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フェルマーの最終定理 (新潮文庫)
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ASIN:4102159711
新潮社(2006-05)
原著:Simon Singh翻訳:青木 薫サイモン シン
売上順位:1347
¥ 820(中古:¥ 299)

レビュー総評点:325総評点300以上の注目商品
ニュートンもかくありき ||||||||||||||||||||||||||||||||||

とても上質なドキュメントです。「余白が足りないので驚くべき証明を書き記せない」という何とも思わせぶりなメモと、簡潔な数式で余りにも有名なフェルマーの最終定理が、とても余白などには書ききれないような膨大かつ高度な最新数学を駆使して証明される過程を素人に分かりやすく記した、小説以上にドラマティックなノンフィクションです。

ワイルズの証明の前提を成すある『予想』を提示した数学者も、ワイルズの発表前に誤った『証明』を発表した数学者も、そしてワイルズが発表後の瑕疵を解決する際に大きな役割を果たしたある『理論』を提唱した数学者も、全てが日本人であると言うこともこの真実のストーリーにのめりこむ一要素になっています。

しかし、何と言っても一番感動的なのは、砂上の栄光の後の挫折の中で一度は自ら閉じかけた解決の扉を才能が導いた閃きと共にもう一度押し開く瞬間の描写です。ここはワイルズ自身の言葉で語られていますが、もしニュートンにリンゴが落ちた瞬間の閃きの感動をインタビューしても同様の言葉が返って来るのではないかと思えるほどです。

最終章の四色問題や球体充填問題の説明は蛇足のような気がしますし、73ページ9行目の誤植は場所が場所だけに残念な気がしますが、そのような小さな欠点を補って余りある興奮と迫力が全編を貫いています。 (midiman/2006-07-03)
本書は数学をテーマに掲げているものの、
その内容は素晴らしいドキュメンタリーだ。

戦争映画を見るのに、銃の取扱いを知ってる必要は無い。
スパイ映画を見るのに、数ヶ国語に熟達してる必要も無い。
数学者の物語を読むのに、数学を知っている必要は無い。
むしろ、先入観も無く、数式もさらりと流してしまえる、
数学嫌いな人の方が本書をより楽しめるのではないだろうか。

500頁のボリュームだが、ハラハラドキドキの展開、
思わず息を殺して読んでしまう程のスリルと緊張感。
面白いドキュメンタリーの要素が、ぎっしりと詰まっている。

ぜひ、身構えずに読んでみて欲しい。 (ナカヤンJP/2007-06-04)
フェルマーの最終定理を解くために、19世紀の数学、世界中の数論を
統合したプリンストン大学のアンドリュー・ワイルズ、なんともすごい話
である。それにしてもピタゴラスの定理につながるとは、この著者サイモ
ン・シンもすごい、物理学からTV界に、そして、この本である。たぶん、
サイモン・シンがBBCで放映し、この本を書かない限り、一般の人には
この大きな業績の意味を理解できなかっただろう。たまたま、何年も前に
BBCの番組を観て、このときのワイルズの言葉で、「朝起きたら、ふっ
とひらめいた」とひらめきの話しがすごく印象にあり、仕事や日常で壁に
ぶつかったときに思い出した、そして、その話しを人にもした。数学は、
問題の解決をする学問である。したがって、答えは一つでも、人それぞれ
に解決への道は違う。ワイルズは、350年間の全ての数学者の考えを1
つにした。こんな、ワクワクした本の著者サイモンに感謝し、さらに、こ
の本を翻訳した青木薫氏にも感謝する、訳者が自然科学を愛する女性とは。
 この三者がいなければこれほどの読み物にならなかっただろう。
 確率論やゲーム理論などなるほどと思った話しが満載である。
 ただ、最終章の未解決のケプラーの話しからは、蛇足であった。

(A・佃崎/2007-01-14)
「数学はいつも3。 ||||||||||||||||||||||||||||||||||
暗算を求められるとパニックに陥ってしまう。」

そんな超文系の私でも、最後まで一気に読んでしまいました。
今では周囲の友人たちにも、「最近こういう本を読んでさぁ」と、言いふらしたくてしかたありません。
そうすると、数学がニガテであればあるほど、目を輝かせて聞いてくれるのですよ。数学に挫折した人間にとっては、それほどまでに新鮮な世界なんです。

文系人間の私が、数字を通じては感じることの出来なかった美しい「数論」の世界。それを文章というかたちを通じて知ることができたことが奇跡のように嬉しいです。

(チト/2006-07-31)
すご〜くおもしろい ||||||||||||||||||||||
フェルマーの最終定理の証明に関係する専門分野の数学者でも10%程度しか
ワイルズの証明を理解できないと,本文にあるように
非常に難しい,というか意味のわからない話が主体なのに
途中で?もなく,ここまで面白くまとめた著者はすごいでしょう,
もちろん著者も完全に理解はしていないでしょうに,
すぐにファンになりました.

内容はワイルズのフェルマーの最終定理を中心に,それまでの歴史,周辺数学事情を
非常に的確に選んで一つの物語となっています.
難しいはずの内容がほとんどの人が読めるように,しかし「わかった気にする」だましではなく,
うまく端折って次への興味を抱く構成となっています.
数学のわからない人でも一気に読める内容なので,多くの人がおもしろく読めるでしょう.
残念なのはこの書名だと数学嫌い(日本人の大半?)は手に取らないこと.
しかし,これしか書名はないか.

これくらいのテーマだと,訳者も背景の勉強は大変だったでしょう.
著者,訳者ともにブラボー.


(カカポ/2007-02-27)
フェルマーの最終定理がどのように証明されるかを書いている。
フェルマーの最終定理を理解するための背景知識というか、背景となる情景を映し出している。

数学の本は、単調で、理解できないと、挫折してしまう。
しかし、この本を片手に、原理の理解を進めようとすると、 挫折しても、また、もう一度やり直そうという気力がわいてくる。
数学は、無味乾燥な学問ではなく、自然か社会か人間かのいずれかの理論の背景があって成り立つ学問であることを再確認できる。

単なる知的好奇心だけでは続けることができるとは限らない。
美的センスと信念について、ある種の啓示をしているかもしれない。 (kaizen/2007-12-30)
820円は安すぎる! |||||||||||||||||
2000年に出たハードカバー版の文庫化。ハードカバー版は2000円以上しちゃうのでなかなか買えなかった。文庫版になって820円になったので購入したのだけれど、いまさらながらに後悔した。

これは2000円以上出しても良い本であった、と。

ピタゴラスからワイルズに到るまで、数学の歴史を紐解きながら、フェルマーの最終定理について語るサイモン・シンの筆力に脱帽。多くの個性的な登場人物が登場し、フェルマーの最終定理に挑みながら破れ、しかし破れてもなお彼らの挑戦が後の挑戦者の礎となっていく。下手な歴史小説などより遥かに面白い。
この本を高校生の頃に読んでいれば、間違いなく自分は数学者を目指していただろうなあ…。 (miya/2006-06-07)
今回文庫本になったこともあり、読んでみました。約500頁もある本ですが、約3日で読めました。非常にドラマチックです。読了後も暫く興奮してました。
大きな夢(grand design)を持つこと、良い課題を設定すること、それを上手くブレークダウンすること、壁にぶち当たった時にも考え抜いて「ひらめき」が生まれる状況にうまく自分を持っていくこと、、、そんな研究者の営みが「フェルマーの最終定理」に取り組むワイルズの姿を通じて良く分かります。「貴方が、出来ると思っても、出来ないと思っても、どちらも正しい」(フォード)という言葉が思い出されました。「出来るはず!」と信じて8年もの間この課題に取り組むワイルズの根性に素直に感動しました。

広中平祐氏の自伝「生きること 学ぶこと」と色々と共通する点を見出しました。(こちらの本もオススメですよ!) 「知恵の広さ・深さ・強さ」「創造のある人生こそ最高の人生(=気付かなかった自分の資質を掘り当てる喜び)」の意味がこれらの良書を通じてよく分かりますね。「試行錯誤は絶対に無駄ではない」(広中氏)、これはワイルズの話でも共通します。この言葉は大事にしたいですね。 (ゴルゴ十三/2006-06-16)
フェルマーの定理が証明されたと聞いてわくわくした。その後、このことを報道する番組や、扱った本を何冊か目にしたが、やっぱりこの本が一番おもしろかった。おもしろさのポイントは、フェルマーの定理の証明の中身に深入りせず、その背景や手法の説明に重点を置いた点にある。その中で、数学の歴史や、わかりにくい「数論」のおもしろさ、女性や日本人研究者の貢献や、証明を計算でやってのけるコンピュータの活用とその影響など、興味の持てる題材をちりばめている。
その証明を理解できる数学者はむしろ少数であるらしいし、何章にも分かれた証明を読む気にはならない。でも、あの単純さとわかりやすさで多くの人にすぐ理解可能であった定理の証明が、これほどの積み重ねであることには感心する。純粋学問としての数学の奥深さにふれることができた。 (pooh bear/2006-07-22)
フェルマーの定理はピュタゴラスの定理の応用ともいえるもので、問題の意図するところは中学生でもわかるし、証明できそうな気にもなる。
その一方で、当のフェルマーは『この命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない』と挑発。この挑発に対する挑戦が350年も続くことになる。

フェルマーの定理の存在は大学の授業で知り、社会人になってから新聞の社会面で証明されたことを知ったが、フェルマーが挑発的であったことやピュタゴラス教団なるものがあったこと、日本人数学者もフェルマーの定理に関与していること等は本書を読むまで知らなかった。

本書はフェルマーの定理に関与した数学者に関するドキュメントである。350年間の過程、ワイルズが証明に至るまでの過程を丹念にかつドラマチックに描写しており、さらに、π(パイ)と河の長さ、素数とセミ、無限ホテル等、教科書には記載されていないような挿話もある。数のもつ美しさ、数学の厳格さや、捉えようもない難しさを、理系にも文系にも馴染みやすく書いた良質の数学ノンフィクションである。

ただし、以下の2点が引っかかり、読み終わった後に爽快感を感じることはできなかった。
まず、ワイルズが得た感動、爽快感を共有できないこと。ワイルズは20世紀のテクニックを駆使して証明をしているため、証明の内容は高度であり、理解するには相当に高度な数学知識を要する。本書は前半では数学をわかりやすく記載さいているものの、後半に進むについて数学的なテクニックに関する記載は少なくなり、クライマックスのワイルズの証明は、具体的な内容がほとんど記載されていない。本書に責任はないのだが、星5つにし難い点である。

もう一点は、『未解決の大問題』として挙げられている四色問題や球体充填問題が蛇足であること。どうぜ蛇足を書くなら、未だにフェルマーの定理と格闘している数学者を追って欲しかった気がする。フェルマーはワイルズと同じ方法ではなく、17世紀のテクニックで証明しているはず。未だに、フェルマーの挑発に挑んでいる数学者は執念深いのか?ロマンチストなのか? (凱晴/2008-08-31)
この本は、ピュタゴラスをはじめ、数学史に名を残す人たちのノンフィクションであり、また3世紀にも渡り誰も証明をすることができなかったフェルマーの最終定理(未証明のときはいわばフェルマーの最終予想)の証明を果たしたアンドリュー・ワイルズという数学者のドキュメンントです。

この本の著者であるサイモン・シンは、元々BBCに勤めており、その時代にTVのドキュメンタリー番組として作成した「フェルマーの最終定理」が各種の賞を受賞し、エミー賞にもノミネートされた。その番組を元に書き下ろしたものが本書になります。

フェルマーの最終定理とは、17世紀の数学者であるピエール・ド・フェルマーが、意図的なのか、そうでないにせよ、数学史に残したいわば超難解な謎かけです。
フェルマーが「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない。」といって証明を示さずに残した定理(予想)であり、3世紀にも渡り、偉大な数学者にも完全に証明できなかったものです。

この本ではそうした数学者達のフェルマーの最終定理への取組みと、数学が発展してきたさまが記されており、また20世紀に入ってワイルズが証明を果たした過程がドラマチックに表現されています。

数学が苦手な私でしたが、この本を読んで数学の完全性、美しさに触れた気がしました。 (カエタノ/2008-05-03)
特に後半の「谷山=志村予想」が出てきたあたりから「どうやって解決に至るんだろう?」とわくわくしながら一気に読めた.

実はこれまですでにフェルマーの定理関係の一般向け解説書は二冊ほど読んだのが,どちらも読みづらく,ほとんど飛ばし読みして中身が頭に入らなかった.しかし,本書は専門用語が出てくるのにもかかわらず,ほとんど気にならない.

フェルマーの最終定理を軸にした数学史入門といった感じで,いろいろなエピソードが出てくる.どれもおもしろかったのだが,ゲーデルの不完全性定理とフェルマーの定理の関連や「なんらかの意味を持つ数学史上最大の数」の話はとくにおもしろかった.
(御猫大明神/2007-02-09)
タイトル買いしました。
私は数学は得意ではないですが、思い立って数学の青チャートなど買ってみたりしています。
中学生のときの数学の先生が、「数学は何のために勉強するのかというと、ものごとを順を追って考えるということを身につけるためなのだよ」みたいなことを言ったのですが、その言葉のおかげで、今でも苦手とはいえ数学に興味があるのだと思っています。
内容は、350年経って、フェルマーの最終定理が証明されたことに加え、数学の歴史がとてもわかりやすく書かれています。
しかも、難しい数学、数論の話が、とてもわかりやすく、頭が混乱することなく、すらすら読めました。
ワイルズの功績はもちろんですが、著者の文才に拍手です。
フェルマーの最終定理は、わかりやすいが難しい。
それに挑んだワイルズの努力とその姿勢には、「子どもの頃からの夢と目標」が大きく影響した。
自信家ではなく努力家。
ワイルズの姿勢には、学ぶところが大きいです。
いろんな人に読んでほしいと思う本です。
(tyrol/2006-07-11)
簡単な算数からはじめて、飛躍を感じさせること無くフェルマーの
最終定理が解決される過程を読ませる構成力と文章力に脱帽です。
また、翻訳特有の感情移入を妨げる変な日本語も無く、
ダビンチ・コードに劣らない、最高にエキサイティングな一冊です。
(kaz-p/2006-06-24)
やはり謎解きは面白いです |||||||||||||||||||||||||
以前から興味を持っていた本ですが、今般、文庫化されたことで購入しました。ご存知の方も多いとおり、タイトルの「フェルマーの定理」は、17世紀の数学者が「この命題の真に驚くべき証明を持っているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」という謎の言葉を残してから、幾多の数学者が、挑戦しても解決できなかった難問です。
本書では、フェルマーの定理が出るにいたるまでの17世紀以前の数学史から、数学者が挑戦し、ワイルズという数学者が解決するまでを、平易に語っています。この本の白眉は、やはり、日本人も含めた数学者が、解決に至る手がかりを見つけながら、解決までには至らず、最終的にはワイルズがそれれらの手がかりをまとめ、証明するくだりで、下手なミステリーよりもドキドキワクワクさせられます。但し、そこのくだりに至るまでは、やや冗長な面もあり、何回か、放り出しそうになったのも事実です。その点を差し引いて、星4つにしておきます。
(993改/2006-12-09)
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w:10 h:14 340page
暗号解読〈上〉 (新潮文庫)
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ASIN:410215972X
新潮社(2007-06)
原著:Simon Singh翻訳:青木 薫サイモン シン
売上順位:3497
¥ 620(中古:¥ 201)

レビュー総評点:85
最高です. ||||||||||||||||||
紀元前の初歩的な暗号から第一次世界大戦でドイツ軍が使用し他国を震撼させたエニグマ,
さらに現代の量子暗号までの暗号の歴史を,暗号開発,解読に携わった技術者たちの話や,
暗号のしくみとともに紹介しています.

非常に面白いです.前作「フェルマーの最終定理」よりさらに面白くなっていると思います.
エニグマをめぐる各国の争いなどは,
普段探偵マンガなどにみるダイイングメッセージの解読とは違い,
生死の際で必死になって暗号解読にとりかかる技術者たちの姿が克明に描かれています.
すでに過去の話であるため公開されているとはいえ,
各国が極秘事項をどのように扱っていたか,国どうしの関係なども描かれていて
興味深いです.
(カカポ/2007-07-30)
 「フェルマーの最終定理」のサイモン・シンさん、
暗号解読の歴史というドキュメンタリーのこの素材を、
ストーリーテラーとして本当に上手く料理されてます。

 冒頭に、暗号の重要さを説明する例として、
 16世紀後半のスコットランド女王メアリーの悲劇を紹介・・・
暗号が破らなければ助かるが、暗号が破られると死刑・・・という究極の状況。


 副題通り、ロゼッタストーンのヒエログリフの解読から、
 量子暗号の原理まで、読みごたえありました。

(papillon/2007-10-06)
アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』で長門が読んでいた本の文庫版だ。
 上下巻で600ページを超える厚モノだが、これは面白い。一気に読めてしまう。
 この本の凄いところは、暗号にまつわる物語を「スコットランド女王」の物語から始めて「暗号解読」を「人間ドラマ」として読ませてしまうところ。
 フランスの鉄仮面、エニグマ暗号を巡るドラマ、ゴールドラッシュ時代に隠された宝探し、第二次世界大戦のナヴァホ族の言葉を使った暗号などなど、古代文字の解読から現代のコンピュータ通信網まで、暗号を使う人のドラマや暗号を解読する人のドラマ、暗号の現れる舞台には必ず人のドラマが存在する。
 一方で、この本は本格的に「暗号の解説本」でもあり、解読テクニックの詳細を徹底的に書き込んでいて、ただの歴史解説本ではない。ほとんど数学書のようなページもあって、コンピュータを使用しないレベルの暗号については、実際に読者が解読に取り掛かれるだけの情報を盛り込んでいる。巻末には懸賞金をかけた「挑戦問題」まである。
 「暗号解読」をこんなにスリリングな読み物にしてしまう「サイモン・シン」というライターは凄い。他の本も読みたくなってしまった。 (からから!/2007-08-31)
フェルマーの最終定理があまりにも面白かったので、こちらも購入。

メアリ女王をはじめとする暗号にまつわる数々のエピソードを物語風に描くのは見事。これらのストーリーにはぐいぐいと引き込ました。

ただ、全体的には読解が難しかったかなあ・・・と。
暗号というかパズルを解くこと自体苦手な私にはやや読みづらい面もありました。

本書は「フェルマーの・・・」と違い、じっくり読み込んだ方がいいかも知れませんね。 (はっしー/2007-10-23)
世界の情報化が進む中、暗号の重要性は益々大きくなってきている。

普段、何気なくウェブで買い物をしたりメールを送ったりしているが、これらが安全にできるのは暗号のお陰である。現在は当たり前のように使われている暗号だが、そこに至るまでには様々なドラマがあった。

上巻では、暗号の歴史が主に書かれている。カエサルから第二次世界大戦に至るまでの暗号作成者と暗号解読者の攻防がいきいきと描かれている。歴史、戦争にこれほどまで暗号が関わっていたということに驚く。

過去の歴史の中で使用されてきた暗号は種々あるが、具体的な暗号の例を一つ挙げよう。最も原始的な暗号の一つに、アルファベットのある一定分ずつずらすというものがある。例えば、dogという単語を一文字ずつ後ろにずらすと、ephという意味のない文字列に変換される。この手法で作られた暗号は素人目からしたら十分に解読不可能と感じられるが、このタイプの暗号は解読者の手に掛かれば見事に解かれてしまう。その手法に現代にも通ずるような統計学、言語学の知識が使われていたことは驚くに値する。


下巻では、現在の安全なウェブ社会を支えている暗号を実現するために最も大きな問題となる「鍵の配送問題」が中心に記述されている。

ある人が他の人に暗号を送る場合、暗号を送るだけでは正当な受信者はそれを復号できない。復号するには、「鍵」が必要で、それをある法則に従って暗号に当てはめ、解読することが必要となる。従って通信を成功されるには送信者は受信者に鍵を事前に知らせておく必要がある。

この鍵を知らせるためには、それを直接持っていく、または第三者に委託するなどの方法があるが、いずれも盗み見られたり奪われたりする危険性を免れない。またウェブ社会では相手が不特定多数になるため、一々配ったりすることもできず、この問題は大きな障害となるはずであった。しかし、これはある数学的知見により見事に解決されることとなる…。


上下巻とも非常に面白く読み応えがあるのであわせて読まれることを薦める。なお、補遺は下巻の巻末についているため、参照しながら読みたい人は上下巻をセットで買った方がよい。 (pragma/2007-09-28)
「フェルマーの最終定理」のサイモン・シンが暗号ものに挑むとなると読まずにはいられない。期待を上回る内容で再度この著者の力量に感嘆してしまいました。
暗号解読から古代文字の解読まで、途中途中に様々なエピソードを混ぜ合わせながら、暗号そのものの魅力と、その暗号にまつわる国家や組織人物を、余すことなく伝えてくれる。
面白いのは、暗号作成側と解読側のそれぞれの時代の攻防だ。きっと今現在も平和な暮らしの裏側で壮絶な暗号を巡るやり取りが行われているんだろうと思うと背筋がゾクゾクするようなワクワクするような・・・
暗号学の異色さはこの一文が如実に語っている
「プロの科学者の大半は誰よりも先に仕事を発表しようとする。なぜなら彼らの仕事は広められて初めて真価を発揮するからだ。それに対して暗号の研究は情報が漏れる可能性を、最小限にとどめてこそ最大限にその価値を発揮する。暗号に関する秘密が公開されるのは秘密にしてもこれ以上意味がないことが明らかになったときで、ただ歴史的正確さを期すためだけのものでしかない」
国家的なプロジェクトの暗号解読により、間接的に多くの犠牲を防いだ英雄的暗号解読者達は、ほとんどがその偉業を世間に知られることなく死んでいる。そんな知られざる偉人達に遅まきながらも拍手を送ることが出来る名作。面白い。
(山根晋爾/2008-05-11)
「フェルマーの最終定理」に魅了され、この本も購入。

今回の「暗号解読」も素晴らしい出来だった。暗号解読者と作成者の間で繰り広げられる果てしない知的競争、その中で進化していく暗号。そこに暗号に関わってきた人間達のドラマが加わり、知的興奮と感動が同時にやってくる。

中でも鍵配送問題、公開鍵が取り上げれる下巻は最高だった。
(nori/2007-08-08)
邦訳リリースは2001年7月、文庫版は2007年7月。オリジナルは1999年である。非常に難解な暗号の歴史と技術をこれだけ噛み砕いて時系列的に配置した本はこれ以上にない、と言いきれるくらい傑作だ。そしてこの本を翻訳するというのは生半可な作業ではなかったろうな、と思った。

この本を読む前にまず、ブルース・シュナイアーの名著、『暗号の秘密とウソ』・『暗号技術大全』・『セキュリティはなぜやぶられたのか』の3冊を読み、ロス・アンダーソンの『情報セキュリティ技術大全』を読んでから取りかかった。しかしながらこの本はそういった専門書を遙かに平易に遙かに歴史的流れに沿って、その上遙かにドラマテックに読者に教えてくれた。たとえば良い例が、RSA暗号で使われている非対称暗号における公開鍵と秘密鍵の説明だった。シンはこう平易に説明している。

公開鍵→二つの素数aとbの積
秘密鍵→その積の元となった二つの素数
そしてその積の長さが充分に長ければ暗号強度は強い。

実に解りやすい説明だ。僕はこれ以上に解りやすい非対称暗号における公開鍵と秘密鍵の説明を見たことがない。

この例のような極めて冴えた説明が最後まで衰えない。有名なアリスとボブとイブも後半に登場するのだが(物理学においてアリスとボブの例えというのは通例になっているようだ)、この有名なキャラクタもシンの手にかかるとより一層見事な例示をしてくれる。超難解な量子力学においてですらだ。翻訳共々すばらしい作品で読み逃せない傑作だ。 (voodootalk/2008-05-04)
科学技術系のノンフィクションで有名なサイモン・シンによる暗号本。
単純に暗号の理論面を、一般人に理解できるように噛み砕いて説明しているだけでなく、どういう社会的な状況の中、その暗号が開発され利用されたかを、人間ドラマを軸に書いています。

かなり読ませる文章に一気に読んでしまいます。

自分は情報工学系の学科出身なので、この書籍に登場する暗号の理論面は知っているのですが、背後で起きていた出来事があったのかと感心しました。
工学系の学生でも、単純に理論を学ぶだけでなく、技術や理論の背後にあった人間ドラマを同時に学ぶと関心が強まるんじゃないでしょうか? (ヴィヴ/2008-04-30)
 「フェルマーの最終定理」が面白かったので 本書を自然に手にとる機会を得た。相変わらず 科学を小説のように語る著者の語り口は健在であり ぐいぐい読ませる。科学に必要なのは こういう「語り部」なのであろうと感心させられた。

 読んでいて一番感じたのは 現代こそが暗号の時代であるという点だ。

 本書の通り 暗号は 主に戦争で必要とされてきた。言葉通り「武器」の一つとしての暗号という時代が長く 本書が取り上げる暗号の歴史は 戦争の歴史となっている。実際 本書で取り上げている暗号の歴史を見ていると 人間が戦争を「情報戦争」にしていった様がはっきりとしており 大変勉強になった。
 その上で 21世紀の現代こそが「暗号の時代」であると言いたい。

 考えていると いつのまにか僕らは「パスワード」という暗号を日常で使う日々となっている。ネットを通じた「仮想空間」へのアクセスには 自分で決めた「暗号」であるパスワードが不可欠であるし アクセス中のやりとりもすべて「暗号化」されている。僕らはそんな「暗号」が無ければ 日常生活にすら支障を欠く程になってしまっているのではないだろうか。

 「暗号」とは 自分がやりとりする個人情報が 「他人の目や耳にふれるルート」をたどる際に必要なのだと思う。
 ということは 現代の特徴とは「他人の目や耳にふれるルート」の飛躍的な増大にあるのではないかということだ。その代表格であるインターネットの社会のインフラ化こそが 暗号の需要の最大原因だと僕は思う。

 昔は(そうして今もだが)「親展」とスタンプの押してある封書は 受取人以外には開かなかったものだ。ある意味で これは人間のモラルが健全に機能してきた証左だと思うのだが 今 ネット世界で見えてくる人間のグロテスクな一面は そんなモラルを否定している。
 匿名という隠れ蓑があれば(そうしてそんな隠れ蓑も暗号で担保されているわけだが)人は「親展」と書いてある封書も平気で明けるようになった。なぜなら 自分が開けたと誰にも分らないから。
 そうなると 「親展」のスタンプも 暗号がなければ開けないスタンプにしなくてはならないし さらに封書の中身も暗号にしなくてはならない。それが 現在のコミュニケーションであり それを通じて見えてくる人間の様相なのだ。

 暗号は人間臭い。それがはっきりしたことが本書を読んで勉強になった点だ。
 

 
  (くにたち蟄居日記/2008-05-29)
暗号の歴史がドラマチックに書かかれている。
暗号に興味がなくても、面白く読めると思います。
(tokorotenn/2009-05-03)
歴史のさまざまな場面で決定的な役割を果たし、現代情報化社会の根幹を支えている暗号技術とその解読について、詳細かつ非常に分かりやすく書かれています。
内容の詳しい紹介は他のレビューに譲りますが、今まで関心のなかった事柄が一冊の本をきっかけに、二度と無関心ではいられなくなるそんな体験ができる一冊です。
サイモン・シンの他の著作を読んだ人はおそらく本書も読むでしょうが、まだサイモン・シンを知らない人は是非読んでみて下さい。 (眼鏡越しの宙/2008-06-24)
ちゃんとした暗号の基礎理論や、メカニズムまでしっかりと解説してくれる。取り上げた一つ一つの暗号にまつわる壮大な物語が背景となって、知的興奮を呼び起こされずにはいられない。通信の速度・量ともに暗号の重要性が増し、いまや無意識に暗号文がやり取りされている昨今、こうしてその原点を見つめなおしてみるのも面白い。

充実した内容もすごいし、翻訳本とは思えない読みやすさ。ページ数は多いのに、一気に読めてしまいます。通勤電車と得書会でしか本を読まない僕が、久々に家でじっくり読んでしまった。

言語学者から古典学者、トレジャーハンターたち、そして数学者を魅せ続けた「暗号解読」。暗号と、それを鍵に繰り広げられる壮大なストーリーを読み解くことができるすばらしい本でした。 (mnishikawa/2008-03-29)
日常的な存在すぎてこれまで全く注意を向けたことのない暗号技術の歴史とこれからについて,楽しく知ることができました.暗号作成者と解読者のタカ・ハトゲームの描写がとてもエキサイティングです.
これはサイモン・シンのサイエンスライターとしていちばん優れた特徴だと思うのですが,一般向け読み物といえど数学的・工学的なエッセンスを誤魔化していない点もすばらしいです. (mits/2008-02-26)
無茶苦茶面白かった。著者はとにかく、難解な学門を平易に書くのが上手い。この人の本を読むといつも思うのは、人間て凄いなあということ。何千年も前から、天才というのは常に存在していて、その天才というのは、他人から見たら、「そんなの無理無理、ヤメといた方がいいよ」というようなことを何年も何十年も考える人だと思う。そういう天才に、神はある日突然インスピレーションを与えるのだ。その発想たるや、唖然とするしかない。ホントに、もしかしたら人間に出来ないことはないんじゃないだろうかと思わせる本。 (Sukeza/2007-11-14)
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w:10 h:15 382page
暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)
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ASIN:4102159738
新潮社(2007-06)
原著:Simon Singh翻訳:青木 薫サイモン シン
売上順位:2712
¥ 660(中古:¥ 343)

レビュー総評点:17
ウェブ社会の恩恵は企業にとっても個人にとっても計り知れないものとなっている。それを可能にしているのは顧客と企業を結ぶ安全な通信手段である。そしてその通信手段の天守閣こそが暗号である。


上巻を通して語られているように暗号には国家の存亡に関わるほどの強い力と深い歴史がある。下巻のはじめにも暗号がいかに戦争の行方を左右したかということが鮮明に描かれている。かくも重要な暗号であるが、1960年代以前のものには大きな弱点があった。それは「鍵配送問題」である。

ある人が他の人に暗号を送る場合、暗号を送るだけでは正当な受信者はそれを復号できない。復号するには、「鍵」が必要で、それをある法則に従って暗号に当てはめ、解読することが必要となる。従って通信を成功されるには送信者は受信者に鍵を事前に知らせておく必要がある。

この鍵を知らせるためには、それを直接持っていく、または第三者に委託するなどの方法があるが、いずれも盗み見られたり奪われたりする危険性を免れない。この機密性の不完全さが問題の一つである。さらに、戦争などの場面を考えると、コストが問題になってくる。それは、軍隊への通信を可能にするには各部隊に暗号復号用の鍵を知らせておかなければならず、鍵が変わる度に多くの部隊にそれを配送しなければならないからだ。実際、戦時中は鍵を配送するために多大な費用が掛かっていたという記録がある。また、ウェブ社会では相手が不特定多数になるため、一々配ったりすることもできず、この問題は大きな障害となる。

この「鍵配送問題」は長い間、解決できないものだとされてきた。しかしながら、これはある数学的知見により見事に解決されることとなる。それは、一方向関数という概念(を応用したもの)で、ある一定の状況に限って復元可能な(=双方向な)関数になるというものだ。これにより、暗号化には公開鍵(文字通り広く公開されていて問題ないもの)を使って一方向関数にいれ、それを相手に送り、受信者は個人鍵(自分で決められる)という一方向関数を唯一逆転できるものを使って復号する。これは個人鍵さえ機密にされていれば暗号の送受信は成功することを意味している。ここで重要なのはどちらの鍵も「配送」というプロセスを得ていないということである。

この鍵配送問題は下巻で最も力点が置かれる部分であるといえる。なるほど思わず唸ってしまうような知恵が、平明な文章で記述されており、筆者・訳者の力量に脱帽である。


また、暗号の強力さに関して、ある一定以下に保とうとする国家と暗号推進者の攻防も実に興味深い。暗号が強力になることは国家がそれを解読できないことでありテロリスト達の暗躍に拍車をかけることになる。これは国家にとって大きな脅威となる。一方で、ウェブに代表されるように暗号は私たち一般市民のプライバシーを守るためにも欠かせない。現状では企業の後押しなどもあって後者が勝っているが、いつ(どこかの)国家が暗号に制限をかけてもおかしくない状況だという。このことは、暗号技術は国家をも揺るがすものだということを改めて示している。 (pragma/2007-09-28)
 
 暗号の歴史を分かりやすく解説するだけでなく、ドラマチックに見せてくれる本書。
素因数分解という意味不明な(僕にとってですが)数学的テクニック(?)を初めて
現実に役立つ物として見せてくれた本書。必読!

 有名な「シーザー暗号」に始まり、第二次大戦中ドイツの暗号機エニグマを通り
現代のコンピューター通信に用いられるRSA暗号に至り、さらには次世代の暗号テクニック
(実際には既に使用されているかもしれないが)量子暗号まで。
本書の案内に従って読み進めてゆけば、僕のような数学のずぶの素人にも
(とりあえずは)暗号の歴史とそのテクノロジーを理解する事ができる。
しかも人間同士の、暗号制作者と、解読者との知恵比べのドラマは読み物としても上々の出来だ。

 
 この文庫本版の良さは、原書から約十年の月日が流れたため、
追補として現在(2007年)の暗号の現状を挙げてくれているところだろう。
 
 なんと、作者が量子コンピューターの登場を待たねば解読不能と断じた、
RSA暗号を用いた暗号システムDESが現在では解読可能といえるまでになっているのだ。
 素因数分解を利用したこの暗号方式は、地球上全てのコンピューターを稼働させても、
一つのメッセージを解読するまで千年かかると言われていた。

 十年の時間はコンピューターの速度を飛躍的に向上させてだけでなく、数学のルール上あり得ない
と言われていた素因数分解の近道を発見させるまでに至ったようだ。

 まったく、まったくもって人間同士の知恵比べには驚嘆させられる!

さて、本書には原著と同じ暗号例題が巻末に付録している。
文庫版で残念なのは、それらの懸賞付き十問がすでに破られている事だろうか・・・・。
しかし僕はと言えば、その知恵比べに参加どころか、
舌を巻いて見守り、尻尾を巻いて降参するしかない。 (タック/2007-08-08)
 「フェルマーの最終定理」のサイモン・シンさん、
暗号解読の歴史というドキュメンタリーのこの素材を、
ストーリーテラーとして本当に上手く料理されてます。

 冒頭に、暗号の重要さを説明する例として、
 16世紀後半のスコットランド女王メアリーの悲劇を紹介・・・
暗号が破らなければ助かるが、暗号が破られると死刑・・・という究極の状況。


 副題通り、ロゼッタストーンのヒエログリフの解読から、
 量子暗号の原理まで、読みごたえありました。 (papillon/2007-12-22)
邦訳リリースは2001年7月、文庫版は2007年7月。オリジナルは1999年である。非常に難解な暗号の歴史と技術をこれだけ噛み砕いて時系列的に配置した本はこれ以上にない、と言いきれるくらい傑作だ。そしてこの本を翻訳するというのは生半可な作業ではなかったろうな、と思った。

この本を読む前にまず、ブルース・シュナイアーの名著、『暗号の秘密とウソ』・『暗号技術大全』・『セキュリティはなぜやぶられたのか』の3冊を読み、ロス・アンダーソンの『情報セキュリティ技術大全』を読んでから取りかかった。しかしながらこの本はそういった専門書を遙かに平易に遙かに歴史的流れに沿って、その上遙かにドラマテックに読者に教えてくれた。たとえば良い例が、RSA暗号で使われている非対称暗号における公開鍵と秘密鍵の説明だった。シンはこう平易に説明している。

公開鍵→二つの素数aとbの積
秘密鍵→その積の元となった二つの素数
そしてその積の長さが充分に長ければ暗号強度は強い。

実に解りやすい説明だ。僕はこれ以上に解りやすい非対称暗号における公開鍵と秘密鍵の説明を見たことがない。

この例のような極めて冴えた説明が最後まで衰えない。有名なアリスとボブとイブも後半に登場するのだが(物理学においてアリスとボブの例えというのは通例になっているようだ)、この有名なキャラクタもシンの手にかかるとより一層見事な例示をしてくれる。超難解な量子力学においてですらだ。翻訳共々すばらしい作品で読み逃せない傑作だ。 (voodootalk/2008-05-04)
面白いです
もう少し掘り下げて欲しいところも若干ありますが

星が4なのは
ヒエログリフ解読について
教科書でもお馴染みのフランスのシャンポリオンがイギリスのヤングという物理から言語学まで幅広く研究好きな医者の発表した論文を基にヒエログリフを解読したと強く主張している点
情報通信が全く行き届いてないフランス革命直後の混乱期の大陸にいるシャンポリオンがイギリスで発表された論文に目を通す可能性は低く、また、読んだという証拠はない
しかし、シャンポリオンは解読に成功している

史実をちゃんと踏まえ主張して欲しい
(ほうき星/2009-01-04)
歴史のさまざまな場面で決定的な役割を果たし、現代情報化社会の根幹を支えている暗号技術とその解読について、詳細かつ非常に分かりやすく書かれています。
内容の詳しい紹介は他のレビューに譲りますが、今まで関心のなかった事柄が一冊の本をきっかけに、二度と無関心ではいられなくなるそんな体験ができる一冊です。
現時点で無敵の公開鍵暗号を葬り去り情報化社会の根底を破壊しうる量子コンピュータと、原理的に解読不可能な量子暗号は、
私たちが生きている間に実用化されるのでしょうか、そしてその後の世界はどんな姿になるのでしょうか。
暗号の歴史はまさに現在進行形なのです。 (眼鏡越しの宙/2008-06-24)
 暗号解読(下)の白眉は 現代社会における暗号の善悪のせめぎあいを描いた部分だ。

 ネットは完全に社会のインフラとなった。情報流通の「早さ」と「量」と「質」が飛躍的に進歩した現代において もはやネットが無いことは考えられない。もちろん 将来的にはネットが 発展解消的に新しいものに生れ変わるとは思うが 情報社会の高度化という 大きな流れにはなんら変わりはないはずだ。

 その時代に「暗号」がいかに重要なものになったかを本書は描く。

 暗号は戦争から始まった。戦争に不可欠な暗号が 僕らの日常のネット生活に不可欠になったということは とりもなおさず 僕らの日常が「戦場化」したことを意味している。
 僕らが何気なく行っているネット上での「買い物」や「やりとり」が「戦場」で行われていることは 最近の各種の詐欺を見ていればわかる。
 更に言うなら 各種テロもネット抜きには語れない時代だ。今目の前に見ている このPCこそが 戦場への「入口」といっても良いのかもしれない。

 その時代に僕らは「暗号」で自分をプロテクトする。自分をプロテクト出来る点で暗号は「善」だ。但し 犯罪者が自分をプロテクトしつつ 犯罪を犯すとしたら 暗号は「悪」なのかもしれない。そうして この「善悪」に関しては 余りに色々な判断が可能なだけに 現段階では結論が出ていないということなのだと思う。

 暗号はずいぶん遠いところまで来てしまったということだと思う。暗号の持つ人間臭さは 誰もがなんらかの形で「暗号」を使っているからだ。「交換日記」で符号を作った甘酸っぱい記憶がある方も多いのだと思う。
 暗号という一つの「人間の所作」から見えてくるものの 驚くべき「深い淵」ということが本書の読み応えだ。
 はっきりしていることは 僕らは既に恐ろしいくらいに「暗号」に依存しているということだ。 (くにたち蟄居日記/2008-06-13)
歴史のあらゆる局面で、まさに鍵の役割を果たしてきた暗号。その基礎技術と、暗号を中心に繰り広げられてきたストーリーが一気に読める「暗号解読(上)」のつづき。

「失われた言葉」古代文字の解読から、現代の高速・大量データ通信に欠かせない現代の最新暗号技術(DES,AES,RSA)、そして、その安全性の根拠になっている基礎理論。さらに、現代暗号を打ち破る量子コンピュータの可能性と、その先を行く量子暗号の現状までが綴られる。

暗号をかける側は何としても読まれたくない。暗号を解く側はあらゆる手を駆使する。長い歴史の中で繰り広げられてきた高度な「知」のパズルは、それに関わった人たちを中心に、壮大なストーリーを残してきた。
「暗号解読(上/下)」を通して、暗号の歴史はもちろん、基本的な技術解説も非常にわかりやすくまとめられている。翻訳本とは思えない読みやすさもあり、すばらしい本でした。

(mnishikawa/2008-03-29)
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宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)
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ASIN:4102159746
新潮社(2009-01-28)
原著:Simon Singh翻訳:青木 薫サイモン シン
売上順位:8375
¥ 660(中古:¥ 250)

レビュー総評点:47
(「ビッグバン宇宙論」の改題・文庫化です。単行本のレビューを少し改変)

今までに私はビッグバンに触れた本(※)を読み、TV番組(Carl Sagan)を見てきました。ですので本書で語られる内容は予め知っていました。それでもなお、本書を読むと(科学理論の発展について)"新しい発見"がありました。「科学はエラーの自己修正過程である」(Carl Sagan)の発言通り、ビッグバン理論が紆余曲折しつつも次第に確立していく様子が本書で実にイキイキと描かれているのです。感心したのは、資料・図・表の見せ方です。(ガリレオのスケッチを始めとするオリジナル資料、対立理論(定常宇宙論)との勝敗表、概念の説明図、等々) オリジナル・データによっては「エッ、そんな風に見るんだ、解釈できるんだ」というモノもあり、「星の王子さま」の名言「ものごとは、心で見ないと良く見えない。いちばん大切なことは、目に見えない」を思い出した次第です。実験データも「仮説に基づく信念」がないと真実を掴み取れない訳ですね。科学におけるセレンディピティ的発見の解説にもなっているところがサスガです。

「ビッグバンなんて当たり前」とか言う人には「hindsight is 20/20」(後になって考えれば一目瞭然(だが、その時は分からないものだ))という言葉を贈ります。「もし自分が宇宙の始まりについて何も知らなかったとしたら、この"謎解き"にどう挑戦するだろうか?」と登場人物になりきって読むと楽しめることと思います。

(※)「僕らは星のかけら 原子をつくった魔法の炉を探して」「人類が知っていることすべての短い歴史」は特にお薦めです。高度な本として「宇宙創成はじめの3分間」があります。本書では語られない ビッグバン理論の"その後"(インフレーション理論、暗黒物質 等)については「宇宙論入門―誕生から未来へ」「宇宙『96%の謎』」「見えない宇宙」など他書をご覧下さい。 (ゴルゴ十三/2009-01-27)
 著者の本は フェルマー、暗号解読に次いで 三冊目である。読みはじめたら止まらず 一気に文庫本二冊を読んだ。

 ビッグバンに関してほとんど知識が無かったので 本書は読んでいて驚きの連続である。文系の僕にして かなり理解を得たという気になったのは 抜群の著者の話術である。実際 科学は サイモンシンという語り部を得た事に感謝すべきではないかと思う。それほど読ませるからだ。

 本書を読むと勇気が湧く。人間は古代から その知恵を絞って宇宙を考え抜いてきた姿が感動的だからだ。実際人間は徒手空拳で ここまで宇宙モデルを組み立てて来ている。古代の人が 太陽の影だけで 地球の大きさを測ったわけだが 現代の僕らが持っている「道具」も大きく見れば 余り変わらないはずだ。なにせ 宇宙論を考えるにあたっても 僕らは現状火星にも行けていない状況である。そんな「徒手空拳」で 宇宙の歴史とモデルを考えていく人類の知性の働きには やはり感動するしかない。

 繰り返すが 僕らは古代の人間と そんなに変わっているわけではないのだ。特に 宇宙に流れている時間から考えてみれば。 (くにたち蟄居日記/2009-03-09)
上下巻込みの感想になりますが、正直、「ファルマーの最終定理」や「暗号解読」に比べるとスリリングさに欠ける内容だと思いました。
前著の題材に比べて「ビッグバン」は遥かにポピュラーであり、多くの読者は本書から新しい知的興奮が得られない分、物足りなさを感じざるを得ないのではないでしょうか。
また、宇宙論にこれから触れていこうとする若い読者にも、これ単発でお勧め出来る内容とは言い難いです。何しろ、最新の量子宇宙論の前で筆を止めていますし…
とはいえ、相変わらず人物の豊富なエピソードは健在で、特に「縁の下の力持ち」的な人や、論争・競争の敗者の方にもスポットを当てていて、楽しく読むことが出来ました。
この点は著者のこれまでの姿勢が貫かれていて、他の解説書の類には見られないとても大きな魅力です。
思わずニヤリとしたのは、本筋に関係のない軽いエピソードで「パルサー」の発見者としてジョスリン・ベルの名を2度挙げているのですが、その指導教授でノーベル賞をもらったヒューイッシュの方は「ヒ」の字も出していないことです(笑)。サイモン・シンもこのノーベル賞においてベルの功績が正当に評価されていないと不満があるのでしょうか; (酌人/2009-05-01)
 昨今の科学ブームで様々な科学書が巷に溢れるが、大抵は面白くない。
勉強にはなるのだが、『血沸き肉踊る』なんてことはまずない(まあ普通そんなこと期待しないか…)。
 この本は、筆者自ら宣言しているように極端に数式を減らし、難解な専門用語もほとんどない(高校の物理を知らなくたってOKだ)。しかるに、読後壮大な宇宙のドラマがぐっと身近になる。そう、誰かに教えたくなる。
 この本はビッグバンを分かり易く説明するだけでなく、それに携わった科学者達の冒険をドラマチックに描く。まさにビックバンは『血沸き肉踊る』科学の冒険なのだ。科学者はこんなにも人間臭く、魅力的なのだ。歴史に埋もれた人間たちがサイモン・シンによって生き生きと蘇える。膨張する宇宙を最初に唱えたのに誰にも理解されることなく死んでいった数学者、宇宙を測るのに貢献した難聴の一女性…等々だ。
 理科離れが著しいというが、是非子供たちにも読ませたい。宝島並みの興奮は味わえる。


 
(スロボヨ ミッケ/2009-03-07)
「フェルマーの最終定理」が滅茶苦茶面白かったので、同じ著者ということで読んでみました。特に、私は宇宙関連の本が大好きで読み漁っていることもあり…。この著者の特徴は、数学者や科学者の理論や主張のみならず、人間性やキャラに関連する記述が多くあって、当時の議論や論調、裏話が思いを馳せることが出来るのが魅力となります。で、本書は…。 
 
うーん。宇宙関連でいうと他に面白い本はいっぱいありますね…。本書を読んで分かったことですが、本題部分でいま一つだと、いくら裏話とかが挿入されててもあまり補強されないんですね(笑)。宇宙理論関連の本で全般に言えることですが、理論の画期さと実証による目に見える面白さの両方の部分でアンシュタインの相対性理論に関する部分は読んでいても実に楽しいのですが、ひも理論などアインシュタイン以降の理論は理論段階に過ぎず、「へー、そうなんだ」ぐらいにしか感じない訳ですよ。なので、上巻は読んでいて楽しいのですが、下巻は面白みが半減します。これは、本書に限らず、宇宙関連全般に言えることなんだけど。 
 
従って、下巻は走り読みで十分かなぁ。当著者でもこの辺の克服は出来なかった感がしますね。上巻読んでから、下巻買うのを検討しましょう。(笑) (長年のブラウン・ユーザー/2009-03-05)
サイモン・シンのファンなら、新しい本が出版されたら、絶対にすぐに手に入れたいよね。
わたしも中身も見ずに、マイカートに放り込みました。
届いてびっくり、なんとハードカバーの『ビックバン宇宙論』を改題しただけの商品でした。
まあ、文庫本なので、通勤時にポケットに入れておけば、満員電車でも読めるわけだし、利用の仕方はいくらでもあるけれど。

サイモン・シン著作の購入者ということでPush型のメールでこの商品を知ったのですが、今度は、本当の書き下ろしの通知がほしいですね。改題版ではなくて。
『ビックバン宇宙論』そのものは胸躍るすばらしい本なのですが、今回の総合得点は、無念の気持ちで減点しました。
(ロックヒル/2009-02-16)
フェルマーの最終定理を読んでいたので期待したが、期待外れだった。
内容自体は悪くはないのだが、比喩が多すぎてストーリーの流れがそこでプッツリと切れ、白らけてしまった。
また各章の最後にその章の要約が載っているが、本書は教科書として書いたものなのだろうか?
興醒めた。
同時期に読んだ『僕らは星のかけら 原子をつくった魔法の炉を探して(マーカス・チャウン ) 』は驚くべき内容の本で、本書にもそれを期待して読んだのだが、期待は悪いほうに裏切られた。
本書を先に読んでいればよかった。

宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)宇宙創成〈下〉 (新潮文庫) (卓庵/2009-04-08)
ガリレオにせよ、アインシュタインにせよ、ハッブルにせよ、何を成し遂げたかに
ついては一通り知っているつもりでした。
また、これまで数多くの本に書き尽くされた人々でもあります。
だから本書のことを知っても、「今さらねぇ」という先入観があったのは確かです。
しかし、本書によって、それぞれの背景に横たわる物語に初めてふれ、一人の
人間としていきいきと描かれた姿に感動しました。
越えて良いのかどうか懊悩し、正しいのに越えられないという現実に苦悩し、ぎり
ぎりまで追いつめられて憔悴する。天才ではあるが決して超人ではない生身の
登場人物が、時を越えてありありと目の前に現れてくるようでした。
物語としてのスリリングさと、科学読み物としての正確さを併せ持つ、類い希な
本です。

(あぶはち/2009-06-14)
もし自分が中学生の頃に本書を読んでいたのなら,天文学者か物理学者を目指していたかもしれない。それは約30年前_もちろんその当時には本書は存在しないし,本書に書かれている出来事すら,まだ起きていないことも多いのだが。しかし本気でそう思ってしまうほどに,この本とは「出会ってしまった」。
「人間には炭素がある。よって宇宙のどこかで炭素がつくられてしかるべき」という「人間原理」のくだりを読んだとき,「人間原理」という知らないことを知った喜び以上に,「じゃあ私の一部はこの本でできてるなあ」と思った。
天文学に無知な私を,ここまで魅了させてくれた本書には心から感謝したい。
最後に,サイモン・シンはもちろんだが,青木薫氏も素晴らしい訳者だと思う。もちろん私は英語版を読んではいないが,科学的記述だけでなく詩や戯曲的なことまで,日本語で見事に表現されている。 (2ヘルツ/2009-05-26)
サイモンシンの本は知的好奇心を次々に広げてくれる。そのような体験を期待して購入通読
宇宙創造という深淵なテーマに対して、各時代の科学者がどのように取り組んでいって、どのような結論を出したのかを記載してくれている。中でも引き付けられたのは、パラダイムシフトと、アインシュタインという存在だ。特にパラダイムシフトと表現されている科学に対する思想の転換は非常に面白い。科学の価値が変わるようなパラダイムシフトに自分が生きている間に出会えるかどうか、出会った時に既存の価値観をどのように破壊してくれるのかが非常に楽しみだ。
期待通りの書籍でした。科学の歴史という無機質な世界をドラマチックに表現してくれている。 (sickboy/2009-04-21)
宇宙創成は、かつて「ビッグバン」というタイトルでハードカバー版で発売されていた本の文庫化である。そのことを全く知らずに同じ内容の本を買ってしまい、実はちょっと騙されたと思ったが、改めて読み始めるとこれが全く止まらないのである。サイモン・シン氏の書籍は本当に分かりやすく、楽しみながら知的好奇心を旺盛にしてくれる。彼のこれまでの本を読んでいて外れたと思ったことがない。非常に難解な分野や内容も誰にでも分かり易い文章と表現で書かれており非常に丁寧である。文庫になったお陰でポケットに入れたままいつでも読めるようになったことは逆にお得とも言える。古代から現在に至るまで宇宙に取り組んだ人類の足跡にちょっとでも興味がある方には絶対お勧めの一冊である。また彼の他の著作(暗号解読など)も超オススメです。 (セキ爺/2009-03-31)
古代の宇宙観から現代のビッグバン理論にいたる、理論と観測の進展の物語です。
新しい理論が提唱者から数世代を経てようやく古い支配的権威的な理論に取って代わる。そのような歴史と科学者たちの姿に感動します。
テーマとなる宇宙論の記述は、文系で素人の私でもついていけ、かつ十分に知的好奇心を満たしてもらえるものでした。「惑星」「ビッグバン」の言葉の由来など、トリビアも豊富。
テレビの科学ドキュメンタリーの宇宙物がお好きな向きにはおススメの一冊です。

フェルマーの最終定理でもそうだったのですが、訳者青木薫氏のあとがきが実にいい解説になっているので、そこまで是非読んでください。
この本は宇宙論を扱っていますが、科学の発展のありさまが描かれているのです。実に示唆に富んだ素晴らしい本です。 (音源かけ流し/2009-03-20)
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宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)
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新潮社(2009-01-28)
原著:Simon Singh翻訳:青木 薫サイモン シン
売上順位:7918
¥ 660(中古:¥ 250)

レビュー総評点:4
本書(上下巻)では、宇宙創成の謎に挑戦してきた人類史、科学史にスポットを当てる。古代ギリシャに始まった天文学。地球、月、太陽の大きさや距離を推定した古代天文学者に始まり、暗黒の中世での停滞を乗り越え、天動説を覆したコペルニクス、ガリレオ。初期地動説が生み出す誤差を解消する理論を打ち出したケプラー。ニュートン力学を超え、相対性理論を生み出したアインシュタイン。彼の生涯2つの誤りの一つである静的宇宙モデルを覆したビッグバン宇宙モデルの設立まで、事細かに解説する。
 さすがサイモン・シンと思わせる見事な描写は、読むものを引き付けて離さない。本書で書かれていることは、すべて良く知られた事実であるにもかかわらず、それを一同に系統立てて説明する手法は流れるような心地よいリズムを生み出し、一気に読まずには入られない。すばらしい。 (ichiro.mariners/2009-04-01)
 本書のレビューに関しては上巻側で既に書いた通りだ。

 天地創成 下巻の白眉は 実は 訳者あとがきではないかとひそかに思う。単行本段階のあとがきと 文庫になった際のあとがきと二つ載せているが どちらも 訳者の思い入れと 読者へのメッセージに満ちている。

 特に後者の後書きで 訳者は「本書の真の主人公は 『科学的方法』だったのだ。シンは科学的方法をみんなに知ってほしかった」と喝破している。この「読み取り」は 僕にも実に腑に落ちるものがあった。実際 本書でシンが繰り返し描いているのは「科学的とはどういうものなのか」という 極めて哲学的でもある話である。

 これは 別に 宇宙論だけではない。僕らの日常にも 十分通用する話だ。例えば セブンイレブンが唱える「仮説と検証」という言葉にも 「科学的」という響きが伴っている。
 宇宙論の本で コンビニの話を持ち出すのも 下世話かもしれないが 僕らの日々で「科学的とは何か」を考えるには 下世話な自分にひきつけて考えない限り 意味をなさないことも確かなのだ。また それこそが著者の希望であろうし 訳者の期待なのではないかと僕は思う。

 それにしても大変勉強になった。

  (くにたち蟄居日記/2009-03-09)
上巻で天動説から一挙に赤方偏位くらいまで行ってしまい、この先一体
どうなるのかなと思っていました。
下巻は「定常モデルかビッグバンモデルか」という議論を丹念に丹念に
辿り、とにかく丹念でした。
かつて、偉大なる科学的発見は、一人の偉大なる科学者によって達成さ
れましたが、今日では一人の業績に結実されるのは難しい。
陽が当たった人、当たらなかった人。出し抜いた人、出し抜かれた人。
無視された人、奇跡のように発掘された人。
まるで映画のエンドロールのようです。
それら「死屍累々」とでも言えそうな土台の上に、最先端理論が築かれ、
これからも築かれ続けることを予想させてくれる、充実した本でした。


(あぶはち/2009-06-21)
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科学者の生き様が分かる科学者列伝2
 
w:13 h:19 304page
ビッグバン宇宙論 (上)
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新潮社(2006-06-22)
翻訳:青木 薫サイモン・シン
売上順位:101319
¥ 1,680(中古:¥ 174)

レビュー総評点:63
いつもながらサイモン・シンの鮮やかな語り口には、宇宙のナゾが解明されていく過程を追体験した気にさせられ、"天才に肉薄!"した気分に浸れますね。

訳者の青木薫さんが言われているように、宇宙論のことをよく知ってる人ほど、深く楽しめますし、
また宇宙論に詳しくない人にこそ、読んでもらいたい。この科学史ドラマには感じるものがあるでしょう。

それにしても「天才列伝」というよりもむしろ「反逆児列伝」という感じなのが笑えますね。
(nonsense/2006-10-12)
 書名を聞いたときに、訳者があとがきで語っているのと同じく、”なんで、いまさら、ビッグバンを。サイモンシンが?”と私も思いました。
 「暗号」や「フェルマーの定理」のように、過去あまり一般向け類書がないテーマを扱った話の場合、そのテーマ選定自体の新奇性でつかみがあります。しかし、「ビッグバン」となると、すでにさまざまな一般向け書籍がでているメジャーなテーマなので、すこし後回しにしていました。でも、やはりサイモンシンでした。「そうだったのか」という発見の連続でした。
 いろいろな形をした素粒子のように個性豊かな科学者が絡みあいながら、宇宙創生の理論を解明していくストーリーは、あらためて科学に対する理屈無しの憧憬を思い出させてくれました。  
 上巻では、天動説から地動説、相対論の登場という決定的なパラダイムシフトを経て「宇宙は静的なのか・・」というあらたな課題認識までが扱われています。誰でも名前は知っているガリレオ、ニュートン、アインシュタインといった巨人たちの取り組みも結果にいたるプロセスまで味わうと格別です。もちろん、他にもティコ・ブラーエ、ケプラー、コペルニクス、マイケルソンとモーリー、フリードマンとルメートル、ハーシェル、メシエ、ハッブル・・・と覚えきれないほどの天才鬼才も連綿と織り込まれた宇宙解明の物語です。

・・・下巻に続く
(jimmy/2007-10-10)
宇宙をどう解釈するかを極めて分かりやすく解説した宇宙論への入門書。「テクノロジーは生と死をより快適にするために役立ち、それに対して科学は、ひたすら世界を理解しようとする努力だ」との言葉どおり、最新技術やデータの羅列ではなく、人生を理解するための入門書でもある。 (Krokodil Gena/2009-01-08)
ガリレオ、ニュートン、アインシュタインなど誰でも知っているメジャーな学者をベースに展開しながらも、無名に近い一般人や学者の貢献を
巧みに織り込んでギリシャから現代にいたる宇宙論をみごとに描ききっている。個々にはどこかで読んだか聞いて知っていた事が天動説から
ビッグバン理論までの壮大なストーリ展開の中で「そうだったのか!」という新鮮な驚きをもって改めて教えてくれる内容である。

これは正にその妻でしか知られていない無名な武将山内一豊の目線で
戦国を描いた「功名が辻」のストーリ展開と同じなのである。

「コンピュータ」といわれた婦人たち、聖職者でありながらビッグバン
理論を提唱したル・メール、ビッグバンの証拠となる赤方偏位写真を
最高の精度でとるのに貢献したもともと掃除夫だったハッブルの助手
など多くの無名の人たちが描かれている。

また「ビックバン」というネーミング自体もビッグバン理論に負けた定常宇宙論提唱者が冗談半分で呼称したのがはじまりだとか。

これだけの内容をサスペンスストーリのように一気に読ませてしまう
著者の力量たるや正に「ビッグバン」なみと言えよう。
(猫好きのアナログおじさん/2006-07-11)
この本(以下上下巻をまとめて扱う)は,著者のこれまでの名著(Fermat's Last Theorem 等)に比べると長い.その理由は,主題の性質上,抽象化も省略もせず,なまの素材を用いたことによる.しかし読んでみると全く快調で長くなんかない.まず定石的に Eratosthenes の地球の大きさの測量から始めて,宇宙マイクロウェーヴ背景放射の非一様性の最終的確認まで,驚くほどの詳しさ (Gamow の ylem の語源など知らなかった)と劇的描写の連続 (Hoyle による質量数5のクレヴァスの克服 ! )で,人間はどこまでやってのけるのか息を呑む思いが続く.私たちは Alpher-Bethe-Gamow 論文には間に合わなかったが,Burbidge-Burbidge-Fowler-Hoyle (B2FH)論文の衝撃は昨日のことのように思い出す.でもその裏にHoyle 対 Fowler の駆引きがあったとは.今思えば,Hoyle の定常宇宙モデルは初めから負けだったけど,彼の建設的反対ぶりは見事だった.
一つだけ注文がある.この本に出てくる人名は,上に書いたようにまだ文献的に生きている.従って検索の便のために,ローマ字ではどう書くのか,短い索引が是非ほしい.それと110番元素 (図67) は darmstadtium (Ds)と命名された. (ymatsui4/2006-06-25)
「フェルマーの最終定理」、「暗号解読」で我々を楽しませてくれたシンが第三弾として「宇宙論」に挑んだもの。だが、出来は前二作より落ちるようだ。

プトレマイオスから最新のビッグ・バン理論まで敷衍するのだが、如何せん本書を手に取るような方には"常識の範疇"の逸話が多く、啓蒙される点が少ない。題材が雄大過ぎて個々のエピソードに深みがないのだ。ただし、語り口は相変わらず巧みなので、体系だって「宇宙論」を俯瞰したい方にはお勧めかもしれない。

また、近代以降の研究者は別として、ロクな観測機器もない昔に、夜空の星を眺めながら次第に宇宙の謎に迫って行った研究者達にはロマンを感じると共に、改めて人類の英知に驚嘆する。そういう意味で、「宇宙論」と言うよりは宇宙への夢に賭けた人物伝としての価値がある書。 (紫陽花/2007-09-25)
私は電離圏プラズマを研究対象にしている研究者です。
本書に出てくるような宇宙物理現象は専門外なのですが、
学生時代から物理全般に興味があり、、
アインシュタインの相対性理論から始まるビックバン理論には特に興味がありました。
しかしながら所詮専門外。趣味程度にブルーバックス・シリーズなどを時折手に取り、
多少の薀蓄(うんちく)を得て満足していました。
大学教養の相対論の講義を、大学院生になってから受けに行ったりもしていました。
ただ、どうしても全体像がはっきりしません。
「この数式はどうして重要なのか?」、
「この理論は何に役立つのか?」、
といった疑問が残ったままです。

私が学生時代に感じていた、このような疑問は
最近の学生の理系離れに直結しているのではないでしょうか?
2008年に物理学でノーベル賞を受賞された小林誠先生が
「今の教科書には最低限のことしか書いてない。全体のストーリーが見えない」
とおっしゃっている通り、現代の理系教育の問題点の一つがそこにあったと思います。
例え数式の羅列でも、人間の作り出した学問としての物理や数学において、
たった一行の数式の中に多くの人間の歴史や、彼等の生きた時代の歴史が詰まっているのです。

現代の教科書にはない、ストーリーを著者サイモン・シンは完璧に伝えてくれます。
私が大学で物理を教えることがあるなら、本著を副読本とし、学生にレポートを書かせるでしょう。
読み切るのに一週間ほどかかりましたが、過去の読書とは比べ物にならないぐらい、多くのことを学ぶことができました。

(Dr. Gonzo/2009-01-19)
上巻を読んだところでレビューを書くのもなんですが・・・原書は一巻ものだし・・・レビューが上下巻別に出てくるので。

『フェルマーの最終定理』も『暗号解読』も面白かったので、見つけてすぐに購入。焦点は確かにビッグバン宇宙論なのだが、西洋の教養主義らしく、ギリシャ時代の宇宙認識から始まって、コペルニクス、ガリレオ、ニュートン、アインシュタインと、上巻は悠々と進んで、ハッブルが系外銀河のスペクトル赤方偏移を見いだすところまで。銀河の大きさを初めて類推したハーシェルは全恒星が同じ明るさとして概算した事(意外にも決して悪くない見積もりが得られている)セファイド変光星を用いた距離の見積もりの発見の経緯など、知らないことも沢山あって、楽しく読めた。

ただ、特殊相対論の紹介はちょっと賛成できなかった。特殊相対論は電磁気学の基本方程式であるマックスウェル方程式がガリレオ変換とコンパチブルでないことの解決として、運動方程式の方を変更する事で、電磁気学と力学の矛盾を解消したことに大きな意味があると、私は思っている。本書では電磁気学の話がまったく出てこなくて、エーテル否定の説明も、媒質(光の場合エーテル)の運動との関わりで極めて不十分なものになっている。特に、光速度一定の原理を、極めて天下りに与えているのが気になるところだ。この手の説明が世の中の「相対論は間違っている」本の出現を手助けしているのだから、もう少し工夫が必要だったと思う。

というところで、あとは下巻を読んでからにします。 (shibchin/2008-03-27)
ビッグバン宇宙という言葉は十分一般的になっているが、この現代用語を、専門家ではない一般読者にわかりやすく伝えるという点で、よく書かれた本だと思う。他のレビュアーも指摘しているが、シンの語り口はとても柔らかくわかり易い。ややページ数は多いが、長さを感じさせないほどソフトな本で、一気に読める。難解な専門用語がほとんど表に出てこない点がその理由だろう。
ビッグバン宇宙についての一般教養書として、第一にお奨めできる本だと思う。 (shannon/2008-02-11)
ポピュラーサイエンスのライターって、オーケストラの指揮者みたいに見えてきますね。どちらも題材(事実/楽譜)は決まっている訳で、あとはライター/指揮者の解釈によって見せ方/聴かせ方を変えてくる訳です。本書を読み終えると、サイモン・シン氏はただ者ではないなぁーと感じ入った次第です。

私はこれまでビッグバンに触れられた本(※1)を読み、TV番組(※2)を見てきました。それでもなお本書を読むと、新しい発見がありました。(私はすっかり本書にハマリ、週末の午後で上・下冊を読みきりました)
「科学はエラーの自己修正過程である」(カール・セーガン教授)の発言通り、ビッグバン理論が紆余曲折しつつも次第に確立していく様子がイキイキと描かれます。非常に感心したのは、資料・図・表の見せ方ですね。(ガリレオのスケッチを始めとするオリジナル資料、対立理論の勝敗表、概念の説明図、等々) オリジナル・データによっては「えっ、そんな風に見るんだ、解釈できるんだ」というモノがあり、「星の王子さま」の名言「ものごとは、心で見ないと良く見えない。いちばん大切なことは、目に見えない」を思い出した次第です。実験データも「仮説に基づく信念」がないと真実を掴み取れない訳ですね。科学におけるセレンディピティ的発見の解説にもなっているところがサスガです。
そんなわけで宇宙科学に馴染みがない方は勿論、「今さらビッグバンなんて」という科学ネタ通な方にもお薦め出来ます。

(※1)「僕らは星のかけら 原子をつくった魔法の炉を探して」(マーカス・チャウン)、「人類が知っていることすべての短い歴史」(ビル・ブライソン)は特にお薦めです。
(※2)「Cosmos Collector's Edition」のDVDボックスは、1980年の作品ではありますが、今もなお重要な作品だと思います。 (ゴルゴ十三/2006-06-25)
興奮する宇宙 ||||||||||||
いい本にはよけいな言葉はいらない。ここまでわかりやすく、かつ人間味あふれた宇宙論はない。一種のミステリーを読み終えたような爽快感がある。基礎知識も必要なし、まさしく万人向け。読んで損なし。 (ボウモア/2006-10-18)
暗号解読、フェルマーの最終定理の著者、サイモン・シンの第3作目。前2作、特に暗号解読は、僕の生涯ベスト3に入る名著だったため、ちょっと期待しすぎてしまったか、新鮮な驚きはありませんでした。

じっくりと秩序だてて宇宙創造という複雑なテーマを、その背後にある人間ドラマとともに書き上げているのは確か。僕自身もずいぶんと頭の整理になりました。宇宙論の入門編としてはとてもよいです。でも目新しいものはなし。

良くできたガイドブックではあるけれど、穴場案内やマニア垂涎のお宝紹介までは含まれていません。うーん、ちょっと残念。 (くろくま/2006-06-27)
 サイモン・シンならではのタッチでとても分かりやすく古代から現代に至る宇宙論を展開している。地動説と天動説、定常宇宙論とビッグバン宇宙論をそれぞれの論点から比較した表はとても分かりやすい。時代とともにその表の項目の評価が変化して行き優劣が定まる様は人間の理解が確実に深まってゆく様子を示している。
 また登場人物が生き生きと描写されている。訳者あとがきでも触れられているビッグバン宇宙論を展開したジョルジェ・メルートルは私も初めて知った。神学者であり科学者であるがゆえにうがった見方をされたことと思う。彼自身は「科学と宗教を混同することはない」と明言している。しかしファイマンが言うように(その直感があっているかはともかく)直感が人を動かす。したがって聖書の「光あれ」は科学者にインスピレーションを与えたのではなかろうか。

 その他にも民間企業のATTで電波望遠鏡が発明された経緯、それを更に発展させて宇宙マイクロ波背景放射の発見に至る経緯は、損得を超えた人間の善意がもたらした発見ではなかったか。

 定常宇宙論推進者のホイルが元素合成の問題を解決しビックバン宇宙論の基礎固めをするなど多くのドラマがあり生き生きとした宇宙論になっている。そのにしても量子力学の世界では無から有が生まれるというおよそ現実の世界からは推測できないことが生じているという。サイモン・シンには量子論の話も書いて欲しいと思う。 (21世紀/2007-04-22)
 これまでにも多くの書籍がビッグバンを題材として取り上げ、様々な角度から論じているが、本書はいかにビッグバンを解説しているだろうか。上下巻を読んだ感想としては、特別新鮮な驚きはなかったというのが正直なところだ。確かに筆者の筆力は素晴らしく話には引き込まれるし、今まであまり語られていなかったエピソードなど見所もあるのだが、いかんせん到着点が決まっているためにどうしても新味が薄いのだ。さらにビッグバンは殆ど「事実」として認められているもののまだその理論には不完全な部分も多く、最新の理論では主流?のインフレーション理論や、果てはVSL(光速変動理論)等も提示されており、そのあたりの展開がなかった事も不満が残った。
 ただし最新の(まだ不確定な)理論が記述されていないのは、観測と理論の科学の両輪が揃った地点までを現代の科学的宇宙観として知って欲しいためだと語られており、これには納得させられた。人類の叡智がいかにしてビッグバンを解明したのか、その歴史を知るにあたっては本書は一読の価値ありと思う。 (ことち/2006-11-16)
宇宙論の歴史を、それに携わった人々を伝うようにして話を進めていく、「フェルマーの最終定理」等と同じ手法でのストーリーの組立で、頭を悩ませる事無くすいすいと読んでいけるのは流石と思った。最終的にはどのような経緯を辿って今の宇宙論があるのかを、ざっと把握でき、ストーリーも楽しんで読めるのでオススメできるが、「フェルマーの最終定理」の時ほど盛り上がる感じもなく淡々と進む印象だった。(私個人としては「暗号解読」をまだ読んでいないので、「フェルマーの最終定理」のみとの比較になってしまいました)
上下巻まとめてのレビューとします。 (anomalocaris/2007-04-20)
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ビッグバン宇宙論 (下)
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新潮社(2006-06-22)
翻訳:青木 薫サイモン・シン
売上順位:101389
¥ 1,680(中古:¥ 356)

レビュー総評点:2
前2作が超絶に面白かったので、こちらも期待して購入した。700ページ近くある大作であるが、あっという間に読んでしまった。
確かに宇宙論の解説本としては物足りないという意見もあるだろう。ビックバンの解説はほかにもいい本がある。だが、この本は、ビックバン理論が歴史上どうやって浮かび上がって、どうやって対立する理論を蹴散らし、最終的に確立されたかという筋を追ったもので、たいへん説得力がありドラマがある。
昔はトンデモ理論だったビックバン論が正しいと認知されるまでの過程を知るのと、
すでに認知されたビックバン論を解説したものを読むのでは、理解の深さでいうと前者の方に軍配が上がるだろう。
たとえば、現在の民主主義、たとえばアメリカの3権制度の仕組みを解説した本があったとしよう。それは確かに詳しく現状を分析しているが、面白くはないだろう。それより、古代からどうやって民主主義が成り立ってきて、なぜヨーロッパのピューリタンが新大陸にわたって国家をつくったのか、といった根本に流れる思想について解説した本の方が、はるかに示唆に富むからである。
本書もそのようなものである。
(もぐぞう/2007-04-03)
「宇宙論理研究者は研究室の外に出て、ビッグバン・モデルは人間の好奇心と知性に対する
賛辞なのだと、世界に向かって語りかけるべきである。」(本書より)
高校2年で物理の授業についていけなくなった。
しかし、そんな自分でも本書は面白く読めた。
そして、上記の言葉に心から賛成した。
人間の理性が到達し得る、究極の謎解き。その世界をかいま見せてくれたサイモン・シンと、
訳者の青木薫氏に感謝。 (みーむ/2006-09-07)
やはり物足りない内容だった。恒星の核反応や銀河形成に付いては、佐藤・松田『新装版 相対論的宇宙論』(ブルーバックス)が、ビッグバンに付いてはワインバーグ『宇宙創成はじめの三分間』が良い。ホイルが公平に解説した『宇宙物理学の最前線』(値段が高い)や、背景放射の観測ならスムート自身による『宇宙のしわ』が、インフレーションならグース自身の『なぜビッグバンは起こったのか』がある。そちらの方が迫力がある。
出典のがわかるような文献表が無いのは不思議。ノンフィクションや個人の会話などがたくさん載っている本で、出典が明記されていないの不合格。訳書で省かれているのならば、言語道断。また、原著刊行から2年経っているのが惜しい。自然科学の翻訳は、少数の翻訳者に仕事が集中しているようだ。出版社や編集者自身が内容を理解せずに、安易に企画しているのだろう。 (おひるねおさる/2006-09-15)
うーん、前の二冊が神がかって面白かったので期待していたのだけれど、
思った以上にあっさりしてました。前作までは「数学者」「暗号の解読者&作成者」達が、
試行錯誤やひらめきにより問題を突破していくところに興奮と感動があったんですが、
今回の研究者たちは基本的に当時最新の科学機器による「忍耐強い観測」と「データ収集」
により業績を上げていくもので(というのも対象が手の届かない「大宇宙」なので
仕方がないんですが)、宇宙論の発展=科学者たちの戦い、というよりは科学技術の
発達の歴史じゃないのって思えてしまうのね。ハッブルが「自作の望遠鏡で大発見をした」
というので無い以上、科学機器に関する記述も並行して述べていくべきかな、と。
直径うんメートルのレンズが登場したところで、それがどういう素材や製作過程を経て
生み出されたのか等は全く記述がありません。人間ドラマを通して描く、という今までの
スタイルにこだわりすぎたのかなとも思います。
文句ばっかですが値段相応の読み応えはありましたし、引き続き次回作が待ち遠しい作家で
あることには変わりません。個人的には「暗号解読2」でもオッケーですw (ねこのつむじ団/2006-11-15)
「フェルマーの定理」「暗号解読」とサイモン・シンの本は、専門外の私でもとても楽しく読めた。
ビッグバンについては類書がたくさん出ているので、何をいまさらと思っていて、最初はこの本を読んでいた。特に下巻に至るにつれ、冗長に感じて、飛ばし読みをしてしまった。
しかし、2006年のノーベル賞は、まさにこの本の下巻の後半で大きく取り上げられているCOBEが受賞した。改めて読み返すと、ビッグバンというのは、今こそ旬というのがよく理解できた。 (777/2006-10-30)
 本を読んでいて徐々に残りのページが少なくなっていくのを、残念、残念、もっと読んでいたい、と思う事がある。 科学書でこんな気持ちになったのは久しぶり、小学生のとき野口英世伝を読んだとき以来である(嘘つけ!)。 この本は、ビッグバンという現実にあったかどうか本当のところはまだはっきりとはわからないイベントを非常にうまく説明している。 カトリックの坊主の理論がビッグバンの端緒だったとは! 女性コンピュータの面々が、ボランティアで頑張ってくれたおかげで、天体写真の画像解析が飛躍的に進んだなんて、みんな、知ってた? ヘンリエッタ・リーヴィット、あんたはエラい。  (ヒデボン/2006-07-19)
ポピュラーサイエンスのライターって、オーケストラの指揮者みたいに見えてきますね。どちらも題材 (事実/楽譜)は決まっている訳で、あとはライター/指揮者の解釈によって見せ方/聴かせ方を変えてくる訳です。本書を読み終えると、サイモン・シン氏はただ者ではないなぁーと感じ入った次第です。

私はこれまでビッグバンに触れられた本(※1)を読み、TV番組(※2)を見てきました。それでもなお本書を読むと、新しい発見がありました。(私はすっかり本書にハマリ、週末の午後で上・下冊を読みきりました)
「科学はエラーの自己修正過程である」(カール・セーガン教授)の発言通り、ビッグバン理論が紆余曲折しつつも次第に確立していく様子がイキイキと描かれます。非常に感心したのは、資料・図・表の見せ方ですね。(ガリレオのスケッチを始めとするオリジナル資料、対立理論の勝敗表、概念の説明図、等々) オリジナル・データによっては「えっ、そんな風に見るんだ、解釈できるんだ」というモノがあり、「星の王子さま」の名言「ものごとは、心で見ないと良く見えない。いちばん大切なことは、目に見えない」を思い出した次第です。実験データも「仮説に基づく信念」がないと真実を掴み取れない訳ですね。科学におけるセレンディピティ的発見の解説にもなっているところがサスガです。
そんなわけで宇宙科学に馴染みがない方は勿論、「今さらビッグバンなんて」という科学ネタ通な方にもお薦め出来ます。

(※1)「僕らは星のかけら 原子をつくった魔法の炉を探して」(マーカス・チャウン)、「人類が知っていることすべての短い歴史」(ビル・ブライソン)は特にお薦めです。なお宇宙の始まりに関する試論を含めた超弦理論の解説本としては「はじめての“超ひも理論”― 宇宙・力・時間の謎を解く」(川合 光)が面白いでしょう。
(※2)「Cosmos Collector's Edition」のDVDボックスは、1980年の作品ではありますが、今もなお重要な作品だと思います。もし超弦理論と宇宙の始まりの関係に興味のある方は「Nova: Elegant Universe」を御覧になると良いでしょう。(英語の聴き取りが出来る方に限られますが) (ゴルゴ十三/2006-06-25)
さて、下巻。下巻の主役はフレッド・ホイルだ。彼は、アンチビッグバンすなわち定常宇宙論の旗頭だから、変な話だが、ヒールとして最高のパーソナリティーなのだろう。まあ、定常宇宙論は彼で持ってたわけだし、一方、ビッグバン宇宙論はたくさんの役者が出て来て、決定的なヒーローがいない。これからの正しい理論はどんどんそう言う傾向が強くなるのだろう。量子論でもそうだしね。

フレッド・ホイルの定常宇宙論は何となく嫌いで、しかも、彼の書いた SF に良い印象を持っていなかったりして、科学の発展の足を引っ張った変なイギリス人という印象しか無かった。しかし、元素合成の理論で極めて重要な貢献をしていることを本書で知った。その他にも、ホイルの宇宙論は、当時としてはビッグバンより「とんでも」では決してなかったことを説得されたのは収穫だった。それに、フレッド・ホイルに焦点を当てることで、ビッグバン宇宙論の特徴にスポットライトを当てることが出来ている。まあ、彼は、ビッグバンの名付け親でもあることだし。

そこから、宇宙背景輻射の発見、COBE による背景輻射の揺らぎの発見で、ビッグバン宇宙論は確固たる地位を確立する。本書はそこまでで筆を置いている。インフレーション宇宙など、その後の発展については本文では触れていない。現在の科学の到達点として確として書けるのがこれまでとサイモン・シンは思ったのである。本書を読んでいて、それも説得的だった。

一つ、前から感じている疑問が本書を読んでも残ったままだったのが残念。それは、背景輻射が地球の運動でドップラーシフトする話だ。直接的は当然すぎるほど当然の話なのだが、これって、絶対運動を規定するのではないだろうか。相対性信奉者としては、なんとなく引っかかる。どなたか、納得させてくれませんか? (shibchin/2008-03-27)
 まず。”ビッグバン”という言葉を軽蔑の意味で使ったフレッドホイルの、報われないが価値のある人生は、映画のように印象的でした。
 宇宙論を支える観測事実の全ては、人類が誕生した当初から、様々な波長と強度の電磁波(電波、光)で地上に降り注いでいたわけです。人間の肉体的な眼が望遠鏡で拡大されて微弱な光をとらえられるようになり、電波の理解によって機械をつかって関知できる波長の幅を広げて、既に全天に提示されていたものを認知し分析し解釈してきたのです。
 理論と観測と実験が絡み合い、複数の仮説が競争し、137億年前を見通す眼が階段状に進化していく様子は、そのままエンターテイメントにも思える面白さでした。
 以前見学した施設では暗黒物質の感知をターゲットにした次世代の眼(観測機)の製作が進んでいました。この問題の決着を生きている間に聞けるかどうかは微妙ですが、いずれ次のステップは必ず訪れるという確信は強まりました。 (jimmy/2007-10-13)
ビッグバン理論だけを扱っているのではないかと思って手を出さなかったのだが、人類の宇宙に対する認識から物語が始まっているので興味を惹かれた。まずは、ギリシャ時代の太陽中心説対地球中心説のエピソードが丁寧に書かれている。また、コペルニクスによるパラダイムシフト、それを根拠づけたガリレオの観測とケプラーとニュートンの理論もわかりやすく紹介されている。ビッグバン理論が宇宙背景輻射によって決定的になるまでの人間ドラマも面白い。科学とは、理論が提出されて、実験や観測によって根拠づけられるという、その過程を実に丁寧に書いている。本書は科学書でもあると同時に、いやそれ以上に人間ドラマを描写しているのだ。

ビッグバン理論やガリレオの成果、ニュートンの功績については、それらを個々に取り上げてる書籍の方が分かりやすいかもしれない。『ビッグバン宇宙論ん』においては、個別の事項については物足りなく感じることもあるだろう。けれども、本書はあくまで宇宙に関する科学史の本であり、また科学者たちの人間ドラマの本なのだと思う。そのことに留意すれば間違いなく楽しめるだろう。 (kayakaya/2007-09-12)
この頃の急激な望遠鏡の値段の低下で、もしかしたら、60回ローンを組んだら、世界でも有数の望遠鏡を作ることが出来るのではないかと夢見ているあなた。そんなあなたに絶好の1冊です。人間が持ちあげられる最高の大きさは、どうやら口径60センチの反射鏡が最大のようですので、すぐさま買って、高い山に登って一晩中夜空を眺めていたら、きっと宇宙の最初も分かるはず。そんな気にさせてくれる1冊です。上巻も読みましょう。 (PAL/2007-04-06)
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ポアンカレ予想―世紀の謎を掛けた数学者、解き明かした数学者
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早川書房(2007-12-19)
監修:志摩 亜希子監修:永瀬 輝男翻訳:坂井 星之翻訳:塩原 通緒翻訳:鍛原 多惠子翻訳:松井 信彦ジョージ G.スピーロ
売上順位:133412
¥ 1,995(中古:¥ 950)

レビュー総評点:84
 「球」も「立方体」も「正四面体」もすべてトポロジー的には「同じこと」であるのは,「切ったり貼ったり」することなく「伸ばしたり縮めたり」することによって「球」を「立方体」にも「正四面体」にもすることができるからである…。
 このようにして多様な物体をその研究対象とする,トポロジーという数学の一分野において,100年以上もの長きにわたって解決されないままでいた「ポアンカレ予想」が,2004年になって証明された。
 本書は,この「ポアンカレ予想」を巡る数学者達の人間ドラマを綴る物語である。
 「1904年の発端から,多くの浮き沈みを見届けてきた偉大な冒険は,1世紀にわたって何百人もの数学者を忙殺し,また多くの経歴を造,そのほとんどを破滅させてきたが,ここについに終結した。」
 筆者は,この「ポアンカレ予想」を巡る数学者達の物語をこのように締めくくる。
 そこに描かれているのは,揶揄の言葉として使われる「数学」という硬直したイメージからはかけ離れている。純粋な知的好奇心に駆り立てられ,人生のすべてを精神的思索に捧げる人間達の,時に滑稽でも美しい探求の姿である。
 純然たる人間の精神的な活動が,このような冒険を完結させたということが,「四色問題」とは対比をなしていて面白い。 (8hours_a_day/2008-08-19)
秀作 |||||||
微分幾何にもトポロジーにも無縁のレビュアーが、本書を読んで「ポアンカレ予想」が何であるか理解できたわけではない。にもかかわらず、一気呵成に読ませる魅力があった。実のところ、本書を読むきっかけは、『NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのかー天才数学者の光と影』を手にしたことである。この本も秀作だが、ペレルマン氏が数学界から忽然と姿を消した理由は十分に解明されていない。この事件の真相は、本書の第13章で解明されている。「世俗から超然とした数学と数学者たち」という型どおりのイメージの裏で、きわめて人間的なドラマが展開されていることを。本書で詳細に経緯が説明されているプライオリティ問題の微妙さに、数学の魅力と魔性が潜んでいるのだろう。プリンストン高等研究所のロバート・マクファースン氏は、これから眠りについて、四千年紀に目が覚めたとしたら、「リーマン予想はもう解決されたかい?」とまず聞きたいそうだ。証明が提出されても、その正しさを確認するためにさらに数世紀を要する可能性がありそうなので、四千年紀でも証明の確認作業が完了していないかもしれない。
 本書の著者スピーロ氏は、科学ジャーナリストだそうだ。本書を読むと、日本は科学ジャーナリズムの分野でも欧米にだいぶ遅れをとっているのではないかという思いを強くする。ポアンカレ予想をとりあげたNHKスペシャルは見逃してしまったが、少年少女に夢を与える良質な科学ジャーナリズムの隆盛を期待せずにはいられない。 (zigeunerweisen/2009-02-27)
非常に良質のドキュメンタリーで、まったく数学にもトポロジーにも造詣の無い自分でも、最後まで読み終わることができた。
この本の素晴らしいところは、淡々としてる文体の中にも、この問題を解こうとして努力(というと短絡的すぎるかもしれないが)してきた天才達の息吹を感じることができることだろう。
ポアンカレ予想を、数理を中心に解説されたら手も足も出ないが、人を中心に追いかけ、解説してくれているので、とても充実した楽しい読書ができた。
またこの予想を証明したペレルマンがいいです。謎に満ちていて。
この本は彼に割かれるページはそれほど多くなく、これまでこの問題に挑戦し、やぶれていった人間に光をあてている。
そうした人間や人間の失敗、努力する姿に対する暖かい目線と姿勢が、文系人間にも読みきらせる素晴らしい本を生み出したのではないかと思う。
星がひとつ少ないのは、強く勧められるが、さすがに読み返しはしない(つまり座右の書ではない)という理由だけです。
ぜひ一読を。特に学術研究に進もうと思 (久保田夏彦/2008-03-02)
 NHKのペレルマンの番組を見ていたせいか、文章が読みやすかったせいか、分からないタームも気にせず一気に読んてしまいました。ポアンカレ予想と、それを生んだトポロジーという数学の分野が発展していく様子が、素人にもある程度イメージできるくらいには簡単な説明で、しかしくわしく書かれているのがうれしい。ポアンカレ予想がどういうものかの直感的に分かりやすい説明はもちろん、ポアンカレが「ポアンカレ予想」を書き記すに至った、キーになるいくつかの論文を追うようにして解説してあるところもあって、数学者の発想とその広げ方、みたいなものが垣間見れたような気がします。あいだを縫って入ってくる、ポアンカレ予想に取り組んだたくさんの位相幾何学者たちの業績と生涯を追った解説も、緩急がありつつ面白い。
 後半、微分幾何学という(古くて)新しい方向から突破口が開かれてペレルマンの解説にいたるところも、ところどころ普通の文章では厳しいところもありますが、ペレルマンの駆使した「物理学的な」テクニックなどが、比喩を駆使して詳しく書かれていて、興味深いです。ペレルマンの論文の審査が終わる直前に起こった、中国人チームからの先取権にかんする「物言い」騒動とその決着についても書かれていますが、ある意味意外な決着で驚きました。
 既刊の『ポアンカレ予想を解いた数学者』とは、同じ題材を扱っていながら、ずいぶん印象が違うのが不思議です。私はこっちのほうが楽しく読めましたが、両方読んでみるのがいちばん面白いかも。 (西向く侍/2008-01-11)
1904年フランス人数学者ポアンカレがとある論文への「補足」として書いた命題がすべての発端だった。20世紀当初の新興分野だったトポロジーにおけるその命題は、その後、多くの数学者の心を捉えた。真であり証明されるのか、偽であり反例を持つのか、様々な国の野心的な数学者がそれぞれの誇りを賭けてこの命題にアタックしてきた。

本書は、この「ポアンカレ予想」の誕生から解決までを解説した第一級の数学読み物である。基本的に時間軸に沿った解説である。関わった数学者たちのプロフィールを詳述し、数々のエピソードを交えながらのストーリー展開は、まるで一篇の長編映画のようで淀みがない。大変面白く読める。

数学的な内容についても、たくみな比喩を織り交ぜつつ、解説がなされていて、読む前に比べて少しわかった気分が高まる仕掛けになっている。ここは読者の素養に応じて、読み飛ばすのもありだし、その比喩でよいのかどうか検討してみるのも有益なのだろうと思う。7次元以上の高次元ポアンカレ予想がまず解決されて、その後5次元・6次元の解決が続き、最も困難な3次元と4次元が残っていった過程が、そこで登場した新概念「リッチ・フロー」の解説とともに物語られている。巻末には書籍目録が載っているので、必要な人はそれを手がかりにさらなる探索に入ることも可能である。

評者には二つの点がとくに興味深かった。まずはなんといっても最後に登場したペレルマンである。100年に渡る大問題に決着をつけたにも関わらず、世俗的な栄誉に一切背を向け、あまつさえ数学そのものからも引退してしまうなんて、感嘆するというほかない。それと対照的なのが、曹懐東・朱熹平チームによる検証論文をめぐる一連の事態である。国際政治のヘゲモニー闘争がこんな話題にまで影を落としていることにも、驚きを禁じえない。

サイモン・シン『暗号読解』(新潮社)、ジョン・ダービシャー『素数に憑かれた人たち』(日経BP社)などに夢中に夢中になった人にオススメです。
(gg2/2008-04-26)
幾何学者界に向けた本で、一般向けではない ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ポアンカレ予想そのものの解説になっておらず、微分幾何学者達の研究成果や交流の内幕っぽい話が中心であり、数学者特に幾何学者にとっては面白い話かもしれませんが、一般人にとっては砂を噛むような淡白な話ばかりで面白味がありません。翻訳も、ただ書いてあることを必死に日本語に訳した感じで、数学的に意味の通じないところが多くありました。 (サイエンス書評者/2008-01-04)
ベーグルとプレッツェル |||||||||||||||||||
ドーナッツ型と呼ばれているものを、本書では、ベーグルとして紹介している。
タイやのチューブのような形である。
それに対して、プレッツェルは、ドーナッツを3つ横につないだような形である。
これらを、トポロジーという学問で取り扱っていることの紹介から話しが始まる。

ポアンカレ予想は、
予想そのものの内容、
予想の証明、
証明した人の謎。
の3つの謎を含む。

arXivに投稿された論文に対して、
モーガンとティエンが「リッチフローとポアンカレ予想」とうい本を、
クライナーとロットが、「ベレルマンの論文の注釈」という本を出すという。
ツァオとチュウの論文が巻き起こした紛争についても記載している。
ベレルマンの証明の確認を、ハミルトンが宣言した。

ベレルマンがなぜ、数学界から隠遁しようとしたかが推測できる。
壮大な話に、どんどんひきこまれてしまう。 (kaizen/2009-04-29)
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暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで
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ASIN:4105393022
新潮社(2001-07-31)
原著:Simon Singh翻訳:青木 薫サイモン シン
売上順位:54453
¥ 2,730(中古:¥ 957)

レビュー総評点:286
文明発祥の古代から現代まで。通信情報の秘匿=暗号化の重要性を史実に基づく悲喜劇こもごもの痛快エピソードで紹介。またそれは同時に暗号開発者と解読者が繰り広げた逆転に次ぐ逆転の、壮烈な戦いの歴史でもあったのだ。
 ”たぬき”レベルの古代暗号から最新コンピュータ暗号まで。豊富な取材と著者/訳者の優れた筆致によって、暗号技術の成り立ちや仕組み、その破られ方など、歴史に沿ってわかりやすく理解できる。数々の暗号システムの巧妙さに知的好奇心は満腹。次々と現れる天才暗号技術者たちの閃きと英知に感嘆。そして暗号に翻弄される人々の人生と歴史ドラマに感動。
 史上最強!解読不可能としか思えないドイツ・エニグマ暗号の解読に挑む英国数学者たちの知られざる偉業。埋蔵財宝暗号にまつわる数奇な物語。現代数学者たちの苦闘と勝利。豊富なエピソードはどれも本当に面白くドキドキして読み進められる。
 JPホーガンのSF小説が好きな方には特にオススメ。科学者数学者考古学者の探求心と不屈の闘志はやはり素晴らしい。元気が出る。 (実況人/2002-02-19)
暗号について扱った本をそんなに読んだわけではありませんが,この本は絶対にお薦めの本です。著者のサイモン・シンは自身物理学者で非常に明晰な頭脳を持った方のようですが,知識をひけらかすような所はみじんもなく,とにかく読んでいて全く飽きないのが驚きです。それは,単に「この暗号はこういう仕組みである」と述べるのではなく,「なぜその暗号が生まれたのか,それに関わった人達の人生ドラマはどうだったのか,そしてその結末は!?」ということを,深く掘り下げているからです。まるで小説を読んでいるかのように,暗号の歴史がよく分かります。暗号にロマンを感じる人,ぜひともご一読下さい。 (nobptl/2006-03-28)
この人の書く本は読ませ方がうまいと思う。
「フェルマーの最終定理」の時もぐいぐい引き込まれたが、本作も同様に引き込まれた。
コンピュータ関連の仕事に携わる者として、現在、暗号は避けて通ることができない。
「現代の暗号が何故存在しているのか?」について背景となる歴史を知ることで、理論への理解を深めやすくなると思う。
(toshi/2007-03-18)
もともとは、暗号の勉強をしなくちゃならない状況になって仕方なく買っただけの本だったんだけれど、あまりにおもしろくてたちまち夢中になってしまった。おすすめです。

構成としては、暗号の発展の歴史を段階的に追っていくなかで、暗号の理論が自然に学べてしまうように書かれている。古い暗号がいかにして破られ、それに対抗してどのように新しい暗号がつくられてきたのか。そういう、暗号に関わる歴史上の事件の話とか偉人列伝みたいなのをわくわくしながら読み進めるうちに、はじめは原始的な文字置き換え式の暗号とかの話だったのが、終わりには、現状では最強である量子暗号の理論にまで辿りついてしまう。ぼくなんかは、頭のいい奴が新たな暗号方式を考え出すたびに「こんなすごい暗号、絶対に破られっこないぞ!」と毎回(愚かにも)思ってしまうんだけど、でもそのたびにもっと賢い(あるいは執念深い)奴がでてきて、そいつをやすやすと(あるいは苦労に苦労を重ねて)破ってしまうので、ああ世の中には何と恐ろしい連中がいることよ、それにひきかえ……とため息をついてしまうのだった。でもそのため息は、とても爽快なため息なのだ。

盛り込まれているエピソード自体も、もうめちゃくちゃにおもしろい。古代文字の執念の解読。ドイツによる驚異の暗号機械エニグマと、それに挑戦した(せざるを得なかった)弱小国ポーランドの涙ぐましい努力。大発見をしても、安全保障上の要請からそれを発表することができなかった数学者たち(暗号理論は数学理論なのだ)の悲哀と誇り。今度公開される映画「ウィンドトーカーズ」(ジョン・ウー監督)のネタになっているナヴァホ語暗号の話もでてくる。理系文系かかわりなく、好奇心さえあれば誰でも読める。50過ぎのうちの母も大喜びで本書にかじりついておりました。売れ行きがよいのも当然です。

訳者あとがきによると、著者シンの前作「フェルマーの最終定理」のほうも異常におもしろいらしい。こっちも読まなくては。 (ryoma komiyama/2002-08-04)
著者は、ケンブリッジ大学で物理学博士号を取得した後、BBC放送の番組プロデューサーの経験がある人です。本書は、スコットランドの女王メアリの悲劇から、現在最も注目を浴びている量子暗号に至るまで、暗号のくわしい解説・社会に及ぼす影響だけではなく、暗号作成とその解読にまつわる人間ドラマまで生き生きと描いて、非常によくまとまっているという印象を受けました。
とりわけ、第2次世界大戦時ドイツ軍が使用した暗号機械エニグマのメカニズムについて説明した第3章と、その解読に貢献した数学者アラン・チューリングの業績について説明した第4章が圧巻です。この2章だけでも読む価値があるといえます。
第5章では、インターネット時代の電子商取引のバックボーンとなる「公開鍵暗号技術」についてわかりやすく簡潔に説明しており、著者のサイエンスライターとしての力量を感じました。
最終章での量子暗号の叙述については、若干さらっとしすぎていて物足りないところもありますが、巻末に"Further Reading"として文献、関連サイトも紹介されているのでそれを読めということでしょう。
結論からいうと、科学書読解の楽しみ(暗号の仕組みについての理解)と歴史書読解の楽しみ(暗号にまつわる人間ドラマの鑑賞)の両方が味わえるため、読んでよかったという気持ちが強かったです。 (カエターノファン/2002-05-19)
サイモン・シンが『フェルマーの最終定理』に続いてまたもやってくれた...とはいっても,原書の出たのはもう2年前だが.
食いすぎにげっぷの出そうな,最新科学の解説書はいくらでもある.しかし,最先端の発見をした人々の知的興奮を伝えること,発見の中の本質的部分を読者が共同作業できること,しかも重要な点を明確にわかりやすく伝えること,これらを同時に成し遂げた解説・読み物を仕上げた作家は,サイモン・シン以外にわたしは知らない.
この本では暗号解読に携わる人たちの精神的価値と科学的価値とを同時に伝えている.挑戦することの素晴らしさをこの本を通じて体験してほしい.
最後に訳者の青木薫さんに感謝したい.科学書に対するこの人の翻訳は読んでストレスを感じない.専門用語を多く含んだ文章を自然に読める文章に書くこと,これは日本人が書いた科学書の半数近くで実現されていないことである.しかし,この方の翻訳で快適に読めない文章には出会ったことがない. (じろう/2001-08-09)
 東京都美術館で開催中の「ルーヴル美術館所蔵 古代エジプト展」 で古代エジプト文字ヒエログリフをながめているうちに”どうやってこの文字を解読したのだろうか”という素直な疑問を思い出しました。
 これが、4年前に読みかけのままにしていたサイモン・シンの「暗号解読」を本棚から取り出すきっかけでした。
 スコットランド女王メアリーの事件、米国の埋蔵金探し、2つの大戦の帰趨・・・と単独でも十分フルコースになりえる話題の連続、公開鍵暗号の誕生にいたる歴史、量子暗号の概論、と息つく間のないスペクタクルです。読み終えたときには脱力感さえ感じました。
 どの暗号作成/解読にも、何人かの数十年単位の執念と、さまざまな形でのコラボレーションが絡んできるところが印象的です。多彩な学問領域の異才が国家レベルの組織に集って暗号という知の塊をつくり上げるドラマは格別でした。特に、エニグマの解読と、RSA暗号発明のドラマは圧巻でした。
 「量子コンピュータ」についてだけは記述があっさりしすぎているので、他の書籍にあたる必要があるでしょう。 (jimmy/2005-09-19)
暗号技術を語る本書の面白さはいくつかの側面がある
①作成技術と解読技術の確執の中で急速に進歩していく技術進化の面白さ
②歴史の転回点で暗号がいかに大きな役割を果たしたかの歴史秘話的な面白さ
③暗号解読という日の当らないところで大変な苦労をするプロジェクトX的な話しの面白さ
④現代社会のネットワークの発展において暗号がいかに重要かの啓蒙書的な要素
個人的には①と②が圧倒的に面白く、エニグマ解読の辺りまでが素晴らしかった。③については、多少、センチメンタルな部分があり好みの分かれるところだと思う。④については、技術的な記述の厳密さが複雑に進化した対象に対してどうしても不足してくることもあり、今日的な重要度は理解できるものの読み物としての面白さとしては見劣りするかも知れない。
しかし、本書はそうした暗号に関する古来から現在を経て今後の展望までを総覧しているところが凄いと思う。同じ著者の「フェルマーの最終定理」は題材に関心が持てずパスしたのだが、本書は充実した読書体験を与えてくれたと思う。 (いしだ/2005-08-10)
おもしろい! |||||||||||
単アルファベット式、ヴィジュネル、エニグマ、量子暗号
よくこれだけの暗号方式を一冊の本にまとめられたなと思う。
書き方も単にこういう暗号が今まであったというような教科書
的な書き方ではなく、暗号を開発する人やそれを解読する人といった
個々の人間の営みを躍動的に描いている。(このあたりは青木薫さんも
本の最後に指摘していたが)個人的には鍵配送問題に取り組んだ
ディッフィー、ヘルマンの”神は愚か者にむくいたもう”といった
名言やRSAを開発したアドルマンらの公開鍵暗号誕生秘話のあたり
が気に入ってます。公開鍵暗号の発想自体鳥肌がたつほど美しいも
のだと思う。これは不思議なのだが世の中に革命ともいえるほどの
変化をもたらした発明や思想はそれがいったん世の中に普及してしまう
とそれがあることが当たり前になってしまう。本を読めばああ確かに
そう考えればいいのかと結果だけ追うことになるがそれを答えがない
状態で取り組んだ先駆者たちに頭が下がる思いです。ただRSAと同じ
発想でケンブリッジ大学を卒業したばかりのクリフォードコックス
が素数を使って一方向関数を見つけてしまうあたり、不思議と世界中で
少なからず同じことを考えている人がどの分野にでもいるのだなあ
と思った。(本の批評ではないが)
 
とにかく内容自体5000円以上の価値があるものだと思うので
ぜひ読んでみてはいかかでしょうか? (ジダン2/2005-07-10)
分厚い本ではあったがとても面白かったので一気に読んでしまった。暗号の本と言うとインターネットのセキュリティーを思い浮かべる人も多いと思うが、この本ではむしろ暗号自体の面白さや発展の歴史を綴っている。と言っても後半になると当然インターネットに使われている暗号の話も出てくる。
暗号に関する様々なトピックが並んでいるがそのどれもが非常に読みやすく、おもしろい。それぞれの話のスケールが大きく、歴史を変えてしまうような重大な事件の裏側で行われていた情報戦争が生々しく再現されている。歴史をおって展開して行くので、本の後半に行くにしたがって徐々に暗号のレベルも上がって来る。しかしながら無理なく理解しながら読めるように非常に注意深く構成されているし、暗号の本質をついた説明がされているので暗号が複雑になっていっても無理なく理解して読み進めれる。
暗号は、その歴史の始めのころのものは数学者が作った物ではないのでパズル好きの人ならば解読法を考え出す事もできるはずだ。そういう意味でも知的好奇心をかきたてられる。インターネットを使っている人ならばクレジットカードの番号など本当に秘密を守られているのか心配な人も多いはず。この本を読み追えるころには秘密を守っている基本原理が理解できるようになっている事だろう。 (takashi_m/2002-09-19)
この本を買ったのは題名が気になったから。とくに暗号に興味があったわけでもないが、以前に映画で『U-571』を見ていたからかも知れない。読み進めながら自分でも簡単な例の暗号解読に挑戦していたが、進むうちに複雑になりど素人の私にはとても解読は不可能になっていった。ただ読み終えてみて暗号の時代背景は良く分かった。昔から解読者と作成者のイタチごっこであるが、なんでこんな暗号を思いつくのか?どうしてこんな意味不明な暗号が解読できてしまうのか? 切磋琢磨の両者の戦いはまだ続いている。 (カルロス オヤマダ/2001-09-05)
電子メールの普及やインターネットショッピングなどで
気になるのはプライバシーデータの保護。これらを解決
してくれるのが暗号技術。その暗号の成り立ちや歴史上重要な
史実をわかりやすく紐解いてくれています。

第2次大戦中に米軍は解読不可能な暗号を作成するために
ネィティブインディアンの少数部族のあまり海外に知られていない
言語を駆使して彼らを通信班として利用。一方ドイツや日本は
かなりの情報を解読されて敗戦にいたったなど秘話も満載です。

現在のインターネットの通信の保護に利用されている公開鍵、秘密鍵
もわかりやすく紹介され、最後には次世代の量子コンピュータによる絶対に
明かない暗号の作り方など大変楽しく興味深い内容です。 (山田晃嗣/2006-12-17)
まず、この分厚さがいい。暗号の深い世界を紹介するにはこれ位の当然。暗号の世界には昔から興味もあり、えいやっで買ってしまった。後書きでびっくり。最近の私のbest bookである「フェルマーの最終定理」の著者ではないか、サイモンさんは。ほんとにおもしろい本をかくかたですね。本著は暗号は当然のこと、ヒエログラフから量子・光子の世界まで素人にも噛んでふくめるように本当におもしろく紹介してくれる。二次大戦の暗号でナバホ族の活躍がこのなかでは一番印象に残った部分。
サイモンさん、次ぎはどんな世界を紹介してくれるか興味しんしん。 (fnkmsk/2001-10-18)
非常に難解な暗号技術について、その必要となった歴史的な背景や、
関わった人物のひととなりなどを織り交ぜながら、実に面白く描いてくれる。

面白いだけでなく、この本で得られる知識は多い。
第二次世界大戦は言うに及ばず、多くの世界史の重要な事件の背後に
「暗号解読」の可否が影響を与えいると言う事実は、歴史の見方も変えてくれる。
また、暗号作成者とそれを解読しようと試みる者達の競争なのであるが、
これまでの人類の歴史では解読者達の圧勝であることは、
我々にとっては意外な事実なのかもしれない。

現在もインターネット通信で多く使われる「DES」の暗号化アルゴリズムについて
別の本の解説読んだ際に「よくもまあ、ここまで複雑な計算を。。」と感じただけで、
その複雑さの「必要性」まで理解できなかったが、この本でようやく理解できた。
加えて、DES暗号の鍵長が、米国の政府機関NSAの圧力で
わざわざ短くなるように(解読しやすいように)規制されている事実も見逃せない。
我々が普段使っている暗号は、「絶対安全」とは言えないのだ。

何らかの形で暗号に関わるのなら、この本は読んでおいて損はないだろう。
文系出身でも十分読めるはずだ。

ただ、「技術解説本」としては、過大な期待をしてはいけない。
現代の通信で最も重要なRSA暗号のアルゴリズムに関して、
巻末に補遺として数学的な説明が記されているが、
(さすがの著者も、本文での説明には難解すぎると判断したのだろう)
判り易いとは言えないし、十分なものでもないと思う。
RSA暗号のアルゴリズムについては「図解雑学 暗号理論」と言う本がお勧め。 (/)
とても面白かった。
まっ先に読んだのが最終章の量子暗号の話で、新聞記事などでこういうものがあるのは知っていたものの、実際にどうやるのかさっぱり分からなかったのが、これを読んですっきり。なるほどねえ。
一週間ほどかけて少しずつ読みましたが、毎夜、無意味な文字が並んだ暗号を必死に解こうとする夢を見て困りました(笑)。 (/)
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ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)
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ASIN:4006030053
岩波書店(2000-01)
原著:Richard P. Feynman翻訳:大貫 昌子リチャード P. ファインマン
売上順位:1306
¥ 1,155(中古:¥ 537)

レビュー総評点:342総評点300以上の注目商品
読まないと損をする自伝の傑作 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
自らを語って一片の自惚れも自虐もなくこれほど澄明なユーモアに満ちた文章も珍しいのではないか。時にこのユーモアは抱腹絶倒の笑いに発展し、例えば徴兵検査で精神科医の検診を受けたさいの面白さはさながらウッディアレンの喜劇である。自分のことをまるで他人事のように語る筆遣いは欧米人によくあるスタイルの一つだけれども、この本のそれはちょっと一味違うように感じられる。それは自分自身の今に至る軌跡を面白おかしく描きながらも微動だにせぬ目で観察する科学者の視線といったものだろうか。沸騰する笑いと冷厳な観察眼その微妙なバランスがこの本の魅力を生み出しているのかもしれない。決して短くはない内容だが読み始めて気が付けばいつのまにか終章に至っており、そして読後感は実に爽やか!である。 (noa-dr/2006-06-24)
素晴らしい!! ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
 ファインマンは、くりこみ理論で朝永振一郎と一緒にノーベル物理学賞をとった物理学者。でも、その話はぜんぜん出てこない。
出てくるのは、ちょっとしたことへの着眼と興味、筋道だったアプローチ。それは物理にとどまらず、女の子だったり、絵画だったり、音楽だったりする。
 わたしが、「努力」とよんで歯を食いしばってやることを、難しい面倒だといってあきらめてしまうことを、この人は眼をきらきらさせて、おもしろい!といって、わらいながらやってのける。
 きっと、人生というのは、何も考えずに楽しく過ごすものではなく、広く深く考えれば考えるほど楽しいものなんだ。 (konpan/2007-06-09)
いくつになっても好奇心でいっぱい!
ファンキーな物理学者ファインマンさん!
「やりたいこと、好きなことを徹底的にやる」
っていう姿勢を生涯貫いているのがかっこいい!

・物事は暗記ではなく、理解することによって学ぶ
・人がどう思おうと、ちっとも構わない
・驚異の心をもたない人間は、消えたろうそくも同然だ。
・とにかく何かにアッと驚き、なぜだろう?と考える心を失わないこと。
 そして、いいかげんな答えでは満足せず、納得がいくまで追求する。
 わからなければわからないと、正直に認めること。

下巻+「困ります、ファインマンさん」まで
一気に読めます!! (じゅじゅ/2007-04-22)
中学時代に恩師の推薦図書として知ったのが最初.何度も読み返している.型破りな発想と実行力で,数々のいたずらやとんちを繰り広げるファインマンさん.物理に関する記述はないものの,発想や理屈はやはり研究者らしい.弱者のことも理解でき,自分を優者とは見ていないところが一番の魅力であり,見習うべき点であると思う. (/2000-11-25)
ノーベル物理学受賞者として有名なファインマン博士(故人)の自伝。「ご冗談でしょうファインマンさん」の原書です。戦前、戦中、戦後にわたる物理学者としての目覚しい成果の一方、恋物語から金庫破りまで、私生活を楽しむ一個人の側面が描かれています。仕事一辺倒の生き方を再考させられる一冊です。 (/)
 上下ともに面白く、ファイマンが語った準フィクションを集めた本。
(純粋な自伝的エピーソード集という以上にフィクション度が高いとのことだ)
 まず、読み物としての面白さだけでも、すこぶるつき(これは上下ともに)で、3回も読んでしまった。

 そのように、大変に面白い本でありながら、下巻は別の意味で注目に値する。

 なんというか、ファイマンが疑似科学的な主張や領域に対して抱く、好奇心と懐疑精神の融合が
いかんなく発揮されている話が散見され、そういう意味でも読む価値がある。
催眠の被験者としての詳述や、感覚遮断タンク、虫の知らせ、などなどなど。

 不思議なことに驚嘆し、知的好奇心を持つということは、チンケな超常現象に対してかたっぱしから、
「心を開く」ことではなく、事実へ対する愚直なほどの誠実さ―科学的懐疑精神―によってこそ、
本当に価値をもつのだ、ということが伝わってくる。
 私は一生忘れないだろう。
リチャード・ファインマンという科学の精神性を体現した男がいたことを。
その男が、健全な懐疑精神を手離さず、同時に好奇心の塊であり続けたという現実を。 (ワカシム/2008-01-18)
より多くの方へ ||||||||||||||||
20世紀を代表する理論物理学者であるファインマンによって書かれた本書は、
もう本当にとにかく面白いです。
ファインマン本人のお気に入りの数々のエピソードをまとめた本書は
数あるファインマンの類書の中でも最も優れたものだと信じます。
理系の方はもちろんですが、
個人的にはそれよりもむしろ物理などは殆ど縁のない一般の方々に
とても読んで欲しいと強く思います。
権威やうわべにとらわれない自由で素直な心の在り方が実に爽快に心地よく感じられました。
自分自身のあり方としても非常に参考にしています。
是非是非、この現代社会に生きる多くの方たちに手にとって読んで欲しい名著です。 (boojum/2002-06-02)
これをはじめて読んだのは小学生の時でした。もし姉が小学生の私に
この本を貸してくれなければ、私の人生は大幅に変わっていたと断言できます。
当たり前ですが難解な本ではありません。エッセイ集みたいなイメージで
とらえてもらえると間違いないでしょう。日常の些細な出来事に注目して、
それをとても面白く語っています。本当に楽しく読めると思います。
一つ一つの話が、とても印象に残る、心からお勧めする本です。 (たっくす/2002-02-10)
科学者の数多いエピソード集のなかで、間違いなく最高の本。どころか、ぼくが今まで読んだ中でいちばん好きな本だ。思い出してみると、自分も大きくなったらファインマンに会えるもんかと期待していたのに、後にすでに亡くなってることを知ってすごくがっかりしたっけ。あ、それ以前に、ファインマンに会えるような仕事してないけど。
本書の構成はエピソードをまとめたものになっているので、ストーリーを追ってどうこうレビューするのは難しい。しかし内容は一貫している。ファインマンは、科学的に正直で、イタズラが好きで、人生を楽しむ達人だったってこと。
エピソードのジャンルはもうホントに雑多。ノーベル賞受賞みたいなどうしてもお堅くなる話はちょっとだけで、本書の大半は、ドラマーや金庫破りになってみたりとか、(タモリの四カ国語マージャンみたいな)なんちゃってイタリア語で挨拶をしてそれが不思議と通じちゃったり、バーでなんとか女の子とうまいことにならないか四苦八苦してみたりとかする話。どのエピソード一つ取ってみても手放しにおもしろくて、ぼくもかくありたいもんだ、と思うほかない。
ちなみにこの本、ファインマン自身が書いたわけではない。口述したテープをほかのひとが編集してまとめたものだ。ファインマンマニアは、その口述したテープがCDになって売られてるので(検索サイトで調べるとすぐ出てくる)、聞いてみるとおもしろいかも。ぼくは、笑いながら語るファインマンの肉声もさることながら、10年も前に読んだ本のエピソードに出てきたボンゴドラムの演奏に耳を傾けているうちに、なんか不思議な気分になった。 (洋一郎/2002-07-14)
物理界では超天才でノーベル賞を取った偉大な方なんだろうけど、
物理以外の生活におけるファインマンもホント面白い!
上下一気に楽しんで読めました。 (/2007-03-28)
理科系の大学で学んだ方なら、名前は聞いたことのあると思う、海外教科書の良さを知らしめる「ファインマン物理学」の著者ファインマンの自伝エッセイ。
名科学者の才能は、すでに、子供のときからの、好奇心、アイディアとそれを元に実行するいたずら心がに発露されている。レストランでアルバイトをしていても、作業性の効率化のアイディアを実践してみて、自分にしかしくみがわからないためしかられたりもするが、性懲りなく、何でもアイディアを実践していく。
タイトルが示すように周りには冗談かと思われるようなアイディアを学問といたずらで実践する事がファインマン氏をノーベル物理学の学者にならしめた所以であることがよくわかる。それ以上にファインマン氏のアイディアを読むだけでもの十分に楽しめるエッセイの一冊である。 (kaz0775/2005-03-05)
先生 |||
若い頃に読んで、今の自分の価値観を形作る上で一番影響を受けた本です。

基本的にはFeynman先生の様々なエピソードを楽しむための本ですが、そういったエピソードを通して彼の価値観・考え方にも触れることができます。

楽しいのでぜひ一度読んでみて下さい。 (としお/2008-04-29)
ファインマンは、まさに「世界一受けたい授業」の先生やね。 (わたしの個人シュギ/2008-03-15)
物理学というものを、人生というモノをここまで楽しみ生きていくことができるファインマンさん。
僕の理想の人です。
これを読んで物理学に入っていった学生も多いですよね。
(内容は物理学は全然出てこないから普通の人も大丈夫ですよ)
いつまでも彼のように子供の心を、少年の純粋さを忘れずに
でもずば抜けた知性を持った人になりたいなー
大好きですファインマンさん(^^)v (隊長@神戸/2002-10-02)
はじめ量子力学なども少し期待して読んだのですが、はっきりいって肩透かしでした。しかし、これはノーベル受賞科学者ではなくてファインマンの痛快話と割り切って読むとこれほど面白い本はない。金庫の話なんて下手なギャグマンガより痛烈にウケマス。
しかし、どの話でも根底に流れるのは科学に対する飽くなき情熱と他の権力に屈しない精神なのではないでしょうか。
少しでも物理に興味があるかた、またはまったく興味がない方でも是非一読の価値はあります。せかせかした今の日本の生活から少し精神的に離れることができますよ。 (seriass/2005-04-25)
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