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複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線 / レビュー総評点:118
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ASIN:4794213859 / 売上順位:131072
草思社(2005-02-25)マーク・ブキャナン/翻訳:阪本 芳久 -(中古:¥ 799)
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レビュー総評点:
118
一読の価値あり
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電力網、インターネット、人間の社会的繋がり、航空網、脳に生態系、このような全く多様な対象に、驚くほどの一致性が見られるというのは実に驚きだ。どれも、各要素間の隔たりが、要素数に比べて、とてつもなく小さい。例えば、60憶以上いる人間同士でも、6,7人の知人を渡り歩けば、繋がっているなど。熱力学や統計学が登場して、個々の要素の振る舞いは分からなくても、ある側面の特徴だけならば、より複雑な対象(例えば気体とか)を厳密に研究することが出来るようになったが、この本で紹介されているのは、それに良く似ている。まだ、応用範囲は未知数だが、本書で言及されている現象だけ見ても、途方もなく応用範囲は大きいように思う。今後の展開が実に楽しみだ。
この本で星を5つにしなかったのは、ちょっと内容に比べて長すぎるからだ。ほぼ同じ情報量でももう少しコンパクトに出来たように思う。(walkingdictionary / 2007-05-06)
「歴史の方程式」(原題:Ubiquity)の著者による複雑ネットワークの一般向けの解説本です。(原題はNEXUS: Small worlds and the Groundbreaking Science of Networks) 前著と同様、構成する要素が違うのに結果として似たような法則・パターン(scale-free/べき乗則)を満たす例が、この世の中にそこら中にある(物理学~生物学~医学~社会学~経済学~政治学)、ということを(再)認識するのに良い本です。構成要素の個性を無視しても複雑ネットワークという骨組みだけで色々と説明出来つつあるという処は、同じく組織的構造の変化(相転移)を扱う臨界現象の理論と類似点が結構あることが論じられており、ランダウ理論(及びその拡張版)も勉強し直さんとイカンなあ、と認識させられました。
「複雑ネットワークって何でしょう?」という方は、この本から手始めに読まれても安心して読めます。バラバシの本(「新ネットワーク思考」)はアルバート・バラバシ達のsmall worldモデル("貴族主義的モデル":成長する複雑ネットワークで、ハブ(コネクター)の存在が特徴)に思い入れがあるように読めますし、ワッツの本(「スモールワールド・ネットワーク」)はワッツ・ストロガッツのsmall worldモデル("平等主義的モデル":規則的ネットワークにランダムネットワーク的なバイパスを追加するのが特徴)に思い入れがあるように読めます。(そりゃ、自身のモデルに拘りがあるのは研究者として当然ですが) そういう意味では、このブキャナンの本は、ある意味、両者のモデルを客観的に眺める余裕が感じられ、両方を分け隔てなく説明しているように読めました。 僕としては、既にバラバシの本等を読んだこともあり、結構重複が多いと思った処もありましたが、バラバシ型の成長する複雑ネットワークモデルが、ワッツ型の静的な複雑ネットワークに移行する可能性を論じた箇所など、バラバシとは違ったメッセージを受け取る箇所も結構あり、参考になりました。 本書の最後には、引用文献はちゃんと引用され、注釈もキチンと和訳されているので、より進んだ勉強の際に参考になると思います。(ゴルゴ十三 / 2005-03-19)
スモールワールドネットワークとはどういう概念で、どういったところで、
これが見られるのか(脳細胞・インターネット・食物連鎖・・・など)、 だけを期待して読めば、とても面白い。 この本は学者ではなく、サイエンスライターが書いているので 文章も読みやすいし、分かりやすい。でも、今までに、 『新ネットワーク思考』とか、『スモール・ワールド・ネットワーク』 などで書かれているものを、たんにまとめただけとも言える。 残念ながら新しい内容はあまりない。この考え方を 使うと、この分野のこういった現象が説明できるとか、 多少なりとも新しいことを期待して読んだのでちょっと期待はずれでした。 ということで少し辛口の評価です。(i-book / 2005-06-04)
スモールワールド・ネットワークの基本アイディアそのものは、本当に単純なものなんですね。数学的に厳密に展開すると、それなりに難しくなるらしいですけど、この本は数式なんて一切ないし、説明だって非常に平易。基本アイディアを提示した後は、「ホラ、これもスモールワールド、これもスモールワールド、これもスモールワールド…」っていう感じで列挙していく感じ。ちょっと贅肉が多めで、後半に行くと正直言って少々飽きたところもあるけど、ま、ポイントだけまとめられたのでは初心者には呑み込みにくいんで、こんな風に砂糖ごろもをつけてもらったのは、イメージを膨らませる上でありがたかった。
著者が研究者ではなく、「ネイチャー」編集部出身のサイエンスライターであることも、いろんな立場を満遍なく取り上げて、噛み砕いて説明する入門書には有利だったんでしょうね。他の評者の方も触れておられるとおり、バラバシとワッツを調停するようなくだりは、「ヘェ…ナルホドね」と思った(まだ両方とも積ん読状態ですが…)。 ただし、私が一番関心を持っていた脳の問題は、「脳もスモールワールドですよ~、詳しくはまだ不明ですが」で終わっていて、かなり肩透かしだったし、言語の問題にいたっては見せ金的にしか触れられないので、ガッカリ。 つけたしですが、実はネットワーク科学って、ネーミングが何だか軽くって、長い間食わず嫌いだったんですよね。でも今回この本を読んでみて、もっと早く興味を持てばよかったと反省しました。昔の思想畑で「交通」だとか「リゾーム」だとか「散種」だとか「遭遇」だとか、思わせぶりに使われていたコトバに、スッキリした形式性と、具体性のある分類方針が与えられたような気がします。(モワノンプリュ / 2005-04-02)
自然界の不思議な現象や人間社会の複雑な問題なども、”つながり”という新しい視点からアプローチしていくと、こんな法則で動いていたのかと、新しい知見を得て感激した。それぞれの研究者が、どのようなプロセスを経てこのような法則を見出すに至ったかや、モデルの前提の違いがどのような結果をもたらしたかなど興味深い記述に溢れ、時には図解もいれて非常に理解しやすかった。ネットワーク科学のダイナミズムをひしひしと感じる本で、是非一見をすすめたい。(上野昌凞 / 2005-03-12)
SNS GreeのGreeという名前はたしか
世界中の誰とも6人の友人を介してつながる というネットワーク理論の6 Degreesを下敷きにしていたと思う。 MIXIのマイミクをたどっていったら近しい友人にたどり着くことも あるかもしれない。 そういったことを学問としてやっているのがネットワーク科学です。 このネットワーク科学は、人間社会、生態系、脳細胞などなど まったく異なる分野で、いろいろな事象を説明できてしまうのです。 しかし、本は厚いですが、内容は難しく書かれているわけでは ありません。非常に読みやすい。知的好奇心を満たしてくれる本です。(マ / 2006-09-05)
副題は「ネットワーク科学の最前線」であるが、数式や難解な論理が展開されるわけではない。単純化された事例と具体的な調査からの類推で、大規模なネットワークの持つ意外な特性(この意外性は「スモールワールド」と言う言葉に象徴される)について平易な言葉で説明してくれる。
取り上げられるネットワークは、インターネットにとどまらず、太古からの社会的な人的ネットワークであったり、ホタルの生態、脳のニューロン構造、食物連鎖を構成する生物、そして経済現象であったりする。これらのネットワークの成り立ちと内部構造の分析、コミュニケーション方法から判明した知見を解説してくれるのだが、喩えやデータが分かりやすいので非常に楽しく読める。 結果的には単純な法則はいくつかあるのだが、取り扱う対象から見れば十分シンプルで納得できる回答である。 本書で得られる知識はコンピュータや理工系の方よりも、むしろ人文科学系で有効であると思える。また大規模な未知の現象を目の前にして、それを解析する努力と、全体の挙動から原理原則を見いだす姿勢こそが「科学」という感じで、精神的にも得るものがある。 (まる・ち / 2006-03-26)
1990年代は、情報サイエンスとアルゴリズムの科学が紹介され、カオスとフラクタルが一世を風靡し、心理学や経営学の分野でもで新たな進歩があり、「すごいっ」と興奮した動きがあった。
それから、しばし、サイエンスで、「すごい」と思えたことはなかったが、「ネットワーク科学」の視点は、私には斬新であり、ひさしぶりに「やられた」と思った。 同類の「ネットワーク科学」の紹介の本の中でも、快作だと思う。 (半蔵 / 2007-02-03)
我々がなにげなく体験している日々の出来事や社会的現象などをこのような視点・観点で眺めたことはなかったのです。
この理論は今まで聞いたことはありましたが、読んだことはありませんでした。 ケビンベーコンしかり、川の流れしかり、インターネットしかり、AIDSしかりです。 数学そのものは難しくてよくわからないのですが、難しい数式などが出てこないので、違和感抵抗感はありません。 もちろん理論的な考え方は吸収して知識としても満足ですが、それよりもなによりも、このように世界をとらまえていく視点はとても私にとって有益かつ豊かなものであると感じました。 自分自身がIT・ネットワークに関連した仕事をしているので、自分が日々考えいることと、この理論との接点も感じ、これから自分の引き出しになったような気がしています。 次は別のネットワーク科学を読んでみようと思います。 (パタ / 2006-02-24)
全部のアメリカ人が、間に6人挟むと全員つながる、っていう話は昔本で読んで聞いたことがあった。で、その発展系がこれ。
人間のつながり方というのは、ランダムでも、規則的でもなくて、その中間的なかたちをとっている。当たり前。けど、それっていうのはいろいろなところで見られるものらしい。河とその支流、蛍の同時発光、電力系統、脳の仕組み、インターネット、富の分配、エイズの広がり、生態系、、、とか。どれもこれも、複雑そうに見えるものばかり。数学的に言うと、どれにも「べき乗則」というが見られて、例えばインターネットのウェブサイトで言うと、「リンク数が二倍になると、そのリンク数を持つウェブサイト数は五分の一になる」。あと、「資産規模が二倍になると、対応する資産家の人数は一定割合(二分の一とか)で減る」とか。で、こういう研究をしているのはほとんど数学者か物理学者なんだって。社会学とか生態学とか経済学とかとごちゃまぜになっていく感じがなんとなく心地よい。 ニューロンのはたらきが分かれば、脳のはたらきが分かるわけではない。水分子の構造が分かれば、水のことが分かるわけではない。あたりまえ。で、改めて、いろいろな要素間にある「関係」ということが、何かについて考えるときに重要だということが、分かる。(唐沢 大 / 2005-10-19)
「弱い絆」が大事
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2002年に原書が発行されている。
この世界の有名人(ダンカン・ワッツ、スティーブン・ストロガッツ(ともにコーネル大)、スタンレー・ミルグラム(ハーバード大)、マーク・グラノヴェター(ジョン・ホプキンズ大))が総出演する。 本書のキーワードは結構多い。「スモールワールド」(隔たりは小さいが高度にクラスター化した状態)、「隔たり次数」、「クラスター」(友達の友達はまた友達状態)、「弱い絆」、「コネクター」辺りか。、 内容について一言でいうと、科学は、無秩序と秩序の間(言い換えれば規則性のあるものとないもの)の扱いに苦労してきた。ワッツとストロガッツが、ネットワークの構造について、「スモール・ワールド」という一つの扱い方を提示した。これにより意図されず形成された数々の現象や構造(インターネット、WWW、電力網、脳の情報伝達リンクなど)が、スモール・ワールドとなっていることが分かった。 スモール・ワールドの特徴の一つである情報伝達の同時性や遠達性は、情報が有益な場合はよいが、それが病原菌であった場合にはネガティブな面が強くなる。また、ランダムな部分的な損傷には強いが、ハブとなっている部分を意図的に破壊されると脆弱な面があるといったこともある。 私生活や仕事への応用で考えると、「(社会の)架け橋は弱い絆である。・・弱い絆は社会のネットワークを縫い合わせるうえで不可欠な紐帯の役割をはたしている・・。弱い絆は社会のショートカットで、・・」とある(グラノヴェター)ように、強い絆(家族、親友、同僚)は、自らが新たな情報やネットワークと知り合うにはあまり役に立たず、むしろ「弱い絆」を大事にすべきという示唆を含んでいるように思われる。(lexusboy / 2007-05-02)
「なぜそれは起こるのか?」という本を昔々読んだ。シェルドレイクの共時性についての本。この本に書かれている、ネットワーク理論というものは、論と名づければ「ネットワーク理論」という風味になるのだろうが。私のように組織運用をしているものにとってみれば。「なるほど、おもろい本」また、商売をしている私にとってみれば「なるほど・・おもろい本」実践的検証をしてみた・・「確かにそのようになるようだ」という。しかし・・「なぜそうなるか?」は誰も教えてはくれない。知りたいのは「なぜそのようになるのか?」という根本原理のはず。この現象世界というものは、私達に何を示唆しているのか。あらゆる事象の中に法則性が「こそこそ」とささやくけども。それを様々名づけて様々な角度で皆が色々なところで色々な学問を起こし論で武装するけども。その本質というのは一つの事じゃないかと思う・・などと・・思考錯誤しつつ、商売や組織運用ができる。「おもろい・・ただおもろい本」の一冊(がっかり太郎 / 2006-09-01)
ジップの法則、スモールワールド現象、6次の隔たり、カスケード現象など最近のネットワーク科学の動向を紹介している啓蒙書。
本書のレビューには辛口で、星の数が少ないものが多いようだが、私はよいのではないかと思う。原著者はサイエンスライターであり、ネットワークの科学を分かりやすく説明してくれていると思う。こなれた分かりやすい文章で評価できる。 ものたりないと感じる方もおられるだろう。そういう人たちには不満もあろうが、そういう人たちは、単にこの本の購読者として想定している知識レベルより深い知識を持っているのだから自力で最先端の論文を読めば良いだろう。 そういう本なのだから。(3流心理学者 / 2005-06-17)
複雑系の科学における最新の動向を科学ジャーナリストが一般読者にわかりやすく伝える好著。興味尽きない話題に満ちているが、捕鯨問題に関する部分だけは最低だ。
222ページで日本の鯨肉加工工場経営者の発言「捕鯨が禁じられるまで、クジラはわれわれと共存していた。いまでは捕鯨が禁止されているためにミンククジラはやりたい放題で、こっちのほうは水揚げが減りっぱなしさ」に対して、「これは現実を根底からひっくり返して初めて言えることだ。(中略)科学的に得られた証拠は、クジラではなく漁業こそ、世界的な規模での海洋生態系荒廃の原因であることを、否定しようもないほどはっきりと示しているからである」と書いているが、日本の捕鯨業者は「世界的な規模での海洋生態系荒廃」問題などには一言も触れていないし、そんなことを問題にするはずもない(おそらく著者がいうとおり、捕鯨とはほとんど関係ないのだろうから)。 次のページには「ひとまず彼ら(=日本)の意見に同意するとしよう。さらに、美味な魚をもう少し余計に捕ろうという目論見から、クジラを撲滅することにも進んで賛成したとしよう。さて、クジラを完全に撲滅すれば、水産業者の漁獲量は跳ね上がるだろうか?」とある。日本人がいつ「クジラを完全に撲滅するべきだ(撲滅したい)」などと主張したのか。 まったく、クジラのこととなると欧米人はどうして皆、こうも理性を失うのだろう。本書の著者にもどこぞの環境保護団体から金が流れているのではないか、と疑いたくなるほどだ。(酔葉来(ヨッパライ)3号 / 2005-06-04)
「ネットワーク科学は面白い!」と思わせる読み物です。スモール・ワールドをキーワードに友人関係、インターネット、貧富の差、エイズの拡大・・・とあらゆる分野のネットワークから普遍的な特徴が読み取れます。物質や物事の要素をとことん突き止めていく還元主義の視点から、その関係性(文脈?)から全体を把握するという複雑適応系の視点へと発展していく様が直感的であり非常に興味深いです。(tamadam / 2005-03-31)
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