|
レビュー総評点:
12
読みはじめてすぐに感嘆したのは、「ちっとも古くない」ということです。 本書が発売された1977年を和暦になおすと昭和52年です。当時、ケイタイもインターネットも無いのはもちろん、ワープロもパソコンもまだ発売されていませんでした。紙媒体で手に入れた情報を保存、整理しようと思えばスクラップブックを使うのが当たり前で、やっとコピー機が普及してきたころです。 この本が古さを感じさせない理由は、最近読んだ本と共通する内容をいくつも見つけたからです。 たとえば、外山氏は睡眠の効用を次のように述べています。 眠りは肉体の疲れを休めるのはもちろんだが、頭の中の整理をする 時間でもある。目をさましている間に入ってきたおびただしい情報、 刺戟が仕分けされて、当面不要なものは忘れるルートへ載せられる。 茂木健一郎さんの本で同じことを知ったのはつい最近でしたが、脳科学が注目を集めていない30年前に、サラッと教えてくれていたのです。 茂木健一郎さんつながりでいうと、「セレンディピティー」という、茂木さんがよく使う言葉も出ていました。当時から科学者には親しまれている日常語のひとつだとか。 次は、散歩の効用について。 散歩という言葉はぶらりぶらりのそぞろ歩きを連想させるが、それ ではカタルシスはおこりにくい。相当早足に歩く。はじめのうち頭 はさっぱりしていないが、20分、30分と歩きつづけていると、霧が はれるように、頭をとりまいていたモヤモヤが消えていく。 おお! 『脳が悦ぶと人は必ず成功する』で佐藤富雄さんが言ってたことと同じじゃありませんか。 2年前に出した同じ外山氏の復刻版『思考の整理学』は50万部のベストセラーになったそうです。 いろんな気づきを与えてくれる今度の『知的創造のヒント』も、きっと多くの人に支持されるでしょう。(くろやぎ / 2008-11-02)
【主要目次】1.忘却のさまざま、2.自力と他力、3.着想、4.比喩、5.すばらしきかな雑談、6.出家的、7.あえて読みさす、8.書くスタイル、9.酒をつくる、10.メモ、11.ノート、12.頭の中の料理法 「思考の整理学 (ちくま文庫)」を通読された読者の方には既にお馴染みの話題(アイディアの作り方、発想を生むための習慣、常に心構えを柔軟にしておくコツ、忘却の効用、雑談のすすめ、メモをとる是非、本の読み方、など)が、知的センスあふれる文章で綴られています。(「思考の整理学」を読んでいない方/読み切れなかった方にオススメできそうです) アイディアの作り方を"酒造"で例えたり、編集を"カクテル作り"で例えたりする【比喩(アナロジー)のセンス】は見習いたい処です。(その意味では、書評は"カクテル"ですね(^_^);;) 本書の内容は「アイデアのつくり方」・「アイデアのヒント」と内容的に共通する処が多いので、これらの本も併せて読むと自分の"創造力"を高めるヒントが得られることでしょう。(併せて「思考のレッスン (文春文庫)」・「「知」のソフトウェア (講談社現代新書)」も面白いです) ここで列挙した本は"元祖Lifehack本"とも言えるでしょう。あとは現代風/自己流にアレンジすれば良いでしょう。私の場合、紙のメモをテキストファイル化し、Google desktop/デスクトップ検索/Spotlight(or grep)を活用して「ネタを思い出せる準備」を整えています。ネタとネタの繋がり(ストーリー)が頭に残っていれば検索で芋づる的にネタを思い出せます。(ゴルゴ十三 / 2008-10-15)
「コンピュータがあらわれて、知識の記憶や蓄積が人間の独占ではなくなった」 人間らしい活動の核である「考える」ということを考える本である。英文学者らしく、平易だが論理的な文章に加え、ところどころ含蓄のある比喩をちりばめながら、「知的創造のヒント」について語っている。 たとえば、創造を行うということは新しい酒を作ること、創造のためのヒントはその酵母にあたる、カクテルを作るということは創造のバリエーションを生むこと、としている。また、大樹は遠目から見るにはいいけれど、その下は影になっていて他の植物が育ちにくい、という例えは、いろいろなところで使えそうだ。 知識を詰め込まれただけの人間は誰かに引っ張ってもらえないと飛べず、やがて落ちてくるグライダーのようなもの。我々はエンジン付き飛行機、つまり自分で飛べるようにならなくてはらないという主張も、わかりやすくて面白い。 考えるタイミングと時間、多少拘束のある環境の方がよい理由、メモの取り方やまとめ方、何かを書くときの工夫、本との付き合い方、他の人との交わり方とそこからのヒントの取り出し方などについて語っている。思考論として読むとちょっと物足りないが、半分エッセイとして読めば楽しく読める一冊である。 以前新書でベストセラーになったものを新しく文庫で出版し直したもの。あとがきによると、文庫化に際して、ほとんど手直しはしなかったとのことだ。実際、このままでも全体的に特に古くは感じない。ただ、「英語の"レコード"」というのは、せめてMP3ファイルとかCDに修正しておいた方がよかったと思う。あと、「朝飯前」の理論は、個人的には大いにうなずける考えではあるけれど、これを実践することはお勧めしない。 尚、この著者の本は内容に重複が多く見られる場合がある。すでにどれか1冊を読んだ方は、一度中身を確認してから、購入された方が良いと思われる。(FreshAir / 2008-11-10)
「思考の整理学」、「知的創造のヒント」は元々が別の出版社でしたから良かったのでしょうが、「ちくま文庫」、「ちくま学芸文庫」とはいえ、90%以上同じ記述の本を同じ出版社から出す著者の神経及び出版社に対して理解に苦しみます。 また、情報や資料を使って『理論的』に思考する方法ではなく、「アイディア・ひらめき」のための個人的体験談です。分野が異なれば使えない点は注意すべきです。(こうちゃん / 2009-06-08)
現代は情報化社会と呼ばれ,多種多様な情報が巷に溢れ,誰でも簡単に情報を得ることができる.しかし,情報が氾濫している状態というのは,知的創造に関しては,良くないことだと思われている.本書では知的創造を行うためのヒントが,主に著者の経験を基にまとめられている. 知的創造で重要なことは,まず自分で考えること,それから意識的な忘却,専門外の人との会話,日常から離脱などという.また中国の宋時代の詩人・欧陽修の「妙案の浮かぶ優れた場所は,馬上,枕上,厠上の三上である」という言葉を引用し,一心不乱に集中しているときよりも,ふとしたときにアイディアが生み出されるという.これは脳科学者の茂木健一郎氏が『脳の側頭葉に蓄えられた記憶や経験が,前頭葉の方針に従って編集され,新しいものが生み出されることが「創造」である』ということに通じる. 前・杉並区立和田中学校長の藤原和博氏は,「社会を生き抜くために必要な力は,学校で教わる通常の学力(情報処理力)ではなく,情報編集力(多種多様な情報をつなぎ合わせて,編集する力)である」と主張している.この情報編集力というのは,本書で述べられている知的創造に通じる概念だと思う. また本書では中絶読書という目から鱗の読書法が紹介されている.これは非常に興味がある本を途中で読むのを止めることである.これは興味深い本を最後まで読んでしまうと,著者の意見に左右されてしまい,創造の妨げになりうるということである. 本書は特にクリエイティブな仕事をしている人にぜひ読んでもらいたい.(オジー / 2009-02-16)
外山氏の「知的創造のヒント」は内容からするとかなり前に書かれて いる事だと思います。ですが、現在読んでも古臭くありませんし、 確かに納得できる部分も多々あります。 この本に、これこれをこうしなさい!とは書かれていません。 それ以前の、メモを取るとはどのようなことか? 手帳の使い方とはどのようにすればいのか? など、自分なりに考える良いヒントになると思います。 現在の情報が溢れ返っている社会で、物事の考え方とか いくらでもHOWTO本など出ていますが、 自分で考える事を大切にしている貴重な本だと思います。 考えるとは何かを考えて欲しいと思います。 (なつくさ / 2010-01-12)
知的創造を酒造に例え、じっくり寝かせて置くと、寝ている間に発酵して突然インスピレーションが働くことある。今の学校ではカクテルの作り方は教えているが、ベースの酒の作り方は教えないので、大学で論文を書けとか自由にテーマを見つけろ、と言われて戸惑う若者が多い。などと、著者が思いつくままに語ったエッセイ。 頭に知識を入れようとすると、その知識を入れる頭が既に溢れている場合もある。寝たり、酒を飲んだりして、嫌な事や古い知識を捨てることも肝要などとニヤリとする箇所もある。まあ、こんな本もあったなと寝かせておくにちょうど良い。(じゃが〜 / 2009-10-15)
直接形には結びつかないが、読んでいると自分の創造力の底上げをしてくれているような本がある。著者の作品にはそのような本が多々あるので今回も底上げを期待して購入、通読 読んでみると、今回も期待通りの本だった。出家的であることの創造性、メタノートを作成しての自分の考えの熟成法など、創造的な活動をするときに非常に役に立つことが多く記載されている。やはり、読書についての姿勢は感服ものである。読書中の脱線は知的エネルギーを多々発生させるので、そのエネルギーを頭の中で自分の考えに対してフィルターをかけることで創造力を発揮するのはいい手法だと思いました。 物を考える、アイデアを創造するという行為に対しての底力を上げてくれる本だと思います。(sickboy / 2009-04-09)
レビュー数 8
[amazonでレビューを書く]
平均点:3.5
|