リスト:ワクワクする科学の本 を表示しています。(全 10 件)

読み込み中・・・
No.1-1
▼
虚数の情緒―中学生からの全方位独学法 / レビュー総評点:205
『虚数の情緒―中学生からの全方位独学法』で画像検索
|
ASIN:4486014855 / 売上順位:5125
東海大学出版会(2000-03)
吉田 武
¥ 4,515(中古:¥ 3,887)
|
レビュー総評点:
205
本書は、知的好奇心旺盛な、少数の中学生向けに書かれたものとしてある。だが、中学生よりも、学歴がなく基礎教養を持たないながらも知的好奇心を持った社会人、あるいは最低限の教養を持ちたいと思う大人達こそが最良の読者ではないだろうかと思う。 基本は数学でありながら、世界史、国語、科学全般、基礎教養、世界観についての哲学、そういったものを実に幅広く伝えてくれる。著者の価値観を受け入れがたい箇所もあれば、共感する箇所もあるが、価値命題は自分で判断する余地があり、事実に関する陳述は凡百の教科書の数十倍は慎重である。 1000ページ級の大著ながらも、細かい配慮は最後まで怠らない丁寧さも特筆に値する。読者が面倒なことをせずに読み進めることができるよう、実に細やかな配慮がある。たとえば「何ページを参照」というのはなく、前に書いてあることであっても、必要であれば、そこにもう一度同じ内容のことを書く。つまり、知識となる一つの情報を、異なった文脈に置いて陳述することで、必然的に豊かな知的土壌が育つような工夫なのだ。初出の漢字にはルビを振り、言い回しや漢字なども実に多彩だ。(著者は何よりも「読めること」が重要だと考えている。そして明らかに正しい。) これほど誠心誠意を持って、そしてその誠心誠意に見合う高い内容を持った大著はそうそうない。教育的という意味で見事の一言である。やれありがちな「知っておきたい常識」などの本を読むよりも、122倍(当社比)は有用であり、かつ目的に沿うものである。(ワカシム / 2007-05-13)
様々な知識を統合して、構造化された数学を身につけることができるよう書かれています。遠回りしすぎと思われるかもしれませんが、遠回りするからこそ得られるものがあるでしょう。 著者も言うようにゆっくり消化しながら読むよう構成されているので、表題の「中学生からの」というように読み始める時期は中学生から始めるとして、読了する時期は高校でも、大学でも良いという意味ではないでしょうか。1000ページあるので、辟易する中学生もいるかもしれませんが、スローリーディングとして1日1ページでも中学の3年間で読むことができますし、その位の時間をかけてでも読む価値が大いにあると思います。(柳川雅葉 / 2007-05-04)
高卒以上の方向け
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
まず、珍しい。このように1000項に渡っている分厚さ、しかもその構成…とても教科書には成り得ない。だからこそ教科書しか知らない世代に、是非今までの勉学の補完として、知識と知識を有機的につなげる啓蒙書として読んでもらいたい。 そういった意味では中高生向けではあるのだが…いかんせん、その年代ではまだこの本を“考え方のひとつ”として認識する事が難しいように思う。 この本は欺瞞の混じり具合が他書よりも薄い。著者が真剣に考えながら生きてきた事が端々から窺える。それは大変な共感や尊敬を生んで差し支えないのだが、その事が逆にこの本にすら含まれてしまういくつかの問題点に気づきにくくさせており、この本にこそ真理が書かれていると錯覚させてしまう危険性がある。この本は決して“聖書”などではない。 著者自ら指摘しているように、注意深くこの本を読めるようになった時が、自ら考える力がついた時が初めて適正年齢かもしれない。 その点のみ留意すれば、この本はすばらしい教養書となり読者の人生を豊かにすること間違い無しである。なるべく早くこの本に出会って欲しいと思う。あまり遅くに出会うと専門の方には既知の事実が多過ぎて少々感動が薄くなってしまうかも知れない。 以上の理由で、これは高卒以上の年齢の方に強く薦める良書です。(もっちー / 2006-03-25)
数学の啓蒙書ですから物理が出てくるのは不思議では有りません。しかし中学生を対象にした本で量子力学を説明してあるのは、特筆ですね。しかも数式を用いています。この本は数学物理だけでなく夏目漱石もナイチンゲールも出てきます。数学の啓蒙書というより教養書と思います。 筆者は視力を減弱させながら執筆を続けたようです。まさしく命を削って完成された本ですね。後年に残る名著と思います。あと蛇足ですが、索引がすばらしい。こんな充実した索引を見たこと有りません。索引を見ているだけでも飽きませんよ。(まーくん / 2007-10-06)
なかなかですよ
|||||||||||||||||||||||||||||||
いわゆるベストセラーと違い、万人に受けることを目的としているわけではないでしょうから、賛否両論あるのが、ある意味でよい本の証と思います。もちろんこのページ数ですから効率性とは対極にあるので、これで数学の点数を上げようとか、この一冊で役立つ何かを手に入れようなどという人には向かないと思いますが、むしろ私のような門外漢が、「おお、こういうこともあるのか」と思いながらつらつら読むのには大変良いです。数学および物理が専門の方で、もっと深遠な内容を持つ書物を進める方もあるかと思いますが、文理こだわらず横断的な本を探していた私には最適でした。数学を毛嫌いしなくても良さそうだと感じさせてくれましたよ。(challenging / 2004-11-07)
レビュー数 39
[残りも全部見る][amazonでレビューを書く]
平均点:4.5
|
No.1-2
▼
エレガントな宇宙―超ひも理論がすべてを解明する / レビュー総評点:336
『エレガントな宇宙―超ひも理論がすべてを解明する』で画像検索
|
ASIN:4794211090 / 売上順位:47225
草思社(2001-12)
翻訳:林 大/翻訳:林 一/ブライアン グリーン/原著:Brian Greene
¥ 2,310(中古:¥ 600)
|
レビュー総評点:
336

著者の超弦理論における業績を語りながら、1999年までの現代物理学から超弦理論に至る道を鮮やかに、語っているが、超弦理論までは着いて行けても、M理論は未だ良いが、ブレンの登場によって読者の理解力は限界に達し、ブレンを説明されるほど更に解からなくなる。それにこの本は、ちっとも、一般人向けに書かれていない。物理学科卒でも理解は難しいが、米国では宣伝力によって売れた。20世紀までの超弦理論非常にうまくまとめ書かれている。しかし、超弦理論には、現存する全ての力を統一する理論としては、初めからこの理論では解決不可能な前提条件が付随して離れない。それは、初めに10または11次元の時空間の存在を仮定する必要があることである。それを背景依存という。一般相対性理論は背景独立である。背景依存を背景独立な理論には2007年現在でも成されていない。それは論理的に矛盾である。いくら数学的に美しくても駄目である。この事実を頭に入れながら読んでも良いが、400ページを越える。時間を無駄にする事覚悟の上なら読む価値は勿論ある。話は少し超弦理論から離れるが、Smolin等は一般相対性理論と量子論を背景独立に融合させた「ループ量子重力理論」を提唱している。この一般書「量子宇宙への3つの道」これも難解な部分もあるが、超弦理論にもきちんとふれている。(Dr.Shigeharu Mutoh / 2007-09-02)
現在の素粒子物理学を支える2つの支柱である一般相対性理論と量子力学を自然な形で統合する「超ひも理論」を、コロンビア大学の数学・物理学の現役教授である著者ブライアント・グリーンが、非専門科にも分かりやすく数式を一切使わずに解き明かしていきます(ただし、アインシュタインの有名なエネルギーと質量の関係式だけは例外です)。非専門科にも分かりやすくと言いましたが、決して気楽に読み流して理解できるわけではなく、十分に理解するためには読者にはそれなりの集中力が要求されます。 本書の最初の3分の1で現代物理の基礎となっている「特殊相対性理論」「一般相対性理論」「量子力学」に関して、身近な例を挙げて説明されています。それはかなり成功していると思います。そして本書の本題である「超ひも理論」に入る前に、いかに一般相対性理論と量子力学が相容れないかと言う事に言及し、20世紀後半に物理学者によって費やされたの数多の努力が紹介されます。本題の「超ひも理論」の解説でも身近な例を挙げて説明しようと苦労していますが、著者の力量をもってしても「相対性理論」の説明ほどには成功していません。やはり10次元や11次元などの高次時空間を直感的に理解することの困難さ、および超高度な数学によって記述される「超ひも理論」を直感的に理解する事の困難さの現れでしょう。それでも、現代の最先端の素粒子物理学理論が立ち向かっている難題がいかなる物か、究極の理論たる理論に求められる物は何か、「超ひも理論」は究極の理論たり得るのか、「超ひも理論」をも超える「M理論」とは何か、等々の疑問に対する著者自身の回答を得る絶好の読み物です。 訳文は直訳調の文章が散見されけっして良くこなれているとは言い難いですが、英語を母国語としない日本人に本書への道を拓いてくれた功績は大です。しかし、訳者に改善を望みたい点がいくつかあります。まず、残念ながら訳者達が素粒子物理学の専門家ではないことによる非適切な訳語がみられます。例えば、通常「カルツァ」と呼ばれている人名が「カルーザ」と表記されていたりします。また、338ページにある「リンゴとミカンをくらべるのと同じことだ」という表現はプロの翻訳家とは思えない拙訳です。他には、31ページの「レゾン・デートル」や268ページの「リフレーン」はしっかりと日本語に訳すか、説明を加えないと意味が不明です。あと、不注意な誤訳が散見されます。表1-2の「質量の四つの力、・・」と「電子の質量に対する・・」は間違いで、それぞれ「自然界の四つの力、・・」と「陽子の質量に対する・・」が正しい訳です。 表紙の帯で「ついに、宇宙のすべてを説明する理論を手に入れた!」と断定していますが、これは明らかに誇大表現であり、本来は「ひも理論は宇宙のすべてを説明する究極理論になりうるか?」のような表現の方が本書の内容を正しく伝えていると思います。(増田裕昭 / 2004-04-26)
エレガントな読み物
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
この本は、一般の物理を学ばなかった方にも直観的な方法で、現在の最先端の物理(相対論・量子論・弦理論・M理論etc..)を極めて明快に知ることが出来る。ユーモアたっぷりの軽快な言葉で書いてあるが、本質をきちんと突いている。一方物理を学んだことのある学生には大変わかりやすく、すらすらと読み進むことが出来るだろう。また歴史背景に沿って書かれているため、史実的な理解の混乱もなく読み進めることが出来、まさにエレガントな一冊。またこれから素粒子・重力理論の研究を志望する人にとっても、概要を知る上で大変面白い。物理を学ぶ者は是非一読と言っても過言ではない。ただ、ケーラー多様体をカーラー多様体と表記したり、訳的にちょっと嫌な所を感じる方はいるもしれないが、そこは訳本の性なので気にするなかれ。(ちなみに、読み物なので勿論数式が展開してないのでどんな方でも気楽に読めます)( / )
超ひも理論について、素人にもわかるように書いた和書は少ないが、その中でもこの本が飛び抜けて詳しい。他の本で物足りないと感じた人にお勧めだ。 なぜひもなのか、膜や立体でもいいのではないか、なぜ10次元や11次元なのか、もっと詳しく知りたい人に懇切丁寧に説く。数式をまったく使わず、言葉だけで説明するのは、超ひも理論の最先端で実際に活躍する著者でなければ、できないことだ。(yoda21 / 2003-02-16)
数学や物理に関して専門的な勉強は一切したことはないが、相対性理論・量子力学・ひも理論への興味はなぜかもっていた。これまでも、宇宙論関係を詳述した一般書を何冊が読んだが、いまいち理解したと自分で納得できることは無かった。 しかしこの本は違った。式等難解な表示はほとんどないが、豊富な例により素人の頭にもイメージを沸きやすく展開されている。 もちろん、実際に数式を解き、物理学に精通しないと本当の理解はできないであろうが、宇宙論にかかる理論がそんなに怖いものではないことがよくわかる。 この本のおかげでもっと宇宙関係の書籍を読んでみようという勇気がついた。(garao / 2002-01-23)
レビュー数 36
[残りも全部見る][amazonでレビューを書く]
平均点:4.5
|
No.1-3
▼
ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF) / レビュー総評点:78
『ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで 』で画像検索
|
ASIN:4150501904 / 売上順位:62542
早川書房(1995-04)
翻訳:林 一/原著:Stephen W. Hawking/スティーヴン・W. ホーキング
¥ 630(中古:¥ 14)
|
レビュー総評点:
78
宇宙の始まりから終わりまで、時間と空間の概念など、今では専門的でわかりにくい宇宙論を数式や特別な知識なしで理解できるよう試みた本。でも、やっぱりちょっと難しい。この本を読む上で大事なことはただひたすらイメージすること。全部わかろうとしなくてもいい、ちょっとだけ宇宙の神秘に近づけるそんな本。( / 2004-05-31)
車椅子の天才科学者の本は今でも色あせない。量子力学と相対論の統一を通して、科学が避けて通ってきた「なぜ宇宙が生まれ、現代のような形になったのか」という問いに真っ向から挑む実証主義の代表、ホーキングの偉大さは読むたびに感動する。思えば複雑な宇宙物理学をこれほど一般に分かりやすく説明した人物は当時ではホーキングくらいなものだった。たしかに本書はいくら一般向けとはいえ難しい。訳出も今から見ると古めかしいし、高次元や本書の要の一つである無境界条件と不確定性原理は図で説明しづらく、ホーキングも説明に相当苦労しているようだ。ホーキングは本の中で頻繁に「神」という言葉を使う。彼自身は無神論者だが、神の不要論を唱えながら、あえて物理学が提示する無神論を読者に強要しない。この辺に彼の寛容さをうかがうことが出来る。今では宇宙物理学も進歩して、本書にもいくつか修正が必要になった。それだけ科学は日進月歩で絶えず書き換えられている証だ。 今では「エレガントな宇宙」など多くの優れた本がある。しかし本書がなかったら「エレガントな宇宙」も生まれなかったかもしれない。 ホーキングが火付け役になって相対論や量子力学が身近になった。一方で単純な誤解で現代物理を一蹴する人もいる。「ホーキング宇宙論の大ウソ」などという勘違い本が出たのも今では懐かしい思い出である。(con / 2005-02-05)
1987年時点での最先端宇宙論を、ホーキング博士が宇宙ファンなどの大衆に向けて語る。 この本でのホーキング博士の主張は、おもにふたつ。独自の「ブラックホール理論」と、「宇宙に対する無境界説」とよばれるものだ。 前者のブラックホール理論とは、すべてを飲み込んでしまうとされたブラックホールは計算の結果、じつは粒子を作ったり放ったりしているというもの。「ブラックホールはそれほど黒くない」(第7章)というセンセーショナルな見出しでその説明がされている。 また、後者の宇宙に対する無境界説とは、「時空は有限であるが、境界をもたない」「宇宙はなめらかな秩序ある状態から出発する」というもの。ここには、人間原理(この世界がこのような姿をしているのは、人間がいるからだという考え方)という哲学的ともいえる考えが深く関わっている。そして物理的・心理的・宇宙論的な3本の矢が、なぜ同じ向きを向いているのかをエレガントに説いていく。 なお、前者のブラックホール理論については、2004年にホーキング博士みずからが「ブラックホールがエネルギーを徐々に放出し、最後には蒸発するという自説に誤りがあった」と認めている。約30年間、自著や自説で保ってきた主張を自らで否定するという態度には、「真実に対して忠実であるべき」という科学者の規範を見ている気がして、素晴らしいなと思う。 大衆向けとはいっても、宇宙論自体がもともと難しいので、まったく知識のない方が宇宙を知る第1冊目としてこの本を手にとるという行為は無謀かもしれない。何冊か宇宙論についての新書やブルーバックスを読んできて、かつ、相対性理論や量子力学もイメージがつかめる方といった方にオススメする。一つ一つをていねいに噛み砕いていけば、宇宙にたいする知識を大きく広めることができる。(漆原次郎 / 2004-10-23)
現代の宇宙物理学の第一人者である著者が、素人向けにわかりやすく書いた宇宙のお話。表現はわかりやすくてもその内容は難解で、おそらくほとんどの人は理解できないでしょう。私もその一人でした。しかし、宇宙の様々なことを解明しようとする科学者達の挑戦の記録でもあり、また壮大な夢を見ることのできる一冊だと思います。科学は苦手といわれる方でも「読み物」として楽しめること請け合いです。私は6回読み返しました。(tomoyasu3 / 2004-01-16)
この本の内容は今でこそ少し古くなった感が否めませんが、それでも一般向けの宇宙論解説書としては一番売れている本だと思います。 ただし、物理学の知識が無い人にとっては少し難しすぎるかもしれません。そういう人はこの本の訳者である佐藤勝彦さんの「最新宇宙論と天文学を楽しむ本」などを先に読まれたほうがいいかもしれません。 理想的には物理学の入門的な本(岩波ジュニア新書にあるような)であらかじめ物理学の基本法則を頭に入れてから読むとこの本の奥深さがよくわかると思います。(悠蝶 / 2004-10-07)
レビュー数 13
[amazonでレビューを書く]
平均点:4.5
|
No.1-4
▼
人はなぜエセ科学に騙されるのか〈上〉 (新潮文庫) / レビュー総評点:178
『人はなぜエセ科学に騙されるのか〈上〉 』で画像検索
|
ASIN:4102294031 / 売上順位:19525
新潮社(2000-10)
カール セーガン/原著:Carl Sagan/翻訳:青木 薫
-(中古:¥ 126)
|
レビュー総評点:
178
原題は『悪霊にとりつかれた世界』。=「だまされやすさ(信じやすさ)が蔓延した社会」のことである。「悪霊」=「だまされやすさウイルス」と考えればわかりやすい。それをモチーフに、主に「民主主義、科学の方法、公教育」に対する著者の意見が述べられている。 天文学者が何のためにそんな本を書くのか?理由はある。「民主主義、科学の方法、公教育」に関して、著者が危機感を感じていたからである。それが痛いほど伝わってくる。 著者が言うところの「悪霊」は、UFOやESPに限った話ではない。政治、社会、宗教、経済の分野にまでわたる。 自由は権利だけあっても、行使されなければ意味がない。懐疑することを止め、驚嘆する気持ちを失い、思考することを怠り始めたとき、私たちは知らぬ間に「悪霊」に取り囲まれる。私たち全体の平均的思考能力が下がれば、自由の権利があっても、その行使能力は下がる。知らぬ間に思考の自由まで奪われていることだってあり得る。「悪霊」のつけいる隙がどんどん広がるわけである。オウム真理教の例までまじえて、そのような考えが豊富な例をあげながら検証されていく。 副題は(原題から勝手に訳せば)『闇に光を灯すもの―――科学的方法』である。著者は、「悪霊」を打ち破り、自由と民主主義を維持する方法として、科学(的思考方法)に希望の光を見出している。そこには「例えば狂信的な愛国心といったような教条主義的な権威」もなければ、「例えば都合のよいほうにだけ目を向ける自己欺瞞という思考停止」もない。あるのは思考の自由と、自由がゆえのエラー修正機能、自己修正機能である。人間の限界を心得た上の自己修正機能である。(人間をやっている限り、間違いを犯さない人間がいるわけがない) 思考の自由は何にも代えがたい・・・・。 「結論にとびつきたくなる気持ちをぐっとこらえ、宙ぶらりんの状態にもじっと耐えて、証明あるいは反証の証拠が出るのを待つこと」 その言葉は、科学的という折は、一種芸術的でさえある。ついつい目の前のおいしいエサに飛びつきたくなるとき、私は彼の言葉を肝に銘じる。大事な一冊。(ohira ikuko / 2004-12-12)
科学的でないものをしっかり見つめることで,帰って「科学」とはなにか,あるいは「科学的態度」というものがどういうものであるか,その輪郭がはっきり見えてくる. そういう体験をさせてくれる本である. 宇宙人・UFO・超能力云々といったものだけではない. 宗教も科学的でないものの代表格である. 本書の中では,幾度と無く,宗教と科学の文脈の違いについて言及されている. 宗教の持つ未来の預言・約束,踏み込んでは行けない領域,創造主・死後の世界の必要性など.宗教をじっくり見つめるなかで,ここでもやはり科学の輪郭がはっきり見えてくる. 私たちが本当に寄るべきものとはなんなのか.しっかり考えなければならない. これまでの自分の研究スタイルを反省させられる部分も多々あった. 私はこれまで,きちんと反証可能な仮説を立ててか?きちんと対照実験していたか?批判をきちんと受け入れてたか?権威的なものを目標にしていなかったか? 今,この時期にこの本をじっくり読むことが出来て,本当に良かったと心底思う. 『科学に権威はいない.せいぜい専門家がいるだけだ』 『願望と事実を取り違えてはいけない』 『主張が論破できないからといって,その正しさが証明されたことにならない』 など.肝に銘じたい多くの言葉. この本は,いつも近くに置いておきたい.そして,自分はちゃんと科学的思考をしているのかを点検していきたい.(BONO / 2005-11-07)
実はこの本はどうしても読みたかったと言うものではなく 偶然に出会ったと言うのが正直なところである。 しかし読み進むうちにセーガンの考え方にみるみる引き込まれた。 セーガンの科学に対する真摯な姿勢が 氏の優しさと強さに溢れた筆致で記されていたのである。 私はセーガンとは分野が異なるものの「科学」を職業としている。 だから日常 その科学の原理などの知識を説いた いわゆる教科書的な書籍に接する機会は多いが 本書のような科学に対する姿勢を教えてくれるものは 皆無と言って良いのではないだろうか? 科学に対して謙虚に向かい合い 公正な目を持ち 自らの過ちを恐れない。 そうしたことを忘れている科学者も多いのではないか? そうしたことを忘れている人こそが 科学を知らない人を欺いているのではないか? と氏は文中で繰り返し問い掛けているが 私も全く同意見であり そのため 科学の正しい進歩が阻まれているのではないかと言う懸念を セーガンと同様に抱いている。 そして私もセーガンと同じく 誰に言われて科学の世界に飛び込んだわけではなく 科学に対する姿勢を教えてくれた人も 全くいなかったわけではないが皆無に等しかった。 それが原因とは言えないが私自身 今でも全く迷いがないわけではない。 しかし本書に出会えて科学に対する姿勢を改めて教えられ そしてこれからも科学を職業としていきたいと 強く思うようになった。 だから本書は次のような人にぜひ薦めたい。 科学と言う分野に身を置いている人 科学を理解していると思い込んでいる人 これから科学を志そうとしている若者 科学を理解する前の無垢な子供達 つまり全ての人達と言うことになるのかもしれないが 全ての人が本書のセーガンの考え方を身に付ければ 氏の願い通り科学技術はこれまで以上に進歩を遂げ きっと実り多い21世紀になってくれるのではないだろうか。 セーガンのような偉大な科学者が このような素晴らしい著書を記してくれたことに感謝するとともに 氏が既にこの世にいないことをとても残念に思います。( / 2001-04-22)
タイトルから「理系」向きの本と思われるが、社会科学を含め、およそ「科学」を志す者には必読の書といえる。そして科学的思考の欠如がアメリカの教育にも問題を与えているとし、世界の17歳の若者の中でテストをすると「アメリカは代数で最下位だった」「アメリカの平均的な年間授業日数は180日なのに対し、韓国は220日」「高校では、社会がかかえる欠陥と家庭教育の不備のために、一般教養科目の中核となる教科に、1日たった3時間しか割くことができない」という分析は、まさに、数年先にやってくる日本の現状を予測しているいるかのごとくである。教育に携わる者は、時間がなければこの本の第19章「くだらない質問というものはない」だけでも読んでもらいたい。カール・セーガンは、民主主義社会と科学の重要性を認識し、それが教育によって人々の心に根付くことを切に願っていたのだ。その熱い心が、読む者にひしひしと伝わってくる。これほど熱い本を読んだのは久しぶりだったので、強く心に残った。(yoc / 2003-10-15)
私は科学を職業とする者です。科学を職業とすると、少なからず研究費獲得のためとか、国のため組織のためといった研究の中身から離れたところに決定要因ができてしまい、目が曇ることもあります。こういうときにエセ科学が生まれるように思います。こんなことを述べるのは私が二流科学者である証拠かも知れませんが、科学者自身、こうした外部の要因から自由になる必要があります。それには科学研究を生活の糧にせず、アマチュア科学者でいることがよいのかもしれませんが・・。一言でいえば「懐疑的であれ」、というセイガン博士の遺言は過去も未来も科学的態度の初めの一歩であると、改めて考えました。( / )
レビュー数 32
[残りも全部見る][amazonでレビューを書く]
平均点:5.0
|
No.1-5
▼
人はなぜエセ科学に騙されるのか〈下〉 (新潮文庫) / レビュー総評点:178
『人はなぜエセ科学に騙されるのか〈下〉 』で画像検索
|
ASIN:410229404X / 売上順位:151412
新潮社(2000-10)
カール セーガン/原著:Carl Sagan/翻訳:青木 薫
-(中古:¥ 168)
|
レビュー総評点:
178
原題は『悪霊にとりつかれた世界』。=「だまされやすさ(信じやすさ)が蔓延した社会」のことである。「悪霊」=「だまされやすさウイルス」と考えればわかりやすい。それをモチーフに、主に「民主主義、科学の方法、公教育」に対する著者の意見が述べられている。 天文学者が何のためにそんな本を書くのか?理由はある。「民主主義、科学の方法、公教育」に関して、著者が危機感を感じていたからである。それが痛いほど伝わってくる。 著者が言うところの「悪霊」は、UFOやESPに限った話ではない。政治、社会、宗教、経済の分野にまでわたる。 自由は権利だけあっても、行使されなければ意味がない。懐疑することを止め、驚嘆する気持ちを失い、思考することを怠り始めたとき、私たちは知らぬ間に「悪霊」に取り囲まれる。私たち全体の平均的思考能力が下がれば、自由の権利があっても、その行使能力は下がる。知らぬ間に思考の自由まで奪われていることだってあり得る。「悪霊」のつけいる隙がどんどん広がるわけである。オウム真理教の例までまじえて、そのような考えが豊富な例をあげながら検証されていく。 副題は(原題から勝手に訳せば)『闇に光を灯すもの―――科学的方法』である。著者は、「悪霊」を打ち破り、自由と民主主義を維持する方法として、科学(的思考方法)に希望の光を見出している。そこには「例えば狂信的な愛国心といったような教条主義的な権威」もなければ、「例えば都合のよいほうにだけ目を向ける自己欺瞞という思考停止」もない。あるのは思考の自由と、自由がゆえのエラー修正機能、自己修正機能である。人間の限界を心得た上の自己修正機能である。(人間をやっている限り、間違いを犯さない人間がいるわけがない) 思考の自由は何にも代えがたい・・・・。 「結論にとびつきたくなる気持ちをぐっとこらえ、宙ぶらりんの状態にもじっと耐えて、証明あるいは反証の証拠が出るのを待つこと」 その言葉は、科学的という折は、一種芸術的でさえある。ついつい目の前のおいしいエサに飛びつきたくなるとき、私は彼の言葉を肝に銘じる。大事な一冊。(ohira ikuko / 2004-12-12)
科学的でないものをしっかり見つめることで,帰って「科学」とはなにか,あるいは「科学的態度」というものがどういうものであるか,その輪郭がはっきり見えてくる. そういう体験をさせてくれる本である. 宇宙人・UFO・超能力云々といったものだけではない. 宗教も科学的でないものの代表格である. 本書の中では,幾度と無く,宗教と科学の文脈の違いについて言及されている. 宗教の持つ未来の預言・約束,踏み込んでは行けない領域,創造主・死後の世界の必要性など.宗教をじっくり見つめるなかで,ここでもやはり科学の輪郭がはっきり見えてくる. 私たちが本当に寄るべきものとはなんなのか.しっかり考えなければならない. これまでの自分の研究スタイルを反省させられる部分も多々あった. 私はこれまで,きちんと反証可能な仮説を立ててか?きちんと対照実験していたか?批判をきちんと受け入れてたか?権威的なものを目標にしていなかったか? 今,この時期にこの本をじっくり読むことが出来て,本当に良かったと心底思う. 『科学に権威はいない.せいぜい専門家がいるだけだ』 『願望と事実を取り違えてはいけない』 『主張が論破できないからといって,その正しさが証明されたことにならない』 など.肝に銘じたい多くの言葉. この本は,いつも近くに置いておきたい.そして,自分はちゃんと科学的思考をしているのかを点検していきたい.(BONO / 2005-11-07)
実はこの本はどうしても読みたかったと言うものではなく 偶然に出会ったと言うのが正直なところである。 しかし読み進むうちにセーガンの考え方にみるみる引き込まれた。 セーガンの科学に対する真摯な姿勢が 氏の優しさと強さに溢れた筆致で記されていたのである。 私はセーガンとは分野が異なるものの「科学」を職業としている。 だから日常 その科学の原理などの知識を説いた いわゆる教科書的な書籍に接する機会は多いが 本書のような科学に対する姿勢を教えてくれるものは 皆無と言って良いのではないだろうか? 科学に対して謙虚に向かい合い 公正な目を持ち 自らの過ちを恐れない。 そうしたことを忘れている科学者も多いのではないか? そうしたことを忘れている人こそが 科学を知らない人を欺いているのではないか? と氏は文中で繰り返し問い掛けているが 私も全く同意見であり そのため 科学の正しい進歩が阻まれているのではないかと言う懸念を セーガンと同様に抱いている。 そして私もセーガンと同じく 誰に言われて科学の世界に飛び込んだわけではなく 科学に対する姿勢を教えてくれた人も 全くいなかったわけではないが皆無に等しかった。 それが原因とは言えないが私自身 今でも全く迷いがないわけではない。 しかし本書に出会えて科学に対する姿勢を改めて教えられ そしてこれからも科学を職業としていきたいと 強く思うようになった。 だから本書は次のような人にぜひ薦めたい。 科学と言う分野に身を置いている人 科学を理解していると思い込んでいる人 これから科学を志そうとしている若者 科学を理解する前の無垢な子供達 つまり全ての人達と言うことになるのかもしれないが 全ての人が本書のセーガンの考え方を身に付ければ 氏の願い通り科学技術はこれまで以上に進歩を遂げ きっと実り多い21世紀になってくれるのではないだろうか。 セーガンのような偉大な科学者が このような素晴らしい著書を記してくれたことに感謝するとともに 氏が既にこの世にいないことをとても残念に思います。( / 2001-04-22)
タイトルから「理系」向きの本と思われるが、社会科学を含め、およそ「科学」を志す者には必読の書といえる。そして科学的思考の欠如がアメリカの教育にも問題を与えているとし、世界の17歳の若者の中でテストをすると「アメリカは代数で最下位だった」「アメリカの平均的な年間授業日数は180日なのに対し、韓国は220日」「高校では、社会がかかえる欠陥と家庭教育の不備のために、一般教養科目の中核となる教科に、1日たった3時間しか割くことができない」という分析は、まさに、数年先にやってくる日本の現状を予測しているいるかのごとくである。教育に携わる者は、時間がなければこの本の第19章「くだらない質問というものはない」だけでも読んでもらいたい。カール・セーガンは、民主主義社会と科学の重要性を認識し、それが教育によって人々の心に根付くことを切に願っていたのだ。その熱い心が、読む者にひしひしと伝わってくる。これほど熱い本を読んだのは久しぶりだったので、強く心に残った。(yoc / 2003-10-15)
私は科学を職業とする者です。科学を職業とすると、少なからず研究費獲得のためとか、国のため組織のためといった研究の中身から離れたところに決定要因ができてしまい、目が曇ることもあります。こういうときにエセ科学が生まれるように思います。こんなことを述べるのは私が二流科学者である証拠かも知れませんが、科学者自身、こうした外部の要因から自由になる必要があります。それには科学研究を生活の糧にせず、アマチュア科学者でいることがよいのかもしれませんが・・。一言でいえば「懐疑的であれ」、というセイガン博士の遺言は過去も未来も科学的態度の初めの一歩であると、改めて考えました。( / )
レビュー数 32
[残りも全部見る][amazonでレビューを書く]
平均点:5.0
|
No.1-6
▼
タイムマシンをつくろう! / レビュー総評点:87
『タイムマシンをつくろう!』で画像検索
|
ASIN:4794212232 / 売上順位:43355
草思社(2003-06-18)
著:林 一/P.C.W. デイヴィス
¥ 1,365(中古:¥ 90)
|
レビュー総評点:
87
とっても楽しかった。おもしろかった! 「タイムマシンをつくろう」なんて言われて「おう!つくろー」なんて気分で手にとった。 相対性理論?量子力学?・・・なんだっけ、それ。 猫のパラドックス?宇宙ひも?・・・聞いた事もありませんよー。なんて私が、夢中になって読んじゃった。 かと言って、ふざけた子供だましのものじゃないみたいよ。 なんだか、物理学って、思ってたのと全然違うみたい。 物理学者って、いったい...? すごーく面白いみたい。 こういうノリの相対性理論の本を、探して読んでみるつもり。 難しい数式も並んでいないし、とってもやさしく解説してあるので、私みたいな人も、気軽に読んでみて!(1950 / 2003-07-05)
ページ数は厚くなく内容も簡単に書いてありますが、なかなか中身の濃い本です。 物理は少しやったことがあり、高速に近い物体に乗れば未来に行けることは理解していましたが、重力などの物理法則を駆使して過去にも行けるとは驚きでした。 他にも量子力学など興味深い物理現象が挙げてあり、物理への興味が増してきました。 また、最終章でタイムマシンが完成した暁に起こるであろう問題点を個別に検証しているのも、タイムマシンの現実性を高めてくれます。 難しい法則を使って、こんな素敵なことを真面目に考えている人が大勢いることを知るだけでも感動ものです! ただ、内容が平易な分、疑問に思う点や分からない点が出てくるのも確かです。そうした点をさらに深く自分で調べてる余地が残されて!いるのも、この本の楽しい点かもしれません。(テリーズ / 2003-08-03)
内容は理系です。 特殊相対性理論、一般相対性理論、ブラックホールやホーキング理論・・・。 本の前半はこんな感じですから、文系の私には最初、 とっつきにくかったのは事実です。 でも、ちょっと読んでいくと、 それぞれの理論が分かりやすく書かれているので、 大学の物理の教科書よりもはるかに分かりやすく書いていました。 (学生時代に読んでいればBは取れたかも) 後半部分は、前半の理論を基にタイムマシンの検証。 これを読んでいくとドラえもんのタイムマシンは不可能だと分かるものの、 もしかしたらバックトゥザフューチャーは可能かも、なんて 思えたりします。(おじゅん / 2003-06-28)
はじめに断っておくと私は物理は全くダメです。 なのに、物理のエッセンスを抽出してタイムマシンの 可能性を語るこの本に夢中になりました。 まずは未来の行き方に、 へ~、そういうことだったのね! と感心し、そして過去への行き方に、 へ~、過去へ行くほうがなんぼも大変なのね! と感服。 ばかばかしいと思われるかもしれないことを 職業科学者が少数ながらも真剣に考えてる事を知って、 人類の進歩はいつだって少数の夢から始まったんだ! だから、タイムマシンも夢じゃない、と思えました。 可能性を探るってほんと楽しいなあと思える本でした。(ことり。 / 2003-09-03)
タイムマシン……。いろいろなお話・映画などでもおなじみですが、人間がなしえていない代表的なものだと思います。 まずは、アインシュタイン博士の相対性理論、ワームホールでタイムマシン可能……と、いろいろな実際のタイムマシンの可能性を真剣に書いている本です。 人間が、光速に到達・超越できる日は来るのでしょうか? 来たら来たで、怖い気もします。 わたしが読んだ物理学書では、これが初めてですが、おもしろい本です。(MASUMI / 2006-07-20)
レビュー数 13
[amazonでレビューを書く]
平均点:4.5
|
No.1-7
▼
光速より速い光 ~アインシュタインに挑む若き科学者の物語 / レビュー総評点:47
『光速より速い光 ~アインシュタインに挑む若き科学者の物語』で画像検索
|
ASIN:4140808411 / 売上順位:141625
NHK出版(2003-12-26)
翻訳:青木 薫/ジョアオ・マゲイジョ
¥ 2,415(中古:¥ 1)
|
レビュー総評点:
47
前半の相対性理論・インフレーション宇宙論の解説部分は、 申し分なく楽しめます。 一転、その期待のまま後半に突入すると、裏切られてしまいます。 研究機関や物理学界への批判が主になってしまい、 肝心のVSL理論が脇役となってしまうのです。 そもそも未完の理論なのですから、十分な理解は得られないにしても、 結局VSLとはどういう理論なのか呑み込めないまま、終わってしまいました。 ということで、次作、本格的VSL理論解説書に期待です。(kentmild / 2004-11-06)
理論物理学者たちの苦労がすごく伝わってくる。それは著者や訳者の文章力に負うところが大きいと思うが、我々が接する機会のない(理論)物理学者達が自分の考えた理論を世に送り出すことがいかに大変かということだとも思う。理論物理学者として今までの常識(アインシュタインの理論)に挑み、新しい枠組みを提供していこうと格闘する姿は、学者に限らず大切な姿勢だと思うし、大いに共感できる。理論的な話もなるべく分かりやすく話そうとしてくれているし、全体を通して楽しめる本だと思う。ただ、帯にある宣伝文句「アインシュタインは絶対にただしいのか?」というような煽りはあまり好きではないので4つ星です。著者はアインシュタインの理論の正しさを認め、敬意を表していることは読み取れるし、その上で、それを乗り越えていこう、究極の状態でも状態を予測できる理論を作り上げようとしていることから、本書の文脈と違和感を感じたので。私はVSL理論の成否はともかく、アインシュタインがニュートンの理論を越えて重力理論を作り上げた態度と同様であることに、この著者に学者としての魅力を感じました。(itgaki / 2004-10-28)
著者は,イギリスのMITといわれるロンドン大学インペリアル・カレッジ教授。訳者によると,著者の経歴は,著者の実力が半端なものではないことを示しているという。 本書の前半部分では,特殊相対性理論,一般相対性理論,宇宙論的問題などが説明され,後半部分では,光速変動理論(VSL,Varying Sped of Light)が記述されていく。 前半部分の記述だけでも,一読の価値は高い。後半部分においては,VSLは,これまでの主流であるインフレーション理論では解決できなかった問題を解決するとする。光速が変化すると,エネルギー保存則が破れ,物質が生成されたり消滅したりできるようになる。真空から膨大な量のエネルギーが生まれ,新しいビッグバンが起こるための条件を整え,また最初から同じ事が繰り返される。つまり,VSLは,永遠の宇宙がもたらされると予測する。(それ以外にも,ブラックホールとVSL,ひも理論とVSLなど,好奇心を刺激する記述は多い。) 門外漢である私には理解しにくい記述も少なくないが,内容は非常に興味深い。 それだけでなく,このVSLの誕生や,学術誌への投稿掲載を巡る問題,活写されている,競い合う,協力し合う(あるいは反目しあう)科学者たち。こうした物理学界の実情をも生き生きと描写しているため,興味が倍増する。 また,著者がVSLを発表してから,VSLに関する論文は日に日に増えているという。 もとより,VSLが実験により裏付けられるか否か,今後の進展を待たねばならないが,たとえVSLが使い物にならない理論であったにせよ,本書を読むことは,大きな知的楽しみである。(e-green / 2004-01-03)
何せ、高校数学もすでに怪しく、ラプラス変換はもはや忘却の彼方の私でさえ楽しく読めた。数式を用いていないのだ。この手の話の概念を数式を用いず、たとえ話だけで理解させて(理解したような気にさせて)しまうとは恐ろしい文才だ。式は最後の方に一つだけ出てくるが、その式も単体としてはそれほど難しいものではない。ただ、何でそうなるか理解できるかできないかは読む人の資質による。 この理論の根底には、著者がインフレーション理論をエレガントでないと感じているところにあるのだろう。私ごときには、なにが真実に近いか解りようもないが、生きている間には本流っぽい理論が発見されて欲しいものだ。まあ、それも後の世では鼻であしらわれてしまうものなのだろう。 本書の大きな魅力は、研究者達の現状がかいま見れるところにあるのだと思う。著者のイギリスやアメリカの実情を語るときのユーモアのセンスは、学者ではあるがなかなか侮れない。この本は物理理論を専門とした人に対するものでなく(それは科学雑誌の役割だ)、広く一般に宇宙理論にはこんな考え方もあるし、私の唱えようとしている理論は立場としてこんな感じなんだよ、ということを啓蒙するものなのだろう。的をはずしてない。ほんとに良く書けている。ただ、紙の本は著者が思うほど早く無くならないと思う、そこだけが立花先生っぽくて苦笑した。インフレーション万歳の立花先生にVSLは理解できるのだろうか。もちろん星は5つだ。(shige_u / 2004-06-13)
アインシュタインの相対性理論は部分的に真実だが説明に無理がある部分がある、と物理学の支柱となる理論にいどんだポルトガルの物理学者の著書です。 著者が私と同じくらいの年齢であること、私が個人的に好きなポルトガルの人であること、など他人事とは思えない部分あり、またあの天才科学者アインシュタインの理論を超える理論を展開しようとする姿に最近すっかり忘れていた物理学に対する思いを強烈に思い出させる一冊でした。(Takaちゃん / 2007-08-24)
レビュー数 13
[amazonでレビューを書く]
平均点:4.0
|
No.1-8
▼
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで / レビュー総評点:162
『フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで』で画像検索
|
ASIN:4105393014 / 売上順位:35523
新潮社(2000-01)
原著:Simon Singh/サイモン シン/翻訳:青木 薫
¥ 2,415(中古:¥ 611)
|
レビュー総評点:
162
面白い!
||||||||||||||||||||||||||||||||
とにかく面白いの一言!高校時代、数学ができず進級すら危ぶまれた私が一晩で読み上げてしまいました。数学者の情熱に刺激され、なぜか高校時代の教科書(・・・と言っても解答つきの虎の巻の方だけど)を引っ張りだし、解き始めて周囲を驚かすことに(笑)それでも興奮が冷めやまず、高校時の数学の先生(担任でもあった)にこの本を薦めたところ、すでに担任クラスの生徒に読ませており、なんと読後はテストの平均点が著しくアップしたとのこと!素晴らしい!!「あなたが五年前に読むことができれば、私もあんなに苦労しなかったのに・・・」と恩師にため息をつかれたのはせつなっかたけど。( / )
すごい。絶対のおすすめ。同著者の「暗号解読」を最近読んだが、それと並ぶ名著。フェルマーの最終定理の証明については以前も読んだことがあるが、難解で楽しめなかった。この本はそんな純粋数学の歴史をドラマチックにしかも正確に啓蒙的に描くというほとんど不可能とも思えることを成し遂げている。面倒な証明などは巻末の補遺に回してあるのだが、普通この手の本であれば敬遠するような補遺の部分も読みふけった。中学校卒程度の数学力で理解できるよう巧妙にかみ砕いた説明。 純粋数学から離れて、川の全長が直線距離の円周率倍に近づくこと(43ページ)、セミの幼虫が地下で過ごす年数が素数になる理由(137ページ)など、幅広い分野でのエピソードも満載。 なぜこのようにおもしろく読めるのか(so / 2001-11-07)
Andrew Wilesが1994年に証明したフェルマーの最終定理を題材に、ピュタゴラス、エウクレイデス(ユークリッド)、ディオファントスなどのギリシャ数学者に始まり、フェルマー、オイラー、ガウス、ガロア、ヒルベルト、ゲーデル、等の巨星が次々に登場し、読者に息つく暇を与えない。様々な逸話が登場するが、それが主題と直接・間接に関連し、著者の博識と筆力に脱帽せざるを得ない。 Wilesの8年間に渡る努力の描写は素晴らしい。特に1993年母校ケンブリッジで証明を公表した後、それに欠陥があると判明してから1994年遂に修正を終えるまでの一年間は、シナリオとしても出来すぎである。 Aczelの本でもそうだったが、谷山・志村両氏の貢献を正当に評価している。ちなみに本書では、Aczelほどヴェイユを悪く捉えてはいない。 !フェルマーの最終定理を扱った書物は数多く存在するが、こと一般向けに書かれたものでは、本書を凌駕するものは全く考えられない出来栄えである。(加納 裕 / 2003-10-12)
全編を通じて膨大な人数の数学者が登場し、普通だったら投げ出し てしまいたくなりそうな冗長な歴史書になるところだが、ひとつの数 式を巡る人間模様の絡み合いが実に面白い。特に前半は文句無し。 フェルマーの最終定理だけではなく数学にまつわる種々のエピソード がちりばめられ知的好奇心を満足できるだけでなく、人間ドラマも近 代以前の激動の時代だっただけに、戦争あり、策謀あり、男装の麗人? あり、決闘あり、とスケールが大きいのだ。 残念なのは「谷山=志村予想」が出てくる後半部分からは普通の伝 記とあまり変わらなくなってしまうところ。これは筆者サイモン・シンの 責任ではなく、あまりにその数学の内容が高度なため証明の詳細に (というより概念すらもほとんど)立ち入ることが不可能なため。したが って知的好奇心を満たす、という面からは歯痒さが残る。 (子犬のころすけ / 2004-11-23)
ピュタゴラス、オイラー、ガウス、パスカル、コーシー、フーリエ、 ガロア、ダランベール、ラグランジュ、ヒルベルト、ディリクレ、 ルジャンドル、リュービル、ポアンカレ、ゲーデル、チューリング。 フェルマー。ワイルズ。 全てこの物語の登場人物である。数多くの偉大な学者たちが ほんのひとときこの本に登場し、自分の役割を演じる。 それぞれにドラマがあり、苦悩がある。一種のオムニバスであろうか。 彼らを繋いでいるのはフェルマーの最終定理である。 もちろんこの物語は作り話ではない。実話である。しかし とても実話とは思えない楽しさ、面白さ、壮大さ、そして悲しさ。 フェルマーの最終定理を軸に、これほどの物語を作りあげた 著者にはまさに脱帽である。 物語の前半は数学の成り立ちからフェルマーの最終定理が 作られたいきさつ、それに対する様々の数学者の 必死の挑戦、苦悩が書き綴られている。 さらにゲーデルによる物語を根本から覆すような 示唆。 そして二人の日本人が登場する。彼らがフェルマーの最終定理に、 そして数学界に与えた影響は計り知れない。 彼らの登場により物語は一気にクライマックスへと進み出す。 ワイルズそして彼を取り巻く人間たちのドラマは この物語の一番の見せ場だと個人的には思う。 ワイルズの努力と挫折、あきらめ、そして・・・ ワイルズが得たもの、失ったもの。ワイルズの「大切なもの」。 ワイルズの心情については共感できると感じる方は少なくないだろう。 是非この実に起伏に富んだ物語を体験してみてほしい。 あくまで主役はフェルマーの最終定理ではなく それを取り巻く人間達である。 個人的には、訳者あとがきにもあるが、日本人を非常に良く (というか公平に)書かれていると感じた。一瞬「著者は日本人か?」 と思ったほどである。 記述も実に読みやすく、判りやすい。 数学の専門家でも、全く知識がない人でも読めると思う。 掛け値無しにお薦めの一冊である。(tote / 2004-03-21)
レビュー数 69
[残りも全部見る][amazonでレビューを書く]
平均点:5.0
|
No.1-9
▼
ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫) / レビュー総評点:254
『ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 』で画像検索
|
ASIN:4006030053 / 売上順位:719
岩波書店(2000-01)
翻訳:大貫 昌子/原著:Richard P. Feynman/リチャード P. ファインマン
¥ 1,155(中古:¥ 737)
|
レビュー総評点:
254
自らを語って一片の自惚れも自虐もなくこれほど澄明なユーモアに満ちた文章も珍しいのではないか。時にこのユーモアは抱腹絶倒の笑いに発展し、例えば徴兵検査で精神科医の検診を受けたさいの面白さはさながらウッディアレンの喜劇である。自分のことをまるで他人事のように語る筆遣いは欧米人によくあるスタイルの一つだけれども、この本のそれはちょっと一味違うように感じられる。それは自分自身の今に至る軌跡を面白おかしく描きながらも微動だにせぬ目で観察する科学者の視線といったものだろうか。沸騰する笑いと冷厳な観察眼その微妙なバランスがこの本の魅力を生み出しているのかもしれない。決して短くはない内容だが読み始めて気が付けばいつのまにか終章に至っており、そして読後感は実に爽やか!である。( / )
素晴らしい!!
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファインマンは、くりこみ理論で朝永振一郎と一緒にノーベル物理学賞をとった物理学者。でも、その話はぜんぜん出てこない。 出てくるのは、ちょっとしたことへの着眼と興味、筋道だったアプローチ。それは物理にとどまらず、女の子だったり、絵画だったり、音楽だったりする。 わたしが、「努力」とよんで歯を食いしばってやることを、難しい面倒だといってあきらめてしまうことを、この人は眼をきらきらさせて、おもしろい!といって、わらいながらやってのける。 きっと、人生というのは、何も考えずに楽しく過ごすものではなく、広く深く考えれば考えるほど楽しいものなんだ。(noa-dr / 2006-06-24)
いくつになっても好奇心でいっぱい! ファンキーな物理学者ファインマンさん! 「やりたいこと、好きなことを徹底的にやる」 っていう姿勢を生涯貫いているのがかっこいい! ・物事は暗記ではなく、理解することによって学ぶ ・人がどう思おうと、ちっとも構わない ・驚異の心をもたない人間は、消えたろうそくも同然だ。 ・とにかく何かにアッと驚き、なぜだろう?と考える心を失わないこと。 そして、いいかげんな答えでは満足せず、納得がいくまで追求する。 わからなければわからないと、正直に認めること。 下巻+「困ります、ファインマンさん」まで 一気に読めます!!(konpan / 2007-06-09)
中学時代に恩師の推薦図書として知ったのが最初.何度も読み返している.型破りな発想と実行力で,数々のいたずらやとんちを繰り広げるファインマンさん.物理に関する記述はないものの,発想や理屈はやはり研究者らしい.弱者のことも理解でき,自分を優者とは見ていないところが一番の魅力であり,見習うべき点であると思う.(じゅじゅ / 2007-04-22)
ノーベル物理学受賞者として有名なファインマン博士(故人)の自伝。「ご冗談でしょうファインマンさん」の原書です。戦前、戦中、戦後にわたる物理学者としての目覚しい成果の一方、恋物語から金庫破りまで、私生活を楽しむ一個人の側面が描かれています。仕事一辺倒の生き方を再考させられる一冊です。( / 2000-11-25)
レビュー数 54
[残りも全部見る][amazonでレビューを書く]
平均点:5.0
|
No.1-10
▼
ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫) / レビュー総評点:254
『ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 』で画像検索
|
ASIN:4006030061 / 売上順位:2412
岩波書店(2000-01)
翻訳:大貫 昌子/原著:Richard P. Feynman/リチャード P. ファインマン
¥ 1,155(中古:¥ 544)
|
レビュー総評点:
254
自らを語って一片の自惚れも自虐もなくこれほど澄明なユーモアに満ちた文章も珍しいのではないか。時にこのユーモアは抱腹絶倒の笑いに発展し、例えば徴兵検査で精神科医の検診を受けたさいの面白さはさながらウッディアレンの喜劇である。自分のことをまるで他人事のように語る筆遣いは欧米人によくあるスタイルの一つだけれども、この本のそれはちょっと一味違うように感じられる。それは自分自身の今に至る軌跡を面白おかしく描きながらも微動だにせぬ目で観察する科学者の視線といったものだろうか。沸騰する笑いと冷厳な観察眼その微妙なバランスがこの本の魅力を生み出しているのかもしれない。決して短くはない内容だが読み始めて気が付けばいつのまにか終章に至っており、そして読後感は実に爽やか!である。( / )
素晴らしい!!
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファインマンは、くりこみ理論で朝永振一郎と一緒にノーベル物理学賞をとった物理学者。でも、その話はぜんぜん出てこない。 出てくるのは、ちょっとしたことへの着眼と興味、筋道だったアプローチ。それは物理にとどまらず、女の子だったり、絵画だったり、音楽だったりする。 わたしが、「努力」とよんで歯を食いしばってやることを、難しい面倒だといってあきらめてしまうことを、この人は眼をきらきらさせて、おもしろい!といって、わらいながらやってのける。 きっと、人生というのは、何も考えずに楽しく過ごすものではなく、広く深く考えれば考えるほど楽しいものなんだ。(noa-dr / 2006-06-24)
いくつになっても好奇心でいっぱい! ファンキーな物理学者ファインマンさん! 「やりたいこと、好きなことを徹底的にやる」 っていう姿勢を生涯貫いているのがかっこいい! ・物事は暗記ではなく、理解することによって学ぶ ・人がどう思おうと、ちっとも構わない ・驚異の心をもたない人間は、消えたろうそくも同然だ。 ・とにかく何かにアッと驚き、なぜだろう?と考える心を失わないこと。 そして、いいかげんな答えでは満足せず、納得がいくまで追求する。 わからなければわからないと、正直に認めること。 下巻+「困ります、ファインマンさん」まで 一気に読めます!!(konpan / 2007-06-09)
中学時代に恩師の推薦図書として知ったのが最初.何度も読み返している.型破りな発想と実行力で,数々のいたずらやとんちを繰り広げるファインマンさん.物理に関する記述はないものの,発想や理屈はやはり研究者らしい.弱者のことも理解でき,自分を優者とは見ていないところが一番の魅力であり,見習うべき点であると思う.(じゅじゅ / 2007-04-22)
ノーベル物理学受賞者として有名なファインマン博士(故人)の自伝。「ご冗談でしょうファインマンさん」の原書です。戦前、戦中、戦後にわたる物理学者としての目覚しい成果の一方、恋物語から金庫破りまで、私生活を楽しむ一個人の側面が描かれています。仕事一辺倒の生き方を再考させられる一冊です。( / 2000-11-25)
レビュー数 54
[残りも全部見る][amazonでレビューを書く]
平均点:5.0
|