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「あたりまえ」を疑う社会学 質的調査のセンス (光文社新書)
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ASIN:4334033431
光文社(2006-02-16)
好井 裕明
売上順位:61257
¥ 777(中古:¥ 233)

レビュー総評点:148
基本的にはフィールドワークの本なのだが、
題名にもなっている6章と7章はかなりの迫力がある。

あたりまえだと思っていることはいったい何なのか。
普通って言ってしまう、思ってしまうことの
鋭利な暴力。

調査手法、社会学手法、リアルをつかむフィールドワークに
触れながら、世の中を見る「視点」について語る良書。

たいてい調査に関連する本はテクニカルに終始しがちだが、
本文にもあるとおり「マインド」や「考え方」を教えてくれる。

調査関係者は必読、
世の中の見方に興味がある人なら、読んで損はない。 ( /2006-02-24)
久しぶりに感動する本だった。こんなにやさしく、こんなに優秀な研究者は滅多にいないだろう。フィールドワークの対象になる人との交流とその分析が、下手な社会学者、人類学者のような「既成の理論に当てはめた解釈」ではなく、生きられたものとしてどうすくいだすかを考えさせる良書。調査対象の人への調査を通して、自分がいかに変われるか、いかに支配的社会・文化の囚われている「自分」を変革し、新しい関係を構築できるかという試行錯誤の道筋が述べられている。それはマニュアル本的な「新しい自分に出会う」方法とは違い、おそろしくまわりくどく、おそろしくバタクサイものだろうが、しかしもっとも生きられた、もっとも大切なものをくみ上げることができる学問的営みだとぼくには思えた。あまりにも簡単に「変化」できるマニュアルにひかれる人が多いなか、漢方薬のように効果が現れるのには時間がかかるし、はっきりとはわからないのだが、でも確実かつ根本的に社会全体を覆っている「息苦しさ」を解決するためには必要な一冊だと思う。カルチュラル・スタディーズとか読んでないで、この本を読んでほしい。 (えんじゅの樹/2007-02-22)
現在の社会学がどこまで科学なのかは私は知らない。
ただ、社会という複雑系を相手にしているだけに、かなりの困難が立ちはだかっているのだろう、という想像はつく。
「あるものになる」という切り口での質的調査の説明で大衆芸能の一座に入り込んだ調査事例を挙げているが、興味深く、共感し、またおかしくて吹き出してしまった。
社会というものに対する真摯な姿勢が感じられる良書です。 (冬の暖かな鎌倉の海岸で/2007-09-07)
社会調査には数量的なものと質的なものがある。前者はアンケートなどに代表されるが、これでは「個別の事情」が表に出にくい。それに対して後者は、全体は見えにくいかもしれないが「個別の事情」を明らかにする方法である。
しかし、個別の事情となると研究対象となる団体や個人が拒絶する事がある。上手く入り込んでも、当事者の視点にどっぷり浸かってしまい、何のために観察しているのか、何を明らかにしたかったのかを忘れてしまう事がある。誰もが落ちやすい穴なのである。これらについて、どのように対象に近づいていくのか、どうやって観察する事を忘れずに続けるかについて書かれている。
まさに、学部学生またはフィールドワークを必要とする職種の人には、一度は読んで欲しい本である。 (nobu2002/2006-10-13)
私たちは普段、無意識のうちに「あたりまえ」「普通」等の表現を多く使っています。
しかし、その「あたりまえ」「普通」は本当に誰にとってもあたりまえで普通なのでしょうか。
私にとっての「普通」と、あなたにとっての「普通」は違うかもしれません。

社会学に限らず、人文科学系の研究を行っていると、この問題によく突きあたります。
本書では、調査の障害となりうるこうした「普通」「あたりまえ」の意識についてうまくまとめられています。

見慣れないもの・聞きなれないものを無意識のうちによりわけてしまうのは、安心・安全を求める生物としての人間の本能のひとつかもしれません。
ですが、客観的に社会の多様な側面を見ていく際にはこうした意識が障害となることが多々あります。
本書で取り上げられているような、社会的マイノリティへの調査においてはなおさらそうでしょう。

特に、初めて社会調査に触れる方にとっては、本書のような本を通して、自分の中の「あたりまえ」の意識に気づいておくことはきっと有益だと思います。
進学・就職・転職等で全く未知の世界に飛び込んだ方も、本書を読むことでが自分の今までの人生での「あたりまえ」を見つめなおすいい機会になるかもしれません。
タイトルの硬さに躊躇せず、是非多くの方に読んでいただきたい一冊です。 (Jing*3/2006-07-26)
社会学とは生き方を調べること |||||||||||||||||||||||||||||||
質の高い様々なフィールドワークを紹介し、社会的な周辺にいる人たち(暴走族、旅芸人、同和地区、障害者)の世界に入り「どのように生きているか」を調べる社会調査のありかたを紹介した。著者の提示するフィールドワークはどれも面白く、本書の主題でもある調査する側とされる側の関係の機微を興味深く伝え、調査する側が上位に立つことを厳しく戒めた。

不満だったのが、我々は「普通であること」に呪縛されているとして、ジェンダーフリーや選択的夫婦別姓を批判することや、同性愛を外れたことと理解することなどが、平たく言って差別を生み出すと著者は指摘し、「普通」を相対化することが必要だ」という。いわゆる「保守」的な言説が嫌いなだけじゃないと穿った見方もしたくなる。それなら相対化はどこまで行くのか、「普通」が存在しなくなるまで続くのかと思う。著者の文脈を素直に追うと、姦通罪復活を主張する人たちは明らかにマイノリティだが、これらを批判する人たちは「普通」の呪縛にとらわれているのだろうか。

「普通」についての著者の考えには、強い疑問を感じたが、本書の魅力を決して減じさせるものではない。著者の社会の周縁へいる人たちへの強い思いでもある。社会学とは人の生き方を知り、学ぶのかと感じさせられた。本書は社会学を学ぶ学生向きと言うことだが、人と接する技術を学べる本でもある。 (革命人士/2006-03-07)
質の評価は難しい |||||||||||||||
世の中を質的に調べるのが社会学。
しかしその元となるフィールドワークでは、その信頼性を妨げる様々な要因がある。調査対象のコミュニティから信頼を得られるまでの苦労や正確な情報を得ることの難しさと、信頼できない報告が多いことがよくわかった。
また「普通とは何か」という考察も面白かった。
単に「普通」といっても定義は難しいし、あるものごとを「普通」とすることで「普通でない」ものを見る目がかわってしまう。さらにニュースなどで異常な事件が起きると犯人の「普通でない」側面や背景が強調されて報道されているなどの指摘は新鮮だった。 (vatmideo/2006-03-03)
本書は質的調査を行なう者、社会学の質的調査を今現在学んでいる学生のみ
ならず、マス・メディアなどの報道に関わる人間でもいいし、自分の興味か
らいろいろと調べて歩くという趣味を持った人でもいい、またマーケティン
グ調査などで実践的な関心から調査に取り組んでいる者も含めて、このよう
な人にとって非常に参考となる1冊といえる。

本書「はじめに」の言葉を引用する。
  「調査技法や方法論でもない。質的なデータの収集方法や加工法でもない。
   (中略)<ひと>が生きていることへ向かう“まなざし”。それが何なのか
   を考え、問い直し、自分なりの“まなざし”を創造できるような感覚。」
これを育てるあるいは鍛えるための助けとなるように本書は書かれている。

前半は「はいりこむ」「あるものになる」「聞き取る」「語りだす」といった
調査過程別(またはフィールドの性格別)に具体的な例を出しながら「調査者
とは」といった点に焦点が当たる。ここは、フィールドワークという実践を行
なう上で、調査者の困難や苦悩が描かれる。どのように被調査者に近づくか、
いかに被調査者と向き合うかといったことである。質的データの収集方法や加
工法、調査技法や方法論を解説している本ではなかなかみることのない内容で
ある。質的調査の現場感覚をリアリティのある形で感じることができた。

そして、後半の「『あたりまえ』を疑う」「『普通である』ことに居直らない」
では、質的調査を行なう上でどのような点が「気付き」となりうるのか解説し
てくれている。「気付き」というのは質的調査のなかで問題意識に「気付く」
ことを指し、既存の枠組みを当てはめるわけではない質的調査には欠くべから
ざるものだ。様々な「気付き」の紹介を通して読者のセンスを刺激するという
狙いがあったように思う。

本書は体系的に質的調査を学ぶためのテキストとはいえない。しかし、質的調
査を学ぶものにとって大切な1冊であることは間違いない。「質的調査」のノ
ウハウともいえる部分をなんとか伝えようとした実践の書である。
著者をはじめとする研究者が被調査者と関わっていくなかでどのような苦悩を
感じてきたのか、被調査者への共感や感情移入のなかでなぜ心を揺さぶられた
のか、読んでいると引き込まれた。 (梵太/2008-05-12)
社会学ではフィールドワークが欠かせないが,社会学や社会調査などの本は調査の技術にかたよりがちである.著者がこの本でつたえたいのは技術でなく,フィールドワークのこころがまえやかんがえかたである.社会学者でなくてもフィールドワークやアンケートなどの調査が必要になる機会があるだろう.そういうとき,この本が参考になるのではないだろうか.また,これは「おもてなし」のこころにも通じているようにおもう.
(Kana/2008-05-07)
あたりまえって… ||||||||||||||||||||||
社会学の門外漢だけれど、
タイトルに惹かれて読みました。
フィールドワークで入り込み、その世界の人になりきり、
聞き取る努力をしてはじめて語られる真実。
それはまっすぐにひとと向き合い、自分がトータルな存在として
ひとと出会えるセンス=世の中を質的に調べること。

あたりまえを常に疑い、普通であることに居直らない
ものの見方が自分を心地よい存在に変えてくれる、と
筆者は述べている。

たまたま人権啓発のセミナーをうけていた時期だったので
言葉の1つ1つがよく理解できた。
各自があたりまえって思っていることにどれほど大きく差が
あるかを実感しています。

みんなが自分らしく生きていける社会が一番素晴らしい。
そのためにもう1度自分の中の
「あたりまえ」を考えてみよう、と思った。
社会学って深い。 (夢うさ/2006-03-22)
社会調査のフィールドワーク(訪問面接)の筆者の実体験をもとにそのノウハウを整理したものである。ひらたくいえば、調査対象者になりきるということになる。
ゲイスタディーズ、エスノメゾロジー、グラウンテディッド・セオリーなどあまり聞きなれない専門用語の解説もある。

私は、市場調査会社に勤めていますが、特にフィールドワーク部門のスタッフが読むには大変参考になりそうです。
(グリフォン/2006-06-04)
もしも、「量的調査」とは異なる「質的調査」の手法について分かりやすく説明した社会学のテキストを求めているのであれば、他の文献を探した方が良いと思う。エスノメソドロジーという手法に関心を持ち、それに基づく調査の現場を知りたいというのであれば話は別だが。私は前者だったので、読んでいて少々辛かった。著者の文章は分かりやすく面白かったけど、結局内容をまとめると、著者にとっての「質的調査」というのは、「社会的少数派」に属する人々の言説をすくい上げるための手法なのだということなのかなと思う。 (読書する主婦/2008-02-20)
私は本書をタイトルから、今まで「あたりまえ」とされていたことに疑義を挟む、と言った内容のものと思っていたのだが、そうではない。フィールドワークの方法についての著作である。

著者おすすめの文献がいくつか登場し、そこからの引用が非常に多い。おかげで、その文献の内容は大ざっぱに理解できてしまうが、著者がそれで何を指摘したかったのかが整理されていない。

著作のフィールドワーク実体験も結構紹介されているが、これもどこがポイントなのかよく判らない。

最後の方になって、ようやくタイトルにある「あたりまえ」が出てきて、いかに主題と関係ないことを読まされてきたかがわかる。

少なくとも、自分でフィールドワークをしない人にとっては、読む価値のない著作である。 (3.14カラットのダイアモンド/2008-11-02)
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「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)
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ASIN:4166601105
文藝春秋(2000-06)
谷岡 一郎
売上順位:10409
¥ 725(中古:¥ 253)

レビュー総評点:372総評点300以上の注目商品
データの正しい読み方 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
 「客観的に説明して」「数値で示して」といわれることがある。
数値化するということは、物事をより正確に認識できるということ
が前提にある。
 それは正しい。しかし、そこで示された数値データは本当に正しく
実態を示しているかということについて、意欲的に解析した本です。
 データを正しく読むための批判的なスタンス、バイアスのかかり方
などについて具体例を示しながら平易に解説している。
生きていく中でこういった情報を身につけておくことは必要だ。 (ny/2004-12-23)
極論のようで極論でない |||||||||||||||||||||||||
社会調査の過半数は「ゴミ」である(本書p23)。
一見極論のようだが、後に展開される様々な社会調査への客観的かつ的確な指摘ないし批判により決して極論でないことが分かる。
新聞記事をズバズバ論破していくのは読んでいて気持ちがいい。その上読者に新聞記事の論理的に、客観的におかしな部分を考察させる機会が(最後の5章の3問以外にも)数多くあり、なかなか頭を使う。
社会調査のみならず文章展開の論理性の考察もできる。

素直に「良著」といえるだろう。できれば社会人になる前に読んでおきたい本である。


(black bird/2007-02-09)
素晴らしい本 |||||||||||||||||||||||||||
 この本は一橋大学大学院MBAコースの「理論構築の方法」で使用されている。研究者・実務家・学生を問わず、広く社会人として、必要なリサーチ・リテラシーの必要性を問うている。
 各新聞社や中央省庁のあまりのおそまつなデータの使用の仕方から、この本を読んだ後は、簡単にはこれらのデータを信用できなくなるだろう。
 さらには、自分も人を説得する際のデータの取り扱いに注意することによって、正確な事実に基づいた意見をいえるような始めの一歩となる。
 素晴らしい本です。オススメです。 (林縦勝/2007-03-20)
 本書を推薦するか否か、小生迷っていた。内容は抜群である。特に、前付けに載せられている【調査・検証プロセスと本書に登場する「バイアス」】と題された表は、これだけでも十分に、情報吟味に役立つ。本書の内容を要約すると『1世の中のいわゆる「社会調査」は過半数がゴミである。2始末が悪いことに、ゴミは(引用されたり参考にされたりして)新たなゴミを生み、さらに増殖を続ける。3ゴミが作られる理由はいろいろあり、調査のすべてのプロセスにわたる(いろいろと例示するつもりである)。4ゴミを作らないための正しい方法論を学ぶ。5ゴミを見分ける方法(リサーチ・リテラシー/research literacy)を学ぶ。」(p9-p10より)となっている。
 著者谷岡一郎氏は、執筆時40代の若さにして大阪商業大学教授・学長を務めていた人物である。想像どうり切れ味は鋭い。この鋭い切れ味が―思い余ったのか、それとも計算された戦略と戦術なのか、はたまた学業を修めた米国の一般向け啓発書の特徴を持ち込んだのか判らないが―、勢い余って過激に大暴れしている。この点が、小生推薦するか否か迷ったところである。良質の内容を知るべき人々が、「単に感情的反発」によって、理解から遠のくのでは、もったいないことである。
 しかし、「タテマエ社会」の「ファンタジー」に生きたいとする「妄想家」ではなく、「ホンネ社会」の「リアリティ」に生きる、「当たり前の人間」であらんとするならば、丁度目覚し時計が、けたたましく不快であるにも関わらず有用であるのと等しく、本書も有用なのではないか、このように思ったわけです。
 ただし、著者の言を借りれば『もう一度お断りしておくが、過激な内容につき、ずさんな調査(すなわち「ゴミ」)をまき散らしている人々のうち、血圧の高い人は読まないほうが無難である。」(p7より)とのことである。ご注意を。
(cam/2006-12-28)
新聞を日常的に読む普通の大人であればぜひとも読んでおくべき必読書であると感じました。
もっともらしい数字で飾られた嘘っぱちの社会調査の記事がいかに多いかが、
素人や入門者でも非常に読みやすく、分かりやすく解説されています。

様々なウソのパターンが万遍なく紹介されているので一回さらっと読んだだけではそれを見破る力が十分に身に付くとは思いませんが、
少なくとも記事のデータを鵜呑みにすることなく「これは怪しいのでは?」と疑う姿勢を身に付けることはできるようになるはずです。

この本を読む前でも「これは変だ」と感じる社会調査の記事はたまにありましたが
他にも普通に読み流して信じていた嘘っぱちの記事、あるいは説明が不十分で社会調査の体を成していない記事が如何に多かったかが実際に確認できました。

本書を読んだ後では新聞の見方が変わることは間違いないと思います。 (/)
多くの方へ |||||||||||||||
中学生レベルで理解できるかどうか疑問ですが、本来はデータの理解の仕方を義務教育において提供し、国民のリサーチ・リテラシーを向上することが必要と思います。調査会社、シンクタンクには、社会科学的に誠実であろうとする調査マンは実は多くいるのですが、依頼者との「契約」において、泣く泣く依頼者の都合のよい調査を設計せざるを得ない現実もあります。身近なところでは市町村のアンケート調査等は結論ありきで、それを担保するような結果を出せと求められたりします。
最近の話題では、N○KがRDDという手法を用いて靖国神社参拝を是非を調査し反対派が多いと発表していましたが、私としては質問文自体が誘導的であったり、RDDを含めた標本抽出の手続きが呈示されていなかったので、そのまま信じることはできませんでした。
8/14の靖国討論番組で、司会者も有識者も誰も調査の信頼性について疑問を示さなかったのが残念でした。重要なデータであるが故に、調査担当者を同席させるべきだと思いました。そして、この著者のような方が、リサーチ・オンブズマンのような立場で参加されたらよかったのにと感じた次第です。 (choros/2005-08-15)
「渋谷で100人に聞きました」といったアンケートの結果を真に受けるかと言われればNoだが、新聞・テレビも同じようなことをやっているのに、こちらは意外と信じてしまっていることに気付きます。この本を読んでから、新聞の見出しに踊るパーセントを見たら、調査手法の間違い、データの曲解はないか、これを鵜呑みにしていいかなど自問するよい習慣がつきました。 (Farout/2007-06-15)
 本書では面白くかつ有益な事例をたくさん出して、どれほどいい加減なデータが世に出回っているかを示している。「ジャンクフードと非行には関連性がある」「畳の数が多い家ほど子供も多い」「コーヒーを多く飲む人は飲まない人に比べて、心臓病で死ぬ確率が三倍以上になる」などといった笑って済ますことのできるレベルのゴミ調査から、「国旗・国家法案の是非」「自衛隊は必要か」などといった硬いテーマにまつわるデータ操作に至るまで、周りはとんでもない情報操作のトリックに溢れているのである。
 巻末には読者のリサーチ・リテラシーをためすテストがついていて面白い。自分は大丈夫と思っていても、意外とバイアスに簡単に騙されているものである。 (雑読すん/2003-06-21)
一読の価値あり |||||||||||||
仕事がら、調査やマス分析にかかわるため非常に参考になった。
データを出す者として、本書に書かれていることは日頃から
注意していきたいと思う。
それにしても最近のマスコミがいかに自社のイデオロギーに誘導
しようとしているかよく理解できた。確かにデータを示されれば、
多くの大衆はそれに引っ張られる。
恐らくこの本を批判する中心はそういったマスコミ関係の仕事を
している方々であろう。少なくとも人気ニュースキャスターや
大手新聞社は影響力があるのにまったく良心的ではない。 (武蔵野/2001-11-20)
方法論を学ぶ必要性 |||||||||||||||||
 本書は社会調査がいかにいい加減になされているかを指摘し,どうすれば
改善されるのか提言している本である。一般的に,量的調査をするときには,
方法論に裏付けられたルールを守らねばならない。しかし,それをどこまで
厳密にやっているかは,多くの調査の場合疑問である。本の中でも触れられ
ているが,量的調査をする場合に回収率やアタック数すら書かないものがあ
る。調査を一般化するには,データの代表性が命である。そうでなければ,
偏った結果しかでない。
 また,因果関係を推論する際に,第3の影響(変数)の検証が無い場合や
あってもいい加減なものがあるとの指摘もある。確かに,日々目にする調査
報告などにも誤謬ともとれる推論がある。
 著者はあとがきで,社会調査では意図さえあればその通りの結果が出るよ
うに簡単に操作できると言っている。だからこそ,科学的方法論を学びデータ
を吟味する眼を養うことが重要なのだろう。 (/)
政府官公庁、学者、社会運動団体、メディア等が行うアンケートや各種調査の結果と公表、それを受けてのメディアの報道の仕方に対し、漠然と「バイアスがかかっていそうだし、なんか変だな」と感じつつも、「ここがおかしいのではないか」と明確にはその問題点を指摘できずにモヤモヤしていた私にとって、論理的な解答を与えてくれる、よくできた参考書のような一冊だった。

9条を中心とする憲法改正問題や北朝鮮、韓国、中国問題といった立場が違えば主張も全く異なるというデリケートで問題が多い昨今、それに対するアンケートや調査とその結果に対する報道も多い。

報道の受け手にしかなることができない大多数の人たちが、「社会調査」と「報道」の妥当性を検証できる大事な手段の一つが、著者のいう「リサーチ・リテラシー」であるのは間違いない。

非常に真面目な本だが、ストレートな言葉遣い(その代表が「ゴミ」)で書かれた文章は歯切れがよく、読み物としてもかなりオモシロイ。著者のことを知ったのは、西原理恵子の漫画(たしか銀玉親方山崎一夫との共著だったと思うが忘れてしまった)なのだが、そこで描かれている著者はギャンブル好きのただの冴えない大学教授だったので、その姿と本書での鋭い筆法のギャップにかなり驚いてしまった。
(Taro/2007-05-23)
新聞などで公表される数字を鵜呑みにしてはいけませんよ,間違った方法で調査されているかもしれませんし,あるいは,主催者側の欲しい結果を得るために計画された調査かもしれませんよという本です.カーター,レーガン,ニクソン,フォードの4人の元大統領の人気投票を行ったら,その結果はやる前からわかっているという話をつかみとして,どんどん引き込まれていき,一気に読むことができます.また,大手新聞の記事などをバッサ,バッサを斬っていく様は,「まあまあ抑えて」と言いたくなるくらい痛快で,ヘタな小説の何倍も楽しめます.

私の会社でも時々社内制度などに関するアンケートがあるのですが,どうも答えにくい質問が多かったり,ひょっとして誘導されているのではないかと思われるような質問があったりと気になっていました.最近はWebでこれをやらされますので,未回答ができないので一層始末に困ります.本書を読めば,なぜこのような質の悪いアンケートができあがるのかという疑問が一気に解けます.

また,本書は社会科学に関する本ですが,自然科学や工学に携わる人にも是非読んでもらいたい一冊です.例えば,対象としない変数はコントロールする必要があるという話は,小学生が理科の実験をするときに,「温度,光,水分,酸素の条件を変えて発芽の様子を観察しましょう.そのとき,2つの条件を同時に変えてはいけませんよ」というのと同じ話です.ただし,社会科学は人間が相手だけに,忘れたり,ウソをついたり,学習したりするところが難しいところのようですが,幸いにも自然科学にはそれはありませんね.

まずは,なにより本書は楽しく読めるというのが一番です.研究などに携わらない人でも知っておいて損はない内容ですし,本書を読むと新聞の読み方がきっと変わると思います.ただし,あまりのめり込むと意地悪な性格になってしまうかもしれませんが.
(wave115/2006-06-07)
「社会調査の過半数はゴミ」等の攻撃的な記述が随所にある。しかしその中に「ゴミ調査を減らしたい」「リサーチ・リテラシーをつけてもらいたい」という著者の良識が垣間見えるため、読んでいて気持ち良い。

受け身でニュースや記事を読んでいると気がつかないことや違和感を持ちながらも読み流していたことをはっきりと気づかせてくれる良書である。データを重視する姿勢とともに、データに騙されない思考力は身につけておきたい。
(amethyst/2008-08-09)
 もっともらしい社会調査の見極め能力テストが、3問載っている。広くは真実を知ろうとする能力やリサーチが正しいといえるかを見分けるリテラシーが、どの程度養えたかを試すことができる。本書を読む前と読んだ後でどれくらい変化したであろうか。
 社会調査あるいはサーベイといわれる測定結果をよく見かける。表やグラフとして提示してあることが多い。人の言うことを信ずるのは、それはそれで大事なことだ。しかし、人を惑わせてはいけない。
 自分がものを言うときはどうであろうか。(1)モデル構築、(2)リサーチ・デザイン、(3)プレゼンテーションに対し、疑問文を呈することができるだろうか。言うことは聞くことである。聞くということと見抜くということは、ひとつである。それは、真実を見る目こそが、虚心になることの根底にあるのではないか。読後に、そのような感慨を持った次第である。

 「モデル構築」における相関と因果、社会科学における検証プロセスが演繹的であること、論理構成がアプリオリにできていなければならないこと、「リサーチ・デザイン」における勝手な思いつきによるトレンドの偽装工作が発生されがちであること、これらについて詳しく実例の記事や放送をとりあげ、泥棒の始まりを明らかにしてくれる。だまされやすい方は、必読。

新書本なので、あまりおまけは期待できないが、参考文献あり。リサーチ・リテラシー訓練不足の読者向け紹介文献あり。索引なし。ひもなし。 (空也 苦惑子/2006-06-14)
新聞や行政機関のアンケートや社会調査の中にはアンケート調査の基本(リサーチリテラシー)をわからずに行っているものや、わかっていて意図的にあらかじめ導きたい結論を誘導するために行われるものがある。本書はこういった事実無根の情報(著者はゴミと称する)がどのようにして生み出されるかを理論的に説明すると同時に、こういった業務に関わる人が気をつけなければならない事柄をわかりやすく説明してくれる。実際に社会調査を行う際の方法論は参考文献を当たらなければならないが、新聞やテレビの報道は基本的に正しいと鵜呑みにしていた私にとっては目から鱗の良書である。 (たかさん/2006-03-11)
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データはウソをつく―科学的な社会調査の方法 (ちくまプリマー新書)
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ASIN:4480687599
筑摩書房(2007-05)
谷岡 一郎
売上順位:14451
¥ 798(中古:¥ 695)

レビュー総評点:108
新書界の大ヒットとなった『「社会調査」のウソ』(文春新書)の著者による「社会調査入門」。
内容は、マスコミによる社会調査を取り上げた叩き斬りまくった前作に比べ、力点が「科学」、そして「社会科学とは」なんぞや!?に置かれている点が特徴。
今回は、「社会調査」ではなく、「非科学」を相手に戦っておられる、という印象。

特に、第1章「社会科学における「事実」認定プロセス」に書かれているような内容は、これは社会科学を学ぶすべての学生にとって必須の習得事項だ。
これらを踏まえていない卒論は、おおよそ科学的とは言えない(極限すれば、エッセイにすぎない)、ということは覚えていて損はない。
第5章の「リサーチ・リテラシーとセレンディピティ」には、著者の主張が凝縮されており、内容はまっとうだが、
本書が若者向けのシリーズであるからか、
学長というお立場もあってか、いささか、説教臭いビジネス書を彷彿させるあたりが好みの分かれるところかも。

それにしても、著者の文章は、あいかわらず、実にスパイスが聞いていて読み飽きない。
また、随所に登場するいしいひさいち氏の4コマ漫画の配置も的確。巧い。
似たような内容を扱う社会科学研究の入門書と比較すると、新書である本書はもちろん内容は浅い。
でも、読み手に実際に何が伝わるか、ということにどれだけ配慮されているかという点を、高く評価したい。  (misora/2007-05-21)
最近「新書を売るのは刺激的で面白いタイトルだ」って感じだが、この本は中身も濃い。 タイトルは「データはウソをつく」だが、内容は「正しい社会調査の方法」で、社会学系の学生の心得を一般向けに噛み砕いて説明した内容。
 その上で「誤った方法」「悪質な方法」としてデータでウソをつく例が紹介されている。
 マスコミはTVであれ大新聞であれ、結局のところ送り手に「客観的事実」は無く、全てのデータは「報道姿勢」のフィルタで歪められている。社会科学のデータで客観的に正しいといえるのは至難だと思ったほうが良いくらいだということだ。
 しかし、受け手である我々が正しいデータの取りかたや、歪曲の方法を知っていれば、真実に近づく手がかりになる。
 この本では、意図した結論を引き出す設問の立て方のテクニックから、金銭・人間関係が真実を隠蔽してしまうケースまでマスコミの問題を幅広く扱っている。
 私たちが受け取るあらゆる情報が、この本が指摘する歪曲と無縁でないのは確かだと思うが、ちょっと勉強すれば、その情報が「真実」からどのくらいの距離にあるか、どちらの方向にバイアスがかかっているかを推定できる。
 送り手の意図とは別に、受け手が歪んでいる場合も多い。
 人間は自分にプラスになる情報ばかり集め、都合の悪い真実には目をつぶることが多い。
 例えば何か新製品が買いたいとき、webで絶賛しているページばかり検索してしまうとか。
 覚えがあるある。 (からから!/2007-06-05)
サブタイトルの「科学的な社会調査の方法」の方が、この本の性格をより正確に表しているのではなかろうか。若い人(学生?)向けの新書とのことだが、社会調査についてのよくできた入門書だと思う。わかりやすくおもしろい授業を聴いているような感じがした。

門外漢の私(中年)でも、教科書的な第1章:社会科学における「事実」の認定プロセス、第3章:実際にデータを分析してみよう、第4章:質問票作りのむずかしさ、の3つの章は非常に興味深く読むことができた。

なかでも第3章はなんだか手品を見ているような気がした…ということは、自分は騙される側の人間なのか?

著者と同じく、私も、いしいひさいちのファンなので引用されたマンガはすべて知っていたが、著者のような視点で読んだことなどなかったので、読む人が読めばそうなるのか、と感心することしきりであった。

この本は2000年に発売された「「社会調査」のウソ」の続編とのことだ。「ウソ」の実例をあげ筆法鋭い解説をみせた前作に比べ、本作はサブタイトルどおり「(正しい)方法」を教えることに力点が置かれているので、多少趣を異にしている。読み物としては、前作の方がおもしろいが(まじめな本だが本当におもしろい)、本作には学問的なおもしろさがある。
(Taro/2007-05-25)
『「社会調査」のウソ』という実際のアンケートなどの問題点を指摘した本の著者が、今度はどのように調査すれば良いのか、どのような落とし穴に注意すべきか、どのように分析・解釈すれば良いのかを表した本です。また世の中にあふれる情報のうち、大切なもののみを見分ける為の努力の必要性とその方法にも言及しています。
大学生あるいは新社会人には『「社会調査」のウソ』とともに是非とも読んでもらいたい本です。
ネットで調べた結果だけで「わかりません」というような、何も考えない人間が増えてほしくはありませんから。
なお、本書で例示されたt-検定の使い方には疑問があります。順序尺度として扱うべきデータに対し、使用すべきではないと考えます。 (vatmideo/2007-05-19)
前作の『「社会調査」のウソ』(文春新書)では,大手新聞の記事をバッサバッサと斬りまくって非常に痛快でしたが,本書は,データ分析の仕方や質問票の作り方など,少し学問的です.しかし楽しめます.

また,人を惑わすグラフについての解説がありますが,プレゼンなどでは自分の言いたいことを分かりやすくするためにグラフを使うわけですので,ある程度の誇張は許されます.そんな時,本書で指摘されているような事は逆にプレゼンテクニックとして使えるかもしれません.

各章にいしいひさいち氏の4コマ漫画が登場します.本書を読む前は単に笑って読んでいましたが,本文の内容としっかりリンクしており,同じ漫画でもリサーチ・リテラシーを持って読むとそういう解釈になるのかと驚いてしまいました.非常に示唆に富んだ漫画だったんですね.

報道や世間に惑わされない判断力を養うために是非どうぞ.
(wave115/2007-08-15)
アメリカ人の47%が天地創造を信じているそうです。
つまり、神様が天地を作り、アダムとイブも実在し、進化論を全否定し、神様が化石を作ったからそこに化石が有ると、マジで信じているそうです。
そっち系の私学では、マジでそれに沿った教育が施されているとは。おーこわ。
こんな一大宗教国家が世界の経済と武力を牛耳っている訳ですな。

さて。この本で目立ったナイスなフレーズは
・この本から何か学ぼうとする青少年は、あらゆるオカルト(占いとか超能力とか)への信仰を捨て去りなさい。
・およそ新聞に載っている数字なんてものは、スポーツ欄以外信用してはいけない

辺りですか。
例えばです。
ネットゲームの普及率と少年犯罪の増加率は相関関係に有る、と、朝日新聞辺りにグラフ付きで載っていたとしましょう。
さて、相関関係は本当に有るのでしょうか?
携帯電話普及率だって、地デジ普及率だって、右肩上がりですよねえ。
何故ネットゲームのみ、少年犯罪の増加に相関関係が有ると、朝日新聞は断じたのでしょうか。
何故地デジと少年犯罪の増加には相関関係は無いのでしょうか?

要は、先に記事が有り、データは作為的に作られていると言う事です。
というか、新聞に出てくる棒グラフの類は、大抵下の方が恐ろしく省略されています。
この様な事例が、この本にはごまんと紹介されています。

数値を鵜呑みにするな。自分の頭で考えろ。
人生の先輩である著者より、青少年へ向けての、愛に溢れたメッセージです。いや、実に。

と、ここで、冒頭の、47%と言う数値に戻ってみましょう。
そもそも、この47%と言う数値は誰がどうやってまとめた統計を、どのルートで著者は持ってきたのでしょうか。
各種の統計の中で、一番ハデな数値のものを、恣意的に選んだのではないのでしょうか。
そう、著者の言う事すら、鵜呑みにしてはいけないのです。考える事です。
青少年よ。我々の様なバカな大人になりなさんな。この本で早めに耐性を付けましょう。
年頃のお子さんの居る方。是非読ませてあげてください。ほんと。
ここまで青少年の為になる本は、そう無いと思います。
是非に、是非に。 (hman/2008-03-14)
本書では、「誤った方法」「悪質な方法」としてデータでウソをつく例が紹介されている。

 マスコミはテレビであれ新聞であれ、結局のところ送り手に「客観的事実」は無く、全てのデータは「報道姿勢」のフィルタで歪められているという。社会科学のデータで客観的に正しいといえるのは至難だと思ったほうが良いくらいだとさえ言う。

実際、内閣支持率の数字にしても、マスコミによって偏向とも言える特徴があることは、よく知られえいるし、各種世論調査も設問の仕方によって結果は大きく違うことがよくわかる。

また、グラフや見出しやイラストによってもマスコミは読者を自らの思う方向に誘導しようとしていることもよくわかる。

本書は、私の好きないしいひさいち氏の四コマ漫画もうまく使って読みやすくしようという工夫もしている。

ただし、タイトルから受ける印象と比較すれば内容が社会調査のある一定部分に限られていることは非常に残念であった。学生が専攻している分野の参考にするには良いであろうが、忙しい社会人がわざわざ読む価値があるかどうかは疑問がある。 (21世紀のケインジアン/2008-12-30)
ときどき新聞を見ていてつっこみたくなりませんか?
「ちゃうやろ!!!!」
って。
この本は社会調査データからの新聞の見出しに、つっこみをするための情報満載です。
因果と結果 と 相関 は違うと言うことはまだまだ世間の常識になっていないのですね。
そのことを懇々と教えてくれます。
最近の報道だと
「勤務日と休日の起床時間に差が大きいと鬱になる」
なんや、ちゃうやろそれ!
鬱だから平日は無理くり起きだしても休日だと布団の中なのだ。
や、
「早起きの子供は、学校が楽しい」
違うだろ、学校が嫌だから、なかなか起き出さないんじゃ、などの事例がすぐに思い浮かびます。
統計の使い方については、言及が甘すぎなのでそういう数値を扱ったことある人には物足りないかもしれませんが、著者の如何にマスコミの言葉をそのままに納得しないかのための説明は多くの人を「啓蒙」すると思います。 (kokodokodoko/2007-06-13)
直接、本書に関係するわけではないが、学長でもある著者は入学式でこんなことを学生に問う。「将来あなた方はマニュアルを作る人になりたいか、一生マニュアルに従う人生がいいか」と。けだし名言。本書の中には、厳しいオカルト批判があるが、通底するのは、「何も考えない(より詳しく言えば批判的検討ができない)人間になるな」ということ。ネット、テレビ、新聞のいうことを鵜呑みにしてたら、その情報が誤りでも無批判な、発信側に都合のよい受け手になってしまう。ぶっちゃけ、社会調査のテクニカルな方法を論じた3,4章なんて、読まなくてもいい。だが、5章はぜひ読んでほしい。ネット・マスコミにだまされない心の持ち方をアドバイスしてくれる。 (革命人士/2007-06-06)
社会調査で騙さないように、騙されないように気をつける点を挙げている本です。

騙さないようにするために、データ変数の取り方やアンケート項目の作りこみ方が
紹介されています。例えば、2つの変数に相関があるときは…
 ・調査方法に問題がある
 ・2つが確かに因果関係になっている
  ・が、相互に影響している
  ・いや、他の因果関係も含んでいる(原因から結果までが長く多い)
 ・2つが他の変数の結果(だから、結果的に因果関係が有るように見える)
これらのことに留意する必要がある、と。確かになぁ、短絡的に結論に持っていって
しまってはいけないと考えさせられました。

騙されないようにするために、考える癖をつける・育てることが紹介されています。
パッと見せられて、それを考えず受け入れることのないようにすれば騙されない、と。
これまで、自分がこだわるところ以外はすんなり受け入れてきているので、今後は
意識して(少しだけでも?)考えてみる癖をつけたいですね。 (中/2008-06-09)
『「社会調査」のウソ』の続編。情報が溢れる現代の中で、どうやって
本物と偽物とを見分けて、どういう態度が必要かについて語る本です。
「マニュアルに従う人ではなく、作る人になって欲しい」いう若い世代
への著者の思いが伝わってきます。

第1章で「事実の認定プロセス」について語った上で、第2章でマスコミ
へ検証の目が向けられます(タイトルからして「マスコミはいかに事実
をねじ曲げるか」と厳しい)。この2つの章だけでも読む価値は十分ある
と感じました。
第5章では、現代に必要な能力として、1)教養、2)リサーチ・リテラシー、
3)セレンディピティ(本物を嗅ぎ分ける能力)をあげ、「自分の頭で考
え、決断し、それを実行して欲しい」と訴えます。

「多くの例において、テクストが理解ひ不能に見えるのは、他でもない、
中身がないという見事な理由のためだ」というアラン・ソーカルの言葉
の引用に、著者の強い反骨心を感じました。自分で考える、この当たり
前の行動の必要性を再認識することができる本です。 (食いしん坊/2008-12-07)
「社会調査のウソ」と内容がかなり重複。どちらか一冊で十分だと思う。
本書より、「社会調査のウソ」の方が、丁寧・辛辣・痛快な気がするのは私だけだろうか?

ただユニークなのは「いしいひさいち」氏の4コマ漫画を事例に使っていることだ。
4コマ漫画に込められた「いしい」氏の「凄さ」が本書の内容より印象に残ってしまった。 (BBQ Bob/2008-09-19)
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質的データ分析法―原理・方法・実践
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新曜社(2008-03-25)
佐藤 郁哉
売上順位:2576
¥ 2,205

所属カテゴリ:
社会・政治 社会学 社会一般
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統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?
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光文社(2006-10-17)
門倉 貴史
売上順位:5441
¥ 777(中古:¥ 585)

レビュー総評点:2327総評点300以上の注目商品
名著 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
みんなが感じる数字と実感のズレがどのように生じるかを明らかにしている。
交通事故による死亡者数が急減したのはなぜか?という出だしの質問からひきつけられて、そのまま一気に読めてしまう。

ひとつひとつのタネ明かしをしてしまうと、本書を読む楽しみがなくなってしまうのでふれませんが、「なるほど!」とうなづけるカラクリがぎっしり。これから統計数字とか経済効果の数字とかを見るときには、この本を参考に、とりあえず疑ってかかることにします。

普通の統計には出てこないアングラ経済の話もありますよ。
(ネオトリマー/2006-10-28)
統計数字のウソを暴く ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
世の中には、数字と実感がズレるような事例がたくさんある。
「統計数字はなぜ私たちの実感と合わなくなるのか??」
この疑問に、明確な答えを与えてくれるのが本書だ。
身近な例を挙げながら、統計数字の作り方にまでさかのぼって解説してくれるので非常にわかりやすい。読み終わると、霧が晴れたような知的壮快感を味わえること間違いなし。
これは文句なしの星5つでしょう。
(名無し/2006-11-01)
よくぞ書いてくれました! |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
身近な例をたくさん挙げつつ、統計数字と実感のズレがなぜ生じるかを明らかにした本。
男の平均初婚年齢にほとんど変化がないのはなぜか?
なぜ平均寿命はこんなに伸びたのか?
犯罪の検挙率が急激に低下したのはなぜか?
クールビズの経済効果はあるのか?
割れ窓理論は本当に効果があったのか?
プロ野球優勝の経済効果の怪
など興味をひくテーマが満載だ。
怪しげな経済効果ばかりを出すシンクタンクの調査に対する姿勢に対しても苦言を呈している。よくぞここまで書いてくれましたという感じ。
第4章の消費者物価指数が高めに出るという箇所は、とくに詳しく書かれていて勉強になる(初心者にはやや難しいが)。 (浪速/2006-10-27)
大変興味深い内容でした ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
推理小説を読むような感覚でとても面白かったです。本書は、統計が示す数字と実感のズレがなぜ生じるのかを、たくさんの事例を使って明らかにしています。
個人的には「なぜ男の平均初婚年齢がほとんど変わらないのはなぜか?」や「なぜ景気予測はあたらないのか?」、「プロ野球の経済効果の怪」、「公式統計に表れない地下経済」などのトピックが面白かったです。
私たちは、調査機関の発表する数字をついついそのまま受け止めてしまいますが、これからはもう少し自分の頭で考えて、懐疑的に見ていこうと思いました。文章がうまいので、非常に読みやすいです。

(いちろう/2006-10-24)
統計のカラクリ |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
著者の「ワーキングプア」(宝島新書)を読んで感動したので、こちらも読んでみることにした。やはり、文章がうまいので分かりやすい。難しい統計学の話を、これだけ分かりやすく解説できるのはすごいと思う。尊敬してしまう。

身近な具体例をたくさんあげているので、数字嫌いの私でもよく理解できた。

変な経済効果の数字をまともに受け止めていた自分が少し情けなくなった・・・。





(石川ブタ木/2006-11-18)
統計リテラシー向上にお薦め ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
平均寿命、経済効果、景気動向等、普段は算出結果のみを意識しがちな身近なデータについて、導出過程から考える事により理解が深まります。

実際に統計数字を駆使するエコノミストだけあって記述が具体的で分かり易いです。
景気動向の指標には実感しづらい部分がありましたが地下経済活動にも触れており最後まで一気に読めました。 (オーロラボーイ/2007-05-27)
危険な統計数字 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
 この本では、統計数字や経済効果の数字は、それをつかさどる人間によって、いくらでも恣意的に動かすことができるということがわかります。

それはとても恐ろしいことではないでしょうか?

悪意のある者の手によってリアルとかけ離れたフェイクの数字が発表されても、私たちのような一般の人は、それを知ることができないからです。

 この作家が指摘するように、ささいなイベントやどうでもいい出来事についてまで、調査機関から「〜の経済効果」などと大げさな数字が発表されれば、なんでもいいからとにかくイベントをやれば「経済効果」なるものが発生するという結論になってしまうでしょう。

しかも、事後検証はろくすっぽしないから、いつも適当な数字が一人歩きして終わりになってしまいます。私は、でたらめな数字であろうがなかろうが、そういった数字をありがたがるマスコミの姿勢にも問題があると思います。

この本は、非常に深刻な問題を私たちに投げかけていると思います。


(所沢/2006-11-10)
数字のマジックを解き明かす |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
統計がどのように作られているかをわかりやすく解説したうえで、実際に私たちが情報を受けとる際に、数字をどう解釈すればよいかを教えてくれます。交通事故で死んでも死亡者にならない話など、身近な例を使っているので、とっつきやすいです。シンクタンクの出すいろんな経済効果については、ほとんどがマイナスの影響を考慮していない片手落ちの計算なので、情報の受け手に「有害」と、バッサリ切り捨てています。

内容の薄い新書が増えるなかで、久しぶりに読み応えがありました。この著者は、他の作品でもそうなのですが、文章がうまくて非常に読みやすいです。 (京子22/2006-11-03)
いい加減な経済効果の数字をバッサリ切る ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
なるほど。最近、なんでこんな数字が出るの?と考えてしまうような経済効果がたくさん出ていると思っていたら、やっぱりそういうことだったのか。

筆者は、いろいろなシンクタンクを渡り歩いて活躍している有名エコノミスト。最近でもいろいろなメディアに顔を出している。

この本では、経済分野・犯罪分野の統計数字について、そのバイアスやクセなどを丁寧に解説している。また、統計やアンケートをもとにシンクタンクが出す経済効果について、それが自分たちの都合のいいようにつくられた数字であること、非現実的な仮定をおいたいい加減な数字であることを痛烈に批判している。

こんないい加減な数字をわざわざ取り上げるマスコミの姿勢にも問題があると思うのだが。





(ともさか/2006-11-19)
予想外の結論 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
本書は、統計数字についての一般的な解釈を提示したうえで、あえて、それとは全く異なる別の解釈を提示する。

筆者が主張したかったのは、たったひとつの数字でも、その解釈は何通りもあるという点、そして世の中には間違った解釈のほうが常識になってしまっているという点だろう。

経済効果を誇張する調査機関のようにそもそも数字が信じられないケース、数字は正しくても解釈が間違っているケースについて、たくさんの身近な例が挙げられていて、とてもわかりやすい。文章表現も非常に巧みだ。




(トム・リース/2006-11-15)
自然科学にも応用できる ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
 私の専門は、自然科学なのですが、筆者が本書で指摘されている論点は、経済学や社会学といった社会科学だけでなく自然科学にも広く適用可能なものだと思いました。
 
 本書を読むと、データを扱う作業がいかに難しいものであるかがよくわかります。「平均」ひとつをとっても、場面・場面でどの平均を使えばいいかよく考える必要があります。安易に単純平均を使うと、間違った結果が出ることもあるのです。

 本書で指摘されていることを真摯に受け止めて、今後の研究にいかしていきたいと思います。統計を勉強されている人たちにとって、本書はバイブル的な存在になるでしょう。文章も簡潔で非常に読みやすいです。

(里子/2006-11-13)
身近な例からマクロ経済指標まで ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
 「平均値」と一口に言っても色々あって使う場面を誤るととんでもない結論が出るんだよ、という話を皮切りに、男の平均初婚年齢算出に未婚者が除外されている話、プラス面しか見ていない万博などの経済効果測定など、マスコミを彩る統計についてのつっこみどころをズバズバと指摘してゆきます。そして本書が貴重なのは、GDPデフレータやCPI(消費者物価指数)等のマクロ経済の指標の成り立ちやバイアスの傾向とその理由を丁寧に解説してくれているところ。その際、経済指標に捕捉されない地下経済について触れ、地下経済の規模が大きくなると実態と統計の乖離幅が広がりひいては政策を誤ってしまうおそれがあると解説しているところは読みごたえがあります。
 著者は昨年から今年にかけて続けざまに本を出しているBRICs経済等を専門にする新進気鋭のエコノミスト。「『夜のオンナ』はいくら稼ぐか?」(角川Oneテーマ21)、「BRICs 新興する大国と日本」(平凡社新書)などいずれもお勧めです。ぜひご一読を。 (射手座/2006-10-30)
統計数字のウソを暴いた良書 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
 統計数字がなぜ実感とズレるのかを、たくさんの例を挙げて説明しています。「男性の平均初婚年齢がなぜほとんど変わらないのか?」や「平均寿命が延びる理由」、「犯罪の検挙率が低下した理由」など興味をひくテーマが盛りだくさんです。また、シンクタンクの出す経済効果についても、いろんな具体例を挙げて批判しています。それにしても、某調査機関の発表したご出産効果で14兆円というのはひどすぎますね。
 初心者には少し難しいところもありますが、全体としてみれば非常にわかりやすく、丁寧に書かれています。本書を含めて、最近、アンケート調査や統計数字、経済効果がおかしいとかいい加減だとかいった批判の書が増えていますね・・・・。
(統計人間/2006-10-23)
数字に対するリテラシーを磨く ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
統計学の本で、この種の過誤を解説した本は多いのですが、本書では著者の専門である経済に関連する統計の成り立ちを紹介し、サブタイトルの「なぜ実感とズレるのか?」を解明してくれます。
「○○の経済効果」など、新聞等で発表される数値の中にはかなりいい加減なものも含まれる実態とその理由も記載されています。
実際、仕事をしていて、エクセルなどで作成した表の数字をもとに会議が進められているうちに、何か数字が変ということで作成者に根拠を質したところ、非常に曖昧だったことがありましたが、そういった数字に対するリテラシーを磨くにも最適な本と言えます。 (vatmideo/2006-11-11)
お買い得な一冊 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
安易に数字を使うことがいかに危険であるかを、気づかせてくれる1冊。
とっつきにくい統計数字について、わかりやすく丁寧に解説してくれる。
統計数字を発表したり、それを加工して経済効果を出したりする調査機関に是非とも読んでもらいたい内容だ。筆者の主張する論点は、まったくもってそのとおりだと思った。
この内容の濃さでこの価格はお買い得だろう。 (高野/2006-11-07)
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99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方
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光文社(2006-02-16)
竹内 薫
売上順位:4205
¥ 735(中古:¥ 1)

レビュー総評点:-98
科学好きでも、仮説に関して論じた著作を元々何冊も読んでいるという人は世の中には少ないだろう。ましてや、BlueBacksやNewtonすら普段あまり読まない世の中の多くの人にとって、本書は読みやすく、わかりやすい、という意味で、とっかかりとしては良いのではないか。反証可能であることが科学的に扱うことができる対象であることかどうか見極める時の重要なポイントひとつという点だけでも、参考になるという方は多いと思われる。普段、多くの人が興味を持っていなかった分野に関心をひきつけることに成功したという点については、本書を高く評価したい。

ただ、仮説の分類に踏み込んで詳しく説明してはいない。また、ところどころ著者独自の見解が幅を利かせ過ぎていて、読者に対して誤まった理解を植えつける可能性がある。よって、科学の本としては十分な内容とはいえない。この点が残念である。

タイトルの付け方は上手い。本書がベストセラーになった大きな理由のひとつが、タイトルであることは疑いない。結果として、科学に普段関心のない人たちも読んでいるのだから、これはこれでよいのではないか。

仮説に対する読者の関心をより高めるためには、有名な「世界5分前仮説」も、ぜひ取り上げるべきだった。 (FreshAir/2008-07-23)
求められる思考方法 ||||||||||||||||||||||
99.9パーセントは仮説・・・0.1パーセントは何?

本書は、全体を通して一つの主張がなされています。それは科学を例に
とった、あり得べき一つの思考方法ー相対的なものの考え方です。ふと考
えてみると、すべての物事は私たちが‘勝手に’判断しているのであっ
て、その物事には本質的な価値判断は含まれていないですよね?女性は、
美しいから美しいと感じるのではなく、私たちがいたって恣意的に美しい
と判断しているではありませんか?要するに、絶対的な基準は無いので
す。
(詳しくはぜひ読んでみることを進めます)

本書に加えて、著者の「世界が変わる現代物理学」を読むと、科学的な理
解が深まります。同著は、本書でも触れられている相対性理論・量子論が
分かりやすく説明されています。

しかし注意しておきたいのは、科学自体はこの世を支配する何かを求めて
いるということです。科学自体が現場において、すべては仮説であって何
でもありになっているのではありません。相対性理論であっても、何でも
相対的でいいとしているのではないし、アインシュタイン自身この命名を
嫌っていました。

科学について興味がある方は、本書でその一端に触れると更に興味がわく
でしょう。そして、本書の最後には参考文献も充実しており、本が本を呼
び、科学についての教養が深まると思います。

最後に、本書で相対的なものの考え方を理解した後、私たちは自らの価値
判断基準を設定する必要があると思います。相対的な枠組みの中で、自ら
の座標軸がなくては話になりません。

本書は思考方法に対する安易な処方箋ではありません。 (或る平和的市民/2006-03-14)
 もう少し物理学大家のわかりやすい説明に期待したが、ちょっぴり手抜きかと。著者の本をもう一冊読みたくなる。ここまで先を読んでの出版なら脱帽だが。多くの科学的説明が仮説であり、絶対ではないことは説明尽くしているが、その根底に、ときどき宗教観の記述が出てくるとき、氏はカトリック信者を標榜する。本文中の「インテリジェントデザイン論」への肯定的に思える記述には、違和感を感じた。たまたま、キリスト教異端派のことを記述した「ダビンチコード」が話題になっているから、よけい気になったのか、それこそ頭が硬くなっているのか。早速、氏の本をもう一冊読むことにした。(笑) (A・佃崎/2006-05-06)
間違いではないが、読者の誤解を懸念 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
タイトルにあるように、世間で言われていることのほとんどは真実であるとは限らない、という教訓を、例を挙げて示した一冊。

比較的平易な文章で読みやすく、広い読者層をターゲットにしている。

『99.9%は仮説』は誇張としても、大まかには頷ける。しかしながら、このように科学の根幹に関わる前提を否定的に述べる場合は、非常に注意しないときわめて重大な誤解を読者に与える可能性がある。本書を読んで、科学データの99.9%がインチキであるかのように読者が誤解する可能性を危惧する。そもそも、『真実を明らかにする』という究極の目標に対し、どれだけ客観性の高い実証方法を示すかが科学研究の目的である。したがって、無数にある客観性の高いデータから低いデータまで検証された結果、より客観性の高く、実際の現象に沿ったデータが採用され、現代社会を支えているのである。99.9%が真実でない可能性もあるが誤りであるともいえない。さらにはどこから正しくてどこから誤りであるという境界線も示すことは不可能である。

本書を読んで『飛行機が浮く原因は未だ不明である』と勘違いする読者も多いであろうが、『翼に前方から風があたると揚力が発生する』という大きな仮定についてはは疑いようのない事実であり、それについての詳細な部分にいくつかの仮説が存在しているにすぎない。したがって、いい加減なデータや議論にもとづいて飛行機を製造している訳ではないし、現実にこの仮定が覆ったことなどはただの一度もない。

また、科学的仮説が覆された例を挙げるべき部分で『倒産しないはずの会社が倒産した』という全く説得力のない例を挙げているなど、論理的にずさんな展開が多すぎる。おそらく、日々の新聞記事などをウェブで検索し、思いついたことを文章にしてまとめたのだろうが、このような手法で教養書を構成して一貫性を保てないのは、もとの発想に問題があるためと感じる。

著者の言っていることが、99.9%の側に含まれるのか、0.1%の側に含まれるのか興味深いが、書の最後に、それ自体が単なる仮説にすぎないことをほのめかす文章があり、そうであれば本書はただの茶番であり無責任きわまりない。そうであれば単なるパラドックスとなってしまうが、本書を読んで、科学に対する屁理屈の口実が広まらないことを祈る。 (MM/2007-09-29)
混乱していないか ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
文章に一貫性が無く、内容が薄い上に偏っている。

たとえば科学論について論じた段で、最後にファイヤアーベントの「科学は神話
である」で締めている。これでは読者はどう感じるだろうか。科学は神話と同じ
で、曖昧でいい加減な物だと考えるのではないか。ニセ科学を批判していながら、
科学もニセ科学と同じような物だと言外に匂わせているような物ではないだろう
か。しかしファイヤアーベントは「どの仮説も等価値で何でもありだ」という極端
な相対主義に走り、科学哲学者側からも思考停止だとか反科学だと言われるような人物だ。

進化論にしてもしかり。科学的仮説である進化論と、神学的仮説である創造論やID
論を同列に語るのはどういうつもりだろうか。すべて教えろという主張は、まさに
創造論者が用いる布教戦略「議論を教えろ」説と全く同じ物だ。

「すべての仮説は将来反証される運命にある」という彼の主張はポパーの「反証可能性」とは全く別の物だ。
科学理論はすべて近似にすぎないという引用はその通りだが、飛行機を成田からヒースローまで飛ばす
「精度の高い近似」と、手作りハングライダーが墜落してしまうような
「精度の低い近似」があることを無視している。
などなど、いくら一般向けとはいえ、作りがずさんすぎる。 (げるやん/2007-08-21)
とっても内容の薄い科学論入門書です。内容が薄くても入門的な部分を的確に書いているなら評価できるが記述がちっとも的確ではない。だいたいさ、科学論の入門書なのに紹介されている文献ほとんどが他の入門書ってのはどういうことだろう。同じ入門書ならば、チャルマーズが書いた「科学論の展開」の最初の方が読みやすさも中身の濃さも正確さも遥かに上である。知的な面の謙虚さを訴えるなら古典中の古典である「ソクラテスの弁明」の方が上である。他人に教えるという立場で本を書くのであれば最低限の勉強はしてほしいものだ。出版社の側にもキャッチーなタイトルを考える前に本の中身を確認してほしいものだ。飛行機が飛ぶメカニズムって通常の意味でもわかってないんですか、初めて知りました(皮肉)。質量とエネルギーが等価だという式が原爆開発の必要条件だったんですか、初めて知りました(皮肉)。「仮説」「わかっている」ってそういう意味だったんですか、初めて知りました(皮肉)。

入門書を何冊か軽く読んだ素人が適当に書いた本以上の評価を本書に与えることはできない。「サンタクロースって本当はいないんだよ!お兄ちゃんが言ってた。」って小学生が友達に自分の知識をひけらかしている姿と重なってしまう。この人はファイヤアーベントの「方法への挑戦」を本当に読んだんだろうか。東大の物理ってこんなレベルで卒業できるんだろうか。そんなことまで考えてしまう。 (ま2007/2007-11-29)