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「四畳半神話大系 (角川文庫)」 とその関連商品
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四畳半神話大系 (角川文庫)
ASIN:404387801X角川書店(2008-03-25) 森見 登美彦 売上順位:2223 ¥ 700 |
レビュー総評点:141
森見さんすごい。すごすぎる。 ||||||
帯に青春コメディとあったので、私好みではないと思っていましたが、なかみ検索を読んでいたら続きが気になって買ってしまいました。
読み始めたら面白くてとまらなくなりました。 いや〜すごいな。よく考えてあるし、計算されている。 青春コメディという言葉からはとても予測できなかった展開。 馬鹿っぽくみえて実はかなり奥深い。 森見さんってすごいなって感服してしまいました。 文体も賛否両論あるみたいですが、私は大好きです。 出町ふたばの豆餅は遠くて買いにいけませんが、カステラは食べたくなって買ってしまいました。 例え一話目で、読みずらいな〜と感じても、一度慣れてしまえば引き込まれて、もっともっと読みたくなります。 読み終えてしまうとなんだかさびしくなり、普通の文章では物足りなくてさらなる森見作品を求めてさまよいでてしまいました。 この本に出会えて本当によかったです。 (みけの たまこ/2008-07-15) のだが、そうした見栄えの良い形容が似合わないところが魅力なんである。無駄に多くを語らない、という美徳があるとすれば、これは斯様な美徳に真っ向からお尻を向けている。フリフリしているかもしれない。見る人の視点によっては、そのお尻は大変にキタナイものかもしれない。しかしまた別の視点から眺めると、そうして世に向け放たれたお尻達は、珍妙ながらたいそう愛しくも映るのだ。
本作は4つの章から成っている。描かれる世界はある意味とても小さい。そしてそこに意味がある。4話を通して読むと、最後にそのことが実に自然にふはふはと浮かび上がってくる。ほとんど悪ノリの態で紡がれる言葉に立ち向かう術はない。読めば呑まれる。無用の長物こそを武器に選び出すような、どうしようもない阿呆さと愛しさは、その人物造形や世界観と共に通底した魅力となって、ぐるぐると活発に、半ば無駄に動き回っている。 舞台設定は『太陽の塔』に近しい。だけどここには、前作には無かったような一つの仕掛けが用意されている。その仕掛けが分からないぶん、第2章あたりで一瞬躓く。現に自分も「なんたる怠慢!」「これでは体の良いコピー&ペースト地獄ではないか!」と憤りかけたりもした。しかし、その作りこそが肝だったのだね。 可能性ではなく、不可能性の認識から振り返り見た世界。その鮮やかな感触を最後にふわりと描き出した本作は、私的には稀に見る傑作。巻末解説は同じく大好きな作家/佐藤哲也氏が書いている。森見作品が好きな人は、一度佐藤氏の諸作も読んでみると面白いかもしれない。 (あかちゃん/2008-05-19) 文句なしの星5つ。
森見登美彦にしか書けないであろう、アホさといい軽快さといい。 舞台が回る回る。それにつられて喋り捲る登場人物たち。 パラレルワールドというのだろうか、有ったかもしれない過去の選択。しかし、どの選択肢の先にも… 緻密なアホさ、精密な無駄、大迫力の空振り、広大な京都で、絶大な馬鹿達を引っさげて、主人公の青春群像が咲き乱れる。 行き着く先は大円満か異次元か。京都の魔物、森見登美彦の真骨頂。 (SOo/2008-04-11)
IF |
誰でもそうなのかもしれないが、人生において“もし”ってのが出来たらなんと楽しいのだろうか・・・
“if” たった一つの選択肢が大きく自分の人生を狂わせていく 自分でも思うんだが、人生にリセットボタンがあったら何処からやり直すだろうか?? どこからやり直しても、根本的にはやはり変わらないんだろうな〜 この小説のように一つの選択肢で変わってくる世界はあるかもしれない。 でも、やっぱり自分は自分だし大きくは変わってこないってのが、改めて感じられてしまう。 やっぱり人生は小説のようにはいかないな〜。 まぁ、だから面白いんだろうけどね って、そんな話。 (ブックジャンキー/2008-08-19) 同じ題材やキャラクターを用いて、四つの話が平行して繰り広げられる。
太陽の塔さながらのユーモラスで軽快な語り口調は健在です。 各話で同じ文章が何度も繰り返し出てくるのですが、 不思議と飽きることなく、洗練されていて心地良い気分にさせてくれます。 そして主人公である私を取り巻く小津や明石さんや樋口師匠といった 一癖も二癖もあるキャラクターが魅力的です。 賛否分かれる作品ではありますが、 僕にとっては手放すことの出来ない貴重な一冊です。 (我利/2008-05-16) 05年01月刊行の単行本を文庫化,4編の短編集になります.
主人公で大学生である『私』が4つのサークルに興味を惹かれ, 4編で4つ,それぞれに入っていた場合の日常が描かれています. これが,ただの『もしも…?』でおわらないのがおもしろく, 同じ人やアイテムでも,編が違えば別の経緯や役割があるなど, 微妙に大胆に交わりつつも,繋がりのない別物語になっています. また,舞台となる京都や和の香りがするファンタジも大きな魅力で, デジャヴュを見るかのような不思議な感覚に引き込まれてしまいます. はじまりやおわり,ほかのいくつかに同じ文章や表現があるのも, 手抜きなどではなく,この世界観を描くための演出と思えば納得で, ひねりの効いた最終話では,ラストにもニヤリとさせられるはずです. 主人公の偏屈で小むずかしい物言いや,たくましすぎる妄想など, 全編を通じたクセのある言葉まわしは好みがわかれるところですが, これがこの作品の楽しさのひとつで,おかしな掛け合いにもなるので, はまれればよいものの,そうでない人にはとことんダメだと思います…. なお,巻末の記載によれば,単行本からの加筆・修正があるとのことです. (ポロロッカ/2008-04-10) 京都を舞台に、大学生の怠惰でエキセントリックな日常が描かれる一冊。
主人公の最初の選択によって4つの平行世界が分岐して現れ、その物語が順々に描かれる、という構成になっている。 とはいえ、それぞれの話でまったく同じ出来事が起こったり(その際は、文章すら一字一句同じだったりする)、あるいは経緯はまったく違うのに同じ結果に落ち着いたりと、結果的にはまぁ大体同じようなことになる。 というと、なんだか同じ話ばかり読まされて飽きそうな気がするが、決してそんなことはない。 綿密に構成されたストーリーとネタが一体となった、極上のエンターテインメント小説に仕上がっている。 しかも、少々毛色の違う4つめの物語のバカバカしくも圧倒的なラストは、ちょっと感動的だ。 ゆるい作品のはずなのに、なぜか最後は感動してしまうというのは、同著者の『太陽の塔』と同様。 著者の筆力を何よりも物語っている。 本書の読後感は、村上春樹の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』と似ている気がする。 どちらの作品が優れているかなんて比べることはできないが、『世界の終わり』になくて『四畳半』にあるものは「笑い」だろう。 というわけで、村上作品と「笑い」が好きな人には、必ず面白く読んでもらえる作品かと。 (チャックモール/2008-04-07) 最終章のみ、パラレルワードを扱っているので、SFなのかもしれませんが、他章は主人公の懊悩する青春が可笑しく描かれています。
『太陽の搭』でも思ったのだが、解説が良い。 人生には無限の可能性があると思いがちなのですが、実は自分の不可能性に大きく制約を受けるという但し書きがあるということを本書を読んでいて実感しました。 作者はパラレルワードを描きながら、実のところ運命論をを説いているように思えました。 (コークス萌太/2008-06-11)
京都大学に進学した事を自慢しているだけの小説(;'Д`)ハアハア |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(;'Д`)ハアハア この小説は京都大学が舞台である。京都大学卒業生は何故か、京都大学を舞台にした物語ばかり描くのが特徴である。
東京大学の卒業生は東大の物語をあまり描かないのに・・・京都大学の卒業生は京大物語ばかりである。 京都大学という大学がそこまで『理想郷』であり 地上の楽園である事の証なのだらうか?? この著者は自分が京大に進学できたことを鼻にかけており・・・他の大学の学生(東大以外) をバカにしているのが・・文面から・・ちらほら 感じられる・・・。 京都大学に進学する事で・・・自分が ネ申様にでもなったつもりなのか・・・ 『神話体系』という・・・タイトルをつけている・・・。 京大に進学できた自分はネ申であり・・・神話を体系するのに相応しいと言わんばかりである・・・。 農学部なのに・・・どうしてそこまで・・・傲慢になれるのだらうか?? 理学部なら分からんでもないが・・・まったく不思議である・・・。 (ホッカルさん(改)/2008-06-04) 登場人物の博識さ、いもかわいさ、人にかわいい迷惑をかけるためにとてつもない策略を練るところが、実際に京大にいいている幼馴染にそっくりだ。いやこんな人もいるのだな。この作者の本を読んで、いつも思うのだが、東京で就職や将来のためにカツカツと勉強し、人脈作りをする以外に、伝統のある京都の街でいろんな空想にふける大学生活を送る選択肢もあったんだなと感じる。
(MJ/2008-12-06)
1話目を読んだ時点では、
特に面白くもなく、つまらなくもない話だと思ってました。 2話目を読んでいる途中から、 繰り返される回りくどい表現に引き込まれ、 3話目を読む頃には、もう止まりませんでした。 そして、全てをまとめあげる4話目。圧巻でした。 何よりすごいのは、ここまでの興奮を味わっておきながら、 同時になにか汚いものに触れてしまったような気分になること。 登場人物が誰一人尊敬できないし、 起こる事件は心の底からくだらないのです(笑) でも、(残念ながら)それが親近感にも通じるわけで、感情移入を誘います。 最高の1冊でした。 (junya.i/2008-12-03) 本屋でたまたま見かけて購入しましたが、
全12件のレビューを表示しています。意外な構成で楽しめました。 自分の大学生の頃を思い出し、懐かしい気持ちで読める 一冊です。 (ソライロ/2008-11-19) [amazonでレビューを見る][amazonでレビューを書く] 平均点:4.5 はてブコレクション数: |
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太陽の塔 (新潮文庫)
ASIN:4101290512新潮社(2006-05) 森見 登美彦 売上順位:1996 ¥ 420(中古:¥ 1) |
レビュー総評点:99
学歴コンプレックスの連中が京大だからと批判し京大卒の馬鹿どもが周辺地理を面白がる。この作品はそれだけの価値しかないのか?否、この作品は、日本語を愛し、もてないで悶々と過ごした青春時代をもち、自分というものの価値を信じているすべての男性のための切ない物語だ。そして、私はそう読めなかった人たちがうらやましくてならない。おそらく、男臭さむんむんとする部屋で友人と語り続けてた経験もなく成長されたのだろうと思うからだ。しかし、この作品はそういう人たちに読まれるべき作品ではない。女性にもスポーツにも縁がない学生時代を持つ(生きる)人にこそ読まれるべき作品なのだ。
(たかちん/2007-01-23)
大学生の失恋の話。もてない男達がうだうだと集まって明晰な頭脳によって恋愛の下らなさを否定するのだが、当然思想という深い森に迷い込むだけでもてないという事実からは逃れられず、さらにもんもんとする話。
主人公が振られた彼女にもつ切実な想いを、屈折した言葉を使って振られたことを肯定していこうとする心理状態を面白く面白く書いていく技術や、言葉の使い方に共時的な面白さを感じることができた。 物語としても、最後に物語を盛り上げるために「ええじゃないか」があったり、なぜか、悲しくなるラストはよかった。 自意識過剰な感じはするが、それはそれで私はあまり気にならない。とても面白いと思う。 (津和差志/2007-01-14) いわゆる「童貞」ジャンルの映画や漫画(吉田秋生とか)
そして小説(みうらじゅん、原田宗典とか)って、 実は結構たくさんあると思うんですが、 この「太陽の党」は著者の膨大な知識と知性、 そしてユーモアによって、一線を画す作品になっています! 実際のところ、主人公の「わたし」が童貞かどうかは分からないのですが、 膨れ上がる欲望を女の子にぶつけることも出来ず、 男同士でひたすら妄想を弄ぶ。 そして世の幸福な男女へひたすら悪態をつき続けるその様は、 まさに「童貞スピリット」。 痛々し過ぎて、愛しくさえなってくるんです。 男性のみならず、女性も共感できるのではないでしょうか? これといった起承転結のストーリーもないし、 ファンタジーノベル大賞受賞のわりにさしてファンタジーでも無いのですが、 その語り口の軽妙さが最後まで読み手を引っ張っていってくれるでしょう。 できれば「夜は短し歩けよ乙女」を読む前に読んでおいて頂きたいですね☆ 森見登見彦さん、今一番注目している作家の一人です。 (moripu/2007-03-22) 妄想ワールド炸裂。
どこまでが現実でどこからが妄想か。 不思議な物語。 しかし、面白い。 女の子に振られた『私』はその振った相手『水尾さん』研究に いそしむようになる。 しかし、一歩間違えれば、というか すでに間違っていると思うが、 その行為はまさしくストーカー。 理路整然と自分の行動の正当性を訴えるけれど やっぱりストーカーだよな〜。 しかし、ストーカー物とは一線を画す物語。 でも誰にも経験あるような、妄想。 妄想に生きる男の性、 分かるような分からないような・・・ いや、分かっちゃうんだよな。 でもここまでの行動は起こさないけど。 ところどころ「くすっ」とか「がはっ」とか笑えます。 人前では読めません。 登場人物がわけの分からない人たちばっかりですけど、 でも愛嬌があって、とても愛おしい。 森見登美彦はまってしまいそうな作家です。 (なおっち/2007-01-25) 話題作です。
「夜は短し、歩けよ乙女」と同じく、独特の作風はすでに本作で 確立されています。文体や構成、なにより主題が非常に独特で、 読めばすぐ、この作者の作品だとわかります。このような感覚は ジャンルは違いますが、京極夏彦を初めて読んだときに近いものが あります。 内容はすでに他のレビュアーの皆さんがお書きになっているように、 京都を舞台にした、妄想大魔王達の疾走する日常が、半ば強引に 勢いだけで語られていきます。前半の盛り上がり、絶妙な言い回しの 連発に比べて、後半少し盛り下がりますが、作品の主題が、そもそも 勢いと妄想にあるようなので、それもまた良いのかもしれません。 久しぶりに登場した貴重な若手作家だと思います。 妄想族だけでなく、万人が読むべき21世紀の純文学です。 ((た)/2007-11-04) 京大農学部を休学中の五回生(作者自身がモデル?)が語る,イケてない日常の日々。
中盤までは爆笑の日常の連続。こういう勘違い系の学生って,やっぱ多いのかな。彼らの綴る馬鹿馬鹿しい日々が,大仰な文体で綴られているためか「プッ」と吹き出してしまうことが何度も。 時はクリスマス商戦真っ只中。イケてない学生にとって,クリスマスは恋人と過ごすものと定義される昨今の風潮は到底受け入れがたい。そこで彼らは「恋愛ファシズムに対する挑戦」を企て,「我々の精神の持つエネルギーで,鴨川に座る男女を焼き払う!」と息巻く。すげーよ,そのエネルギー。 ただね。第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品ということですが,この本の何をもって「ファンタジー」とするかについては議論がありそう。特に後半では現実とファンタジーの境界があいまいで,作者の世界から置いていかれそうになりました。そこが少々,心残り。 (たつパパ/2006-11-19) 自意識過剰かつ生意気な感じの文章がかなりツボにはまって、読んでるあいだは吹き出したり、ニヤニヤしたりの連続でした。なかなか面白かったです。ファンタジーノベル大賞受賞作と聞いて予想する作品とはだいぶ違うけど、現実と、京大生ならではの巨大な脳(?)から紡がれる幻想というか妄想とが混在している様と独特な古風さは、ファンタジーと言えなくもないかも。また京都っていう舞台も大きいかと。出てくる固有名詞も「叡山電車」「北白川別当交差点」「幽水荘」など妙に魅力的だし。東京じゃこうはいかないだろうな。四天王の学生たちの浮世離れした生活ぶりには少し憧れる(モテないところ以外は・・・)。ラストは若干拍子抜けしたけど。ところで解説を読んで「まなみ号」の意味がわかりました。
(冬苺/2007-06-14)
過剰な自意識と自尊心で防衛している、達成と承認と親和のいずれの欲求も満たしかねている男の子たち。心の肉球はぷにぷにと柔らかくて傷つきやすく、型にハマった幸せを満喫する人々を目の前にしてぷるぷると震える。
仮想京都で息づく昔の文学青年風の彼らが可愛いし、親しみも憶える。文章も事件も人物も、奇想天外に見せかけて、自分や友人と重なる。太陽電池でゆらゆら揺れる機械仕掛けの招き猫なんて、私がもらったら大笑いして大喜びするのに。 ええじゃないかと言い聞かされても、ちっともよくない。ええわけがない。失恋というものはつらいのだ。つらくてつらくてたまらんのだ。初恋でも、何度目かの恋であっても、どんなに自分に言い聞かせて、頭ではわかっていても、理性じゃどうにもならない。 著者のデビュー作とあり、素顔に一番近いのではないかと思う生々しさがあった。とても自然に読むことができる本だった。ほんと、失恋はつらい。 (香桑/2007-05-03) 古きよき、文芸盛んなりし頃の”小説家”を思わせる文体が、とっても巧い。
でも、舞台はあくまで現代。 そのギャップがとても新鮮だった。 本質的には、近代以降、変わらぬ、青春、恋愛、葛藤小説。 でも、時代にあったディテールを消費したいという文系若者層の欲望に、みごとにハマったと思う。 それにしても、この作品が、「ファンタジー大賞」!? 投稿した著者も、選者も、やるなあ、と関心してしまった! (misora/2007-07-23) 異色作です。その前に「一読の価値がある」と付け加えるかどうかが迷うところですけど。
「すべての失恋男たちに捧ぐ」という惹句が見えますが、「すべて」と言うより一部の失恋男に深ーく愛される作品かと。それから京都に土地鑑がないと置いてきぼりを食らった気持ちになるかな・・・でもその点は想像力で補って読べきか。ファンタジーですからね。 登場人物について。モテない四天王が、とんでもなくヘンテコなようでいて少々小粒、ヘンテコぶり、ヘンテコ故の切実さがリアルに伝わってこないのが残念。この4人ですら「まあまあ変わり者」程度のところを、語り手である主人公の妄想・誇大表現で底上げしたのかと勘ぐってしまいます。主人公が失恋した「水尾さん」も同じくうまく伝わってこないのですが、これは主人公との悲しい隔たりを示すための確信犯的書き方でしょうか? ただそれがうまくいっているかというと・・・ 登場人物と、エピソードがうまく連携していないような感も。だから、部分部分ではおもしろく読めるのだけど、総合力でずしんと響くものにはならなかったです。 大仰な一人語りにちらっと覗く内省的で気弱な文章。肥大化した内面とちっぽけな実像の間を主人公が行き来する様は、ちょっとひりひりします。そこがツボかと思いました。 書評などで本書へのコメントを見ると、京大にはこんな学生が少なからず生息するとか。どんな皮をかぶった京大生がこんな内面を抱えているのか、見てみたいなあと思いました。彼らの下宿もぜひ覗いてみたいです。その意味では興味をかきたてられた一冊。 (シロフォン/2007-06-07) 全ての失恋男達に捧ぐ」という言葉にかこつけて買ったのだけど、長らく読んでいなかった。ついさっき抹茶モカを飲みながら3時間ほどで読み終えた。
中身はある男の恋愛をリリカルに匂わせつつも、男の妄想でそれを固めつくした様子。京都の街を奔走する男、京都でのリアルな大学生活が伝わってきた。 ひねくれてもどこか可愛らしいインテリチックな会話や、なんだかんだで女を美化する奴ら、キモ可愛い。 僕が今送ってる大学生活とは似ても似つかない、昔ながらの大学生っぽい大学生活。京都でのんびりと大学生活をしてみたくなった。なんか昔の友達を思い出すような。 また場所がそうぞうできるからおもしろい。京都での恋か。場所は違うのだけど、なんか地元の匂いを感じる。 固く結ばれた友情と個性のあるキャラ。こんな友人に囲まれて大学生活送りたいものだ。 (MJ/2008-03-20) 崩壊しかけた四畳半の真ん中にでんと腰を据えて、私はこの手記を書く。内容は私 の日常である。「おまえの日常なんぞに興味はない」と言う方は読まない方が賢明で あろう。周囲を見渡せば、もっとお気軽で、お気楽で、愉快に読み捨てられる書物が ごまんとある。なにを好きこのんで、こんな男汁溢れる手記を熟読する必要があろう。 読了したあかつきには、必ずや体臭が人一倍濃くなっているはずである。読み終わっ た後で文句を言われても困る。私の経験から言えば、いったん濃くなった体臭は二度 と元には戻らない。 しかし、敢えてこの手記を読む人は、貴重な経験をすることになるだろう。もちろ ん愉快な経験とは言えまい。良薬とはつねに苦いものである。 ただし、苦いからと言って良薬であるという保証はどこにもない。 毒薬もまた苦いのだ。 本文より (ナイルリバーサイド/2007-10-19) 「私」が、振られた彼女の水尾さんを追っかけている話だと、はじめにそう思ったのですが、どうもそればかりでもないのです。
書き出しでは、水尾さんにまつわる手記だと思わせながら、その内容のほとんどが彼の日常で埋め尽くされており、終始晴れない胸中を語り続けています。 しかし、その悶々たるや、まことに絶妙です。流行の恋愛小説家などが書けば、憂鬱に口をふさぎたくなるかもしれませんが、この作品、前向きなネガティブとでもいいましょうか、やや高尚な文体ながらギャグテイストが満載であり、笑いが止まりません。 愉快な仲間たちの紹介に明け暮れていた感もあり、ストーリー的には贅肉が多かったかもしれませんが、美味しいご馳走となりました。 これがファンタジーノベル大賞というのが素敵な選考です。 最後に回想される水尾さんとの想い出には、自分と重なるところもあり、ほろりとしました。 ありがとうございました。 (くまスリー/2007-09-24) 久々に面白い小説に出会えて大満足です。
最初の二行を読んで、笑ってしまったら、そのままレジに直行しても 大丈夫だと思います。 ところどころで爆笑しつつ、最後の二行では、じわりと感動できます よ。 「非モテの文化誌」で取り上げられていたので読んでみました。 もてないということは、自意識過剰で自己正当化が得意、ということ なのだなぁと反省しました。 (tully/2006-07-11) さえない大学生の失恋およびその大学生活についておもしろおかしく書かれた本。
60件のレビューうち参考になった順で15件までを表示しています。京都で学生生活を経験したことのある人ならば一層本書を楽しむことができるだろう。 そして、とにかく文章が素晴らしい。 古風な日本文学的な言い回しで語られる文章は、読んでいてとても気持ちがよい。 声を出して笑える箇所や、独特のセンスを感じさせる表現が幾度となく現われた。 最近売れている作家の多くの本はとても読みやすく現代的なのだけれども、 何か物足りないと私は感じていた。 なんというか、最近の本は文章が透明すぎるのである。 しかし本書はそうではない。 古風で濃厚な文章を用いながらも、とても読みやすく出来上がっている。 筆者の今後に大いに期待したい。 現代文学に何か物足りなさを感じている人におすすめです。 (almost transparent blue/2007-08-26) [16件以降をamazonで見る][amazonでレビューを書く] 平均点:4.0 はてブコレクション数:この商品をリストに入れている人:
正直書評。金の斧リスト1 小説 漫画 ごちゃ混ぜ本棚 新潮文庫の100冊(2008:未読一覧) 読んだ。 良かった本2 私の本棚(1) わたしのお手本 読書録Part11 本とわたくし 最近読んだ本【Novels】 |
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夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
ASIN:4043878028角川グループパブリッシング(2008-12-25) 森見 登美彦 売上順位:68 ¥ 580 |
レビュー総評点:-1
京都が舞台なので,関西人である私にとってはとても楽しめました。下鴨神社の境内の雰囲気や春の夜の木屋町界隈の雰囲気がよく表現されています。高校生や大学生の頃,自分も,同じようにロマンチックエンジン全開で,大好きな彼女との「奇遇」を演出し,外堀を埋める行為に熱中していました。物語の台詞回しも絶妙です。あー,時計の針をあのころに戻してもらえれば,私も黒髪の乙女と・・・・
(hossy13/2009-01-02)
夜は短し歩けよ乙女、短編集ですが、最初のタイトル作品のかわいらしさにノックアウトされました。
森見登美彦さんを読まず嫌いできたのが勿体なかった反面、これが2008年最後の読本で本当に良かったです。 読んでいて、とても幸せな気分になり、乙女さんととひたすら飲みたくなりました。 架空の京都を舞台に、可憐な乙女が誘われるまま流されるままに不思議な大人達といろいろな宴会に行き、ひたすら飲み歩き、最後に李白さんという不思議な人と飲み比べするというそれだけの話なんですが、主人公の女の子がひたすら可愛らしいのです。手法としてはガルシア=マルケスと同じマジックリアリズムなんですが、そういうテクニック的なことは別として別の次元に気持ちよくするすると連れて行ってくれます。 おともだちパンチで殴られてみたいな、とそんなことを思うくらい至福な一冊でした。 あまりにタイトル作が良かっただけにまだ他の短篇すら読んでいない作品ですが、最初の短篇だけではまりました。 (樽井/2009-01-01) 面白いです(あくまでも自分にとってはですが)
内容にあまり触れるのもアレなんで…。 この作品独特の語り口調で展開される物語に馴染めるかどうか〜 が一番のポイントかと思います。 自分は単行本ですでに読んでいますが、文庫版も買ってしまいました。 中村さんの表紙イラストに惹かれる方なら問題なく楽しめるのではないかと。 単行本をすでにお持ちの方へ。 文庫版には巻末に羽海野チカさんの解説が収録されています。 これだけでも買う価値はあるかと思います。 読んでる間羽海野さんのキャラクターが動き回ります^^; 2足歩行! コミック版も羽海野さんが描いてくれればなぁ。 (makina/2008-12-30)
うん! ||
この人の本は独創的でみんな面白い!
全4件のレビューを表示しています。しかし、解説にしろ、帯にしろ、何故に女向けにしてあるのだろうか??? (Jay/2009-01-05) [amazonでレビューを見る][amazonでレビューを書く] 平均点:4.5 はてブコレクション数: |
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美女と竹林
ASIN:433492624X光文社(2008-08-21) 森見登美彦 売上順位:53849 ¥ 1,680(中古:¥ 847) |
レビュー総評点:17
森見登美彦氏が友人と竹を刈る本です。といっても意味が分からないと思いますが、本当にそう言う本です。
読み進むにつれてだんだん竹だけで話を進めるのが難しくなってきて、 どうオチをつけたらいいのか収拾に困っているようなフンイキがたちこめてきます。 彼独特の語り口によるおもしろさは本作も健在なので、上記のような脱線ぷりをも含めて 笑おうという心構えで読む分にはオススメできます(作者は「無益だけど楽しい文章」と言っています)。 けっこうおもしろかったです。 (ブアカーオくん/2008-08-21) 確かに私は、「きつねのはなし」のレビューで、「細かいことは考えずに思いっきり書いてください。」と書きました。しかし、・・・。「新釈 走れメロス 他四篇」は、発想の豊かさに驚きの連続でした。しかし、・・・。これは、・・・。この本は、・・・。エッセイとはいえあんまりです。DEEPなファンしかついていけないでしょう。置き去りにされた感、大です。読む人によって大きく評価が分かれる本だと思います。どうやって作品を作っているのか、参考になるところもありました。ですが、残念ながら、竹林に分け入ることは、かないませんでした。
(秀文/2008-09-18)
虚実空想入り混じった随筆作品。
サラッと読めて、クスッと笑えて、サパッと面白い。 けど、森見登美彦による森見ファンのための一冊って感じかなぁ。 ただ、登美彦氏が竹林を切る!というお話。 切ろうとするが、持ち前のヘナチョコ魂を発揮してなかなか上手くいかなかったり。 詭弁を弄して竹林と美女を結び付けてみたり。 妄想を交えて竹林経営の未来を語ってみたり。 まぁ、そんな感じの本です。面白いですよ。 しかし、森見作品の入り口にはしないほうがいいかも。 森見ワールド未体験の方は、先に『太陽の塔』か『夜は短し歩けよ乙女』を読むことをオススメします。 (pablos/2008-09-04) 正直なところ「これはいったい何なのだ?」
というのが感想である。 本当に一度でも竹林に行って竹を刈ったのか。 それすらも疑いたくなる内容である。 まあ、基本的に「妄想」を描き続けている森見さんの 作品とひとつと思う方が正解だと思う。 帯にも「エッセイ」とはかかれておらず 「随筆集」となっている。 後半のMBC(モリミ・バンブー・カンパニー)の話なんぞはわけが分からない。 しかし、こんな話でも軌道エレベーターが出てくるほどメジャーな理論となったのが確認できたのが唯一の収穫だろうか? どうせ駄目人間ぶりを書くのなら、三浦しおんさんのエッセイぐらい思いっきりよく書いてほしいものだ。 (ちょいん/2008-11-06) 竹林。さやさやと、ざわざわと、海のような音に包まれる空間。
洛西では「竹林ではなく筍畑と呼べ!」と習い、子どもの乱入は厳しく禁止された聖なる空間であった。 そこに、降り立つ美女はいるのか!? 個人的に馴染み深い土地にて、お気に入りの作家が孟宗竹と妄想とに耽溺するエッセイっぽい文章。 純粋とエッセイと呼ぶのをためらうほど、小説のような色合いの強い文章だ。 力いっぱい阿呆なことを真面目にするところが楽しいのだが、『夜は短し歩けよ乙女』から『有頂天家族』にかけての小説を執筆している舞台裏の七転八倒もうかがえる。 作者の独特な文体と表現や内容の軽妙さが、むしろ小説よりも際立っており、文体のファンであり、作者のキャラのファンたる私には楽しかった。 (香桑/2008-09-11) エッセイだよね?これ・・・
といいつつ内容はほとんど妄想小説になりつつある。 確かにエッセイらしくもあるけれど、 本当に竹を刈り行っているのか机上の妄想なのか・・・・ その不思議加減が妙に心地よく感じられるのが不思議だ。 竹林に対する登美彦氏の想い。 常人には理解できかねるんですけど・・・。 事実と妄想と入り混じりながら 最後の大団円へとたどり着く。 この阿呆さ加減が森見さんの素晴らしいところだと 再確認しつつ読み終えた。 あ、誰にでも理解できるものではない。 だけど、面白い。 無益だけど楽しい文章 森見さんが語るように、まさしくそんな文章でした。 途中途中「ぷっ」と噴出すところもあり、 さすがは森見さん、 そう感じずにはいられない作品でした。 (なおっち/2008-08-25) コンセプトはいい。竹を刈るだけの話。
しかし、森見氏の作品をコヨナク愛する一読者としてあえて言うが、本作は物足りなかった。 プライベートと虚構を織り交ぜるエッセイであるが、前半ではプライベートらしい部分がそれなりに演出されており俗物根性的な欲求は満たされるし、それなりに笑いもある。しかし、後半は明白な虚構へとうつり、じゃぁ小説かといえばそうでもないという、開き直りのやけくそ的な文章が続いている。 きっと忙し過ぎるのだろう。 (憩庵/2008-11-29) 一応、エッセイの体裁を撮っているが
虚実入り交じった 良い意味でハチャメチャな内容。 こういうのも嫌いじゃない。 おそらく今後の人生には なんの役にも立たないだろうけれど 無為に時間を過ごす休日には 最適な一冊かも。 (由良上野介/2008-11-26) 森見ファンとして、いったいこの本をどう評価したらいいのだろうか?
作家にとって、 「締め切りがどうの」 「編集者とのやり取りがどうの」 というのをネタにするというのは、正直禁じ手じゃないかと思う。 しかも、とにかく最初から最後までぐだぐだな展開。 なのに、なぜか一気に読める。 そして笑えるという力技。 セグウェイでの琵琶湖一周とか、カリスマ竹林経営者とか、ネタがいちいちツボです。 やっぱり森見さんはすごい、ということを再認識。 でも次は、もうちょいちゃんとした作品を期待・・・。 (チャックモール/2008-10-31) 果たしてこれはエッセイなのか小説なのか?エッセイだとしてどこまでが本当にあったことなのか?これでオチがついていると言えるのか、でもやっぱりついていないような…?なんてことを真面目に考えてはいけない。考えるだけ無駄である。というか、考えたら「負け」のような気がする(何に負けたのかは不明だけど)。とにかくこの本で楽しむんだ、とハラを括れる人だけが読もう。
全10件のレビューを表示しています。…実は、知り合いに「面白いよ」と薦めてみたのだけど、「あまりの馬鹿さ加減」に付き合っていられない、と途中で本を投げ出されてしまったので、こんな煙幕を張っているのです。もしかしたら、真面目に物事を考える人には向かないのかなあ。いや、勿論私も真面目な人間ですけどね(笑)。 つまりは、こんなよくわからないレビューになってしまうような本だ、という事です。それに☆5つの評価を与えてしまっているのは正直なんだかなー、と自分でも思わないでもないけど、面白かったんだからしょうがない(と自分を納得させる)。 細かい事とか堅い事とか気にせず、楽しみたい(もしくは呆れてみたい)という人にはオススメ(但し本当に楽しめるかは保証の限りではありませんが)。 (miromatsu/2008-09-27) [amazonでレビューを見る][amazonでレビューを書く] 平均点:3.5 はてブコレクション数:この商品をリストに入れている人:
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有頂天家族
ASIN:4344013840幻冬舎(2007-09-25) 森見 登美彦 売上順位:10863 ¥ 1,575(中古:¥ 580) |
レビュー総評点:261
人間・天狗・狸が暮らす街・京都が舞台。
京都という地の持つ奥ゆかしく味わいのある風景が この3つの種族が共存する不思議さと見事にマッチしています。 はじめは相変わらずのモリミー節のバカバカしさに 呆れつつも楽しく読んでいたのですが、 父の死の真相がわかるにつれて怒涛の展開に! いちいち驚きの声をあげ、 愛すべき毛玉たちに声援を送りながら熱い気持ちで読みました。 奥ゆかしさ・バカバカしさ・妖艶さ、この3つの絶妙なバランス感。 そして主人公がかわいい狸だっていう力の抜け具合。 バカバカしさをしっかり保ちながらも感動させてくれるから凄い! 巻末では第二部の始動が大きく予告されてあり、 今後も毛玉4兄弟の活躍から目が離せません。 (夢追い虫/2007-10-28) 洛中を舞台に、天狗、人間、そして狸の眷属が三つ巴、縦横無尽の大活劇を魅せてくれる面白小説。
往年の天狗力、今いずこの赤玉先生。半人間、半天狗の美女・弁天。四匹よれば、時には百人力の狸魂を発揮する下鴨(しもがも)四兄弟。下鴨ファミリーとは宿命の抗争を繰り返す夷川(えびすがわ)ファミリーの金閣、銀閣の兄弟。などなど、登場するキャラクターたちの、のほほんとした言動と化かし合いが、なんとも飄々としていて痛快。楽しかったです。 また、『夜は短し歩けよ乙女』を彷彿させる、森見ワールドならではの歌い、踊り、流れるような筆致。ひょいひょいとつながって行くエピソード、その連係プレイがとってもイケてる話の展開。そういうところが、実にいいんだなあ。 終章の話の疾走感などは、遊園地で人気のアトラクションに乗ってるみたいな、スリリングな楽しさがいっぱい。帯の背表紙のところに書いてあるとおり、「面白きことは良きことなり!」であるなあと、存分に堪能させられました。 下鴨ファミリーを結ぶ強い家族愛にも、ぐっときました。そのほろりとさせられる味わいは、忘年会で鍋料理をはふはふ言いながら食すのにも似たあたたかさがあったなあ。 幻冬舎の「パピルス」、2005年10月号〜2007年2月号に掲載されたものに、書き下ろしを加えた作品。 この話につづく「有頂天家族」シリーズ第二部、第一話「二代目の帰朝」が、2007年10月27日発売の「パピルス」15号に掲載予定の由。待て、しばし。楽しみになってきました。 (風/2007-09-28) 狸と天狗と人間の話。
最初は登場人物(狸か)の紹介と状況説明が続く内容で これは面白くないかも・・・なんて思いましたが、 やはりそこはモリミーです。 中盤から後半にかけて一気に読ませる面白さ。 もう、なんというか、阿呆さ爆発。 出てくるキャラクターたちが 非常に人間っぽくて、狸のくせに(笑)。 周りにもこんな人、いや狸?、いるなぁ〜なんて。 人間をキャラクターにして書いていたらありきたりな物語になってしまうところを 狸や天狗を主役に持ってくることで、あっさりと面白い話に 変えてしまう、そんなモリミーの筆力というか発想に感服。 狸たちがかわいくてしょうがありません。 その化けっぷりも、 叡山電車に化けて街中を走り回ったり、 如意ヶ嶽に化けちゃったり、 丸ごと蕎麦屋に化けちゃったり、 どこまで妖力あるんじゃい!って突っ込みたくなるほどでした。 そんな狸でもあっさり狸鍋になっちゃったり。 ところどころ笑えるツボがしっかり抑えてあるし、 また、親子兄弟の愛情考えさせられたり。 ほろっとさせられたり。 上手すぎです。 第2部も始まるようです。 これから下鴨4兄弟や赤玉先生、弁天に何が起こるのか、 楽しみですね。 (なおっち/2007-10-05) 面白きことはよきことなり!!
ファンタジィである。 しかしある意味謎ときミステリィであったりもする。 京の都には 人間と天狗と狸がいる。そしてそれぞれ三つ巴になりくんずほぐれつするのである。 糺の森に住む狸の4兄弟が 宿敵夷川親子と知力を尽くして戦い抜くのである。 と、言うとなんとも血なまぐさく聞こえるが(実際、兄を騙して狸汁にして人間に食わしちゃうくらい意外とノアールだったりする)そこはほれ、モリミーだからもう阿呆の血が騒ぎまくり七転八倒呉越同舟捲土重来樋口一葉なのである。 いやぁ もうなんとも面白いのなんのって読み出したら止まらないんだから。特に最終章のスピード感ったらジェットコースター並だから。 あちこちにちりばめられた森見的エッセンス健在。偽電気ブランやら怪しげ隠居やら腐れ大学生やら、キュートな擬態語やら…もうぷりぷり けぽっなのである。 あぁ 言葉にならないくらい 有頂天な小説なのだ (かばりっち/2007-10-22) 森見作品はどれもおもしろいので今回も楽しみにしていましたが、
期待を裏切らない作品でした。 特に中盤以降はストーリーがどんどん展開して、あっという間に読みきってしまいました。 風変わりな設定だけに頼らず、物語の中身や何気ない表現にも工夫があって、 小説としての完成度は今までで一番な感じです。 奇抜な設定と独特の文体を使い、頑固に京都という舞台にこだわり… 他のどんな作家にも追随できない王国を築き上げているのが本当にすごいです。 これからもこの作風を貫いて頑張ってほしいです。 (mayu/2007-10-11) この京都には、人間と天狗と狸が住んでいる。いつも通りに森見さんの仮想京都は、不思議がいっぱい。
主人公とその兄弟達、母親と亡き父親と、家族の姿が愛情深くて愛しかった。天狗と弟子の師弟関係も、多くを語らずに本音と体面を守る作法が粋だ。破れた恋の苦味がほんのりと効いている。 阿呆の血のしからしむるままに、目の前の些事にうごうごする狸たちの姿は、そのまま読み手と重なる。この世界を動かすような権力とは無関係だし、弱肉強食のような生命の危機とも無関係で、当たり前の日常生活を飽きずにひっそりと繰り返し送るものたち。 だけど、それなりに毎日を生き延びて、それなりに楽しんで生きていられる。そんなところに尊さを見出して、最後のページのような言葉を紡ぐことができる作者の感覚が好きだと思った。 もふもふの毛玉や、ふはふはの毛玉のような、柔らかで温かい毛玉好きにお勧め。 (香桑/2007-10-15) 昨年、「夜は短し歩けよ乙女」でブレイクした森見登美彦氏待望の新作。
出来に関しては、「夜は短し歩けよ乙女」が傑作なら、この作品もまた傑作です。 時期的には、「夜は短し〜」と同時期に連載していたこともあってか、世界観に ついては、非常によく似ています。 ただしテーマに関しては、今までの作品(きつねは除く)に共通した「恋愛」「青春」から、 「家族愛」となっていて、その点がこれまでと一味違うというところです。 また、今までの作品世界が「現実」と「幻想」の狭間をフワウワ浮遊していたのに対し、 今回は初めから「幻想」にどっぷり浸っているというところも違いと言えましょう。 ただ私自身、もし他人に森見氏の作品を薦めるとすれば、「夜は短し〜」よりも、 こちらを選びます。なぜなら恋愛観は十人十色であり、作品で描かれる恋愛が 読者の恋愛観にそぐわなければ、その作品に入り込むことは難しいと思うからです。 この辺が理由で、氏の作品に否定的な見解を示す方もいらっしゃいましたが、 今回の作品なら受け入れられるかもしれません。 願わくば、この作品で「本屋大賞」に「捲土重来」といきたいところです。 (日々是好日/2007-09-27) 狸鍋にされこの世をあっけなく去った父が残した4匹の狸の名門下鴨家兄弟とその母。どこかしら頼りない4匹の兄弟の匹敵は、父の弟である夷川家の伯父とその息子達であった。化かしあいをしつつ兄弟で一致団結して下鴨家の誇りを取り戻すことが出来るのか?落ちぶれた天狗と半天狗の人間弁天もそれに加わって物語が始まる!!
★阿呆なお話なんですが、でも深いと思います。そして、読んでいて思わず「プッ…」と吹き出しそうになる程オモシロいです。★たった一匹の弟と敵対してしまった父の無念さが、切ないです。しかし、その反面で父の思いを深く汲んだ息子達が一致団結してお家の一大事を無事にやり過ごす姿は、とても爽やかでほんわかとしました。★森見さんらしい京都を舞台にした物語です。 (しろくま/2007-09-30) 買ったその日に読み出し、流れるような文章に身を任せ、
またたくまに読んでしまいました。 つるつるっと。のどごしさわやか。 前作でみかけたような人物や、場所がちらほらでてきて、 そういうのも楽しかったです。 (モッツァレラ/2007-09-27) 実に、実に阿呆な話だが、阿呆の中にも人生を歩む上でのアドバイスや人間関係のコツが隠されている、読んでためになる本。
という事はなく、なんのアドバイスもコツも無く全くためにならない本です。むしろ阿呆が移る。ただただ笑い転げる、爆笑・狸のお話です。 でもわたしは、偉大な父を持つダメダメ兄弟たちに元気をもらいました。噴出して、声を出して笑って、顔の筋肉と腹筋を鍛えながら読みましたけど・・・。 『有頂天家族』を読み終わった日、学校で嫌な事があったんです。でも、この本のおかげで「まあ、いいか」と思う事ができました。 スポーツ後のように、スカッと晴れやかで爽快な気持ちになれる本です。 気持ち良く明日が迎えられる、心の健康本ですね。 (夏波/2007-12-24)
破天荒 ||
主人公:狸の名門・下鴨家の三男・矢三郎は狸元来の阿呆の血が行きすぎで周囲を良く困らせる。人間は街に暮らし,狸は地を這い,天狗は天空を飛行する。平安遷都この方続く,人間と天狗と狸の三つ巴・・・その中で繰り広げられる破天荒な事件の数々「面白きことは良き事なり!」
狸・天狗・人間を巡る京都を舞台とした短編からなるファンタジー(!?)であるが,物語は1連の流れからなり,長編とも読める。始めは文章と設定に慣れずに先へなかなかページが進まなかったが,この世界観へと入り込んでしまえば,楽しくて楽しくて仕方のない物語であった。ただし,人によっては全く読めない(面白くない)と思う人もいると思われる物語であると感じた。私としては最近ではお気に入りの部類に入る本である。 (87/2007-11-20) 何といってもキャラクターたちが濃い!濃い!!
「家族」と言うから登場人物が当然?人間かと思ったら・・・ 女好きの天狗、赤玉先生や半天狗の弁天など、こんな発想がよく出てくるものだと これは思わず感動の領域。 情景描写も繊細でリアル。道行く人の何パーセントかは本当に狸なのかも? そんな風にさえ思ってしまった。 とにかく最高に面白かったです! (月 影/2007-11-09) 一度はまったら抜け出せそうもない。森見ワールドは本作品でも健在也!
京都に棲む狸一家と大天狗と人間の物語。 狸兄弟はそれぞれ独特の個性を持っていて一見てんでんばらばらに見えるが、 その実は絆の強さがある。 大天狗なのに役立たず。でもやっぱりすごい大天狗。 人間なのに本作では脇役(?)。決して人間は主役ではないのがまたおかし。 絶妙な味わいのある作品です。 (ニャンゴロ/2007-10-07) いかにも、本屋大賞にノミネートされそうな一般受けしそうなお話でした。
恩田陸のドミノのようなドタバタですけど、たぬき、天狗、人間の三つ巴といった意外性や、家族愛、兄弟愛、京都が舞台、といった点で、もっと赴きもあって面白かったですが。 個人的には、きつねのはなし、走れメロス、四畳半神話体系の方が好きですが、好みの問題です。でも、有頂天家族はマニアックな森見ファンには物足りないかも。 森見さんの作品はいつも京都が舞台なのに、なぜか関西弁はでてこないですね。 どうしてでしょうね。 出町ふたばの豆餅はいつもでてきて、食べたくなります。 (みけの たまこ/2008-07-20)
何とか読了 |
期待が大きすぎたせいか、あまり面白くありませんでした。ちょっと無理しているな、といった印象で。森見さんにしてはペンが走っていないというか、ドライブ感がないというか。小さくまとまらないで欲しい。奇想天外、荒唐無稽な話を期待しています。
32件のレビューうち参考になった順で15件までを表示しています。(秀文/2008-07-12) [16件以降をamazonで見る][amazonでレビューを書く] 平均点:4.5 はてブコレクション数: |
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新釈 走れメロス 他四篇
ASIN:4396632797祥伝社(2007-03-13) 森見 登美彦 売上順位:3475 ¥ 1,470(中古:¥ 415) |
レビュー総評点:130
「山月記」
斎藤秀太郎の底抜けの阿呆っぷりが、おいしすぎ。斎藤同様、〈もんどり〉が気になって気になって…。 「藪の中」 数人の証言から浮かび上がる真実。微妙な食い違いに注目。 「走れメロス」 絶妙なボケとツッコミ(さすが関西人!)に、噴き出すこと数知れず。 「桜の森の満開の下」 美しさは嫌というほど伝わってくるのに、体温が感じられない女の人が怖すぎる。 「百物語」 京都の蒸し暑い夏の夜。古い屋敷の座敷に自分も座っているかのような臨場感。 最近は“古典新訳”が流行りですが、こちらは“古典新釈”ときましたか! 原作から受けるイメージを大切に、一編ごとに文体を自由自在に変える器用さはお見事です。 彼の古風でノスタルジックなスタイルが、驚くほどハマッてしまった傑作でしょう。 人によって好みの作品が異なりそうなところもおもしろい。それだけ多彩ってことですね。 古書のような装丁もすてきです。 (諍い女/2007-05-24) 教科書に出てくる様な古典の名作を現代の京都の大学生という世界で切り取っている。
とにかく笑える。 表題作『走れメロス』が一番光っている。こんな友情もあったのだ と目からウロコが落ちる かも。 元になった小説を読んでいないとどこをどういじくっているのか分からないのでこれを機に元話も読んでみるのがよろし。 (かばりっち/2007-04-18) これは名作を一大学生の偏狭な世界観で描きたい作品なんですね、きっと。
想像を絶した苦悩なんて、絶するゆえに多くの者にとってはどうでもいいことでしょうし。そういった高尚と考えられるものとずれた、駄目大学生の屁理屈の中に一片の真実を汲み取るかどうかなんじゃないかと思います。芸術としての小説だとか、敬遠されがちな古典ですがそれらは意外に自分達の身近な悩みに一々頷いてくれるものなんですね。その一つの面をふくらましたものとして、森見氏のこの本がある(原作の詳読記ではないのは当然のこと)。大いに笑えるものもあるし、切なくもなるものもあるし、なんだか不気味なのもある。京都が好きな人も、腐れ大学生を愛する方も、また原作を愛する人も、多くの人が楽しめる内容じゃないかなと思います。とにかく、「走れメロス」の奔走ぶりと、うってかわった「桜の森の満開の下」読後の余韻だけでも、一読の価値ありです。 (モリソン/2007-03-30) 五篇のうち原作は「走れメロス」しか読んだことがありませんでしたが、
他四編も充分楽しめました!原作読んでいると、笑えます! 全篇で登場人物など設定が繋がっていて、原作も?と錯覚するマジックでした。 読んでいない原作を読んでみたいと、思いました。 (ぴよぴよ/2007-05-13) 標題のとおり、著者による近代文学の名作リミックス5編です。
行方不明となった文学狂いの青年と、かつての麻雀仲間との再会を描く「山月記」に始まり、登場人物がそれぞれの作品にかかわる様子は、藤沢周平の「本所しぐれ町物語」に通じるようにも感じます。原作と同じ表現を微妙にからませながら、おバカ方向まっしぐらの暴走だったり、切なさ倍増だったり(どちらの路線でも、心理描写がリアルでうならされます)…文学好きのツボを心得たコンビネーション攻撃を心から楽しめます。それぞれの作品と、原作が持つ緊張感が見事にシンクロしているところは「まいりました!」というほかありません。こういった連作集では「これが好きで、これはちょっと…」という順位ができてしまうものですが、どの作品も甲乙つけがたい面白さです。 舞台となる街の様子も、あたりを知るものにとっては「あそこ、そういうヤツいるよな」「そうそう、あのあたりはね…」とくすくす感を倍増させるスパイスとなっています。 森見作品を手に取るのはこれが初めてですが、「しまった、他の作品をもっと早く手にしていれば!」と悔やませるパワーがあふれています。装丁も小粋で、文句なく☆5つの評価としたいと思います。 (Pipo/2007-03-18) 元ネタを知ってるかどうかでこの本の面白さはかなり左右されます。
私は『山月記』『藪の中』『走れメロス』に関しては読んでいましたが、後半二作品は未読。 そんな私に限れば、前者は☆4つか5つ付けていいくらいだが、後者は1つ減らして☆3つから4つ(総合して☆4つの評価)。 いや、ダメだったなんて言うつもりはない。 物語自体はそれなりに面白かったし、元になった作品を読んでみたいと思わされもした。 それでも元を読んでなきゃ森見氏の「新釈」の面白さは分からないですから。 そういう意味でのマイナス評価です。 『走れメロス』の「逆転の発想」なんかはその極み。 何より素晴らしいのは『山月記』。 この『新釈 走れメロス』の5作品は、それぞれの物語がリンクし合っており、登場人物や舞台背景が2作品以上にまたがって描かれていることが面白さの1つの要因なのだが、それが最も巧妙に表現されたのが『山月記』である。 作者のストーリー構成の見事さは、この『山月記』を作品の頭に持ってきたことの一点で集約されてるとさえ言えると思う。 ホンット面白いから、騙されたと思って読んでくださいな。 でも「元ネタ」を全く知らないって人は、1つか2つくらいは読んでからのほうがいいですよ。 (ふるむーん/2007-07-13) もう森見さんの独壇場です。一度読んでしまったらやめられない文体で
語られる妄想レベルの高い躍動する物語。 『太陽の塔』で一部で話題になり、『夜は短し歩けよ乙女』でブレイク した奇才・森見登美彦による最新作は太宰治「走れメロス」を中心に文 学史に刻まれた名作たちをカバー・リミックスした爆笑のリメイク小説 集です。 特に表題作にはやられました。もともと僕は太宰治が大好きなので、どんな 方法で料理されているのかと思ったら、この方法ですよね。スゴイです。 一度物語を解体し、それを再構築するという簡単のようでいて難しい作業を これだけ「自分の色」を反映し、原作に決して劣らない完成度の『走れメロス』 を作り上げていると驚きました。 そして何より面白い。今回も前作に続き、腹の底から笑わせていただきました。 森見さんはいったい次は何をやってくれるのか? またまた期待に胸が脹らみます。 (ライラライ/2007-03-14) 表題の『走れメロス』(太宰治)の他、『山月記』(中島敦)、『藪の中』(芥川龍之介)、『桜の森の満開の下』(坂口安吾)、『百物語』(森鴎外)の、現代版劣化コピーという感じです。
「劣化」は言い方悪いですが、劣化のさせ方が著者らしくて面白いです。 『山月記』は、原作が大好きなのもあってか、楽しめました。 原作のダメ人間ぶりが、著者のよく書くダメ人間によくマッチしていて。 にしても、原作:虎に化ける→新釈:唾に化ける って。。 『桜の森の満開の下』は、原作:山に住んでた鬼が都に移住→新釈:京都に住んでた著作家目指す学生が東京に移住。 これは普通に現代的な恋愛小説として楽しめました。 文体もそれぞれの原作に似せていて、よく勉強してるなーと思いました。(やや僭越か) どれも、原作は青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)あたりで無料で読めちゃいます。短編だしすぐ読めます。 もともと原作を知ってると面白さが倍になると思われます。 (K内/2007-09-30) 『夜は短し歩けよ乙女』を読んで楽しんだ人にお勧めする。短編はすべて同じ仮想京都を舞台とするからだ。詭弁論部があり、パンツ番長戦があり、図書館警察があり、単位取得と桃色遊戯にあまり熟達していない男たちが力いっぱい阿呆をやりぬく、あの大学の、あの文化祭のサイドストーリー集でもある。
短編集であるため物足りない感じもする。が、短編ごとにがらりと雰囲気を変えて見せた上で、登場人物が次の章のどこかに出てくるようなオムニバスになっている。そこに体はあるけれども心が場と一体になれぬ人の孤独感が、この本の全体に共通して登場人物の誰かが感じているものでもある。 南禅寺から銀閣寺までの哲学の道から蹴上インクラインの桜並木が出てくれば、思い出に胸が詰る。河原町から烏丸の四条の地下道も、桂駅から嵐山までも懐かしい。景色も、原作の風合いもさることながら、短編ごとに変化する作品の気配の違いを味わうことが面白かった。 (香桑/2007-04-12) 古典の名作を森見流に解釈したらこうなった!
キターーーーって感じです。 前5篇からなる短編集。 もちろん原作は誰でも知っている作品ばかり・・・・だと思う。 自分は『山月記』と『走れメロス』しか読んだことはありませんが・・・。 この2作に関しては、 ここまで原作を壊してしまっていいのか?と思うくらいに 面白かった。 でも『山月記』の斎藤秀太郎は本家『山月記』の「李徴」の切なさ やるせなさを見事に再現しているし、 『走れメロス』では本家の友情とは真逆の友情を、それでも 根底に流れる友情の素晴らしさをしっかりと伝えている。 単に面白おかしく書いてるわけじゃないところが、さすが森見さん。 他の3篇も読んだことはないけれど、 きっと同じような手法なんだろうな、と思う。 これを読んで本家の方も読んでみようかという気持ちにさせてくれる。 5篇とも同じように爆笑妄想モード炸裂だったら きっとつまらなかったと思うけれど、 幻想的な話だったり爆笑妄想モードだったり 不可思議な物語だったり 実にバラエティに富んでいて、最後まで飽きることはなかった。 古典名作が苦手でもこれなら読めるんじゃないかな? (なおっち/2007-03-24) 「走れメロス」はとてもバカバカしい内容なのに
臨場感あって、手に汗にぎり、不覚にも引き込まれてしまった。 しかし、まるで「うる星やつら」で諸星あたるが追いかけられているようだ。。。 芽野が“あたる”で芹名は“メガネ”ってところか。 (momokichi/2008-08-26) 太宰びいきの私は、「走れメロス」の文字を目にし、読んだ。〈新釈〉という言葉が腑に落ちる。パロディとは、一種の〈批評〉である、と気づかされる。
たとえば、太宰版の暴君は、徹底的に人を信じない、信じられないから、殺してしまう。そんな王が、実在するだろうか(いや、君、これは、虚構なんだから、んなことは言わんでも、と言われれば、それまでなのだが、まあ、いいじゃないか。言わせてくれよ)。そんな王は、古今東西、存在しなかった、と私は思う。本当は、心の底では、人を信じたいと願っていたはずである。そうでなければ、結末部で、私も仲間に入れてはくれまいか、などとは言わないはずである。森見さん版でも、暴君は、人間不信地獄から逃れたい、心の底ではそう思っている、そんな人物として登場している。要するに森見さんは、太宰「走れメロス」から、一つの真実、――王は、本当は、人を信じたかった!――を、掴み出し、本作に定着させたのである。 余談だが、筒井康隆さんの『文学部唯野教授』もパロディ化することによって、原作にある真実を掴み出し、定着させた作品である。このことは、『文学部唯野教授』のレヴューのところで書いた。また、たとえて言うならば、パロディとは、似顔絵である。そこにデフォルメがあるかもしれないが、それゆえに、真に迫っている。批評を真に生かすのは、あるいは、パロディの右に出るものはないのかもしれない。ってのは、私の根拠のないカンである。 (受難の県民/2008-06-27) 内容にふれていますので、読まれる方はご注意を。
最近の新訳物ブームの勢いか。日本文学の結晶を集めて、現代に置き換えた。 音楽で言えば、リスペクトによるカバーか、サンプリングと言ったところだろう。 それにしても、山月記は、ひどすぎる。 漢文学をカバーして、完全なる日本文学に昇華させた中島敦の珠玉の一作。 静寂、無常、驕慢、諦観、人間の俗や卑しさ、哀しみ、優しさを見事に 描写している。文庫で10ページにも満たない紙幅でである。 それを、1大学生の偏狭な世界観で表すことより、作者は何が言いたかったのか。 原作終盤の、妻子より己を優先する事への自己嫌悪と憐憫、 白くなった月への咆吼の意味を一体何処で表現されているのか、 全くわからなかった。 森見版の最後で記述されている雨に濡れた紙の束が出てきている時点で、 作者の原作に対する読み込みの浅さを悲しく思う。 または、それ程、山月記に思い入れはないのであろう。 ただし、坂口安吾の「桜の森の満開の下」を知ることが出来たので★ひとつ。 私とは逆で、坂口安吾好きで、山月記の初読の人も、私と同じような感想を 持つのか、とても気にかかります。 (田上一隅/2007-03-28) どれも巧みなリメイクぶりでひたすら圧倒されっぱなしだったんですが、個人的には坂口安吾のこの名編からの再創造が一番よかったです。森見作品を読んでいてはじめて涙が出ました。
実は(というのも変ですが…)森見さんの描く「抱腹絶倒」の「笑い」とか奇抜なキャラクターの言動とかは正直あまり好きではなくて、若い人はこういうので喜んでるのかー、正直よくわからん、と思いながらも、この人の文章の上手さと物語りのパワフルさに魅了されて、これまで色々と読んでいました。 「桜〜」は、そんな主流派に属さない(はずの)森見作品の愛し方をしている私にも、心から入っていける一編でした。うーん、文学って感じです。この浮世にあるあいだ誰にもときどきおとずれてくる、わたしなにしてるんだろう感と、その果てにやってくる、もうどうしよもない寂しさと哀しさが、クールで幻想的な文章のもとにたんたんと述べられいて切なくなりました。 「走れメロス」の、むぅ、調子狂うなあ、な結末のビジョンをみせられたすぐあとに、まったく作風の異なるこの美しげな作品を一挙に読んだので、そのコントラストも手伝ってやたらと感動してしまいました。森見登美彦おそるべし。 (ソコツ/2007-08-09) 原作が好きで、森見 登美彦を知らない人が読んだらびっくりするのでは・・・。
27件のレビューうち参考になった順で15件までを表示しています。とにかく全て「原作」とはぜんぜん違いますよ! 現代版です、現代版。 (タンタン/2007-07-22) [16件以降をamazonで見る][amazonでレビューを書く] 平均点:4.5 はてブコレクション数: |
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