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レビュー総評点:
58
まさかの再リリースに、飛びつくように購入しました。20年近く前に観て以来、ずっと心に残っていた映画です。 アーノルドを中心に描かれるゲイの世界。恋人を愛するがゆえに純真にもなれるし、傷つくし、苦しむ。当然だけど、「人を愛する」ということに性別なんて関係ないんだ、と改めて感じさせられます。そして、そんなアーノルドを愛しているのに建前ばかりが口をつき、いつも喧嘩になってしまう母親との関係。 とても真面目に、そして随所にユーモアを交えて描かれたこの映画を観終えた後は、温かいものが感じられるはずです。また随所に流れる「トーチソング」が哀愁を誘います。 ぜひ観ていただきたいオススメの映画です。 (あきら / 2008-07-29)
と言いたくなる作品。 これは買って損は絶対無いと断言できる作品です。 今日現在までの評価がオール星五つ・・・普通の場合ならそれだけで へそ曲がりなあら捜しをしたくなるものだが、この映画に関しては それが不可能。 かなり昔のことだが、何も知らずレンタルでこの映画のVHSをナニゲに借りた 自分は本当に幸運だったと思う。 ローバジェットで製作され、(製作当時としては)たいした客寄せスターも出演していない。 派手で金のかかった演出もセットもイフェクトもない。 耽美的でも、ショッキングでもなく、斬新で特別な映像美があるわけでもない。 だが、この映画は80年代から今日までの私のランキングのベストワンを動かない。 それは、やはり脚本と演出、製作、主演のハーヴェイの実力とキャラの力が大きい。 しかし、出てくる役者のキャラが全て立ち、またその一人ひとりの演技水準が 非常に高い。 ショーの進行役の女性や、アーノルドの同僚など、ストーリーの流れとは 直接関係のないキャラでさえ、存在感が抜群である。 (これはショウビズの世界の特色かもしれないが) この映画を見ているだけで、日本のショウビズと米国のそれのプロとしての 実力の濃さが桁違いなのだとひしひしと感じる。 (とくにピラミッドを5等分した場合の最上部2段階未満から下がって、 中間部ぐらいまでの層を構成するプロの実力と人口の厚さはものすごいのではないか と想像させられる) 全てのセリフとシーンがエンターティメントとして立ち、しかも説得力が抜群である。 全編名シーンなどというと入れ込みすぎかもしれないが、 実際これほどに濃くていいのかと思うほど中だるみが無い。 第一の要因は、ハーヴェイの脚本がダントツにいいということだと思うのだが、 これほどセリフの完成度が高い作品を見た事がない。 どのシーンをとってもウイットがあり、ユーモアがあり、真実があり、おしゃれだ。 ことにアーノルドと母親の口げんかのシーン。 あれは、日本で言うと「寅次郎のアリア」のごとき芸術品だと思う。 導入部の、楽屋で化粧中のアーノルドの独白シーンから、エンタメ性抜群の ステージ、三部構成のストーリーのそれぞれの小さなエピソード、 微妙なダブルデート、2世代の親子関係、アクシデント・・・とあまり体験できない シチュエーションなのに、個人的に体験するありきたりの出来事と感情に 全てがオーバーラップして共振し、静かなエンディングに向かうまで まるで見ている側がアーノルドの人生を生きてきたような感覚にとらわれる。 音楽、セリフ、エピソードの繊細さと面白さ、小道具の使い方・・・引き込まれて 引き込まれて・・・もう言う事がない。 そしてまた、映像のほうが適度にラフなテクスチャーを持っていて、 それが非常に良い。 実際は、ゲイの人権など考えたこともない時期に見たもので、 ゲイに対するこちら側の認識を考えさせられたものだが、 個人的にはこの映画は単にそれだけのものではない。 ちょっと大げさかもしれないが、 あらゆる個性を持って、自分自身を生きている人に持つ 個人レベルの不理解や偏見を取り払えば、全て真剣に生きている 人たちは愛おしいものだという事に気付くきっかけとなった。 フレームを変えることにより、それは認識できる。 「逆の世界を考えてみて」というセリフの威力や抜群である。 アーノルドが「彼の愛するもの」を抱きしめるラストシーン。 非常に可憐で、見ている側がその上から彼を抱きしめたくなる。 最初から最後まで、これほど愛おしい映画と言うものは 私としては他にない。 (小人閑居 / 2009-07-30)
もはやゲイ映画の代名詞と化している『モーリス』。 この作品は、このジャンルを広く大衆に浸透させることに貢献したが、 一方で「映画に描かれるゲイ」=「美男子」を公理にしたその罪もまた大きい。 ゲイとは、ただ単に男性を愛する男性に過ぎない。 容姿の美醜はまた別問題なのである。 その意味で、およそ美男子とは言い難い男を 主人公に据えたこの作品は画期的だった。 しかし、見続けるうちに彼がなぜか美しく見えてくる。 それは、ゲイとして恋人と家族と向き合う彼の姿に、 嘘偽りが一つもないからである。 美男子でなければステレオタイプの道化師でもない、 一人のゲイをスクリーンに登場させた映画として、 映画史に残る傑作であると私は考える。(ガーニャ / 2008-09-08)
20年前にビデオをレンタルして出会いました。自分自身のベスト5に入る作品です。チャーミングな(本当に!)登場人物たち、ユーモア、深い悲しみと慈しみ…全てが勇気をくれました。今回、DVDを購入して久々に鑑賞しました。また別の場面で泣いたり笑ったりしています。愛に誇りを持つことは素敵。親友と呼びたい作品です。(綿の国K子 / 2008-10-15)
この映画は自分が強く生きる為の糧となっている作品の1つです。 ありのままに生きる主人公のアーノルドと、それを良しとしない母親との悲しい葛藤。 お互いに親子としてとても愛し合っているのに「ゲイである」という一言がお互いの仲たがいの原因となってしまう悲しい親子関係はカミングアウト経験があるゲイの人なら判ると思います。 本当に気持ちを伝えることの難しさと自分の心の内を曝け出せないもどかしさ。 自分に正直に生きることが大切な家族を傷つけるというジレンマ。 互いに愛し合う気持ちには偽りが無いのに、互いの一言が相手を傷つけてしまう。 今の若いゲイの人たちには時代としては随分と違いを感じる人も多いかもしれませんが、少し前は日本でも同じような生きにくい時があったことを知ってもらいたいですね。 映画の中で主人公が 「ゲイに市民権がもらえたら、私たちは過去に葬り去られるのよ!」 確かにそうなのかもしれません。 市民権までは要りませんが、差別を受けることが限りなく少なくなる時代が来て欲しいですね。 心から悲しくて、あたたかい愛を感じられるこの作品をいつまでも大切にしたいと思います。(ボンバー三國 / 2009-05-05)
ホモセクシャルを扱った映画だが、テーマの底にあるのは、「同性愛」ではなく、寧ろ「自分に正直に生きる事」の大切さであるように思う。 「○○である事を周りに期待されている」「一般常識で考えると○○であるべき」という外の価値観に自分が縛られ、ついつい本当の自分の意志(価値観)が蔑ろにされがちな社会生活。 主人公(アーノルド)の生き方には、常に困難や悲しみが伴っているが、それでも自分に嘘をつくことができず、自分らしく生きようとする姿勢とその強さには、潔さと美しさを感じる。そして、それを羨ましくさえ思う。 救急車のドアに震える手を当てながら、恋人を按じて不安で不安で立っているのが精いっぱいのアーノルドの姿は、毎回涙なしでは見られない。 昔の恋人、エドとの口喧嘩でのやり取りは、言い回しが微笑ましくて笑ってしまう。 どうしても手元に置いておきたい映画だったので、DVDで発売され、いつでも見たい時に見れるのは、本当にありがたい。(ミニプロセスチーズ / 2010-03-18)
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平均点:5.0
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