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経済政策を歴史に学ぶ [ソフトバンク新書] / レビュー総評点:35
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ASIN:4797336552 / 売上順位:125794
ソフトバンククリエイティブ(2006-08-17)
田中 秀臣
¥ 735(中古:¥ 280)
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レビュー総評点:
35
この本の醍醐味は、第4章以下に出てくる構造改革論者や「期待の経済学」の論者について彼等の経済学的所見を越えその心性や思想的背景にまで切り込んでいっている点でしょう。例えば、構造改革論者の方では、昭和恐慌時に活躍した笠信太郎と現代の西部邁とを比較している点。両者ともにシュペングラーの文化相対主義を自明の理とし「個人の利害」を超えた高倫理を持つ「テクノクラート」による統治を夢見るところが共通するとします。細かい論証をすっ飛ばし、「思想の飛翔」を思う存分可能にしてしまうところに、彼等がありもしない「真のエリート」に執着し、また残念ながら大衆的支持をある程度勝ち得る原因があると言えるでしょう。 これに対し著者が支持する「期待の経済学」の方では、終章において森嶋通夫の「東北アジア共同体」構想を批判する際、石橋湛山の「小日本主義」が登場します。現状の行き詰まりの解消に向けて、これまた現実味のない高い倫理性を帯びた共同体に救いを求める点を批判し、外国と干渉しあわず日本のことは日本の中で解決するのが責任ある姿勢として「小日本主義」は今日も妥当すると説いています。 70年前の論考を縦横に引用し現代の状況に当てはめてゆく点、「歴史に学ぶ」タイトルに偽りなしです。が、このような高水準の内容であれば、新書では紙幅が狭すぎたのではないかという気がしなくもないのです。(射手座 / 2006-12-04)
今日話題になっている「格差社会」(“ニート”等)を皮切りに小泉政権の経済政策の評価,日本のエコノミストの現状を通り抜け,本書の主要である「構造改革主義」(「構造改革」と区別する為の著者による命名。不適切な政策割り当てに基づく経済政策の意。)が新しい問題ではなく過去に訪ねられる問題であることが紹介されていきます。 それはさながら,「テーマパークのアトラクション」のようであり,あるいは「経済学地獄めぐり」のようであります。 その中身はといえば 構造改革主義(第4章 日本経済学の失敗): 野口悠紀雄,笠信太郎,三木清,(シュペングラー),都留重人, (小野善康,吉川弘),高田保馬,西部邁,村上泰亮 期待(リフレ)の経済学(第5章 期待の経済学を求めて): クヌート・ヴィクセル,ディビッド・レイドラー,ミルトン・フリードマン, J・A・シュンペーター,鬼頭仁三郎,(ジョン・メイナード・ケインズ), ジョン・ヒックス,高橋亀吉,岡田靖,岩田規久男,安達誠司 レジーム転換の経済学(第6章 レジーム転換の経済学の登場): ポール・クルーグマン,ベン・バーナンキ,小宮隆太郎,ポール・ボルカー, 渡辺努,岩村充,与謝野馨,竹中平蔵,高橋洋一 と盛り沢山であり,加えて,“終わりに代えて-最強の構造改革主義<東北アジア共同体>よりもリフレによる対抗ナショナリズムの緩和へ-”では, 「構造改革主義」として森嶋通夫,それに対する小宮隆太郎の批判,「期待の経済学」「リフレの経済学」として石橋湛山が紹介されます。 これらが,経済思想史を専門とする作者の手によってコンパクトにまとめられており,読者は作者に誘導されるままに,ただこの新書を読むだけでその足跡を辿ることが出来ます。 また,詳しく知りたい場合には,巻末にブックリストが用意されています。 今日までそして明日からの経済政策を見る・考える上で本書は参考になるでしょう。(ITOK / 2006-09-18)
1〜2章は、結果的に経済運営を成功裏に導いた小泉政権の経済政策の検証である。小泉政権では、不良債権処理など市場経済システムに親和的な政策運営を行ったことが、経済の潜在的な力を高め、社会の活力を回復させた、というのが世間一般の認識に近いものだろう。しかし、現実には、むしろリフレ的な政策が、景気回復を導いた可能性が高い。この事実は、松方財政に対する正しい検証を行わなかったことが、結果的に昭和恐慌時の間違った経済運営を招いた、とする安達誠司氏の指摘を踏まえると、このままにしておくべきものとも言えないだろう。本書では、スティグリッツの議論を援用しながら、民営化、自由化などは、それ自体を目的とみなすべきではなく、あくまで手段とみなすべきであり、最重要な課題は、失業を防ぎ完全雇用を目指す政策であり、不況であれば、政府が適切なマクロ経済政策で対応することであると指摘する。 しかし、この本の本当に凄い所は4章以降にあり、ここでは小泉改革の持つ「構造改革主義」的な思想の源流に遡り、笠信太郎、三木清、都留重人、森嶋通夫、高田保馬、西部邁、村上泰亮等の思想を「構造改革主義」という一点から見事に格付けられる。この「構造改革主義」の最終的な眼目は、費用の逓減が「見込める」産業を中心に、国家(官僚)が主導して、産業構造を「再編成」することにある。しかし、市場の調整メカニズムによらず、国家が主導してそのような産業構造の大転換を図ることは果たして可能なのか、或いは失敗の責任は誰がとるのか、非常な疑問を感じるところであろう。 最後に、ヴィクセルに遡る「期待の経済学」を概観し、レジーム転換により経済主体の期待を変えることの重要性を指摘する。また、石橋湛山の「小日本国主義」を媒介としたリフレと平和の結びつきについて論じられる。 (ラスカル / 2006-08-29)
最初の章では、最近の「格差社会」論の高まりに対して、景気回復基調だったのに、農村まで波及していないとしてクーデターを起こした二.二六事件に参加した兵士たちの経済認識を引き合いに出して、疑問を示しています。 四章で、日本における「構造改革主義(経済の低迷を、需要の低下などの景気循環の結果とは考えずに、構造的要因があるからだとして、問題解決を構造改革によって正そうとする考え方)」が、今日や昨日出てきたものではなく、戦前の昭和恐慌時代から続く根深いものであることを指摘しています。 個人的にツボだったのは、ケインズ型財政政策が戦争を招いてしまうと言う今現在でも散見される主張に対して、おそらくはそのオリジンを明らかにしたところでしょうか。 最近、話題の靖国神社の遊就館では、米国のニューディール政策で景気が回復できないため、日本を戦争に追い込んだと言う説明がされているそうです。 (参考:http://www.okazaki-inst.jp/060826-sankei.html) 以下のような都留重人の戦中期のニューディール政策への評価を紹介されています。 「「国民的利益」概念の二つの具体的内容をなしている「国防」と「全的就業」とが同時に満足される機会が与えられたのであるから、大東亜戦争開始にいたるまでの好戦的態度には十分の根拠があつたと云はねばならなぬ。「ニューディール」政策は、このような形で戦争につながっていたのである」。 (y-mat / 2006-09-10)
レビュー数 4
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平均点:4.0
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No.1-2
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これも経済学だ! (ちくま新書) / レビュー総評点:38
『これも経済学だ! 』で画像検索
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ASIN:4480063145 / 売上順位:46940
筑摩書房(2006-08)
中島 隆信
¥ 756(中古:¥ 116)
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レビュー総評点:
38
本書は「伝統文化」「宗教」「弱者保護」といった経済学と対局にあると思われている事象を経済学的に説明することで「経済学的思考」の重要性を説いている。平易な文章で予備知識を必要とせず読める万人向けの本であると同時に、経済学部や経済学研究科を卒業した人間にも新たな視点を提供する本としてオススメできる。 一方、高校生が本書を読んでから経済学部に入学したなら、落胆するかもしれない。ミクロ経済学やマクロ経済学の講義内容は、本書で取り扱うような身近な話題でもないし、機械的に式を解くことになりがちである。「これも経済学」には違いないのだが「これが経済学」と誤解なきように・・・・。(鞄持ち / 2008-01-17)
経済学はもともと人間社会の「なぜ?」を探求、解明する学問である。 しかし、数学や理論や専門用語に満ちていて、一般には敷居が高いイメージがある。 そこで本書は、経済学はもっと身近なのだ、経済学的視点を使えば社会のしくみがスッキリわかるのだ、ということを示すため、一見経済とは全く縁のなさそうな文化や伝統、宗教、弱者保護を取り上げ、経済学の原理を使って「なぜ?」の説明を試みている。 本書は理論や専門用語を排除しているが、使われている経済学の原理=解剖道具はおおよそ次の3点である。 1.人間は自己の欲望を満たすように行動する。 2.人間は無駄を避け、利得を最大にするよう行動する。 3.人間の生産活動は、需要と供給のバランスに支配される。 経済学的視点での社会のありようを理解するということと、社会をあるべき理想の姿へもっていこう、ということは本来動機が別であるが、たいていの類書では前者よりも後者が強く前にでてくる。しかし本書は意識的に前者の立場で書かれている。そこが新しい。 経済学も歴史学や社会学や哲学と同じ人間と社会を理解する方法論のひとつなのだ、ということをあらためて認識した。 これはあたり!である。(丁三 / 2006-11-23)
この著者による、「障害者の経済学」という本を題名にひかれて手に取った。おもしろそうとは思ったが、買おうかどうしようか迷った。 そのまま新書売り場にゆくと、この本が置いてあった。おおっ これはお買い得では、と思って買った。 結論から言うと、かなりお買い得。社会の「弱者」が実は真の「弱者」ではないという直感的に納得できることが、明快に示されている。 さらに、最後の章。経済学の原則が示され、それが自分の学生や今の社会に照らしたときにどう感じられるかが示されている。 このあたりが、とても共感が持たれる。社会を見る目、そしてそれを見極める目の重要性を再認識できる。 良著。(pooh bear / 2006-09-09)
本書は、決して色物ではない。しかし、著者は色物視されることを恐れては居ない。 人は、往々にして自分の現在地点の狭い視野から、世界を物事の仕組みを見がちな傾向を持つ。全体像を解明し、背景を形作るシステムを解明する努力をせずに。 このシステムの解明に著者は、経済学の思考方法を薦める。 最適の資源配分の道筋を考える経済学。人間の行動を解明するツールとしての経済学。 その経済学の効用を、大相撲・プロ棋士の世界や、伝統仏教の寺院、家元制度の生き残りのために作り上げたシステムの解明を通して読者に示し、読者を経済学への接近へと誘う。 そして更に、社会が「弱者」とする存在に著者の経済学のメスを入れ、思考実験を行う。 表層的なマスコミ報道をなぞるだけの論議や床屋政談に厭きた貴方にお勧めする一冊です。 (歯職人 / 2006-12-12)
「全ての人間(もしくは組織)の選択する行動には、当事者にとって合理的な理由が存在している」 という前提に基づき一見非合理とされる伝統芸能、障害者(弱者)保護、宗教といった領域について、 組織の規範と人間の行動の合理性を解明していく。 経済学の範囲をかなり広く捉えているが、貨幣経済や人間の経済的行動そのものの分析から離れて組織や制度を分析しており、広く社会科学そのものと言える。 世間的なバイアスに左右されず、自分のイメージや思い込みを排してモノをみること。 理不尽、非合理と思えるものの合理性を冷静に見つめること。 すなわち、自分が合理的だと思っている世界は、自分が属している世界の合理性に過ぎないと知ること。 そのような社会科学的なモノの見方を学ぶために、ヒントに富んだ新書である。 本書のスタンスの通り、全ての人間および組織で、インセンティブに基づく合理性のある判断が行われている以上、 その人や組織を変革していくことの難しさも理解できる。インセンティブの量と質を変えていかなければいけないということだ。 ただ、組織変革の成功事例を並べるビジネス書に比べて、「変革」の意味を真摯に考えることができるであろう。(picander / 2006-11-17)
レビュー数 16
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平均点:4.0
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行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書) / レビュー総評点:125
『行動経済学 経済は「感情」で動いている 』で画像検索
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ASIN:4334033547 / 売上順位:6226
光文社(2006-05-17)
友野 典男
¥ 998(中古:¥ 320)
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レビュー総評点:
125
2002年にノーベル記念経済学賞を受賞したカーネマンとトヴェルスキーが開拓した 経済学の新分野「行動経済学」を俯瞰的に紹介した良書。経済学もしくは経済学を ベースにした経営学を学んだ人には役に立つ本だと思う。 これまで、経済学では前提条件として合理的な人間を想定し、その下に理論構築・ 実証研究が行われてきた。近似的に正しいと納得できる結論もあれば、どこか現実 感覚にそぐわない結論もあった。後者は理論上の帰結と現実とを粒さに眺め、傍証 を用いて説明するしか方法が無かった訳だが、それを実験を通じた心理学の手法で 体系的に実証したところにこの分野の意義がある。その実証分析から導き出された 結論をまとめたものの一つが本書である。これまで経済学を学び、知識を更に獲得 したいと思っている人には経済学の新分野を学ぶ上で有意義なものであると思う。 しかしながら、新古典派経済学に闇雲に批判的な人が読むことはお勧めしない。 この本は決して「人間が非合理だ」と主張する本ではなく、「合理性を追求できな い理由」を分析した本である。本書でも引用されているように、「事実の集積は科 学ではない」(ポアンカレ『科学と仮説』)ので、感覚的に導いた(身勝手な)セオリ ーを補強する材料とはならない。いくらかの経済学的バックグラウンドを求められ るのが本書の辛いところと言える。(県民 / 2007-01-06)
経済的局面において人々が実際に選択する行為と、標準的経済学が予期する、効用を最 大化し合理的選択をすると仮定されている「経済人」との間には乖離がある。それらに ついて深く掘り下げたのが本書である。 本書はなぜ人は「経済人」のように合理的な行動ができないのか、損してまで感情的行 動を起こしたり、将来の大きな利益を省みず、目先の小さな利益に飛びついたりするの か等の謎を解くヒントになるだろう。さらにこれらは人の生物としての合理性(だっ たの)ではないかということが次第に明らかにされる。 しかし、本書を読んで「経済学が根底から瓦解した」なんて誤読してはいけない。著者 自身も書いているように、「経済学で長年に渡り蓄積されてきた理論に認知心理学の成 果を取り入れて改良するというのが行動経済学の目指すべき方向であって、標準的な経 済学を全面的に放棄あるいは解体して、新しい経済学を一から建設するというものでは ない」からだ。 さらに(実はというべきか)、この種の適応的合理性という性質は、進化社会学や社会 心理学の最近の知見について既知の読者ならば、さほど真新しさを感じないのではと思 われる。逆に本書を読んで、はじめてその面白さに触れたなら、そちらの入門書等を読 まれることをお勧めする。本書の網羅的・教科書的記述は(学生や研究者には巻末の参 考文献リストが)辞書的に役に立つ種の本でもある。 著者の中立的記述は、ぶれがなく好意的。逆に面白味に少々欠けるという意見もあるだ ろうし、この行動経済学が政策的にどう生かされるべきなのかという方法論までは著者 自身認めるとおり、射程とはされていない(今後の課題)。だが、新書というスペース に行動経済学の議論を詰め込めるだけ詰め込み紹介したという姿勢は評価されるべきで あろう。(ori_pupa / 2007-02-04)
標準的な経済学の世界というのは、すべての情報を入手でき、それに基づいて合理的な判断・行動を取る人間を前提として組み立てられているいわばフィクションの世界であり、経済学者たちはそのような純粋状態をモデルとして経済の仕組みを分析することに意義を見出しているわけだが、一方で、「そのような前提はまったく現実的でない」といった批判も根強くある。行動経済学は、そのような批判に応え、むしろ個々の人間が合理的な判断・行動を取らないということを前提に、どうして合理的な判断・行動を取らないのかを分析し、経済の仕組みを理解しようとするアプローチである。本書は、その入門書と言ってよい存在で、人間の先入観、錯覚、リスク性向などに始まり、精神学的な脳の構造と働きに至るまで幅広い行動経済学上の理論をカバーし、分かりやすく解説してくれている。この本を単独で読んでもそれなりに面白いと思うが、標準的な経済理論を一通り勉強した人が読むと、対比が明確になり、経済に対する理解(困惑?)がより深まること間違いなしである。(海援隊 / 2006-10-24)
行動経済学の本を読んだのは本書で2冊目ですが、本書から学んだのは行動経済学の適用範囲の広さです。 最初に読んだ本で頭に残ったのはプロスペクト理論だけでした。これは、株価が1万円から1万1000円になる喜びよりも1万円から9000円に減る悲しみのほうが大きい、という人間の感情特性を定式化した理論です。本書でもプロスペクト理論には大きな紙数が裂かれていますが、具体的な問題・現象への適用例が豊富なのが特徴です。 著者はこのプロスペクト理論を「もっているものへのこだわり」と簡潔に表現し、一例として市場価格以上でも土地を売ろうとしない人の性向を上げています。このように、持っているものへのこだわりが経済の基本的事象である「取引」の促進に影響すると考えれば、その重要性が認識されることでしょう。 インフレのときに賃金があがらなくても不満はないのにインフレ率ゼロのときに賃金を下がると不満を抱く、という例もあげられていますが、これもマクロ経済の運営に大きく関わる特性といえます。 他にも割引率のこと、人間の行動特性を脳科学に帰着させんとする「神経経済学」のこと、が豊富な具体例と共に解説されており、新書としては充分お得な内容となっています。(三四郎 / 2006-07-23)
既存の経済学ではその議論の前提として, 完全に合理的な経済人を置いていますが, それは少し考えてみればおかしいと分かるもの。 行動経済学は人間の感情の及ぼす影響を考えに入れ, 人間の行動の本当の姿を調査しようというものです。
この本には非常に情報が詰め込まれており, 多くの行動経済学やその周辺での議論が詰め込まれています。 まだ完全には普及しきっていない分野での入門書, あるいは紹介書的な位置づけとしては非常に有用であると感じます。 この本単体では学問的な理解にとどまるかもしれないですが, 既存の経済学と組み合わせて考えてみたり, あるいは心の持ち方といったことと併せて考えていくことで, 学問だけに限らず,実用の面までにも役立ち, 様々な可能性をもった議論展開が可能になるように思います。(pacman / 2008-05-18)
レビュー数 51
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平均点:4.0
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No.1-4
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経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには (中公新書) / レビュー総評点:103
『経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには 』で画像検索
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ASIN:4121018249 / 売上順位:5977
中央公論新社(2005-12)
大竹 文雄
¥ 819(中古:¥ 112)
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レビュー総評点:
103
本書の狙いは、世の中で起きている格差の問題について経済学的な意味を考えることで経済学的な思考のセンスを身に付け、社会を視る眼を養うことである。ここで言う経済学的思考のポイントとは、 1)金銭的なインセンティブの観点で物事を見ること 2)物事の相関関係ではなく因果関係をきちんと押さえること である。ただし、人々の行動原理には、名誉、プライド、価値観、使命感、生きがい等の非金銭的なインセンティブも大きく関係している。 1章、2章では、身長や美男美男度と賃金の関係、オリンピックのメダル数と人口&一人当たりのGDPとの関係を例に、こんなことも経済学者が研究しているのか?という驚きを提供し、経済学的な思考に対する興味を喚起してくれる。 そして、3章、4章では、現在から将来の日本が抱える問題について論考している。具体的には、V章では年金の仕組みを例に年功賃金について検討し(賃金抑制のための成果主義の問題についても言及)、W章では所得格差と再配分について取り上げている。 1〜4章では興味を引くようなトピックスを取り上げ分かりやすく説明しているため、単なる読み物として面白く読めてしまう。しかしながら、プロローグではこの本の目的として“お金がない人を助ける具体的な方法を提示することではなく、お金がない人を助けることの経済学的な意味を考えてゆくことである”と述べられており、エピローグでは所得格差の問題は“機会の不平等や階層が固定的な社会を前提として所得の平等化を進めるべきか、機会均等を目指して所得の不平等を気にしない社会を目指すかの意思決定の問題である”と指摘している。 本書を読む前にエピローグとプロローグを先に読むほうが、本書のポイントを明確にして読み進められるかもしれない。(私撰 綜(市川聡:さとる) / 2006-12-27)
副題にある「お金がない人を助けるには」に惹かれて購入しました。 ただ、本書を読んでいると、本題の「経済学的思考」について、色々な例を挙げて説明しています。それはそうですよね。(とはいえ、論じられていないわけではありません) 筆者の云う経済学的思考というのは、世の中の出来事を「リスクとインセンティブ」で捉えなおしてみてみること。また、色々な事象の相関関係について、その中にある因果関係を捉えるための思考であるとしています。 また、昨今注目されている行動経済学の事例も紹介してあり、それらも今後の経済学的思考には必要なことと感じました。 語る上での実例として「女性はなぜ背の高い男性を好むのか」「美男美女は本当に得か」「いい男は結婚しているのか」など世間話としても面白いものから、日本的雇用の損得、所得格差と所得の再分配など一般的に経済学のイメージに近い話題までを扱っていおり、それらを改めてインセンティブとリスクからの視点で語っているので、読むのが苦ではなく面白く読み進めることができました。 また、事象の相関関係からあたかもそれらが因果関係であるかのように捉えて議論を進める例は、仕事上私の周りでもよく見られることなので、改めて因果関係を探りだすセンスは必要である!ということを感じました。 おそらくちゃんと経済学的視点で物事を見るためには、たくさんの事例の検証を必要とするのでしょうが、「センス」と言う意味では、見方を変えるだけで物事の捉え方が変わるのだということを理解させてくれる一冊でした。 面白かったです。(itgaki / 2007-11-19)
インセンティブ的観点(金銭/非金銭:教育・倫理観)から社会を見る力と経済データから因果関係を見つけ出す力こそが経済学的思考があるといえる。その分析例(男女の結婚問題、プロスポーツ選手やエンジニアとインセンティブ、日本的雇用慣行(年功賃金)、所得格差と平等・不平等)が本書に述べられていることである。わかりやすいと言えばわかりやすいが、自分がこういう風に分析できるかと言えば難しいな。 アメリカのプロスポーツはどちらかといえば、全体で共存することを選んでいるように思える。特に、アメリカンフットボールはそうである。どちらかというと、お金持ちのチームとお金のないチームとの差をなるべくなくそうとしている。リーグ全体で盛り上がらないと、全体のパイは小さくなるからである。 若年世代は所得格差が大きくなっている。ニートやフリーターの人たちと正社員で働いている人は所得格差だけでなくさまざまな保障面で差がでている。これが完全な階層関係につながらないように、セイフティネットの充実や教育や優秀な才能がある人をうまく救い上げるなど力を入れてほしい。 (itchy1976 / 2009-01-11)
あとがきに「日常のさまざまな話題を経済学の視点で議論することを通じて、経済学の本質を読者に理解していただくことを目指し」とありますが、本書は、その点で非常に成功していると思います。日常の話題から、経済学へ掘り下げていくため、自然と読者は引き込まれます。最新の論文とかも引用してあって、今の経済学の学問としての雰囲気も味わうことができますし、最後に引用文献がまとめてあるので、更に進んでいくこともできます。この本を読めば、経済学って面白そうだと感じるでしょう。(いじさま / 2006-01-29)
第1章「イイ男は結婚しているのか?」では「イイ男は結婚している」のか「結婚してイイ男になる」のか、どうでもいいような興味のあるような、かつ経済学とは一見無縁であるような話題を経済学的な思考を用いて追求している。外見が本当に生産性に関与するのか?所得プレミアになるのか?結婚は生産性を上げるのか?調査や仮説を駆使して因果関係を求めることが経済学の重要な思考法であることを伝える章である。 第2章「償金とプロゴルファーのやる気」ではプロスポーツの世界が経済学では絶好の調査対象であることを初め知った。個人競技であるゴルフと集団競技である野球それぞれの成果のはかり方の違い、リーグとして繁栄するための考察も興味深い。また大学教授やエンジニアを例に金銭によるインセンティブは本当に有効か、有効であるならばその条件について・・・といった成果報酬主義の限界に鋭く切り込んでいる。非金銭的インセンティブの強調は経済学というと金銭的価値と短絡しがちな風潮に警鐘を鳴らしている。なんでもかんでも成果主義の人々に是非読んでもらいたいところである。 第3章「年金未納は若者の逆襲である」第4章「所得格差と再分配」は昨今話題の格差社会論に挑戦している。様々な調査や学説を駆使して世代間格差や社会保障の問題とも絡めながらそれぞれの世代が自分の利益の最大化を図ろうとする姿が浮かび上がる。ここでも各種の統計・仮説を駆使しての因果関係の追求とそれぞれの立場からのインセンティブの追求が織りなす世界である。 章が進む事に次第に身近な問題へと論点が進んでいく。興味を抱きそうな話題から経済学的思考への導入を行い、身近な問題へと発展することにより、自分のまわりの世界を経済学的思考により読み解くように誘導する。なかなか巧みな展開であるように感じた。(糸音 / 2007-03-18)
レビュー数 25
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平均点:4.5
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