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No.1-1
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水銀虫 / レビュー総評点:4
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ASIN:4087748138 / 売上順位:366419
集英社(2006-09)
朱川 湊人
¥ 1,575(中古:¥ 23)
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レビュー総評点:
4
申し訳ないけですど、これ…ほんとに朱川湊人さんの作品?っていう感じです。 朱川さんの作品独特の、甘いような切ないような読後感がない… ホラーとしての朱川さんらしいな、と思った作品は『しぐれの日』『微熱の日』ですかね。 なんだか『病猫の日』や『薄氷の日』は、え?朱川さん?かと思ってしまいました。 うーん、もう読まないなあ… (かにぱん / 2007-11-07)
この作品も朱川さん独特の作風の作品でした。 ほのぼのした毎日にちょっぴり不思議なことが起こる・・・といったストーリー (「花まんま」など)と、 日常に潜むホラーを描いた作品と、大きく2通りの作風だと思いますが、 今回のものは後者です。 7編ですが、全部に「水銀虫」という架空の虫がキーワードとして据えられています。 7編のうちひとつだけ、先が読めるというかありきたりなものがあり(ハンバーグの話) 少し残念でしたが、 それ以外は短編らしく上手くまとまった作品で一気に楽しめました。 次回作も楽しみです。(本屋さんって楽しい♪ / 2006-10-20)
「水銀虫」とは人の魂の中に入り込んで這いずりまわり、 やがて無数の穴をあけてしまう虫。 ある登場人物の空想から生まれたものなのか、 あるいはその人が本などから見つけた架空の虫なのかはわからないけれど 物語の象徴的な役割を担っています。 心が悪意で満たされた時に、 体を虫が這いずりまわっているようなイヤな感覚に襲われる・・・それが水銀虫。 誰もが無意識にも抱いてしまう「ちょっとした悪意」 それがやがて大きくなり、水銀虫の入り込むスキを与えてしまう。 虫が肌を歩きまわる感覚がゾクゾクするほど伝わって、 鳥肌が少しずつ立つような静かな恐怖がジワジワ襲ってきます。 すべてのお話に共通することですが、 どれも最後まで解決しないナゾが残り、後味の悪い読後感。 (このイヤ〜な感じも計算なんでしょうが・・・) ハンバーグの話はトラウマになりそうです。 (実は2,3日前に食べたばかりなので余計に・・・)(夢追い虫 / 2007-02-15)
朱川さんの得意なモダンホラーの短編集で、いつものようにどの作品も面白くて一気に読んだが、正直言って読後はあまり良くなかった。同じ短編集でも「都市伝説セピア」や「花まんま」の方が好きだ。 理由は、本書の登場人物は皆善良で、精一杯生きているにもかかわらず、不幸な目に遭った上に、救いがないからだ。タイトルの「水銀虫」は勿論想像上の産物で人の魂に入り込んで無数の穴をあけてしまうそうで、この短編集の主人公は皆水銀虫に取り付かれてしまっているようだ。 水銀虫についこれ以上のの詳しい説明はないのも不満だ。出来ればこの続編で、水銀虫に何故取り付かれるのか、取り付かれた人が癒される術はないのかといったところも書いてほしい。(スイート・サイエンス / 2007-05-05)
表紙からして、ダークだとは思っていたのですが、かなりのダークさ。 風邪気味で体調が悪い時に、『鬼の跫音』に続いて読んだので胸の中がモヤモヤとし、頭の中に水銀虫がざわつく気がしそうでした。 「わくらばシリーズ」のようなややほんわりするような日常の不思議を描く朱川さんの裏の顔。 ダーク朱川です。 「虎落の日」では、祖母の孫への愛の形をふたつ別の形で見事に描かれていると思います。 母親とはまた違った祖母の愛情。 母なら連れて行かないであろうし、病院へ連れて行ってまでしても必ず除去しようとするでしょう。 同じ科を背負ってまでも、孫と一緒であろうというのは、祖母の愛なんだろうなあ。 ダーク朱川を、探して読んでみたいと思います。 今度は、体調の良い日に…w。 (nyanco / 2009-05-09)
レビュー数 6
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平均点:3.5
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No.1-2
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ジェネラル・ルージュの凱旋 / レビュー総評点:171
『ジェネラル・ルージュの凱旋』で画像検索
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ASIN:4796657541 / 売上順位:44346
宝島社(2007-04-07)
海堂 尊
¥ 1,680(中古:¥ 99)
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レビュー総評点:
171
「チーム・バチスタの栄光」で初めてこの作家の作品を読んだのだが、個人的には、本作品の方が切れ味がいいように思う。速水と沼田のやりとりは実に興味深い。この作家が書く作品をミステリーというカテゴリーに入れられるかどうかは、読者次第ということになるが、ストーリー展開や人物描写は優れていると思う。またこの作品は、日本の救命救急医療のあり方にも疑問を投げかけている。速水も語っているように、医療の現場、特に救命救急「ER」に資本主義を持ち込むべきであろうか?医療も確かにビジネスかもしれない。しかし、重要なインフラでもある。出産、急病、事故は待ったなしでやってくる。儲かる患者のみ受け入れる。そういう病院があっていいのだろうか。お金がないと適切な医療を受けられないのだろうか。 話は少しそれるが、現在放送中のドラマ「医龍2」でも同じことを伝えているような気がする。医療機関だから、金を湯水のように使っていいというわけではないが、医療機関が採算のみを重要視するようになった時、日本の医療は崩壊するであろう。(松本秀夫 / 2007-11-29)
医療読み物の新シリーズ
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今までの本と本書を読んで思ったのは、作者の書きたい主人公は生と死を含む医療そのものが主人公なのだと思った。バチスタは最新手術技術、ナイチンゲールはAIを含む死後医療検索、螺鈿は死後医療のもつ闇、ジェネラルは救急医療が、そしてそれぞれにおいて現実と理想の問題提起、これこそが主人公なのではないか。作者の力量によってミステリになり、サスペンスになり、エンターテイメントへと形を変えているがぶれることのない芯は医療をといかけるシリーズではないかとおもう。田口先生も、火食い鳥もすべては主人公でありつつ、主人公を語る語り部ではないかと感じた。そう思ったら本シリーズの姿を変える様相が腑に落ちた。枝葉末節なのだ。だからあるがまま医療と向き合ってみよう。(厳選他意不゜ / 2007-05-08)
病院小説の本道
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ナイチンゲールのファンタジー路線は???でキャラクターもつめこみすぎて破綻していた。もうこれ以上読むこともあるまいと思っていたが、ジェネラル・ルージュはなかなかのできだった。ご都合主義なラストもエンターテイメントならありだろう。こちらを楽しむためにナイチンゲールはあまり期待せずにさらっと先に読んでおいてもいいかもしれない。(小原一馬 / 2007-07-16)
近作の騒動の渦中の人物はICUの長である速水。 速水は「螺鈿迷宮」の巌夫じいさんに似ている。 医療や患者や社会的要請のためならば、ルールなんぞクソ食らえという態度だ。 そういった人物の書き方が絶妙に上手くて格好いいものだから、 読者は現代医療の問題点についつい意識が言ってしまう。 やり方がズルいよ、いい意味で。 1番の驚きは、空気主人公である田口がちゃんと主人公らしいことをしていること。 一体どうしたんだ? 1級のエンタテインメントでありながら、問題提起まで格好よくキメていくのだから大したもの。 「ナイチンゲール」や「螺鈿迷宮」みたいな陰鬱な話でもないので、読後感もスッキリ。 医療の世界の英雄譚。 傑作です。(AgePan / 2007-11-17)
バチスタからずっと、続いてるんですね。ナイチンゲールは正直?でしたが、螺纏の少し前、ナイチンと同時期の設定のこの作品は楽しかった。今、医療において何が問題なのか、一般人の私にも解りやすく定義してくれる。これからも海堂尊の作品は追い掛けてしまうと思う。例えたまに、こけてもね。(いっちゃん / 2007-05-17)
レビュー数 49
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平均点:4.5
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No.1-3
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名もなき毒 / レビュー総評点:71
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ASIN:4344012143 / 売上順位:65672
幻冬舎(2006-08)
宮部 みゆき
¥ 1,890(中古:¥ 12)
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レビュー総評点:
71
元々、宮部さんは一見小物なようで実はかえってそこがたちが悪い、 という悪を描くのが上手いよな、と思っていました。 たとえば「今夜は眠れない」で 誰からも愛されるよい子ちゃんの見本のようだった女の子の ジコチューぶりが最後に暴露されたときは喝采ものでした。 私は「誰か」よりこちらが好きでした。「誰か」のときは 杉村一家がちょっとリアリティがないぐらい メルヘンチックに描かれていたのと、依頼人の姉妹がさいごまで どちらも好きになれなかったので、あまり感情移入できないのがちょっと、だったのですが、 今回、ついに杉村家も怪しくなってきたので逆に興味をそそられています。 途中購入した家の環境調査に 躊躇なく大金を使う菜穂子に違和感を感じる場面からはじまり、 結局その家を今度はなんの躊躇もなく手放すという菜穂子に 夫の杉村一郎が引っかかっている、という箇所が詳細に語られているので これは今後(絶対続編がまたあると思いますが) 伏線になるのだろうな、と思いました。 それにしてもこの作品での「困ったちゃん」女性はこわかったです。 一応毒殺事件の話なのに毒殺犯人は ぜんぜんどうでも良く、この女性のインパクトが強かった。 名もない毒ではありますが、この種の毒はたしかに 世の中に増えていってると思います。 ただ、宮部さんが上手いのは、杉村一郎の「逆玉」状況に対して 大なり小なり毒のある発言をせずにいられない人々も また「毒」なのだ、ということもちゃんと表現していることですね。 「火車」「理由」みたいに一気に読ませる力はないのですが、通勤の時など細切れな時間につらつら読むには適している良品だと思います。(chaika / 2007-01-30)
先が早く知りたくなる展開のうえ、読みやすいため、2日程度で読了した。 良い意味でも悪い意味でも後味の悪くない小説。 人によっては爽やかな読後感を与えるだろう。 人によってはやや物足りなさを感じさせるだろう。 自分には物足りなさの方が強く感じられた。 事件を経て、傷を負ったのは、自分のせいでもないのに毒に冒された人々だけ。 恵まれた環境にいる主人公達は、ちょっとしたスリルを経験できただけ。 結局、土壌汚染を自力で改良できるか、できないかの違いというだけか。 それだけでは、あまりにも毒に冒された人達に救いがないような気がしてしまった。(georgiatekondo / 2008-03-03)
本屋でさんざまよった挙句購入。(ハードカバーはめったに買わないので) しかし買ってよかった。通勤中に読もうと思っていたけれどとまらず、最後は結局会社のトイレでこそこそ読みきってしまった。ごめんなさい、会社。 大筋は毒物混入無差別殺人事件が軸になるのだけれど、さまざまな毒、さまざまな事件が絡みあって話は進んでいく。各々のエピソードが興味深く、それだけでじゅうぶんおもしろかった。 けれど、それらを最後にまとめあげる手腕はさすが宮部さん!あーー、こういうことが言いたいがための話でしたか、と最後迄きて深く考えさせられた。 世の中には名もなき毒がたくさんある。それは誰もが持っている。誰もがその毒にさらされて生きている・・・。 生まれながらに不平等な世の中。北見さんの言葉を借りるなら「生きにくく、生かしづらい」か。 深く考えさせられた。ああ、人間こそが毒。 惜しむらくは、いろいろなエピソードが絡まりすぎて、各々が若干薄くなってしまっていることか。 もう少しそのへん聞かしてくれんかい!?と思う個所がちらほら。それは欲張りってもんですか? (aripanda / 2006-10-02)
この、もの悲しい読後感は、何なんだろうかと思う。正直で全うな生き方をする人間が不幸に見舞われることか、権力・地位・財力を得てもなお無力感を感ずることか。どうやら、ここで描かれている登場人物は、正直で素朴な主人公も、権力や財力を得ているその義父も、また犯罪を犯した人々も、皆、満たされぬ思いを持っているからかもしれぬ。その満たされる思いを、解消するすべをもっているか否かで、犯罪者になるか否かが決まる。犯罪者、異常者と、ここで描かれている良い人々との、実は差異があまりないことに、もの悲しさを感ずるような気がする。(ベンジャミン / 2006-09-03)
この本の中で特に印象に残ったのは、 主人公とその娘との会話である。 「明日桃子があかねちゃんにごめんなさいをしたら、 あかねちゃんもごめんなさいしてくれるかな? 桃子だけがごめんなさいしたら、桃子だけが悪いって あかねちゃんに思われちゃうのかなぁ?」 謝った方が良いという事は本能的にわかっている。 でも、自分だけが悪いわけではない。 なのに自分だけ謝っちゃったら、そう思われてしまうのでは? 彼女が思い悩んでいるのは、 それが『理不尽』だと思うからだ。 子どもでも成人してからでも、人々が割り切れない思いをするのは 『理不尽』である事に変わりは無い。 「あんなに何一つ不自由なく幸せな人もいるのに、 どうして私は苦労ばかりするのか。」 「自分の思い通りにばかりなっている人もいるのに、 どうして私だけ。」 誰でもほんの少しは胸の片隅に持っている『理不尽』。 ある程度時間がたてば、 それぞれに自分をなだめる方法を身に付ける。 でも、誰でも、そういう気持ちを完全に消すことは出来ずに、 浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返している。 そして『理不尽』を全く自分の中で消化する事が出来ずに、 常に抱え持っている人もいる。この本にはそういう人が出てくる。 自分たちのまわりにも、気付かなくても そういう人がいるかもしれない。 この本で言う『毒』とは『理不尽』の要素も多く含まれている。 (つむじ / 2007-09-10)
レビュー数 89
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平均点:4.0
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No.1-4
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赤い指 / レビュー総評点:165
『赤い指』で画像検索
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ASIN:4062135264 / 売上順位:100440
講談社(2006-07-25)
東野 圭吾
¥ 1,575(中古:¥ 1)
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レビュー総評点:
165
本書は、直木賞受賞後の最初の作品であり、第60作品目という記念碑的位置づけにあるそうだ。『赤い指』という謎めいたタイトルは読者にその意味すら想像させない。赤い表紙に白い手が描かれている装丁は、なんだが本書のタイトルとは逆で面白い。インパクトのある装丁だ。「書き下ろし」の長編小説だが、短時間で読了した。しかし本書の内容が読者に突きつけるテーマは重厚であり濃密である。一言でいえば、「家族」の意味やあり方を真っ向から扱った力作である。 東野作品はそれなりに読んでいるし、彼の作風も私なりに理解し始めているところであるが、これまで読んできた作品のなかでも、本書はとくに「心を揺さぶる」衝撃的なものであった。詳しい内容を記載するわけにはいかないが、趣向は『レイクサイド』(文春文庫)に似通っている印象があった。とはいえ本書は、ファンにはお馴染みの加賀恭一郎が登場し、しかも彼自身の家族の内実が(一端ではあるが)明らかにされるということで、読み応えが違う。加賀と彼の父親との関係は、『美味しんぼ』における海原雄山と山岡志郎のそれを想起させるところがあるが、二人にしか分からない「見えない意思疎通」とでもいうべきものが存在したに違いない。彼らには余計な「言葉」は不要だったのだろう。余韻を残す見事なエンディングはそれを如実に物語っている。 中学生の少年が幼い少女を殺害するという陰鬱な事件(しかも殺害動機それ自体が意味不明)の真相を解明してゆく加賀刑事が直面したものは何であったか。自らの「家庭」と重ね合わせたのか、それとも今は亡き「母親の面影」を胸のうちで密かに偲んでいたのであろうか。いずれにせよ本書からは、刑事としての加賀恭一郎というよりは、不器用だが熱い血の通った人間的魅力を十分に秘めた人間としての加賀恭一郎の生き様がビシビシと伝わってくる。これからの加賀の動向に注視する読者は私だけではあるまい。 (TKMT / 2008-06-04)
むしろ物語においてメインとなるのは殺人ではなくその後、だろう。 作者は天下一シリーズで「トリックは誰も興味が無い。社会問題をテーマにしたい。」という様な事を書いていたが、この作品は幾つもの社会問題を混在させた傑作だと言える。 加賀恭一郎シリーズは一ひねりされているものばかりだが、「赤い指」にはそれが何度も起こり、お決まりの展開に収まっていないのが良い。 高齢化社会において身内(そして自分)の介護は誰しも大きな問題となっていつか直面するが、その現実を認識させられただけでも読んだ価値はあると思った。 また親子関係の大切さも身にしみた。東野小説は30冊くらい読んだけど、泣きそうになったのはこれが初めてだ。 ページ数が少ないためコストパフォーマンスは微妙だが、加賀恭一郎シリーズでは「悪意」と並んでやっぱり傑作だと思う。(馬 / 2008-03-27)
贖罪の仕方
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かなり激しく心を揺さぶられます。程度の大小ことありすれ、誰もが持っている、慙愧の念をどう克服するか、という思いを描ききった作品だと思います。深い深い後悔に対して、それへの贖罪のあり方を、問いかけているように思います。内省的で、自律的で、かつ、「男は黙ってサッポロビール」的な、自分が何を考えそうしているのかを誰にも明かそうとせずに、その贖罪をしようとする、人間像に心惹かれます。 ただ、あえて言えば、年老いて痴呆症となった母についての設定は、やや無理があるように思いますし、リアリティを損なうように思いますが、筆者はそうまでしてまで、前段の主題を描きたかったのだろうかと推察しています。 東野圭吾作品は全て読んでいますが、異なった視点から、よくぞここまで人間の心理のあやと動きを描ききるものだと、この人は天才だと、読後にはいつも思います。(ベンジャミン / 2006-07-29)
東野作品はほぼ全て読んでいますが今回の作品はラストの真相がわかるまでは大したことはないなぁと思いながら読み進めていました。前作の「X」にくらべれば駄作かな?と思っていました。ところが、ラストの展開!!これには正直やられた!と思わざるを得ませんでした。母親の子供に対する深い愛情が、こんなにも間接的な形で表現できるものなのか!と本当に感心しました。中には現実的でないという方や、ミステリーではないと言う方もいるでしょう。しかし、この作品は私はそんな次元ではなく人として本当に必要なもの・生き方を教えてくれる貴重な小説といえると思います。電車の中でラストを読みましたが、涙をこぼさないよう抑えるのが大変でした・・・(kadoq / 2006-08-31)
直木賞受賞後の第一作目。 個人的には前作より巧いと感じた。 自宅とその近辺という極狭い舞台に 加害者、被害者の家族と事件を暴く刑事だけの登場人物、その限られた範囲内で 最初から衝撃的に展開し、最後までハラハラ感を持たせながら一気に進むからだ。 嫁姑の確執、現実から逃げるだけの夫、息子に執着するエゴな妻、いじめにあう息子。 今後ますます追い詰められるであろう高齢社会における介護の問題。 少年犯罪とその奥に潜む親も含めた人間の荒み。 どちらもいつ自分に降りかかるか知れない極身近な問題だけに、 実にリアルな設定である。 主に加害者側からの視点で事件は展開して行く。 昭夫が死体を遺棄する場面などは、実にリアルな描写で臨場感が伝わってくる。 中半には後々の展開が読めてしまうが、 結末はまさに2時間ドラマサスペンスの様相を呈している。 重いテーマながら東野作品は解りやすく、シンプルで、一気に読破できる面白さがあり、 やはり誰からも愛されるのだと感じた。 (いちご / 2007-02-08)
レビュー数 104
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平均点:4.0
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No.1-5
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オレンジの季節 / レビュー総評点:-7
『オレンジの季節』で画像検索
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ASIN:4048737058 / 売上順位:655940
角川書店(2006-08)
鯨 統一郎
-(中古:¥ 1)
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レビュー総評点:
-7
以前,別の雑誌で作者自身がこの本を紹介していたのに 興味を持って購入してみた。ラストをあのような急な 展開にするのは「実験」だったのらしいのだけど…。 色々と物議を醸しているあのラスト自体は,別に反対 ではないのだけど,それまでの過程で薫,怜華や雅和 以外の人物説明が不足しており,非常に印象が薄いと 感じた。もう少し人物を絡ませないと生きてこないよ。 また,登場人物の顔見せ位で,いきなりあの展開にして しまうのは,家の骨組みだけ作った時点でそれ以上の 工事を投げ出して崩しているだけのような感じがする。 …もう少し他のエピソードを盛り込んで重厚な家を こしらえてから崩した方が,却って読者にカタルシスを もたらしたのではないかな?ちょっと自分の口には 合わなかった。 ところで,ふと思い付いたのだけど,この本のタイトル 「オレンジの季節」はオレンジを日本語にして全体の読みに 別の漢字を当てると話全体の内容からして妙にしっくりくる タイトルに置き換わる気がした。作者が意図的にやったような 気がしたけど,これって気のせいかな?
(ゆうちゃん / 2009-02-13)
結婚を機に相手の実家にはいり、専業主夫となった主人公。 専業主夫に、賛成する者、反対する者あり、前途多難な結婚生活。 慣れない主夫業に悪戦苦闘しつつも、やるからには真剣に、という 主人公を少しづつ認めていく家族。 そのうち家族のいろいろな問題が浮き彫りになっていく。 と、そこでいきなり話が急展開! あれよあれよという間に思いも寄らない方向に転がりだしていく。 いろんな意味で鯨さんだな、と思う作品。(カミングアウト / 2007-10-01)
夏の鯨作品は充実している。この作品も一気に読み終わることが出来た。着想もなかなかなものだ。ただ、ラストが少し残念だった。この作品にはリアリティがある。(yass / 2006-09-07)
レビュー数 3
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平均点:3.5
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No.1-6
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下北サンデーズ / レビュー総評点:-2
『下北サンデーズ』で画像検索
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ASIN:4344012062 / 売上順位:351274
幻冬舎(2006-07)
石田 衣良
¥ 1,575(中古:¥ 1)
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レビュー総評点:
-2
昔、下北沢の近くに住んでいたので読んでいて思わず懐かしくなりました。下北沢には本当に劇団がたくさんあります。話の中ではそのなかの一つの劇団員の話。下北沢ってなぜか夢を追える街だし、いい設定だなと思いました。下北沢のよさも伝わってきてよかったです。(かぼかぼこ / 2007-02-09)
なんの捻りもない、直球そのままな本である。 10年下積みが続いてる劇団に新人の女の子が入ってきて、メジャーに駆け上がっていく過程と葛藤の物語。 頑張ってさえいれば、成功する、というものじゃない。 じゃぁ、成功するためには、何をしたらいいのだろうか。 「頑張り」+「???」=成功するには、きっと「風」が吹く。 でも頑張ってないと、そのチャンスさえも訪れてこない。 だから、頑張る。 とにかく、裏もひねりも無く、素直っていえば本当に素直な本。 最近めずらしいかもしれない。(じゅずじ / 2006-09-23)
テレビドラマの原作となっている作品。下北沢を活動拠点とする劇団内部の人間関係と成長を描いている。ただ、その内容は薄っぺらく、展開もあまりにもご都合主義。最近の石田氏の作品には正直落胆させられる事が多い。唯一救いなのは、お得意の脇役のキャラクター造形だろう。 劇団を中心とした作品なのに、演劇シーンがあまりにも稚拙なのも如何なものか。(読書家 / 2006-08-08)
貧しくてお金もないけれど、夢を追い続ける人たち。そしてその夢が少しずつ かなっていく・・・。手に入れたものは大きいけれど、反面失ったものも大き かったと思う。だが、彼らはまだまだ夢を追い求めていく。明るく、楽しく、 そして「下北サンデーズ」の団員たちも個性豊かに描かれていて、読んでいて 心地よかった。ただ、彼らがどんな演技をしたのか、もう少し公演についての 詳しい描写がほしかった (ゆこりん / 2006-11-08)
金も未来もないが、夢はある!! 下北の小劇団の若者を描いた作品 石田衣良の好きな若者サクセスストーリー。 ちょっとアキハバラ@DEEPとかぶってたかも。 ストーリーよりも下北での貧乏生活、もやしとご飯があれば生きていけるとか、アパートの改築費用が出せないから地震がきたら火をつけて逃げろと大家から言われているとか、そういった細かいところが面白い。 正直、演劇なんてなくても人は生きていける。 なくてもいいものに人生を懸けるなんて、私には到底無理。 でもうらやましいなぁ、と思わずにはいられない。 (桑の実からできた泡 / 2006-10-31)
レビュー数 13
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平均点:3.0
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No.1-7
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美丘 / レビュー総評点:44
『美丘』で画像検索
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ASIN:404873718X / 売上順位:182782
角川書店(2006-11-01)
石田 衣良
¥ 1,575(中古:¥ 1)
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レビュー総評点:
44
大学2年生の太一は嵐のような女の子、美丘に出会う。 奔放で自由で自分の本能を決して抑えようとしない美丘に太一は恋をし、 2人は結ばれる。しかし美丘は脳に不治の病を抱えており、 美丘の激しい性格は命の残りを燃焼し尽す為のものであることを知った太一は慟哭する。 「セカチュー」石田版といったところでしょうか。 病気で女の子が死んで、残った男の子が過去を回想するという、 現代には飽和状態になっている設定をあえて選んだ作者の度胸に脱帽です。 石田氏らしく、ただの綺麗な純愛物語ではなくて、セックスもする 修羅場もある若い男女の恋を忠実に描いた作品になっています。 ラスト近くでは脳障害が進行しボロボロになっていく美丘や 涙をこらえながら美丘の世話をする太一に人を愛することがどんなに 大きな行為か、またどんなに犠牲が必要かを教えられました。 泣けるラブストーリーが好きという人はきっと楽しめると思います。 残念なのは、やはり設定の壁を打破し切れていない点です。 ひねくれた読み方をすれば「ありきたりのお涙頂戴を狙った作品」 とも見えてしまいます。また、ラスト1ページが他の同系統の作品にない 石田氏らしいクライマックスになっているのですが、そのシーンも 描きいれていないような中途半端感があることも否めません。 世に残る名作とはいきませんが、寒い夜にちょっと手に取って しんみりするには丁度良い本だと思います。(桑の実からできた泡 / 2006-11-19)
《誰かを愛することは、その人の命の責任をとることだ。》 本作に登場する一文。 この言葉の意味がよくわかる。本当に誰かを愛した時は、その相手になら自分の命を差し出せると感じると同時に、相手を殺せるのも自分以外にはいないと感じるものだ。これは単なる“殺し合い”の世界ではなく、その相手の命に対する情熱である。死というものは生きていて初めてできる行為であって、その生を終わらせることすらも、自分以外の者が行うのは許せない…そういった感情。極地(←「極致」ではない)、というか。人間、いつかは必ず死ぬとわかっているのなら、最高に好きな人の手で死にたいではないか。「そうは思わない」とか、あるいは、愛の前でさえも犯罪に関することを論じるような、ナンセンスで可哀相な人には用はない。この小説を読まないほうがいいだろう。 犯罪に関することをよくテーマとして扱う石田氏が、こういった展開(とりわけ心理的な部分)のものを書いたのは意外だったが、やはり、愛というものに関しては本能的な結論を持っていたのが嬉しかった。 読み終えた時、名画『ベティ・ブルー インテグラル』を思い出した。(ぴゆまま / 2007-10-31)
太一が恋したのは、グループで一番の美人ではなくて、破天荒で奔放な峰岸美丘(みおか)。 1度目に彼女を見かけたのは学校の屋上で、飛び降りるのか?とドキっとさせておいて、 空に近づきたかったと言った彼女。次に会ったのは、学校のカフェテリアで 「〇〇ちゃんの彼氏を寝取って」と女の子たちに罵倒されていた彼女。 それをきっかけに、太一たちのグループに入ってきた美丘。 口が悪くて下ネタをぽんぽんいいまくり、だけどお年寄りに妙に優しかったり。 太一には文句のつけようもない美人の恋人ができたのに、それでも美丘と 嵐に巻き込まれるように、突然、恋に気づいてしまった。 恋人として、美丘の秘密を打ち明けられた太一は…
と、くどい紹介文を書いてしまいましたが、この小説を簡単にまとめちゃうと、 75%は「世界の中心で、愛をさけぶ」 20%は「東京ラブストーリー」←ヒロインの奔放ぶりが 5%は「高瀬舟」 という感じでしょうか。男の子の思いつめぶりは、「天使の卵」ともいい勝負。 美丘、と、未来の太一が、彼女に呼びかけるスタイルで物語が進んでいきます。 雑誌(「野性時代」角川書店)掲載時は「ベタな恋愛モノで甘ったるい文体が コテコテでいいわね」と思ってましたが、単行本1冊で読むと若干胸やけしそうに なりました(笑)。雑誌で連載の1本として読んでいたときは楽しみにしてましたが 1冊まとめて読むと、美丘の粗野だけど一途なところとか、石田さんが 萌えつつ書いたんだろうなーというのがちょっと見えすぎちゃったような。 実は石田衣良は、短編小説のほうが好きかもしれません。でも、恋愛小説として 1冊一気に読むと、まじめに人を愛しぬくって大変だけど、いいことなんだよね、と 普通に感動できます。 (ハンカチ王女 / 2006-11-17)
この本を会社で読み、号泣してしまいました。 そして彼氏がとっても愛おしくなりました。 うまいことは書けませんが、愛する事の素晴しさというのを学んだ気がします。 (2784 / 2006-11-10)
私はこの作品を、携帯コンテンツで読みました。 主人公、美丘の破天荒で、でも生きることに真摯な姿に惹きこまれてしまいました。 最後の章を読んだのは地下鉄の中だったのですが、 恥ずかしいくらい大泣きしてしまいました。 ぜひみなさんにも読んでほしいです。(felinepack / 2006-10-29)
レビュー数 33
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平均点:3.5
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No.1-8
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削除ボーイズ0326 / レビュー総評点:-62
『削除ボーイズ0326』で画像検索
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ASIN:4591094723 / 売上順位:208685
ポプラ社(2006-10)
方波見 大志
¥ 1,470(中古:¥ 1)
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レビュー総評点:
-62
物語の肝心な面白さが全部あの映画にリンクしているところが非常に評価し辛い。 文体もこれが児童文学の文体でしょ?って読者に尋ねながら書いているような文体だった。 この作品はもう過去のものとして、次回作に期待します。 「バタフライ・エフェクト」へのオマージュでも無いだろうし。(徒然亭草若 / 2008-03-15)
普通に売っていた小説なら、特に問題ない作品だと思いますが…どこの書店でも店頭の目立つところに「ポプラ大賞2000万円作品」とかなんとか書かれて山積みになっている本です。手に取る人、買う人の期待もハンパではないでしょう。それだけに、斜に構えずに読むのが難しくなってしまうものでもあります。 正直、物足りないというよりは、プロットが、タイトルが連想させるようなSF的には浅いと思いました。しかし、この小説はSFかどうか微妙なところです。装置の詳しい機械的説明やタイムパラドクスの矛盾などをあえて避けるようにストーリー展開するあたりは、SFとは言いがたい部分がありますので、「2000万円」という言葉から連想してしまうほど深いSFトリックは含まれていませんでした。 率直に言うと、この小説を読んで「500万円」の方も読んでみようと思う人は少ないと思います。 設定が小学生である必要があるのかとか、せりふが小学生とはとても思えなかったり、そういう部分がありますが、途中ではさすがと思わせるほど先を先をと読みたくなる場面もありました。 つまり、詳細な調査や裏づけをしなくても書けてしまう類の小説ですから、おそらく文章力や表現力という部分以外での評価は難しいと思います…なにせ「2000万」と銘打っていますから… しかし、最近はなかなか日本人でこういうプロットを書く人がいなかったから、単純に面白かったというのが感想です。(新人原 / 2006-10-09)
大賞賞金2000万につられて読んでみましたが、 この作品を評価するのは、ちょっと難しい気がします。 プロットが革新的なわけでもなく、小道具も効果的では無く、 人物描写も浅く、あっと言わせる結末でも無い。 あえていえば、ポプラ社が選んだ処に、意味があるのではないでしょうか? そして、実際は中学生のようなイメージなのに、 それを小学生にあてはめた作者の勝ちかもしれません。 ただ所々に、既存の映画・小説・TVドラマの影響があるのは頂けません。 ハルなんて、よく使えるなあ。 選考者はそこらへんを指摘しなかったのでしょうか? 選考者の眼識も問われる作品だと思います。(kawakawa20 / 2006-10-26)
石田衣良『4teen』と梶尾真治『クロノス・ジョウンターの伝説』を足して1/10にした感じ コレが大賞作品?と思ってしまう。 ネタバレになるので多くは語らないが、消せる3分26秒。 最終章で消せる過去は普通一番先に気づくはず。 誰だって消したい過去を悔やんでいるなら、それは頭から離れない。 それが消せるのなら、真っ先に思いつくはず。 まぁ、主人公が子供だからといえばそれまでか? ポプラ社だけあって、児童作品レベルを出ていない。いや、児童作品以下か(水銀糖 / 2006-11-21)
写真にとった人物の過去から3分26秒を削除することができる……そんな時間物としては新しいアイデアを基にした作品。ウチの手帳の「読んでみたい」リストに入っていたんだから、それなりに期待していたんだと思うんだけど…… うーん、他のレビュアーも書いていますが色々と物足りないというのが正直なところです。 主人公を含め主要な登場人物が小学生なので行動が突発的なのは構わないのですが、思考方法が小学生やないですよねぇ。歩けなくなって車椅子生活の同級生や引きこもってしまった兄といった「重く」なりそうな設定も軽々しい感じだし。 魅力あるアイデアを生かし切れていない気がします。作者の初めての作品だから……と言いたいところですが、2000万円もの賞金を得た作品としてはどうなんでしょう?(があ / 2008-05-06)
レビュー数 31
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平均点:2.5
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No.1-9
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通天閣 / レビュー総評点:3
『通天閣』で画像検索
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ASIN:4480803998 / 売上順位:151300
筑摩書房(2006-11)
西 加奈子
¥ 1,365(中古:¥ 170)
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レビュー総評点:
3
ベストセラーの「東京タワー」に比べると、やはり高さの分、差がついたということか。 読み始めは少したいくつな気がしたが、徐々に引き込まれていった感じがする。大阪人の僕などには確かに染み入るくだりがあるが、関東の人にはどうだろうか。 微妙にクロスすることになる、中年男と若い女性。「あぁ、そういうことだったのか。」と物語の途中でわかる謎かけめいたストーリー展開は、なかなかのもの。 うまくいかない人生を送っている人、一読です。 (佐藤忠義 / 2006-12-29)
本の世界に入り込むまでにすご〜く時間がかかります。 序盤は本当に面白くない。 でも二人に欠けているものが見え始めると少しづつわかってくる。 関西独特のノリとテンポの良さで読ませます。 二人に欠けているもの・・・それは「愛情の記憶」。 愛すべきものを愛してあげることもできなかった後悔と、 愛してほしかった人に愛されなかった過去。 恋愛だけでなく、広い意味での愛。 それを沢山傾けられたり、あるいは抱いた経験は その人自身を作る大きな要素になるものなんですね。 東京の人にとっての「東京タワー」、 そして大阪の人にとっての「通天閣」って 何か大きな意味のあるものなのでしょうか。 人生に立ち止まってしまった時、 高い建物に登ってみるっていいかもしれない♪ 下界に見える町並みや人、車の小ささを見たら、 何かふっきれるものがあるかもしれません。(夢追い虫 / 2007-01-25)
登場人物がだれもぱっとしない人ばかりです。美男美女も出てこないし、順風満帆な人生を送っている人も出てこない。舞台になっている場所も人情味あふれる感じの町ではあるが、人情を感じるような人間関係は描かれていない。でも、この作品にとっても「愛」を感じました。感動的な文章や素敵な言葉がちりばめられている、というわけでもないのに、文章一遍だけを読むと粗雑で淡々とした文章なのに、最後まで読むと心に何か温かなものが残っている、そんな作品でした。著者の中で一番好きな作品になりました。(sakusaku / 2007-11-11)
大阪生まれで大阪育ちの私にとって、通天閣そのものには、何ら感慨を有さない。 上った事も無いし、日立の広告と、天気予報のイルミネーションの目立つ、単なる建造物に過ぎない。 つまり、大阪人の心の拠り所でもないし、大阪人の誇りどころか、何となく恥ずかしい。 それは、通天閣を、よく知っている方には、分かってもらえると思う。 通天閣そのものよりも、周囲にある串カツ屋に、魅力を感じる。 名物の串カツでビールをあおる、なんてグッド! 通天閣なんて二の次だ。 通天閣そのものよりも、この二人の心の屈折の具合が面白い。 「過剰に」おせっかいで、好奇心の強過ぎる大阪人にもまれる、二人の挙動が興味深い。 物語は、淡々と進む。 大きな抑揚もなく、終盤までさしかかる。 そして、一つのハプニングだ。 このハプニングに対する、周囲の冷めた反応も、なるほどと思う。 しかし、ハプニング以降の、二人の心境の変化は、目覚ましい。 それは、驚く程、前向きだ。 私を含めて、人生の荒波に、打ちひしがれている方にこそ、共感出来る部分が多いと思う。 本書を手に取る方は、少し人生観が変わるかも知れない。(ヤキソバ / 2007-02-11)
有名なものでも2冊ある「東京タワー」は関東の都市生活者を象徴するネーミングだ。ならば、「通天閣」はどうだっっ。通天閣って、大阪人にとって何なの?通天閣が代表する関西人の生き様って、どんなもの? 通天閣は、そびえたってない。そりゃ高いよ。でも、まあええやんか、と言ってくれているような気がする。ちょっとカッコよくないかもしれないけど、絶対優しいやんか。 40過ぎたバツイチおっさんと、20そこそこの2流大卒女子(シングルマザーの子)の、別々の現代都市生活が交互に描かれる。どちらも通天閣のまわりでウダウダ投げやりに暮らしている。終盤、二人の人生がクロスする場面は、ストーリー作りのうまい西さんならでは。ぐいぐい迫ってくる。作り過ぎない結末も好印象。 各章の冒頭の、起きかけの登場人物の夢を描いた部分は、余り効果的じゃないかも…。(ドクトルg / 2006-12-16)
レビュー数 9
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平均点:4.0
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No.1-10
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ナイチンゲールの沈黙 / レビュー総評点:-16
『ナイチンゲールの沈黙』で画像検索
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ASIN:4796654755 / 売上順位:74689
宝島社(2006-10-06)
海堂 尊
¥ 1,680(中古:¥ 99)
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レビュー総評点:
-16
本作の評価が低いことに驚きを隠せません。 レビューを読んでいく内になんとなく納得しました。皆さん飽くまでミステリーとして謎解き要素を楽しみにして居られたのですね。 私は前作を読んだ時点でミステリーの賞を受賞した作品だがミステリーではないと感じました。理由は医療のしかも外科手術や麻酔技術についてのプロでなければ知り得ない犯行方法とMRI等についても詳しく知る人物でなければ分からない解決方法にあります。これでは最初から絶対に勝てないと分かっている横綱と小学生の相撲のようなものです。 本作を読む前に「ジェネラルルージュの凱旋」を読んでいたこともありミステリーとしての要素は全く期待していなかったこともあり私は本作全体に流れる静かな時間を非常に楽しめました。 ラストへ収束していくあたりに多少強引さを感じますが前作やジェネラルルージュと違い看護師や患者からの目線で観る医療と心のケアという問題は感慨深い問題提示と感じました。 私は筆者はミステリー作家という枠組みではなく高橋克彦氏や東野圭吾氏のような多ジャンルを跨いで歩いていくのではないかと楽しみにしています。(BBB / 2009-07-16)
バチスタがおもしろかったのでつい購入・・・。 がっかり!の一言です。まず、無駄な登場人物が多すぎ!その人物説明や関係などにほとんどの項を割いていて途中から退屈してきます。ストーリー展開も強引だし、アリエネエよ!とつっこみどころ満載・・・。 何より残念なのは白鳥や田口のキャラが全然生きてこないところ・・・。 バチスタ面白かったのになぁ・・・。 まぁ、海堂先生はまだまだ新人ってことでかろうじて星2つ!(さやか / 2007-12-31)
SF小説.
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バチスタの正統な続編とは認めたくないですね.今作はSF.少なくともミステリーではありません.最後まで読ませる力はあると思いますが,前作がすばらしかっただけに・・・ 次の作品で主要キャラはどうやら出揃ったようなので,2007年度新作では前作のような「論理爆発」が炸裂する作品を期待します.(ぐら / 2006-12-26)
前作がかなりおもしろく読めたので,2作目が出ると聞いたときから楽しみに待ち,書店でも発売日に手に取ったのですが。退屈でした。後半は読むのが苦痛でしたが,せっかく買ったので我慢して読了しました。やたらに多い登場人物も生かし切れていないし,何のために出てきたのかもわからない人も…。白鳥の大学の同窓とかいう人々もうざかった。ミステリーではないと思います。前作とは設定や登場人物はがぶっているけれども,全然違うタイプの小説です。でも,この作者に結構期待しているので,次作も読んでしまうと思います。(kans / 2006-10-13)
この作者は一貫して、白鳥を登場させるのが遅い。
というのは、個人的な意見。 白鳥大好き人間なものですから、登場するのを今か今かと待ちわびてしまったりします。
客観的な話をすると、現実離れしてる気がして、共感できる部分が少ない。 医療問題を扱ったバチスタは、確かに医療について全然知らない読者がほとんどであり、“本当なのかどうかはわからない”にしろ、何か、本当なんだろうな、と思わせてくれた。
しかし、歌声で、自分の映像を相手に伝えるという謎の解明。
そして、ロジカルモンスターの異名を持つ白鳥が、負けてないにしろ、中学生相手に、あそこまで追い詰められるというのも疑問符がつく。 世界は広い。ということを考えても、僕にはあれだけの中学生が、ましてや日本に居るとは思えない。 小説だから居ないのですが(笑)
ただし、螺鈿、ジェネラル、ブラックペアンを読むつもりの人は、評判が良くないからといって読まないというのはオススメ出来ません。 ナイチンゲール、螺鈿を呼んでからのジェネラルは面白さが10倍ぐらいUPするといっても過言じゃないはずですから。 ブラックペアンも同様に。(しまこ / 2007-12-15)
レビュー数 75
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平均点:3.0
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No.1-11
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夜は短し歩けよ乙女 / レビュー総評点:58
『夜は短し歩けよ乙女』で画像検索
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ASIN:4048737449 / 売上順位:67401
角川書店(2006-11-29)
森見 登美彦
¥ 1,575(中古:¥ 36)
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レビュー総評点:
58
なじめたら星5つ、なじめなかったら星1つ
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本書の良さについては多くの方が書かれているので、別の面から書いてみたいと思います。 この独特な文章になじめるかどうかで評価は大きく別れてくるでしょう(これもすでに指摘されている方がいますが)。 わたしはなじめませんでした。 その具体的な箇所をいくつか挙げてみます。 ネタバレ注意。 ・・・ 私の手なんぞ何の面白みもありません。紅葉饅頭のほうが断然可愛いに違いないのです。 p.22 私は頬が火照るのを感じましたが、それは酔いのためではなく恥じらいのためでした。豆ッ恥、豆ッ恥。 p.47 しかも私が中学生の頃から欲しかった本が、百円玉一枚だとは! お財布への信頼に一抹の翳りある我々にとってはありがたすぎるお話です。ビバ、「ビギナーズラック」。それとも私は古本市巡りの才能があるのかしらん。私の興奮はいやが上にも高まります。 pp.81-82 そして樋口氏から、彼女がその絵本を追い求めて古本市をさまよっていたことを聞いた刹那、「千載一遇の好機がついに訪れた」と直感した。今ここに一発逆転の希望を得て、ついにふたたび起動する私のロマンチック・エンジン。 p.117 なぜ先輩はあんなに驚いたのだろうと私は思いました。私の顔に何かオモシロオカシイものが? p.138 この先どんなオモチロイことが私を待ち受けているのであろうか! と我が興奮が天井知らずに高まるのも宜なるかな。 p.156 もちろん私は普段から精神を研ぎ澄ましているような人間ではありませんが、その「ボーッ」は、「ボーッ」の中の「ボーッ」、「世界ボッーとする選手権」というものがあれば日本代表の座も間違いなしと思われるほどに筋金入りのボーッであったのです。 p.228 ・・・ こういう文章に違和感を感じなければ読んで損はしないはずです。 いずれにせよ、購入する前に一度立ち読みしてみてください。 10ページも読めば雰囲気がつかめると思いますので。(モノクロ / 2007-02-07)
世界の豊かさを味わえる一冊。 しいてあらすじを伝えるなら「天然少女と、彼女に恋した青年を中心としたドタバタコメディ」となるが、これは「となりのトトロ」を「田舎に引っ越してオバケに出会う物語」と書くのに等しい。あらすじにすると、取り落としてしまうものが多すぎる。 主人公二人もいいのだが、この小説の本当の面白さは二人をとりまく人々の豊かさにある。十数人にも上る脇役が、それぞれ人格をもつ存在として書き込まれている。てんでばらばらな立場の、ばらばらな願望をもつ人々が、つながり結ばれていく面白さ。起こりえない事件、ご都合主義な展開でありながら、網の目のような人間の結びつきにリアリティと温かさがある。 多くの小説、映画が「目的を持つ主人公と、乗り越えるべき障害」というシンプルな構造で進んでゆくのに比べれば、実に雑多で魅力的だ。 「なにをいいたいのかわからない」という人がいるのも理解できるが、起承転結のストーリー、大上段のテーマばかりが小説の面白さではないだろう。ストーリーとテーマ性ばかりが重視されるようになってから、小説も映画も(ハリウッドを代表として)痩せてつまらなくなったのではないか? そうした作品とは対極の「豊かな」作品として、これは傑作だ。 なお特徴的な文体は、夏目漱石や太宰治などの古典的作品や、慣用句を下敷きにしたパロディを含んでいる。そうした古い文章になじみのある人なら、台詞回しにニヤっとさせられること請け合い。(三水 / 2009-06-16)
初めて森見登美彦さんの作品を読みました。独特な文体ついては、始めのうちとっつきにくいと思っていましたが、読み進めていくうちに、その文体が出てくると、心地よくなってきました。逆に、それが出てこないと気持ち悪くなるくらいでした。 不思議な登場人物と京都の雰囲気が絶妙にマッチした作品になっていると思います。(都彌那嘉 / 2009-02-08)
“先輩”と“黒髪の乙女”の二人の登場人物が交互に登場し それぞれ一人称で語る短編の連作4編。 小説の完成度に関しては 評価できる資格はワタクシにはない。 ただ、この二人の語り手が極めて魅力的なことはよくわかる。 とりわけ“黒髪の乙女”の天然で無邪気なところがとても良い。 そしてこの二人の語る文章の何とも言えないリズムと内容が可笑しい。 はじめはその文章のリズムと内容が微妙にずれていて違和感があるのだが いつの間にかシンクロしていく感覚もとても心地よい。 どういうエンディングを迎えるのか期待しながら 残りのページ数がどんどん少なくなっていくのがなんだか惜しくて・・・ そんな感覚を味わうのも久しぶりだ。 ご都合主義で奇想天外な内容ではあるけれど 少なくとも読んでいる時間はとても楽しい。 表紙の中村佑介のイラストもなかなかカワイイ。 (由良上野介 / 2008-11-28)
表紙とタイトルに惹かれ、とりあえず1ページ目だけを読んだ時は、その文体に慣れておらず買おうか迷ったものでしたが、買ってその先を少し読めばあっというまに世界に引き込まれてしまいました。 読み終わった後味も甘くて心地よく、とても楽しくて、ステキな物語です。 いい本に出会えたので、いろんな人にオススメしたくなりました。 面白く不思議な登場人物や、不思議な(それでいてこんなことあるか!という文句は言いたくならないほど気持ちいい)出来事がたくさん詰まっているので、サブカルな漫画などが好きな人にも、是非読んでみてほしいです。 片想い中の方も、青春真っ只中の方も男女問わず是非!(リョコ / 2007-01-21)
レビュー数 119
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平均点:4.0
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No.1-12
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イキガミ 3―魂揺さぶる究極極限ドラマ (ヤングサンデーコミックス) / レビュー総評点:-22
『イキガミ 3―魂揺さぶる究極極限ドラマ 』で画像検索
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ASIN:409151149X / 売上順位:-
小学館(2006-12-28)
間瀬 元朗
¥ 530(中古:¥ 1)
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レビュー総評点:
-22
話としてはえんどコイチの「死神くん」と似ています。 死の宣告をされた人の行動を描いている点が全く同じです。 死の宣告という悲劇的な状況、死にいく人間の命懸けの行動、その周りの人々の感情、変化、対応を描いて読者を感動させる狙いもほぼ同じでしょう。 ですが、決定的な違いがあります。 それは「死神くん」の場合、あの世にいるという架空の存在である死神が、人間のいわゆる広い意味での「寿命」を宣告するのに対し、 「イキガミ」の場合は人間が人間に死の宣告をし、その人間を(生きている人間が命の大切さを感じるため?という名目のもとに)殺します。 死の宣告をされた人は、殺されることに抗えないまま、最後を迎えます。 何が言いたいかというと、「イキガミ」を読んで感動するためには、人間が人間に理不尽に殺される社会を肯定するか、その部分を「見て見ぬフリ」することが必要です。 そんな社会を肯定する常識人はあまりいないと思いますが、見て見ぬフリをする常識人はたくさんおられるでしょう。 というか今の世界情勢を見る限り、見て見ぬフリをするしかないことはたくさんあります。 「イキガミを読んで感動した」という人は、いろいろなことを”無意識に”「見て見ぬフリ」することができて、日々それを実践している人なのだと思います。 エンターテイメントとして、この「イキガミ」に人気があるという事実が少し怖いです。(じょじょじょ / 2008-06-11)
普通に生活していた人が突然に24時間後に死ぬことを知らされる。知らされた者は人生最後の1日をどのようにすごすか。ある者は絶望しある者は暴走しある者は最後にできることを見出す。極限状況における人間の行動を描いた感動的な物語です。 ただし、感動するには設定の矛盾を気にしないことが条件です。 イキガミの社会には「国家繁栄維持法」(以降「国繁法」と略)という法律があります。これは特定の年代から毎年1000人中1人を選んで殺すというものです。しかも国繁法を批判する者は抹殺されます。 こんなとんでもない法律のある社会なのにそのほかは現実の日本社会とほぼ同じです。イキガミの社会は現実と同様に殺人がありイジメがあり詐欺がある社会です。選挙さえあります。国繁法という異様な法律が通る社会なのにそのほかの部分は日本社会と似過ぎています。 作中では国繁法の効果は「生命の価値を認識させ犯罪を減らし少子化を改善して国力増強を図る」と謳われています。しかし作中では逆に国繁法により犯罪が発生した例や生命の価値を否定された例が記述されてます。 国繁法の批判者を始末するシステムは完備しているのに、そのほかの犯罪や国繁法により発生する犯罪の抑止はされてません。 国繁法に殺される人物だけに注目する限りは、それなりに感動的な物語です。 設定の矛盾に気付いてしまうと、理不尽な法律により人が無意味に殺される物語になります。(浮動明王 / 2007-01-30)
明日死ぬとしたらどうするか?という、 誰でも一度は考えるであろうことを描いた作品の第3巻です。 世間が良い良いと言うものは手にしたくないという、ひねくれモノの私(笑)ですが、 各メディアで話題騒然・・・と言われているにも関わらず、 作品のテーマに惹かれて購入してしまいました。 読後の感想としては、現実味があるかないかは別として、娯楽として読むには充分楽しめるマンガです。 しかし、ちょっとでもマンガの世界に引き込まれようものなら、大変大変。 思わず感極まって泣いてしまったり、物語の主人公に同調(または同情)してしまい、 読者であるはずの自分も頭を悩ませる場面もあるでしょう。 実際、私も2巻でホロリと涙を流してしまったものです。 この3巻に収められているエピソードは ・命の暴走(区議会議員選挙に立候補するちょっと問題ありな母の息子にイキガミが来る話) ・最愛の嘘(盲目の妹を持つ粋がってばかりの兄にイキガミが来る話) の2つです。 最愛の嘘のラストは少々読めてしまう展開ではありますが、 そこにくるまでの演出が憎いです。 というのも、作者が出し惜しみなく、無駄なく見開きでの表現を活用するからです。 迫力や緊迫感もひしひしと伝わってきますよ。 基本的に読みきりの話なので、物語の詳しい設定などを追及しなくてもよいなら、 1巻から買わずに2巻、3巻から買っても楽しめます。 イキガミの世界観が気になるなら1巻から、 ちょっと感動したくなったら2巻から、 家族や兄弟の在り方に迫りたくなったら3巻から買うのをオススメします。(moko / 2007-02-04)
「最愛の嘘」に感動しました。 桜という花に対する日本人の感覚を表現する話は沢山ありますが、すごく悲しかったし心をうたれました。 この作品は全3巻の中で一番感動しました。 話題になっているし、ちょっと読んでみようと思い、3巻を一気に読みました。 誰の人生も大事なんだと実感します。 是非読んでみることをお勧めします。(takasan / 2007-06-02)
試しに1巻を買ってみて良かったので続けざまに買いました。1冊に2話で、じっくり物語が進むので良かったです。 読まれる年代によって評価が分かれる作品なんだなと思いました。 私が若かったら辛辣な評価をするのでしょうが、結構いろいろな経験をし、子育てをし、親を見送りしたなかで 『いのち』の大切さがほんの少し分かった世代以上には、ストレートに伝わってきて良い作品だと思いました。 Episode5「命の暴走」のような家庭は実際に存在するのでしょうし、Episode6「最愛の嘘」のようなことは、 実際には出来ないかも知れませんが、読んだ後ジーンときて、清々しくなる、後味の良い作品です。(zanzan / 2007-03-22)
レビュー数 6
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平均点:3.5
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No.1-13
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エンジェル・ハート 21 (BUNCH COMICS) / レビュー総評点:15
『エンジェル・ハート 21 』で画像検索
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ASIN:410771313X / 売上順位:-
新潮社(2007-01-09)
北条 司
¥ 530(中古:¥ 1)
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レビュー総評点:
15
今回、アクションの要素とはほぼ無縁です ごく一部にそうゆう立ち回りはあるものの今回は、父親だと名乗れない女(!?)と父親を知らない娘の心温まるドラマがメイン 依頼人・里美の代わりに娘・紗世の父親役を引き受ける遼と、その娘として同行する香瑩。この二人の行動(不可抗力ではあります)が、余計に話をこじらせる件も面白かったです まぁ、何といっても今回は里美と紗世の親子愛ですがね。紗世に真実を話せずジレンマに悩む里見と、遼と香瑩の行動が原因で様々な考えを巡らせる紗世。徐々に、しかし確実に近付いていく(立ち消えていた)親子の絆。そして… 親子間の無関心や、行き過ぎれば殺人なんていう悲劇も連日のように起きている現代だからこそ(多少、特異なケースではありますが)こういった理想像ともいえる親子愛は読む人の心に沁みてくると思います 良いエピソードでした♪(たかだい / 2007-01-11)
エンジェルハートは、作者がシティーハンターとは別の話だと述べているが、やっぱり比べてしまう。 シティーハンターはギャグがあり、アクションがあり、時にシリアスで全く飽きないストーリ展開だった。一方エンジェルハートはやたらと感動の話しかない。 これは好みの問題だと思うが、シティーハンターのキレのある面白さから比べると若干ダラダラとした感じがする。決して面白くないわけではないが少し物足りない感じがするのは私だけでしょうか?(三つ目 / 2007-04-05)
レビュー数 2
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平均点:4.0
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No.1-14
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のだめカンタービレ 17 (講談社コミックスキス) / レビュー総評点:99
『のだめカンタービレ 17 』で画像検索
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ASIN:4063406326 / 売上順位:-
講談社(2007-02-13)
二ノ宮 知子
¥ 420(中古:¥ 38)
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レビュー総評点:
99
千秋真一、常任デビュー成功!と思いきや、長年音信不通になっていた父、雅之登場。 一人息子である真一がマルレの常任指揮者になったことも知らなかったという無関心さ。 千秋も長年、父を否定して生きてきた。 思いがけず父の姿を見て激しく動揺する千秋。 そんな千秋にのだめは千秋が音楽をやっていたのは心の奥底で父とつながっていたいという 願いがあったからだと指摘。長年否定してきた心の奥底をのだめにアッサリと引きずり出され 否定してみたものの鋭い指摘に抗弁できない。そんな千秋にとどめの一言。 「いじけてんじゃないですヨ」 父の登場とのだめの指摘で自分が進歩していないことを思い知る千秋。 ある意味のだめの方が千秋よりも大人なのかもしれない。 もがき苦しむ千秋に対し、のだめは『打倒!千秋真一、雅之』という目標を掲げピアノに励む。 とてつもない目標ではあるが、のだめならやるかもしれない。 音楽に没頭する二人のすれ違いが目立つのは13巻の別れ話の頃を連想するが、あの頃と違う のは、千秋の中であの頃よりものだめの存在が大きくなっているということだと思う。 千秋自身はまだそれに気づいていないようだが。(mike1226 / 2007-02-14)
音楽に限らず、何かを極めるためには孤独になる覚悟が必要なのかもしれない。 孤高のピアニスト・千秋パパ。自己中な父に反発しながらも意識せずにはいられない千秋。憧れとコンプレックスは紙一重。 だが、千秋もまた自分の音楽と向き合うべく、父親同様独りになろうとしてるように見えます。 この巻ではこれまであまり触れられなかった、千秋の父親に対する複雑な心情が描かれていて興味深いです。 千秋パパは、なかなかいい性格してますね。千秋も顔負けのオレ様ぶりです。 いつかこの親子が、音楽について語り合える日がくるのだろうか。そんな二人が見てみたい。 コンサートでミスってしまいバツが悪い千秋をオケの皆が温かく迎え入れるシーンが良かったです。 一方、のだめも目覚ましく進化中。かつてない程ピアノに没頭してます。 音楽や将来に対する考えの甘さは多少見え隠れするものの、ピアノが趣味の域を出てなかった以前に比べたらすごい進歩です。 さて、次巻はどうなるんでしょうね? 日本にいた頃から、ずっと身近にいた千秋がいなくなるかも。 のだめはどうするのか続きが気になります。(水蓮 / 2007-02-22)
これまでにないような、深い展開でした。久しぶりにお父さんを目撃して、動揺しまくる千秋。そして、千秋のお父さんに対する本当の気持ちを鋭く指摘するのだめ。のだめは、ああ見えて結構観察力があるんですね。後半はすれちがうことが多く、いつもの二人の漫才が少ないので残念に思う人がいるでしょうが、ここがとっても重要な場面なんでしょう、きっと。二人が別居?するようですね。次巻でどんな展開になるのか楽しみです。実は千秋よりものだめのほうがずっと大人なんですね。(あや / 2007-02-16)
千秋にはもうひとつのトラウマが根強く存在することが、17巻でわかりました。父親に認められたいというコンプレックスが心の奥底にあります。 以前飛行機恐怖症からのだめの催眠術で解放されましたが、今後どのように父親との和解がなされるのか、非常に楽しみです。それにより、またひとつ成長するのだろうと期待しています。(ゆうたま / 2007-02-17)
父と子
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本巻は、千秋と父親が主人公です。したがって全体に立ち込めるトーンも暗めです。 のだめと千秋のぼけ&つっこみが好きな方には、ちょっと物足りないかもしれません。 ただし、不倫がもとで離婚した著名ピアニストの父親、という 千秋にとって大きな存在であるであろう彼との関係性がクリアにならずに、 この作品は先にはすすまないのでしょうから、楽しいのだめワールドファンは しばし我慢が必要かもしれませんね。 メインキャラがシリアスな分、ユンロンがいい味だしてましたね。(旅バカ、食バカ、漫画バカ / 2007-02-14)
レビュー数 52
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平均点:4.5
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No.1-15
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ひとり日和 / レビュー総評点:-28
『ひとり日和』で画像検索
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ASIN:4309018084 / 売上順位:36682
河出書房新社(2007-02-16)
青山 七恵
¥ 1,260(中古:¥ 6)
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レビュー総評点:
-28
読後感としてまず思うのは、いかにも芥川賞の選考委員たちが絶賛しそうな作品だ、ということ。 平凡な日常を、鋭い感性で切り取り、卓越した表現力で生き生きと描き出している、からだ。 感性と表現力については、確かに絶賛したい。 才能のきらめきにあふれた、優れて文学的な作家である。 しかし、その作品を通して伝わってくるものといえば、だるく生きている主人公の、だるい日常だけなのだ。 主人公の心を満たす、殺伐としたつまらなさ。 周囲の世界は、彼女にとって実体を持ったものとして迫ってはこず、まるで影絵のようにうっすらとのみ存在している。 このような優れた作家が、このようなつまらない内容しか書き得ず、それをみんなで絶賛して喜んでいる、今の日本の文学の世界とは、いったい何であるのか。 心の奥底が冷え冷えとしてくるような、暗澹とした思いが残った。(猫村しず / 2007-02-26)
芥川賞受賞作ということですこしかまえて読み始めると、良い意味で拍子抜けしてしまう作品。 最近に限った傾向なのだろうか、乳と卵にしろこの作品にしろ、わかりやすすぎるほどわかりやすい。 母親の転勤で知寿(ちず)は遠い親戚にあたるモダンな老婆、吟子(ぎんこ)がひとりで暮ら す東京・笹塚の一軒家に居候することになる。表面的には、年の差が50歳近くある彼女らの、 波風のたたない、穏やかでほほんとした暮らしながらも、所詮二人は女と女。恋愛と、生きる ことそのものが上手くいかない知寿の内面では、常に変わらず安定しているように見える吟子 とその恋愛に対する、苛立ちと羨望がない交ぜになった感情が次第に膨張していく・・・。 ただ二人の描写があまりにもあからさまなため、いじわるな言い方をすれば新種の「良いおじ いさんと悪いおじいさん」の話のようにもみえる。が、それなりの面白さはある。 この小説が描くように、老人が作りだすあの独特な沈黙には、なぜだか何か深遠なものを感じ てしまう。そのだんまりの向こうには、伊達に長い年月を生きながらえてはいないことを証明 する、とてつもなく尊大で含蓄のある思想が繰り広げられていて、それをむやみやたらとこち らに披露しないのもまた、その人の年齢がなせる一つの達観ではないかと、若輩者の僕なんか は勘ぐってしまうのだ。 ただ、それが僕の予想通り、人生を達観した上での表情なのか、はたまた単にボーッとしてい るだけなのか。それは、その人本人しか知り得ない。(倒錯委員長 / 2008-12-25)
満ちている気配
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ここ数年の受賞作のなかにも、たびたび同じ空気を感じることがある。 「時代が持つ閉塞感とか気だるさ」・・・ 多くの人が手を変え品を変え、小説の題材にしているようだ。 たとえば、それを若い言葉で綴ると綿谷りさのようになり、 成熟した表現で綴るとこのようになるのかと思った。 その意味では24歳という年齢にしては、非常に成熟した文章を書く人だと思った。 ただ、面白く読めるのだけれど、あとに何も残らない。 何でもそうだと思うけれど、何かを追究している人の話には説得力がある。 だから、それが自分にはわからない世界のことであっても、いつの間にか聞き入っている。 あとに残るのは専門知識ではないけれど、その専門知識というフィルターを通して 語り手の熱意とか姿勢が伝わってきて胸が熱くなる。 この作品自体にはそういうものは感じられなかった。 しかし、要所要所にさまざまな気配が込められていて、言葉にせずに読む者を納得させる 説得力は強く感じた。そう考えると、平凡な題材をよくここまで・・・とも思えてくる。 賞というのは時代を反映するものだと思うし“今後”に期待して贈るものでもあると思うから これからこの人がどんな作品を書いていくのかちょっと興味がある。(Justin / 2007-03-08)
選考委員の石原氏と村上氏が絶賛していたので今度の芥川賞作品は面白いかもしれない、と 期待しながら読んでみると・・・これがどうにも眠たくなる小説なワケで。 大人向けの女性コミックを小説にするとこんな感じになるかなと言った印象。 若者特有の倦怠感や老婆との微妙な関係はわかるのだが、ストーリーに動きがなく ただ、それだけの話になってしまっている。 所謂、波のない小説である。 何故、この小説が候補に挙がり受賞したのか、さっぱり分からない もっと探せば面白い純文学があるはずなのだが。 読者と選考委員の感覚が開きすぎていると思う 選考委員はプロ、こちらは素人なんだから口出しするなと言われれば仕方のないことなのだけれど最近の芥川賞はちょっと つまらなさすぎる。 そろそろ選考委員を変えた方が良いと思うんですが・・・。 (イデ発動 / 2007-03-06)
お話はどってことないです。 というか23、4歳の子がそんなずっしりくる重厚な作品を書いたら、嘘臭くないですか? 芥川賞としてどうこうというのは、私はそれほど芥川賞作品を読んできていないので、よく分かりません。 けれど、平野啓一郎、伊藤たかみ、絲山秋子、綿矢りさの場合は「夢を与える」ですが、それらの受賞作に比べると、文章のうまさが際立っていると思いました。 文章がうまい、魅力的な固有の文体を持っているって、作家にとって一番大切なことだと、私は思います。 彼女が今後年齢を重ね、様々な経験を経た果てに、紡ぎ出す作品を、是非読んでみたい。 20歳そこそこの、フリーターの周辺雑記ですら、その文章の魅力だけで、ここまで読ませてしまうのだから。(夢見 / 2007-10-24)
レビュー数 50
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平均点:3.5
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No.1-16
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図書館危機 / レビュー総評点:180
『図書館危機』で画像検索
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ASIN:4840237743 / 売上順位:3153
メディアワークス(2007-02)
有川 浩
¥ 1,680(中古:¥ 793)
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レビュー総評点:
180
自由を守れ
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冒頭から、郁と一緒に涙を流したり、身悶えたり、憤ったり、小牧と一緒に上戸のツボを押されて笑ったり、身悶えたり、ときめいたり、心配したり、身悶えたり。 読むほうも非常に忙しい。表情を変えずにいられるものか。 図書隊を完全無欠な正義の味方にしてしまわない作者に好感を持つ。現実的で社会的な問題をきっちりと織り交ぜて進む物語は軽くない。 「お話」の正義の味方だったら、正義の権威は揺るぎがなくて、構成員は老病死苦には無縁で変わりがなくて、善悪の二元論は単純で混じりがなくて、きっぱり勧善懲悪してみせるだろうに。 郁は迷うし、驚くし、おののくし、自分が被るものを知った。図書隊の心身は傷つくことを知っている。清潔で綺麗な手を持つ神の代理人ではないことを、深く強く思い知っている。暴力へのためらいが貴く、いとおしく、好ましい。 郁もほかの登場人物も、本当によくがんばっている。何度でも、頭を撫でてもらって、叩いてもらってほしい。 次で最終巻とのこと。楽しみではあるが、寂しい。絵空事でいい。最後まで惹きつける、できれば幸せな結末が待っていますように。(香桑 / 2007-02-14)
最初のほう、笑いっぱなしでした! さすがは図書館特殊部隊+他のメンバーたちも!面白さは健在です★☆。 いや、健在なだけではなく進歩してますよー! まずは恋愛面。 郁&堂上教官。なんか親密さアップしてませんか? 距離(心も体も)近づいてます。 郁は堂上教官への想いを自覚しましたしね。 あの郁が嫉妬とか! 後は堂上教官が折れるだけです。さっさと折れちゃえよー。 柴崎&手塚。ハハッ、手塚かわいい! 結構、しりに引かれるタイプなんでしょうか。 柴崎は強いですからね。そして女タヌキ。 手塚の前だけで弱いトコ見せてるって、手塚は気づいてるのかなぁ? こっちは、お互い気づけよ!ですね。 小牧教官&毬江ちゃん。「内乱」のときからくっついてましたが、さらに親密になってます。 というか、毬江ちゃん不幸にばっかあってるよな……。 そこですかさず助けるのが小牧教官です。 お幸せに……としか言いようが無いなフン!(うらやましいだけです) 玄田隊長&折口。大人です。 大人すぎて、逆に素直になれてないって言うか……。 つーかあんたら還暦まで待つつもりか! お互い分かってるのに。 さっさと素直になれっ! もうひとつは成長面。 郁は、まだまだ泣く回数も堂上教官に助けられることも多いですが、確実に成長しています。 親との喧嘩も、嫌がらせへの対応も。 すごいなって、素直に言いたい。 手塚は……なんか最初のころよりボケてますが。(笑 柴崎も、弱さを見せるようになってきましたね。 後、一巻で終わるとのこと。 本当に残念です。 こんなに楽しいシリーズ無いのに……。 後一巻、たっぷり楽しみたいと思います。 図書館最高です☆★( / )
預けられる背中
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『でもあたしの上官はきっとそう言って怒るの。迂闊だって。そんで、あたしはあたしをそう叱る上官を尊敬してるの』 この言葉が象徴するように、郁が大きく成長する姿が書かれた本作。堂上と郁の信頼の出来る部下、信頼の出来る上官という関係がより深まっていく。やや公私混同気味なのはご愛嬌だが。 しかし、一番泣けたのは郁の両親との会話だ。年取ったせいで涙脆くなったという気もするが。 それにしても、カバー絵は相変わらず面白い。読む前に見たらさっぱり分からないくせに、読み終わってから見ると、いちいち分かってしまうのだ。それも、わざわざ、あのくだりを取り上げるか!という感じで。これは、読んだ人共通のお楽しみだ。(田原坂 / 2007-02-14)
図書館シリーズ、1・2巻が好きな方なら間違いなく好きになる第三巻です。 相変わらずの図書隊メンバーがあちこちで騒動を起こしたり巻き込まれたり。 大きな山場がいくつもあって最後に一番大きなインパクトを与えるのも、もう三冊目ともなれば恒例ですね。 この作家さんで凄いなあと思うのは、ストーリー中でいくつもあるカップル(候補)たちにスポットを当てる配分がとてもお上手。 主役二人は勿論のこと、手塚・柴崎、小牧・毬江、玄田・折口ペアにもそれぞれ恋愛方面での見せ場があって、そういう方面のエピソードに抵抗のない方には嬉しい内容です。 小牧さんと毬江ちゃんの恋愛に関しては、てっきり前巻で決着が付いたとばかり思っていたので、今回もう一つエピソードを盛り込まれていたことに素直に驚きました。 一巻の後書きにもあったように、「月9連ドラ」でいかにも扱われそうなエンターテイメント色の高いこの作品。あまり大衆の読まないようなディープなジャンルの本を普段好んで読まれている生粋の読書家さんたちの中には、このライトなノリに反発を覚える方もいるかもしれません。 けれど私個人の感想を言うなら、やっぱり面白い作品で、本棚の中でもいつでも気軽に手を伸ばせる位置に残しておきたいシリーズです。 ただ、今回一つだけ気になったのが目次の表記について。 読んでる最中、次はどんなお話が飛び込んでくるのかとわくわくしながらページを捲っていくのが醍醐味なこの作品で、あの展開のよめてしまうタイトルは少し残念です。 最初に目次に目を通した時点で、ラストのオチ(P.338)がわかってしまって凄くがっかりしました。少なくとも五章のサブタイトルは不要だったと思います。 その点を差し引いて、星四つで。(瑠璃 / 2007-02-09)
しょっぱなから、お約束の展開は期待通りです!! しかし、ラブストーリーの山場が巻頭にある為か、 図書館戦争、図書館内乱での病み付きになるドタバタ感が 下がった点は否めません。 堂上教官がちょっと落ち着きすぎて、 堂上ファンとしては物足りません。 とはいえ、郁の成長を軸に最後まで目が離せないストーリー展開は 流石です。 次巻はどういう展開になるか、ゆっくり待てそうです。 (教官! / 2007-02-15)
レビュー数 24
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平均点:4.5
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No.1-17
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テンプル騎士団の遺産 上巻 / レビュー総評点:0
『テンプル騎士団の遺産 上巻』で画像検索
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ASIN:4757733860 / 売上順位:343445
エンターブレイン(2007-01-31)
スティーブ・ベリー/翻訳:富永 和子
-(中古:¥ 58)
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レビュー総評点:
0
『ダヴィンチコード』に魅せられ、その種本である『レンヌ=ル=シャトーの謎』まで読んだマニアには格好のミステリーアクション小説。現代まで存続し続けたテンプル騎士団が、イエスが甦らなかった物的証拠を求めてレンヌ=ル=シャトーや南フランスの修道院を舞台に活劇を繰り広げる。レンヌ=ル=シャトーにまつわる虚実ない交ぜの謎がちりばめられており、マニアにはたまらないが、『レンヌ=ル=シャトーの謎』を熟読していなければ理解はむつかしいかもしれない。もちろんテンプル騎士団や聖骸布なども登場するが、これらはしょせん脇役に過ぎない。本書の最大の欠点は値段が高すぎること。上下巻で3000円が妥当な範囲だと思われる。(非公開者 / 2007-02-03)
小説自体は面白いのですが、翻訳が下手すぎる(間違いも多い)ため台無しになっている。 レンヌ・ル・シャトーやテンプル騎士団について詳しい人なら、また英語に堪能な方なら「きっと原文にはこう書いてあったんだろうな」と想像がつくのでストーリーについていけると思うが・・・余計な時間が取られることは否めない。 こんな読みにくい文章にこの価格は高すぎる!!(異端好き / 2007-12-30)
呆れるほど(というより、腹立たしいほど)下手な小説。時間の無駄と悟り、上巻で放棄した(下巻も買ってあるのだけれど)。(むじな丸 / 2007-08-26)
レビュー数 3
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平均点:2.5
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No.1-18
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テンプル騎士団の遺産 下巻 / レビュー総評点:3
『テンプル騎士団の遺産 下巻』で画像検索
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ASIN:4757733879 / 売上順位:319286
エンターブレイン(2007-01-31)
スティーブ・ベリー/翻訳:富永 和子
¥ 1,995(中古:¥ 1)
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レビュー総評点:
3
誰もが心の中で密かに思っているけど、言い出せないイエス・キリストの復活の“真実”(フィクションですが・・・(^^;)を主題にした作品です。 自分もカトリックですが、「きっと真実はこうなんだろうな」と思っていたことを、この作品は謎解きの回答として提示しています。 一連の「ダ・ヴィンチ・コード」ものではありますが、この作品の“真実”(何度も言いますが、これはフィクションです!)が一番、“ありえる”答えだと思います。 ですから、謎解きの結果には「おぉーッ」という驚きはなく、「う〜ん、たぶんそうだろうね」というミョーな納得感があります(^^) この手のフィクション作では、「それが物足りたい」と感じる人もいるだろうし、「真面目なフィクションだ」と思う人もいるでしょう。(空手オヤジ / 2007-02-20)
レビュー数 1
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平均点:4.0
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No.1-19
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夢を与える / レビュー総評点:-60
『夢を与える』で画像検索
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ASIN:4309018041 / 売上順位:101123
河出書房新社(2007-02-08)
綿矢 りさ
¥ 1,365(中古:¥ 1)
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レビュー総評点:
-60
「インストール」、「蹴りたい背中」、そして本作を読み比べると、文章力は着実に身についているのだと思う。 ただ、前作までにあった、綿矢りさ独特の言い回しというか、若さと感受性あふれる表現がなりをひそめた感があってつまらない。 よく言えば丁寧。悪く言うと淡々。 綿矢りさってこんな作家だったっけ?と思った。 本作は話的にも好きになれないから、私は次回作に期待。 (肉ネーム1 / 2008-01-29)
つたない
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芥川賞作家という期待をもって読みましたが、文章が拙く、文章の世界に入り込むことができず、行間も何も感じませんでした。 なぜ、夕ちゃんは彼にはまったのか? 彼は何を思って夕ちゃんが陥るような行動をしたのか? しかも、読後感が何もありませんでしたので、 ☆1つ +若いから今後の期待も込めて☆1つ=☆2つ(ふる / 2007-07-13)
始めこそは夕子の行く末が気になり、途中で読むことをやめられない状況にはなりました。 しかし、無駄なエピソードが多く、そのせいで中弛み。 しかもようやく起きた事件は、掃いて捨てるほどやりつくされた男絡み。 何かのリメイクかというほど先が読める展開。 これはやっちゃったなーと、睡眠時間を削って読んだことに後悔しはじめました。 でも結末がよければ!と期待したものの、予想を下回るオチに腹がたつほど。 読んでも何も得られない。 読者としては夕子の幸せを願うべきなのだろうけど、『愚か』以外の人物像がまるで浮かんでこず、性格に可愛らしい所もないので感情移入も出来ません。 読者に、この人がどうなろうと知らん、という気持ちにさせるのはダメだと思います。 「夢を『与える』」ことへの疑問、テレビの存在についての斜に構えた考えは嫌いじゃないけど、結局うぬぼれていたのはテレビより夕子だった、という伏線だった感じです。 読後は疲労感と苛立ちしか残りませんでした。(きらりん / 2007-05-08)
う〜ん、期待してたんですがね…。何が言いたいのか…、もちろん私の理解力も足りないと思いますが、自分が十分理解できないだけで何かを言おうとしているって感じすらしなかった…。 じゃあ文章だけでも読ませるかっていうと、それほどでもなく…。わずかに観察力だけは特有のものを感じましたが。 もちろんこの作品1つだけでどうこうとは思いません。ただ、改めて22・3歳の子が書いたんだと思えば、「冷めてるなあ」というのが正直なところ。(夢見 / 2007-09-17)
綿矢さんの作品は初めてですが、う〜ん、次は今のところ無いかな。 主人公に共感できない、人物が描かれていない等の評価が多いように思いますが、私もその通りだと思う。要は主人公のこの世界で生きてゆこうという意志(若いから周りに流せてしまうといえばそれまでですが)の強さが感じられないから、感情移入が出来ないまま、後半になってしまい、だから何なのという結論に落ち着いてしまうのだと思います。 重い結末だったり、救いが無い結末はよくありますが、それも主人公に感情移入が出来てこそ生かされるものだと思います。目指すは桐野さんかな?(アガタ / 2007-08-15)
レビュー数 91
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平均点:3.0
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No.1-20
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無銭優雅 / レビュー総評点:82
『無銭優雅』で画像検索
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ASIN:4344012844 / 売上順位:154639
幻冬舎(2007-01-31)
山田 詠美
¥ 1,470(中古:¥ 1)
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レビュー総評点:
82
よいです
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いつの頃からか、山田詠美さんの著書から黒人が消え、 少しは私と身近な人々になってきました。 最初の頃、もちろん素敵なのですがあまりにもスタイリッシュすぎ、 また私には非現実的過ぎて、どこか遠くで起こっていること、の ようなものとして「眺めていた」感じがありました。 まあ、その頃はまだ高校生だった、というのもありますが。 今は立派な(年齢だけは)大人になって、 最近の『AtoZ』 や今回の『無銭優雅』など ともすれば「落語?」と思えるほど軽妙な語り口、 しかしそこに美しい比喩や山田詠美らしい描写があり、 今回も魅了されました。 出てくる人たちが今までになるリアルで すぐ映像化出来そうな感じです。 みんながこの本の中の「誰か」になれ、 そして「誰か」の気持ちがちょっと分かる。 そして、恋愛してると子供でも大人でも みんなバカになるんだなー、としみじみ感じます。(vega / 2007-03-08)
山田詠美の恋愛小説は、もともとある意味選民意識が強く排他的である。 大人で不埒で遊び心のある私たちは素敵、それが判らないコンサバな人お気の毒! みたいな、ナルシシズムたっぷりの。だけど、そのすばらしい文章力と美しい 言葉の数珠繋ぎに魅了され「私もこんな傲慢に恋愛に生きるのって素敵だと思う!」 と、思い切り全肯定してしまう、そんな魅力が山田文学にはあるのだ。 しかし、今回は、その文章がガサツな感じで残念。別に、中央線に住まうあまり リッチじゃない男女を書くのに、最近だと角田光代さん的なよく言えば庶民的、 悪く言えばビンボーくさい文体や言葉にしなくてもいいのに、と読んでいて もったいないなーと思った。舞台装置がチープなのは楽しくていいけれど、 それを書く文章は山田さんらしい気品を盛り込んだものであって欲しかった。 そして、ヒロイン慈雨(42歳花屋)が惚れこんでいる栄(同年代の塾講師)という 男を、魅力的だと思うかどうかで、この小説の好き嫌いはわかれると思う。 私は、やたらよくしゃべる男だなー(しかもしゃべる内容はいつも幼稚・・・)と 思ってあまりタイプじゃなかったので、ふたりがどう愛し合ってても「楽しそう」とは あんまり思えなかったんですよね。個人的に魅力を感じたのは、ヒロイン父のほう だったり・・・(ハンカチ王女 / 2007-02-03)
40代って。自分が10代のころは「親」世代。圧倒的な大人。自分が20代のころは「部長、課長」世代。家庭を背負ったおじさん、おばさん。だと、単純に思っていた。 この本は、新しい40代観を与えてくれます。主人公の姪(女子高生)もあきれてますが、実のところ、こんなもんなんだろうな。人間意外に成長しないんだ。でも裏を返せば、みずみずしい気持ちを持ち続けられるということ。しかも、さまざまな経験を経て、キャパシティは広がっている。なかなかいいじゃないか。そう、楽しく読みました。(sandii / 2007-02-14)
ここ最近、やはり山田詠美の時代は終わったのか、、と(勝手に)思ってました。 彼女の良さはデビュー作に代表されるような奔放でジューシーな恋愛物語かと・・。 そしておそらくはそのような恋愛からは一歩また一歩と作者自身が離れていくに従い、 作品は精彩を書いていくのではないかと思ってましたが。 しかし彼女は、やはりストイックな求道者でした。この本には真実しかないです。手抜きなし! 愛とは実用性に富んだものであるとの考えをみごとな手法で具体化させました。 恋愛だけでなく、家族愛、自己愛、すべての愛について彼女なりの解釈を余すところ無く体現させています。 若いころと比べ文体は非常にシェイプアップされ、もって回った言い回しも肩に力も入って無く、読んでいて気恥ずかしい感じはまったくなくなりました。 そしてあれほどまでに得意だった性的描写はかなり少なくなり、 代わりに食事や日常をシェアする様子が増えてます。 それらがしっかりと愛情を描写できると確信を持って書いているのでしょう。 怖い人です、本当に。最後の一文も、甘やかさのなかでそれを許さない厳しさ。 のん気で日常的な題材を扱いながら、愛の恐ろしさを余すところ無く書いてます。確信犯で意地悪です。(猫八 / 2008-03-18)
一口で言えば、作者からはお叱りをうけるでしょうが、文学的形而上学的なのろけ話でしょうか。40台半ばのバツイチ予備校教師、栄と同年代の独身女性、慈雨が本人達に言わせると運命的な出会いをした、姪の衣久子にいわせればオトコイ物語です。ただし、大人の恋とはいっても、男は仕立ての良いスーツに身をつつみ、ヒールをキリリとはいた女はカクテルグラスをかたむけ、寄り添いながら見るともなく雨の夜景をみているこじゃれたバーというシチュエーションとは大違いなので、お読みになる方はあらかじめご覚悟が必要でしょう。 山田詠美流の饒舌体で、この二人の中年恋人達の日常を追って行くのですが、二人の間で交わされる会話がこれまたシュールというか、トンデイルというか読者は幾たびも度肝を抜かれるのです。しかしこういうスタイルのおふざけノベルかと思うと、やがて「心中する前の日の心持ちで、これからつき合って行かないか」という大変にシリアスな結論につながっていくのです。また各段落の結末には様々な恋愛小説などの数行が挿入されるある意味では大変凝った作品となっています。それらは堀辰雄の「風立ちぬ」や福永武彦の「海市」など21の名作なのですが、さすがは山田さんよくこんなぴったりのものを見つけてきましたねと申し上げたくなるくらい、見事に二人の状況を暗示するような引用となっています。 物語はいくつかの小さなイベントがあって最後には二人が愛を確認しあうというハッピーエンドとなります。全編、一見、おふざけタッチを装いながら、まがうことなき恋愛小説であり、すこし堅苦しく申し上げると、愛することと死するこという時間的には同軸上にありながら相対する概念をテーマとした大変シリアスな小説ともいえるのです。 また全編に詠美流箴言がちりばめられており、吹き出したり、納得したりできるのもお楽しみ。例えば、大人になると運命と成り行きってものはすごく似てくる。 (湘南ダディ / 2008-02-29)
レビュー数 35
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平均点:4.0
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No.1-21
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ぼくの手はきみのために / レビュー総評点:2
『ぼくの手はきみのために』で画像検索
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ASIN:4048737511 / 売上順位:351227
角川書店(2007-03)
市川 拓司
¥ 1,470(中古:¥ 1)
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レビュー総評点:
2
「いま会いにゆきます」で感動したから購入しましたが がっかりしてしまいました。 この作者は文章から非常に優しい性格だと思いますが、 自分の殻の中にこもって書いているようです。 ワンパターンをやめて、ちょっと違う作風にトライしてほしいと思いました。(本好き / 2008-01-25)
表題作の『ぼくの手はきみのために 』では、母親同士が親友で、幼少時代は同じ家で暮らしていた聡美とひろ。ひろは同い年ながら聡美のことを姉の様に思っていた。けれど11歳の夏に突然、聡美が難病の発作で倒れる。その発作は止めることが出来るのは、ひろが背中をさすることだけだった・・・。 この短編3編には病気や死など定番の運命性を打ち出した、似た感じの話でした。3編という短編集の中でいくつもかぶる設定や似た出来事があったら、当然飽きます。展開も似ているので先も読めてしまいつまらなかったです。 『ぼくの手はきみのために 』では、彼女の病名は明らかにはされない。 同じく他二編でも、時代や病名など色々な背後関係を曖昧にすることで、ぼかされた様な印象を受けました。 必ず女性が病気になったりするのも、疑問だし。 車を当てられ結構な怪我をしたにもかかわらず、「自業自得」と言われて納得してしまう場面にはいつの時代の話なんだと思い、全体的に古いドラマか少女漫画の様でどこかで見たことのある様なお話達で、特に『ぼくの手は』は、セカチューを思い起こさせました。 運命と呼ぶには安っぽい設定と軽すぎる雰囲気で、感動するどころか、流行の感動や純愛を狙っている感じに逆に冷めました。(あさ☆あさ / 2007-04-10)
いつもの市川節が出ていていいと思います。市川さんの、優しくて切ない感じが大好きですが、この作品からもたくさんそれが感じ取れます。ただ、以前の作品よりは、感動が少ないかな。短編集なのでそうなってしまうのかもしれませんが…。 でも、温かく、儚い感じが○です。(ゆま / 2009-10-08)
レビュー数 3
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平均点:2.5
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No.1-22
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ジュリエット×プレス / レビュー総評点:-3
『ジュリエット×プレス』で画像検索
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ASIN:4048737260 / 売上順位:426762
角川書店(2006-09-26)
上甲 宣之
¥ 1,155(中古:¥ 1)
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レビュー総評点:
-3
大晦日から新年にかけてのたった45分に起こる物語。 坪内真夕子 佐倉遥 藤岡智美 この3人に降りかかる大晦日の悪夢。 一見何の関係もない事件が最後にひとつの結末に 繋がっていくのだけど、 途中までどう繋がっていくのかなかなか見えてこず 最後はどうなるのか、非常に気になりながら、先へ先へと 吸い込まれていくような感じでした。 真夕子が体験する幼児誘拐、新興宗教の事件。 遥が体験する殺人フィルムの噂の検証と血まみれの侵入者。 智美が体験する強盗襲撃 点と点がひとつの線になったとき、 その驚きの結末に繋がっていく。 スリリングで手に汗握る展開が続いていく。 たった45分の出来事を、こうも劇的に我々を物語の中に 引き込んでいく作者がすごい。 最後までこいつがすべての原因だったのか、と思わせつつ・・・ 最後の最後まで予期せぬ展開でかなり面白かったです。(なおっち / 2006-10-19)
つまんない・・・ なにが、つまんないって、 文章はうまくなるし、こじつけのストーリーじゃないし、 なんか、ちゃんとしたミステリーになっちゃったじゃないですか。 今までが、中学生の同人誌なら、 今回は、高校生の同人誌。 上甲さんのすばらしさは、あの、ありえないほどのくだらなさなんだからさぁ・・・ 寂しいです。。。 でも、新作で、例のとんでもないシリーズの外伝が出てるようなので、 そちらに期待します。 上手なミステリーは、他の作家にまかせて、 上甲さんは、どこまでもくだらなさを突き詰めて欲しいなぁ。 (しーちゃんミ,,゚Д゚彡y━‾‾ / 2007-10-16)
この作者の本は追っかけて読んでいますが、「紅蓮女」のあたりから作者自身の方向性の迷いと文章力の壁に突き当たっているような気がします。子供騙しのような大げさな文章が、読んでいてそろそろ疲れてきました。内容はどれも関連性が無いようなエピソードを纏めていくのは面白かったけど(予定調和を通り越して話が収斂していくのは少し驚きはしましたが)、いまどきこれくらいのことはどの作家もやっていることだし、これで褒めてしまうのは、この作者の可能性を否定したような気持ちになってしまうのです。帯であなたへ賛辞を贈った(これがいちばん笑えました)山田悠介氏のように、いっぱい作品を書いてください。 上甲様、ベルボーイは辞めて創作活動に専心してください。無責任なこと言ってますけど、あなたの作品は必ず読みますのでお願いします。(コークス萌太 / 2007-02-13)
圧倒的迫力。 血みどろでグロテスクだが不快ではない。 3つの事件が複雑に絡み合っているが、謎をゆっくり考えているまもなく物語は怒濤のごとく疾走する。 前3作に続いて、またしても言わなければならない。 こんな小説ありかよぉ!!!(お留守居役様 / 2007-06-23)
レビュー数 4
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平均点:4.0
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No.1-23
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家日和 / レビュー総評点:43
『家日和』で画像検索
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ASIN:4087748529 / 売上順位:19639
集英社(2007-04)
奥田 英朗
¥ 1,470(中古:¥ 86)
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レビュー総評点:
43
42歳山本紀子は子どもの成長とともに家族の団らんが少なくなり,不要になったキャンプ用品をネットオークションにかけることになる。この対し意外な落札価格と相手の評価を受けたことにより,ネットオークションにはまり,少しずつ生活が変化し始める・・・『サニーデイ』 家をテーマにした6編からなる短編集。『マドンナ』『ガール』とテーマは異なっているものの,日常のふとした怒り,悲しみ,欲望・・・などの感情を巧妙にとらえた作品集である。大変な共感を呼ぶわけではないが,お!それ何となく分かる!みたいな感じの微妙な感情のゆれが読んでいてとても心地よい。内容的にはいいのであるが,もっと読みたい!まだ読みたい・・・物足りないのである。 (87 / 2007-05-11)
様々な立場の人の日常が、軽いタッチで描かれている短編集。 その中で秀逸だったのは、インターネットオークションをテーマとした「サニーディ」。オークションにのめりこんでいく主婦の心情が手に取るようにわかった。自分もオークションを活用するが、似たような気持ちになる。 ごくありふれた人物の、別に何ということもない日常を題材として書かれているだけに、登場人物に共感する読者も多いのではないだろうか。いつもながら、奥田氏の手法はすばらしい。(aaa0042 / 2008-02-26)
オークション大好き人間としては一つ目の「サニーデイ」が気になり、 この本を手に取りました。 ”そうそう!””あるある!”と一人うなずきながら楽しく読みました。 二つ目の「ここが青山」はちょっと軽いかなというか、 ダンナさんが仕事を辞めて急に”主夫”になって、 あんなに簡単に家事をこなすものでしょうか。 主婦業をなめてもらっては困ります(笑) 「家においでよ」は、女のわたしでもわくわくするお話でした。 こだわりの部屋がだんだんでき上がっていく様子は、 ホントにうまくできていました。 とにかくどの話も柑橘系のさわやかな感じで、 初夏に読みたい本です。 (ひつじ♪ / 2007-05-20)
家をテーマにした6編。どの夫婦も、わざとらしいようなラブラブではないし、お互い少し不満もあるけど、でも長年暮らしてきた絆のようなものを持っている。あたりまえの夫婦が、こんな風にユーモア小説になっちゃうなんて、さすが直木賞作家!最後の短編で分身めいたキャラクターが出てきて、それも面白い。私も豚カツは、ヒレよりロースが好きです。(ドクトルg / 2007-06-11)
ガールを読んだときもそう思ったのですが、 奥田さんって、女性を見る目が優しいです。 女の底意地の悪さや、どうしようもない情けなさや、 そういうのが、全然感じられません。 女だけでなく、人間全部に優しいのかもしれないなぁと思います。 短編集なのですが、どのお話も、それなりに大変なのに、なぜかほのぼのとして。 くすっと笑えるし。 ほんとうに安心して読める1冊と思います。 定価で買ってもおしくない本と思います。 (しーちゃんミ,,゚Д゚彡y━‾‾ / 2008-05-23)
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平均点:4.5
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No.1-24
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新釈 走れメロス 他四篇 / レビュー総評点:59
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ASIN:4396632797 / 売上順位:80495
祥伝社(2007-03-13)
森見 登美彦
¥ 1,470(中古:¥ 1)
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レビュー総評点:
59
名作を現代に
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これは名作を一大学生の偏狭な世界観で描きたい作品なんですね、きっと。 想像を絶した苦悩なんて、絶するゆえに多くの者にとってはどうでもいいことでしょうし。そういった高尚と考えられるものとずれた、駄目大学生の屁理屈の中に一片の真実を汲み取るかどうかなんじゃないかと思います。芸術としての小説だとか、敬遠されがちな古典ですがそれらは意外に自分達の身近な悩みに一々頷いてくれるものなんですね。その一つの面をふくらましたものとして、森見氏のこの本がある(原作の詳読記ではないのは当然のこと)。大いに笑えるものもあるし、切なくもなるものもあるし、なんだか不気味なのもある。京都が好きな人も、腐れ大学生を愛する方も、また原作を愛する人も、多くの人が楽しめる内容じゃないかなと思います。とにかく、「走れメロス」の奔走ぶりと、うってかわった「桜の森の満開の下」読後の余韻だけでも、一読の価値ありです。(モリソン / 2007-03-30)
教科書に出てくる様な古典の名作を現代の京都の大学生という世界で切り取っている。 とにかく笑える。 表題作『走れメロス』が一番光っている。こんな友情もあったのだ と目からウロコが落ちる かも。 元になった小説を読んでいないとどこをどういじくっているのか分からないのでこれを機に元話も読んでみるのがよろし。(かばりっち / 2007-04-18)
「山月記」 斎藤秀太郎の底抜けの阿呆っぷりが、おいしすぎ。斎藤同様、〈もんどり〉が気になって気になって…。 「藪の中」 数人の証言から浮かび上がる真実。微妙な食い違いに注目。 「走れメロス」 絶妙なボケとツッコミ(さすが関西人!)に、噴き出すこと数知れず。 「桜の森の満開の下」 美しさは嫌というほど伝わってくるのに、体温が感じられない女の人が怖すぎる。 「百物語」 京都の蒸し暑い夏の夜。古い屋敷の座敷に自分も座っているかのような臨場感。
最近は“古典新訳”が流行りですが、こちらは“古典新釈”ときましたか! 原作から受けるイメージを大切に、一編ごとに文体を自由自在に変える器用さはお見事です。 彼の古風でノスタルジックなスタイルが、驚くほどハマッてしまった傑作でしょう。 人によって好みの作品が異なりそうなところもおもしろい。それだけ多彩ってことですね。 古書のような装丁もすてきです。(諍い女 / 2007-05-24)
標題のとおり、著者による近代文学の名作リミックス5編です。 行方不明となった文学狂いの青年と、かつての麻雀仲間との再会を描く「山月記」に始まり、登場人物がそれぞれの作品にかかわる様子は、藤沢周平の「本所しぐれ町物語」に通じるようにも感じます。原作と同じ表現を微妙にからませながら、おバカ方向まっしぐらの暴走だったり、切なさ倍増だったり(どちらの路線でも、心理描写がリアルでうならされます)…文学好きのツボを心得たコンビネーション攻撃を心から楽しめます。それぞれの作品と、原作が持つ緊張感が見事にシンクロしているところは「まいりました!」というほかありません。こういった連作集では「これが好きで、これはちょっと…」という順位ができてしまうものですが、どの作品も甲乙つけがたい面白さです。 舞台となる街の様子も、あたりを知るものにとっては「あそこ、そういうヤツいるよな」「そうそう、あのあたりはね…」とくすくす感を倍増させるスパイスとなっています。 森見作品を手に取るのはこれが初めてですが、「しまった、他の作品をもっと早く手にしていれば!」と悔やませるパワーがあふれています。装丁も小粋で、文句なく☆5つの評価としたいと思います。(Pipo / 2007-03-18)
元ネタを知ってるかどうかでこの本の面白さはかなり左右されます。 私は『山月記』『藪の中』『走れメロス』に関しては読んでいましたが、後半二作品は未読。 そんな私に限れば、前者は☆4つか5つ付けていいくらいだが、後者は1つ減らして☆3つから4つ(総合して☆4つの評価)。 いや、ダメだったなんて言うつもりはない。 物語自体はそれなりに面白かったし、元になった作品を読んでみたいと思わされもした。 それでも元を読んでなきゃ森見氏の「新釈」の面白さは分からないですから。 そういう意味でのマイナス評価です。 『走れメロス』の「逆転の発想」なんかはその極み。 何より素晴らしいのは『山月記』。 この『新釈 走れメロス』の5作品は、それぞれの物語がリンクし合っており、登場人物や舞台背景が2作品以上にまたがって描かれていることが面白さの1つの要因なのだが、それが最も巧妙に表現されたのが『山月記』である。 作者のストーリー構成の見事さは、この『山月記』を作品の頭に持ってきたことの一点で集約されてるとさえ言えると思う。 ホンット面白いから、騙されたと思って読んでくださいな。 でも「元ネタ」を全く知らないって人は、1つか2つくらいは読んでからのほうがいいですよ。 (ふるむーん / 2007-07-13)
レビュー数 32
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平均点:4.5
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No.1-25
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鹿男あをによし / レビュー総評点:158
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ASIN:434401314X / 売上順位:3313
幻冬舎(2007-04)
万城目 学
¥ 1,575(中古:¥ 82)
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レビュー総評点:
158
『鹿男あをによし』。前作『鴨川ホルモー』と同様、「なんじゃそりゃ?」と、思わず書店で手を伸ばさずにはいられない、奇妙なタイトルと、可愛らしい表紙絵の組み合わせが素晴らしい。 自意識過剰な主人公が、古都を舞台に、神様(に近い存在)の気まぐれに翻弄されながら奮闘する。そして、第一印象はパッとしないけど、一皮剥けば輝くツンデレなヒロインが、思わぬ形で主人公の行動に絡んできて大活躍―――。 前作の基本的な構造を踏襲しつつも、脇役たちの作りこみ、物語のテンポなど、いたるところに進歩が見受けられる良質な青春ファンタジー小説です。巧みな風景描写で実在する土地の魅力や雰囲気を引き出しつつ、マニアックになり過ぎない程度に歴史ネタや神話ネタを物語に落とし込むのが、この作者は本当に巧い。 ただ、これは『鴨川ホルモー』の時もそうだったのですが、少し穿った読み方をしてしまうと、周囲とのコミュニケーションの軋轢に苦しみ、そのくせ原因を自分に追求することが出来ず、ひとり悶々と燻っているような男のための(レビューを書いている私自身、少なからずそういう部分がある人間です)、ドリーム小説に思えてしまう一面も。 すかした口調で物語を進め、自己中心的なきらいさえある主人公が、新天地ではいわゆる「選ばれし者」となり、(その性格のわりに)理解者や協力者に恵まれ、自分からは特にアプローチせずとも、素敵な女の子の方から好意を寄せてくれる展開が、少し出来すぎているというか、うらやましいというか………。 (平隊士 / 2007-04-21)
非常に読みやすく、漱石の『坊ちゃん』を彷彿とさせる各種設定や文体に、にやにや。 先の読めない展開に飽きずに一気に読め、大和杯のシーンでは、 なんだか感動して涙腺が緩みました。 そしてイトちゃんはじめ、マドンナ、宿のばあさんに至るまで、 女性がみんな凛としていてたいへん素敵。 また奈良の風景がとても美しく表現されていて、行ってみたくなります。 読後感もさわやか。(ミツバチ / 2008-03-11)
ちょっとユルめの歴史青春ファンタジー?
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「鴨川ホルモー」が面白かったことと、舞台が奈良であったこと。 この2つの要素により発売前からいつ出るんだーと首を長くして待った次第。 早速買って1日で読み終えてしまいました。楽しい時間は長くは続きませんね…。 この作品も前作同様、その土地に由来する悠久の歴史をエッセンスとして抽出し、 筆者ご自慢の構成力を駆使して、そつなくまとめた内容となっています。 なんとなく、バックグランドが似ている森見さんと比べてしまうと、文章に パンチ力が欠けるなぁと思う反面、読む人を選ばない点ではこちらのほうが、 万人受けするのかもしれません。 肝心の内容のほうは、私自身が奈良出身なためローカルなネタが出るたびに、 ニヤニヤしてしまうのですが、それを抜きにしても十二分に楽しめます。 とにかく、鹿最高。ポッキーを食べる渋い親父声の雌鹿って…。 おまけに、奈良の鹿がお辞儀をする理由までストーリーと絡めて説明してくれます。 全体としては、奈良の独特なのほほんとした雰囲気(情景描写+鹿)と、 個性的なキャラ、そして、奈良の歴史をうまく絡めてちょっと ユルい感じのファンタジーに仕上がっているように思われます。 とりあえず、奈良県の指定図書に推薦しておこう。(日々是好日 / 2007-04-12)
マドンナ先生や熱血教師、ひょろっとしたダンディーな教頭が出てくるあたり、坊ちゃんをペースにしてるのかなと思いきや、気づけば作者のスピード感に釣り込まれ、笑いあり、感動あり、あっという間に読破してしまいました。 途中たるいなーと思う部分も正直ありましたが、ドラマや映画を見てるみたいな口当たりのよい読みやすさで、玉木宏さんでドラマ化決定と聞き、アーなるほどと思いました。 最近は漫画や小説原作のドラマがほんとに多いですね。 当方20年間奈良で生まれ育ちましたので、奈良公園や近鉄線の電車、駅や通りのちょっとした描写にも高校時代が思い出されて懐かしかったです。 京都、奈良、ときて次回はどこが舞台の小説を書いてくれるのだろう・・・新作を期待しています。 (rinrin / 2007-11-26)
鴨川ホルモーでいちやく有名になった作者。 ストーリーとしては相変わらずの妖怪系SF。 もちろんコミカルな笑いあり、感動ありの王道を極めている。 先が気になって眠れないほどの中毒性を、万城目作品は持っている。 (プレーンヨーグルト / 2007-06-18)
レビュー数 70
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平均点:4.5
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