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レビュー総評点:
177
良薬は口に苦し
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副題に「H-IIA失敗の真相」とありますが、先代のH-IIロケットや気象衛星「ひまわり」、火星探査衛星「のぞみ」など多くの、日本のロケットや人工衛星が登場します。それらにまつわるトラブルや失敗、現場の人たちの苦労などが詳細につづられており、いろいろ勉強になりました。日本の宇宙開発がどのような苦境の中で進められているのかを知るには良い本だと思います。 筆者がジャーナリストのためか、文体はややきつめです。ただ、単なる攻撃ではなく、現状を何とかして、日本の宇宙開発に元気になってほしい、という想いが、終章に込められてました。読む人によっては口には苦いかもしれませんが、間違いなく良薬でしょう。( / 2004-02-10)
中国の有人宇宙船実験が成功したとき、マッサージの先生(=中国人)はとても興奮していた。 「中国は子供の頃から理系の教育を重要視しているし、コンピュータの訓練も子供の頃から始めている。 その成果が現れるのは、当然だ。」と鼻高々である。いいなぁ。 日本のロケットはちっとも上がらない。 気象衛星もなくなって海外の情報だけに頼るようになって、天気予報の精度も下がった。 (2つの気象衛星の天気図には結構差があったので、どちらか一つになったら予報が当たらないのも無理ない。) 「技術の開発どころか維持すらできない組織」のせいで、日本のロケット打上げは失敗ばかりしているのだ、という結論。 民間の技術結集により軌道に乗りかけていた組織に、天下りの役人を投入。 5年で1サイクルのプロジェクトのメンバーも、2年に1回の人事で総入れ替え。 一向に成果が上がらなくなったため、慌てて理系の人間を投入したが、荒れきった技術畑の再生には遠い。 基本形の実験が成功していないのに、人間関係を配慮して余剰仕様を追加して、ますます故障原因が不明確になる。 おまけに事なかれ主義が充満し、不具合はできるだけ後に送る。自分の任期中に問題にならないことを祈りつつ。 ロケットのような精密機械でなくても、通常の業務システムでもこれじゃあリリースできないでしょ。 巻末近く、ロケット関係の官庁の責任者の一覧が最終学歴を添えて掲載されている。 中国のそれは理系大学を出た研究者ばかりだが、日本のは適性よりも政治家の「フルーツバスケット」の席のひとつとして使われているとしか思えない名前が列挙されている。 象徴的である。 5年前に2年約束で種子島に単身赴任していったエンジニアの友人は、帰郷できないまま昨年離婚した。 他人ごととは思えず、痛い。(garbanzo / 2004-08-02)
技術力はきっとあるのに、なぜか成功しない日本のロケット…。常々、純粋に「なぜ?」と思っていた。今や世界に誇る技術をもっているのに、なんとなく「つめが甘いのか?」と思わせる現状を、不思議な面持ちでながめていたのだが、この本を読んでなんとなくわかってきた。単に技術力だけでは現実的問題が、この本には書かれている。その裏に、政治力、派閥が潜んでいるという点も興味深い。この本の面白い点は、いままでのように、どの技術が足りないのか?という観点ではなく、全体の組織力として何が足りないのか?というもっと大きな見方でとらえているところだろう。普通の会社だって、プロジェクト管理がちゃんと実施されないと、どんなに金をつぎこんでも失敗するもんなあ。この本をよんで、みずほ銀行ATMのあのシステムダウンを思い出したのは自分だけだろうか……?ロケット本は、たくさんあるけれど、たまにはこういう違う観点からも考えてみるべきだと思う。失敗するのが悪いわけではなく、そうなってしまう原因を認識しているか否かが問題だろう。つくづく、現場の技術者は歯がゆい思いをしていることだろう。彼らは全力で力を注いでいても、叶わぬ現状がここには描かれている。( / )
結局、宇宙開発に限らず、今の日本の先の見えない状況を作り出したのは、あまりにも幼い日本の官僚組織と政治家だったのかなというのが感想。 現場であるメーカーと、中間管理職であるJAXAはそれなりにがんばっていると思います。だけど、それをマネージメントする政治がこれでは、成果はなかなか上がらないのではないでしょうか。 私たちにできるのは、すこしでもたくさんの声を上げ、気づかない政治に気づかせるよう努力していくことだと思います。 【子供を退屈させるべきでない】 科学技術で夢を描けないなら、何を以て子供たちに夢をみせますか?( / )
バブル崩壊後低迷し続ける日本にも、薄日が差してきたと言われている。 小泉首相はそれを内閣が推進した構造改革の結果だと称している。しかし 実際はというと、好調部門の伸びを阻害しているのが公的機関であること が、国際競争力ランキングにより明白な事実として晒されている。 そういう、まともな日本人なら薄々感じてたことを、丹念な事実の分析と 理路整然たる論理により、みごとに証明しているのがこの本である。 日本人は、隣国の成功に対し疑問を呈したり妬み嫉みをする暇がある のなら、この本を読み、自分の内にある「お上意識」から直ちに脱却を すべきである。(えいてぃーん / 2004-02-10)
科学技術も科学技術政策になると、とたんに政治家や役人がたかってしゃぶりつくして腐らせる。 厚生労働省の試験研究機関の職員が書いた『ホージンノススメ-特殊法人職員の優雅で怠惰な生活日誌』もリアルでおすすめ。(種子島 / 2004-02-24)
景気拡大といっても最近元気の無い日本社会。それはあらゆる場面において日本が徐々に没落しているのを皆がなんとなく感じているからではないだろうか。 本書は日本のロケットの問題点について様々な要素について分析している。通常本を読むと一つは個人的な批判要素がでてくるものだが、本書の指摘について私は全て賛成だ。特に、政治家に理系要素がないことについては、もっと社会的問題になって良いと思う。(よく官僚批判されるが日本の本当の問題は政治家が無能なことだ)また、国家の財政が逼迫しているときではあるがそれでも、現在の日本がロケットに金をかけないのは著者の指摘通り大きな問題だ。例えば(これは本書に書いていないが)月には資源が多く眠っているといわれるが日本のロケットが今のままではアメリカ、中国やヨーロッパに完全に月資源を独占されてしまう。 他にも論点はありすぎるほどあるが、本書はロケットを描きながらも現在の日本の問題を全て描いている。今こそ本書を読んで各自が日本をよくすべく立ち上がるべきだ!(karenina / 2007-02-01)
国産ロケットが落ちる理由は、十分には分からなかった。 いろいろな原因、理由、いきさつがあることは分かった。 最初の技術が、アメリカとの提携で、最初の試行錯誤を省略しているためではないかという推測は分かった。 他の分野では、技術導入して、それをよりよくしてきた分野が多い。 ロケットは実験が大掛かりなので、まだ十分実験できていないという理解でいいかもしれない。 (kaizen / 2010-02-06)
日本は大国ではない
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著者は中国の有人宇宙飛行の成功にかなりショックを受けていることがよくわかる。日本もまだやれる!との著者の熱い思いが伝わってくる。 が、現実をよく分析してみるとそれはむりというものであろう。有人飛行はソビエト、アメリカ、中国がなしえたが、これらの国はいずれも大国であり、その一国で自国に必要な人材、物資はほとんどすべてまかなえる国である。他国に弱みを握らせないし、そもそも弱を作らない国である。(ただしロシアは異なる) 一方我が日本はどうであろう、食料にしても、物を作るのに必要な原料にしても自国でまかなうことはまったく不可能な国なのである。そのような国に、人類の将来をかけた大事業が可能であろうか?はっきりいって、宗主国たるアメリカが、日本も有人飛行を実現してアメリカも含めた大国達と良い意味での競争をし、人類にとってより良いシステムを開発しようと持ちかけない限り不可能であると私は考える。 著者には辛いだろうがそれが今日の事大主義に陥った日本の真の姿であると思う。(arik0 / 2004-04-29)
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