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ゆらぐ脳
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ASIN:4163702504
文藝春秋(2008-08-07)
池谷 裕二
売上順位:11413
¥ 1,300(中古:¥ 850)

レビュー総評点:17
インタビュー形式で最近の池谷先生の研究内容(※)や研究に対する思いを綴った本となっています。時折、最新脳科学のミニ質問(トリビアっぽい小ネタ)が挿入されます(全23本)。ただ、ご本人が「あとがき」で認めているように「仕事上のボヤキ」が並びます。(その意味で「海馬」「進化しすぎた脳」を読んだ時のような高揚感はあまり感じられません)まぁこの"ボヤキ"も読む人が読めば、野村監督の"ボヤキ"のように、単なるボヤキではなく意味のあるボヤキだと気付きますが。
さて最近のご研究内容(※)とは、脳の一神経細胞(部分)ではなく全体(システム)を評価する為の実験科学的方法論を構築中なのだそうです。タミフルを投与すると同期現象の様子が変わる、とか面白い記述もあります。読んでいると複雑系、特に同期現象に関する本("SYNC")の内容を思い出したりしました。ただ池谷先生自身、蓄積されたデータをどのように解析したら良いか分からず、色々と試行錯誤中だそうで、話としてはスッキリとはしません。(フラクタルという概念なしにフラクタルな事象を定量的に表現できなかったことと同様、新しい概念が必要とされているということなのでしょう) そういう訳で「教科書的にスッキリした話が読みたい」という読者は本書を余り楽しめないかもしれません。教科書になる前の"事実(データ)の山"に対し科学者はどの様に立ち向かうものなのか、ということが知りたい読者は本書から得るものがあることでしょう。(「仮説を立てる・立てない」に関しては意見が分かれる処があるでしょう。私は「仮説を立てる」派ですが、それは脳科学より訳が分り易い分野に居るからなのかな? いずれにせよ「科学はエラーの自己修正過程」(Carl Sagan)を肝に銘じることは肝要です)
"研究の現場"を知りたいという学生さんは読んでみると面白いかもしれません。 (ゴルゴ十三/2008-08-11)
その分野の専門書でもない限り、一般に入手可能な書籍で得られる情報は、最新のものからどう
したって遅れがち。また、発見の先取権競争の最前線にいる一部の研究者をのぞいて、たいてい
の分野については、そんなに最新の情報は必要ないって事情もあるかも。高度な専門家じゃなけ
ればその重要性がわからない、いわばトリビアルな最新情報が大半だろうし、一般の読者にとっては
その最新情報がなんで最新なのかを理解するための、その分野の定番的な基礎すらないことが
あたりまえなので、一般的な啓蒙書の場合は、アップトゥデートな最新情報への目配りって、実は
重要じゃないことすら多いかと。

しかしここに、最新の研究動向が文字通り日進月歩に昨日の定説を塗り替え続け、一般の関心
も高い研究領域があり、そして、分野の大雑把な全体像と最新の研究動向とその意味するところ
を、大変に高い伝達度でもって文章化できる有能で希有な専門家がいたりします。
もちろん著者である池谷氏のことを言っています。

過去の著述も非常にエキサイティングで面白かったし、偶然から参加した著者の講演でその高い
プレゼン能力を目の当たりにもしていたので、新著は楽しみにしていましたよ。
著者は「あとがき」で、若干これまでの類書と毛色が違うことに言及していますが、読者としては、期
待以上のものでした。

内容は大きく、3つ。
研究範囲(個別の細胞や、ずっとマクロな組織レベルではなく、「回路」レベルの対象)・研究態度
(仮説はたてない方針とか分子生物学への疑問とか)・研究実態(けっこうドロくさいし、政治的な
振る舞いも必要だったりするよ)。
その三つの軸(研究範囲・研究態度・研究実態)が述べられる中で、「ゆらぎ」が一貫したテーマと
なっているのは、これは著者の作戦か、それとも編集者の構成の妙か。脳の「ゆらぎ」が重要なト
ピックとして紹介されるだけではなく、研究範囲・態度・実態のそれぞれに、そして、ひいては人間活
動、生命全般に「ゆらぎ」が言及されます。頭の良い人は違うな〜、と。

もちろん、大枠のお話しから個別のトピックまで、あちこちで、ふんだんに最新の脳研究の動向が紹
介されます(驚くべきことに、過去の著作からのネタの使い回しがありません)。
活動依存的に自分で自分を書き換える脳とか(あまりに我田引水にすぎるかと思いつつ、やはり
ルーマンっスよ!)、幽体離脱は社会性を獲得するための脳の機能ではないかとか(!)、記憶
は未来のためにあるとか、仰天中ですよ(しかもちゃんとトップジャーナルの参考文献付き)。

もー賞賛の言葉もありません。超お奨めですよ。

【蛇足】
還元主義的ではなくホーリスティックにとか、近代合理主義の限界とか、複雑性だとか、形相的
な同一性だとか、個別の分子の振る舞いではなく分子相互の相対的付置状態だとか、いろいろ
言われる中、本書もそうした動向と軌を一にした近代科学方法論懐疑派と見えるかも知れませ
ん。しかし、著者の認識はどうあれ、私は、本書とその著者は、耳触りの良い上述のようなお題
目とは一線を画すものだと思っています。
耳触りの良いお題目の特徴は、文字通りお題目に終わっており、そこから具体的に問題を展開
することがない、という点です。本書および著者は、科学者共同体に十分に承認される形で(←こ
れが重要)、問題提起のその先へと進む方策を案出し、実際に歩を進めているところが、大違い。
抽象的なお題目に安住して自分が思考停止していることにも気がつかない、あるいは、実は単な
る無知だったりする近代科学方法論懐疑派と、よく似た話柄に言及しつつ、本書と著者は、その
問題点を具体的に設定しようとし、それを探求するためにはどうすればよいかを(繰り返しながら、
具体的に)考え続けます。つーか、これが科学者のまっとうな姿かと。
ユースケ・サンタマリアではありませんが、「刮目せよ!」って叫びたくなります。

とっちらかったレビューでごめんなさい。 (kogonil_35/2008-08-11)
本書は脳科学者である池谷先生が、現在行っている「多ニューロンのイメージングによる脳回路システムの理解」に関する研究を軸に、サイエンスに対する考え方、つまり池谷先生版"科学の方法"論を綴ったエッセイである。

随所に最新の脳研究の成果が"ミニ質問"という形式で分かりやすく、しかも池谷先生のその問題に対する視点も織り交ぜて紹介されているが、本書は脳科学のホットなテーマを紹介する!というものではなく、あくまで"現在"の池谷先生による"科学の方法"なのである。

先生が現在に至る研究生活の中で、脳をどのように理解していけばいいのか、またそもそも科学的な分かるとはどのようなことなのか、ということについてその問題に正面から立ち向かっている池谷先生ならではの視点が多く述べられている。詳しくは本書を読めばよいと思うが、キーワードは脳、心そしてサイエンスの"ゆらぎ"であろう。サイエンスによって物事を分かるとはどういうことなのか、そしてその方法で脳は理解できるのか、といったことに興味がある方は大変楽しめると思う。

そして、本書の魅力の一つは科学者池谷先生の科学研究に対する「本音」が聞けるところであろう。「科学者にはプレゼン能力が必須」「仮説を立てると視野が狭まる」「アイデアはコミュニケーションから生まれる」「やりすぎなければ研究は成功しない」「何が出来るかの方が大事」など科学に対する池谷先生の捉え方が知れる。このような問題は科学者を目指す上では誰でも直面するであろうというものであり、特にこれから科学を目指そうという学生の方(僕も学生だが)にかなりおすすめである。

現在進行形のゆらぐ池谷先生がこれから脳科学にどのように取り組んでいくか非常に楽しみになるのと同時に、同じように科学者として負けずに頑張って行きたいと思わせてくれる良書であった。 (nori/2008-11-23)
第一線で活躍する脳研究者・池谷裕二氏が語った人に自分の主張を伝えるプレゼンテーションの極意.

最新の脳研究や池谷氏の経験談を絡めた内容は,現代の研究者,政府の科学研究に対する姿勢に辛辣な警鐘を鳴らしている.特に,池谷氏の経験談は,将来の方向性を模索している中高生に良い刺激になると思う.

卓越した研究を行うためには,研究発表,論文執筆,研究費獲得などといった個人レベルの活動だけでなく,多数の異なる分野の専門家と連携する集団レベルの活動が大切である.このいずれのレベルにおいても,自分の主張を相手に伝えるというプレゼンテーション能力がキーファクターとなる.若手研究者にはぜひ読んでもらいたいところである.

また脳をわかるためには,還元主義的な分子生物学だけではなく,個々の要素が相互作用し合い,ボトムアップ的に脳システムが形成されているということを理解しなければならない.

一般的に科学研究では「再現性」ということが重視されるが,池谷氏は「一回性」の現象にこそ生命の本質があるという.人生でも何度も遭遇する事よりも,一回だけの出会い,つまり「一期一会」に大きな刺激を受けるということに通じ,非常に含蓄のある言葉だと思う.
(オジー/2008-10-15)
 
 著者の本を読むのはこれで3冊目、ちょうど2年前に読んだ最初の『海馬』は糸井重里との対談であり、2冊目の『進化しすぎた脳』(両署とも「感銘の1冊」として紹介)は、中高生たちとの対話形式を採っているが、本著では木村俊介の質問に答えるというスタイルである。
 いずれも対談の相手が「脳科学」の素人というところから、一般の読者にとっていたって身近で入りやすいのが特徴である。
 この『海馬』によって、脳細胞は死滅するばかりだと聞いていたのに、記憶中枢である海馬だけは、使うほど増えるのだということを知って、大いに勇気づけられたものだ。
 タイトルの「脳のゆらぎ」だが、脳の神経細胞が自主的に活動するときに、「ゆらぎ」に似たリズムが見られる。従来はそれを一種の「ノイズ(雑音)」として、脳の活動究明に有害なものだとして不当に扱われてきた。
 それを著者は、脳全体で見ると脳部位の相互関係の中で、たえず揺り動いていることを(綿密なMRI検査で)見つけることで、そうしたゆらぎにも意味と理由があるものとして捉えている。
 そこには、組織を分割して部分だけを見ることの危険性、たとえば、いま注目の「分子生物学」だが、彼らの細分化することで全てがわかるという発想の危うさを指摘している。
 とはいえ著者は、脳の至妙な働きを霊的なものとして韜晦(とうかい)する事なく、あくまでも脳の活動は、脳神経の発する電気作用と、タンパク質・アミノ酸それにイオンの移動とフィードバックという、至極即物的な作用で生まれ、特定の神経細胞が放出する脳内物質、たとえばドーバミンとか、エル・アドレナリンなどの微妙な働きで「喜怒哀楽」が生まれ、その作用が表情にも反映されることだとする立場は崩さない。
 たとえば霊的現象・超常現象として捉えられ勝ちの「幽体離脱」にしても、特殊な装置を使うことで、健康な人でも経験することが可能であることを教えてくれる。
 そうした現象について著者は、この「第三者の目で、客観的の己を見る」という人間の「客観視力」は、生長にかがせない能力であって、決してきかいな現象とは思わないと強調する。
 ただそうした「脳の至妙な働き」は、分解することで見付かるものではなく、いわば無駄も多く、間違いや過ち、それに錯覚などという、一種泥臭い行動原理の中で、
複雑に張り巡らされた脳の各部の絡み合いと揺らぎの中で生み出されるのだと言う。 
 もっとも興味深い事例だが、神経細胞は栄養を与えられるとシャーレの中で1年ほ
どは生きるので、それ自体「生命体」といえそうな感じであるが、培養は難しく分裂・増殖はしないし非常に脆い。
 一方ガン細胞は非常に強くて、東京大学にあるものは50年以上生き続けていると言う。本著の中で、著者が博士課程の学生時代に行なった興味深い実験紹介している。

 ネズミの脳組織をミンチしてタンパク分解酵素トリプシンをかけて保温器に数十分すると神経細胞はバラバラになって沈殿する。それを濾過して酵素を洗浄する。
 その時点では単に「丸い細胞」に過ぎないが、それをシャーレに入れて栄養を与え、24時間後にわざと栄養を少なくして飢餓状態にする(かわいい子には旅をさせる)と、周囲の細胞と結びついて生きようとして、次第に神経細胞のネットワークを形成させ、しかも常にダイナミックに内部の結束を強めて、回路のつなぎ替えやシナプスを作っていく。

と言うのだ。ご存じのように海馬以外の脳細胞は、一定の時期から死滅して減少すると言われている。そうした中でこうした、ある意味タフな「生命現象」を知れば知るほど、脳の持つ可能性に驚嘆するばかりである。
 科学に常識と思われる「仮説」という手段を採らないという著者は、「なにをやりたいか」より、「何を試すことができるか」が大切だという。そして「科学的な論理を詰める」よりも、好奇心を先に走らせることを採るのだという。
 どうも著者は、脳の至妙な働きよりも、むしろ脳細胞の「ガックリするほどヘタクソな使用法」に、いい知れないほど愛着を持っているようだ。
 また日本とアメリカのの学者の違いは、その表現能力の差であって、アメリカの著名大学で教わったことは、いかにうまく表現するかという、プレゼンテーション能力の養成だったと述懐する。 
 そうした問題提起も含めて、複雑で捉えどころのない脳の働きについて、このように親切な入門書の存在と、著者の能力・サービス精神に感謝したい。 
(縄文の中村/2008-09-11)
1970年生まれ、東大薬学准教授
ご自身があとがきで書かれている。「ぼやき」の本だと。
しかし、ぼやきの中に余りに多くの、研究者あるいは科学者という文脈で生きる人々にとっての大切な思想、哲学があるように思う。
分子生物学一辺倒な現状を憂いながらも、その実験技術の進歩により大きな科学発展があった事を素直に認める。
「わかる」ということをとことん詰めて行き、その先にあるであろう真実へのアプローチの方法を語っている。
本書は木村俊介さんがインタビューアーとなって池谷さんの本心を聞きだした訳であるが、実に分かりやすく脳科学を説明し、そして現状でのサイエンス業界の光も影をも写し出している。
文系、理系関係なく大学生、大学院生、ポスドクそしてもちろん指導者の方も必読だと思います。
こんな先生の下で働きたい、そして、こんな指導者にならないといけないと感じるでしょう。
そして、いろんな分野(科学だけでなく)に興味を持つ事こそが、大きな発見や発明に繋がるのでしょう。
(dream4ever/2008-12-26)
楽しく読めて賢くなれる。本好きにとってこれ程ありがたい話はない。それも薄っぺらい雑学やハウツーではなく、アカデミック&インテリジェントな内容であればある程、受け売りでウンチクを垂れるのに都合がよい。その点で「記憶力を強くする」「進化しすぎた脳」「海馬−脳は疲れない」etc.、池谷氏が関わる本はハズレがない。本書も「脳のゆらぎ」「心のゆらぎ」「科学のゆらぎ」を軸としながら、一流科学誌への論文掲載に血眼になる科学者たちの泥臭い日常、きれいごとではない世界が垣間見られて大いに興味深かった。高潔なサイエンティストを志す純情な学生が幻滅しかねない内容も含まれているが、「実験や発見ができても、論文が書けなければオタクで終わる」のだから、プロのサイエンティストを生業とする以上、象牙の塔にこもって実験に明け暮れる訳にはいかない。政治力、プレゼンテーション力を駆使して研究資金をかき集める図太さ、俗っぽさが欠かせない様である。 (酒本舗/2008-12-21)
 これは「あのイケガヤは、今、何を考えているのか?」って本ですね。面白く読みましたが、やっぱりちょっとビックリしました。池谷さんって、スターなんだ……
 この中で池谷さんは、科学にはプレゼン能力が必要って話をしてて、池谷さんがわりと頻繁に一般向けの「脳」本を出すのも、その一環かなと思ったりします。研究資金や、求める人材を引き寄せるための広報活動という位置づけじゃないしょうか、下司の勘ぐりかもしれませんが。
 本書で池谷さんは仮説を立てず、いわば好奇心の赴くままに研究を進めたいって言ってて、自分の研究室の院生たちが焦ったり苛立ったりするのを嗜める話もしてますが、そりゃ院生たちの言い分も分かるな。池谷さんだって院生時代は仮説-検証型の研究に邁進したって言ってるじゃない。それでポストも社会的認知も得た後で、「あの頃の自分は視野が狭かった、ヤな奴だった」って言われてもナ〜。
 本書でも触れられてるけど、橋本総理の「科学技術創造立国を目指し、(中略)創造性に富む人材の育成、産学官の連携協力の推進、脳科学や遺伝子研究の充実など、科学技術の振興にも努力いたします」という施政方針演説が97年1月。またこの年、行革会議の最終報告で国立大学の独立行政法人化案が打ち出され、大きな議論となった。70年生の池谷さんが海馬研究で博士号を取得したのが翌98年。一般向けに旺盛な著作活動をスタートさせるのが01年。で、この頃の東大総長は蓮實重彦(97‐01)で、98年からは国大協会長にも就任するが、いかにも「学者のプレゼン能力」を重視しそうな人だよね。
 つまり池谷さんが本格的に研究者としての道を歩み始めた時期、「脳科学」がブレイクし始めていた。しかも大学は、まさにその研究状況の「プレゼン能力」向上を迫られていた。池谷さんという研究者は、そういう幾重もの要因による歴史的産物だってことも、一応確認しておきたいと思った次第。 (モワノンプリュ/2008-12-14)
脳についての本ではなく、その研究を通じて著者が得た、サイエンスに対するアプローチについて語っている本です。

これまでの常識的な考え方が覆され、軽い衝撃を受けました。
たとえば:
 ・因果律は人の妄想である。実験科学で証明できるのは因果ではなく相関のみ。
 ・仮説を立てない研究をする。
 ・分解しないで理解し、はじめてわかるものがある。
 ・脳研究ではブラックボックス理論は通用しない。つまり再現性がない。
 等々です。

自分は職業上、会社組織の分析等を行うのですが、そのアプローチはこれまでのサイエンスのアプローチ−つまり「分ける」「因果関係を明確にする」−が中心でした。しかし、上記したような、この著者の考え方も当てはまるのではないか、そして、これまでのサイエンティフィックアプローチでは見えていない問題や事象も沢山あったのではないか、、、と考えさせられる部分が非常に多かったです。

これからの仕事に活かしていきたい内容の本でした。 (ubmba04jp1/2008-09-21)
 固い決意で「必ず明日から○○を続けるぞ」と思っても、3日坊主で終わってしまうことがある。どうして脳や心は、楽な方向へゆらぐのだろうか?それは皆が興味を持つテーマなのではないだろうか。

 本書「ゆらぐ脳」は「海馬」などの著書で知られる脳科学者池谷裕二さんが、最先端の脳科学研究を続けてきて思うことや、感じることなどを大変まじめに、かつ分かりやすくエッセイ風に仕上げた本です。

 本書では、脳の性質を様々な実験エピソードから解説をしてくれる。この秋の夜中に読むには最適な1冊でしょう。また科学者を目指す学生には参考になるでしょう。ただ、タイトルから期待をしていた、脳のゆらぎについてのお話しは最後の章でまとめられているが割合が少なく残念に思った。読後の感想としては、タイトルは「脳に関するよもやま話し」が適当だと思えた。 (サトマン/2008-09-17)
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脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!?
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祥伝社(2006-09)
池谷 裕二
売上順位:9648
¥ 1,680(中古:¥ 429)

レビュー総評点:329総評点300以上の注目商品
それも脳の働き?! |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
海馬の研究をしている薬学者による、最新の脳研究を分かりやすく解説した本。著者が『プレジデントファミリー』で「頭がよくなる玩具」特集に登場していたことから、どのように頭がよくなるのか知りたくて読んだ。

動物実験などのデータに基づいた人間の行動の傾向を、脳機能から説明していくと妙に説得力がある。それはあくまで傾向であって全ての人間に当てはまることではないのかもしれないけれど、ある程度までは普遍的だと知ることは有意義である。

「重要なのはストレス解消ではなく、解消する方法を知っていること」の項は深く共感。実験では、ストレスホルモンを増やす薬を点滴するのだが、注射量を調節できるボタンを用意しておくだけで、実際にボタンを押さなくてもホルモンが上昇しないという報告が紹介されている。「つらくなっても、オレにはこれがある」という思いが大事なのだ。趣味をもつことの大切さ。

そのほか、
・最初に言った意見をすぐに曲げないという行動は自己維持の本能に由来する
・仕事のできる能力は好奇心や注意力と関連する
・サルもギャンブル好き
・人が痛がっているのをみるだけで反応する「同情ニューロン」が見知らぬ他人の場合は反応しない
・意思が生まれる前に脳が活動を始めるので人間に自由意志はない(でも行動を思いとどまることは自由にできる)
・歳をとっても知的好奇心や注意力があれば記憶は衰えない
など、興味深いトピックがいっぱい。

また脳とコンピュータをつなぐ神経補綴学、遺伝子を解析してその人にぴったり合った薬を出せるようになる薬学など、最先端の研究も楽しい。

脳を活性化させるべく、さまざまなものに好奇心をもっていきたいなと思った。 (おの/2007-01-23)
最新の科学論文と著者の意見の融合 ||||||||||||||||||||||||||||||||||
池谷氏のこの著作はnature,scienceなどの最新論文からネタを引用してきて、
そこから彼自身の意見や今後のその事項に対する予測をしています。
トピックスとしては興味深いものばかり集められて楽しめます。
しかし彼自身のそのトピックスに対する意見、予測にはやはり注意!何か彼の意見は
そうなって欲しいという願望めいた話、こうだろうという偏見、先入観を読んでいて
感じました。
1つ1つのトピックスはのめり込めるので、ここは満点、彼の偏見、先入観を
割り引いて☆4つにしました。
(フジキセキ/2006-12-13)
最新鋭の脳科学者である池谷裕二先生によるエッセイ集。

今作は海馬や記憶のみならず,脳とその現象全体について,
最新の論文を身近なテーマと結びつける形での「語り」となっている。
例えばタイトルにもある「脳はなにかと言い訳する」という章では,
変化に気づかない現象(変化盲)について,2005年10月の
「サイエンス」誌の論文を元にしてわかりやすく解説している。
われわれがいかに「上っ面」に流されやすいかを。

かといって今作は「100%科学的」な本というわけでもない。
科学者というのはよく「妄想」にふけるものだが,池谷先生とてその例外ではない。
その妄想を「思い切って」「仮説のまま」述べているところに,
ただの科学書ではない,本書の魅力というのもあるのではないか。 (エチルブロマイド/2006-09-17)
「進化しすぎた脳」「海馬」「記憶力を強くする」などの
著者で知られる脳科学の研究者による著作.

本作は,今までの著作のスタイルと変わり,章ごとに1つのテーマを挙げ,
それに対する最新の脳科学の研究成果を紹介,著者による解説というスタイルを取っている.
最新の論文を引用し,それに対して著者がわかりやすく具体例を交えて紹介する,
というスタイルは非常に読みやすいし,理解しやすかった.

本文で紹介された論文には,インターネット上に公開されているものもあるので,
興味を持った研究があれば原著論文を読める.現役の研究者が読んでいる論文と
いうものはどんなものなのだろうと,眺めることができる..

これだけのサーベイ(先行研究の調査)を行い,一般人が理解できる文章にした
ということが素晴らしい.まさに一般向けのサーベイ論文.
読み終わる頃には本が付箋だらけになってしまった.

話のネタにもなるが,普段当たり前に行っている自分の行動について,
深く考え直すきっかけにもなる一冊. (sleepy_yoshi/2006-10-03)
兆しが聞けるか ||||||||||||||||||
脳のささやきに耳を傾けることが、いかに本質的なあるべき行動を示唆しているか、考えさせられる。そのささやきがなかなか聞こえない。それを聞けることこそが、幸せになるための秘訣だということに納得させられる。なるほど、生理的な体や意識から来る兆しが、いかに大事かということを示している。 (ベンジャミン/2006-11-02)
脳科学者である池谷裕二氏のエッセイ集。脳科学の研究結果を基に、思考のすばらしさや問題点について解説している。平易な言葉で記載されているが、専門用語もあって、高校生以上が対象と思われる。理系であれば全く問題なく理解可能。

本書の素晴らしい点は、書きっぱなしのエッセイをただ収載しただけではなく、詳細な捕捉を行っていることである。雑誌などに連載されるエッセイやコラムなどは、字数制限があるために著者の言いたいことが十分に述べられずに誤解を招いたり、主張にたいする信憑性を担保することが困難であるが、本書はそれを十分に補っている。さらに、他者による多くのエッセイでは、自身の主張に沿ったデータであれば信憑性の怪しいものを根拠にするものも多いのに対し、本書では権威のある科学雑誌の(信憑性の高い)データが先にあって、それについて著者が解説し主張を行っているため、確証バイアスにならないよう配慮されていることがわかる。そういった意味で、同氏は科学者としての責任を全うしていると思う。ただし、同氏の解説の中にはやや的をはずしているような部分もある。例えば、人間は進化の過程で体毛がなくなったために服が必要になったように考えているようだが、熱帯で誕生した体毛のない人類が服を必要としたのは短期間でより寒い環境に居住地を求めたからである。また、うつ病の人とアホさ加減についての記載は不適切と思う。他にもいくつかあるが、主観的な想像については著者自身が『妄想と思って下さい』などと注意喚起しているため、きちんと読む必要がある。本書の具体的な内容としては、アルコールはストレス発散になるかや、効率よく記憶される状況はどんなときか、などが述べられており、日常生活や勉強法の参考になることばかりである。

主観的な考察でやや的をはずしている点で評価を迷ったが、それ以上に学び得る情報が多く、従来のエッセイ集の問題点を克服しようとする著者の工夫や挑戦、真摯な姿勢は特筆すべきと思うので、星5つとした。同氏の著書を読むと、いかに著者自身が勉強しているかがわかるし、他の著作も読んでみたくなる、そういう読者を想う努力が伝わってくる。 (MM/2008-01-26)
池谷先生と言えば「海馬」。しかし本書は海馬に限らず、脳科学全般に関する最新論文について池谷先生が「面白い」と思った内容を一般読者向けに易しく解説しています。口述筆記スタイルであることが、本書の読みやすさに繋がっていますね。「脳の振舞いを知ることは楽しい!」と思わせる【科楽】な一冊です。脳がいとしくなりますね。また、この本には「モチベーションの高め方」「アイディアのひらめき方」等のヒントがあります。「創造力を高めるにはどういう環境作りをすれば良いのかな?」と考えている人は、本書で述べられている脳科学を知ってる/知らないでは大違いだと思いますょ。本書を読んだことを活用して、刺激的な日々を楽しく過ごしていきたいですね。(^-^)
脳科学の現場に居る人だからこそ、伝えられるメッセージ(本音)が本書にはあります。巷ではその道の専門家でもない人が「科学コミュニケーター」気取りに科学情報を紹介する本があったりしますが、そういう本より遥かに読み応えがあります。池谷先生には脳科学分野にシッカリ足をつけて頂いて、今後も「科学の現場と一般社会の架け橋」を架けて頂きたいなぁ、と期待しています。 (ゴルゴ十三/2006-10-07)
子供用教材の中にある、著者の勉強方について記述に興味をもち、この本を購入しました。
科学的用語や専門語がありながら、読み易い。ハギレの良い語り口調と簡潔な文章は、主婦であり、科学とはなじみのない生活をしている私でも1・2日で読める内容でした。この本で脳のしくみ、効率の良い記憶の仕方が理解できたので、子供の勉強の仕方に取り入れてみようと思います。また、年をとっても記憶力が衰えないという記述は納得できる内容でしたし、はげみになりました。使える本だと思います。 (BEANS/2006-11-07)
いつも使っている脳なのに、その働きについては知らないことがたくさんあります。
論文で読めば難しいようなことも、身近な事例を使って解説されているので、わかりやすくておもしろかったです。
特に「虹が7色」などの文化背景による思い込みについての話は、以前から音に関して「なんで同じ犬の鳴き声でもことばによって表現が違うんだろう」と不思議に思っていたので興味深かったです。
言われてみれば、「思い出す」という行為も確かに矛盾していて不思議です。答えが出てこないのに、実はそれを知っているのですから…
今後は脳の特性を活かすことによって、より健康的・生産的な生活を送りたいものです。 (夢ふうりん/2006-11-05)
普段の生活では、病気ではない限り、脳について意識することはあまりないと思います。
それが、本書を読むと、日常生活でよくある行動や現象について、脳がどのような作用をしているのかを解明しています。
健康、ダイエットやメタボリックシンドロームなどといった本が多く出版されていますが、著者の持論による依存性が高く、偏った知識になりがちです。
本書は、脳に関する最先端論文や文献に基づいています。
そういった医学的に解明されているところをわかりやすく噛み砕いて説明し、脳という高度な科学分野を身近なものにしています。
納得できる的を得た説明で内容がよく理解できます。
本のタイトルの付け方が巧妙で面白くフレンドリーに感じますが、その中身はすごく濃いです。
本書は、そういった難しさを意識させず、実に読みやすいものに仕上げており、一読の価値があります。 (happybear0823/2007-03-04)
人を好きになるとき、「こうしよう」と考えて何か行動するとき、意識より前に、すでに脳の中ではやることが決定しているそうです。
ということを読んだとき、つまり頭の中に『デスノート』みたいなものがあるのだなと思いました。
ある程度、脳の中で、つぎにすることが決定されて、そしてそれが行動になるという文を読んで、自分の意識は自発的ではないのか、何かに動かされているのか、脳は何を指示しているのか、よくわからなくなってきました。
でも、だから、脳について考えることは楽しいし、この本は脳についての興味をさらに高めてくれました。
(tyrol/2006-10-20)
睡眠に対する誤解
 私は従来、睡眠の役割は、疲労を回復するもの、体内細胞の成長や再生を促進するものと考えていました。生きる為に睡眠は必要なものと分かっていましたが、記憶に関してはネガティブに考えていました。つまり睡眠を取ると勉強したことや覚えたことをある程度忘れてしまうと考えていました。しかし実際は逆で、睡眠は記憶の定着を促進する役目があったのです。

また、研究者が夢の中で発明のヒントを得たとか、作家が夢の中で創作のアイデアを得たというような話を何かで読んだり聞いたりしたことがあります。これも池谷さんの本を読んだ後なら納得がいきます。夢は記憶の断片を繋ぎ合わせて新しいストーリーを作るので、普段の生活では考え付かないような奇抜な組み合わせやアイデアを生み出す可能性があるということです。

本書を読んで、睡眠は学習したことを効率的に記憶したり、独創的なアイデアを発想するために役立つものであり、睡眠をもっと積極的・肯定的に考えて取ろうと思うようになりました。

学習効果を高めるポイント
1.睡眠を取る前に自分の興味がある研究分野や学習対象の本を読んだり、CDを聞いたりして情報をインプットすると、夢に影響を与え易い。
2.睡眠中に夢を見ることによって記憶の断片が再構成され、必要な情報が記憶として定着化する。
3.夢の副次的な作用として、記憶断片の再構成の際に、通常では有り得ないようなパターンの組み合わせが生じることで、独創的な発想やアイデアが得られる可能性がある。

脳の研究の話は難しくてとっつきにくいイメージがありましたが、本書は読みやすくて日常生活に応用出来そうな話が載っています。 (個人投資生活研究所 管理人やすまろ/2008-03-05)
考える脳 ||||||||||||||||
あれもこれもというわたくしの趣味のおおさはこれだつたのかとか、
あんな男なんかとすぐ喧嘩してしまうわけ。
なんどもおちこんでもどんなふうでも、いずれ幸せになれると、
そーいわれるとこちらも悪い気はしない。
 そんななんとなく簡単で、安心のできる読み物として
ぜひお薦め!! (flora/2007-01-21)
脳を研究する学者のエッセイというのが正しいところだろうか。
脳の研究とあわせて著者の日常の気づきや興味が記されている。
たとえ入門でも脳科学は専門用語が出てくると素人では挫折しがちだが、
ほとんど専門的なことを理解せずとも楽しく脳科学を垣間見ることができる。

話題も身近なところからスタートしつつ、きちんと脳についての解説がなされて
いるので、一気に読み進めることができる。
楽しみながら脳について勉強できる良書である。 (ふとあご/2008-08-26)
池谷さんの脳の本は本書の他に海馬―脳は疲れない (新潮文庫)
進化しすぎた脳 (ブル-バックス)を読みましたが、やっぱり
面白いですね〜。

この本の大きな特徴のひとつは、科学的・客観的な知見をベースにしながらも、
著者自身が「妄想」と言っている主観や解釈を多く取り入れている点。
著者個人の主観や解釈なので、そこには願望・偏見・先入観なんかも事実上
入り込んでくるでしょう。
他のレビューには、これについてネガティブな意見もありますが、私はむしろ
その妄想(主観や解釈)を評価します。

主観や解釈にはその人の考え方や場合によっては人間性みたいなところが
透けて見えて、池谷さんの人柄が感じられます。
また、著者の主観に対し「いや、それはどうかなー」とか「俺ならこう思うぞ」
などと、解釈の違いを楽しむのもいい。

どの部分が著者の主観や解釈なのかは読んでいればわかります。
どこからどこまでが事実で、どこからが解釈なのかわからないのは困りますが、
それがはっきりしているのなら、著者と読者の思考の応酬が可能となり、より
クリエイティブな読書となる気がします。
そもそも、そうした「解釈」こそが、コンピュータにはできない人間の脳の
素晴らしいクリエイティブな部分だと思いますし。

他の脳関係の本も含め、以下のAからDの順番に読むのがおすすめです。

A.進化しすぎた脳 (ブル-バックス)
 →非常にわかりやすい解説で、脳の機能や仕組みを押さえる
B.脳が冴える15の習慣―記憶・集中・思考力を高める (生活人新書)
 →問題のある脳を健全な状態にする方法(マイナスからゼロに)を学ぶ
C.ひらめき脳 (新潮新書)
 →脳をよりクリエイティブな状態にする方法(ゼロからプラスに)を学ぶ
D.脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!?
 →科学的・客観的な知見をベースにした著者の妄想(主観や解釈)を楽しむ (ファイヤーマン/2008-07-26)
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こころと脳の対話
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潮出版社(2008-07)
河合 隼雄
売上順位:1520
¥ 1,260(中古:¥ 980)

レビュー総評点:54
 10年ほど前から河合先生の著作や講演に行き、心や魂、児童文学について多くを学ばせていただきました。近年、茂木先生のおかげで、脳科学に親しみを持ち、生き方が変わるほどの影響を受けました。その二人の対談とあって、雑誌「潮」からもずっと読んでいました。
 脳をいくら細部にわたって細かく見ても、意識や心は見えてこない。でも、心や意識は厳然と存在する。こういった疑問に、「夢分析」や箱庭療法など、お二人に共通の話題で、読者に分かりやすく考えを示してくれています。
 中高生からでも十分に読める内容です。 (k/2008-08-01)
河合さんは、「聴き手」として、もうこれ以上ない相手だといつも感じられるのは、多くのさまざまな分野の人との対話を読んでいると思うこと。
この茂木さんとの対話でも、やはり・・・と思いながら、読み進めていると、対話の句切りの各所で河合さんが、「もっと脳の話を聞きたかったなあ・・」と終るところが、この対話集の特徴になっているところを表わしています。
茂木さんの深々とした関心が、河合さんの豊かな体験や思うところをいつにもまして引出し、読み手のこちらも、たのしく、おもしろく、尽きなくページを夢中で進めてしまう。

河合さん没後の出版ですが、読んでいると、「聴き手」のマイスターといっても、それでも足りないほど。ほんとうに貴重な方を失ったなあと、改めて思われる。

河合さんが「聴き手」としてのマイスター、ということの証しみたいな話がある。
河合さんがよくタクシーに乗ると、運転手の方がなぜかよく、「じつは、ほかの仕事がしたかったんですよねぇ・・」などと話しかけてきてしまうというエピソードの中にもある。もちろん運転手の人は河合さんだとは知りもせず、気づいてもいないわけだが、つい「へぇ・・」などと答えてしまうと、運転手の人は尽きなく話しかけて来て、ついには道に迷ったり、間違えたり、ということになるので、だんだんタクシーに乗る際にはそんなムードに「乗らない」ように体勢をつくるようになったそうだ。

箱庭の現場の話とか、また患者さんとの興味深い体験など、「割切れない」ことの不思議さ、おもしろさを、思いださせる話し満載だ。 (sow-seed/2008-11-29)
お釈迦様は、説法をする相手によって内容を変えたといいます。河合氏もさまざまな方たちとの対談がありますが、その都度、ユング心理学やご自身の臨床体験から得た知見を、異なる視点からわかりやすくお話されています。本書は、生前、脳科学者と雑誌で対談された内容が、死後、単行本として再編・出版されたものです。
特に、箱庭と夢との共通性やシンクロニシティと無意識との関係のエッセンスが、グッと濃縮されています。
河合氏のユング心理学はまず「意識と無意識の関係」に注目します。例えば箱庭で、ニワトリなりゴリラなどのアイテムを手に取りますよね。この時点ですでに、アイテム(意識)の背後にその人の無意識が関わってきているわけです。「たとえば、ニワトリならニワトリが、心のなかに残っているわけですね。で、帰ろうと思ったら、本屋でニワトリの本がパッと目に映ったりするとか。必ず買って読もうと。それが、ユングのいう「シンクロニシティ」です」(本書より)。
この時、箱庭で選んだニワトリと本屋で見つけたニワトリとは因果関係はないです。大切なのは、自分の無意識と外のものとが呼応するというほうです。なぜか知らないけれど、箱庭の前に立ったらニワトリというアイテムを手にしてしまった。そして、帰りに本屋に寄ったら、ニワトリの本にパッと目がとまって買ってしまった。私のなかになぜかニワトリというかたちで無意識が働き出して、それがニワトリの本と呼応した。これが「シンクロニシティ」です。「意味ある偶然の一致」です。ここには科学的な因果関係はまったくありません。でもこころにとって「意味」があるんです。氏はいいます「この非因果的ということがものすごく大事なんです」(本書)、と。河合氏はこの無意識の非因果的連関のなかに、臨床の中でクライエントの生きる「意味」と「可能性」を探りだしてゆくのです。

「とくに近代科学以後は、因果関係を知るというのはすごく便利なことで、役に立つことでしょう。因果関係がわかったら、こちらの意図で操作できるわけですから。だからそっちへ行きすぎて、非因果的連関を見る態度を失ったんじゃないかと、僕らは思っているんですね。(中略)
僕なんかは、この非因果的連関のほうをけっこうおもしろがって見ているわけですね。もちろん因果的にはつながらないんですよ。ただ、ミーニング(意味)はあるわけだから、そのミーニングを知ろうというわけですね」(本書)。

(箱庭の世界は)「わからない。わからないのが大事なんです。だから、それが「可能性」なんです。だからこれを続けると、その可能性が活躍したりするんですよ。
可能性がもう出てきてる。自分でもわからない可能性があって、そのへんが活躍しだす」(本書より)。

こうしたシンクロニシティで出てくるものが、自分の無意識のなかで大事なものなんだと氏は指摘します。
箱庭のもつ可能性を再認識させられました。本書は、日常生活の中で河合氏がどのように、自らの無意識とおつきあいしているのかも垣間見ることができ、参考になりますよ。

また、氏が箱庭療法の余韻がのこる態度でタクシーに乗ると、なぜか運転手にブワーッと身の上相談されて、まるっきり違うところに連れて行かれたなんてお話も入っていて、笑いのツボもしっかりと押さえられています!
(ガタピシ/2008-09-21)
 臨床心理学者の河合氏と脳科学者の茂木氏が、それぞれの専門である「こころ」と「脳」についての3回の対談をまとめた一冊です。

 河合さんの考えは、従来の研究者らしくありません。
「全体を認識することが大事であって、解釈する必要はない」と言います。クオリア(感覚質)をライフワークとする茂木さんと、対談の冒頭から意気投合するのは、必然のなりゆきでした。

 あの自信たっぷりの茂木さんが「河合先生の言葉、宝石のようです」と感嘆してしまいました。こんな茂木健一郎、見たことありません。

 本書の内容は、2006年に月刊誌に掲載されたものをまとめたものです。
 対談が2年前に終わっているのに、なぜこんなに出版まで間があいてしまったのでしょうか。せちがらい今の出版界事情では、次々と新刊を繰り出さなければやっていけないはずです。

 詳しい事情はわかりません。
 河合さんの遺族に配慮したのかもしれませんし、単に編集担当者の怠慢だった(笑)のかもしれません。

 読み終わって私が感じたのは、河合さんが治療と研究に取り組んでいる姿が、目に浮かぶように生き生きと感じられたことです。
 もし、河合さんが亡くなった直後に出版されていたら、「あぁ、こんなに元気に活躍しておられたのに……」と追悼の思いが先にたちすぎて、河合さんのメッセージが心に届いてこなかったと思います。

「人間を全体で見よ」とい河合さんの治療姿勢は、この時期に読むからこそ胸に響いてくるのでしょう。

 茂木さんといっしょに、あなたも河合先生と「関係性」を結んでみてはいかがでしょうか。 (くろやぎ/2008-12-01)
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進化しすぎた脳 (ブル-バックス)
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講談社(2007-01-19)
池谷 裕二
売上順位:1904
¥ 1,050(中古:¥ 470)

レビュー総評点:276
世界観を変える本 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
大脳生理学者が、「脳の組成はどうなっているのか」「どのように機能しているのか」といった解剖学的な視点から、「脳とコンピュータの違いはなにか」「心とは何か、心がどこから生まれるか」「心がそもそも存在する意味は何なのか」といった、心理学や哲学の領域に至るまで、現在の脳研究の最新の成果を、高校生(理科系)レベルでも分かるように平易に解説する。

普段、あまり脳関連の書籍は読まないのですが、本書は本当に刺激的でした。しかも、専門的になりすぎず、「ロボットネズミ」の話や「視覚の偏見」の話など、専門外の人でも興味をかき立てられるお話がつまっています。お話の展開がうまいです。好奇心旺盛な高校生ならずとも、大人の自分でも知的興奮を覚えます。

僕が印象に残ったのは以下のような点です。(特に最後の点は非常に好感がもてました)
・脳は体をコントロールしているが、体も脳をコントロールしている。
・「悲しい」といった感情は単に脳の副産物、脳の活動の結果にすぎない。
・「見る」とはものを歪める行為である。
・ヒトの脳は柔軟性を生むために発達した。
・部分と全体は互いに不可分で、相互に影響を与えている。脳も複雑系。
・人間の脳がそんな簡単にわかってたまるか

脳という器官についての知的好奇心をかき立てられると同時に、世界の見方を変える本。大脳生理学の入門として、また、認知心理学や哲学にも繋がる本として、高校生には是非読んでもらいたい。大人も今からでも遅くないですよ。 (ぷりうす/2007-03-04)
テンポよく語られる脳 ||||||||||||||||||||||||||||
脳に関する本をちゃんと読んだのは本書が初めてです。
高校生向けのレクチャーということで、
殆ど予備知識なしに読めました。
テンポの良い語りは、読むものを飽きさせません。
内容的には、理系の人には少々物足りなさを
感じさせるかもしれません。

本書の内容そのものも、もちろん面白かったのですが、
あとがきに記されているこのレクチャーを行った当時を
振り返ったコメントが、同年代の者として、
共感をおぼえました。

しかし、ブルーバックスも高くなったものですね。
石浦「遺伝子が明かす脳と心のからくり」と
似たような価格ですから、買う前に見比べて
合う方を選ばれたほうが良いと思います。
神経細胞については本書の方が深く、脳機能
としては、「遺伝子…」の方が深いようです。 (kaz-p/2007-02-10)
 ブルーバックスです。
 大脳生理学の最新成果を中高生を相手に講義するというコンセプトの本なんですが、これが文句なく面白い。
 何かを知るわくわくどきどき、興奮、そして知的好奇心が満たされる満足感。どれをとってもひさびさに学術系で大ヒットの本でした。これは、著者の軽快な語り口調と話の展開の上手さによるところがかなりあると思いますが、内容そのものも、ただ単純に「脳とは何か」「脳の機能」といったものではなく、「無意識と意識の違いに脳はどう関わっているのか」とか「脳と精神の関係は」などの哲学的なテーマにまで踏み込んでいて興味深いです。
 どれもこれも興味深い記事なので、例を一つ挙げるのが難しいですが例えばこんな話が出て来ます。猿の実験ですが、猿にテレビゲームを覚えさせます。テレビゲームの中でロボットアームを操ると、実際にバナナがご褒美に与えられるようにする。そうすると猿は結構器用にコントローラーを使ってゲームをします。その猿の指の神経に電極をさして、コントローラーではなく直接ゲーム画面の中をコントロールできるようにする。猿は気付いてないかも知れないけれど、コントローラーは全く機能させないでおいても、猿はゲームをコントロールできます。次に、コントローラーをコントロールする指の神経を使う腕の神経に電極を指して、実物の猿の手は動かなくする。それでも、猿は自分の手やコントローラーが機能していると思い込んで、ゲームをする。実際には腕の電極から直接コントロールしているのにも関わらず、そうできる。つまりは、電極をあるべきところに仕込んでおけば現実にはそこにないものをあるようにコントロールしている感覚で動かせる。これを更に進めて行くと、本当にやった実験なんですが、脳に電極をさして手が動かないようにしていても、猿はあたかも自分の手がそこにあるようにゲームをできるのだそうです。つまり何がいいたいかというと、この猿は(というかすべての動物は)脳でイメージして身体を動かしているということの完全な証明ができたのと、脳からの電気信号を拾う装置があれば(電極でもいい)、神経を直接つながなくても義手や義足を動かせるように出来るということです。このような事がいろいろ書いてあります。
 文才がないので、書くと面白さの万分の一も伝わってないのが残念ですが、このような感じで脳について色々な話がなされていて本当に面白かったです。 (樽井/2008-01-11)
本書の面白さ、読みやすさについては、これまでのレビューに書きつくされて
いると思うので、別の観点から本書の価値を紹介する。

工学系に進むものの多くは、高校理科として物理と化学を早い時期に選択し、
生物を学ぶ機会はほとんどない。書評者もその一人である。
ただ、世の中を深く理解し、(大げさに言えば)人生を豊かにするためには、
生物学に対する基本的な知識は不可欠である。なぜなら、進化論やDNAの
理解なくして、人間の本質に迫る思考が出来ないと考えるからである。

本書は、脳科学分野における、そのような基本的な概念や知識を、
最先端の成果を踏まえながら、再整理してくれる本である。

私のように生物学について、十分な知識がないものでも理解できるまで、
内容が噛み砕かれて説明されていた。ここまでわかりやすいのは、
筆者のこの分野における理解力・知識が図抜けており、文章力が
優れてるからであろう。

今後、自分が思考する際、「現在私がこのような理不尽な欲求をするのは、
脳のこのような特性に支配されているのかもしれない..」、
などときっと考えるはずである。

本書を読み、自分の思考を形成する脳について、ますます知りたくなり
ました。私のように、脳や自分の思考に興味をもつ人に強く勧めます。

(錆びたろう/2008-05-25)
『記憶力を強くする』『海馬』の著者で脳科学者である池谷裕二氏の著作。中高生を対象とした数回の授業での話をそのままの言葉で活字にしている。最新の脳科学の研究成果をもとに、記憶とは何か、思考とは何かを論じ、個性や心とは何かといった究極のテーマについての考察を述べている。平易な言葉を用いており、少なくとも理系の高校生以上の知識があれば誰もが理解可能と思われる。

本書は、『高校生レベルに話して理解させられなければ、その人は科学を理解していることにはならない(ファインマン)』という理念にたいする著者自身の挑戦である。本書のすばらしさを列挙すると、最先端の脳科学が網羅的に述べられ、かつそれぞれの情報が相互に結びつけられているため、一貫性と整合性が保たれていること。多数の引用文献はすべて権威ある国際誌に掲載された論文であり、著者自身の研究データも含まれていること。話が面白く、読み出したら次が気になってやめられなくなること。学生と対話形式で授業を行っていること。これによって学生のレベルを量りながら、次の言葉のレベルを考えていたり、途中で発生する疑問に即座に答えることで、理解力を向上させることが可能となっている。このような形式で授業を行うことによって学生の能力を最大限引き出していると思われる。これらによって著者の知識量、機転などのほかに、教育者としての能力の高さが読者に伝わってくる。

最近、数名の学者と称する著者の書を集中的に読んだが、すばらしい書からとんでも本まで千差万別であった。思考や教育姿勢においては、菊池聡氏や安斎育郎氏もすばらしいが、池谷氏の能力の高さも際立っているように感じた。他の低レベルな書において『論旨は矛盾しているが著者の心意気を買う』という理由のみで高い評価をするレビューが散見され、たいていそれらの著者はマスコミによく登場する者であったりする。しかし、真に買うべき心意気というのは、池谷氏や菊池氏のような真摯な挑戦をする学者に見いだされるものだと実感する。池谷氏の著書は3冊読んだが、どれもすばらしく、世界の最先端をリードしているのは、間違いなく本著者のような科学者である。星5つ、万人に勧められる良書。 (MM/2008-01-09)
面白すぎ! |||||||||
面白い!

自分も持っていながら、神秘の器官である脳。
正確をきして専門的に説明しようとすれば、いくらでも難しく説明できるのでしょうが
高校生相手ということもあって、とってもわかりやすく書かれています。
とは言いながら、よく考えると「レセプター」や「神経伝達物質」あたりの所とか
結構専門的に解説してたりする気がしますが、不思議とすんなり頭に入る。
説明がうまいんだろーなー、きっと。

この本の著者池谷さんと、糸井重里さんとの対話形式で書かれている「海馬〜脳は
疲れない」もオススメですよ。 (ファイヤーマン/2007-08-01)
脳科学の最前線にいらっしゃる研究者が、中高生を相手に講義をするという形式で、最新の話題を盛り込み、脳科学の面白さを紹介している。そのため、つい難解になってしまう最新の研究成果の説明も、わかりやすくなっている。
講義中にフューチャーされた研究報告については、巻末で文献紹介もされているので、原著論文を辿れるのは、理系の読者にとってはありがたい配慮といえるだろう。
こうした書籍製作の手法は、難解になりがちな最先端科学の話題を一般にわかりやすく紹介するのに適しているわけで、本書が取り扱う脳科学に限らず、他の研究分野でもトライしていただきたい(頼みますよ。ブルーバックスさん)。 (理科系読者/2007-06-07)
科学者の著者が高校生に向けて行った講義を文字化したものです。
講義の形式はアメリカ式の所謂「双方向授業」であって、一方的な授業がまだまだ一般的な日本の教壇に、一つの理想的な授業の仕方を提示するものでもあります。
内容に関しては、最初から最後まで知的好奇心を刺激せずにはいられないような驚きの内容の連続であって、読んでいて全く飽きがきません。
この本を読んだ方はきっと、その後何度も読み返すことになるでしょうし、そのたびに新しい発見が得られるはずだと私は信じてやみません。
(読書くん/2007-06-10)
最新の脳科学について平易に解かれた本.

どの話も面白かったのだが,動物は感情によって行動するわけではない,という話が面白かった.たとえば,(人間も含め)動物はあることをして身に危険が及ぶような経験をすると「こわい」と感じ,それからその行動を避けるようにするわけだるが,実は「こわい」と思うことと,その行動を避けようとすることは別の脳の部位による活動なのである.

危険な行動を避けるのは「扁桃体」と呼ばれる部位でそこが活動すると,その情報が大脳皮質に送られてそこではじめて「こわい」と感じる.だから,怖いから○○しない,のではないという.

あと,付録にある行列を使った記憶のモデルもおもしろかった.
(御猫大明神/2007-02-06)
→久しぶりに出会いました 
 読みすすめていくうちに「怖い」と思った本に..

→その「怖さ」は、
 脳が少々グロテスクであるというような「外見上の怖さ」ではありません
 人間が最初に、そして最後に信じる「自分=脳が認識している自分」が 
 ひどく不安定で、信じられなくなってしまうような「怖さ」です

→脳とコンピュータの比較、イルカと人間の脳の大きさとシワの数の違い、
 ミツバチの8の字ダンスの限界、あいまいな記憶がもたらす功罪・・
 誰でも思う「なぜ」に対し、簡易な言葉と豊富な事例で語ってくれています
 膨大な知識と深い見識とともに..

→知的好奇心をこれだけ揺さぶられ、喚起させられたのは
 本当に久しぶりです!
 (特に第1章〜第3章は 何回も読みなおしました) (よこはま こうたろう/2007-04-17)
「進化しすぎた脳」は、ベストセラー「海馬」の著者と高校生が対話式の講義を行った記録です。

「高校生レベルの知識層に説明して伝えることができなければ、その人は科学を理解しているとはいえない」とは物理学者ファインマンの言葉です。
一方的に専門用語を駆使して行う授業ではなくて、生徒からの意見を聞いて、常にフィードバックを行っているため、文系の私にも確かにわかりやすい内容でした。

受験勉強の範囲を超えて、こうした勉強ができることは、ひいては学習意欲につながるのではないかと思います。 (yukaricoffee/2007-04-03)
純粋にすごくわかりやすく、最新の脳科学研究に関するトピックがてんこ盛りで非常におもしろかった。

興味深い話ばっかりであったが、特に印象的なトピックとしては、

・意識に反応する神経の特定(ねずみやさるなどに関して、意識に反応する神経が特定され初めていて、それを利用して(それらの動物が)意識によって考えるだけでロボットアームを動かせるという装置が作られているという話)
・脳による認知の埋め合わせ(視覚による二次元情報などは脳によって、三次元に補い、解釈されなおされているという話)
・体による脳の発展(脳は体によって、支配されていて、脳の力はもてあまされているという話。いるかは人間以上に高度な可能性を持った脳をもちながら持てあましている!)
・言語による抽象的概念操作性の獲得(言語があるからこそ、概念といった抽象的なものを扱うことができるようになったという話)
・他の動物とは違い、人間は自らを進化させるのではなく、自らの「環境」を進化させている話

などがあげられる。まさに目から鱗だった。

また、最後に追加されている少し高度な内容を取り扱った章も嬉しかったし、各章の始めや、最終章(第四章)など、たびたびそれまでの内容のレビューを行っていてくれるので、内容の整理もすごく行いやすい。
理系向けの狭いものではなく、まさに一般向けの良著であると思う。

このような最新研究動向について、わかりやすく説明してくれている本がもっと他の様々な研究分野でもあったらいいのにと思った。
(misty/2007-09-20)
脳科学研究の最先端に身をおきながら、(いかに有名大学付属在アメリカ高校の理系生徒とはいえ)初学者を相手に、噛み砕いて、ごまかしなく、興味をひきつける著者の語り口・力量・人間性に、魅了されました。難しいことをわかりやすく、楽しく、率直に…簡単そうでなかなかできないことです。こういう先生に学びたいものですね。この場で連続講義を受ける幸福に出会えた高校生たちに、おめでとうと言いたくなりました。本の内容自体も大変楽しめましたが、若々しい講義の風景も楽しかった。こういう機会を演出した高校の企画力にも感服です。日本国内津々浦々で(地方公立校には国が少々援助をして下さるとよいのですけれど)、こういう試みがどんどん実現するようになれば、日本人の理系離れなど、あっというまに解消するのでは?
脳科学は著しい発展をとげ、その成果を読むたびに、脳とは? 心とは? 人間とは? といった、むしろ哲学的な問いが次々湧き起こってきます。「脳のなかの幽霊」や「マインド・タイム」、「感じる脳」など、ずいぶんと苦労しいしい読み進めたのですが、本書の方を先に読んでいたら、もう少し楽だったのじゃないかなあ。心地よい知的興奮を存分に堪能しました。読んでよかったと強く感じる一冊でした。 (helleborus/2007-07-13)
理系専門書というととっつき難いイメージがあります。
が、これはとてもやさしく書かれていてサクサク読み進められました。
自分で支配していると思っていた脳が、実は全然そうではないみたいですね。
今までよりもずっと、脳のことがわかったようでわからない不思議な気分になりました。 (mocheesecake/2007-03-19)
脳、神経、医学、記憶のメカニズムといったものを、これだけ平易に、イメージをわかせやすく説いた書はない。まるで、立体的に、断面的に、脳を見るがごとく、脳の命令系統の手順の動きが色や形であらわれるがごとく、想像力をかきたてさせられる。 (ベンジャミン/2007-02-03)
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のうだま―やる気の秘密
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幻冬舎(2008-12)
上大岡 トメ
売上順位:23
¥ 1,260(中古:¥ 1,100)

レビュー総評点:-4
 やる気を出す、継続する方法、今までたくさんの類書が出ている。

 しかしこれほど簡単に、しかも脳科学的に教えてくれる本はなかったように思います。本書ではやる気を出すのに欠かせない脳の部位「淡蒼球」が活発に働く方法やコツを大きな字と楽しいイラストで書いている。読み方によっては1分で理解出来てしまう。

 本は単に厚く文字の量が多ければ良いというものでもないだろう。たった数分でこれだけの知識が知れるというのは優れものだ。 (サトマン/2009-01-05)
東大准教授の本が、マンガになった?!
ビックリして購入しましたが、内容としては、今までの著作と同じくらいの密度の濃さ。
しかも、見たこともない脳の構造が、分かりやすく描かれています。
トメさんの絵も分かりやすいし。一回読んだら、記憶に残ります。
・・・ってもしかして、そこまで計算済みか?!さすが脳科学者(笑)

脳の中に、聞いたこともない玉が二つ!!
なるほどねー。知らなかった〜。
やっぱり、頭の良い人っていうのは、難しい技術の最先端の情報を、
簡単に説明できる人なんでしょうね。

今、月に1冊も本を読まない人が増えているそうですが、、、
勉強嫌いな人に、難しい理論はナンセンス。
どんなに難しい研究結果も、読んだ人が使えないと宝の持ち腐れですもんね。
私も、「続ける」事が苦手でしたが、頑張ってみようと思えました。
この本を読んで、一緒に頑張りましょう♪
脳科学を知るキッカケとしては、最適な本だと思います。

もし、この本で満足できなければ、ネタ元の論文や学会誌を読むのもありかもしれません。
この本は、脳科学初心者で、今まで池谷さんの本を読んでいない方が対象だと思います。
(るんるん系マインドマッパー/2008-12-21)
読みやすい |||||||||||||||
脳の仕組みをシンプルに説明されていて、読みやすかったです。
やる気を出すには「カラダを動かすこと」は納得できます。
姿勢でやる気や取り組む気持ち、そして気分も変わりますから。
とても飽きっぽい私なので、この本を参考に克服したいです。 (miruku/2008-12-28)
30代、一児の母です。
家事と子育ての合間に、2回にわけて2日で読みました。

読後。読書体験というのは表現できない感動で、自分の脳みそがピカッと輝いた気がしました!

作者の方が多忙な二児の母ということもあり、例がとっても具体的で共感しきり。(イラストも多いです。)
かといって、ただの時間のやりくり本や、家事の効率云々の「主婦の知恵」本とはまったく違います。
あくまでも「脳」を「騙す」ことで、マンネリ化を脱却し、「習慣化」することが目的。(たとえば英語やトレーニング)
習慣化によって、今まで面倒だと感じていたことをそうじゃなくするという「脳」に関する本でした。
習慣化することの、目から鱗な生活の“コツ"が大きく4つの項目にわたってかかれています。

脳に関する本は沢山出ていますが、最先端のことをとても噛み砕いて教えてくれます。
(ちなみにY老先生の本を何度も挫折経験アリ)
本は厚く難解であれば価値があるわけではありません。
短時間で読めて、読んだことで、血となり肉となり、生活の糧になることがもっとも大切です。
そうい意味でも、この本の形態は私には合っていました。

経験上、勇気をもらった本はぜったいに処分できないので、実用書に近いのだと思います。
手の届くところに置いておいておいて「最近なんとなくダメな感じ・・・」な
気分のときに読んで、リセットしてくれる一冊です。

やる気は必ずなくなるし、自己啓発本は何冊読んでも同じ。
この本は、何度も読み返して、手元に置いておきたい宝物みたいな本。

受験生のいるお子さんのパパママ、従来の脳本に読み飽きた人にもお勧めです。 (ririmama/2008-12-26)
いいこと聞いちゃった♪ |||||||||||||||||||||||||
現在受験勉強中の私、買っても使ってないor途中でやめちゃった参考書も
結構あります。
飽きっぽいのはてっきり性格のせいだと思ってました。
が、『のうだま』を読んでみたら飽きっぽいのは脳の性質上当たり前の事で
やる気も続けるコツも自分でスイッチが入れられるものなんだと・・・・・・。
脳をだましてやる気が出せる!
これを聞いて安心できる人が一体何人いることか(何千万人かも!?)

この本ではやる気を出して続けるコツをすごくわかりやすくしかも自分ですぐに
できる方法で紹介してくれています。

なんと、やる気は
・カラダを動かす
・いつもと違うことをする
・ごほうびを与える
・なりきる
で出るんだそうです。

そう言えば今年に入ってから毎朝必ずエクササイズを15分やる、というのを
決めて習慣にしてから勉強の方も上手くいっているような・・・・・・。
勉強が終わったら録画しておいたドラマを1回分見る、ってごほうびを決め
たらきちんとできるようになったような・・・・・。

これって脳の性質を上手く利用してできてたんだ!

そんな風に、『のうだま』が良いのは経験だけではなく脳科学の観点から
きちんと「わかりやすい」解説をしてくれているところでしょうか。
経験論だけだと「うさんくさいなー」で読み終わっちゃうとこなんですが、
科学で証明されていると思わずなるほど、と納得できちゃう魅力があります。
(aigleroche/2008-12-20)
これはひどい ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
要点をまとめ、字だけにすればレポート用紙2枚ですむ内容を、
大きな活字、すかすかの行間、巨大なイラスト、繰り返しで
1冊の本に増量。まともな取材なら、3時間もかかっていなさそう。
これで1200円。著者のイラストのファン以外にはお勧めしません。
帯の裏表紙側に書いてあることが半分です。後はこの4つの具体例など。


(はいほー/2008-12-14)
かるーい内容なので、移動中に読み終えてしまうくらいの本です。
そこそこ楽しく読めました。 (Kuromame/2008-12-17)
やる気になる! ||||||||||||||||||||
私もなまけものですが、やる気になる時って、、、
気持ちなんですよね。
イヤなことを考えると運も未来も顔まで暗くなる。
楽しいことを考えると「やる気」も出てきます。
人の脳って感情って不思議です。
さらりと読めて楽しめました! 
またやる気がなくなったら読み返してみようと思います。 (梅子/2008-12-16)
大きな字が読みやすい70代以降、シンプルでわかりやすい内容でないと理解できない、そもそも読む気力がない人、小中学生・・・には、良いのでは?

書いてある内容は、目次を見ればわかってしまう程度。1000字程度にまとめられる。

報酬・・・昔々の心理学の実験を思い出す。ヒトはネズミやハトとは異なる。諸条件を統制された実験室内と実際の社会現場とが異なるのは当然のことであろうし、特に昨今の複雑な社会を生きる人には100%当てはまるとは限らない。 (○●/2008-12-21)
誰も教えなかった、脳の賢い使い方 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
あなたは、やる気がないって
ことはなくはないよね?



じつは、

やる気は脳をだませば
いいってことを気づかせてくれる

この本は、ファースト・クラスです!



追伸
脳は、なまけもの?

え、だったらだませばいい^^


ご褒美?

なりきり?


8分目?



移動する?





まずは、環境をかえましょうね!

(プリン天使/2008-12-12)
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海馬―脳は疲れない (新潮文庫)
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新潮社(2005-06)