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「暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで」 とその関連商品
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暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで
ASIN:4105393022新潮社(2001-07-31) 原著:Simon Singh/翻訳:青木 薫/サイモン シン 売上順位:63164 ¥ 2,730(中古:¥ 726) これを買った人はこれも買ったよ![一覧で見る] |
レビュー総評点:286
暗号技術と歴史が生み出す珠玉の人間ドラマ ||||||||||||||
文明発祥の古代から現代まで。通信情報の秘匿=暗号化の重要性を史実に基づく悲喜劇こもごもの痛快エピソードで紹介。またそれは同時に暗号開発者と解読者が繰り広げた逆転に次ぐ逆転の、壮烈な戦いの歴史でもあったのだ。
”たぬき”レベルの古代暗号から最新コンピュータ暗号まで。豊富な取材と著者/訳者の優れた筆致によって、暗号技術の成り立ちや仕組み、その破られ方など、歴史に沿ってわかりやすく理解できる。数々の暗号システムの巧妙さに知的好奇心は満腹。次々と現れる天才暗号技術者たちの閃きと英知に感嘆。そして暗号に翻弄される人々の人生と歴史ドラマに感動。 史上最強!解読不可能としか思えないドイツ・エニグマ暗号の解読に挑む英国数学者たちの知られざる偉業。埋蔵財宝暗号にまつわる数奇な物語。現代数学者たちの苦闘と勝利。豊富なエピソードはどれも本当に面白くドキドキして読み進められる。 JPホーガンのSF小説が好きな方には特にオススメ。科学者数学者考古学者の探求心と不屈の闘志はやはり素晴らしい。元気が出る。 (実況人/2002-02-19) 暗号について扱った本をそんなに読んだわけではありませんが,この本は絶対にお薦めの本です。著者のサイモン・シンは自身物理学者で非常に明晰な頭脳を持った方のようですが,知識をひけらかすような所はみじんもなく,とにかく読んでいて全く飽きないのが驚きです。それは,単に「この暗号はこういう仕組みである」と述べるのではなく,「なぜその暗号が生まれたのか,それに関わった人達の人生ドラマはどうだったのか,そしてその結末は!?」ということを,深く掘り下げているからです。まるで小説を読んでいるかのように,暗号の歴史がよく分かります。暗号にロマンを感じる人,ぜひともご一読下さい。
(nobptl/2006-03-28)
現代の暗号が何故存在しているのか? ||||||||
この人の書く本は読ませ方がうまいと思う。
「フェルマーの最終定理」の時もぐいぐい引き込まれたが、本作も同様に引き込まれた。 コンピュータ関連の仕事に携わる者として、現在、暗号は避けて通ることができない。 「現代の暗号が何故存在しているのか?」について背景となる歴史を知ることで、理論への理解を深めやすくなると思う。 (toshyon/2007-03-18) もともとは、暗号の勉強をしなくちゃならない状況になって仕方なく買っただけの本だったんだけれど、あまりにおもしろくてたちまち夢中になってしまった。おすすめです。
構成としては、暗号の発展の歴史を段階的に追っていくなかで、暗号の理論が自然に学べてしまうように書かれている。古い暗号がいかにして破られ、それに対抗してどのように新しい暗号がつくられてきたのか。そういう、暗号に関わる歴史上の事件の話とか偉人列伝みたいなのをわくわくしながら読み進めるうちに、はじめは原始的な文字置き換え式の暗号とかの話だったのが、終わりには、現状では最強である量子暗号の理論にまで辿りついてしまう。ぼくなんかは、頭のいい奴が新たな暗号方式を考え出すたびに「こんなすごい暗号、絶対に破られっこないぞ!」と毎回(愚かにも)思ってしまうんだけど、でもそのたびにもっと賢い(あるいは執念深い)奴がでてきて、そいつをやすやすと(あるいは苦労に苦労を重ねて)破ってしまうので、ああ世の中には何と恐ろしい連中がいることよ、それにひきかえ……とため息をついてしまうのだった。でもそのため息は、とても爽快なため息なのだ。 盛り込まれているエピソード自体も、もうめちゃくちゃにおもしろい。古代文字の執念の解読。ドイツによる驚異の暗号機械エニグマと、それに挑戦した(せざるを得なかった)弱小国ポーランドの涙ぐましい努力。大発見をしても、安全保障上の要請からそれを発表することができなかった数学者たち(暗号理論は数学理論なのだ)の悲哀と誇り。今度公開される映画「ウィンドトーカーズ」(ジョン・ウー監督)のネタになっているナヴァホ語暗号の話もでてくる。理系文系かかわりなく、好奇心さえあれば誰でも読める。50過ぎのうちの母も大喜びで本書にかじりついておりました。売れ行きがよいのも当然です。 訳者あとがきによると、著者シンの前作「フェルマーの最終定理」のほうも異常におもしろいらしい。こっちも読まなくては。 (ryoma komiyama/2002-08-04)
読み得感のある暗号本 |||||||
著者は、ケンブリッジ大学で物理学博士号を取得した後、BBC放送の番組プロデューサーの経験がある人です。本書は、スコットランドの女王メアリの悲劇から、現在最も注目を浴びている量子暗号に至るまで、暗号のくわしい解説・社会に及ぼす影響だけではなく、暗号作成とその解読にまつわる人間ドラマまで生き生きと描いて、非常によくまとまっているという印象を受けました。
とりわけ、第2次世界大戦時ドイツ軍が使用した暗号機械エニグマのメカニズムについて説明した第3章と、その解読に貢献した数学者アラン・チューリングの業績について説明した第4章が圧巻です。この2章だけでも読む価値があるといえます。 第5章では、インターネット時代の電子商取引のバックボーンとなる「公開鍵暗号技術」についてわかりやすく簡潔に説明しており、著者のサイエンスライターとしての力量を感じました。 最終章での量子暗号の叙述については、若干さらっとしすぎていて物足りないところもありますが、巻末に"Further Reading"として文献、関連サイトも紹介されているのでそれを読めということでしょう。 結論からいうと、科学書読解の楽しみ(暗号の仕組みについての理解)と歴史書読解の楽しみ(暗号にまつわる人間ドラマの鑑賞)の両方が味わえるため、読んでよかったという気持ちが強かったです。 (カエターノファン/2002-05-19)
発見者のスリルを体験しよう ||||||
サイモン・シンが『フェルマーの最終定理』に続いてまたもやってくれた...とはいっても,原書の出たのはもう2年前だが.
食いすぎにげっぷの出そうな,最新科学の解説書はいくらでもある.しかし,最先端の発見をした人々の知的興奮を伝えること,発見の中の本質的部分を読者が共同作業できること,しかも重要な点を明確にわかりやすく伝えること,これらを同時に成し遂げた解説・読み物を仕上げた作家は,サイモン・シン以外にわたしは知らない. この本では暗号解読に携わる人たちの精神的価値と科学的価値とを同時に伝えている.挑戦することの素晴らしさをこの本を通じて体験してほしい. 最後に訳者の青木薫さんに感謝したい.科学書に対するこの人の翻訳は読んでストレスを感じない.専門用語を多く含んだ文章を自然に読める文章に書くこと,これは日本人が書いた科学書の半数近くで実現されていないことである.しかし,この方の翻訳で快適に読めない文章には出会ったことがない. (じろう/2001-08-09) 東京都美術館で開催中の「ルーヴル美術館所蔵 古代エジプト展」 で古代エジプト文字ヒエログリフをながめているうちに”どうやってこの文字を解読したのだろうか”という素直な疑問を思い出しました。
これが、4年前に読みかけのままにしていたサイモン・シンの「暗号解読」を本棚から取り出すきっかけでした。 スコットランド女王メアリーの事件、米国の埋蔵金探し、2つの大戦の帰趨・・・と単独でも十分フルコースになりえる話題の連続、公開鍵暗号の誕生にいたる歴史、量子暗号の概論、と息つく間のないスペクタクルです。読み終えたときには脱力感さえ感じました。 どの暗号作成/解読にも、何人かの数十年単位の執念と、さまざまな形でのコラボレーションが絡んできるところが印象的です。多彩な学問領域の異才が国家レベルの組織に集って暗号という知の塊をつくり上げるドラマは格別でした。特に、エニグマの解読と、RSA暗号発明のドラマは圧巻でした。 「量子コンピュータ」についてだけは記述があっさりしすぎているので、他の書籍にあたる必要があるでしょう。 (jimmy/2005-09-19) 暗号技術を語る本書の面白さはいくつかの側面がある
①作成技術と解読技術の確執の中で急速に進歩していく技術進化の面白さ ②歴史の転回点で暗号がいかに大きな役割を果たしたかの歴史秘話的な面白さ ③暗号解読という日の当らないところで大変な苦労をするプロジェクトX的な話しの面白さ ④現代社会のネットワークの発展において暗号がいかに重要かの啓蒙書的な要素 個人的には①と②が圧倒的に面白く、エニグマ解読の辺りまでが素晴らしかった。③については、多少、センチメンタルな部分があり好みの分かれるところだと思う。④については、技術的な記述の厳密さが複雑に進化した対象に対してどうしても不足してくることもあり、今日的な重要度は理解できるものの読み物としての面白さとしては見劣りするかも知れない。 しかし、本書はそうした暗号に関する古来から現在を経て今後の展望までを総覧しているところが凄いと思う。同じ著者の「フェルマーの最終定理」は題材に関心が持てずパスしたのだが、本書は充実した読書体験を与えてくれたと思う。 (いしだ/2005-08-10) 単アルファベット式、ヴィジュネル、エニグマ、量子暗号
よくこれだけの暗号方式を一冊の本にまとめられたなと思う。 書き方も単にこういう暗号が今まであったというような教科書 的な書き方ではなく、暗号を開発する人やそれを解読する人といった 個々の人間の営みを躍動的に描いている。(このあたりは青木薫さんも 本の最後に指摘していたが)個人的には鍵配送問題に取り組んだ ディッフィー、ヘルマンの”神は愚か者にむくいたもう”といった 名言やRSAを開発したアドルマンらの公開鍵暗号誕生秘話のあたり が気に入ってます。公開鍵暗号の発想自体鳥肌がたつほど美しいも のだと思う。これは不思議なのだが世の中に革命ともいえるほどの 変化をもたらした発明や思想はそれがいったん世の中に普及してしまう とそれがあることが当たり前になってしまう。本を読めばああ確かに そう考えればいいのかと結果だけ追うことになるがそれを答えがない 状態で取り組んだ先駆者たちに頭が下がる思いです。ただRSAと同じ 発想でケンブリッジ大学を卒業したばかりのクリフォードコックス が素数を使って一方向関数を見つけてしまうあたり、不思議と世界中で 少なからず同じことを考えている人がどの分野にでもいるのだなあ と思った。(本の批評ではないが) とにかく内容自体5000円以上の価値があるものだと思うので ぜひ読んでみてはいかかでしょうか? (ジダン2/2005-07-10) 分厚い本ではあったがとても面白かったので一気に読んでしまった。暗号の本と言うとインターネットのセキュリティーを思い浮かべる人も多いと思うが、この本ではむしろ暗号自体の面白さや発展の歴史を綴っている。と言っても後半になると当然インターネットに使われている暗号の話も出てくる。
暗号に関する様々なトピックが並んでいるがそのどれもが非常に読みやすく、おもしろい。それぞれの話のスケールが大きく、歴史を変えてしまうような重大な事件の裏側で行われていた情報戦争が生々しく再現されている。歴史をおって展開して行くので、本の後半に行くにしたがって徐々に暗号のレベルも上がって来る。しかしながら無理なく理解しながら読めるように非常に注意深く構成されているし、暗号の本質をついた説明がされているので暗号が複雑になっていっても無理なく理解して読み進めれる。 暗号は、その歴史の始めのころのものは数学者が作った物ではないのでパズル好きの人ならば解読法を考え出す事もできるはずだ。そういう意味でも知的好奇心をかきたてられる。インターネットを使っている人ならばクレジットカードの番号など本当に秘密を守られているのか心配な人も多いはず。この本を読み追えるころには秘密を守っている基本原理が理解できるようになっている事だろう。 (takashi_m/2002-09-19)
進化して・・・ |||||
この本を買ったのは題名が気になったから。とくに暗号に興味があったわけでもないが、以前に映画で『U-571』を見ていたからかも知れない。読み進めながら自分でも簡単な例の暗号解読に挑戦していたが、進むうちに複雑になりど素人の私にはとても解読は不可能になっていった。ただ読み終えてみて暗号の時代背景は良く分かった。昔から解読者と作成者のイタチごっこであるが、なんでこんな暗号を思いつくのか?どうしてこんな意味不明な暗号が解読できてしまうのか? 切磋琢磨の両者の戦いはまだ続いている。
(カルロス オヤマダ/2001-09-05)
電子メールの普及やインターネットショッピングなどで
気になるのはプライバシーデータの保護。これらを解決 してくれるのが暗号技術。その暗号の成り立ちや歴史上重要な 史実をわかりやすく紐解いてくれています。 第2次大戦中に米軍は解読不可能な暗号を作成するために ネィティブインディアンの少数部族のあまり海外に知られていない 言語を駆使して彼らを通信班として利用。一方ドイツや日本は かなりの情報を解読されて敗戦にいたったなど秘話も満載です。 現在のインターネットの通信の保護に利用されている公開鍵、秘密鍵 もわかりやすく紹介され、最後には次世代の量子コンピュータによる絶対に 明かない暗号の作り方など大変楽しく興味深い内容です。 (山田晃嗣/2006-12-17) まず、この分厚さがいい。暗号の深い世界を紹介するにはこれ位の当然。暗号の世界には昔から興味もあり、えいやっで買ってしまった。後書きでびっくり。最近の私のbest bookである「フェルマーの最終定理」の著者ではないか、サイモンさんは。ほんとにおもしろい本をかくかたですね。本著は暗号は当然のこと、ヒエログラフから量子・光子の世界まで素人にも噛んでふくめるように本当におもしろく紹介してくれる。二次大戦の暗号でナバホ族の活躍がこのなかでは一番印象に残った部分。
サイモンさん、次ぎはどんな世界を紹介してくれるか興味しんしん。 (fnkmsk/2001-10-18) 非常に難解な暗号技術について、その必要となった歴史的な背景や、
関わった人物のひととなりなどを織り交ぜながら、実に面白く描いてくれる。 面白いだけでなく、この本で得られる知識は多い。 第二次世界大戦は言うに及ばず、多くの世界史の重要な事件の背後に 「暗号解読」の可否が影響を与えいると言う事実は、歴史の見方も変えてくれる。 また、暗号作成者とそれを解読しようと試みる者達の競争なのであるが、 これまでの人類の歴史では解読者達の圧勝であることは、 我々にとっては意外な事実なのかもしれない。 現在もインターネット通信で多く使われる「DES」の暗号化アルゴリズムについて 別の本の解説読んだ際に「よくもまあ、ここまで複雑な計算を。。」と感じただけで、 その複雑さの「必要性」まで理解できなかったが、この本でようやく理解できた。 加えて、DES暗号の鍵長が、米国の政府機関NSAの圧力で わざわざ短くなるように(解読しやすいように)規制されている事実も見逃せない。 我々が普段使っている暗号は、「絶対安全」とは言えないのだ。 何らかの形で暗号に関わるのなら、この本は読んでおいて損はないだろう。 文系出身でも十分読めるはずだ。 ただ、「技術解説本」としては、過大な期待をしてはいけない。 現代の通信で最も重要なRSA暗号のアルゴリズムに関して、 巻末に補遺として数学的な説明が記されているが、 (さすがの著者も、本文での説明には難解すぎると判断したのだろう) 判り易いとは言えないし、十分なものでもないと思う。 RSA暗号のアルゴリズムについては「図解雑学 暗号理論」と言う本がお勧め。 (/) とても面白かった。
59件のレビューうち参考になった順で15件までを表示しています。まっ先に読んだのが最終章の量子暗号の話で、新聞記事などでこういうものがあるのは知っていたものの、実際にどうやるのかさっぱり分からなかったのが、これを読んですっきり。なるほどねえ。 一週間ほどかけて少しずつ読みましたが、毎夜、無意味な文字が並んだ暗号を必死に解こうとする夢を見て困りました(笑)。 (/) [16件以降をamazonで見る][amazonでレビューを書く] 平均点:4.5 はてブコレクション数:この商品をリストに入れている人:
理系的な 気になる本 フェルマーの最終定理 新書レベルでわかる科学の世界 いろいろ また図書館に ジャンル・イロイロ 趣味で理系を楽しむ本 【読んで】長門のおすすめ【すぐ】 科学系ノンフィクション(メモ用) |
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フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
ASIN:4105393014新潮社(2000-01) 原著:Simon Singh/翻訳:青木 薫/サイモン シン 売上順位:21009 ¥ 2,415(中古:¥ 712) これを買った人はこれも買ったよ![一覧で見る] |
面白い! ||||||||||||||||||||||||||
とにかく面白いの一言!高校時代、数学ができず進級すら危ぶまれた私が一晩で読み上げてしまいました。数学者の情熱に刺激され、なぜか高校時代の教科書(・・・と言っても解答つきの虎の巻の方だけど)を引っ張りだし、解き始めて周囲を驚かすことに(笑)それでも興奮が冷めやまず、高校時の数学の先生(担任でもあった)にこの本を薦めたところ、すでに担任クラスの生徒に読ませており、なんと読後はテストの平均点が著しくアップしたとのこと!素晴らしい!!「あなたが五年前に読むことができれば、私もあんなに苦労しなかったのに・・・」と恩師にため息をつかれたのはせつなっかたけど。
(加納 裕/2003-10-12)
数学・ワイルズに感動しました! |||||||||||||||||||
中学・高校・大学(教養課程)にて数学を学んでは来ましたが、負の数・虚数などがなぜ考えられたのか?数学はなにを目的としてくるのか?どのような人・歴史によって発展してきたのか?などの総合的背景が分からないまま、公式・問題の解き方のみを勉強してきて、今日に至っていました。
しかし、この本を読んでその奥深さ・数学界を垣間見ることができ数学に対する考え方が変わりました。数学そのものが分からなくても十分に理解できる構成になっています 久しぶりに心ときめく本と出会えて、充実した時を持つことができました 子供にも、もの心がついたら読ませてあげたい本の1つです (まさ/2000-12-05)
これ以上は考えられない最高の数学史書 |||||||||||||||
Andrew Wilesが1994年に証明したフェルマーの最終定理を題材に、ピュタゴラス、エウクレイデス(ユークリッド)、ディオファントスなどのギリシャ数学者に始まり、フェルマー、オイラー、ガウス、ガロア、ヒルベルト、ゲーデル、等の巨星が次々に登場し、読者に息つく暇を与えない。様々な逸話が登場するが、それが主題と直接・間接に関連し、著者の博識と筆力に脱帽せざるを得ない。
Wilesの8年間に渡る努力の描写は素晴らしい。特に1993年母校ケンブリッジで証明を公表した後、それに欠陥があると判明してから1994年遂に修正を終えるまでの一年間は、シナリオとしても出来すぎである。 Aczelの本でもそうだったが、谷山・志村両氏の貢献を正当に評価している。ちなみに本書では、Aczelほどヴェイユを悪く捉えてはいない。 !フェルマーの最終定理を扱った書物は数多く存在するが、こと一般向けに書かれたものでは、本書を凌駕するものは全く考えられない出来栄えである。 (/2001-09-13)
数学をめぐる冒険 ||||||||||||
自分が数学に関して書かれた本を読むことはおろか、それを楽しむことになろうとは思いませんでしたが、本書の面白さは尋常ではありません。算数もおぼつかないまま大人になった私でさえ、フェルマーの法則に魅入られた人達の歴史と戦いの物語を夢中になって読んでしまいました。
これまで”数学は楽しい”とか”数学は美しい”などという発言を聞くたびに全く理系の連中の気が知れないと思っていましたが、今では少しだけその意味がわかった気がしています。 (/) とにかく面白い!私は理系の人間で幸いにもこの本の最後にある補講がすべて理解できます。そういう人には特にたまらない一冊だと思います。高校の数学の授業でいろいろ教える前に生徒に読ませれば良いのでは?と思いました。
高校生でも理解できる数式を証明するまでの世紀を超えた人々の努力、その一つ一つのピースがだんだんと埋まっていく様子、でも、もしそのピースの大元が間違っていたら…という不安、ちょっとした機転で論理がつながり視界が開けた瞬間の歓喜、それら全てがこの本に詰まってます。 久しぶりに読み終わるのがもったいないと思えた一冊です。数学の問題に関する書籍にも関わらず数式がほとんど出てこないのでヒューマンドラマとして誰にでも読めると思います。天才たちの情熱を感じ!て欲しいです。 現在は同じ著者の作品である「暗号解読」を読んでいます。 (/) すごい。絶対のおすすめ。同著者の「暗号解読」を最近読んだが、それと並ぶ名著。フェルマーの最終定理の証明については以前も読んだことがあるが、難解で楽しめなかった。この本はそんな純粋数学の歴史をドラマチックにしかも正確に啓蒙的に描くというほとんど不可能とも思えることを成し遂げている。面倒な証明などは巻末の補遺に回してあるのだが、普通この手の本であれば敬遠するような補遺の部分も読みふけった。中学校卒程度の数学力で理解できるよう巧妙にかみ砕いた説明。
純粋数学から離れて、川の全長が直線距離の円周率倍に近づくこと(43ページ)、セミの幼虫が地下で過ごす年数が素数になる理由(137ページ)など、幅広い分野でのエピソードも満載。 なぜこのようにおもしろく読めるのか (so/2001-11-07) この本は自分の大学にての専攻を決める大きな要素となりました。学年末試験の最中に開いたのですが、止まらなくなったのです。精読させてしまう著者の数論への案内は、読者を数学の世界へ導き驚きの発見と冒険をさせてくれます。数学が嫌いな人などいない...数学の卓越した魅力をこのたった一冊の本で体験すれば、数学を愛してしまうことでしょう。数学の授業が嫌いな人は今使っている教科書を閉じ、数学の授業の時間にこの本を読む方が長期的に考えれば、あなたの大いなる利益となると思います。
(tote/2004-03-21)
定理を取り巻く人間ドラマ ||||||||
ピュタゴラス、オイラー、ガウス、パスカル、コーシー、フーリエ、
ガロア、ダランベール、ラグランジュ、ヒルベルト、ディリクレ、 ルジャンドル、リュービル、ポアンカレ、ゲーデル、チューリング。 フェルマー。ワイルズ。 全てこの物語の登場人物である。数多くの偉大な学者たちが ほんのひとときこの本に登場し、自分の役割を演じる。 それぞれにドラマがあり、苦悩がある。一種のオムニバスであろうか。 彼らを繋いでいるのはフェルマーの最終定理である。 もちろんこの物語は作り話ではない。実話である。しかし とても実話とは思えない楽しさ、面白さ、壮大さ、そして悲しさ。 フェルマーの最終定理を軸に、これほどの物語を作りあげた 著者にはまさに脱帽である。 物語の前半は数学の成り立ちからフェルマーの最終定理が 作られたいきさつ、それに対する様々の数学者の 必死の挑戦、苦悩が書き綴られている。 さらにゲーデルによる物語を根本から覆すような 示唆。 そして二人の日本人が登場する。彼らがフェルマーの最終定理に、 そして数学界に与えた影響は計り知れない。 彼らの登場により物語は一気にクライマックスへと進み出す。 ワイルズそして彼を取り巻く人間たちのドラマは この物語の一番の見せ場だと個人的には思う。 ワイルズの努力と挫折、あきらめ、そして・・・ ワイルズが得たもの、失ったもの。ワイルズの「大切なもの」。 ワイルズの心情については共感できると感じる方は少なくないだろう。 是非この実に起伏に富んだ物語を体験してみてほしい。 あくまで主役はフェルマーの最終定理ではなく それを取り巻く人間達である。 個人的には、訳者あとがきにもあるが、日本人を非常に良く (というか公平に)書かれていると感じた。一瞬「著者は日本人か?」 と思ったほどである。 記述も実に読みやすく、判りやすい。 数学の専門家でも、全く知識がない人でも読めると思う。 掛け値無しにお薦めの一冊である。 (子犬のころすけ/2004-11-23)
歯痒い |||||||
全編を通じて膨大な人数の数学者が登場し、普通だったら投げ出し
てしまいたくなりそうな冗長な歴史書になるところだが、ひとつの数 式を巡る人間模様の絡み合いが実に面白い。特に前半は文句無し。 フェルマーの最終定理だけではなく数学にまつわる種々のエピソード がちりばめられ知的好奇心を満足できるだけでなく、人間ドラマも近 代以前の激動の時代だっただけに、戦争あり、策謀あり、男装の麗人? あり、決闘あり、とスケールが大きいのだ。 残念なのは「谷山=志村予想」が出てくる後半部分からは普通の伝 記とあまり変わらなくなってしまうところ。これは筆者サイモン・シンの 責任ではなく、あまりにその数学の内容が高度なため証明の詳細に (というより概念すらもほとんど)立ち入ることが不可能なため。したが って知的好奇心を満たす、という面からは歯痒さが残る。 (やぶ/2004-01-26)
読み始めたら止まらない |||||||
「暗号解読」に続く、サイモン・シンの著書。
小さい頃、フェルマーの大定理(最終定理などいろいろ言い方はあるが)というものを知り、たかが「X^n+Y^n=Z^n (n>2) は成り立たない」ということをこの科学万能の時代に出来ていないということに驚いた。 近年、この大定理がとうとう証明されたというニュースを新聞で読んだが、本書を読んでその歴史的に長く葛藤してきた数学者たちのロマンが多く綴られていることをはじめて知った。 本書は2000年間という長きにわたり、多くの数学者を悩ませた難問題を如何にして解読していったか、そしてワイルズ氏が孤独にこの難問題を小さい頃に読んだ本から二十年余りにわたって研究を取り組んできたことなど、その内容は読み始めたら止まらないほど面白いものだった。 中学生の頃、誰もが学んだ「ピュタゴラスの定理」(または「三平方の定理」)のべき数が変わるだけでここまで難解になるという数学の不思議さに驚かされた。 ぜひともお勧めしたい本です。 (/) 私はフェルマーの最終定理に興味を持ち、同テーマの本をもう一冊読みました。どちらもとても面白かったのですが、こちらの方が更に高度な知的冒険を味わえたような気がします。
もちろん私は典型的文系人間で数学についての素養はありません。それでも楽しめるようにわかりやすく、注釈が加えてあり、難しい問題を噛み砕いて説明してあるという点でも秀逸な作品であると言えると思います。 (k.yamamoto/2001-03-21) 数学の大難問「フェルマーの最終定理」が世に出されてから解決にいたるまでの350年。数々の数学者の激闘を追ったノンフィクションである。
とてもおもしろかった。読書意欲が眠気に勝ることなどまずないが、この本にかぎっては眠い目をこすってまでページをすすめたくなった。 まず、テーマ自体とても魅力的である。このフェルマーの最終定理は、学校で習った「ピタゴラスの定理」をちょっと変えただけ。定理自体はだれもがかんたんに理解できるものである。でもその定理を証明するまでに350年もの歳月がかかったというのだ。問題の単純さと、解決に至るまでの遠大さ、その溝がドラマチックであり、数学門外漢にとってはエキセントリックでもある。 ただ、その魅力的なテーマをさらに魅力的な話に仕立てた著者サイモン・シンの力もすごい。あたかもサイモン・シンがわれわれをゴンドラに乗せて、数学という大河を源流から河口まで船頭となって案内してくれるかのようだ。その流れはピタゴラスが生きていた時代から始まり、ついには20世紀後半のアンドリュー・ワイルズによる証明にまでたどり着く。途中には、証明に失敗しつつも数学の進歩に寄与した数学者をエピソードゆたかに案内してくれたり、“数学の”証明とはどういうことか、無限とはどういうものかなど数学の本質的なところを考える機会をあたえてくれたりする。 本を読む前は、たったひとつの(しかも真であるかさえわからない)定理の証明ごときに、なぜ数学者たちは人生をかけてまで夢中になるんだろうかと思っていた。でも、本を読んでいくうちにその理由が実感として理解できた。彼らは純粋にその問題を解きたいから数学をしているのだ。 たったひとつの証明のみに7年もの歳月を費やし、いったん証明の欠陥が指摘されて敗れてもなお立ち上がり、ついにフェルマーの最終定理を証明してみせたアンドリュー・ワイルズ。彼こそが、その「問題を解きたい」という気持ちをだれより強くもっていたのだった。 (漆原次郎/2004-04-21)
品のいい小説かも!? ||||||
数学の物語をこれほど劇的に歴史小説を読んでいるがごとく魅力ある人物を登場させられるのは、作者の明晰たらしめる頭脳のなせる余裕さからなのであろう。とりあげたテーマは長く複雑であるがためにどうしても避けられない説明はある。なので中だるみ的なところは2箇所ほどあったが、それでもぐいぐいと読者を引きよせるパワーと緻密な計算は素晴らしいの一言につきる。
一般に人間ドラマを描いた物語はどろどろした人間の名誉欲が根底にはあるはずなのだが、前面に知識欲を満たすロマンティックさをかもしだすことに成功し、読者にも知識を得る満足と、成功物語の疑似体験という2つの悦びをあたえてくれる。 そしてこの物語が現実に最近の出来事にあったと気づくだけで、さらに心のワクワク感があふれ出てくるのである。 (きたまくら/2004-03-24) 数学に関しては完璧なる素人の自分が読んでも楽しめる内容でした。
①偉大な数学者たちがフェルマーに挑むも攻略できず、夢半ばで一生を終える。しかし彼らは新たな一歩を踏み出す。 ②その一歩は次の世代へと引き継がれ、あるものは直接的に、あるものは思いもよらない関わりからフェルマーへの挑戦への鍵となる。 ③その過程が数百年続き、膨大な一歩一歩が積み重なりながらフェルマー攻略へと近付いてゆく。 ④そしてついに最後にワイルズが全力を持ってフェルマーを攻略した。 この数百年に橋を架けるこのドラマはまるでフェルマーの最終定理をラスボスとしたRPG(ロマサガ2?)を見ているようにドラマチックでワクワクするものでした。 また細かい数学的なところで理解できないところはありましたが、関係なく楽しめました。 多くの人にこの壮大なファンタジーのような実話を読んで欲しいです。 (aequanimitas1026/2005-07-18) あるたったひとりの人物の問いかけが、超一流の世界中の数学者達を魅了し、その後、その答えを見つけるためだけに数世紀にわたり時間を費やしてきた問題がある。これが我々の時代についに発見された。本書は、その成功までの道のりの様々なドラマを著者独特の非常に緻密で歴史観あふれる多彩な描写と資料によって描かれている。特に、この成功には日本人の貢献がある。読み終えたあとの充実感はひとしおである。
(hwa/2001-10-04)
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理系的な 科学読み物 フェルマーの最終定理 数学への入り口 男の子たるもの、やっぱり宇宙と物理の神秘でしょ。 愉しい数学 また図書館に 科学系ノンフィクション(メモ用) 知っているのは知らないという事だけ とある高校生のリスト |
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ビッグバン宇宙論 (下)
ASIN:4105393049新潮社(2006-06-22) 翻訳:青木 薫/サイモン・シン 売上順位:12621 ¥ 1,680(中古:¥ 791) これを買った人はこれも買ったよ![一覧で見る] |
レビュー総評点:-2
ビックバンの歴史書 ||||
前2作が超絶に面白かったので、こちらも期待して購入した。700ページ近くある大作であるが、あっという間に読んでしまった。
確かに宇宙論の解説本としては物足りないという意見もあるだろう。ビックバンの解説はほかにもいい本がある。だが、この本は、ビックバン理論が歴史上どうやって浮かび上がって、どうやって対立する理論を蹴散らし、最終的に確立されたかという筋を追ったもので、たいへん説得力がありドラマがある。 昔はトンデモ理論だったビックバン論が正しいと認知されるまでの過程を知るのと、 すでに認知されたビックバン論を解説したものを読むのでは、理解の深さでいうと前者の方に軍配が上がるだろう。 たとえば、現在の民主主義、たとえばアメリカの3権制度の仕組みを解説した本があったとしよう。それは確かに詳しく現状を分析しているが、面白くはないだろう。それより、古代からどうやって民主主義が成り立ってきて、なぜヨーロッパのピューリタンが新大陸にわたって国家をつくったのか、といった根本に流れる思想について解説した本の方が、はるかに示唆に富むからである。 本書もそのようなものである。 (もぐぞう/2007-04-03)
人間の知性と好奇心に対する賛辞 ||||
「宇宙論理研究者は研究室の外に出て、ビッグバン・モデルは人間の好奇心と知性に対する
賛辞なのだと、世界に向かって語りかけるべきである。」(本書より) 高校2年で物理の授業についていけなくなった。 しかし、そんな自分でも本書は面白く読めた。 そして、上記の言葉に心から賛成した。 人間の理性が到達し得る、究極の謎解き。その世界をかいま見せてくれたサイモン・シンと、 訳者の青木薫氏に感謝。 (みーむ/2006-09-07) やはり物足りない内容だった。恒星の核反応や銀河形成に付いては、佐藤・松田『新装版 相対論的宇宙論』(ブルーバックス)が、ビッグバンに付いてはワインバーグ『宇宙創成はじめの三分間』が良い。ホイルが公平に解説した『宇宙物理学の最前線』(値段が高い)や、背景放射の観測ならスムート自身による『宇宙のしわ』が、インフレーションならグース自身の『なぜビッグバンは起こったのか』がある。そちらの方が迫力がある。
出典のがわかるような文献表が無いのは不思議。ノンフィクションや個人の会話などがたくさん載っている本で、出典が明記されていないの不合格。訳書で省かれているのならば、言語道断。また、原著刊行から2年経っているのが惜しい。自然科学の翻訳は、少数の翻訳者に仕事が集中しているようだ。出版社や編集者自身が内容を理解せずに、安易に企画しているのだろう。 (美猴王/2006-09-15) うーん、前の二冊が神がかって面白かったので期待していたのだけれど、
思った以上にあっさりしてました。前作までは「数学者」「暗号の解読者&作成者」達が、 試行錯誤やひらめきにより問題を突破していくところに興奮と感動があったんですが、 今回の研究者たちは基本的に当時最新の科学機器による「忍耐強い観測」と「データ収集」 により業績を上げていくもので(というのも対象が手の届かない「大宇宙」なので 仕方がないんですが)、宇宙論の発展=科学者たちの戦い、というよりは科学技術の 発達の歴史じゃないのって思えてしまうのね。ハッブルが「自作の望遠鏡で大発見をした」 というので無い以上、科学機器に関する記述も並行して述べていくべきかな、と。 直径うんメートルのレンズが登場したところで、それがどういう素材や製作過程を経て 生み出されたのか等は全く記述がありません。人間ドラマを通して描く、という今までの スタイルにこだわりすぎたのかなとも思います。 文句ばっかですが値段相応の読み応えはありましたし、引き続き次回作が待ち遠しい作家で あることには変わりません。個人的には「暗号解読2」でもオッケーですw (ねこのつむじ団/2006-11-15) 「フェルマーの定理」「暗号解読」とサイモン・シンの本は、専門外の私でもとても楽しく読めた。
ビッグバンについては類書がたくさん出ているので、何をいまさらと思っていて、最初はこの本を読んでいた。特に下巻に至るにつれ、冗長に感じて、飛ばし読みをしてしまった。 しかし、2006年のノーベル賞は、まさにこの本の下巻の後半で大きく取り上げられているCOBEが受賞した。改めて読み返すと、ビッグバンというのは、今こそ旬というのがよく理解できた。 (777/2006-10-30) 本を読んでいて徐々に残りのページが少なくなっていくのを、残念、残念、もっと読んでいたい、と思う事がある。 科学書でこんな気持ちになったのは久しぶり、小学生のとき野口英世伝を読んだとき以来である(嘘つけ!)。 この本は、ビッグバンという現実にあったかどうか本当のところはまだはっきりとはわからないイベントを非常にうまく説明している。 カトリックの坊主の理論がビッグバンの端緒だったとは! 女性コンピュータの面々が、ボランティアで頑張ってくれたおかげで、天体写真の画像解析が飛躍的に進んだなんて、みんな、知ってた? ヘンリエッタ・リーヴィット、あんたはエラい。
(ヒデボン/2006-07-19)
ポピュラーサイエンスのライターって、オーケストラの指揮者みたいに見えてきますね。どちらも題材 (事実/楽譜)は決まっている訳で、あとはライター/指揮者の解釈によって見せ方/聴かせ方を変えてくる訳です。本書を読み終えると、サイモン・シン氏はただ者ではないなぁーと感じ入った次第です。
私はこれまでビッグバンに触れられた本(※1)を読み、TV番組(※2)を見てきました。それでもなお本書を読むと、新しい発見がありました。(私はすっかり本書にハマリ、週末の午後で上・下冊を読みきりました) 「科学はエラーの自己修正過程である」(カール・セーガン教授)の発言通り、ビッグバン理論が紆余曲折しつつも次第に確立していく様子がイキイキと描かれます。非常に感心したのは、資料・図・表の見せ方ですね。(ガリレオのスケッチを始めとするオリジナル資料、対立理論の勝敗表、概念の説明図、等々) オリジナル・データによっては「えっ、そんな風に見るんだ、解釈できるんだ」というモノがあり、「星の王子さま」の名言「ものごとは、心で見ないと良く見えない。いちばん大切なことは、目に見えない」を思い出した次第です。実験データも「仮説に基づく信念」がないと真実を掴み取れない訳ですね。科学におけるセレンディピティ的発見の解説にもなっているところがサスガです。 そんなわけで宇宙科学に馴染みがない方は勿論、「今さらビッグバンなんて」という科学ネタ通な方にもお薦め出来ます。 (※1)「僕らは星のかけら 原子をつくった魔法の炉を探して」(マーカス・チャウン)、「人類が知っていることすべての短い歴史」(ビル・ブライソン)は特にお薦めです。なお宇宙の始まりに関する試論を含めた超弦理論の解説本としては「はじめての“超ひも理論”― 宇宙・力・時間の謎を解く」(川合 光)が面白いでしょう。 (※2)「Cosmos Collector's Edition」のDVDボックスは、1980年の作品ではありますが、今もなお重要な作品だと思います。もし超弦理論と宇宙の始まりの関係に興味のある方は「Nova: Elegant Universe」を御覧になると良いでしょう。(英語の聴き取りが出来る方に限られますが) (ゴルゴ十三/2006-06-25) さて、下巻。下巻の主役はフレッド・ホイルだ。彼は、アンチビッグバンすなわち定常宇宙論の旗頭だから、変な話だが、ヒールとして最高のパーソナリティーなのだろう。まあ、定常宇宙論は彼で持ってたわけだし、一方、ビッグバン宇宙論はたくさんの役者が出て来て、決定的なヒーローがいない。これからの正しい理論はどんどんそう言う傾向が強くなるのだろう。量子論でもそうだしね。
フレッド・ホイルの定常宇宙論は何となく嫌いで、しかも、彼の書いた SF に良い印象を持っていなかったりして、科学の発展の足を引っ張った変なイギリス人という印象しか無かった。しかし、元素合成の理論で極めて重要な貢献をしていることを本書で知った。その他にも、ホイルの宇宙論は、当時としてはビッグバンより「とんでも」では決してなかったことを説得されたのは収穫だった。それに、フレッド・ホイルに焦点を当てることで、ビッグバン宇宙論の特徴にスポットライトを当てることが出来ている。まあ、彼は、ビッグバンの名付け親でもあることだし。 そこから、宇宙背景輻射の発見、COBE による背景輻射の揺らぎの発見で、ビッグバン宇宙論は確固たる地位を確立する。本書はそこまでで筆を置いている。インフレーション宇宙など、その後の発展については本文では触れていない。現在の科学の到達点として確として書けるのがこれまでとサイモン・シンは思ったのである。本書を読んでいて、それも説得的だった。 一つ、前から感じている疑問が本書を読んでも残ったままだったのが残念。それは、背景輻射が地球の運動でドップラーシフトする話だ。直接的は当然すぎるほど当然の話なのだが、これって、絶対運動を規定するのではないだろうか。相対性信奉者としては、なんとなく引っかかる。どなたか、納得させてくれませんか? (shibchin/2008-03-27) まず。”ビッグバン”という言葉を軽蔑の意味で使ったフレッドホイルの、報われないが価値のある人生は、映画のように印象的でした。
宇宙論を支える観測事実の全ては、人類が誕生した当初から、様々な波長と強度の電磁波(電波、光)で地上に降り注いでいたわけです。人間の肉体的な眼が望遠鏡で拡大されて微弱な光をとらえられるようになり、電波の理解によって機械をつかって関知できる波長の幅を広げて、既に全天に提示されていたものを認知し分析し解釈してきたのです。 理論と観測と実験が絡み合い、複数の仮説が競争し、137億年前を見通す眼が階段状に進化していく様子は、そのままエンターテイメントにも思える面白さでした。 以前見学した施設では暗黒物質の感知をターゲットにした次世代の眼(観測機)の製作が進んでいました。この問題の決着を生きている間に聞けるかどうかは微妙ですが、いずれ次のステップは必ず訪れるという確信は強まりました。 (jimmy/2007-10-13) ビッグバン理論だけを扱っているのではないかと思って手を出さなかったのだが、人類の宇宙に対する認識から物語が始まっているので興味を惹かれた。まずは、ギリシャ時代の太陽中心説対地球中心説のエピソードが丁寧に書かれている。また、コペルニクスによるパラダイムシフト、それを根拠づけたガリレオの観測とケプラーとニュートンの理論もわかりやすく紹介されている。ビッグバン理論が宇宙背景輻射によって決定的になるまでの人間ドラマも面白い。科学とは、理論が提出されて、実験や観測によって根拠づけられるという、その過程を実に丁寧に書いている。本書は科学書でもあると同時に、いやそれ以上に人間ドラマを描写しているのだ。
ビッグバン理論やガリレオの成果、ニュートンの功績については、それらを個々に取り上げてる書籍の方が分かりやすいかもしれない。『ビッグバン宇宙論ん』においては、個別の事項については物足りなく感じることもあるだろう。けれども、本書はあくまで宇宙に関する科学史の本であり、また科学者たちの人間ドラマの本なのだと思う。そのことに留意すれば間違いなく楽しめるだろう。 (kayakaya/2007-09-12) この頃の急激な望遠鏡の値段の低下で、もしかしたら、60回ローンを組んだら、世界でも有数の望遠鏡を作ることが出来るのではないかと夢見ているあなた。そんなあなたに絶好の1冊です。人間が持ちあげられる最高の大きさは、どうやら口径60センチの反射鏡が最大のようですので、すぐさま買って、高い山に登って一晩中夜空を眺めていたら、きっと宇宙の最初も分かるはず。そんな気にさせてくれる1冊です。上巻も読みましょう。
(PAL/2007-04-06)
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ビッグバン宇宙論 (上)
ASIN:4105393030新潮社(2006-06-22) 翻訳:青木 薫/サイモン・シン 売上順位:18803 ¥ 1,680(中古:¥ 782) これを買った人はこれも買ったよ![一覧で見る] |
レビュー総評点:93
書名を聞いたときに、訳者があとがきで語っているのと同じく、”なんで、いまさら、ビッグバンを。サイモンシンが?”と私も思いました。
「暗号」や「フェルマーの定理」のように、過去あまり一般向け類書がないテーマを扱った話の場合、そのテーマ選定自体の新奇性でつかみがあります。しかし、「ビッグバン」となると、すでにさまざまな一般向け書籍がでているメジャーなテーマなので、すこし後回しにしていました。でも、やはりサイモンシンでした。「そうだったのか」という発見の連続でした。 いろいろな形をした素粒子のように個性豊かな科学者が絡みあいながら、宇宙創生の理論を解明していくストーリーは、あらためて科学に対する理屈無しの憧憬を思い出させてくれました。 上巻では、天動説から地動説、相対論の登場という決定的なパラダイムシフトを経て「宇宙は静的なのか・・」というあらたな課題認識までが扱われています。誰でも名前は知っているガリレオ、ニュートン、アインシュタインといった巨人たちの取り組みも結果にいたるプロセスまで味わうと格別です。もちろん、他にもティコ・ブラーエ、ケプラー、コペルニクス、マイケルソンとモーリー、フリードマンとルメートル、ハーシェル、メシエ、ハッブル・・・と覚えきれないほどの天才鬼才も連綿と織り込まれた宇宙解明の物語です。 ・・・下巻に続く (jimmy/2007-10-10) いつもながらサイモン・シンの鮮やかな語り口には、宇宙のナゾが解明されていく過程を追体験した気にさせられ、"天才に肉薄!"した気分に浸れますね。
訳者の青木薫さんが言われているように、宇宙論のことをよく知ってる人ほど、深く楽しめますし、 また宇宙論に詳しくない人にこそ、読んでもらいたい。この科学史ドラマには感じるものがあるでしょう。 それにしても「天才列伝」というよりもむしろ「反逆児列伝」という感じなのが笑えますね。 (nonsense/2006-10-12) この本(以下上下巻をまとめて扱う)は,著者のこれまでの名著(Fermat's Last Theorem 等)に比べると長い.その理由は,主題の性質上,抽象化も省略もせず,なまの素材を用いたことによる.しかし読んでみると全く快調で長くなんかない.まず定石的に Eratosthenes の地球の大きさの測量から始めて,宇宙マイクロウェーヴ背景放射の非一様性の最終的確認まで,驚くほどの詳しさ (Gamow の ylem の語源など知らなかった)と劇的描写の連続 (Hoyle による質量数5のクレヴァスの克服 ! )で,人間はどこまでやってのけるのか息を呑む思いが続く.私たちは Alpher-Bethe-Gamow 論文には間に合わなかったが,Burbidge-Burbidge-Fowler-Hoyle (B2FH)論文の衝撃は昨日のことのように思い出す.でもその裏にHoyle 対 Fowler の駆引きがあったとは.今思えば,Hoyle の定常宇宙モデルは初めから負けだったけど,彼の建設的反対ぶりは見事だった.
一つだけ注文がある.この本に出てくる人名は,上に書いたようにまだ文献的に生きている.従って検索の便のために,ローマ字ではどう書くのか,短い索引が是非ほしい.それと110番元素 (図67) は darmstadtium (Ds)と命名された. (ymatsui4/2006-06-25) 「フェルマーの最終定理」、「暗号解読」で我々を楽しませてくれたシンが第三弾として「宇宙論」に挑んだもの。だが、出来は前二作より落ちるようだ。
プトレマイオスから最新のビッグ・バン理論まで敷衍するのだが、如何せん本書を手に取るような方には"常識の範疇"の逸話が多く、啓蒙される点が少ない。題材が雄大過ぎて個々のエピソードに深みがないのだ。ただし、語り口は相変わらず巧みなので、体系だって「宇宙論」を俯瞰したい方にはお勧めかもしれない。 また、近代以降の研究者は別として、ロクな観測機器もない昔に、夜空の星を眺めながら次第に宇宙の謎に迫って行った研究者達にはロマンを感じると共に、改めて人類の英知に驚嘆する。そういう意味で、「宇宙論」と言うよりは宇宙への夢に賭けた人物伝としての価値がある書。 (紫陽花/2007-09-25) ガリレオ、ニュートン、アインシュタインなど誰でも知っているメジャーな学者をベースに展開しながらも、無名に近い一般人や学者の貢献を
巧みに織り込んでギリシャから現代にいたる宇宙論をみごとに描ききっている。個々にはどこかで読んだか聞いて知っていた事が天動説から ビッグバン理論までの壮大なストーリ展開の中で「そうだったのか!」という新鮮な驚きをもって改めて教えてくれる内容である。 これは正にその妻でしか知られていない無名な武将山内一豊の目線で 戦国を描いた「功名が辻」のストーリ展開と同じなのである。 「コンピュータ」といわれた婦人たち、聖職者でありながらビッグバン 理論を提唱したル・メール、ビッグバンの証拠となる赤方偏位写真を 最高の精度でとるのに貢献したもともと掃除夫だったハッブルの助手 など多くの無名の人たちが描かれている。 また「ビックバン」というネーミング自体もビッグバン理論に負けた定常宇宙論提唱者が冗談半分で呼称したのがはじまりだとか。 これだけの内容をサスペンスストーリのように一気に読ませてしまう 著者の力量たるや正に「ビッグバン」なみと言えよう。 (猫好きのアナログおじさん/2006-07-11) ポピュラーサイエンスのライターって、オーケストラの指揮者みたいに見えてきますね。どちらも題材(事実/楽譜)は決まっている訳で、あとはライター/指揮者の解釈によって見せ方/聴かせ方を変えてくる訳です。本書を読み終えると、サイモン・シン氏はただ者ではないなぁーと感じ入った次第です。
私はこれまでビッグバンに触れられた本(※1)を読み、TV番組(※2)を見てきました。それでもなお本書を読むと、新しい発見がありました。(私はすっかり本書にハマリ、週末の午後で上・下冊を読みきりました) 「科学はエラーの自己修正過程である」(カール・セーガン教授)の発言通り、ビッグバン理論が紆余曲折しつつも次第に確立していく様子がイキイキと描かれます。非常に感心したのは、資料・図・表の見せ方ですね。(ガリレオのスケッチを始めとするオリジナル資料、対立理論の勝敗表、概念の説明図、等々) オリジナル・データによっては「えっ、そんな風に見るんだ、解釈できるんだ」というモノがあり、「星の王子さま」の名言「ものごとは、心で見ないと良く見えない。いちばん大切なことは、目に見えない」を思い出した次第です。実験データも「仮説に基づく信念」がないと真実を掴み取れない訳ですね。科学におけるセレンディピティ的発見の解説にもなっているところがサスガです。 そんなわけで宇宙科学に馴染みがない方は勿論、「今さらビッグバンなんて」という科学ネタ通な方にもお薦め出来ます。 (※1)「僕らは星のかけら 原子をつくった魔法の炉を探して」(マーカス・チャウン)、「人類が知っていることすべての短い歴史」(ビル・ブライソン)は特にお薦めです。 (※2)「Cosmos Collector's Edition」のDVDボックスは、1980年の作品ではありますが、今もなお重要な作品だと思います。 (ゴルゴ十三/2006-06-25) いい本にはよけいな言葉はいらない。ここまでわかりやすく、かつ人間味あふれた宇宙論はない。一種のミステリーを読み終えたような爽快感がある。基礎知識も必要なし、まさしく万人向け。読んで損なし。
(ボウモア/2006-10-18)
暗号解読、フェルマーの最終定理の著者、サイモン・シンの第3作目。前2作、特に暗号解読は、僕の生涯ベスト3に入る名著だったため、ちょっと期待しすぎてしまったか、新鮮な驚きはありませんでした。
じっくりと秩序だてて宇宙創造という複雑なテーマを、その背後にある人間ドラマとともに書き上げているのは確か。僕自身もずいぶんと頭の整理になりました。宇宙論の入門編としてはとてもよいです。でも目新しいものはなし。 良くできたガイドブックではあるけれど、穴場案内やマニア垂涎のお宝紹介までは含まれていません。うーん、ちょっと残念。 (くろくま/2006-06-27) サイモン・シンならではのタッチでとても分かりやすく古代から現代に至る宇宙論を展開している。地動説と天動説、定常宇宙論とビッグバン宇宙論をそれぞれの論点から比較した表はとても分かりやすい。時代とともにその表の項目の評価が変化して行き優劣が定まる様は人間の理解が確実に深まってゆく様子を示している。
また登場人物が生き生きと描写されている。訳者あとがきでも触れられているビッグバン宇宙論を展開したジョルジェ・メルートルは私も初めて知った。神学者であり科学者であるがゆえにうがった見方をされたことと思う。彼自身は「科学と宗教を混同することはない」と明言している。しかしファイマンが言うように(その直感があっているかはともかく)直感が人を動かす。したがって聖書の「光あれ」は科学者にインスピレーションを与えたのではなかろうか。 その他にも民間企業のATTで電波望遠鏡が発明された経緯、それを更に発展させて宇宙マイクロ波背景放射の発見に至る経緯は、損得を超えた人間の善意がもたらした発見ではなかったか。 定常宇宙論推進者のホイルが元素合成の問題を解決しビックバン宇宙論の基礎固めをするなど多くのドラマがあり生き生きとした宇宙論になっている。そのにしても量子力学の世界では無から有が生まれるというおよそ現実の世界からは推測できないことが生じているという。サイモン・シンには量子論の話も書いて欲しいと思う。 (21世紀/2007-04-22) 宇宙論の歴史を、それに携わった人々を伝うようにして話を進めていく、「フェルマーの最終定理」等と同じ手法でのストーリーの組立で、頭を悩ませる事無くすいすいと読んでいけるのは流石と思った。最終的にはどのような経緯を辿って今の宇宙論があるのかを、ざっと把握でき、ストーリーも楽しんで読めるのでオススメできるが、「フェルマーの最終定理」の時ほど盛り上がる感じもなく淡々と進む印象だった。(私個人としては「暗号解読」をまだ読んでいないので、「フェルマーの最終定理」のみとの比較になってしまいました)
上下巻まとめてのレビューとします。 (anomalocaris/2007-04-20) これまでにも多くの書籍がビッグバンを題材として取り上げ、様々な角度から論じているが、本書はいかにビッグバンを解説しているだろうか。上下巻を読んだ感想としては、特別新鮮な驚きはなかったというのが正直なところだ。確かに筆者の筆力は素晴らしく話には引き込まれるし、今まであまり語られていなかったエピソードなど見所もあるのだが、いかんせん到着点が決まっているためにどうしても新味が薄いのだ。さらにビッグバンは殆ど「事実」として認められているもののまだその理論には不完全な部分も多く、最新の理論では主流?のインフレーション理論や、果てはVSL(光速変動理論)等も提示されており、そのあたりの展開がなかった事も不満が残った。
ただし最新の(まだ不確定な)理論が記述されていないのは、観測と理論の科学の両輪が揃った地点までを現代の科学的宇宙観として知って欲しいためだと語られており、これには納得させられた。人類の叡智がいかにしてビッグバンを解明したのか、その歴史を知るにあたっては本書は一読の価値ありと思う。 (ことち/2006-11-16) この本の内容は、宇宙論の歴史です。
今まで私は、宇宙論の歴史を断片的にしか知りませんでしたが、この本により体系的に理解できました。 また、適切な図や巧みな文章、本の内容の構成などこの作者の良い面が前面に押し出されています。 人によっては、既に知っていることばかりという人も居られるかと思いますが、そんな方にも復習(?)がてら読んで損は無い本だと思いました。 (てとり/2007-01-02) たくさん宇宙の歴史やビッグバンについての解説書があるので、さすがのサイモン・シンも執筆には困っただろう。宇宙論に関心のある人ならば、何冊も読んでいるだろうから、新事実を期待するわけには行かない。それでは、この本の特徴はなんだろうか。上巻は、古代ギリシアから始まる(年代や前後関係が、ややわかりずらい)。コペルニクスからケプラー、ガリレイ、ニュートン,アインシュタインまでの流れには、それほど特徴は無い。やはり、現存する人や、故人を直接知っていた人とのインタビュー調査がないことの限界を感じる。しかし、シンは埋もれていた事実を紹介し、不幸な先駆者たちに優しい言葉を与えている。ゴシップや風説をあえて紹介しないところ、また、科学と技術の違いを厳密に示そうとしていることには好感が持てる。日本の新聞やマスコミでは特に、科学と技術や医術の区別の無い解説が横行しているので、こういう面をもっと強調しても良かった。引用や出典などの参考文献の一覧が無いが、これは下巻にあるのだろか。上巻を読む限りでは、シンの独創的な表現なのか、類書からの引用、あるいは既知のことを言い直しに過ぎないのかがわからなかった。
(美猴王/2006-09-05)
本書は題名にあるとおり、現代宇宙論の標準理論であるビッグ・バン説について解説したものである。
この手の書物にはよく見られることなのだが、本書もその例外ではなく、上巻においてビッグ・バン説と直接(と言うか、ほとんど全く)関係のない天動説/地動説について論じられている。 しかし、それがまたえらく時代遅れなのである。 どうやら、本書の著者は Owen Gingerich “The Book Nobody Read”(2004年1月刊)および Joshua & Anne-Lee Gilder “Heavenly Intrigue”(2004年5月刊)には目を通していないらしい。 著者がどこぞの無名の一ライターなどではなく、“Fermat's Enigma” などで知られたベスト・セラー作家だけに、またも旧聞に属する誤謬を撒き散らしたという点においてトンデモ度高し。 というわけで、本書の上巻をお読みになる際には、O・ギンガーリッチ 『誰も読まなかったコペルニクス』、J&A-L・ギルダー 『ケプラー疑惑』、高橋憲一(訳・解説) 『コペルニクス・天球回転論』 を併せてご覧になることをお薦めする。 (Bay Flam/2006-07-12) 「フェルマーの最終定理」「暗号解読」の面白さを期待して読んだが、前二作に比べて面白みに欠ける。おそらくストーリー性に欠け、全体的に説明調であるからだろう。所々に挿入される説明のための図や表が、読者をぐいぐい引っ張っていってくれるはずの文章を分断してしまう。サイモンシンがこの分野の専門だから、妥協できなかったのだろうか。細かいところに気をとられてしまう記述は、証明を巻末に付録にして、ドラマチックな展開をみせたフェルマーとは真逆の空気を感じる。宇宙論のポピュラーサイエンスの本を読んだ人はあえて読む必要はないだろう。サイモンシンを読んだことが無い人には、「フェルマーの最終定理」「暗号解読」から入ることを勧める。
(K/2008-07-29)
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ものの見え方を変えてくれた本 理系的な フェルマーの最終定理 物理学読み物 数学研究 知っているのは知らないという事だけ 数理 科学者の生き様が分かる科学者列伝2 2006.7 食指が動いた本 社会人になってからの数学・物理学 |
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異端の数ゼロ―数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念
ASIN:415208524X早川書房(2003-10) 原著:Charles Seife/翻訳:林 大/チャールズ サイフェ 売上順位:49280 ¥ 2,415(中古:¥ 1,700) これを買った人はこれも買ったよ![一覧で見る] |
レビュー総評点:199
ゼロという数の歴史と、ゼロの発明が数学・物理学をはじめ、哲学や宗教、化学など、様々な分野に与えた影響を解説すると同時に、ゼロとその影としての無限大を切り口に、数学や物理学の様々な原理や理論を分かりやすく紹介している。最初のゼロという数の歴史については、すでに古典とも言える吉田洋一「ゼロの発見」とも共通する部分があるのだけれど、それ以降の部分がまた非常におもしろい。数学の簡単なところでは微積分から高度なところでは複素数の概念まで、そして物理学の領域では相対性理論や量子力学、ひも理論まで、最先端の領域も含めた幅広い領域をカバーしていながらも、非常に分かりやすく書かれている。基礎的な教養として数学や物理学の知識を身に付けるのには素晴らしい内容。対象としては高校生以上向けでしょう。
(schizophrenica/2003-12-15)
難しい部分の説明では、グラフや図やイラストを提示しながら説明してくれるので、数学が得意でないわたしでも付いていけた。なかでも複素平面の説明は秀逸で、「円は直線と同じ」という概念が直感的に理解できた。
(amam5/2004-04-04)
本書の第0章(!)に著者が書くとおり、「ゼロが古代に生まれ、東洋で成長し、ヨーロッパで受け入れられるために苦闘して、西洋で台頭し、現代物理学にとって常なる脅威となるまで」の、「ゼロの物語」です。
この手の本ではいつもそうなんですが、文系人間にとっては相対性理論や量子論、ひも理論なんかに絡む部分は、やっぱり何となくしか分からない。それは仕方ないとして、ゼロ概念がアリストテレスの思想やキリスト教の縛りを解き放って広まっていく部分は、思想史の問題として十分に楽しめた。実際、本書の半分以上がこの叙述に割かれているんで、「ゼロの思想史」みたいなタイトルでも違和感ない。 あと、余分なことですが、ゼロという言葉の起源がアラブ人の使ったsifrだという説明がp85にあって、そういえば著者の名前がSeifeなんですよ。似てるでしょ。トンデモな関係付けでしょうけど、著者の名前と研究テーマって、時々偶然とは思えない一致をするんですよね。 (モワノンプリュ/2005-02-21) 「0」という数字は、1から9までの他の数字とはなりたちも性格も大きく違うもの。その異端の数字がこの本の“主人公”である。こうしたテーマには惹かれるものがある。
前半は「0」という概念の発見から始まり、なぜ、世界の多くで「0」が長い間受け入れられてこなかったかが書かれてある。そこには「神の存在」という問題がつねにつきまとっていたのだ。 そして、「0」がだんだんと中世以降のヨーロッパで認められていく過程や、「0」が生み出したともいえる新発見などに話が移っていく。そして最後は数学から離れて、20世紀以降の物理学や天文学で扱われてきた「0」の話になる。 「0」というテーマは、けっこう壮大なものかなと思っていたが、本編のボリュームは標準的な240ページほど。たとえば『エレガントな宇宙』や『フェルマーの最終定理』などの分厚い海外ノンフィクションに比べると、人物の紹介やエピソードなどはエッセンスだけに絞って、いくぶん抑えてかかれてあるような気がした。 「0」と表裏一体の関係の「無限大」についての話も、「0」についてと同じぐらいの分量で出てくる。それほどまで「0」と「無限大」は切っても切れないものということか。 専門的でものすごく難しいことが書かれているわけではないが、少しは数学や物理の知識があったほうが、つまずかずに読み進めることができるだろう。学校で数学の勉強をまあしっかりやっていて、相対性理論や量子力学の初歩をかじったことのある方ならば付いていける。また、「ある数を0で割ると、その答えは無限大になる」といったことをあらかじめ知っておいた上で読めば、よりすんなりいくと思う(そうした話があまり説明なしで出てくるから)。 素晴らしいことに昔の人々は、存在の無いものを「0」として存在させて、世の中の仕組みをよりわかりやすいものにした。こうした話を読むと、「0」の発見とは言わないまでも、単純でありながらまだ発見されていない「便利なもの」が、世の中には眠っているのかもしれないと思えてくる。 (漆原次郎/2004-05-18) 昔、地上に、ゼロは、なかった。
ゼロは、かつて、発見され、異端視され、双子の兄弟ともいえる無限大とともに、忌み嫌われ、排除された。 しかし、現代の我我は、ゼロという数字を、忌み嫌っていないし、排除していない。なくてはならない数字だ。(冒頭で、ゼロによってアメリカの軍艦ヨークタウンがただの鉄の塊になってしまったというエピソードが紹介されているが) ゼロ(と無限大)が、どのように発見され、消され、また復活し、受け入れられて来たのか、その歴史物語を、何万年も前の古代から、説き明かしてくれる。 その過程で、ゼノンのパラドクスや、微積分、絶対零度、相対性理論などについて、わかり易く教えてくれる。 文字が小さくて、字数も多いが、結構スラスラと読めた。数字や数学に興味のある、一般の人に、面白い内容だと思う。 (汐菱Q/2004-01-21) 数学書という感じの本ではなく,「ゼロの歴史」,あるいは,「ゼロの物語」といった趣の本です.
その昔,「ゼロ」は単なる位取りの記号で,数学は哲学や教会と密接に関連していたそうです.そして,その中で「ゼロ」がどのように拒絶され,受け入れられてきたかという話は非常に興味深いものでした. 第7章の物理学のところは,量子論や相対性理論をある程度知っていないとちょっとつらいですね.昔大学で習ったことはあるはずですが,すっかり忘れていたので眠くなって大変でした. アキレスとカメの話は有名ですが,同じように明らかにおかしいのにどこがおかしいのか分からないような数学的トリックがいくつか説明してあり楽しめます. (wave115/2006-02-25) であると言うことが巻末の付録で証明されています。これを見たときは笑いました。
正直文系人間には微分積分あたりで数式が出てくるとつらいです。そういうところは 見なかったことにして、ゼロという概念がいかなる歴史をたどってきたかという読み物 としてみれば面白いと思います。ちなみに私は二次方程式の解き方すら忘れた文系人間 ですが面白く読めました。 (okada/2008-03-12) 数字のゼロが西洋の歴史に登場する経緯より始まり、数学、哲学、宗教に与えた影響について書いてあります。数学史、哲学史に興味のある方で、英書が苦でない方にどうぞ。一般向けに書かれていますが、高校の数学が嫌いだった人にはあまりすすめられません。S. Signh,"Fermat's Enigma: ...."と読んだ印象が良くにた本です。ただ、Seifeのほうが題材に対する思い入れが強い印象を受ける文章で書いています。
(/2001-07-25)
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