実については時代が前後する。その為、日本史の知識が十分でないとやや頭がついていかない部分があった。但し、このような難しいテーマを入門者にも分かりやすく説明する著者の力量は相当なものであり、感心させられる。高校などで日本史をしっかりと勉強し、経済学の第一歩に踏み入れたい方などには特にお薦めである。(公認会計士P / 2007-08-05)
興味深い歴史的事象を取っ掛かりに 初心者でもすらすら読めるよう書いてはあるが なかなかどうして、無駄を削ぎ落とされ ハードな内容の詰まった良書である。 きちんと読みこなすには、経済学史や金融史の 基礎的な知識があった方がいいのだが、 本当に系統だった論理展開がされているので 丁寧に納得しながら読み進めていけば これ一冊で貨幣理論の考え方の基礎が 身についてしまうのではないだろうか。(アジアの息吹 / 2008-01-30)
非常に面白い本で、経済学に疎い私でも一気に読めた。 この本は、マネーから見た物価、為替レート、金融政策を歴史の流れで説明しています。マネーをただ数字で認識していた私に再度お金とはと考えさせられた良書だと思います。 ただ著者は、この本で暗に規制緩和政策と自由経済を薦めているようで、格差問題などで批判された小泉政権のことを意識して書かれているように感じるのは深読みでしょうか? しかし外国為替を行なっている人にとっては、為替の別の切り口が見えるかもしれません。 (屋島たぬき / 2007-11-16)
原始的貨幣数量説(貨幣の量がインフレ率を決める)、新古典派の貨幣数量説(貨幣の量と経済成長がインフレ率を決める)、から動学モデル(「期待」がインフレ率を決める)までを簡単に説明するのが第一部。そのモデルを為替取引に拡大するのが第二部。それで第三部は金融政策の歴史を扱う。全体を通じ、理論によらずに歴史的な事実から経済現象の原理を説き明かしているので、分かりやすい。歴史に興味のある人もおもしろく読めるでしょう。特に、第三部では菅仲(諸子百家の偉い人)なんかも出てきて雰囲気を盛り上げております。菅仲は2500年以上前に、「売りオペ」「買いオペ」をやっていたそうな。中国ってすごい。っていうか、金融政策は、それからあまりにも進歩していないのではないかと思える。仕方のないことなのだろうか。(唐沢 大 / 2009-01-12)
筆者は大学の准教授だから、おそらく大学1年生でも判るようにと意識して、マネー、価格、金融の基礎的な原理を判りやすく説いているのだろう。それでいて単なる入門テキストを超えた面白さが盛り込まれている点で秀逸な内容。何ごとも基礎は本質でもある。経済の分野でマネー、金融問題ほどジャンクなデマゴギーが世に溢れている分野はなかろう。マネーを理解することが私達にとってどうしてちょっと難しいのかについても、示唆的な洞察が語られている。現下の金融危機の中で、マネーと金融をスケープゴートに仕立て上げ、「利子を生み出す現在のマネーは搾取の道具だ」とか「そういう搾取の仕組みはロスチャイルドが作った」とかいうトンデモ論がやけに売れている今日、本書のようなきちんとした本を読んで目からうろこを落としてもらいたいものだ。トンデモ論に感化されて「目からうろこが落ちました」なんて言っている人々は、ますます分厚いうろこを装着しているだけなのだから。(Max-T / 2009-02-14)
本書では、歴史を題材として、貨幣と物価、為替、金融政策に関する標準的・実践的な経済学をベースに解説する。論理的にかつスッキリと整理されているので、読みやすい。歴史も、こうした見方ができるようになると、興味をかき立てる素材となるだろう。 最後の佐藤雅美氏との対談では、田沼意次の先進性について語られる。 (ラスカル / 2009-03-07)
「第一次世界大戦景気で沸いた日本経済は、 その終戦に伴うバブル崩壊(1920年恐慌)により深刻な不況に陥ります。 同時に日本経済は長期のデフレ状態に突入しました。・・・ 日本企業の問題点に不良債権処理、中国デフレ論など……当時の議論を追うと、 あたかも今週号の『週間ダイヤモンド』を読んでいるかのような錯覚にとらわれます」 政策レジームの「認識」がデフレを生む過程を学ばせていただきました。 「原始的な数量説が考える「マネーの量と物価間の比例的な関係」は、 近代社会に入り持続的な経済成長が始まるとその魅力を大きく減少させます。・・・ 現在の経済学が考えるマネーと物価の関係は・・・ 「現在から将来にかけてのマネーの量の予測が現在を決める」という理解に着地します」 原始的な貨幣数量説「物価はマネーの量に比例する」 =「現在の所得・マネーの量」が現在の物価を決める =「将来のことがわからない」という「将来予想(将来も現在と同じ)」を考慮したモデル 「投機アタックは本当に批判されるべき行為なのでしょうか? 私はそうは思いません。・・・自由主義経済が人々の自由な経済活動を基本とする限り、 「人々が儲けるチャンスをみすみす見逃すこと」を前提にした制度には欠陥がある……、 つまりは、「投機的アタックを起こすような状況を作り出す、政府の責任こそを問うべきである」と考えられます」(沈思黙考 / 2009-06-01)
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平均点:4.5
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