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w:13 h:20 301page
夜は短し歩けよ乙女
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ASIN:4048737449
角川書店(2006-11-29)
森見 登美彦
売上順位:20865
¥ 1,575(中古:¥ 150)

レビュー総評点:200
なじめたら星5つ、なじめなかったら星1つ ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
本書の良さについては多くの方が書かれているので、別の面から書いてみたいと思います。

この独特な文章になじめるかどうかで評価は大きく別れてくるでしょう(これもすでに指摘されている方がいますが)。
わたしはなじめませんでした。

その具体的な箇所をいくつか挙げてみます。
ネタバレ注意。

・・・

私の手なんぞ何の面白みもありません。紅葉饅頭のほうが断然可愛いに違いないのです。 p.22

私は頬が火照るのを感じましたが、それは酔いのためではなく恥じらいのためでした。豆ッ恥、豆ッ恥。 p.47

しかも私が中学生の頃から欲しかった本が、百円玉一枚だとは! お財布への信頼に一抹の翳りある我々にとってはありがたすぎるお話です。ビバ、「ビギナーズラック」。それとも私は古本市巡りの才能があるのかしらん。私の興奮はいやが上にも高まります。 pp.81-82

そして樋口氏から、彼女がその絵本を追い求めて古本市をさまよっていたことを聞いた刹那、「千載一遇の好機がついに訪れた」と直感した。今ここに一発逆転の希望を得て、ついにふたたび起動する私のロマンチック・エンジン。 p.117

なぜ先輩はあんなに驚いたのだろうと私は思いました。私の顔に何かオモシロオカシイものが? p.138

この先どんなオモチロイことが私を待ち受けているのであろうか! と我が興奮が天井知らずに高まるのも宜なるかな。 p.156

もちろん私は普段から精神を研ぎ澄ましているような人間ではありませんが、その「ボーッ」は、「ボーッ」の中の「ボーッ」、「世界ボッーとする選手権」というものがあれば日本代表の座も間違いなしと思われるほどに筋金入りのボーッであったのです。 p.228

・・・

こういう文章に違和感を感じなければ読んで損はしないはずです。

いずれにせよ、購入する前に一度立ち読みしてみてください。
10ページも読めば雰囲気がつかめると思いますので。 (モノクロ/2007-02-07)
ステキな物語 |||||||||||||
表紙とタイトルに惹かれ、とりあえず1ページ目だけを読んだ時は、その文体に慣れておらず買おうか迷ったものでしたが、買ってその先を少し読めばあっというまに世界に引き込まれてしまいました。

読み終わった後味も甘くて心地よく、とても楽しくて、ステキな物語です。

いい本に出会えたので、いろんな人にオススメしたくなりました。

面白く不思議な登場人物や、不思議な(それでいてこんなことあるか!という文句は言いたくならないほど気持ちいい)出来事がたくさん詰まっているので、サブカルな漫画などが好きな人にも、是非読んでみてほしいです。
片想い中の方も、青春真っ只中の方も男女問わず是非! (リョコ/2007-01-21)
傑作! ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ずっと待ってました。

思えば、「四畳半神話体系」が出版されてから実に2年が経過しているわけです。
その間、「Seet Blue Age」や「きつねのはなし」と氏の作品は出版されましたが、
前者は本作品の1話目のみ、後者は「太陽の塔」で絶賛された独特の文体と世界観から
離れ新境地を開拓した作品だったため、作品の出来とは別に物足りなさを感じていました。

というわけで、個人的な気持ちとしては2年間待ったということになるのですが。
しかし、この作品を読んだ後は、待った甲斐があったという満足感でいっぱいです。
今回は「太陽の塔」のような「不思議な幕引き」や、「四畳半神話体系」のような
「実験的構成」も無く、先の2作でいまいちとの判断を下した人にも、納得の行く
作品に仕上がってるのではないかと思います。

大げさかもしれませんが、この作品をきっかけに本格的なブレイクを果たすのでは
という手応えを感じました。 (日々是好日/2006-12-02)
春の夜、先斗町や木屋町界隈。夏の下鴨納涼古本市。秋も終わりの青春闇市たる学園祭@本部構内&吉田南構内。そして、冬。クリスマスを前に浮き足立つはずの四条河原町など。
この本を楽しむには、やはり、京都を知っているほうが有利だ。京都で大学生活を送ったり、京都の大学生の生活を知っている人なら、尚よい。

癖のある文体がクセになった。大袈裟でしかつめらしい文章で、荒唐無稽な物語を紡ぐ。好き嫌いは別れるところだろう。物語よりも、この文章が個性だ。
全文がパロディのようなノリのよさに釣られ、見知った地名の懐かしさを追うに連れて、最初の読みづらさも減じた。
腹の底、心の奥をそうっと温めてくれるようなのどかさがある。偽電気ブランに酔うように、世界で神々と遊び、雰囲気を楽しみたい。 (香桑/2007-02-16)
とても楽しい ||||||||||||||||||||||||
大傑作。文句なしに今年の恋愛小説ナンバーワン。(大森望 文芸評論家)
 天然キャラの女子に萌える男子の純情!キュートで奇抜な恋愛小説in京都。

 とにかく読んで損無しです。読むほどに引き込まれ、映画を見ている様な感覚に引き込まれて行きます。
 是非とも、スタジオジブリの次回作品に推薦したいほど楽しい作品です。
 
 奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々と運命の大回転にほんろうされる、恋愛の行方に引き込まれてみては如何でしょう。

今年最後の恋愛小説にピッタリな作品です。とても楽しい作品ですよ。ご賞味あれ。 (トトロの寝言/2006-12-09)
可愛いくってあったかい ||||||||||||||||||||||||||
私にとってまるで「本の神様」がめぐり合わせてくれたような、愛すべき本です。
有名な作家の本でもいつも「まあ、こんなもんか・・・」くらいにしか思えないのですが、こんなにむさぼるように読んだのは小学生のときに読んだ「太閤記」以来でしょうか。
とにかく、かわいい!おもしろい!作者の視点はヒロインへの愛に満ちていて、それがとても私の心を暖かくします。高い教養に裏打ちされた、とんでもなくおバカな笑いが痛快☆
すぐにもう一度読み直しましたが、こんなことは人生初です。
日本語という言語の無限の可能性を余すことなく操る森見登美彦という才能が、早く世間にお披露目されないか楽しみのような、ずっと秘密にしておきたいような・・・ (maiko/2006-12-23)
ハハ、やられた |||||||||||||||||||||||||||||||
このカバーデザイン、凄いアイキャッチですよ。
いかにもイマドキらしいピンとした線の絵柄と、ちょっと古びた浮世絵のような色彩で、
道後温泉がチンチン電車に乗っかったような不思議な乗り物が描かれている。
これが平積みにされてしまうと、そこだけ何じゃこりゃなキッチュな世界が広がっていて、
思わず手に取って見ずにはいられませんでした。

で、即立ち読みモード突入。
どうせ2,3ページ読んだら「クダラネ」って展開になるだろうなとか思ってました。
しかしこれが見事に裏切られましたよ(いい意味で)
ページを繰るごとに、不覚にもこの不思議世界にどっぷり引きずり込まれてしまい、
知らず知らずのうちに私も夜の先斗町を徘徊しておりましたですよ。なんですかこの世界は。
京都の町を舞台とし、浮世絵模様の光景が怒濤のように展開します。
「んなバカな」
と言ってしまえばそれまで、でも何故か最後まで読ませてしまうパワーは認めざるを得ません。
まいったな、コレ面白いですよ。一章を読み切った所でレジ直行でした。

春夏秋冬「彼女」と「私」を巡る4つの恋のエピソード集・・・それがこの作品です。ま、オムニバスですね。
こう書くといかにも「キュートでポップ!とびきりのラブコメディ!」なんて陳腐な帯とともに、
新刊本の洪水に流れ去ってゆく一冊にも見えますが、案外コイツはむんと胸を張って踏ん張りそうな予感がします。
散りばめられた近代文学のテイストや、作中で見せる著者の本オタクぶりなど、ところどころ小技が効いてます。
漱石、太宰、いや千と千尋かうる星やつらか、電車男か。何だか色んな物ごっちゃ混ぜの不思議世界を冒険した気が。
このキャッチーな装丁と、作風が見事にマッチしてますよ。
本屋さん大賞ノミネートもむべなるかな、飛んで火にいる夏の虫とは私のことです。
やられました。 (@poor work/2007-04-19)
やっぱり何だかんだ言ったって、恋をするって楽しいことだよね、っていうそんな感想を持ちました。
恋愛小説の9割5分は書いていることが同じっていう本だけど、この本はそれに該当しない。
数少ない「残りの5分」の作品です。設定は在り来たり、アプローチは上手くいかないって、恋愛話の
典型パターンなのに、こんなに面白いのはどうしてだろう。只、話に浮世離れ?している所があるので
ファンタジーが全く駄目な方は読めないかな…。残念です。
語り口調が特徴的で好みが分かれるかもしれませんが、口調だけでこの本を避けては勿体無い!
できれば全人類に読んで欲しい!
ハードカバーは学生にとってはお高いけど、買って読んで大切にしていく価値は充分にあります。
こういう恋愛小説には、二度と会えないかもしれない。 (アパート/2007-02-01)
かわいらしい表紙イラストに惹かれて買ったのですが、
古臭さを装った文体に最初は馴染めませんでした。主人公のへタレぶりもイライラするし。
ところが読み進むうちに、そのエキセントリックワールドに嵌ってしまったのです。
登場人物はみな一筋縄でいかない変な人ばかりで飽きさせない。
そして主人公が思いを寄せる不思議ちゃんが、だんだん愛おしく思えてくる…。
ラストのキュートなエンディングは胸がきゅんとなります。
はちゃめちゃなようでよく計算された小説です。
作者の力量は大変なものだと思いました。
(アマゾン三郎/2007-05-02)
“先輩”と“黒髪の乙女”の二人の登場人物が交互に登場し
それぞれ一人称で語る短編の連作4編。

小説の完成度に関しては
評価できる資格はワタクシにはない。
ただ、この二人の語り手が極めて魅力的なことはよくわかる。
とりわけ“黒髪の乙女”の天然で無邪気なところがとても良い。
そしてこの二人の語る文章の何とも言えないリズムと内容が可笑しい。
はじめはその文章のリズムと内容が微妙にずれていて違和感があるのだが
いつの間にかシンクロしていく感覚もとても心地よい。

どういうエンディングを迎えるのか期待しながら
残りのページ数がどんどん少なくなっていくのがなんだか惜しくて・・・
そんな感覚を味わうのも久しぶりだ。

ご都合主義で奇想天外な内容ではあるけれど
少なくとも読んでいる時間はとても楽しい。

表紙の中村佑介のイラストもなかなかカワイイ。 (由良上野介/2008-11-28)
残念・・・ |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
話題の本なので手に取り読み進めましたが、私には向いてなかったようです。
残念ながら途中で読むのをやめました。
以前作者の他の本も読んだのですが、やはりそちらも途中棄権です・・・
向き不向きってあるんですね。
私には読みすすめるのも辛いほど全く面白みのない本でした。
でも、面白いという人が多いので私の意見は少数派の意見になりますね・・・ (とらとら/2007-10-22)
ニュージャンルか!? |||||||||||||||||||||||
可愛らしい装丁に惹かれ、手にとって1ページ目を読んだらやられてしまった。
緻密で繊細で愛らしい文体。選び抜かれた語彙。こんな文を書く人がいたなんて!頭を撃ちぬかれたような衝撃だった。

本書はシャイな大学生男子が想いを寄せる黒髪の乙女をひたすら追い掛ける話だ。しかし話の展開は恋愛小説の枠を軽く超え、あまりにも予想だにしないない方向へコロコロと転がっていく。妙な事件に巻き込まれながらも右往左往して黒髪の乙女の姿を探しているのは何やら自分のような気さえしてくる。

空から降ってくる鯉を迎えたり、古本の神様に会ったり、学園祭テロを追いかけたり。著者は一体このアイデアをどこから持ってきているのだろう。あまりにも既存の枠に収まらないので皆目検討もつかない(強いて言えば千と千尋か!?)。本書ですっかり著者のファンになってしまった。「なむなむ!」と唱えながらゆっくり次の作品を待ちたいと思う。 (桑の実からできた泡/2007-09-01)
中村祐介さんのカバーに惹かれてジャケ買いしたのですが、
25年の間に読んだ小説の中ではイチバンのヒットです!
もうツボに入りまくり!!

ラリホー♪と我が道を行くカワイすぎる ”黒髪の乙女” と
妄想が暴走しまくりの永久外堀埋立機関 ”私” と
かなーり濃い登場人物たちが織り成すどこかレトロで
ほんわりあたたかくずっと胸キュンな小説です。

小説を読んでいて『ぶはっ』と吹き出したのは初めて。
好き嫌い分かれるとは思いますが、私はとっても好き。
出会えてよかったです。 (andouchable/2007-07-24)
タイトルに書いた通り、「恋愛小説」として読むか「ファンタジー」として
読むかでまた違います。というか、この小説は僕は「恋愛ファンタジー」だと
思っていますが、バラで読んだときに違う色が見えてきます。

森見さんのデビュー作『太陽の塔』や、第2作『四畳半神話大系』も大好きな
作品ですが、この『夜は短し歩けよ乙女』を読んで現在の森見作品で最高傑作
だと思いました。
しかし、『太陽の塔』に比べると今作品は連作短篇形式の長篇なので全体の密度
が低かったり、『四畳半神話大系』と比べると企み・仕掛けがあまりないという
弱点もありますが、総合評価では『夜は短し歩けよ乙女』は最高ですね。小ネタ
も、文体のテンポも、キャラクター造形もこちらの方が好きです。

これからもずっと追い続けていきたい作家ですね。 (ライラライ/2007-02-11)
あえて作品から離れて ||||||||||||||||||
 作品の面白さについては他の人が語っておられるので、
森見登美彦という作家についての所感を。

 ついに伊坂幸太郎・本多孝好らの次の世代の確かな力
量をもった作家が現れたなという感じがします。文体か
ら察するに、日本近代文学の知識を包摂している作家だ
と思われます。『きつねのはなし』でみせたホラーテイ
ストの作風と本作のような『太陽の塔』路線の二刀流。
作家として生き残るための老獪さも兼ね備えているとい
ってよいでしょう。

 今後の見通しとしては、京都という「世界」とこの独
特な「文体」が分かちがたく、この博学な語り口を操れ
る人物を主人公にしなければならないという制約がある
ゆえ、これ以上、作風が拡散していくということはない
のではないでしょうか。理系出身の方のようなので、そ
ちらの知識を積極的に活用してくることはあるかもしれ
ませんが。

 優れた作家だと思います。若手にしては、などという
留保は要りません。この作家はこのまま我が道を突き進
めばいいのではないでしょうか。

 ただ、この作家を読み手のほうがどれだけ受け容れら
れるかという問題は残るかもしれません。世間を騒がせ
たところの平成純愛小説に心から涙した乙女は果たして
こういったものも読めるのでしょうか。

 読書家に愛される作家であることはまちがいなさそう
です。これが本屋大賞とったら本当に同賞を見直すんだ
けどなあ。ま、直木賞でもいいけど。 (横山P太郎/2006-12-23)
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w:13 h:18 219page
新釈 走れメロス 他四篇
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ASIN:4396632797
祥伝社(2007-03-13)
森見 登美彦
売上順位:6094
¥ 1,470(中古:¥ 280)

レビュー総評点:122
新釈「薮の中」
 多視点を形式にした有名な原作であるが、新釈では、素材が刑事事件ではなく学内恋愛または主人公の人格であるという点でより身近なものになっているように思う。周囲に誤解されやすい主人公の人柄に切なく共感した。

新釈「走れメロス」
 あとがきで森見氏が原作の「作者自身が書いていて楽しくてしょうがないといった印象の、次へ次へと飛びついていくような文章」に惹かれたと書いているように、この新釈版も畳み掛けるようなスピード感が再現されており、『太陽の塔』や『夜は短し歩けよ乙女』の後半にかけての疾走感にも勝るとも劣らない、まさに森見氏の面目躍如、胸躍る思いで読んだ。映像化に向いていると思ったけれども、このスピード感を映像で表現できる監督はいないだろうと思い直した。

 また、文章のスピード感だけでなく、「友情」をあのように再構成してみせたのは見事だと思う。あまりに美しくもばかばかしい友情に泣けた。相変わらずの笑いも満載で、存分に楽しんだ。

新釈「桜の森の満開の下」
 大学生の頃、坂口安吾『桜の森の満開の下』を読んだとき、その意図するところがよく理解できなかった。森見氏の本作を読んで、「なるほど」と膝を打った。

 結婚には幸福という記号が結びつけられていることは家族社会学者の指摘するところだが、事実の問題としては、必ずしも結婚が幸福をもたらすわけではなく、また、結婚しないことによって不幸になるとも限らない。「興ざめさせんな。ペシミスティックな自意識過剰野郎」と言われそうだが、おそらくこういうことだろう。一人で生きることは孤独だが、男と女とには本質的な違いがあるために両者が社会的結合関係に入った場合には、それゆえに男に別種の孤独をもたらすという事態が存在する。しかし、男にとってもこの幸福という記号に結びつけられている関係を捨て去るのは容易ではない。満開の桜の美しさには人を狂わせる力がある。登場人物の男は桜の森の満開の下で、女のもとを去り、一人でいる孤独を選ぶ。それは既婚男性一般にとっての憧れの決断であり、かつ哀しい決断でもある。

新釈「山月記」ほか
 残りの二作品は原作を読んでいないので新釈をレビューする資格はないのかもしれないけれども、「山月記」は非常に面白かった。「性狷介で自ら恃むところすこぶる厚い」主人公が、自らの言語観に根ざした文学への絶対的信頼そして過剰な自信がともに費消され尽くして終いにはゲシュタルト的に崩壊するまでを、自ら述懐する様を通じて、現代京都を舞台にした青春の悲哀が語られていたように思う。 (憩庵/2008-11-27)
愉快愉快! |||||||||||||
「山月記」
斎藤秀太郎の底抜けの阿呆っぷりが、おいしすぎ。斎藤同様、〈もんどり〉が気になって気になって…。
「藪の中」
数人の証言から浮かび上がる真実。微妙な食い違いに注目。
「走れメロス」
絶妙なボケとツッコミ(さすが関西人!)に、噴き出すこと数知れず。
「桜の森の満開の下」
美しさは嫌というほど伝わってくるのに、体温が感じられない女の人が怖すぎる。
「百物語」
京都の蒸し暑い夏の夜。古い屋敷の座敷に自分も座っているかのような臨場感。


最近は“古典新訳”が流行りですが、こちらは“古典新釈”ときましたか!
原作から受けるイメージを大切に、一編ごとに文体を自由自在に変える器用さはお見事です。
彼の古風でノスタルジックなスタイルが、驚くほどハマッてしまった傑作でしょう。
人によって好みの作品が異なりそうなところもおもしろい。それだけ多彩ってことですね。
古書のような装丁もすてきです。 (諍い女/2007-05-24)
教科書に出てくる様な古典の名作を現代の京都の大学生という世界で切り取っている。
とにかく笑える。
表題作『走れメロス』が一番光っている。こんな友情もあったのだ と目からウロコが落ちる かも。
元になった小説を読んでいないとどこをどういじくっているのか分からないのでこれを機に元話も読んでみるのがよろし。 (かばりっち/2007-04-18)
名作を現代に |||||||||||||||||||||||
これは名作を一大学生の偏狭な世界観で描きたい作品なんですね、きっと。
想像を絶した苦悩なんて、絶するゆえに多くの者にとってはどうでもいいことでしょうし。そういった高尚と考えられるものとずれた、駄目大学生の屁理屈の中に一片の真実を汲み取るかどうかなんじゃないかと思います。芸術としての小説だとか、敬遠されがちな古典ですがそれらは意外に自分達の身近な悩みに一々頷いてくれるものなんですね。その一つの面をふくらましたものとして、森見氏のこの本がある(原作の詳読記ではないのは当然のこと)。大いに笑えるものもあるし、切なくもなるものもあるし、なんだか不気味なのもある。京都が好きな人も、腐れ大学生を愛する方も、また原作を愛する人も、多くの人が楽しめる内容じゃないかなと思います。とにかく、「走れメロス」の奔走ぶりと、うってかわった「桜の森の満開の下」読後の余韻だけでも、一読の価値ありです。 (モリソン/2007-03-30)
標題のとおり、著者による近代文学の名作リミックス5編です。

行方不明となった文学狂いの青年と、かつての麻雀仲間との再会を描く「山月記」に始まり、登場人物がそれぞれの作品にかかわる様子は、藤沢周平の「本所しぐれ町物語」に通じるようにも感じます。原作と同じ表現を微妙にからませながら、おバカ方向まっしぐらの暴走だったり、切なさ倍増だったり(どちらの路線でも、心理描写がリアルでうならされます)…文学好きのツボを心得たコンビネーション攻撃を心から楽しめます。それぞれの作品と、原作が持つ緊張感が見事にシンクロしているところは「まいりました!」というほかありません。こういった連作集では「これが好きで、これはちょっと…」という順位ができてしまうものですが、どの作品も甲乙つけがたい面白さです。

舞台となる街の様子も、あたりを知るものにとっては「あそこ、そういうヤツいるよな」「そうそう、あのあたりはね…」とくすくす感を倍増させるスパイスとなっています。

森見作品を手に取るのはこれが初めてですが、「しまった、他の作品をもっと早く手にしていれば!」と悔やませるパワーがあふれています。装丁も小粋で、文句なく☆5つの評価としたいと思います。 (Pipo/2007-03-18)
五篇のうち原作は「走れメロス」しか読んだことがありませんでしたが、
他四編も充分楽しめました!原作読んでいると、笑えます!
全篇で登場人物など設定が繋がっていて、原作も?と錯覚するマジックでした。
読んでいない原作を読んでみたいと、思いました。 (ぴよぴよ/2007-05-13)
元ネタを知ってるかどうかでこの本の面白さはかなり左右されます。
私は『山月記』『藪の中』『走れメロス』に関しては読んでいましたが、後半二作品は未読。
そんな私に限れば、前者は☆4つか5つ付けていいくらいだが、後者は1つ減らして☆3つから4つ(総合して☆4つの評価)。
いや、ダメだったなんて言うつもりはない。
物語自体はそれなりに面白かったし、元になった作品を読んでみたいと思わされもした。
それでも元を読んでなきゃ森見氏の「新釈」の面白さは分からないですから。
そういう意味でのマイナス評価です。
『走れメロス』の「逆転の発想」なんかはその極み。

何より素晴らしいのは『山月記』。
この『新釈 走れメロス』の5作品は、それぞれの物語がリンクし合っており、登場人物や舞台背景が2作品以上にまたがって描かれていることが面白さの1つの要因なのだが、それが最も巧妙に表現されたのが『山月記』である。
作者のストーリー構成の見事さは、この『山月記』を作品の頭に持ってきたことの一点で集約されてるとさえ言えると思う。

ホンット面白いから、騙されたと思って読んでくださいな。
でも「元ネタ」を全く知らないって人は、1つか2つくらいは読んでからのほうがいいですよ。
(ふるむーん/2007-07-13)
面白いです。
昔の文学作品五篇を、現代(?)の京都に舞台を移して描いてます。原作ではそれぞれ全く関連性のない独立した物語ですが、この新釈版では一つ一つの物語の舞台も登場人物も密接に関連しており、原作を知っている人でも新しい視点や解釈の仕方で楽しめると思います。

特に好きなのは“山月記”で、笑えたのは“走れメロス”でした。“百物語”はちょっと期待はずれかな...

深い...!!
(カルディ/2008-06-01)
表題の『走れメロス』(太宰治)の他、『山月記』(中島敦)、『藪の中』(芥川龍之介)、『桜の森の満開の下』(坂口安吾)、『百物語』(森鴎外)の、現代版劣化コピーという感じです。
「劣化」は言い方悪いですが、劣化のさせ方が著者らしくて面白いです。

『山月記』は、原作が大好きなのもあってか、楽しめました。
原作のダメ人間ぶりが、著者のよく書くダメ人間によくマッチしていて。
にしても、原作:虎に化ける→新釈:唾に化ける って。。

『桜の森の満開の下』は、原作:山に住んでた鬼が都に移住→新釈:京都に住んでた著作家目指す学生が東京に移住。
これは普通に現代的な恋愛小説として楽しめました。

文体もそれぞれの原作に似せていて、よく勉強してるなーと思いました。(やや僭越か)

どれも、原作は青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)あたりで無料で読めちゃいます。短編だしすぐ読めます。
もともと原作を知ってると面白さが倍になると思われます。 (K内/2007-09-30)
独壇場 ||||||||||||||||
もう森見さんの独壇場です。一度読んでしまったらやめられない文体で
語られる妄想レベルの高い躍動する物語。
『太陽の塔』で一部で話題になり、『夜は短し歩けよ乙女』でブレイク
した奇才・森見登美彦による最新作は太宰治「走れメロス」を中心に文
学史に刻まれた名作たちをカバー・リミックスした爆笑のリメイク小説
集です。

特に表題作にはやられました。もともと僕は太宰治が大好きなので、どんな
方法で料理されているのかと思ったら、この方法ですよね。スゴイです。
一度物語を解体し、それを再構築するという簡単のようでいて難しい作業を
これだけ「自分の色」を反映し、原作に決して劣らない完成度の『走れメロス』
を作り上げていると驚きました。

そして何より面白い。今回も前作に続き、腹の底から笑わせていただきました。
森見さんはいったい次は何をやってくれるのか?
またまた期待に胸が脹らみます。 (ライラライ/2007-03-14)
『夜は短し歩けよ乙女』を読んで楽しんだ人にお勧めする。短編はすべて同じ仮想京都を舞台とするからだ。詭弁論部があり、パンツ番長戦があり、図書館警察があり、単位取得と桃色遊戯にあまり熟達していない男たちが力いっぱい阿呆をやりぬく、あの大学の、あの文化祭のサイドストーリー集でもある。
短編集であるため物足りない感じもする。が、短編ごとにがらりと雰囲気を変えて見せた上で、登場人物が次の章のどこかに出てくるようなオムニバスになっている。そこに体はあるけれども心が場と一体になれぬ人の孤独感が、この本の全体に共通して登場人物の誰かが感じているものでもある。
南禅寺から銀閣寺までの哲学の道から蹴上インクラインの桜並木が出てくれば、思い出に胸が詰る。河原町から烏丸の四条の地下道も、桂駅から嵐山までも懐かしい。景色も、原作の風合いもさることながら、短編ごとに変化する作品の気配の違いを味わうことが面白かった。 (香桑/2007-04-12)
古典の名作を森見流に解釈したらこうなった!
キターーーーって感じです。
前5篇からなる短編集。
もちろん原作は誰でも知っている作品ばかり・・・・だと思う。
自分は『山月記』と『走れメロス』しか読んだことはありませんが・・・。
この2作に関しては、
ここまで原作を壊してしまっていいのか?と思うくらいに
面白かった。
でも『山月記』の斎藤秀太郎は本家『山月記』の「李徴」の切なさ
やるせなさを見事に再現しているし、
『走れメロス』では本家の友情とは真逆の友情を、それでも
根底に流れる友情の素晴らしさをしっかりと伝えている。
単に面白おかしく書いてるわけじゃないところが、さすが森見さん。

他の3篇も読んだことはないけれど、
きっと同じような手法なんだろうな、と思う。
これを読んで本家の方も読んでみようかという気持ちにさせてくれる。

5篇とも同じように爆笑妄想モード炸裂だったら
きっとつまらなかったと思うけれど、
幻想的な話だったり爆笑妄想モードだったり
不可思議な物語だったり
実にバラエティに富んでいて、最後まで飽きることはなかった。

古典名作が苦手でもこれなら読めるんじゃないかな? (なおっち/2007-03-24)
「走れメロス」はとてもバカバカしい内容なのに
臨場感あって、手に汗にぎり、不覚にも引き込まれてしまった。

しかし、まるで「うる星やつら」で諸星あたるが追いかけられているようだ。。。
芽野が“あたる”で芹名は“メガネ”ってところか。 (momokichi/2008-08-26)
歴史的に名の知れた古典的名作を
モリミー流に料理してしまったすごーく大胆な試みの本です。

本編中の5つの話の登場人物などは少しずつリンクしていて、
連作短編集の味わいもあります。
「詭弁論部」「図書館警察」など
森見ワールドではおなじみのキーワードも多数登場するのが、
モリミーファンには嬉しい♪

名作を下敷きにしているのは間違いないんだけど、
自分の持ち味を巧みに詰め込んで、
完全に自分の世界に染め上げてしまってるからすごい!
才能はもちろん、その勇気と潔さもタダモノじゃない。
やられてしまった歴史的文豪たちもきっと驚いてるでしょうね(笑)

いちばん好きなのは「走れメロス」。
オリジナルになじみがあるし、
モリミー流のバカバカしさがいちばん色濃く出てるのもこれだから。
こんな友情もいいなぁ。
こんなバカな友情を素敵だと思える自分までも好きって思えた。
最後の踊りの場面では笑い以外にもなーんかこみ上げるものがあるのよね・・・。

今も昔も若者たちの「苦悩」の素って根本的に変わらない。
だから現代の人も古典小説を楽しめるんだ。
小説に限らず、本当にいいものって“永遠”なんですね!! (夢追い虫/2008-04-15)
どれも巧みなリメイクぶりでひたすら圧倒されっぱなしだったんですが、個人的には坂口安吾のこの名編からの再創造が一番よかったです。森見作品を読んでいてはじめて涙が出ました。
実は(というのも変ですが…)森見さんの描く「抱腹絶倒」の「笑い」とか奇抜なキャラクターの言動とかは正直あまり好きではなくて、若い人はこういうので喜んでるのかー、正直よくわからん、と思いながらも、この人の文章の上手さと物語りのパワフルさに魅了されて、これまで色々と読んでいました。
「桜〜」は、そんな主流派に属さない(はずの)森見作品の愛し方をしている私にも、心から入っていける一編でした。うーん、文学って感じです。この浮世にあるあいだ誰にもときどきおとずれてくる、わたしなにしてるんだろう感と、その果てにやってくる、もうどうしよもない寂しさと哀しさが、クールで幻想的な文章のもとにたんたんと述べられいて切なくなりました。
「走れメロス」の、むぅ、調子狂うなあ、な結末のビジョンをみせられたすぐあとに、まったく作風の異なるこの美しげな作品を一挙に読んだので、そのコントラストも手伝ってやたらと感動してしまいました。森見登美彦おそるべし。
(ソコツ/2007-08-09)
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有頂天家族
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幻冬舎(2007-09-25)
森見 登美彦
売上順位:8975
¥ 1,575(中古:¥ 829)

レビュー総評点:278
 洛中を舞台に、天狗、人間、そして狸の眷属が三つ巴、縦横無尽の大活劇を魅せてくれる面白小説。

 往年の天狗力、今いずこの赤玉先生。半人間、半天狗の美女・弁天。四匹よれば、時には百人力の狸魂を発揮する下鴨(しもがも)四兄弟。下鴨ファミリーとは宿命の抗争を繰り返す夷川(えびすがわ)ファミリーの金閣、銀閣の兄弟。などなど、登場するキャラクターたちの、のほほんとした言動と化かし合いが、なんとも飄々としていて痛快。楽しかったです。

 また、『夜は短し歩けよ乙女』を彷彿させる、森見ワールドならではの歌い、踊り、流れるような筆致。ひょいひょいとつながって行くエピソード、その連係プレイがとってもイケてる話の展開。そういうところが、実にいいんだなあ。
 終章の話の疾走感などは、遊園地で人気のアトラクションに乗ってるみたいな、スリリングな楽しさがいっぱい。帯の背表紙のところに書いてあるとおり、「面白きことは良きことなり!」であるなあと、存分に堪能させられました。

 下鴨ファミリーを結ぶ強い家族愛にも、ぐっときました。そのほろりとさせられる味わいは、忘年会で鍋料理をはふはふ言いながら食すのにも似たあたたかさがあったなあ。

 幻冬舎の「パピルス」、2005年10月号〜2007年2月号に掲載されたものに、書き下ろしを加えた作品。
 この話につづく「有頂天家族」シリーズ第二部、第一話「二代目の帰朝」が、2007年10月27日発売の「パピルス」15号に掲載予定の由。待て、しばし。楽しみになってきました。 (東の風/2007-09-28)
奥ゆかしさ・バカバカしさ・妖艶さ ||||||||||||||||||||||||||||||||
人間・天狗・狸が暮らす街・京都が舞台。
京都という地の持つ奥ゆかしく味わいのある風景が
この3つの種族が共存する不思議さと見事にマッチしています。

はじめは相変わらずのモリミー節のバカバカしさに
呆れつつも楽しく読んでいたのですが、
父の死の真相がわかるにつれて怒涛の展開に!
いちいち驚きの声をあげ、
愛すべき毛玉たちに声援を送りながら熱い気持ちで読みました。

奥ゆかしさ・バカバカしさ・妖艶さ、この3つの絶妙なバランス感。
そして主人公がかわいい狸だっていう力の抜け具合。
バカバカしさをしっかり保ちながらも感動させてくれるから凄い!

巻末では第二部の始動が大きく予告されてあり、
今後も毛玉4兄弟の活躍から目が離せません。 (夢追い虫/2007-10-28)
面白い |||||||||||||||||||||||||||||||||||
狸と天狗と人間の話。

最初は登場人物(狸か)の紹介と状況説明が続く内容で
これは面白くないかも・・・なんて思いましたが、
やはりそこはモリミーです。
中盤から後半にかけて一気に読ませる面白さ。

もう、なんというか、阿呆さ爆発。
出てくるキャラクターたちが
非常に人間っぽくて、狸のくせに(笑)。
周りにもこんな人、いや狸?、いるなぁ〜なんて。
人間をキャラクターにして書いていたらありきたりな物語になってしまうところを
狸や天狗を主役に持ってくることで、あっさりと面白い話に
変えてしまう、そんなモリミーの筆力というか発想に感服。

狸たちがかわいくてしょうがありません。
その化けっぷりも、
叡山電車に化けて街中を走り回ったり、
如意ヶ嶽に化けちゃったり、
丸ごと蕎麦屋に化けちゃったり、
どこまで妖力あるんじゃい!って突っ込みたくなるほどでした。
そんな狸でもあっさり狸鍋になっちゃったり。
ところどころ笑えるツボがしっかり抑えてあるし、
また、親子兄弟の愛情考えさせられたり。
ほろっとさせられたり。
上手すぎです。

第2部も始まるようです。
これから下鴨4兄弟や赤玉先生、弁天に何が起こるのか、
楽しみですね。
(なおっち/2007-10-05)
ぷりぷりのけぽっ |||||||||||||
面白きことはよきことなり!!

ファンタジィである。
しかしある意味謎ときミステリィであったりもする。

京の都には 人間と天狗と狸がいる。そしてそれぞれ三つ巴になりくんずほぐれつするのである。

糺の森に住む狸の4兄弟が 宿敵夷川親子と知力を尽くして戦い抜くのである。

と、言うとなんとも血なまぐさく聞こえるが(実際、兄を騙して狸汁にして人間に食わしちゃうくらい意外とノアールだったりする)そこはほれ、モリミーだからもう阿呆の血が騒ぎまくり七転八倒呉越同舟捲土重来樋口一葉なのである。

いやぁ もうなんとも面白いのなんのって読み出したら止まらないんだから。特に最終章のスピード感ったらジェットコースター並だから。

あちこちにちりばめられた森見的エッセンス健在。偽電気ブランやら怪しげ隠居やら腐れ大学生やら、キュートな擬態語やら…もうぷりぷり けぽっなのである。

あぁ 言葉にならないくらい 有頂天な小説なのだ (かばりっち/2007-10-22)
森見作品はどれもおもしろいので今回も楽しみにしていましたが、
期待を裏切らない作品でした。
特に中盤以降はストーリーがどんどん展開して、あっという間に読みきってしまいました。
風変わりな設定だけに頼らず、物語の中身や何気ない表現にも工夫があって、
小説としての完成度は今までで一番な感じです。
奇抜な設定と独特の文体を使い、頑固に京都という舞台にこだわり…
他のどんな作家にも追随できない王国を築き上げているのが本当にすごいです。
これからもこの作風を貫いて頑張ってほしいです。 (mayu/2007-10-11)
この京都には、人間と天狗と狸が住んでいる。いつも通りに森見さんの仮想京都は、不思議がいっぱい。
主人公とその兄弟達、母親と亡き父親と、家族の姿が愛情深くて愛しかった。天狗と弟子の師弟関係も、多くを語らずに本音と体面を守る作法が粋だ。破れた恋の苦味がほんのりと効いている。
阿呆の血のしからしむるままに、目の前の些事にうごうごする狸たちの姿は、そのまま読み手と重なる。この世界を動かすような権力とは無関係だし、弱肉強食のような生命の危機とも無関係で、当たり前の日常生活を飽きずにひっそりと繰り返し送るものたち。
だけど、それなりに毎日を生き延びて、それなりに楽しんで生きていられる。そんなところに尊さを見出して、最後のページのような言葉を紡ぐことができる作者の感覚が好きだと思った。
もふもふの毛玉や、ふはふはの毛玉のような、柔らかで温かい毛玉好きにお勧め。 (香桑/2007-10-15)
昨年、「夜は短し歩けよ乙女」でブレイクした森見登美彦氏待望の新作。
出来に関しては、「夜は短し歩けよ乙女」が傑作なら、この作品もまた傑作です。

時期的には、「夜は短し〜」と同時期に連載していたこともあってか、世界観に
ついては、非常によく似ています。

ただしテーマに関しては、今までの作品(きつねは除く)に共通した「恋愛」「青春」から、
「家族愛」となっていて、その点がこれまでと一味違うというところです。
また、今までの作品世界が「現実」と「幻想」の狭間をフワウワ浮遊していたのに対し、
今回は初めから「幻想」にどっぷり浸っているというところも違いと言えましょう。

ただ私自身、もし他人に森見氏の作品を薦めるとすれば、「夜は短し〜」よりも、
こちらを選びます。なぜなら恋愛観は十人十色であり、作品で描かれる恋愛が
読者の恋愛観にそぐわなければ、その作品に入り込むことは難しいと思うからです。
この辺が理由で、氏の作品に否定的な見解を示す方もいらっしゃいましたが、
今回の作品なら受け入れられるかもしれません。

願わくば、この作品で「本屋大賞」に「捲土重来」といきたいところです。 (日々是好日/2007-09-27)
狸鍋にされこの世をあっけなく去った父が残した4匹の狸の名門下鴨家兄弟とその母。どこかしら頼りない4匹の兄弟の匹敵は、父の弟である夷川家の伯父とその息子達であった。化かしあいをしつつ兄弟で一致団結して下鴨家の誇りを取り戻すことが出来るのか?落ちぶれた天狗と半天狗の人間弁天もそれに加わって物語が始まる!!

★阿呆なお話なんですが、でも深いと思います。そして、読んでいて思わず「プッ…」と吹き出しそうになる程オモシロいです。★たった一匹の弟と敵対してしまった父の無念さが、切ないです。しかし、その反面で父の思いを深く汲んだ息子達が一致団結してお家の一大事を無事にやり過ごす姿は、とても爽やかでほんわかとしました。★森見さんらしい京都を舞台にした物語です。 (しろくま/2007-09-30)
買ったその日に読み出し、流れるような文章に身を任せ、
またたくまに読んでしまいました。
つるつるっと。のどごしさわやか。
前作でみかけたような人物や、場所がちらほらでてきて、
そういうのも楽しかったです。 (モッツァレラ/2007-09-27)
 実に、実に阿呆な話だが、阿呆の中にも人生を歩む上でのアドバイスや人間関係のコツが隠されている、読んでためになる本。
という事はなく、なんのアドバイスもコツも無く全くためにならない本です。むしろ阿呆が移る。ただただ笑い転げる、爆笑・狸のお話です。
 でもわたしは、偉大な父を持つダメダメ兄弟たちに元気をもらいました。噴出して、声を出して笑って、顔の筋肉と腹筋を鍛えながら読みましたけど・・・。
 『有頂天家族』を読み終わった日、学校で嫌な事があったんです。でも、この本のおかげで「まあ、いいか」と思う事ができました。
 
 スポーツ後のように、スカッと晴れやかで爽快な気持ちになれる本です。
 気持ち良く明日が迎えられる、心の健康本ですね。 (夏波/2007-12-24)
主人公:狸の名門・下鴨家の三男・矢三郎は狸元来の阿呆の血が行きすぎで周囲を良く困らせる。人間は街に暮らし,狸は地を這い,天狗は天空を飛行する。平安遷都この方続く,人間と天狗と狸の三つ巴・・・その中で繰り広げられる破天荒な事件の数々「面白きことは良き事なり!」

狸・天狗・人間を巡る京都を舞台とした短編からなるファンタジー(!?)であるが,物語は1連の流れからなり,長編とも読める。始めは文章と設定に慣れずに先へなかなかページが進まなかったが,この世界観へと入り込んでしまえば,楽しくて楽しくて仕方のない物語であった。ただし,人によっては全く読めない(面白くない)と思う人もいると思われる物語であると感じた。私としては最近ではお気に入りの部類に入る本である。
(87/2007-11-20)
何といってもキャラクターたちが濃い!濃い!!
「家族」と言うから登場人物が当然?人間かと思ったら・・・

女好きの天狗、赤玉先生や半天狗の弁天など、こんな発想がよく出てくるものだと
これは思わず感動の領域。

情景描写も繊細でリアル。道行く人の何パーセントかは本当に狸なのかも?
そんな風にさえ思ってしまった。

とにかく最高に面白かったです! (月 影/2007-11-09)
一度はまったら抜け出せそうもない。森見ワールドは本作品でも健在也!

京都に棲む狸一家と大天狗と人間の物語。
狸兄弟はそれぞれ独特の個性を持っていて一見てんでんばらばらに見えるが、
その実は絆の強さがある。

大天狗なのに役立たず。でもやっぱりすごい大天狗。

人間なのに本作では脇役(?)。決して人間は主役ではないのがまたおかし。

絶妙な味わいのある作品です。 (ニャンゴロ/2007-10-07)
作品の評価などできるほど能力があるわけではないのですが、一言。私が感じるに、この作品は情景描写やキャラ設定など秀逸だし、エンターテイメント性がすごくあるんだと思います。でも、ファンタジー系が好きじゃないと読むのは辛いですね。一応、読了しましたが、ちょっと辛かったな、私としては。この本は読者を選ぶ本のような気がします。好みの問題で評価をすること自体どうなのかという感じもしますが、私は好きになれません。「夜は短し…」までだなあ、受け付けられるのは。 (s3/2009-05-11)
不思議な世界でした〜
でも、楽しかったです。
現実にはありえない話ですが、森見ワールド炸裂という感じでした。
私は特に次男狸が好きですねぇ、肝心な時力を発揮するあたりが!

森見ワールドは、好きな人は好きかも知れないけど、苦手な人は苦手でしょうね、多分。
個性的な文章が好きな方にはオススメです。

全部で3部作になるらしいので、第2部が待ち遠しい今日この頃。
(サボり花子/2008-02-03)
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太陽の塔 (新潮文庫)
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新潮社(2006-05)
森見 登美彦
売上順位:9465
¥ 420(中古:¥ 1)

レビュー総評点:127
初めて森見登美彦の本を読み、文学的な文章というよりもこれはおたく的な文章だなと思いました。ひたすら濃く、くどい。
話が掴みづらい上に文章は濃くどうにも疲れるので、途中からつらつらと流し読みました。
結局息切れ切れになりながらも最後まで読みきりましたが、内容をあまり覚えていないのに妙な感覚だけが残るという変な作品でした。
先日、数ヶ月前のその感覚を不意に思い出し、この話の何がひっかかったのか解明すべくじっくりと読み返してみました。
結論として、私には二度読みがちょうどよかったです。
私の疲れで見落としてしまっていた全体のお話や随所にちりばめられているシーンがとてもよく、危うく知らないままにするところでした。
変な言い方しかできないですが、森見登見彦は感覚を外側から表現するのがうまいなと思いました。
嫌々読んだはずなのに二度読みさせられた私の完敗です。 (フジノ/2008-08-17)
学歴コンプレックスの連中が京大だからと批判し京大卒の馬鹿どもが周辺地理を面白がる。この作品はそれだけの価値しかないのか?否、この作品は、日本語を愛し、もてないで悶々と過ごした青春時代をもち、自分というものの価値を信じているすべての男性のための切ない物語だ。そして、私はそう読めなかった人たちがうらやましくてならない。おそらく、男臭さむんむんとする部屋で友人と語り続けてた経験もなく成長されたのだろうと思うからだ。しかし、この作品はそういう人たちに読まれるべき作品ではない。女性にもスポーツにも縁がない学生時代を持つ(生きる)人にこそ読まれるべき作品なのだ。 (たかちん/2007-01-23)
痛快 |||
 第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞。
 理屈っぽく偏屈な男子大学生が元カノへの未練をジレンマにモンモンとした毎日を過ごす、という日常生活を面白おかしく、どこか切ないモノローグで綴った作品。
 ・・・という、ありふれた紹介では収まらないほどに、異常な描写と思考が連続する痛快極まりない内容だった(笑)

 読み始めた当初、これは精神異常者を題材にしたストーカー小説かな?と思った。でも違った。
 確かに、異常すぎるほど豊かに展開される主人公の妄想と思考は変質者まっしぐらなのかもしれないが、そこには一般的な風潮や文化を否定したがる「哲」学生特有の青臭さと、意地が垣間見られる。
 一般的なもの・・・それは特に男女の色恋についてだ。主人公は(そして彼のかけがえない友人達は)自分がそんなものに現を抜かすような俗深き人間ではない、と主張し続ける。俺は孤高だ、俺が答えだと叫び続ける。(無論心の中で)

 一般的な道楽を正常とするなら、彼らは異常な存在だ。けれど異常な自分を肯定し続けることが彼らにとって正常なことであり、俗にまみれることが逆に異常なことなのだ。異常=異界に身をおく彼らにとっては、むしろ現実こそ異世界である。しかし、どうしても元カノである水尾さんが忘れられない主人公は、その境界線が実は真実ではないことに、うすうすと感づいている。もっと言ってしまえば答えは分かっているのだ。でもそれを認めたくないからこそ、彼はさらに異常な所業を、とひたむきに頑張るのである。

 読者を異常な妄想譚で欺き弄び、お腹いっぱいになるまでシュールな笑いを提供してくれる本作品だが、主人公の意識にひっそり隠れている健気で臆病な想いに気づいた時、この小説は夏の青空ばりの清清しさを心に残してくれるはずだ。
 失恋している人もそうでない人も、ぜひ読んでみて欲しい。 (まんねんろう/2008-08-20)
大学生の失恋の話。もてない男達がうだうだと集まって明晰な頭脳によって恋愛の下らなさを否定するのだが、当然思想という深い森に迷い込むだけでもてないという事実からは逃れられず、さらにもんもんとする話。
主人公が振られた彼女にもつ切実な想いを、屈折した言葉を使って振られたことを肯定していこうとする心理状態を面白く面白く書いていく技術や、言葉の使い方に共時的な面白さを感じることができた。
物語としても、最後に物語を盛り上げるために「ええじゃないか」があったり、なぜか、悲しくなるラストはよかった。
自意識過剰な感じはするが、それはそれで私はあまり気にならない。とても面白いと思う。
(津和差志/2007-01-14)
いわゆる「童貞」ジャンルの映画や漫画(吉田秋生とか)
そして小説(みうらじゅん、原田宗典とか)って、
実は結構たくさんあると思うんですが、
この「太陽の党」は著者の膨大な知識と知性、
そしてユーモアによって、一線を画す作品になっています!

 実際のところ、主人公の「わたし」が童貞かどうかは分からないのですが、
膨れ上がる欲望を女の子にぶつけることも出来ず、
男同士でひたすら妄想を弄ぶ。
そして世の幸福な男女へひたすら悪態をつき続けるその様は、
まさに「童貞スピリット」。
痛々し過ぎて、愛しくさえなってくるんです。
男性のみならず、女性も共感できるのではないでしょうか?

 これといった起承転結のストーリーもないし、
ファンタジーノベル大賞受賞のわりにさしてファンタジーでも無いのですが、
その語り口の軽妙さが最後まで読み手を引っ張っていってくれるでしょう。
できれば「夜は短し歩けよ乙女」を読む前に読んでおいて頂きたいですね☆

 森見登見彦さん、今一番注目している作家の一人です。 (moripu/2007-03-22)
森見節炸裂の理屈っぽさ・馬鹿らしさで
気楽に読んでいくと
最後にうっかり感動してしまいます。
ラスト数Pは悲しいながらも珠玉!!

きちんと失恋をする、ってこういうことだなあ。

読み返すたび感動します。森見作品で一番好き。 (このみ/2008-10-03)
どうしようもない恋のからまわりと
男汁まみれの下宿生活。
それが不思議に惨めではなく、むしろ懐かしさと暖かさ、
さらには愛らしさ(!)まで感じるのは
どこかひょうひょうとしたユーモアのある森見節ならでは。

じぶんは地味だし・・という自覚症状のある人、
普通に生きているはずなのにモテない!!と嘆く人へ。
とくに希望は語らないが、
なんだか「これでよし」と思える本。いいです。青春だね。 (notds/2008-09-28)
話題作です。
「夜は短し、歩けよ乙女」と同じく、独特の作風はすでに本作で
確立されています。文体や構成、なにより主題が非常に独特で、
読めばすぐ、この作者の作品だとわかります。このような感覚は
ジャンルは違いますが、京極夏彦を初めて読んだときに近いものが
あります。

内容はすでに他のレビュアーの皆さんがお書きになっているように、
京都を舞台にした、妄想大魔王達の疾走する日常が、半ば強引に
勢いだけで語られていきます。前半の盛り上がり、絶妙な言い回しの
連発に比べて、後半少し盛り下がりますが、作品の主題が、そもそも
勢いと妄想にあるようなので、それもまた良いのかもしれません。

久しぶりに登場した貴重な若手作家だと思います。
妄想族だけでなく、万人が読むべき21世紀の純文学です。 ((た)/2007-11-04)
京大農学部を休学中の五回生(作者自身がモデル?)が語る,イケてない日常の日々。
中盤までは爆笑の日常の連続。こういう勘違い系の学生って,やっぱ多いのかな。彼らの綴る馬鹿馬鹿しい日々が,大仰な文体で綴られているためか「プッ」と吹き出してしまうことが何度も。

時はクリスマス商戦真っ只中。イケてない学生にとって,クリスマスは恋人と過ごすものと定義される昨今の風潮は到底受け入れがたい。そこで彼らは「恋愛ファシズムに対する挑戦」を企て,「我々の精神の持つエネルギーで,鴨川に座る男女を焼き払う!」と息巻く。すげーよ,そのエネルギー。

ただね。第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品ということですが,この本の何をもって「ファンタジー」とするかについては議論がありそう。特に後半では現実とファンタジーの境界があいまいで,作者の世界から置いていかれそうになりました。そこが少々,心残り。
(たつパパ/2006-11-19)
自意識過剰かつ生意気な感じの文章がかなりツボにはまって、読んでるあいだは吹き出したり、ニヤニヤしたりの連続でした。なかなか面白かったです。ファンタジーノベル大賞受賞作と聞いて予想する作品とはだいぶ違うけど、現実と、京大生ならではの巨大な脳(?)から紡がれる幻想というか妄想とが混在している様と独特な古風さは、ファンタジーと言えなくもないかも。また京都っていう舞台も大きいかと。出てくる固有名詞も「叡山電車」「北白川別当交差点」「幽水荘」など妙に魅力的だし。東京じゃこうはいかないだろうな。四天王の学生たちの浮世離れした生活ぶりには少し憧れる(モテないところ以外は・・・)。ラストは若干拍子抜けしたけど。ところで解説を読んで「まなみ号」の意味がわかりました。 (冬苺/2007-06-14)
妄想ワールド炸裂 ||||||||||||||||||||||
妄想ワールド炸裂。
どこまでが現実でどこからが妄想か。
不思議な物語。
しかし、面白い。

女の子に振られた『私』はその振った相手『水尾さん』研究に
いそしむようになる。
しかし、一歩間違えれば、というか
すでに間違っていると思うが、
その行為はまさしくストーカー。
理路整然と自分の行動の正当性を訴えるけれど
やっぱりストーカーだよな〜。
しかし、ストーカー物とは一線を画す物語。

でも誰にも経験あるような、妄想。
妄想に生きる男の性、
分かるような分からないような・・・
いや、分かっちゃうんだよな。
でもここまでの行動は起こさないけど。

ところどころ「くすっ」とか「がはっ」とか笑えます。
人前では読めません。
登場人物がわけの分からない人たちばっかりですけど、
でも愛嬌があって、とても愛おしい。

森見登美彦はまってしまいそうな作家です。 (なおっち/2007-01-25)
古きよき、文芸盛んなりし頃の”小説家”を思わせる文体が、とっても巧い。
でも、舞台はあくまで現代。 そのギャップがとても新鮮だった。
本質的には、近代以降、変わらぬ、青春、恋愛、葛藤小説。
でも、時代にあったディテールを消費したいという文系若者層の欲望に、みごとにハマったと思う。

それにしても、この作品が、「ファンタジー大賞」!? 
投稿した著者も、選者も、やるなあ、と関心してしまった! (misora/2007-07-23)
連れ ||||||
全ての失恋男達に捧ぐ」という言葉にかこつけて買ったのだけど、長らく読んでいなかった。ついさっき抹茶モカを飲みながら3時間ほどで読み終えた。

中身はある男の恋愛をリリカルに匂わせつつも、男の妄想でそれを固めつくした様子。京都の街を奔走する男、京都でのリアルな大学生活が伝わってきた。

ひねくれてもどこか可愛らしいインテリチックな会話や、なんだかんだで女を美化する奴ら、キモ可愛い。

僕が今送ってる大学生活とは似ても似つかない、昔ながらの大学生っぽい大学生活。京都でのんびりと大学生活をしてみたくなった。なんか昔の友達を思い出すような。

また場所がそうぞうできるからおもしろい。京都での恋か。場所は違うのだけど、なんか地元の匂いを感じる。

固く結ばれた友情と個性のあるキャラ。こんな友人に囲まれて大学生活送りたいものだ。 (MJ/2008-03-20)

 崩壊しかけた四畳半の真ん中にでんと腰を据えて、私はこの手記を書く。内容は私
の日常である。「おまえの日常なんぞに興味はない」と言う方は読まない方が賢明で
あろう。周囲を見渡せば、もっとお気軽で、お気楽で、愉快に読み捨てられる書物が
ごまんとある。なにを好きこのんで、こんな男汁溢れる手記を熟読する必要があろう。
読了したあかつきには、必ずや体臭が人一倍濃くなっているはずである。読み終わっ
た後で文句を言われても困る。私の経験から言えば、いったん濃くなった体臭は二度
と元には戻らない。
 しかし、敢えてこの手記を読む人は、貴重な経験をすることになるだろう。もちろ
ん愉快な経験とは言えまい。良薬とはつねに苦いものである。
 ただし、苦いからと言って良薬であるという保証はどこにもない。
 毒薬もまた苦いのだ。

                                              本文より (ナイルリバーサイド/2007-10-19)
「私」が、振られた彼女の水尾さんを追っかけている話だと、はじめにそう思ったのですが、どうもそればかりでもないのです。
 書き出しでは、水尾さんにまつわる手記だと思わせながら、その内容のほとんどが彼の日常で埋め尽くされており、終始晴れない胸中を語り続けています。

 しかし、その悶々たるや、まことに絶妙です。流行の恋愛小説家などが書けば、憂鬱に口をふさぎたくなるかもしれませんが、この作品、前向きなネガティブとでもいいましょうか、やや高尚な文体ながらギャグテイストが満載であり、笑いが止まりません。
 愉快な仲間たちの紹介に明け暮れていた感もあり、ストーリー的には贅肉が多かったかもしれませんが、美味しいご馳走となりました。
 これがファンタジーノベル大賞というのが素敵な選考です。

最後に回想される水尾さんとの想い出には、自分と重なるところもあり、ほろりとしました。
ありがとうございました。 (くまスリー/2007-09-24)
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きつねのはなし
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新潮社(2006-10-28)
森見 登美彦
売上順位:11432
¥ 1,470(中古:¥ 688)

レビュー総評点:111
京都+怪奇 ||||||||||||||||||
京都好きの方にはたまらない小説です。
京都という街がもつ不思議な雰囲気が存分に出ています。
どの話も少しずつリンクしているようで、していないような…。
同じ世界の話だけれど、どこかちょっとずつずれているような…。
というような構成です。
森見さんの他の話よりも少し笑い出してしまうような文体は少ないですが。

レビューのタイトルにも書いたとおり、京都という趣のある舞台+少し背筋がヒヤッとする奇妙な話、といった感じです。

京都好きにも、ちょっと不思議な話が好きな人にも、読みやすい小説だと思います。 (メメントモリ/2007-03-15)
濃い京都 |||||||||||
夜は短し、太陽の塔と読んで、この「きつねのはなし」に進みました。
2作とは違う感じで、ポップさ・キラキラ感というよりも、ぼんやりと得体の知れない何か、という雰囲気です。暗いなかぼうっと光る神社のお祭り・長々と続く灯篭行列といったものを見たときの、心の中で感じる警告のようなものです。
何冊か読んでみて共通して思ったのは、装飾的なものを全て取り去って考えると、実は素朴でストレートで、なんか好感が持てます。
「京都」を濃く土俗的に表現してる、なんか京都に行ってみたくなる本です。
(ziwatto/2007-05-07)
暗闇をじっと見つめて |||||||||||||||||||
デビュー作『太陽の塔』では京都の大学生の日常と妄想を面白おかしく書いていたが、今回の作品はがらりと雰囲気を変えて京都という街の暗がりの部分に目を向けた。
京都は観光都市でありながら、どこか謎を秘めた街だ。いわば京都のB面とでも言おうか、そこに足を踏み入れてしまった人たちを主人公に据えた中篇が四つ収められている。伏見稲荷・吉田神社の節分祭・琵琶湖疏水など、京都人には馴染みの場所を舞台にしてひそやかに繰り広げられる、いわば京都のB面とでも言おうか、影絵のような妖しく美しく恐ろしい物語もまた、古都・京都のもつ秘密に新たに加わった。京都という街が書かせた話といってもいいかもしれない。個人的には「果物の中の龍」が気に入った。
ただ怖いだけでなく、時には華麗ですらある描写が読ませる。夏目漱石『夢十夜』、京極夏彦『巷説百物語』などの幻想怪奇譚が好きな方には是非手に取っていただきたい。 (suira/2006-11-04)
ぬるりとした感触 ||||||||||||||||||
本を読むと時々「感触」のある本に出会うことがある。
「感触」は読んでいる途中に文章が視覚以外の感覚を通して、
体に入ってくるという感じでしょうか。
単純な「ホラー」ではなく「するり」というか「ぬるり」というか、
ページを通して、肌にそんな感覚を残していく本でした。
特に描写に関しては、そんな感覚が強かったように思います。
雨の描写では、鼻につんとくる雨の香りが漂い、
起こるであろう恐怖を予感させる。
そんな文章を超えた感覚が、この本にはあるように僕は感じました。
(スクルージ/2007-04-03)
心理的にジワジワと近付いてくる恐怖。これが意外と怖いことに気付かされました。
ふだんはあまりこういう類いの小説を読まないのですが、これは面白かった。

すべてを見透かしているかのような怪しい老人。
その老人により、得体の知れない恐怖にはまっていく青年。
老人の怖さをあおり立てる、暗く美しい骨董屋の女主人。

全体がじめっとした小説世界の空気(恐怖)は、現実にまでも浸透し始め、
寝る前に部屋の電気を消しデスク用のライトだけで読んでいた私は、
何となしに部屋の電気をつけ明るくして表題作を読み終えました。
本当は電気を絞って読んだ方が雰囲気でるかも。勇気があればですが…。
(まるき/2007-02-20)
ホラーではありません。恐怖を正面に据えて、「ほら怖いでしょ?」と作者が語りかけてくるような作品ではありません。キング以降のモダンホラーとは、対極にあるのでしょう。伏線、登場人物の内面描写、謎解き、クライマックスといった約束事がないので、肩すかしにあう読者もいると思います。
ところが、なかなか面白いのです。
本作は幻想を語っています。たくさんの謎も提示されますが、どれも未解決のまま、放っておかれます。
京都の夜、さびれた古道具屋、血縁の謎、ミステリアスな女、竹薮に囲まれた屋敷、琵琶湖疎水。想像力をかき立てる小道具は揃っています。
連作ですが直接の関連はなく、次章を読む度「この古道具屋って?」と、物語の背景を想像させられます。
本書は、とにかく半分だけ出して、あとは想像しなさいという小説です。

本作は、若者が道に迷い、誰かと出会い、夢のように時間が過ぎたエピソードを描いています。
幻想として描かれてはいますが、描かれている感情って、結構普遍的なので、本作は面白いのだと思います。
って、ことは幻想小説でもありますが、青春小説でもありますね。(随分屈折した方のです・・・) (いせむし/2006-11-23)
不思議なことが不思議なままにある。きつねは、きつねの思惑で動いているのであって、人の思惑では推し量ることができない。
景色も綿密でほの暗く、感触は濃密で生ぬるく、嗅覚や聴覚が研ぎ澄まされる。
4編は、ゆるやかに繋がっているが、独立した物語として読んでもよい。
著者の独特の古風な文体は見られず、むしろ淡々とした語り口。圧倒的なインパクトには欠けるが、これはこれで好ましい。
ホラーという響きには不釣合いで、ひっそりと木陰にたたずむだけの白けた幽霊を見るような心地だった。
龍は、住むところに還れたのであろうか。淡い夢から醒めては忘れ去られる、物寂しさが残る。 (香桑/2007-05-16)
なんだか不思議でどうなるんだろうと、期待半分で読み進めても解決しなくてあれ??と思っているとなぜか繋がっていたり気が付けば、どっぷりと物語の世界にはまり込みました。
京都の持っている独特の雰囲気からか、こんなこともあるかもしれないと思えてしまえるのが不思議でした。
京都の竹林を揺らす風の音と共に異界の扉が開いて、なんだかココに住む人は違和感無くこの世界と異界とを行き来しているのでは?と思ってしまいました。 (Linden/2007-01-20)
ホラーとも言いがたいような幻想的で不思議なお話でした。

それぞれの短編に
「狐の面」「芳蓮堂という古道具屋」というキーワードが出てきて、
一瞬すべての話はリンクしているように思えるんだけど、
設定が微妙に違う・・・・
で、どれも謎が謎のままで解決していない。

腑に落ちないような不可思議な要素が多く、
全体的に曖昧な印象を醸し出しています。

著者、作品時代は多くを語らず、
それらは自分の想像力で解決納得してくれというタイプの作品なのかも。

世の中にははっきりとさせてはいけないことがある。
「狐は人間を騙す」だとか、
そういう言い伝えも本気になって証明したりはしてはならない。

謎は謎のままでのこしておかなくてはならない場合もある。
そのへんの境界線をゆらゆらと漂うような作品でした。 (夢追い虫/2007-01-29)
自分には合いませんでした・・・ |||||||||||||||||||||||||||
幻想怪奇譚というジャンルであるのにミステリ的な要素を期待しすぎて読み始めたわたしが間違っていたと気付いたのは第二編の「果実の中の龍」に入ってから、でした。

第一編の「きつねのはなし」はそこそこ読めて、「骨董屋」を狂言回し的にプロットして展開していく・・・おっ面白そうじゃないですかと感じたのですが、伏線があって何か一つ(複数でもよいのですが)の謎解きや筋に収斂していく、という展開ではなく、それぞれのエピソードが「ゆるく」繋がって、物語の流れとして何となく「怪奇譚」。何せ「幻想」ですので。

ん?これは前の話(後の話)とどう繋がるの?と思っても微妙に繋がらなかったり、著者が終始読者を幻惑するような、そんな本。こういう「ユルさ」を楽しんで、かつ「放っておかれ感」がお好きな方なら楽しめるのかも。ぼくの趣味ではないです。 (driven/2006-11-18)
京都という舞台といくつかのキーワードを軸にして、時代や設定、人物を変えながらも巧みにリンクしていく四篇は、果実の中の龍で先輩が言っていた“神秘的な糸”が張り巡らされているよう。深読みしすぎたのか、伏線かと思っていたら以後全く触れられない箇所もありましたが、逆に意外なところが結び付いていたり、先へ先へ読みたくなる作品です。
読後感はまさしくきつねにつままれたよう。恐怖と言うよりもう少し毒気の無い、奇妙とか不可思議と言ったほうがしっくりくるような、月夜にひっそり読みたくなるような一冊です。 (ちま/2006-11-17)
短編集なのだが、どの作品もいくつかのキーワードで世界が繋がっているところが面白い。
森見作品には珍しいホラーなのだが、戦慄するような恐ろしさではなく肌にまとわり付くような湿り気を帯びた冷気を窺わせる上質の"怪談"である。
私個人としては『果実の中の龍』が面白かった。ある短編のメタファーになっているところは驚かされた。 (コークス萌太/2008-07-06)
好き嫌いわかれるだろうけど私は好きです。怪しいなって感じがすごい出てて。見えるようで見えない感じとか、ああいう感じが私のドツボでした。おおっぴろげーなホラーは好きじゃないんで。 (GRANDAGE/2008-06-25)
う〜ん、どうだろう?
『きつねのはなし』はわりに面白く読めたんだけど
他の作品がちょっと肌に合わないというか、
摩訶不思議な体験談ってだけで
なかなか話の中に入り込めなかった、そんな感じがした。
入り込めないと言うか、
置き去りにされた感じですね。

こういう不思議系な話は嫌いではないけれど、
どの登場人物にも
感情移入ができなくて、
まぁ、どの登場人物もなんとなく影が薄い気がして
しょうがなかったです。

しかし、森見さんのもつ独特さはこの作品でもしっかり健在で
それはそれでよかったんだけど、
これまで読んだ作品のように
強烈なキャラクターがいない分、
物足りなかったのは気のせいではないはずです。

芳蓮堂をもっと前面に押し出して
そこから人間の心の奥に潜む『魔』について
書いていくともっと面白かったかな〜と個人的には思いました。 (なおっち/2007-07-30)
何かの雑誌で面白いとあったので期待して読んだのですが、
半分くらいで読むのを辞めてしまいました。

こういった不思議なストーリーは嫌いじゃないです。
好んで読んでいるほうだと思います。
ただ、この本は登場人物の気持ちが全然伝わってこないのです。
見たままを文字にしただけで、
ナレーションのないドキュメンタリーを見ているような感じでした。



(ひつじ♪/2007-06-08)
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四畳半神話大系
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太田出版(2004-12)
森見 登美彦
売上順位:10059
¥ 1,764(中古:¥ 92)

レビュー総評点:357総評点300以上の注目商品
なるほど。 ||||||||||||||||||||||
おもしろかったです。4つの話があって、登場人物や出てくる物は同じで、結末も同じ。主人公がどんな選択をしたか?で少しずつ話が変わっている。ひねくれた大学生の妄想は、ちょっとひきつつも共感してしまいました。最後まで読めば、あっなるほど。と、にやりと笑ってしまう、そんなお話でした。 (ぶん/2006-06-05)
妄想力 ||||||||||||||||||||||||||||||||
これを読み始めて、わたしは電車の中で笑うことに抵抗を覚えなくなった。

同じ設定で、その時々の選択により通る道は違っても、結果として同じ終着点に行き着いたり状況がリンクしていたり。
その点で一般の小説とは異なる面白みがある。
しかし森見さんの麻薬性は、文章自体。
「立腹しすぎて、乱立した腹をよける」とか。
本文は二段組で、森見さんを初めて読む方には、多少の意気込みが必要だろうが文章自体はユーモアに溢れていてよみやすい。
パピルスでの劇団ひとりさんとの対談で、ナイーブさ、妄想力などお二人に通じるところを感じた。

なによりこの人のブログ、小説のまんまの文体でかなりおもしろい。 (串太郎/2005-11-19)
次回作も期待! ||||||||||||||||||||||||||||||||
「太陽の塔」に引き続き今回も京都学生ネタですがとても楽しく読むことができました。
もう学生生活から20年近くも経つのに、森見さんの2作品は私をあっという間にその時代に連れて行ってくれる不思議な魔力があります。
最後の最後にわかっていながらまた今回もほろりとさせられてしまいました。
最後の1ページのために積み上げられるストーリー、贅沢な構成に今後を期待してしまいます。 (夢追い虫/2007-09-25)
主人公は迷ってます。
薔薇色のキャンパスライフを手に入れるにはどのサークルに入れば良いのか。
気になるサークルは4つ。
しかし薔薇色の大学生活を必死につかもうとしてるのに、
他人の不幸をおかずにして飯が3杯食える男・小津の策略により
望まぬ方向へ転がり落ちていく主人公の滑稽さがたまりません。
第2章を読みはじめると、この作品の仕掛けに気づくでしょう。
パラレルワールドのように展開していくのですが、
もどかしく、やるせなく、悲しみつつ笑えます。

各章、内容はまったく違うのに
起承転結の起と結だけはしっかり形がある。
その組て方の見事さにも注目です!

著者は1979年生まれ。今現在、まだ20代。
この年で言葉をここまで巧みに操れるなんてそれだけで凄い。
1ページ読んだだけでその言葉のセンスにやられるはずです。 (vtf302/2005-07-03)
|||||||||||||||||||||||||||||
大学時代の友人にすすめられて読んだ。
僕自身、京都で学生生活を送り、
今は就職して京都を離れている為、
個人的なノスタルジーによるところが大きい気もするが、
これは、面白い本ですよ。
京都で大学時代を過ごし、
今、京都を離れてる人、必読。 (/)
2度とない日々を ||||||||||||||||||||||||
山上たつひこの傑作まんが『喜劇新思想体系』と遠く響き合う個性的な作品である。作者の母校京都大学、京都が舞台。
文体のリズムが良く、リフレインされる、「人生の定めとも言うべき」口上のパターンが時に五月蠅く感じられるものの、作者の狙いはそこにこそあるのだ。
主人公は大学生活を始めるに当たって、4つのクラブに入る選択肢を持ってるが、一度の学生生活ゆえにそのうちの一つしか選ぶことは出来ない。それら4つのあり得た学生生活をそれぞれ描いているが(パラレル・ワールド風)、どのクラブに入っても常に他の3つのクラブに入っていればなあと悔いる。
そこにはバラ色の学生生活があるかに思われてくるのだ。
しかし、いずれのクラブを選んでも代わり映えはしない。いや、大きく変わると言えば変わってしまうのだが、いずれも不本意なのだ。つまり、不本意である(本当の自分はこうではない)という思いを抱く点において代わり映えしないのだ。
あとは読んでいただくとして、しかし以上のごとき作品ながら陰惨ではない。軽重いずれにしろ学生時代を悔いる人に、読後は苦い、しかし切ない笑いを抱かせ、少々元気も出て来るという、最近珍しい味のある小説だ。それにしても(小生も学生時代を彼地で送ったが)京都は田舎だナー。 (野火止林太郎/2005-03-02)
育ちのよさがにじみ出る逸品 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
 京大生なのにダメ男、というバランス感覚が好もしい。ダメな学生のダメダメな下宿生活が延々と綴られるが、不思議と飽きが来ない。古風な諧謔文学を装った文体の中に、時としてほのかなやさしさがにじみ出ているところもいい。この人には本質的な育ちのよさを伺わせる愛と公平さと謙虚さがあると思う。たいした描写が割かれているわけでもない「明石さん」がかわいい女の子であることがなぜか伝わってくるあたりも巧みだ。
 一見、コピペを駆使した手抜きとしか見えない同工異曲の「ヴァリアント」を並列させているようだが、実はまさにそこにこそ仕掛けがあるのであって、最終章でそれがあきらかになったときには思わず膝を叩いた。それに、終盤のパラレルな四畳半巡りの旅には、「学生であること」をめぐるいろんな寓意を読み取ることも可能で、意外に深いなと感じさせる。
 ただ、事実つい最近まで「学生」であったこの人が、「学生」でなくなったときに何をどう描くのか、という点は気になる。間違いなく実力はある人だと思うので、今後のスタンスの取り方に注視したい。 (ゴグマゴグ/2005-04-02)
四畳半という空間に潜む謎。
ぐるぐると回り続ける物語。

謎があるわけでもない。
だから謎が解けるわけでもない。

でも、絶妙な設定による絶妙な妄想による味付け。
それがたまりません。 (ニャンゴロ/2007-10-28)
凝っている小説だ。バッハの遁走曲のような綿密さを持つ四つの平行した物語。
幻の至宝「薔薇色で有意義なキャンパス」から遠のくばかりの二年間を送り、ふと我に返った三回生である大学生が主人公である。主人公は現実から遁走しかねんばかりの、ぎりぎりの直前で四畳半で踏みとどまっている。四畳半は主人公にとって、仮屋である。
最初の3章のある種のくどさがあるからこそ、4章の孤独感が際立つ。誰もいないのであれば自分すらいなくてもよい。究極の孤高の生活を強いられて、他者の必要を痛感する。もっと広い世界を。
作者の文体の妙味が活きており、ばかばかしくも微笑ましく、涙ぐましく、健気でいじましく、しかも珍しいことに、主人公の恋愛は成就する。友愛も。
二十歳過ぎたむさ苦しい男を誰が抱きしめてやりたいと言われれば、私がしてやりたいと挙手せんばかりに、私からしてみれば主人公達が十二分に可愛いかった。 (香桑/2007-05-20)
 私が探し歩いたころは、どこにも見当たらなかった。「夜は短し」で注目される、ちょっとだけ前だったわけだ。きっかけは佐藤哲也氏の「亭主の本棚」。あそこは拾い物が多い。最近、更新されないのが残念だ。
 苦労して手にしただけの価値はあって、とにかく笑った。今でも思い出しては笑う「運命の黒い糸」。四畳半が延々と続く話、好きだなー。よく比較される「鴨川ホルモー」との違いは、徹底したリアリティー。あちらも笑ったが、私はこちらが好み。
 佐藤ご夫妻には足を向けて寝られない。 (ホレイシア/2008-06-16)
 平行して語られる4つの物語。「太陽の塔」と設定が似ている気がしたが、そんなことはすぐに忘れて抱腹絶倒の世界にいざなわれた。確かに4作目には飽きが来た。もし、4作目のラストにどんでん返しのサプライズがあれば、もっと面白く読めたと思う。「平行」させなくてはならない物語の設定上それは無理か?
 こらえきれず夜中に笑ってしまい、妻に怒られた。何故面白いのかよくわからない。構成や文章に、特に工夫があるとも思えない。おそらく、作者自身がこのままの面白い人なのだろう。思わず笑ってしまう自分もどこか似ているところがあるからなのか? (秀文/2007-07-21)
運命 |||||||||||||
予定運命といったところの話でしょうか。
森見さんの文体は面白いのですが、
この本に入っている4つのお話はちょっとずつ違ってはいるものの、
最初の件などは同じで正直3章目の話では飽きてしまいます。

どれも全部面白いと言えば面白いのですが、最初の話を読み、次の章の読んでいくと
先が見えてしまいます。

他の森見さんの作品のように期待して読むと、
ハードカバーの値段では少し損した気分になるかもしれません。

文庫本になるのを待ったほうがいいかもしれません。 (メメントモリ/2007-03-15)
読んだ時間返してください |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
『太陽の塔』を読んで面白かったから読もうかと迷っている人。
私のそのくちで読み、後悔しました。
『太陽の塔』の凝縮された面白さはないです。
むしろ、同じネタを何回も読まされ、そのネタふりが甘い。
読むために費やした時間が悔しい作品。 (naonao-703/2005-02-27)
4編からなる物語。
第1話を読んだ後、第2話を読み出すと、
「???」これって?
思わず何かの間違い?と思うほどでした。
その先を読むと分かりましたが・・・。

ある大学生が選んだとあるサークル。
4つ気になったサークルがあり、
選択肢は当然4つ。
そのどれかを選ぶことで彼の大学生活がどう変わっていったのか?
昔テレビでやってた「if・・・」という番組を思い出しました。

彼の場合どの選択肢をとっても 
結局は同じような運命になってしまったわけで・・・。
何とも辛いなぁ〜。
物語自体は非常に面白かったんですけどね。

こういうのもありかな、と。

文章は森見さん独特の文章で
読みにくいと思う人にはものすごく読みにくい文章です。
好き嫌いが分かれるかもしれないです。
しかも4作とも同じような展開で
飽きる人も多いかな、と。

自分はその物語の微妙な違いを楽しむことができましたが、
第4話は特にお薦め。
四畳半である自分の部屋がドアを開けても開けても
自分の四畳半から出ることはできない。
でも、少しずつ部屋の様子は変わっていって・・・。
財布の中身の部分を読んで
そうなるんだったら自分も同じ経験がしたい!と思ってしまいました。
(なおっち/2007-08-14)
もう少し・・・面白く、分かりやすい話を書いてくれると有りがたいです ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
私はちょっと、文章の中に嫌味を感じました。
苦手なタイプの作家さんなんで
楽しめなかったです。
ごめんなさい (/2005-10-04)
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四畳半神話大系 (角川文庫)
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角川書店(2008-03-25)
森見 登美彦
売上順位:7909
¥ 700(中古:¥ 135)

レビュー総評点:67
1話目を読んだ時点では、
特に面白くもなく、つまらなくもない話だと思ってました。

2話目を読んでいる途中から、
繰り返される回りくどい表現に引き込まれ、
3話目を読む頃には、もう止まりませんでした。

そして、全てをまとめあげる4話目。圧巻でした。

何よりすごいのは、ここまでの興奮を味わっておきながら、
同時になにか汚いものに触れてしまったような気分になること。

登場人物が誰一人尊敬できないし、
起こる事件は心の底からくだらないのです(笑)

でも、(残念ながら)それが親近感にも通じるわけで、感情移入を誘います。
最高の1冊でした。 (junya.i/2008-12-03)
帯に青春コメディとあったので、私好みではないと思っていましたが、なかみ検索を読んでいたら続きが気になって買ってしまいました。
読み始めたら面白くてとまらなくなりました。
いや〜すごいな。よく考えてあるし、計算されている。
青春コメディという言葉からはとても予測できなかった展開。
馬鹿っぽくみえて実はかなり奥深い。
森見さんってすごいなって感服してしまいました。
文体も賛否両論あるみたいですが、私は大好きです。
出町ふたばの豆餅は遠くて買いにいけませんが、カステラは食べたくなって買ってしまいました。
例え一話目で、読みずらいな〜と感じても、一度慣れてしまえば引き込まれて、もっともっと読みたくなります。
読み終えてしまうとなんだかさびしくなり、普通の文章では物足りなくてさらなる森見作品を求めてさまよいでてしまいました。
この本に出会えて本当によかったです。 (みけの たまこ/2008-07-15)
同じ主人公と同じ四畳半の下宿と同じモチーフで四つの話。
森見氏の本を読むのは四作目で、ずいぶん作品世界に馴れたところで、
今度も男汁たっぶりの貧乏学生生活堪能しました。
一番気に入ったのはやはり奇想天外を通り越して、
シュールともいえる、四つ目のエピソードでした。
マンネリ一歩手前で最後の小さなどんでん返しが気持ち良かった。
忌まわしい存在のはずの小津が可愛らしく思えてくるから不思議。 (朱里九/2009-01-16)
のだが、そうした見栄えの良い形容が似合わないところが魅力なんである。無駄に多くを語らない、という美徳があるとすれば、これは斯様な美徳に真っ向からお尻を向けている。フリフリしているかもしれない。見る人の視点によっては、そのお尻は大変にキタナイものかもしれない。しかしまた別の視点から眺めると、そうして世に向け放たれたお尻達は、珍妙ながらたいそう愛しくも映るのだ。

本作は4つの章から成っている。描かれる世界はある意味とても小さい。そしてそこに意味がある。4話を通して読むと、最後にそのことが実に自然にふはふはと浮かび上がってくる。ほとんど悪ノリの態で紡がれる言葉に立ち向かう術はない。読めば呑まれる。無用の長物こそを武器に選び出すような、どうしようもない阿呆さと愛しさは、その人物造形や世界観と共に通底した魅力となって、ぐるぐると活発に、半ば無駄に動き回っている。

舞台設定は『太陽の塔』に近しい。だけどここには、前作には無かったような一つの仕掛けが用意されている。その仕掛けが分からないぶん、第2章あたりで一瞬躓く。現に自分も「なんたる怠慢!」「これでは体の良いコピー&ペースト地獄ではないか!」と憤りかけたりもした。しかし、その作りこそが肝だったのだね。

可能性ではなく、不可能性の認識から振り返り見た世界。その鮮やかな感触を最後にふわりと描き出した本作は、私的には稀に見る傑作。巻末解説は同じく大好きな作家/佐藤哲也氏が書いている。森見作品が好きな人は、一度佐藤氏の諸作も読んでみると面白いかもしれない。 (あかちゃん/2008-05-19)
文句なし! |||||||||||||||||
文句なしの星5つ。
森見登美彦にしか書けないであろう、アホさといい軽快さといい。
舞台が回る回る。それにつられて喋り捲る登場人物たち。
パラレルワールドというのだろうか、有ったかもしれない過去の選択。しかし、どの選択肢の先にも…
緻密なアホさ、精密な無駄、大迫力の空振り、広大な京都で、絶大な馬鹿達を引っさげて、主人公の青春群像が咲き乱れる。
行き着く先は大円満か異次元か。京都の魔物、森見登美彦の真骨頂。 (SOo/2008-04-11)
IF ||||
誰でもそうなのかもしれないが、人生において“もし”ってのが出来たらなんと楽しいのだろうか・・・

“if”

たった一つの選択肢が大きく自分の人生を狂わせていく

自分でも思うんだが、人生にリセットボタンがあったら何処からやり直すだろうか??
どこからやり直しても、根本的にはやはり変わらないんだろうな〜

この小説のように一つの選択肢で変わってくる世界はあるかもしれない。
でも、やっぱり自分は自分だし大きくは変わってこないってのが、改めて感じられてしまう。

やっぱり人生は小説のようにはいかないな〜。
まぁ、だから面白いんだろうけどね

って、そんな話。 (ブックジャンキー/2008-08-19)
同じ題材やキャラクターを用いて、四つの話が平行して繰り広げられる。
太陽の塔さながらのユーモラスで軽快な語り口調は健在です。
各話で同じ文章が何度も繰り返し出てくるのですが、
不思議と飽きることなく、洗練されていて心地良い気分にさせてくれます。
そして主人公である私を取り巻く小津や明石さんや樋口師匠といった
一癖も二癖もあるキャラクターが魅力的です。

賛否分かれる作品ではありますが、
僕にとっては手放すことの出来ない貴重な一冊です。 (我利/2008-05-16)
登場人物の博識さ、いもかわいさ、人にかわいい迷惑をかけるためにとてつもない策略を練るところが、実際に京大にいいている幼馴染にそっくりだ。いやこんな人もいるのだな。この作者の本を読んで、いつも思うのだが、東京で就職や将来のためにカツカツと勉強し、人脈作りをする以外に、伝統のある京都の街でいろんな空想にふける大学生活を送る選択肢もあったんだなと感じる。 (MJ/2008-12-06)
運命論 |||||
最終章のみ、パラレルワードを扱っているので、SFなのかもしれませんが、他章は主人公の懊悩する青春が可笑しく描かれています。
『太陽の搭』でも思ったのだが、解説が良い。
人生には無限の可能性があると思いがちなのですが、実は自分の不可能性に大きく制約を受けるという但し書きがあるということを本書を読んでいて実感しました。
作者はパラレルワードを描きながら、実のところ運命論をを説いているように思えました。 (コークス萌太/2008-06-11)
05年01月刊行の単行本を文庫化,4編の短編集になります.

主人公で大学生である『私』が4つのサークルに興味を惹かれ,
4編で4つ,それぞれに入っていた場合の日常が描かれています.

これが,ただの『もしも…?』でおわらないのがおもしろく,
同じ人やアイテムでも,編が違えば別の経緯や役割があるなど,
微妙に大胆に交わりつつも,繋がりのない別物語になっています.
また,舞台となる京都や和の香りがするファンタジも大きな魅力で,
デジャヴュを見るかのような不思議な感覚に引き込まれてしまいます.

はじまりやおわり,ほかのいくつかに同じ文章や表現があるのも,
手抜きなどではなく,この世界観を描くための演出と思えば納得で,
ひねりの効いた最終話では,ラストにもニヤリとさせられるはずです.

主人公の偏屈で小むずかしい物言いや,たくましすぎる妄想など,
全編を通じたクセのある言葉まわしは好みがわかれるところですが,
これがこの作品の楽しさのひとつで,おかしな掛け合いにもなるので,
はまれればよいものの,そうでない人にはとことんダメだと思います….

なお,巻末の記載によれば,単行本からの加筆・修正があるとのことです. (ポロロッカ/2008-04-10)
京都を舞台に、大学生の怠惰でエキセントリックな日常が描かれる一冊。

主人公の最初の選択によって4つの平行世界が分岐して現れ、その物語が順々に描かれる、という構成になっている。
とはいえ、それぞれの話でまったく同じ出来事が起こったり(その際は、文章すら一字一句同じだったりする)、あるいは経緯はまったく違うのに同じ結果に落ち着いたりと、結果的にはまぁ大体同じようなことになる。
というと、なんだか同じ話ばかり読まされて飽きそうな気がするが、決してそんなことはない。
綿密に構成されたストーリーとネタが一体となった、極上のエンターテインメント小説に仕上がっている。

しかも、少々毛色の違う4つめの物語のバカバカしくも圧倒的なラストは、ちょっと感動的だ。
ゆるい作品のはずなのに、なぜか最後は感動してしまうというのは、同著者の『太陽の塔』と同様。
著者の筆力を何よりも物語っている。

本書の読後感は、村上春樹の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』と似ている気がする。
どちらの作品が優れているかなんて比べることはできないが、『世界の終わり』になくて『四畳半』にあるものは「笑い」だろう。
というわけで、村上作品と「笑い」が好きな人には、必ず面白く読んでもらえる作品かと。 (チャックモール/2008-04-07)
「太陽の塔」のような、まぁ鬱々としていて理屈じみてて男くさい大学生が主人公なんですが、いやぁ爽快な小説でした。

4つの選択肢をそれぞれ選んだ場合の4話から構成されていて、しかし細部は違えど大きな流れは変わらない、つまり人は無限の可能性をもつのではなく、不可能性に縛られているのだ...なんて難しいことを考えなくても、その4話を繋ぐアイデア、主人公の陰鬱ながらエスプリの効いた皮肉とユーモアたっぷりな思考、ヒロインの愛らしさ、悪友の跳梁跋扈ぶり、それらすべての要素が相まって、単純な娯楽小説として読んでもすごく面白い本です。

太陽の塔は面白かったけど、主人公がストーカーというかなり追い込まれた立場であったのに対し、本柵の主人公はダメ学生なれどまだそこまで堕ちていないので、読みやすいですしね。 (smokeymonkey/2009-06-25)
これぞ森見登美彦って感じの作品。
太陽の塔と設定が似ています。
そして小津のキャラがいい。四畳半ラビリンスの馬鹿馬鹿しさも好き。
ただ話が長くなった分、キレがない。
4話のリンクも、さすがだと感じる反面、
長くなったことで面白さが薄まってしまった感じがする。
(有頂天家族のときも感じたことですが)
森見さんは短めの作品のほうが面白いと思う。 (もんじゃ/2009-05-25)
このサークルを選んでいたらこの未来、あのサークルを選んでいたらこの未来、という感じのパラレルワールドになってます。
冒頭が全く同じなので、手抜きチックにも見えなくありませんw
どれを読んでも屋台のラーメンが食べたくなります!

最終話を読むと、大量の蛾の正体がわかるのですが、なんとも言えない癖のある味があります。

作中、気難しい古書店の親父がヒロインの明石さんに出会った時、彼女をかぐや姫に例えてますね。

『かぐや姫を見かけた竹取の翁のごとき、めろめろの有り様になった。』

『とけたマシュマロのごときめろめろぶり』

で、森見さんはめでたくご結婚されたわけですが、ブログでの報告に、登美彦氏、かぐや姫をむかえるって書いてあるんですよ(*'m`*)むほほ
めろめろなんですね♪
末永くお幸せにvV (吉右ヱ門/2009-03-27)
下賀茂泉川町をストリートビューで訪ねてみた。
お屋敷が多いが中には幽水荘らしき、建物も。

猫ラーメンもひょっとしたら存在するのかも??
今度探しに行ってみよう。 (momokichi/2009-02-10)
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鴨川ホルモー
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ASIN:4916199820
産業編集センター(2006-04)
万城目 学
売上順位:8876
¥ 1,260(中古:¥ 288)

レビュー総評点:122
橙色のリュックサック |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
表紙を見ただけでも、うふふと笑ってしまう。京都在住経験者には、どこの景色が一目で知れることだろう。京大出身の作者による、京大生を主人公とする、京都が舞台の物語。
葵祭のバイトに始まり、祇園祭を経て、気づけば吉田神社で奉納舞。十人の大学生が集められて挑まされるのは、大学対抗のある競技。対戦するは、京大青竜会、京産大玄武組、立命館白虎隊、龍大フェニックスの4チーム。野球でもなければ、ラグビーでもない。さて、ホルモーとはなんぞや?
ホルモーがなにゆえ始まり、続くのか? 主人公達は謎の起源に迫るのでもなく、謎の解体を図るのでもない。巻き込まれて、盛り上がる。訳がわからなくても、わからないままに、続いていくもの。ホルモー自体が一つのお祭りのようなものである。伝統は続けることに意義がある、的な。
奇想天外な設定に、片思いの繊細な男心の描写、リアルな生活感。妙な迫力と勢いにのまれて一気に読んだ。深くは考えないで、世界を楽しむのがお勧め。
学生気分に戻りつつ、笑いながら楽しんだ末、読後に颯爽と香るは、春の青々しい楠の匂いだった。 (香桑/2007-03-08)
大学生らしい! ||||||||||||||||
何ともあほっぽい大学生らしさがにじみ出てます。
まず、題がずるい。
アマゾンでおすすめされて、ふーんと思っていたのに
ホルモーって響きが頭の中に住み着いてしまったので、思わず読んじゃったじゃないですか。

陰陽道なんかは出てくるけど
全体的にのんびりした話なので
「妖怪アパートの幽雅な日常」が好きな人には特にお勧め。
軽ーいし読みやすいですよ。 (りりれい/2006-10-09)
おそらくこの著者はスロースターターなのでしょう。前半は京都の歴史とかタイトルにある「ホルモー」の説明に終始して、少し退屈な印象を受けました。私は京都に住んだ経験があったので前半も面白く感じられる部分も多かったのですが…。

でも後半から面白くなってきます。というか急に勢いが出てくるのです。「青春」、「恋愛」、「友情」、「笑い」読んでいて心地よいキーワードが巧みに編みこまれていき、最後は綺麗にまとまります。読後感は爽快そのものでした。

でも間違っても感動を求めてはいけません。タイトルや表紙から想像できるようにこれは純粋な娯楽作品です。ハリウッドのB級映画を観る様な寛大な気持ちで読むことをお勧めします(笑) (スナフキン/2006-10-02)
擬似学生体験 ||||||||||||||||||
よくも悪くも京大色いっぱいの小説です。
ファッション感ゼロの帰国子女という友人や増上慢の法学部男の設定がいかにもで,きっと吉田のキャンパスはこんな雰囲気なのだろうなと楽しみながら読みました。
京都+学生+青春を期待して読む人は楽しめて,
京都+式神+対決 を期待するとその薄さに物足りなさをおぼえるでしょう。

もう少し流れの調節がうまかったら充足した読後感がえられたのでしょうが,話の展開が序破急でいうと序序序序序急という感じで,ちょっと唐突で小説としてはもうちょっと手入れがいるかなと感じました。
でも,個人的な感想では,18才で吉田キャンパスに受験に行って,学生生活はおくれなかった身なので,もしもを想像してとっても楽しい擬似学生体験でした。 (kokodokodoko/2006-10-10)
ホルモーについては、そうなんのか〜ぐらい。
出てくる「小さいやつら」(詳しくは書かない)との
触れ合いがもっとあると感動できたかも。
あの踊りは、歌を知っているので、笑えた。

主人公のキャラや登場人物との触れ合いもそこそこ。
凡ちゃんはいいと思う。
でも、ちょいありきたりかな・・。性格設定もよくある設定。
だから途中でどうなるか、推測できてしまった。

後半は、尻切れトンボ的でまとめた感がある。
もう少し、その後も欲しかった。
恋愛話とか敵対する人間との関係とか。深くはない。
だから、めちゃくちゃ感動はない。

このホルモーと人間設定の2つがある意味バランスが取れているけど
その分、深みはあまりない話。
めちゃくちゃホルモーというものを掘り下げている訳でもないし、人物設定もそれほどでもない。無理に難しい熟語も出てくる。京大生だからか・・。
内容も学生ぽっい感じ。読みやすいとはいえない。
ここまで京都にするなら誰かを京都弁にしてほしかったな・・。
するともっと京都だっだろうに。

深く考えず「鴨川ホルモー」という出来事とは
一体全体どんな話なのか?を知りたいだけなら
楽しく読めると思う。
ある出来事の話だ。これはこれだけでいいのかもしれない。

話は、骨組みは良くできているから
映像にしたら、娯楽としてなお楽しめるような作品だとは思う。
(ムーズ/2008-09-27)
最高にバカバカしく、読んでるうちに“そこはかとない”可笑しさがこみ上げる娯楽小説!

式神(小鬼)を統率して行う対抗戦『ホルモー』の500代目を背負わされた京大生。
先輩から伝授される、伝統と称した いかにも意味ありげな儀式や作法が大爆笑!!
代替わりの儀式で、代々歌い継がれている曲は、超有名な「昔なつかしのCMソング」。
式神(小鬼)を操るために、半年以上かけて覚えさせられる鬼語は、
「ぐああいっぎうえぇ」といった嘔吐(えず)くような発音のものばかり。(笑)

意味もなく、根拠もなく、品もない・・・でも長年続けたがゆえに“重みある伝統”に。
これが、いかにも学生っぽくて微笑ましい。
大学時代って、社会の得にもならない&害にもならないバカバカしいことを、
“本気でやる”ためにある時間なんだ・・・とあらためて感じました。

それにしてもこの本は可笑しい!!後からこみ上げる具合が他に類のない一冊です。

(かおり&やすらぎ/2007-07-23)
 冗談というのは、大真面目な口調で言った方が面白い。爆笑はしなかったが、4箇所で思わず「ぐふふ」と笑ってしまった。サムシングって表現とか、チョンマゲのくだりとか。
 縦軸のストーリーは、大学のサークルを舞台にした単純な大学生の片思いの交錯である。しかし、このサークルが思わせぶり。京都大学青龍会?しかもホルモーって何?たいした中身がなかったら勘弁しないぞっ(学生小説ってそういうのが多いから…)て息巻いていると、ナカナカどうして。古都京都の深遠さをうかがわせる大仕掛けが次第に明らかになる。
 楽しませてもらいました。 (ドクトルg/2007-03-22)
読み始めて数ページで、主人公が気に入ってしまいました。
こんなことあんまりないことなので、一気に読んでしまいました。
もちろん中身も最後までおもしろいです。
特に今まで京都に住んだことのある人には、さらにお勧め。
もちろん京都なんて修学旅行で行っただけって人にもお勧めです。 (みずの/2007-12-17)
参加したい! ||||||||||||
「ホルモー」って何のこと?と思いながら読みました。しかし、いつの間にか、その言葉の意味なんてどうでもよくなり、というか気にしなくなっている自分がいました。「青春」、「恋愛」、「友情」、「笑い」などなど読んでいて心地よいキーワードが編みこまれていて純粋に楽しめる作品でした。私も「匂い」を放つものになりたいと思わずにいられません。 (フロウ/2006-08-03)
面白いけど課題も見える作品 ||||||||||||||||||||||||||||||
説明してしまうと「ホルモー」とは、
大学生のグループが人間の言葉ではない奇怪な言葉で、
その言葉を習得した者にしか見ることのできない式神のような鬼のようなモノを操り、
他の大学のグループと対戦していくゲームのこと。

次々と判明していくホルモーの真実に飲み込まれていく学生たちの苦悩には笑えるし、
勝負の終了を意味する絶叫のシーンは想像するだけで噴き出してしまいそう。
面白いのよ、でもなぜか完璧にはノレない。
おそらく内容はそのままに、
削る部分は削り、加筆する部分は加筆する。
この作業がもっと必要なのかも。

ホルモーそのものではなく、
学生たちの人間関係にスポットの重きを当てているのもどうなのか・・・。
この競技の奇怪さ、くだらなさをもっと丁寧に描いてくれればなぁ。
もっと手に汗握る感じがほしいっ!

さらに、この人の不幸は同世代の作家に森見登美彦がいたことにもある。
京都を舞台に、京大生たちの奇想天外な物語を描くという点でどうしても比べてしまう。
その結果やはり森見ほどのセンスはなく、
京都という地の持つ味を生かし切れていないのをはっきりと感じる。
森見との違いをはっきりとさせ、どんな方向へ変換していくかがこの人の今後の鍵。
今後も追いかけてみたい作家ではありますね。 (夢追い虫/2007-10-02)
「夜は短し歩けよ乙女」京都の学生つながりで読み始めました。
興奮度は"乙女"の方に軍配。
しかしながら、通勤電車で読みふけっていて
乗り換えホームを間違えたり
折り返し電車に乗ってるのにそのまま元の駅に折り返しちゃったり
集中度は"ホルモー"に軍配。

"ホルモー"はストーリーもなんとなく想像でき
サラサラした読み味で胸躍る感じはあまりなかったけど
何故か読みふけってしまう本でした。

私が京都の学生だったら、間違いなく勧誘され
間違いなく大活躍したんじゃないか
っと内心実はウズウズしていたのかもしれません。 (siesta703/2008-04-10)
最初から最後まで一気に読んでしまい、かなり楽しませてもらいましたが、まだまだ発展しそうな作者さんの今後に期待という意味で、星は4つにとどめておきます。
同じく京大出身の若手作家、森見登美彦さんの小説を読んでも感じることですが、日常の延長線上にファンタジーを成立させる上で、京都は素晴らしい舞台ですね。
私のように近畿圏で生活した経験がなく、京都には旅行で数回行った程度の読者にも、鴨川沿いの情景がありありと目に浮かび、この地で大学生活を送るのは楽しそうだな、と思ってしまいます。

ストーリーの大筋は、京大に入学した主人公の、友情あり、暴走気味な恋愛あり、些細な理由による確執ありの、極めてオーソドックスな大学青春ものです。
作中で主人公たちがサークル活動として挑戦し、本の表題にもなっている、魔術系対戦競技「ホルモー」に関しては、王道青春小説に変化をつけるためのスパイス程度と考えた方がいいでしょう。
鬼を使役するための鬼語の存在や、競技ルール、合戦の様子など、一通りの説明はあります。
しかし、主人公たちが半年かけて鬼語を習得しようと悪戦苦闘する様子や、スガ先輩以外の9人の上回生、そして京大以外の三団体に所属する60人のライバル部員たちの動向などは、ほとんど省略されてしまっています。
そのため、架空のサークル活動を軸とした物語にしては、ファンタジー要素の設定構築と、ディテール描写がいささか不足しているような印象を私は受けました。
料理の仕方次第では、シリーズ化も十分可能では、と思わせる材料が揃っていただけに、一冊で完結できるようコンパクトに纏めてしまった作者万城目さんの手腕が、読者としては少し悔しいかも(笑)。
(平隊士/2007-03-30)
技術向上に期待 ||||||||||||||||
話自体は面白い。プロットは相当面白いのだと思う。
けれどいかんせん文章が下手すぎる……。
特に会話文がひどく、いちいち現実世界に引き戻されて、素直に本の世界に入り込むことができない。
今後の作品には期待しますが、この作品はオススメしません。
この雰囲気の本をお探しの人は森見登美彦を読んでみてはいかがでしょう。
(逆の場合は当てはまりませんが、、、) (紺之介/2007-11-17)
最近、テレビドラマで『鹿男あをによし』ってやってるみたいですが、それの原作者が、この本の作者。

京都が舞台な点、ダメ学生が主役な点、作者が京大卒な点、作風がファンタジーチック(?)な点など、森見登美彦と比較しちゃいます。
私は万城目氏の方を好きです。語彙が自然に豊富で、ところどころにあるクスグリも、こっちのほうがツボです。

ストーリーは、「ホルモー」という非現実的な競技(京都産業大、立命館、龍谷、京大が対戦)に、学生たちがふとした拍子に携わることになり、だんだんと打ち込んでいく。それだけといえばそれだけ。
なんですが、何のために日々生きてくのか疑問に感じたり、それでも何かに打ち込んでみることがあったり、淡い恋があったり、そんなことを友人と話し合ってみたり、どこの若者にもありそうな風景が描かれます。
懐かしさを覚えるのは、学生時代に京都にいた人だけでないはずだと思います。

主人公の友人(入学まもない1回生)いわく
「僕たちがこの長い学生生活でこれから戦い続けなければならないものは、間違いなく虚無だ。いや、それは大学だけではなく、社会に出てからも、絶えず僕たちを苛むはずだ」(p.88)
それでも彼らは、ホルモーや恋などのいろいろな経験をしていく。―それは必ずしも意図してやったことでなく、目的に疑問を持ってやってたり、ただ偶然やってることだったりする―
そんな、一見無駄にしかみえない生活が、これはこれで学生生活謳歌してるかも的な、充足感をもたらしたりして。結局無駄なのかもしれないのですが。。
あーくすぐったい。青春小説。 (K内/2008-02-10)
やたら登場する細かい地名、情けない京大生男子、奇妙なサークル、
更に、もってまわった大仰な語り口から、森見登美彦のマガイモノのような
印象を抱きながら読み出しました。(しかも森見さんほど巧くない)

次第にそうした印象は薄れ、スピーディかつファンタジックに、
またある意味では予定調和的に盛り上がって行った後半は非常に楽しめました。
舞台の中心には非現実的なものの存在が跳ね回っているにもかかわらず、
主人公を含めたそれぞれの人物像や人間関係が「ああ、あるよなぁ」と
頷けるものだったし、「ホルモー」のシーンもなかなか見応えがあります。

さらっと読める作品なので一読の価値はあると思います。 (ムジマ/2007-08-20)
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太陽の塔
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新潮社(2003-12-19)
森見 登美彦
売上順位:13020
¥ 1,365(中古:¥ 68)

レビュー総評点:241
久々に毎日本を読む時間を作ろうと、努力して仕事を早く終える日が続きました。(といっても3日ですけど。)読み終えてしまった時は寂しかったです。昔、京大にいたせいか、まわりがこんな人だらけだったことをしみじみ思い出し、同時に彼らの精神構造をやっと少し理解できたように思いました。エリートと一般には思われているようですが、実際の京大生(特に男子)は、この本にあるとおり恐ろしいほど不器用で、またなぜか異常なまでに女子を大切にしがちです。こういうごつごつした生き方をしている若者は現在もいるんだな・・とほっとしました。京都という町の妖しさもよく描かれていると思いました。それにしても疑問なのは、彼らの「女子」という集団に対する崇拝ぶりを見ていると、はたして個人に対しての愛情もちゃんとあるのか?という点です・・。水尾さんの孤独はそこにあったのではないでしょうか。ともあれ、爆笑し、ラストは泣けた作品です。次作、次々作が楽しみです!! (くらーくはうす/2005-04-24)
この本を読みながら、学生時代に(今でもするが)、妄想するという行為は僕ひとりではないと思って朗笑した。主人公とその悪友たち、自分たち自身を過信してしまうのは若かりし時は特権だろう。妄想が妄想を呼び、飛び切りユーモラスな自分ワールドが広がっていく。この面白さ!!妄想だけではなく、作者のキレのある表現がこの本の魅力を最大限に引き出したのだと思う。 
文中の箴言抄
・考えてみれば、世間は生まれる時代をまちがった人間でいっぱいである。
・我々の日常の九十%は頭の中で起こっている。
・できるだけ彼らが不幸になることを、彼は祈った。「みんなが不幸になれば、僕は相対的に幸せになる」
この本は日本ファンタジーノベル大賞受賞作である。妄想という行為は確かにファンタジーだと気づかせてくれた。Fantastic! (ショウジロウ/2004-09-28)
地元民ならずとも、大いに楽しめる一冊だと思う。実際の場所を指して描写されているのかと思いきや、果たして主人公の妄想の中での地図なのか、あやふやなところがいい味出してる。
まさにファンタジー。いつの間にかリアリズムの中で読んでしまっている所に、ズバリと展開を刺してくるテンポが気持ちよい。
題名の「太陽の塔」に由来する主人公のセンチメンタルな情語は、とても共感するものがある。「男って馬鹿よねぇー」の一言で終わらされそうなところもまた、良い。買ってよかった! (北白川の人/2005-01-18)


この本の特徴を一言で言うと「文体」である。世界の思想を語るよ
うな壮大な単語を駆使し、日常生活の機微を自身と自負に満ちた言
い切りの文章で切れ味よく写し取っていく。


そこで語られる内容は、男ばかりのむさくるしいばかりの生活であ
り、汗臭さでむせかえるようだ。たとえば徹夜で飲んだ次の日の記
述は圧巻である。ねっとりとした臭気を肌で感じさせる。飲んだ次
の日の倦怠感と自己嫌悪的な重苦しさをべたべたと背負いつつ自分
のねぐらに帰り、再度眠りにつくのだろう。


水尾さんに袖にされた主人公森本は恋愛とはいまや無縁で「水尾さ
ん研究」にいそしむ京大5回生。気宇壮大天上天下唯我独尊な内面
と、瑣末な日常生活に一喜一憂し埋没しがちな実寸大の自分とのギャッ
プが、諧謔的な笑いを誘う。


そう、この小説は笑えるのだ。背伸びをし虚勢を張っている主人公
の内面の理屈は、首尾一貫しているように見えながら実は融通無碍
であり基本的に「すべて彼らが間違っている。なぜなら私たちは正
しいからだ。」という「真理」から「論理的」に導かれるため、完
全無欠なのだ。この真面目くさった屁理屈がだんだんと笑いを誘う。


笑いも誘うが、またさらに恥ずかしい気持ちを思い出す。誰しもそ
の頃は自分が中心であり自分の理屈があり、それを振り回していた。
そのときの自分をまざまざと思い起こし、直面しなくてはならない。
そして独り赤面してしまうのだ。


この小説は体臭が濃くなるようなものではあるが、確かに青春小説
なのである。 (obachannel/2004-03-01)
妄想もファンタジーなんです。

だからいいんです、コレもアリなんです。
ばかばかしすぎて大好き。
こういうのが出てくるから、この賞好きだよ。 (ワンコ/2006-04-11)
 評判だったので読んでみた。面白かった。この文体と主人公の思考のアルゴリズム、とても他人とは思えない。私も意図せず妄想が自然発酵し、耳の穴あたりから芳香を漂わす体質だが、やはり、主人公あたりの年頃がそのピークだったように思える。決定的な学力不足により、酒粕の匂い漂う町に住みながら東大阪で超妄想時代を過ごしたが、レベルの違いはあれ、本質的ににたような状態だった気がする。さすがに今時は、レンタルビデオ屋で裏アイドルの新作チェックがルーチンワークらしいが、我らの頃は、特定書店(主に古本屋)でのビニ本漁りといったところか。当時、京都でビニ本といえば、やはりあのあたりになるのだろうか。表紙(パッケージ)の情報で内容の推測をしなければならないのは、時代を超えて同様のようだ。星5つ。 (shige_u/2004-05-16)
社会人には大学時代を思い出して懐かしくなる代物。
世間から持たれる京大生としての特権もなく、男同士で<男汁>などというグループに身を委ね、愛車は自転車(名前付き)で、時間は有るがもちろん金はない。その分、世間に染まったりしてない純粋であるが故の滑稽さ。
世間の恋愛至上主義を怒りながらも、彼女を求める気持ち。
社会に拘束されていない大学生が紡ぎだす時間。
第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞作品ですが、その受賞の内容は実際に読んで堪能すべき! (naonao-703/2004-05-11)
いわゆる「童貞」ジャンルの映画や漫画(吉田秋生とか)
そして小説(みうらじゅん、原田宗典とか)って、
実は結構たくさんあると思うんですが、
この「太陽の党」は著者の膨大な知識と知性、そしてユーモアによって、
一線を画す作品になっています!

 実際のところ、主人公の「わたし」が童貞かどうかは分からないのですが、
膨れ上がる欲望を女の子にぶつけることも出来ず、
男同士でひたすら妄想を弄ぶ。
そして世の幸福な男女へひたすら悪態をつき続けるその様は、
まさに「童貞スピリット」。痛々し過ぎて、愛しくさえなってくるんです。
男性のみならず、女性も共感できるのではないでしょうか?

 これといった起承転結のストーリーもないし、
ファンタジーノベル大賞受賞のわりにさしてファンタジーでも無いのですが、
その語り口の軽妙さが最後まで読み手を引っ張っていってくれるでしょう。

できれば「夜は短し歩けよ乙女」を読む前に読んでおいて頂きたいですね☆

 森見登見彦さん、今一番注目している作家の一人です。 (moripu/2007-03-22)
どんよりした日常が |||||||||||||||||||||||
埒のあかない京大生男子のどんよりした日常が活写された前半は笑いっぱなし。この描写だけでも作者の実力のほどがうかがわれます。ファンタジーノベル大賞といいながら、どちらかというとこっちのほうがメインのような気がします。 (カスタマー/2005-11-25)
京大生必読! |||||||||||||
ばかばかしい、男臭い、むさ苦しい・・・そんな批評がこの作品には褒め言葉になってしまう。本にも書いてあるんだけれど、本当に「読了したあかつきには、体臭が人一倍濃くなっているだろう」、まさにそんな作品でした。でも、その男臭さが女の私にもまったく不快に感じられない不思議・・・。
京都大学の男子学生・森本が主人公。森本は自分を振った後輩の女の子をつけまわすことを日常としている。彼と友人たちはカップルを憎悪し、クリスマスを呪う「イケてない」大学生(というか、全員変人)。そんなかれらの異常な青春小説(さわやかな汗の似合う青春ではないが)です。
おもしろいのはストーリーより表現力・言葉の選び方。
登場人物たちに難しい言葉をあえて使わせることによって彼らの変態はぐ~っと増しています。どの登場人物も個性的で、変人。キャラクター設定がまるでアニメか映画のよう。この辺が若い男性のデビュー作らしい!
舞台が京大なので、京大の学生さんにはぜひ読んでほしいですね。
京都の土地勘がある人にもおすすめです。 (夢追い虫/2004-08-02)
修学旅行でしか知らない「古都京都」だが、ここに描かれている京都は狭くて、寒くて、へんてこな世界。
京都に土地鑑がないのが残念。
知っていればもっと楽しめそう。
一気に二度、読みました。
展開のよさ、スピード感、若さゆえのばかばかしさがあってすごく楽しめる小説。
それにしても、頭がよすぎるのも考えものだなー。
一般人が感じえないものごとも、よりいっそう深みにはまって考えてしまう精神構造が笑えるのだ。 (カズキョン/2004-04-27)
まとめてしまえば、モテない男子学生の
ルサンチマンたっぷりの妄想ストーカー記録、となろうが
強がっている部分がすべてキュートで、読後、
全キャラクターがどうしても憎めなくなる手腕(?)は限りなく高度。

『夜は短し歩けよ乙女』に比し、
祝祭的な雰囲気には欠けるが
その分、内に籠もる悶々としたエネルギーは
誰をも唖然とさせてしまうどうしようもなさと
滑稽さとに満ち満ちている。

さまざまな小説・映画からの影響は
賛否両論分かれるところであろうが
これだけ圧倒的な内面描写を見せつけられると
それだけで高く評価してもいい。 (アジアの息吹/2007-10-10)
格調高い文章で、しょうもない内容をつらつらと・・・もてない男どもが。
ファンタジックな妄想振りが好きです。特に、ゴキブリキューブのくだりは
最高です!情けなくて泣きました・・・。影山徹さんの挿画もよいです。 (カブトムシ8/2004-01-23)
たぶん残る人 |||||||||||||
 うん、おもしろい。東京大学物語チックでおもしろい。ファンタジーじゃないという批判もあるようですが、この森美先生はファンタジーと純文学の七三わけみたいな作風の本を残していくと思います。
  
 純文学リーグにゃ、金原ひとみ先生、綿矢りさ先生、島本理生先生など若くして才気が迸る方々が多いのに対して、男は情けないにもほどがあります。内容以前に文章がまともに書けてないんですな。
 ベストセラーになった山田悠介氏の『リアル鬼ごっこ』に乱歩賞射止めた神山裕右氏の『カタコンベ』とか本当にヒドイ。エンターテイメント系は読みやすい文章が基本じゃないのか。それとも文壇の若い男をみんな舞城王太郎化してしまう計画が着々と進行中?
 そんなわけで覚悟を決めて、腹をくくって本書も拝読させてもらいましたが、今回は取り越し苦労に終わったみたいです。
 遠藤周作・庄司薫の系譜とか何とか本帯に書いてありましたが、うん、そんな感じです。あのビミョーに情けなく、滑稽で、コンプレックスと渾然一体のねじけたエリート意識(or羨望)がある作品。
 そんなわけで、たぶんきちんと本も読んでる人なんじゃないかなと思わせます。コンスタントに書き続ければ残っていける作家かなと思う次第です。 (吉泉きつね/2004-09-04)
このような狭空間に起きる非現実的であって実は現実的な日常を世界に知らしめてしまってもいいのですか?もし、エドガー賞まで獲ってしまったらどうします?一人でゴンドラに乗っていってしまう男も、ストーカーがストーカーに脅かされる街角も白日のもとに曝され、トラディショナルでアカデミークでビューティフルであったはずの京都は、ありえない現代の化石が集まる奇怪な空間に満ちた街に変貌してしまうのですよ。今後のご活躍に心から期待するものとして、この落とし前を、是非作者自身で、つけつづけていただきたいと思います。 (麻冷/2004-03-08)
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美女と竹林
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光文社(2008-08-21)
森見登美彦
売上順位:50026
¥ 1,680(中古:¥ 837)

レビュー総評点:20
健在です。 |||||||||||||||||
森見登美彦氏が友人と竹を刈る本です。といっても意味が分からないと思いますが、本当にそう言う本です。
読み進むにつれてだんだん竹だけで話を進めるのが難しくなってきて、
どうオチをつけたらいいのか収拾に困っているようなフンイキがたちこめてきます。
彼独特の語り口によるおもしろさは本作も健在なので、上記のような脱線ぷりをも含めて
笑おうという心構えで読む分にはオススメできます(作者は「無益だけど楽しい文章」と言っています)。
けっこうおもしろかったです。 (ブアカーオくん/2008-08-21)
虚実空想入り混じった随筆作品。
サラッと読めて、クスッと笑えて、サパッと面白い。
けど、森見登美彦による森見ファンのための一冊って感じかなぁ。

ただ、登美彦氏が竹林を切る!というお話。
切ろうとするが、持ち前のヘナチョコ魂を発揮してなかなか上手くいかなかったり。
詭弁を弄して竹林と美女を結び付けてみたり。
妄想を交えて竹林経営の未来を語ってみたり。

まぁ、そんな感じの本です。面白いですよ。

しかし、森見作品の入り口にはしないほうがいいかも。
森見ワールド未体験の方は、先に『太陽の塔』か『夜は短し歩けよ乙女』を読むことをオススメします。 (pablos/2008-09-04)
確かに私は、「きつねのはなし」のレビューで、「細かいことは考えずに思いっきり書いてください。」と書きました。しかし、・・・。「新釈 走れメロス 他四篇」は、発想の豊かさに驚きの連続でした。しかし、・・・。これは、・・・。この本は、・・・。エッセイとはいえあんまりです。DEEPなファンしかついていけないでしょう。置き去りにされた感、大です。読む人によって大きく評価が分かれる本だと思います。どうやって作品を作っているのか、参考になるところもありました。ですが、残念ながら、竹林に分け入ることは、かないませんでした。 (秀文/2008-09-18)
竹林。さやさやと、ざわざわと、海のような音に包まれる空間。
洛西では「竹林ではなく筍畑と呼べ!」と習い、子どもの乱入は厳しく禁止された聖なる空間であった。
そこに、降り立つ美女はいるのか!?

個人的に馴染み深い土地にて、お気に入りの作家が孟宗竹と妄想とに耽溺するエッセイっぽい文章。
純粋とエッセイと呼ぶのをためらうほど、小説のような色合いの強い文章だ。
力いっぱい阿呆なことを真面目にするところが楽しいのだが、『夜は短し歩けよ乙女』から『有頂天家族』にかけての小説を執筆している舞台裏の七転八倒もうかがえる。
作者の独特な文体と表現や内容の軽妙さが、むしろ小説よりも際立っており、文体のファンであり、作者のキャラのファンたる私には楽しかった。 (香桑/2008-09-11)
エッセイだよね?これ・・・
といいつつ内容はほとんど妄想小説になりつつある。
確かにエッセイらしくもあるけれど、
本当に竹を刈り行っているのか机上の妄想なのか・・・・
その不思議加減が妙に心地よく感じられるのが不思議だ。

竹林に対する登美彦氏の想い。
常人には理解できかねるんですけど・・・。

事実と妄想と入り混じりながら
最後の大団円へとたどり着く。
この阿呆さ加減が森見さんの素晴らしいところだと
再確認しつつ読み終えた。

あ、誰にでも理解できるものではない。
だけど、面白い。
無益だけど楽しい文章
森見さんが語るように、まさしくそんな文章でした。
途中途中「ぷっ」と噴出すところもあり、
さすがは森見さん、
そう感じずにはいられない作品でした。 (なおっち/2008-08-25)
私事で大変恐縮ですが、森見氏の本は2004年に処女作を読んだっきり、
いわゆる読まず嫌いでずっと手をつけず、今年2009年が明けてからやおら読みあさっています。
エッセイということでしたが、あまりエッセイという感じはしませんでした。
やはり本書も小説?と思って読みました。
これまで読んだ四冊の小説は、寄せ鍋の様に色々入っているところにさらに妖しげな調味料を盛り込んだみたいで、
いつも唖然とさせられていつも満腹になってしまいますが、
本書は本当に竹林と美女だけというか、はっきりいって竹林だけです。
たまにはシンプルなものもいいなと思いました。良い箸休めです。
でも、もし、本書から森見ワールドに入ろうとしておられる方がおられるなら、
そのお方には、本書を紐解くのを一寸待って小説のを存分に読んでからにすることをお薦めいたします。 (朱里九/2009-02-05)
コンセプトはいい。竹を刈るだけの話。
しかし、森見氏の作品をコヨナク愛する一読者としてあえて言うが、本作は物足りなかった。
プライベートと虚構を織り交ぜるエッセイであるが、前半ではプライベートらしい部分がそれなりに演出されており俗物根性的な欲求は満たされるし、それなりに笑いもある。しかし、後半は明白な虚構へとうつり、じゃぁ小説かといえばそうでもないという、開き直りのやけくそ的な文章が続いている。
きっと忙し過ぎるのだろう。 (憩庵/2008-11-29)
一応、エッセイの体裁を撮っているが
虚実入り交じった
良い意味でハチャメチャな内容。
こういうのも嫌いじゃない。
おそらく今後の人生には
なんの役にも立たないだろうけれど
無為に時間を過ごす休日には
最適な一冊かも。 (由良上野介/2008-11-26)
正直なところ「これはいったい何なのだ?」
というのが感想である。

本当に一度でも竹林に行って竹を刈ったのか。
それすらも疑いたくなる内容である。

まあ、基本的に「妄想」を描き続けている森見さんの
作品とひとつと思う方が正解だと思う。
帯にも「エッセイ」とはかかれておらず
「随筆集」となっている。

後半のMBC(モリミ・バンブー・カンパニー)の話なんぞはわけが分からない。
しかし、こんな話でも軌道エレベーターが出てくるほどメジャーな理論となったのが確認できたのが唯一の収穫だろうか?

どうせ駄目人間ぶりを書くのなら、三浦しおんさんのエッセイぐらい思いっきりよく書いてほしいものだ。 (ちょいん/2008-11-06)
森見ファンとして、いったいこの本をどう評価したらいいのだろうか?

作家にとって、
「締め切りがどうの」
「編集者とのやり取りがどうの」
というのをネタにするというのは、正直禁じ手じゃないかと思う。

しかも、とにかく最初から最後までぐだぐだな展開。
なのに、なぜか一気に読める。
そして笑えるという力技。
セグウェイでの琵琶湖一周とか、カリスマ竹林経営者とか、ネタがいちいちツボです。

やっぱり森見さんはすごい、ということを再認識。
でも次は、もうちょいちゃんとした作品を期待・・・。 (チャックモール/2008-10-31)
果たしてこれはエッセイなのか小説なのか?エッセイだとしてどこまでが本当にあったことなのか?これでオチがついていると言えるのか、でもやっぱりついていないような…?なんてことを真面目に考えてはいけない。考えるだけ無駄である。というか、考えたら「負け」のような気がする(何に負けたのかは不明だけど)。とにかくこの本で楽しむんだ、とハラを括れる人だけが読もう。
…実は、知り合いに「面白いよ」と薦めてみたのだけど、「あまりの馬鹿さ加減」に付き合っていられない、と途中で本を投げ出されてしまったので、こんな煙幕を張っているのです。もしかしたら、真面目に物事を考える人には向かないのかなあ。いや、勿論私も真面目な人間ですけどね(笑)。
つまりは、こんなよくわからないレビューになってしまうような本だ、という事です。それに☆5つの評価を与えてしまっているのは正直なんだかなー、と自分でも思わないでもないけど、面白かったんだからしょうがない(と自分を納得させる)。
細かい事とか堅い事とか気にせず、楽しみたい(もしくは呆れてみたい)という人にはオススメ(但し本当に楽しめるかは保証の限りではありませんが)。 (miromatsu/2008-09-27)
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