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「統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (光文社新書)」 とその関連商品

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統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (光文社新書)
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ASIN:433403375X
光文社(2006-10-17)
門倉 貴史
売上順位:10906
¥ 777(中古:¥ 229)

レビュー総評点:2409総評点300以上の注目商品
著者の実体験に裏打ちされた経済統計解説 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
よくある「統計の常識を疑う」系の書籍だが、実際に経済予測等に携わった著者の経験が多分に反映されており、とりわけ第3章でのシンクタンクが試算する経済効果の胡散臭さや、第4章での統計の癖・バイアスに関する解説は白眉。一方で第2章の通説に関するコメントは(人によっては)首を傾げる箇所もあるが、こうした著者の主観が良くも悪くも本書の特徴となっている。仕事で経済統計を扱う向きならば、ほくそ笑みながら読み流せること請け合い。なお第5章は著者がライフワークにしている「地下経済」に関する話であり、若干蛇足な感はある。

ところで本書のレビューで「目が覚めました」「やはりGDPは信用できないんだ」といった類のコメントが散見されるが、こうした姿勢もまた所詮は"情報の鵜呑み"ではないか。本書の内容に対しても疑ってかかるくらいのリテラシーの高さが求められよう。 (tonny_/2007-06-03)
統計リテラシー向上にお薦め |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
平均寿命、経済効果、景気動向等、普段は算出結果のみを意識しがちな身近なデータについて、導出過程から考える事により理解が深まります。

実際に統計数字を駆使するエコノミストだけあって記述が具体的で分かり易いです。
景気動向の指標には実感しづらい部分がありましたが地下経済活動にも触れており最後まで一気に読めました。 (オーロラボーイ/2007-05-27)
大変興味深い内容でした |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
推理小説を読むような感覚でとても面白かったです。本書は、統計が示す数字と実感のズレがなぜ生じるのかを、たくさんの事例を使って明らかにしています。
個人的には「なぜ男の平均初婚年齢がほとんど変わらないのはなぜか?」や「なぜ景気予測はあたらないのか?」、「プロ野球の経済効果の怪」、「公式統計に表れない地下経済」などのトピックが面白かったです。
私たちは、調査機関の発表する数字をついついそのまま受け止めてしまいますが、これからはもう少し自分の頭で考えて、懐疑的に見ていこうと思いました。文章がうまいので、非常に読みやすいです。

(いちろう/2006-10-24)
統計数字はどこまで信じられるのか? ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
 新聞やテレビなどではいろいろな統計数字や経済効果が日々発表されています。私たちは、そうした数字を鵜呑みにしてしまいがちですが、この本を読むと、マスコミや調査機関が発表する統計数字が、実はかなり眉唾ものであることがよくわかります。

 私もシンクタンクが出す経済効果の数字については、常日頃疑問に思うことが多かったのですが(どうやって計算したかは外からはわからず数字だけが一人歩きしている印象があって)、この本では、経済効果をどのように算出しているのかというところから説きあかして、個別の事例で、論理的にその間違いを教えてくれます。著者によると、結局、一部の調査機関は、ただ「マスコミに取り上げられたい」という実にくだらない理由から眉唾の経済効果を連発しているようです。

統計数字の間違いを指摘するために、内容や記述が多少難しくなっている箇所もあるのですが、全体としてみれば文系の私でも非常に読みやすくわかりやすかったです。


(モリス/2006-10-19)
統計のカラクリ ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
著者の「ワーキングプア」(宝島新書)を読んで感動したので、こちらも読んでみることにした。やはり、文章がうまいので分かりやすい。難しい統計学の話を、これだけ分かりやすく解説できるのはすごいと思う。尊敬してしまう。

身近な具体例をたくさんあげているので、数字嫌いの私でもよく理解できた。

変な経済効果の数字をまともに受け止めていた自分が少し情けなくなった・・・。





(石川ブタ木/2006-11-18)
数字のマジックを解き明かす ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
統計がどのように作られているかをわかりやすく解説したうえで、実際に私たちが情報を受けとる際に、数字をどう解釈すればよいかを教えてくれます。交通事故で死んでも死亡者にならない話など、身近な例を使っているので、とっつきやすいです。シンクタンクの出すいろんな経済効果については、ほとんどがマイナスの影響を考慮していない片手落ちの計算なので、情報の受け手に「有害」と、バッサリ切り捨てています。

内容の薄い新書が増えるなかで、久しぶりに読み応えがありました。この著者は、他の作品でもそうなのですが、文章がうまくて非常に読みやすいです。 (京子22/2006-11-03)
身近な例からマクロ経済指標まで ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
 「平均値」と一口に言っても色々あって使う場面を誤るととんでもない結論が出るんだよ、という話を皮切りに、男の平均初婚年齢算出に未婚者が除外されている話、プラス面しか見ていない万博などの経済効果測定など、マスコミを彩る統計についてのつっこみどころをズバズバと指摘してゆきます。そして本書が貴重なのは、GDPデフレータやCPI(消費者物価指数)等のマクロ経済の指標の成り立ちやバイアスの傾向とその理由を丁寧に解説してくれているところ。その際、経済指標に捕捉されない地下経済について触れ、地下経済の規模が大きくなると実態と統計の乖離幅が広がりひいては政策を誤ってしまうおそれがあると解説しているところは読みごたえがあります。
 著者は昨年から今年にかけて続けざまに本を出しているBRICs経済等を専門にする新進気鋭のエコノミスト。「『夜のオンナ』はいくら稼ぐか?」(角川Oneテーマ21)、「BRICs 新興する大国と日本」(平凡社新書)などいずれもお勧めです。ぜひご一読を。 (射手座/2006-10-30)
よくぞ書いてくれました! ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
身近な例をたくさん挙げつつ、統計数字と実感のズレがなぜ生じるかを明らかにした本。
男の平均初婚年齢にほとんど変化がないのはなぜか?
なぜ平均寿命はこんなに伸びたのか?
犯罪の検挙率が急激に低下したのはなぜか?
クールビズの経済効果はあるのか?
割れ窓理論は本当に効果があったのか?
プロ野球優勝の経済効果の怪
など興味をひくテーマが満載だ。
怪しげな経済効果ばかりを出すシンクタンクの調査に対する姿勢に対しても苦言を呈している。よくぞここまで書いてくれましたという感じ。
第4章の消費者物価指数が高めに出るという箇所は、とくに詳しく書かれていて勉強になる(初心者にはやや難しいが)。 (浪速/2006-10-27)
統計数字のウソを暴いた良書 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
 統計数字がなぜ実感とズレるのかを、たくさんの例を挙げて説明しています。「男性の平均初婚年齢がなぜほとんど変わらないのか?」や「平均寿命が延びる理由」、「犯罪の検挙率が低下した理由」など興味をひくテーマが盛りだくさんです。また、シンクタンクの出す経済効果についても、いろんな具体例を挙げて批判しています。それにしても、某調査機関の発表したご出産効果で14兆円というのはひどすぎますね。
 初心者には少し難しいところもありますが、全体としてみれば非常にわかりやすく、丁寧に書かれています。本書を含めて、最近、アンケート調査や統計数字、経済効果がおかしいとかいい加減だとかいった批判の書が増えていますね・・・・。
(統計人間/2006-10-23)
いい加減な経済効果の数字をバッサリ切る |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
なるほど。最近、なんでこんな数字が出るの?と考えてしまうような経済効果がたくさん出ていると思っていたら、やっぱりそういうことだったのか。

筆者は、いろいろなシンクタンクを渡り歩いて活躍している有名エコノミスト。最近でもいろいろなメディアに顔を出している。

この本では、経済分野・犯罪分野の統計数字について、そのバイアスやクセなどを丁寧に解説している。また、統計やアンケートをもとにシンクタンクが出す経済効果について、それが自分たちの都合のいいようにつくられた数字であること、非現実的な仮定をおいたいい加減な数字であることを痛烈に批判している。

こんないい加減な数字をわざわざ取り上げるマスコミの姿勢にも問題があると思うのだが。





(ともさか/2006-11-19)
名著 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
みんなが感じる数字と実感のズレがどのように生じるかを明らかにしている。
交通事故による死亡者数が急減したのはなぜか?という出だしの質問からひきつけられて、そのまま一気に読めてしまう。

ひとつひとつのタネ明かしをしてしまうと、本書を読む楽しみがなくなってしまうのでふれませんが、「なるほど!」とうなづけるカラクリがぎっしり。これから統計数字とか経済効果の数字とかを見るときには、この本を参考に、とりあえず疑ってかかることにします。

普通の統計には出てこないアングラ経済の話もありますよ。
(ネオトリマー/2006-10-28)
危険な統計数字 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
 この本では、統計数字や経済効果の数字は、それをつかさどる人間によって、いくらでも恣意的に動かすことができるということがわかります。

それはとても恐ろしいことではないでしょうか?

悪意のある者の手によってリアルとかけ離れたフェイクの数字が発表されても、私たちのような一般の人は、それを知ることができないからです。

 この作家が指摘するように、ささいなイベントやどうでもいい出来事についてまで、調査機関から「〜の経済効果」などと大げさな数字が発表されれば、なんでもいいからとにかくイベントをやれば「経済効果」なるものが発生するという結論になってしまうでしょう。

しかも、事後検証はろくすっぽしないから、いつも適当な数字が一人歩きして終わりになってしまいます。私は、でたらめな数字であろうがなかろうが、そういった数字をありがたがるマスコミの姿勢にも問題があると思います。

この本は、非常に深刻な問題を私たちに投げかけていると思います。


(所沢/2006-11-10)
数字に対するリテラシーを磨く |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
統計学の本で、この種の過誤を解説した本は多いのですが、本書では著者の専門である経済に関連する統計の成り立ちを紹介し、サブタイトルの「なぜ実感とズレるのか?」を解明してくれます。
「○○の経済効果」など、新聞等で発表される数値の中にはかなりいい加減なものも含まれる実態とその理由も記載されています。
実際、仕事をしていて、エクセルなどで作成した表の数字をもとに会議が進められているうちに、何か数字が変ということで作成者に根拠を質したところ、非常に曖昧だったことがありましたが、そういった数字に対するリテラシーを磨くにも最適な本と言えます。 (vatmideo/2006-11-11)
お買い得な一冊 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
安易に数字を使うことがいかに危険であるかを、気づかせてくれる1冊。
とっつきにくい統計数字について、わかりやすく丁寧に解説してくれる。
統計数字を発表したり、それを加工して経済効果を出したりする調査機関に是非とも読んでもらいたい内容だ。筆者の主張する論点は、まったくもってそのとおりだと思った。
この内容の濃さでこの価格はお買い得だろう。 (高野/2006-11-07)
予想外の結論 |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
本書は、統計数字についての一般的な解釈を提示したうえで、あえて、それとは全く異なる別の解釈を提示する。

筆者が主張したかったのは、たったひとつの数字でも、その解釈は何通りもあるという点、そして世の中には間違った解釈のほうが常識になってしまっているという点だろう。

経済効果を誇張する調査機関のようにそもそも数字が信じられないケース、数字は正しくても解釈が間違っているケースについて、たくさんの身近な例が挙げられていて、とてもわかりやすい。文章表現も非常に巧みだ。




(トム・リース/2006-11-15)
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平均点:5.0
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データの罠―世論はこうしてつくられる (集英社新書)
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ASIN:4087203603
集英社(2006-09)
田村 秀
売上順位:76260
¥ 714(中古:¥ 135)

レビュー総評点:25
一般的に、新聞などで統計調査の結果により定量的なデータが示されると、それを鵜呑みにしてしまいがちだが、そのような行動のあり方に警鐘を鳴らしている。サンプリングの仕方、質問設定の仕方、回答の解釈の仕方、他のデータとの比較の仕方などにより、調査結果は比較的簡単に誘導できるものであり、すべてを真に受けてはいけないというのが筆者の主張であり、その主張の根拠が分かりやすく書かれている。なお、この本の最後の方には、ページが余ったのか、なぜかあまり統計調査とは関係ない、耐震偽装や粉飾決算などのコンプライアンスの問題や郵政民営化など官業の民営化問題に対する筆者の考え方が示されているが、まあこれはこれでまっとうなご意見。 (海援隊/2006-11-24)
昨今はやりのリサーチリテラシーの本。ダレル・ハフの「統計でウソをつく法」が大元です。特に目新しい論点はないです。

いろいろな調査結果を事例として、それぞれにコメント付けているのは、リテラシーの実演としては面白いかも知れません。
批判するのはいいのですが、その解決策がない。
例えば、都道府県ランキングなどを批判しています。評価に入れる項目の単純平均をとるのか、加重平均をとるのか、で単純平均はだめらしい。ではどんな加重平均ならランキングに載る自治体が納得できるのか?そういうことは全く考慮されていません。
視聴率については、ビデオリサーチのwebサイトの視聴率コーナーを見た方がよっぽどためになります。
(nankichi/2007-01-09)

様々な数値データが如何に恣意的なものであるか
実例を数多く採り上げ、看破していく点は納得。
我々がそうしたデータ加工の結果、出てきた結論に
左右されてはいけない、という教訓も判る。

欲を言えば「だからこうすべきだ」的な
前向きの意見・理想論も欲しいところだ。 (アジアの息吹/2007-03-12)
「ダメな議論」(飯田泰之著,ちくま新書)という本では,ダメな議論を見分けるためにはまず,単純なデータ観察で否定されないかをチェックしましょうと述べられています.一方,この「データの罠」では,そもそもデータからして怪しいものがあるということが述べられています.世の中すべて疑ってかからなければならないのかとちょっと寂しくなります.

ところで,本書では選挙速報の精度などをテレビ局毎に比較したり,都道府県ランキングを種々の調査会社で比較したりしているのですが,なかなか興味深いですね.調査の結果を鵜呑みにできないということがよく分かります.

比較的最近の時事問題を例題としており,これらの問題の背景もある程度知っていることが多いので,自分の情報リテラシーのレベルを測るのに非常に良い例題だと思います.他の類書に比べると,個々の話題の落ち着き先がまじめですので,シニカルにつっこみを入れたい人には少し物足りないかも.
(wave115/2007-05-01)
著者のいう「視聴率の限界」を自分なりに考えてみた。今『木更津キャッツアイ』というdvdが、バカ売れしてる。V6岡田がガン告知を受け、限られた青春を楽しめというドラマだが。実はこのドラマ初回時の視聴率は低く、その後の映画化などロングヒットを予想できなかった。

著者がいうには、広告業界が目くじら立てる視聴率に「0.1%」の意味は無いと。なぜなら調査コスト面でサンプル数に限界があり、どうしても現行調査では「5%」の誤差が出るから。■例えばキムタクのドラマが25%、長瀬ドラマ22%と測定でた。ジャニーズ対決!本当にキムタク勝ち?か断定できない。実はキムタク20%で「5%の真実が漏れ」てるかも。長瀬は27%〜17%可能性もある。■またデータは調査手順・対象や有効回答率いかんによって大きく変動するので。調査側の恣意的操作の危険性もある。だから読む側は疑う必要がある。比較前に果たしてそのデータが、同じ基準同士のデータなのか?■例えば視聴率だと、奈良の企業がCMを選ぶ時、関東圏の数字は当てにならない。こうゆう実は違う基準同士データを、同じ土俵で不当に比べてる調査が他にもあるらしい。

『木更津〜』に話を戻す、調査会社が依頼をかけてる世帯に偏りがあったのか。たぶん不安定に転居する身軽な独身若者層の嗜好を、視聴率は捕捉できないのだろう。なぜなら彼らは、お年寄りに比べ新製品に飛びつき易いから。例えばウチの母親は、ビデオ予約録画操作できない。ハードディスク録画やdvd、ネットTV、携帯TV…使いこなすユーザーは若者の方が多い。この経済効果を視聴率は予測できない。それにアパート賃借人が代わる度に、調査会社が同意交渉をするのは困難だ。だから独身若者層の視聴率は漏れ易い。■改めて「グーグル」キーワード広告の凄さを思い知った。TVCMは今後試練だろう… (ブリキ男/2006-11-03)
数字を挙げて説明されると、説得力があるように感じる。でも、ここで出てくる視聴率のように、あやふやな数字が一人歩きしてしまう現状と、母集団の偏りがあるデータの数字がなぜおかしいのかを解説した。そこには、マジックの種明かしにも似た面白さがある。それは、我々がいかに普段、データの数字に信じて疑わない信頼感を持っているかの証ではないかと思う。

著者は元自治官僚で、公共政策を研究しているため、後段は政府など公的部門の縮小に強い危惧を抱いてる。役人に甘くないかという気もするが、根拠自体は、(データ批判をしている以上当たり前だが)しっかりしたものだ。最近出ている新書(城繁幸「若者はなぜ3年で辞めるのか」など)は、数値目標を設定して公務員削減をすることなど公的部門の縮小を批判している物が多い。1つのトレンドと言えるのかも知れない。 (革命人士/2006-10-01)
面白い。新聞とかで発表される調査が、いかに信用できない(意図を持って、世論を誘導しようとして使われている)かが、その調査手法、調査対象等の点から検証されている。インターネット調査の危険さについても、触れられている。

本書を読むと、世論調査や意識調査、国別ランキング、都道府県ランキングなどがいかに「変」か、また「TOEICの平均点が低い日本人は、英語力が低い」、「日本人は、英語の文法は強いが、リスニングは弱い」、「愛知万博の経済効果は7兆円」、「省庁再編で公務員が削減された」、「日本の公務員は多すぎる」、「日本の公務員の給与は民間より高い」、「世帯の平均貯蓄額は1273万円」等の論議が、いかに鵜呑みに出来ないかが、よく理解できる。

また、データの話だけではなく、最後の省を使って、弁護士や公認会計士などの「サムライ」としてのコンプライアンス改善、日本の住宅事情の改善、民営化を無為に推進することの問題、等にも(紙面は圧倒的に足りないが)触れていることも、好感が持てる。筆者は、本当はこういう「意見」を言いたかったのでは、と感じた。

日本人ががデータに対して冷静な目を養うために、是非読むべき良書だけど、調査の手法とか調査パネルの話で若干専門的な部分が出てくるので、☆は4つのみ。

同類に、「『社会調査』のウソ リサーチ・リテラシーのすすめ」という、これまた素晴らしい本がある。こちらは、疑問の余地無く、☆5つ。 (Ray/2006-09-26)
データは、いろんな角度から見ないと本質を見えないものにする、と言うのが本書。
作為によって加工されたデータは、良い方にも悪い方にも世論を引っ張れる力がある。
何も知らないでデータを見せられ上手に語られる(鵜呑みに信じると)騙される、と言うこと。
それを新書なので「視聴率調査」や「世論調査」などを題材にしてわかりやすく説明している。
ちょろっと読みには、とても良い本です。
後半第四章では、著者の主観も書かれており、なるほどと思わせる反面、市民運動側に立つ著者だとすれば、これも罠の一つかもと勘ぐってしまうところが惜しい。
なので星四つ。 (長曾我部晃親/2007-01-24)
書名と内容が乖離していないという理由で星5個。書名は、読む本を見つけるうえで大切な指標である。書名によって、「読む本」と「読まない本」を無意識に分類している人は多いはず。本書は、その書名を見て、「読みたい」と思った人が望む情報は記載されている本。その意味で良書。

本書の内容は、当該領域における読み手の知識や意識によって、斬新にもなりえるし陳腐にもなりえる。知っている人にとっては既に知られた事実の羅列に過ぎない。しかし、本書によって、新しい見方を獲得できる読み手も確実に存在すると私は思う。 (コンタナトス/2007-01-23)
調査結果は鵜呑みにしないで!
本書を読むことで、正しく統計を読み取る力が得られます。
チェックポイントは、サンプル抽出方法と回収率。

統計学上では、無作為抽出を行えば、一定の誤差がある前提で
全体の傾向を推測することができます。誤差5%なら400程度(
384程度)のサンプルで良いようですね。ただ、これはあくまで
「選ばれた全員が回答してくれた場合」です。このため、
サンプル数のみならず、回収率(有効回答数)が高いことも
確認しましょう。

平均を絶対視せずばらつきを見ることや、作為をつけやすい
データの重み付けの有無を見ることも注意すべきでしょうね。

また、国家統計の調査方法についても助言があります。
家計調査はサンプル抽出が偏っているとか、下水道普及率が
60%台と低いのは国交省管轄のものだけで農水省の処理浄化槽
が普及する地方をふまえて汚水処理人口普及率をみるとか。
(中/2009-02-05)
世の中にあふれているランキングやデータが、信頼できるかどうかは分からないことは知っていましたが、
実際、どういう観点から情報を疑ってかかるべきか、または信憑性を得ることができるのかということを、この本は教えてくれます。

この本より、例えどんなに大きな調査機関でも100%信用できることはありえないことが分かります。
個人的に、インターネットでの調査結果も信用できるものではないということについて、とても驚きました。

全部を疑ってかからないといけないということは少しさびしい気もしますが、
それによって、ほんの些細な数字からもいろいろな情報が得られるようになると思います。 (青年ヤング/2008-03-15)
世論調査やインターネット調査や選挙の出口調査などのデータの罠をいかに見破って、正しい読み方を行うかということがポイントになるだろう。本来は、本書のようなことをマスコミ諸君が理解しなければならないのだが、マスコミがそれを理解しているとは思えない。私たちはマスコミのデータの結果を信じるのではなくて、もっとデータの作成方法にも関心を持ったほうがいいだろう。

インターネット調査については、調査するコストが安いのがのが魅力なのだろう。しかし、あくまでも特定の意見を持つグループを対象にしたものに過ぎない。商品開発などで利用するときには有効なのだろうが、世論調査にはふさわしくないことがいえよう。

日本人の英語力の調査についても、記載されている。TOEFLの国別比較を参考にすると、日本のランキングが低いことがわかる。確かに低いのだが、これが他の国に比べて日本の平均が劣っているわけではない。単なる、TOEFLの受験者による国別平均点の比較に過ぎない。なぜなら、TOEFLの国別比較で、国の平均的な英語力を表しているわけではないからである。
(itchy1976/2007-08-13)
統計に対して、それを絶対視していか、無知であるか、どちらかでなければ、あまり得るものはないのではないだろうか?
実は、導入の一章で期待した。どこまで踏み込んでくれるのかと。が、それ以降は全て裏切られた。事例紹介、それも「え、そんなの一章読めば分かるでしょ?」くらいのもの。それも同じ観点としか思えないのが続くと、嫌になってくる。

著者はもっといろんな知見を持っているはずである。それを遺憾なく発揮したものを読んでみたいと思う。
(空星/2007-03-13)
誘導尋問によって得られたデータに信憑性はない。
どんなデータがあるのか、その手口はどんなものなのか。
報道を鵜呑みにしがちな善良な市民の皆さんはぜひ、一読あれ。
(osm10/2006-12-28)
 「官庁が使うコンサルタントは『いかようにも結論を出します』と豪語している」って言葉が紹介されてるけど、まぁこの言葉、正義感気取って100%否定することも出来ないよなぁ。シンクタンクだってコンサルティングファームだって調査会社だって、どこかしらからお金もらっておまんま食ってる訳で。おまんま食わしてもらってる人の主観が、調査結果って客観の裏側に張り付いている訳で。もちろん“豪語”するのはどうかと思うけど。これはもう、受け手の問題だよね。「調査なんて“客観性”という名の商品である」とか、「“第三者機関”なんて単なる名義貸し屋である」くらいの穿った見方しないと。著者も言うように身に着けるべきはデータリテラシーだよね。「数字」とか「ランキング」とか「グラフ」ってビジュアルだけでそこには「客観性」というアトモスフィアが芽生える。中味の信憑性を判断できる人なんて稀だ。企画書だろうが記事だろうが報告書だろうがテレビ番組のフリップだろうが、そこにグラフが一発入っただけでドーンと“客観性指数”は上がる。
 この本に例示されている世論調査、視聴率、都道府県ランキング、経済効果...といった調査、統計データの詐術については、割と知ってる人は知っている類のことなので新鮮味は無いけれど、免疫の無い人には、この本ひと通り読むことをお奨めする。統計や調査の学術的な知識が無くても、この本に書かれている、詐術を見極めるポイントを把握しとけば、役立つこと間違いなし。皆さん、知らないくせに、知らないからこそ、ランキングとかデータとか大好きなんだよね。特に日本人は平均とか客観とか大好きなんだよ絶対。俺も数学出来ないから数字には弱い。太刀打ちできない。頭っから信じちゃう。そういう人、きっと、多いんじゃないかなぁ... (盥アットマーク/2006-12-19)
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「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)
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ASIN:4166601105
文藝春秋(2000-06)
谷岡 一郎
売上順位:10728
¥ 725(中古:¥ 58)

レビュー総評点:385総評点300以上の注目商品
極論のようで極論でない |||||||||||||||||||||||||||||||
社会調査の過半数は「ゴミ」である(本書p23)。
一見極論のようだが、後に展開される様々な社会調査への客観的かつ的確な指摘ないし批判により決して極論でないことが分かる。
新聞記事をズバズバ論破していくのは読んでいて気持ちがいい。その上読者に新聞記事の論理的に、客観的におかしな部分を考察させる機会が(最後の5章の3問以外にも)数多くあり、なかなか頭を使う。
社会調査のみならず文章展開の論理性の考察もできる。

素直に「良著」といえるだろう。できれば社会人になる前に読んでおきたい本である。


(black bird/2007-02-09)
データの正しい読み方 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
 「客観的に説明して」「数値で示して」といわれることがある。
数値化するということは、物事をより正確に認識できるということ
が前提にある。
 それは正しい。しかし、そこで示された数値データは本当に正しく
実態を示しているかということについて、意欲的に解析した本です。
 データを正しく読むための批判的なスタンス、バイアスのかかり方
などについて具体例を示しながら平易に解説している。
生きていく中でこういった情報を身につけておくことは必要だ。 (ny/2004-12-23)
 本書を推薦するか否か、小生迷っていた。内容は抜群である。特に、前付けに載せられている【調査・検証プロセスと本書に登場する「バイアス」】と題された表は、これだけでも十分に、情報吟味に役立つ。本書の内容を要約すると『1世の中のいわゆる「社会調査」は過半数がゴミである。2始末が悪いことに、ゴミは(引用されたり参考にされたりして)新たなゴミを生み、さらに増殖を続ける。3ゴミが作られる理由はいろいろあり、調査のすべてのプロセスにわたる(いろいろと例示するつもりである)。4ゴミを作らないための正しい方法論を学ぶ。5ゴミを見分ける方法(リサーチ・リテラシー/research literacy)を学ぶ。」(p9-p10より)となっている。
 著者谷岡一郎氏は、執筆時40代の若さにして大阪商業大学教授・学長を務めていた人物である。想像どうり切れ味は鋭い。この鋭い切れ味が―思い余ったのか、それとも計算された戦略と戦術なのか、はたまた学業を修めた米国の一般向け啓発書の特徴を持ち込んだのか判らないが―、勢い余って過激に大暴れしている。この点が、小生推薦するか否か迷ったところである。良質の内容を知るべき人々が、「単に感情的反発」によって、理解から遠のくのでは、もったいないことである。
 しかし、「タテマエ社会」の「ファンタジー」に生きたいとする「妄想家」ではなく、「ホンネ社会」の「リアリティ」に生きる、「当たり前の人間」であらんとするならば、丁度目覚し時計が、けたたましく不快であるにも関わらず有用であるのと等しく、本書も有用なのではないか、このように思ったわけです。
 ただし、著者の言を借りれば『もう一度お断りしておくが、過激な内容につき、ずさんな調査(すなわち「ゴミ」)をまき散らしている人々のうち、血圧の高い人は読まないほうが無難である。」(p7より)とのことである。ご注意を。
(林縦勝/2007-03-20)
「社会調査の過半数はゴミ」等の攻撃的な記述が随所にある。しかしその中に「ゴミ調査を減らしたい」「リサーチ・リテラシーをつけてもらいたい」という著者の良識が垣間見えるため、読んでいて気持ち良い。

受け身でニュースや記事を読んでいると気がつかないことや違和感を持ちながらも読み流していたことをはっきりと気づかせてくれる良書である。データを重視する姿勢とともに、データに騙されない思考力は身につけておきたい。
(amethyst/2008-08-09)
新聞を日常的に読む普通の大人であればぜひとも読んでおくべき必読書であると感じました。
もっともらしい数字で飾られた嘘っぱちの社会調査の記事がいかに多いかが、
素人や入門者でも非常に読みやすく、分かりやすく解説されています。

様々なウソのパターンが万遍なく紹介されているので一回さらっと読んだだけではそれを見破る力が十分に身に付くとは思いませんが、
少なくとも記事のデータを鵜呑みにすることなく「これは怪しいのでは?」と疑う姿勢を身に付けることはできるようになるはずです。

この本を読む前でも「これは変だ」と感じる社会調査の記事はたまにありましたが
他にも普通に読み流して信じていた嘘っぱちの記事、あるいは説明が不十分で社会調査の体を成していない記事が如何に多かったかが実際に確認できました。

本書を読んだ後では新聞の見方が変わることは間違いないと思います。 (cam/2006-12-28)
多くの方へ ||||||||||||||||
中学生レベルで理解できるかどうか疑問ですが、本来はデータの理解の仕方を義務教育において提供し、国民のリサーチ・リテラシーを向上することが必要と思います。調査会社、シンクタンクには、社会科学的に誠実であろうとする調査マンは実は多くいるのですが、依頼者との「契約」において、泣く泣く依頼者の都合のよい調査を設計せざるを得ない現実もあります。身近なところでは市町村のアンケート調査等は結論ありきで、それを担保するような結果を出せと求められたりします。
最近の話題では、N○KがRDDという手法を用いて靖国神社参拝を是非を調査し反対派が多いと発表していましたが、私としては質問文自体が誘導的であったり、RDDを含めた標本抽出の手続きが呈示されていなかったので、そのまま信じることはできませんでした。
8/14の靖国討論番組で、司会者も有識者も誰も調査の信頼性について疑問を示さなかったのが残念でした。重要なデータであるが故に、調査担当者を同席させるべきだと思いました。そして、この著者のような方が、リサーチ・オンブズマンのような立場で参加されたらよかったのにと感じた次第です。 (choros/2005-08-15)
素晴らしい本 |||||||||||||||||||||||||||||||
 この本は一橋大学大学院MBAコースの「理論構築の方法」で使用されている。研究者・実務家・学生を問わず、広く社会人として、必要なリサーチ・リテラシーの必要性を問うている。
 各新聞社や中央省庁のあまりのおそまつなデータの使用の仕方から、この本を読んだ後は、簡単にはこれらのデータを信用できなくなるだろう。
 さらには、自分も人を説得する際のデータの取り扱いに注意することによって、正確な事実に基づいた意見をいえるような始めの一歩となる。
 素晴らしい本です。オススメです。 (Farout/2007-06-15)
「渋谷で100人に聞きました」といったアンケートの結果を真に受けるかと言われればNoだが、新聞・テレビも同じようなことをやっているのに、こちらは意外と信じてしまっていることに気付きます。この本を読んでから、新聞の見出しに踊るパーセントを見たら、調査手法の間違い、データの曲解はないか、これを鵜呑みにしていいかなど自問するよい習慣がつきました。 (たかさん/2006-03-11)
新聞や行政機関のアンケートや社会調査の中にはアンケート調査の基本(リサーチリテラシー)をわからずに行っているものや、わかっていて意図的にあらかじめ導きたい結論を誘導するために行われるものがある。本書はこういった事実無根の情報(著者はゴミと称する)がどのようにして生み出されるかを理論的に説明すると同時に、こういった業務に関わる人が気をつけなければならない事柄をわかりやすく説明してくれる。実際に社会調査を行う際の方法論は参考文献を当たらなければならないが、新聞やテレビの報道は基本的に正しいと鵜呑みにしていた私にとっては目から鱗の良書である。 (武蔵野/2001-11-20)
方法論を学ぶ必要性 |||||||||||||||||
 本書は社会調査がいかにいい加減になされているかを指摘し,どうすれば
改善されるのか提言している本である。一般的に,量的調査をするときには,
方法論に裏付けられたルールを守らねばならない。しかし,それをどこまで
厳密にやっているかは,多くの調査の場合疑問である。本の中でも触れられ
ているが,量的調査をする場合に回収率やアタック数すら書かないものがあ
る。調査を一般化するには,データの代表性が命である。そうでなければ,
偏った結果しかでない。
 また,因果関係を推論する際に,第3の影響(変数)の検証が無い場合や
あってもいい加減なものがあるとの指摘もある。確かに,日々目にする調査
報告などにも誤謬ともとれる推論がある。
 著者はあとがきで,社会調査では意図さえあればその通りの結果が出るよ
うに簡単に操作できると言っている。だからこそ,科学的方法論を学びデータ
を吟味する眼を養うことが重要なのだろう。 (/)
 もっともらしい社会調査の見極め能力テストが、3問載っている。広くは真実を知ろうとする能力やリサーチが正しいといえるかを見分けるリテラシーが、どの程度養えたかを試すことができる。本書を読む前と読んだ後でどれくらい変化したであろうか。
 社会調査あるいはサーベイといわれる測定結果をよく見かける。表やグラフとして提示してあることが多い。人の言うことを信ずるのは、それはそれで大事なことだ。しかし、人を惑わせてはいけない。
 自分がものを言うときはどうであろうか。(1)モデル構築、(2)リサーチ・デザイン、(3)プレゼンテーションに対し、疑問文を呈することができるだろうか。言うことは聞くことである。聞くということと見抜くということは、ひとつである。それは、真実を見る目こそが、虚心になることの根底にあるのではないか。読後に、そのような感慨を持った次第である。

 「モデル構築」における相関と因果、社会科学における検証プロセスが演繹的であること、論理構成がアプリオリにできていなければならないこと、「リサーチ・デザイン」における勝手な思いつきによるトレンドの偽装工作が発生されがちであること、これらについて詳しく実例の記事や放送をとりあげ、泥棒の始まりを明らかにしてくれる。だまされやすい方は、必読。

新書本なので、あまりおまけは期待できないが、参考文献あり。リサーチ・リテラシー訓練不足の読者向け紹介文献あり。索引なし。ひもなし。 (空也 苦惑子/2006-06-14)
この本を読んでから、新聞や雑誌を読む楽しみが増えました。
「その統計データ、どういう計算したのか?」
「そのアンケート、どこでどういう人を対象にしてとったのか?」
などなど、いちいち斜め読みする癖がつきました。

これからは、誰かに
「○○新聞で読んだデータなんだから確かな情報だよ!」と言われても、
頭ごなしには信じられなくなりました。
メディアから垂れ流される情報にうんざり気味の人にはぜひ読んでもらいたいです。 (フランスのテレビ/2009-01-03)
マスコミが「偉そうに」分析・発表する「調査結果」の大半を「ゴミ」と言い切る。
なんと痛快か!
しかも、なぜ「ゴミ」なのか、論理的に・豊富な具体例で説明しているので、中学生でも理解できる。
マスコミに惑わされない「確かな目」を養うには持って来いであり、幅広く読まれて欲しい。

更に「バイアス」といった調査の基礎もカバーしており、マーケッターを目指す大学生・社会人も大いに参考すべき良書。

(BBQ Bob/2008-09-19)
新聞などで公表される数字を鵜呑みにしてはいけませんよ,間違った方法で調査されているかもしれませんし,あるいは,主催者側の欲しい結果を得るために計画された調査かもしれませんよという本です.カーター,レーガン,ニクソン,フォードの4人の元大統領の人気投票を行ったら,その結果はやる前からわかっているという話をつかみとして,どんどん引き込まれていき,一気に読むことができます.また,大手新聞の記事などをバッサ,バッサを斬っていく様は,「まあまあ抑えて」と言いたくなるくらい痛快で,ヘタな小説の何倍も楽しめます.

私の会社でも時々社内制度などに関するアンケートがあるのですが,どうも答えにくい質問が多かったり,ひょっとして誘導されているのではないかと思われるような質問があったりと気になっていました.最近はWebでこれをやらされますので,未回答ができないので一層始末に困ります.本書を読めば,なぜこのような質の悪いアンケートができあがるのかという疑問が一気に解けます.

また,本書は社会科学に関する本ですが,自然科学や工学に携わる人にも是非読んでもらいたい一冊です.例えば,対象としない変数はコントロールする必要があるという話は,小学生が理科の実験をするときに,「温度,光,水分,酸素の条件を変えて発芽の様子を観察しましょう.そのとき,2つの条件を同時に変えてはいけませんよ」というのと同じ話です.ただし,社会科学は人間が相手だけに,忘れたり,ウソをついたり,学習したりするところが難しいところのようですが,幸いにも自然科学にはそれはありませんね.

まずは,なにより本書は楽しく読めるというのが一番です.研究などに携わらない人でも知っておいて損はない内容ですし,本書を読むと新聞の読み方がきっと変わると思います.ただし,あまりのめり込むと意地悪な性格になってしまうかもしれませんが.
(wave115/2006-06-07)
ニュースで「認知症患者が急増していて、特に中国を含む後進国の伸びが大きく患者数の70%を占めている」というニュースを見てしまいました。

この本を読んだら、こんな聞き流しそうなニュースに突っ込みを入れたくなります。
・中国を含む(もちろんインドも含む)後進国と先進国の人口比はいかほどなのか。
・認知症の定義は各国で同じなのか。
・後進国で急増というのは、寿命ののびや医者にかかれるようになったというような、医療環境の向上が原因ではないのか。
などなど。
・ってゆーか、この調査の目的は何? とかね。

世論調査とかに騙されないようにこの本を読んで頭を鍛えよう。
(ずみとし/2006-01-25)
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確率的発想法~数学を日常に活かす
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NHK出版(2004-02-29)
小島 寛之
売上順位:48715
¥ 966(中古:¥ 805)

レビュー総評点:72
平凡な題名が惜しまれる知的刺激に満ちた本。確率や不確実性をめぐる最新のトピックが手際よく紹介されるが(もっとも、語り口の平明さにもかかわらず、本質的な点を把握するのは結構難解)、その最終目的はロールズ流の社会原理を確率論の観点から裏付けることにある。ロールズの社会理論を構成する「無知のヴェール」や「マクシミン原理(最も不遇な人が最も有利になるよう分配を行う)」は、これまで様々な批判に曝されてきたが、それを本書では最新の確率理論の観点から擁護しようとしている。「過去への責任」から分配の在り方を論じる終章は、今後論議を呼ぶだろう。ですます調と、各章冒頭に引用される歌詞の選択が、玉に瑕。 (六条ひとま/2004-04-10)
 なんと刺激に満ちた面白い本でしょうか。確率論の本質を私たちの日常の現象と絡めて説明しているので、とてもイメージが掴み易い。7章以降はジョン・ロールズへのオマージュとして読みました。ロールズの思想を大変うまく説明しています。また、それに対するロバート・ノージックの思想にも言及しており、リバタリアニズムに関心のある人にも面白く読めます。さらに、株の期待値戦略や株価暴落のメカニズムにも触れており、相場関係者にも刺激的な本です。
 私たちの生き方そのものを問い掛ける本でもあり、このような廉価で面白い本はそうないと思います。確率論、正義論、リバタリアニズム、相場論、環境問題に関心のある人にはぜひお勧めします。 (orientstar/2007-10-01)
さあ、どう使うか ||||||||||||||
私には確率論の難しい話はさっぱりわかりません。
でもこの本で言っているのは、世の中の事象の多くは確率論的に起きている、ということ。
それならば、発想も確率的に考えて、対処すればよい。
簡単なようでいて、実は大きなパラダイムシフトを含む課題ですね。
でも超えることができれば実に面白い世界が広がると思います。
珍しく、新聞の書評欄で興味をひかれて購入した一冊。お勧めです。 (america_kabura/2005-04-28)
確率論の中でもベイズ理論や期待効用理論がメインテーマ。
期待効用理論は大学で習ったことがあるけれど、わけのわからない数学記号ばっかりで非常にとっつきにくかった記憶がある。だけどこの本では、いろいろと具体例で解説してくれるところがよい。大学の時は「効用分析の数理と応用」(コロナ社)を使ってたが、数ページで撃沈したので、これを機に再チャレンジしようかと思った。またナイト流不確実性やコモンナレッジなどの解説もありなかなか新鮮な感じがする。

さらに、いろんな社会問題に確率論(経済理論)を適用し考察しており、原発問題や株価暴落のメカニズムなど、深い洞察を示してくれていると思う。 (mikioです/2007-03-06)
タイトルと内容がまったく一致していないのが非常に残念.

前半に確かに様々な確率の考え方について述べており,数学に苦手意識を持つ人でも非常に面白く読める内容になっています.序盤で紹介される Bayse理論や大数の法則などは高校まででは習いませんが,平易に解説されており初学者でも理解しやすいでしょう.また,リスクに対する考え方も卑近な例を用いて説明されており,金融の考え方の一端に触れることができます.特にリスク論に関しては,自動車社会の外部不経済の評価についての紹介があり,大変,興味深い内容でした.

しかし,後半はいきなり社会学や社会選択についての話となります.つまり,どうすれば公正な社会を設計できるか,最適な所得分配法などについて述べられており,記述は平易ではあるものの専門的な内容となっています.僕は面白く読めましたが,少なくとも発想法や日常というレベルの話ではないため,本書のタイトルに惹かれて手を取った読者はがっかりするのではないでしょうか.

内容に沿ったタイトルとすると,おそらく『数理社会学入門』,『やさしい社会選択論』,『厚生経済学概論』などになると思います.このようなタイトルだと間違いなく売れないわけですが,もう少し工夫してもにいたかったと思います.

とはいえ,厚生経済学などに触れたことがない人は,本書の一読をおすすめします.最近の経済状況による派遣切りなどか問題となっていますが,低所得者への所得再分配の必要性が理論で説明されており,勉強になるでしょう. (こーいち/2009-01-10)
本書のテーマは確率というよりも不確実性といった方がいいかもしれない。
この世の中にある不確実性をいかに取り扱って生きていくか、それが本書のメインテーマだろう。

保険やギャンブルといったリスク及び不確実性とヘッジのメカニズムは、ある程度知っているとはいえ、うまく説明している。
特に、個人のリスクはヘッジできても、社会全体のリスクはヘッジできない、というのは重要だ。

インフォームド・コンセントに潜む罠は、個人的には目から鱗だった。
インフォームド・コンセントでは統計的にしか説明がなされない(9割の確率で成功する手術とか)が、患者にとって起こるのは成功か失敗かの、つまり1か0かの世界なのだ。
自分と同様の環境では9割の人が成功するとか言うのは、私という患者にとってはどうでもいい話で、重要なのは私が手術に成功するかなのだ。
被害を母体全体に広げて割ってしまうところに、統計の落とし穴があるのだ。


後半では、フランク・ナイトの提起したリスクと不確実性の問題が軸となる。
リスクは発生確率が予見可能だが、不確実性は発生確率さえわからない状況だ。
そして、人々は不確実性をより回避したがる。

これを筆者は、確率の加法性の放棄、つまり足しても1にならない確率、を考えることで説明する。
確率がわからない状況下では、確率が最低となる状況×得点、で得られる期待値(マルチプル期待値)が最大となるように人々は行動するというのだ。

次に、情報の欠落が不確実性を呼び、その情報がコモン・ノレッジ(全員が知っており、さらに全員が知っていることを知っている状況)になることで不確実性回避と同じ現象が発生することを論ずる。

そして、これらを組み合わせると、ロールズの正義論を新しい角度から眺められるのだ。
まず、無知のヴェールの状況下では、人々は不確実性の中にいる。
しかし、基本財にかかわるイベントについては、人々は見分けることができるので、基本財にかかわるイベントはコモン・ノレッジになる、つまり不確実なものではなくなる。
すると、不確実ではないイベントの方が期待値計算ではより大きい重みが置かれるので、結果として「不遇な人々の利益の最大化」になる。

最後の2章では、針を過去に向けて、起こらなかった出来事に対する確率論を展開する。
責任概念とかが絡んでくる部分だ。



個人的な意見としては、そもそもマルチプル期待値の考え方そのものに疑問が残る。
というのも、この方法だと、ツボの中に赤玉と白玉が何個かずつ入っているがその比はわからない状況で
1 何を引いても必ず100円もらえる
2 赤玉を引いたら200円、白玉を引いたら100円もらえる
の二通りのくじを考えると、どう考えても2に参加すべきなのに、マルチプル期待値の考えではどちらに参加しても同じという結論が出てしまう。

また、基本財がすべて、そしてそれのみがコモン・ノレッジになるかどうかはかなり微妙なところだと思う。

しかし、ロールズの理論への数学的アプローチとしては非常に野心的で、興味深いものである。

なお、ロールズの議論への、本書とはまったく違った角度からの数学的アプローチとして、佐伯胖『きめ方の論理』がある。
こちらは社会決定理論の観点から、ロールズの難点も指摘しつつも、その意義を強調している。 (θ/2008-09-20)
確率統計は中学高校での授業は、聞くだけでおぞましいものであった。また、難解であることが常識であった。日常生活で微分積分は使わなくとも確率統計は日々直感理論ともに使用している。本書を中学高校のときに読んでいれば、あるいは授業でこのレベルのことを教える教師がいれば、はるかに楽しく学べたと思う。
中学高校の数学の先生に是非読んで欲しい1冊である。 (セキュリティ/2009-03-14)
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データはウソをつく―科学的な社会調査の方法 (ちくまプリマー新書)
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筑摩書房(2007-05)
谷岡 一郎
売上順位:67608
¥ 798(中古:¥ 794)

レビュー総評点:115
新書界の大ヒットとなった『「社会調査」のウソ』(文春新書)の著者による「社会調査入門」。
内容は、マスコミによる社会調査を取り上げた叩き斬りまくった前作に比べ、力点が「科学」、そして「社会科学とは」なんぞや!?に置かれている点が特徴。
今回は、「社会調査」ではなく、「非科学」を相手に戦っておられる、という印象。

特に、第1章「社会科学における「事実」認定プロセス」に書かれているような内容は、これは社会科学を学ぶすべての学生にとって必須の習得事項だ。
これらを踏まえていない卒論は、おおよそ科学的とは言えない(極限すれば、エッセイにすぎない)、ということは覚えていて損はない。
第5章の「リサーチ・リテラシーとセレンディピティ」には、著者の主張が凝縮されており、内容はまっとうだが、
本書が若者向けのシリーズであるからか、
学長というお立場もあってか、いささか、説教臭いビジネス書を彷彿させるあたりが好みの分かれるところかも。

それにしても、著者の文章は、あいかわらず、実にスパイスが聞いていて読み飽きない。
また、随所に登場するいしいひさいち氏の4コマ漫画の配置も的確。巧い。
似たような内容を扱う社会科学研究の入門書と比較すると、新書である本書はもちろん内容は浅い。
でも、読み手に実際に何が伝わるか、ということにどれだけ配慮されているかという点を、高く評価したい。  (misora/2007-05-21)
最近「新書を売るのは刺激的で面白いタイトルだ」って感じだが、この本は中身も濃い。 タイトルは「データはウソをつく」だが、内容は「正しい社会調査の方法」で、社会学系の学生の心得を一般向けに噛み砕いて説明した内容。
 その上で「誤った方法」「悪質な方法」としてデータでウソをつく例が紹介されている。
 マスコミはTVであれ大新聞であれ、結局のところ送り手に「客観的事実」は無く、全てのデータは「報道姿勢」のフィルタで歪められている。社会科学のデータで客観的に正しいといえるのは至難だと思ったほうが良いくらいだということだ。
 しかし、受け手である我々が正しいデータの取りかたや、歪曲の方法を知っていれば、真実に近づく手がかりになる。
 この本では、意図した結論を引き出す設問の立て方のテクニックから、金銭・人間関係が真実を隠蔽してしまうケースまでマスコミの問題を幅広く扱っている。
 私たちが受け取るあらゆる情報が、この本が指摘する歪曲と無縁でないのは確かだと思うが、ちょっと勉強すれば、その情報が「真実」からどのくらいの距離にあるか、どちらの方向にバイアスがかかっているかを推定できる。
 送り手の意図とは別に、受け手が歪んでいる場合も多い。
 人間は自分にプラスになる情報ばかり集め、都合の悪い真実には目をつぶることが多い。
 例えば何か新製品が買いたいとき、webで絶賛しているページばかり検索してしまうとか。
 覚えがあるある。 (からから!/2007-06-05)
サブタイトルの「科学的な社会調査の方法」の方が、この本の性格をより正確に表しているのではなかろうか。若い人(学生?)向けの新書とのことだが、社会調査についてのよくできた入門書だと思う。わかりやすくおもしろい授業を聴いているような感じがした。

門外漢の私(中年)でも、教科書的な第1章:社会科学における「事実」の認定プロセス、第3章:実際にデータを分析してみよう、第4章:質問票作りのむずかしさ、の3つの章は非常に興味深く読むことができた。

なかでも第3章はなんだか手品を見ているような気がした…ということは、自分は騙される側の人間なのか?

著者と同じく、私も、いしいひさいちのファンなので引用されたマンガはすべて知っていたが、著者のような視点で読んだことなどなかったので、読む人が読めばそうなるのか、と感心することしきりであった。

この本は2000年に発売された「「社会調査」のウソ」の続編とのことだ。「ウソ」の実例をあげ筆法鋭い解説をみせた前作に比べ、本作はサブタイトルどおり「(正しい)方法」を教えることに力点が置かれているので、多少趣を異にしている。読み物としては、前作の方がおもしろいが(まじめな本だが本当におもしろい)、本作には学問的なおもしろさがある。
(TaroTaro/2007-05-25)
『「社会調査」のウソ』という実際のアンケートなどの問題点を指摘した本の著者が、今度はどのように調査すれば良いのか、どのような落とし穴に注意すべきか、どのように分析・解釈すれば良いのかを表した本です。また世の中にあふれる情報のうち、大切なもののみを見分ける為の努力の必要性とその方法にも言及しています。
大学生あるいは新社会人には『「社会調査」のウソ』とともに是非とも読んでもらいたい本です。
ネットで調べた結果だけで「わかりません」というような、何も考えない人間が増えてほしくはありませんから。
なお、本書で例示されたt-検定の使い方には疑問があります。順序尺度として扱うべきデータに対し、使用すべきではないと考えます。 (vatmideo/2007-05-19)
前作の『「社会調査」のウソ』(文春新書)では,大手新聞の記事をバッサバッサと斬りまくって非常に痛快でしたが,本書は,データ分析の仕方や質問票の作り方など,少し学問的です.しかし楽しめます.

また,人を惑わすグラフについての解説がありますが,プレゼンなどでは自分の言いたいことを分かりやすくするためにグラフを使うわけですので,ある程度の誇張は許されます.そんな時,本書で指摘されているような事は逆にプレゼンテクニックとして使えるかもしれません.

各章にいしいひさいち氏の4コマ漫画が登場します.本書を読む前は単に笑って読んでいましたが,本文の内容としっかりリンクしており,同じ漫画でもリサーチ・リテラシーを持って読むとそういう解釈になるのかと驚いてしまいました.非常に示唆に富んだ漫画だったんですね.

報道や世間に惑わされない判断力を養うために是非どうぞ.
(wave115/2007-08-15)
ときどき新聞を見ていてつっこみたくなりませんか?
「ちゃうやろ!!!!」
って。
この本は社会調査データからの新聞の見出しに、つっこみをするための情報満載です。
因果と結果 と 相関 は違うと言うことはまだまだ世間の常識になっていないのですね。
そのことを懇々と教えてくれます。
最近の報道だと
「勤務日と休日の起床時間に差が大きいと鬱になる」
なんや、ちゃうやろそれ!
鬱だから平日は無理くり起きだしても休日だと布団の中なのだ。
や、
「早起きの子供は、学校が楽しい」
違うだろ、学校が嫌だから、なかなか起き出さないんじゃ、などの事例がすぐに思い浮かびます。
統計の使い方については、言及が甘すぎなのでそういう数値を扱ったことある人には物足りないかもしれませんが、著者の如何にマスコミの言葉をそのままに納得しないかのための説明は多くの人を「啓蒙」すると思います。 (kokodokodoko/2007-06-13)
直接、本書に関係するわけではないが、学長でもある著者は入学式でこんなことを学生に問う。「将来あなた方はマニュアルを作る人になりたいか、一生マニュアルに従う人生がいいか」と。けだし名言。本書の中には、厳しいオカルト批判があるが、通底するのは、「何も考えない(より詳しく言えば批判的検討ができない)人間になるな」ということ。ネット、テレビ、新聞のいうことを鵜呑みにしてたら、その情報が誤りでも無批判な、発信側に都合のよい受け手になってしまう。ぶっちゃけ、社会調査のテクニカルな方法を論じた3,4章なんて、読まなくてもいい。だが、5章はぜひ読んでほしい。ネット・マスコミにだまされない心の持ち方をアドバイスしてくれる。 (革命人士/2007-06-06)
社会調査で騙さないように、騙されないように気をつける点を挙げている本です。

騙さないようにするために、データ変数の取り方やアンケート項目の作りこみ方が
紹介されています。例えば、2つの変数に相関があるときは…
 ・調査方法に問題がある
 ・2つが確かに因果関係になっている
  ・が、相互に影響している
  ・いや、他の因果関係も含んでいる(原因から結果までが長く多い)
 ・2つが他の変数の結果(だから、結果的に因果関係が有るように見える)
これらのことに留意する必要がある、と。確かになぁ、短絡的に結論に持っていって
しまってはいけないと考えさせられました。

騙されないようにするために、考える癖をつける・育てることが紹介されています。
パッと見せられて、それを考えず受け入れることのないようにすれば騙されない、と。
これまで、自分がこだわるところ以外はすんなり受け入れてきているので、今後は
意識して(少しだけでも?)考えてみる癖をつけたいですね。 (中/2008-06-09)
アメリカ人の47%が天地創造を信じているそうです。
つまり、神様が天地を作り、アダムとイブも実在し、進化論を全否定し、神様が化石を作ったからそこに化石が有ると、マジで信じているそうです。
そっち系の私学では、マジでそれに沿った教育が施されているとは。おーこわ。
こんな一大宗教国家が世界の経済と武力を牛耳っている訳ですな。

さて。この本で目立ったナイスなフレーズは
・この本から何か学ぼうとする青少年は、あらゆるオカルト(占いとか超能力とか)への信仰を捨て去りなさい。
・およそ新聞に載っている数字なんてものは、スポーツ欄以外信用してはいけない

辺りですか。
例えばです。
ネットゲームの普及率と少年犯罪の増加率は相関関係に有る、と、朝日新聞辺りにグラフ付きで載っていたとしましょう。
さて、相関関係は本当に有るのでしょうか?
携帯電話普及率だって、地デジ普及率だって、右肩上がりですよねえ。
何故ネットゲームのみ、少年犯罪の増加に相関関係が有ると、朝日新聞は断じたのでしょうか。
何故地デジと少年犯罪の増加には相関関係は無いのでしょうか?

要は、先に記事が有り、データは作為的に作られていると言う事です。
というか、新聞に出てくる棒グラフの類は、大抵下の方が恐ろしく省略されています。
この様な事例が、この本にはごまんと紹介されています。

数値を鵜呑みにするな。自分の頭で考えろ。
人生の先輩である著者より、青少年へ向けての、愛に溢れたメッセージです。いや、実に。

と、ここで、冒頭の、47%と言う数値に戻ってみましょう。
そもそも、この47%と言う数値は誰がどうやってまとめた統計を、どのルートで著者は持ってきたのでしょうか。
各種の統計の中で、一番ハデな数値のものを、恣意的に選んだのではないのでしょうか。
そう、著者の言う事すら、鵜呑みにしてはいけないのです。考える事です。
青少年よ。我々の様なバカな大人になりなさんな。この本で早めに耐性を付けましょう。
年頃のお子さんの居る方。是非読ませてあげてください。ほんと。
ここまで青少年の為になる本は、そう無いと思います。
是非に、是非に。 (hman/2008-03-14)
本書では、「誤った方法」「悪質な方法」としてデータでウソをつく例が紹介されている。

 マスコミはテレビであれ新聞であれ、結局のところ送り手に「客観的事実」は無く、全てのデータは「報道姿勢」のフィルタで歪められているという。社会科学のデータで客観的に正しいといえるのは至難だと思ったほうが良いくらいだとさえ言う。

実際、内閣支持率の数字にしても、マスコミによって偏向とも言える特徴があることは、よく知られえいるし、各種世論調査も設問の仕方によって結果は大きく違うことがよくわかる。

また、グラフや見出しやイラストによってもマスコミは読者を自らの思う方向に誘導しようとしていることもよくわかる。

本書は、私の好きないしいひさいち氏の四コマ漫画もうまく使って読みやすくしようという工夫もしている。

ただし、タイトルから受ける印象と比較すれば内容が社会調査のある一定部分に限られていることは非常に残念であった。学生が専攻している分野の参考にするには良いであろうが、忙しい社会人がわざわざ読む価値があるかどうかは疑問がある。 (21世紀のケインジアン/2008-12-30)
情報があふれる今の世の中。情報に対するフィルターの能力が求められていると思う。自分が最適なフィルターを持っているかを確認したくて購入、通読
読んでみると、仮説がどのように認められて事実になるかのプロセス、あふれる情報に対するフィルターの解釈の仕方、論理を作成するときのデータの使い方と新しいモデルの構築方法などを記載してくれている。おもしろかったのは著者が全編を通して自分の頭で考えて現状ある情報にフィルターを掛けるべきだと述べているところだ。現在のあふれる情報に対しての対抗策として有効だとおもうし、自分の中で考える習慣をつけるきっかけになる。また、まだ発信されていない情報にこそ価値があるといっているのも非常に面白い。
今の世の中でだまされないように、事実を検証するすべを学ぶことができる書籍になっていると思います。 (sickboy/2009-05-20)
『「社会調査」のウソ』の続編。情報が溢れる現代の中で、どうやって
本物と偽物とを見分けて、どういう態度が必要かについて語る本です。
「マニュアルに従う人ではなく、作る人になって欲しい」いう若い世代
への著者の思いが伝わってきます。

第1章で「事実の認定プロセス」について語った上で、第2章でマスコミ
へ検証の目が向けられます(タイトルからして「マスコミはいかに事実
をねじ曲げるか」と厳しい)。この2つの章だけでも読む価値は十分ある
と感じました。
第5章では、現代に必要な能力として、1)教養、2)リサーチ・リテラシー、
3)セレンディピティ(本物を嗅ぎ分ける能力)をあげ、「自分の頭で考
え、決断し、それを実行して欲しい」と訴えます。

「多くの例において、テクストが理解ひ不能に見えるのは、他でもない、
中身がないという見事な理由のためだ」というアラン・ソーカルの言葉
の引用に、著者の強い反骨心を感じました。自分で考える、この当たり
前の行動の必要性を再認識することができる本です。 (食いしん坊/2008-12-07)
「社会調査のウソ」と内容がかなり重複。どちらか一冊で十分だと思う。
本書より、「社会調査のウソ」の方が、丁寧・辛辣・痛快な気がするのは私だけだろうか?

ただユニークなのは「いしいひさいち」氏の4コマ漫画を事例に使っていることだ。
4コマ漫画に込められた「いしい」氏の「凄さ」が本書の内容より印象に残ってしまった。 (BBQ Bob/2008-09-19)
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平均点:4.0
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w:10 h:16 222page
使える!確率的思考 (ちくま新書)
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ASIN:4480062726
筑摩書房(2005-11)
小島 寛之
売上順位:43687
¥ 735(中古:¥ 200)

レビュー総評点:128
最近の世の中の不確実性は随分と高まった、との意見に同意される方も多いと思いますから(私が就職した頃、まさか公務員がリストラされる社会が到来するとは想像できませんでした)、確率的思考を身に着ける意義は随分あるのでは無いでしょうか。

本書は標準偏差の分かりやすい説明や、ITシステムでベイズ推定がいかに利用されているか、などなど、例え話をちりばめながら書かれているので、読んでいて飽きないです。
また、新商品の価格決定の方法とか、ネットショップでのHPの画面の最適な深さの決定ー等など、確率的な発想が現代社会で如何に有効であるかを再認識させてくれる本だと思います。ゲーム理論で有名な、働きアリと怠けアリの最適比率についても、「何故、一定の割合に収斂するのか」が簡潔に説明されていて面白かったです。
なお、著者は散々、確率的な思考について解説した後、最後に「合理的選択と正しい選択の違いは何か」と問いかけていますが、これに直ぐに答えられる人は稀ではないか、と思いました。 (レナード(fourseventy)/2005-12-10)
おもしろかった |||||||||||||
 文系の私にとっては、「確率」というと、袋の中の赤玉、白玉というイメージがうかんでくるが、本書はそのような抽象的な確率の話ではなく、社会や我々の日常生活で確率がどのように活かされているか(活かすことができるか)を例を用いながら平明に記述している。
 確率の本でありながら、数式は、わかりやすく例示するために用いられているのみであり、文系の読者でも十分読める。そして、多くの豊富なエピソードはとても興味深い。この分野に関心を持つ人にとっては当たり前の話も多いのかも知れないが、このての知識が無かった私にとっては、この本によって、物事を見る際の新しい視座を得たような気がした。 (mfhty/2005-12-06)
普段の生活で、TOTOやナンバーズ、
馬券や株式、投資信託とチャレンジするにつれ、
いろんな経済書を読んでみたのだが、
「投資と投機」の違いをズバっと解説した本にはお目見えしなかった。

いわゆる投資の世界では、リスクとリターンという説明があるが、
これがなんたるかを雰囲気ではなく、
標準偏差と平均値(年利回り)を説明した上で、
きちんと基本から説明している本は本書だけだと思う。

最近はやりのベイズ推定についても平易に書かれており
久しぶりに読んでいて、知的探究心をグイグイひきつけられる本であった。

読後爽快感もあり、私がそうなのだが、
特に理系の全員が全員難しい式をよく知っているのではナイ訳で、
本書は確率や統計・意思決定について難しい式抜きで書かれており、
そういった方が投資本を読んでも、なんだかイマイチスッキリしない気分
(なにか騙されている感)を晴らしてくれる本ではないかと思う。

エンジニアであって、経済や投資に興味のある私のような
投資アマチュアには、金融工学の本質的理解への誘導を感じ取ることができ、
近年になく面白かったと思う。
(118Mスポ/2008-06-15)
著者曰く「学校で教わる確率の殆どは受験にしか役に立たない、
人生でそれ以外に使える場面は皆無、学校で教わらなかった
確率的なものの見方・考え方は人生を生きる中で役に立つ」、
こう言われれば仕方がない!毛嫌いしていた確率を怖いもの見たさでつい・・
そんな感じで手にとってしまったが、これが正解だった。
数学力を駆使して、確率を正確に割り出す・・・・
そんな記述は一切なし!!
そう、あくまでも確率的(的がついているだけでとっつき
易い)な思考の解説なんだから。
標準偏差→平均到着時刻から前後におしなべて何分ずれるか
これ非常に解りやすい!
幾何分布は記憶を持たない→サイコロの出目で解説
ベイズ推定→このザックリ感が役に立つ
文書も面白く(恐らく著者の授業は楽しいはず)、とても
楽しめる1冊に間違いない!!

(コビ/2008-06-03)
数学から経済学に入った経済学者が書いた確率のお話。

確率論の成果のお話を天下り的に与えるだけでなく、確率計算の背景/前提や結果の読み方を経済を中心にした具体的な例で解説してあるので、読みやすくてためになる。古典的統計論ばかりでなく、ベイズ統計、事例ベース意思決定論と新しい成果の本質が手際よく提示されている。確率論としては知っている範囲であったが、いろいろと面白い考え方や例が沢山あって、楽しく読むことが出来た。世の中すべて確率なので(そーなのです、すべて確率なのです)すべての人にお薦め。

この手の本は数式を避けるのが通例で、本書でもほとんど出てこない。新書では仕方のない所だろうが、数式を使った方が分かりやすいのにと思う所もかなりある。一方、数式で埋まった教科書には、数学の前提や結果の限界について本書のような分かりやすい解説はない。この間を埋めてくれる本はないだろうか。マーケット狭いんでしょうね。 (shibchin/2008-03-14)
高校時代に「数学T(当時)」しか、必修で履修せず、「確率」といえば中学時代に「やったかも・・・」程度しか記憶に無い(記憶から消したい?)ほど、数学嫌いの私でも、途中で引っ掛かりながらも読み進めることができました。個々の事例を考えながら読むと数学への拒否反応が出そうだったので、一部の数式や数字自体は軽く読み流して、その計算式で何が言いたいのか、何が言えるのかを見ていくようにしました。それでもやはり、かなりの数学嫌いの私には辛い部分もありました。でも、確率を論じようとすれば、いくら易しく書こうとしても、この程度は最低限必要なのでしょう。(これはたぶん、私の数学の知識不足が程度を超えているからだと思います。お恥ずかしい)
そんな私でも、「標準偏差」と偏差値、貨幣保有の動機「流動性への選好」、成果主義、おみやげ選びなど、ためになるものがたくさんありました。経済も数学ができればもっと楽しく見れるんだろうな〜と感じました。
数学を嫌い、避けてきた私に向かって数学が「もっと勉強しておけばよかったね」と笑っているようで、少し悔しいですが、数学の大切さを感じさせてくれた一冊でもありました。
(のりちゃん/2006-10-03)
日常生活からビジネスの世界まで、将来の見通しが不確実なことはすべて確率的に
考えることができます。宝くじや株式市場など身近な例をもとに、いかに人々の
日常感覚が確率的には不合理な行動をもたらしているかを前半で説明します。
後半ではそれがもたらす深刻な問題(リスクの見落とし)や、無意識に「人を真似る」
行動が不確実性下での意思決定として選択されるメカニズムについて語られています。

個人的には中ほどの「ベイズ理論」がわかりやすく、また最終章の、主観的確率から
みた不確実性下の選択の正しさについての考察も一読の価値があります。 (カスタマー/2006-04-12)
例えば宝くじの一等に当たる確率が1万分の一で、100円の投資に対して無限にくじを引いた場合の配当期待金額が40円しかないとする。学生時代に学んだ基礎的な(頻度主義の?)確率の考え方では、「だから宝くじを買うのは無駄」という判断となる。
しかし、万に一つであれ、億万長者になって這い上がる可能性があるのだから買うことに意味がある、という考え方もある。何百万人という大きな単位で考えれば宝くじはあまり意味のあるものではないが、意識を持っているのは個人個人である。当選した人にとっては、当選して億万長者になったという事実があるだけなのである。
また、どの目が出るのも同様に確からしい理想的サイコロを振るのではなく、「仕組みの見えない不確実性」に対してどう意思決定をするか?という難問に挑む事例ベース意思決定やら、「主観的・心理的な確率」であるベイズ理論など、私が知らない様々な確率の考え方があることを知った。
実に刺激的で興味深い本である。
文章はちょっと下手。(人のこと言えないけど) (冬の暖かな鎌倉の海岸で/2005-11-30)
今から20年くらい前までは、PC9800に向かいながら、様々な統計的な分析をやっていた。その頃は、数式で理論を理解した上でないと運用できなかった。当時、本書に書かれている「標準偏差」の説明があればよかったのにと思う次第。あの頃は数々の事例に遭遇することで理解していったのだから。
しかし現在では、パソコンの性能も格段に向上し、いろいろな統計量の算出も楽になっている。むしろ出てきた結果をどのように読むかが大切な時代になっている。そんな中で本書は、そういった触りを理解するのに有用な書だと思う。
本書に掲載されたモンテカルロシミュレーションも2年ほど前に活用した論文を読んで、なるほどとと思ったし、ベイズ理論も「こういう原理なんだ」と感心できた。
タイトルの「使える!」ようになるには程遠いけれど、統計理論の考え方を読みやすく書いている点を評価し、☆5つ。 (vatmideo/2005-11-27)
ど素人のための確率入門。しかも、あくまでも現実生活の役に立つだろうという共通項において、確率の基本的な考え方から、新しい経済学の理論まで、手際よく平易に紹介されています。まあ、ところどころ軽い数式も出てきたりして、本当に数字が苦手な人なら、たぶん、全くつまずかないといえば嘘になるでしょうが、でも、飛び飛びで実感しやすいところだけ読んでいっても、十分ためになると思われます。
とくにすばらしいのが、昨今ネット業界をはじめとするビジネスの世界で大活躍している「ベイズ推定」の基礎を説明する第7章、そして、著者も自画自賛しているように、これまでの入門書ではあまり丁寧に解説されてこなかった、「標準偏差」を扱った第5章です。後者では、バスの到着時刻の例え話や、サーファーにとっての波の高さの比喩を巧みに用いながら、この統計学におけるとても重要な概念の意義が、本当に平明に語られています。
私たちの日常的な感覚や、多くの人がはまりこむ思い込みは、そこから跳躍した冷静な視線である「確率的思考」の高みから見ると、どうしたって「ゆがんでいる」といわねばなりません。その「ゆがみ」をほぐしながら、この不確かな世界で賢く生きていくための方法が、本書ではこれでもか、これでもかと立て続けに提示されていて関心します。自分の人生において「ツキ」をあてにし「祈り」に頼るのは、まず思考を徹底させてからのことである、という知恵の価値をよく納得することができました。 (ソコツ/2005-11-10)
確率の学問では「暗黙の了解」とされているものがきちんと説明されないが故に話が解かりにくいことが多いが、この本はきちんと書いてあるので頭がすっきりする。「確率」をとらえる立場で代表的なものは「「数学的な対称性」を基本に据えるp.47」「数学的確率p.49」、「統計から確率をとらえる・・「頻度主義」p.49」「人間の内面的な主観」から確率を描写p.51」する「主観的確率p.51」「論理学からのアプローチp.53」である「論理的確率p.53」。「平均からのバラつき具合を示す統計量p.99」である「標準偏差p.99」の重要性を、到着時間のブレが大きいバスとブレが少ないバスのどちらが通勤に使えるかp.98と言う点から説明。「データが少なくても、あるいは全くない段階でも推定p.137」をしておいてデータがつみあがるに従ってこれを修正する「学習機能p.149」がある、「心理的な確率p.138」を基礎としたベイズ推定の説明も解かりやすい。「従来の確率法則というのが確率現象を生み出す「仕組み」をはっきり決めないと使えないp.185」のに対し、最新の確率論の研究は、「類似性を利用するp.188」「真似るp.191」ことにより、「仕組みの見えない不確実性p.187」に対処する、「事例ベース意思決定論p.195-6」や「内政的確率空欄の理論」を生み出している。「不確実性下の選択というのは、各自の生きている社会の構造と不可分p.215」「不確実性下の意思決定を考えるうえで、人生における「祈り」とか「覚悟」とかいったものを排除できないように思うp.216」という筆者の言葉に「人間味の或る確率論」を感じる。 (パッション太郎/2009-04-17)
ううむ、ベイズ主義・・・
真っ正面からの数学的確立や頻度主義と対峙する、主観主義的確率・・・
むうう・・・

本当に、理系に進めば良かった(圧倒的後悔中)。
厳密な分析手法(モデルや数式の頻出するやつね)に非常に激しい威力があることは、
重々承知中ではあります。
しかし、そうした分析手法は、けっこう相手を選びます。
分析すべき問題が、あらかじめ分析手段を適用しやすいように、コントロールされてない
と駄目だし、つーか、あらかじめコーディネートされていないといけないし、威力がありす
ぎる分だけ、それが何を測定しているのか、知りたいと思った問題にとって、それを測定
することに意味あんのか、ということを(適用される分析手段とは独立に)ちゃんと考慮
しとかないと、牛刀鶏肉どころか虚空に向けてICBMをブッ放すようなことにもなりかねま
せぬ。
だからこそ文芸批評めいた社会学(他分野の人びとに遠慮して言ってます)にも、まだ出
番があるわけで。

最近、ようやく激しく威力のある厳密な分析手法を組み込み得る社会理論が登場しつつあ
るかなと思ってはいたりしましたが(圧倒的別件失礼中)、このベイズ主義などを見ますと、
これらの統計手段は、あらかじめのコーディネートなどがなくとも、それ自体で分析を進め
る中で、徐々に妥当性を増していけるのでは・・・などと考えたりも。

すげぇ、と思いました。
あー、理系に進めば良かったよ。 (kogonil_35/2007-12-02)
確率というと難しいと言う先入観に教われますが
この本を読んでみると、「ベイズ推定」でさえ
案外、簡単なものなんだなあと感じられます。
数式をあまり使わず、実例を多用した点が効果ありですね。 (I/2007-03-30)
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w:10 h:17 226page
議論のウソ (講談社現代新書)
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講談社(2005-09)
小笠原 喜康
売上順位:19954
¥ 756(中古:¥ 284)

レビュー総評点:122
非常に読みやすく解りやすい本である。全体を4章に分かち、1章目は少年非行の統計からの結論の読み取りの誤謬、2章目はもはやトンデモ本として有名になってしまった「ゲーム脳の恐怖」の論理展開の誤謬、3章目はペースメーカーと携帯電話の問題点について、4章目は「ゆとり教育」と学力低下の相関について、を例に挙げて述べている。一見、単にメディアリテラシーの本のように見えるが、最後の5章においてはそこにとどまらず、果たして「正答を求める」ことが妥当なのかどうか、という考え方の根幹に行き着く、一種哲学的な書物になっている。
当否はともかくとして、読書の質を高める役にたつ。多くの人は、自分のもつ意見と近い方向性の本を読みたがり、「やっぱりそうなんだ」と安心するのが好きである。統計がウソをつくということでけであれば、これまでも多く指摘され、それについての書物もたくさん出版されている。本書は、統計や議論の前に意図が存在すること、それに対して我々はどのように自分を持つのかという問いかけをしている点で、考えさせられるものがある。筆者の考えと私の考えは、いくつかの点で乖離しているが、それより上の次元で星5つで推薦できる本である。 (荒野の偏微分/2005-10-26)
「メディア・リテラシー」という言葉があります。「リテラシー」とは「読み書きの能力」のことです。
テレビ・新聞・雑誌・書籍・ネット等々、我々はこれらのメディアから、毎日、大量の情報を受け取ります。それら膨大な言説とどう向き合うべきか。

本書では、主に統計のトリックを考察して、メディアの言説における、安易な因果関係の導出、ムードに基づく主義主張の虚偽、などに警鐘を鳴らしています。
その解体作業を読むだけでも、十分に勉強になるのですが、
著者の本当の狙いは、「メディア・リテラシー」の向上にとどまりません。

「考える」とはどういうことか、「考えること」が「幸せ」へどう結びつくのか。
メディアの言説に対する揚げ足取りが目的ではなく、議論によって「幸せ」の形を探求しようという願いが込められています。

その意味で、「幸せ」とは無縁な土俵で繰り広げらる「議論」は「ウソ」である、と言えるのだと思いました。 (たけぞう/2006-11-25)
オススメ |||||||||||||||||||
「ウソ」として引用されている少年非行やゲーム脳、ゆとり教育批判等に対する著者の議論はそのまま独
立して扱ってもよいぐらいの内容。
この本で扱われている「ウソ」は以下の4つ。
・統計のウソ:議論の送り手側に問題がある
・権威のウソ:議論の受け手側に問題がある
・時間が作るウソ:ある時期には妥当でも、情勢が変わると不適切となるのにそのままにしてしまうこと
・ムード先行のウソ:問題設定そのものが妥当か検討されずに議論がなされること
この本は、ウソを暴いてこれが真実だ!!とするものではなく、妥当で生産的な議論を行うためにはまず
こういうポイントを明確にし、クリアーにする必要があるというのスタンスで書かれており、だから、何がホント
で何がウソかを暴くことや見分けることがこの本の主旨ではなく、何が問題かを見極め、自分自身の見方
や立場なりに自覚的になることを啓蒙するものとなっている。 (エパメイノンダス/2006-10-11)
たしかに読みやすいとは思います。そのぶん具体例がだらだら続いている感が否めません。疑うべき対象が本当にこの本に述べられているものだけなのかといった体系性の面で少し納得できませんでした。もっともこれは私の勉強不足からくるものなので著者には責任はありません。子供にメディアリテラシーというものを教えるときに役に立つ資料がいっぱい収録されているとは思います。 (たこたこ屋/2007-10-25)
タイトルからは本の内容が想像しにくいが、結局はメディアリテラシーの本といえる。
最近の話題(少年犯罪、「ゲーム脳の恐怖」(アマゾンのレビューも引用)、携帯電話の医療機器への影響、ゆとり教育批判)を題材に、統計のウソ、権威・肩書きのウソ、時間とともにデータは変化すること、根拠のないデータの結びつけといった実例を詳しく示している。
ここでは書かないが、手っ取り早く主旨を知るなら「あとがき」をお読みください。
最後に著者が述べた「正答主義はやめよう」というのには大賛成。学校のテストと違って、実社会では正解がないことが多く、妥当解か選択肢を見出すことが必要なのだから。 (vatmideo/2005-09-24)
 私たちを取り巻くもっともらしい「ウソ」。声の大きさをを争うかの様な出来損ないの「朝まで生テレビ」モドキの様な議論。予断に心地良い「学力低下・ゆとり教育批判」。
 本書は、ややもすれば取り込まれてしまう世に浮遊する「議論のウソ」を、あくまで誠実に、一見すると地味とも思える手法で解体し、論証の骨格の在り様・論証の手法の在り様を読者に提示します。
 第1章「統計のウソ―ある朝の少年非行のニュース評論から」では、新聞・テレビ・雑誌の時折現れる読者の情緒と予断に迎合する少年犯罪急増論に、統計の魔力(統計を利用したデマ)を読み解くことにより少年非行の実態を正確に読み解く道を示します。
 第2章「権威のウソ―『ゲーム脳の恐怖』から」では、一見科学的よそおいを持ち権威を利用した虚偽を、静かに説得力を持って粉砕します。
 第3章「時間が作るウソ」では、携帯電話の利用をめぐって、電車の中や病院内での利用に関する、世間のムードと総務省の調査報告とその報告から導き出された「方針」の吟味を通して、時間差により情報とその評価に乖離が生じること、導き出された結論の利用に責任を持ちたくないことから生じる「不便の強要」が解明される。
 第4章「ムード先行のウソ―「ゆとり教育」批判から」では、国際比較での学力低下情報の吟味を詳細に行い、その上で「ゆとり教育」をムードではなく対象として捉えた把握を行い、「学力」と呼ばれているものを吟味し、更には「上がること、下がること」の意味を考察している。
 第5章「ウソとホントの境」では、これまでの議論を整理しウソを分類した上で、予め正答「ホント」の無い時代を生き抜く在り方を提起します。
 著者には、 他の著作に『大学生のためのレポート・論文術』等がありますが、またしても学生・読者に対する著者なりの愛情を確認できる著作に仕上がっています。 (歯職人/2007-02-25)
メディアリテラシーを身につけるための格好の良書です。
本書を読むことによって、一見、最もな正論に思える意見が、実はトンデモナイ認識の過ちや
意図的な情報操作によって導きだされていたことが分かるでしょう。
扱われる議論の内容も、ゲーム脳の恐怖や、少年非行の増加、ゆとり教育の学力低下といった
馴染み深い題材だったため、とても読みやすかったです。
メディアに流されるのではなく、自分の頭で物事を考える際の基準に
こうした優れた洞察の知識を身につけることは、一生の財産になると思います。
メディアからの情報を鵜呑みにするのではなく、事実を疑う観察眼を養うためには
こうした本は、一度は、読んでおきたいものです。
(アルフの狼/2006-11-22)
忙しくなっているせいか、仕事ではわかりすさや素早さが最近、とみに求められてきているような気がします。著者のいう「立ち止まって本当のところはどうなんだろうと考えてみる」こと、「愚鈍なくらい判断を躊躇してみる」ことの必要性を僕も感じます。この著書は考えるために必要な議論のあり方を論じた本、といっていいと思います。

権威を持ち出す虚偽、人間の観察力の限界をわきまえず安易に結論を導いたり、ごくわずかな事実から軽率に原因を特定してしまう研究方法に関する虚偽、こうしたことにはまず十分な吟味が必要、とされます。さらに学力を論じることを例に、本当に学力は低下しているのか・学力とは何か・ゆとり教育はどう関わっているのかの視点から、将来の社会、そこで必要とされる学力とは何かを論じないと、簡単に白黒・ウソかホントかを論じることはできない、その判断は留保されるべきものであるし、人はその曖昧で限界ある立場に自覚的であるべき、と著者は説きます。この辺の議論は面白くって、考えることはこういうことのかと思え、なかなか説得的。

「社会はすぐに正解を求める。しかし世の中のことはそう簡単に白黒つけられない」一部の安易な議論を除いて、すぱっと割り切れないことは当然世の中にはあります。無自覚に割り切ってしまうことへの警告がこの本の結論なのだと思います。 (omr/2006-08-13)
最近はさすがに「少年犯罪の凶悪化が進んでいる」と言う人をテレビで見かけなくなったが、「日本人の学力が低下している」はいまだに定説のようである。

マスコミに携わる言わば情報の読み手のプロたちでさえ、本書が取り上げているウソを単純に信じ込んでしまう(と言うより何の検証もしないというべきか)訳だから、我々のような素人がこの手のウソを見破るのは簡単ではない。本書などの手助けが必要である。

最近、『〜のウソ』とか『〜を疑う』と言ったタイトルの出版物を目にする機会が多くなったのは、マスコミによる報道やそれらによって作られた定説を単純に信じ込むべきでないと思う人が増えてきたせいだろうか? (江口哲学/2008-05-24)
久々の良書 |||||||||
本書を手にとった際、谷岡一郎氏の著書、文春新書『「社会調査」のウソ』が真っ先に浮かんだ。様々な形態の社会調査(新聞記事やマスコミの報道、各種研究報告など)の脆弱性、曖昧さ、論理の非一貫性を指摘し、現代社会を生きる私たちに警告を発した書である。それを読んでいたので、この『議論のウソ』も楽しく読めた。谷岡氏とは少しちがい、小笠原氏は調査それ自体の問題とともに、それを受け取る私たちの問題も指摘する。つまり、調査者の権威、社会的雰囲気、固定観念など、意識すれば乗り越えられる障壁を乗り越えることなく、無批判に調査結果を迎合し、その流れに飲まれていると言うのである。その意味で、表題は『議論のウソ』だが、実は議論すべき議論を無批判に飲み込んでしまう私たちの、「ウソ」に対する感覚、つまり批判精神を呼び覚まそうというものである。久々に良書に出会った感じがした。
(コミー/2005-12-29)
この「タイトル」と「サブタイトル」では内容の把握が
最初はよできなかった。
しかし、内容は実は非常にわかりやすく、また興味深いものであった。
メディアのつたえる「議論」の真偽とその創造過程の妥当性
を問う本である。マスコミにお勤めの方は、たまにはこういう
書物を冷静に読むことも大切ではないだろうか?
世論形成がやり方を間違えると事実と異なった報道となり、また
ピントがずれた内容となることは多々あるからだ。
一旦形成された世論や議論はともすれば一国の運命や
個人の人生をも変えてしまうものだ。 (クリエイティブFMKTG田作健一/2005-11-13)
人間の盲点 ||||||||||
私たちの視覚や、直覚、脳、思考に及ぶすべてのものは案外フシアナである。

この本では、最初に統計の使われているその背景にこそ注目すべきであると指摘する。
というのは、新聞や本で採用されている実際のデータ、それ自身には裏はない。事実として、受け止め、自分なりに考察するのであれば、それはそれで結構なものであろう。
けれど、私たち人間はわかりやすさや、答えを求める。
実際は答えのでないことなど多くこの世にあるというのに―。

統計や、データが記載されているところにはそのデータを使用している著者や筆者の思惑がある。
こうこうこういう結論に持っていきたいのでこのデータを使用しよう!という思惑が。

その背景を理解し、着目していかなければ、簡単に思惑にのってしまうのである。 (真冬はキライヤー/2005-12-13)
巷に流れる言説、特に統計などの数値を元にその正当性をアピールする言説の間違いを
「少年非行」や、もはやネタの域にある「ゲーム脳の恐怖」を例に論じている。

私として目新しかったのは第三章、時間の作るウソの章だ。
電車内のペースメイカーや、病院内での医療機器への配慮で
ケータイなどの電磁波を発する機器の使用が制限されているが
2003年の再調査でほとんど問題ないことが判明した。にもかかわらず、既存の制度が顕在しているのだ。
病院や政府は万が一の場合の責任を恐れているのだろうが、不便な思いをさせられているのは彼らではなく
ケータイ使用者やペースメイカーをつけた高齢者である。筆者はこれを「時間の作るウソ」として論じている。

なんのことはない。これはダウンタウン松本人志が日ごろ、テレビの、ラジオ等で言っている
「おかしなとこがあったら言うていこ」の精神ではないか。
しかし、今までこのことを論じる知識人は、あまりいなかったと思う。

最後にゆとり教育について割かれた章が、めちゃ長い。おそらく筆者が一番言いたかったのがこれなのだろう。
たしかに情報をゼロから創造する産業が重要になる今からの時代
ゆとり教育のようなそれぞれがそれぞれのいいところと伸ばす手法のほうが重要なのかもしれない。
しかし、そこには大きな前提条件があるのを忘れてはいないだろうか。
それは「どの子にも何らかの才能がある」という条件である。
もしそこに「何の才能もない子がいるかもしれない」という仮定が織り込まれていないのであれば
それは筆者自身が言うとおりオプティミスティック過ぎるだろう。
ゆとり教育は何も、画一的に子供を「栽培」する従来の教育と正反対ではない。むしろそれと表裏一体の関係をなしているのだ。

そもそも全国一律の教育システムとゆとり教育とは馬が合わない。
本当にゆとり教育をするのだとすれば、内田樹が言うようにシャレではなく寺子屋を復活させなければならないだろう。
(倒錯委員長/2007-10-28)
世に氾濫する報道やネット上の情報に隠された、様々な「ウソ」のメカニズムを、4つのパターンに代表させて解説している。著者も言っているように、「ウソ」は簡単に見抜けないし、最初からウソでない情報が、ウソに変質する場合もあるから、本書をヒントにウソ発見器を作ろうとしても(そんなことする人はいないと思うけど)、無理な話であるが、少なくともウソへの対応法について、学ぶべきことは見つかるだろう。

ひとつはウソに「騙されない」こと。これは本書が掲げる警鐘でもあるのだが、物事全てのことに答えがあると思っていると、そもそも複数の答えがある場合に、一番分かりやすい答えを、正解だと信じてしまう。特にマスコミの報道など、与えられる情報をそのまま受け入れる姿勢が強いと、大衆はすぐに騙される。これはぜひ気をつけたい。

もうひとつはウソで「騙さない」こと。本当はいけないのだが、人間しばしばウソをつく。嘘も方便などという言葉もあるくらいだが、嘘の上塗りという言葉もあり、こちらのほうが圧倒的に怖い。ビジネスでは嘘は言ってはいけない。たとえそれで、その場をしのぐことができても、しっぺ返しは必ず来るのだ。 (六等星/2006-06-18)
あることの報道について、ある論調で書いてあることが、事実ではあっても必ずしも真実ではなく、流行のようなもの、人の心に訴えやすいものであることがある。我々はそういう傾向が強いように思う。自分で考えたつもりでも実は新聞やテレビの論調をそのまま言っていることが多い。また権威に弱く、その道の権威者のいうことなら本当だろうと信じる。なかなか、疑問を持つことは難しい。そういうことに鉄槌を加えて、疑問を持てと言っている。大変勉強になりました。 (ミステリ好き/2006-02-07)
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統計学でリスクと向き合う 新版―数字の読み方に自信はありますか?
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ASIN:4492470786
東洋経済新報社(2007-10-25)
宮川 公男
売上順位:53048
¥ 2,100(中古:¥ 1,610)

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w:10 h:17 254page
「あたりまえ」を疑う社会学 質的調査のセンス (光文社新書)
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光文社(2006-02-16)
好井 裕明
売上順位:68660
¥ 777(中古:¥ 48)

レビュー総評点:158
基本的にはフィールドワークの本なのだが、
題名にもなっている6章と7章はかなりの迫力がある。

あたりまえだと思っていることはいったい何なのか。
普通って言ってしまう、思ってしまうことの
鋭利な暴力。

調査手法、社会学手法、リアルをつかむフィールドワークに
触れながら、世の中を見る「視点」について語る良書。

たいてい調査に関連する本はテクニカルに終始しがちだが、
本文にもあるとおり「マインド」や「考え方」を教えてくれる。

調査関係者は必読、
世の中の見方に興味がある人なら、読んで損はない。 ( /2006-02-24)
久しぶりに感動する本だった。こんなにやさしく、こんなに優秀な研究者は滅多にいないだろう。フィールドワークの対象になる人との交流とその分析が、下手な社会学者、人類学者のような「既成の理論に当てはめた解釈」ではなく、生きられたものとしてどうすくいだすかを考えさせる良書。調査対象の人への調査を通して、自分がいかに変われるか、いかに支配的社会・文化の囚われている「自分」を変革し、新しい関係を構築できるかという試行錯誤の道筋が述べられている。それはマニュアル本的な「新しい自分に出会う」方法とは違い、おそろしくまわりくどく、おそろしくバタクサイものだろうが、しかしもっとも生きられた、もっとも大切なものをくみ上げることができる学問的営みだとぼくには思えた。あまりにも簡単に「変化」できるマニュアルにひかれる人が多いなか、漢方薬のように効果が現れるのには時間がかかるし、はっきりとはわからないのだが、でも確実かつ根本的に社会全体を覆っている「息苦しさ」を解決するためには必要な一冊だと思う。カルチュラル・スタディーズとか読んでないで、この本を読んでほしい。 (えんじゅの樹/2007-02-22)
現在の社会学がどこまで科学なのかは私は知らない。
ただ、社会という複雑系を相手にしているだけに、かなりの困難が立ちはだかっているのだろう、という想像はつく。
「あるものになる」という切り口での質的調査の説明で大衆芸能の一座に入り込んだ調査事例を挙げているが、興味深く、共感し、またおかしくて吹き出してしまった。
社会というものに対する真摯な姿勢が感じられる良書です。 (冬の暖かな鎌倉の海岸で/2007-09-07)
社会調査には数量的なものと質的なものがある。前者はアンケートなどに代表されるが、これでは「個別の事情」が表に出にくい。それに対して後者は、全体は見えにくいかもしれないが「個別の事情」を明らかにする方法である。
しかし、個別の事情となると研究対象となる団体や個人が拒絶する事がある。上手く入り込んでも、当事者の視点にどっぷり浸かってしまい、何のために観察しているのか、何を明らかにしたかったのかを忘れてしまう事がある。誰もが落ちやすい穴なのである。これらについて、どのように対象に近づいていくのか、どうやって観察する事を忘れずに続けるかについて書かれている。
まさに、学部学生またはフィールドワークを必要とする職種の人には、一度は読んで欲しい本である。 (nobu2002/2006-10-13)
私たちは普段、無意識のうちに「あたりまえ」「普通」等の表現を多く使っています。
しかし、その「あたりまえ」「普通」は本当に誰にとってもあたりまえで普通なのでしょうか。
私にとっての「普通」と、あなたにとっての「普通」は違うかもしれません。

社会学に限らず、人文科学系の研究を行っていると、この問題によく突きあたります。
本書では、調査の障害となりうるこうした「普通」「あたりまえ」の意識についてうまくまとめられています。

見慣れないもの・聞きなれないものを無意識のうちによりわけてしまうのは、安心・安全を求める生物としての人間の本能のひとつかもしれません。
ですが、客観的に社会の多様な側面を見ていく際にはこうした意識が障害となることが多々あります。
本書で取り上げられているような、社会的マイノリティへの調査においてはなおさらそうでしょう。

特に、初めて社会調査に触れる方にとっては、本書のような本を通して、自分の中の「あたりまえ」の意識に気づいておくことはきっと有益だと思います。
進学・就職・転職等で全く未知の世界に飛び込んだ方も、本書を読むことでが自分の今までの人生での「あたりまえ」を見つめなおすいい機会になるかもしれません。
タイトルの硬さに躊躇せず、是非多くの方に読んでいただきたい一冊です。 (Jing*3/2006-07-26)
本書は質的調査を行なう者、社会学の質的調査を今現在学んでいる学生のみ
ならず、マス・メディアなどの報道に関わる人間でもいいし、自分の興味か
らいろいろと調べて歩くという趣味を持った人でもいい、またマーケティン
グ調査などで実践的な関心から調査に取り組んでいる者も含めて、このよう
な人にとって非常に参考となる1冊といえる。

本書「はじめに」の言葉を引用する。
  「調査技法や方法論でもない。質的なデータの収集方法や加工法でもない。
   (中略)<ひと>が生きていることへ向かう“まなざし”。それが何なのか
   を考え、問い直し、自分なりの“まなざし”を創造できるような感覚。」
これを育てるあるいは鍛えるための助けとなるように本書は書かれている。

前半は「はいりこむ」「あるものになる」「聞き取る」「語りだす」といった
調査過程別(またはフィールドの性格別)に具体的な例を出しながら「調査者
とは」といった点に焦点が当たる。ここは、フィールドワークという実践を行
なう上で、調査者の困難や苦悩が描かれる。どのように被調査者に近づくか、
いかに被調査者と向き合うかといったことである。質的データの収集方法や加
工法、調査技法や方法論を解説している本ではなかなかみることのない内容で
ある。質的調査の現場感覚をリアリティのある形で感じることができた。

そして、後半の「『あたりまえ』を疑う」「『普通である』ことに居直らない」
では、質的調査を行なう上でどのような点が「気付き」となりうるのか解説し
てくれている。「気付き」というのは質的調査のなかで問題意識に「気付く」
ことを指し、既存の枠組みを当てはめるわけではない質的調査には欠くべから
ざるものだ。様々な「気付き」の紹介を通して読者のセンスを刺激するという
狙いがあったように思う。

本書は体系的に質的調査を学ぶためのテキストとはいえない。しかし、質的調
査を学ぶものにとって大切な1冊であることは間違いない。「質的調査」のノ
ウハウともいえる部分をなんとか伝えようとした実践の書である。
著者をはじめとする研究者が被調査者と関わっていくなかでどのような苦悩を
感じてきたのか、被調査者への共感や感情移入のなかでなぜ心を揺さぶられた
のか、読んでいると引き込まれた。 (梵太/2008-05-12)
社会学ではフィールドワークが欠かせないが,社会学や社会調査などの本は調査の技術にかたよりがちである.著者がこの本でつたえたいのは技術でなく,フィールドワークのこころがまえやかんがえかたである.社会学者でなくてもフィールドワークやアンケートなどの調査が必要になる機会があるだろう.そういうとき,この本が参考になるのではないだろうか.また,これは「おもてなし」のこころにも通じているようにおもう.
(Kana/2008-05-07)
社会学とは生き方を調べること |||||||||||||||||||||||||||||||
質の高い様々なフィールドワークを紹介し、社会的な周辺にいる人たち(暴走族、旅芸人、同和地区、障害者)の世界に入り「どのように生きているか」を調べる社会調査のありかたを紹介した。著者の提示するフィールドワークはどれも面白く、本書の主題でもある調査する側とされる側の関係の機微を興味深く伝え、調査する側が上位に立つことを厳しく戒めた。

不満だったのが、我々は「普通であること」に呪縛されているとして、ジェンダーフリーや選択的夫婦別姓を批判することや、同性愛を外れたことと理解することなどが、平たく言って差別を生み出すと著者は指摘し、「普通」を相対化することが必要だ」という。いわゆる「保守」的な言説が嫌いなだけじゃないと穿った見方もしたくなる。それなら相対化はどこまで行くのか、「普通」が存在しなくなるまで続くのかと思う。著者の文脈を素直に追うと、姦通罪復活を主張する人たちは明らかにマイノリティだが、これらを批判する人たちは「普通」の呪縛にとらわれているのだろうか。

「普通」についての著者の考えには、強い疑問を感じたが、本書の魅力を決して減じさせるものではない。著者の社会の周縁へいる人たちへの強い思いでもある。社会学とは人の生き方を知り、学ぶのかと感じさせられた。本書は社会学を学ぶ学生向きと言うことだが、人と接する技術を学べる本でもある。 (革命人士/2006-03-07)
質の評価は難しい |||||||||||||||
世の中を質的に調べるのが社会学。
しかしその元となるフィールドワークでは、その信頼性を妨げる様々な要因がある。調査対象のコミュニティから信頼を得られるまでの苦労や正確な情報を得ることの難しさと、信頼できない報告が多いことがよくわかった。
また「普通とは何か」という考察も面白かった。
単に「普通」といっても定義は難しいし、あるものごとを「普通」とすることで「普通でない」ものを見る目がかわってしまう。さらにニュースなどで異常な事件が起きると犯人の「普通でない」側面や背景が強調されて報道されているなどの指摘は新鮮だった。 (vatmideo/2006-03-03)
あたりまえって… ||||||||||||||||||||||
社会学の門外漢だけれど、
タイトルに惹かれて読みました。
フィールドワークで入り込み、その世界の人になりきり、
聞き取る努力をしてはじめて語られる真実。
それはまっすぐにひとと向き合い、自分がトータルな存在として
ひとと出会えるセンス=世の中を質的に調べること。

あたりまえを常に疑い、普通であることに居直らない
ものの見方が自分を心地よい存在に変えてくれる、と
筆者は述べている。

たまたま人権啓発のセミナーをうけていた時期だったので
言葉の1つ1つがよく理解できた。
各自があたりまえって思っていることにどれほど大きく差が
あるかを実感しています。

みんなが自分らしく生きていける社会が一番素晴らしい。
そのためにもう1度自分の中の
「あたりまえ」を考えてみよう、と思った。
社会学って深い。 (夢うさ/2006-03-22)
もしも、「量的調査」とは異なる「質的調査」の手法について分かりやすく説明した社会学のテキストを求めているのであれば、他の文献を探した方が良いと思う。エスノメソドロジーという手法に関心を持ち、それに基づく調査の現場を知りたいというのであれば話は別だが。私は前者だったので、読んでいて少々辛かった。著者の文章は分かりやすく面白かったけど、結局内容をまとめると、著者にとっての「質的調査」というのは、「社会的少数派」に属する人々の言説をすくい上げるための手法なのだということなのかなと思う。 (読書する主婦/2008-02-20)
社会調査のフィールドワーク(訪問面接)の筆者の実体験をもとにそのノウハウを整理したものである。ひらたくいえば、調査対象者になりきるということになる。
ゲイスタディーズ、エスノメゾロジー、グラウンテディッド・セオリーなどあまり聞きなれない専門用語の解説もある。

私は、市場調査会社に勤めていますが、特にフィールドワーク部門のスタッフが読むには大変参考になりそうです。
(グリフォン/2006-06-04)
私は本書をタイトルから、今まで「あたりまえ」とされていたことに疑義を挟む、と言った内容のものと思っていたのだが、そうではない。フィールドワークの方法についての著作である。

著者おすすめの文献がいくつか登場し、そこからの引用が非常に多い。おかげで、その文献の内容は大ざっぱに理解できてしまうが、著者がそれで何を指摘したかったのかが整理されていない。

著作のフィールドワーク実体験も結構紹介されているが、これもどこがポイントなのかよく判らない。

最後の方になって、ようやくタイトルにある「あたりまえ」が出てきて、いかに主題と関係ないことを読まされてきたかがわかる。

少なくとも、自分でフィールドワークをしない人にとっては、読む価値のない著作である。 (江口哲学/2008-11-02)
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統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス 120)
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ASIN:4061177206
講談社(1968-07)
翻訳:高木 秀玄ダレル・ハフ
売上順位:9084
¥ 924(中古:¥ 478)

レビュー総評点:207
『統計でウソに引っかからない方法』 ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
 著者は社会心理学・統計学を専門としており、本書は「統計学の概念への」入門書・啓発書として、1968年以来スタンダードの地位を保っているものである。
 多くの人に強く推薦する訳には、いくつか強調しておきたい美点があるからだ。というのはまず、「数式を使わない」というサブタイトルが本当であること (x=yというような式は、分数を小数にする際に2・3個所で使うのみ)。さらに「数式を使わない」ために、類書に見られるような、理解不能なむつかしい文章になってはいないことである。むつかしさとは無縁で、むしろ、軽妙洒脱な文章とレトロチックなイラストで満ち溢れ、キーポイントが楽しく理解できる。特に10章は日常生活レベルでは、ハンドブック代わりにもなるほどで良い。
 「サイエンス」専門シリーズである「ブルーバックス」に収められているからといって、理系アレルギーを持つ方も、ビビることはこれっぽっちもない。著者の意図からすれば、ビビりがちな人にこそ手にしてもらいたいのではなかろうか。
 ともかく、「統計データ」への信頼と依存が、過去にも増して重要性を帯びている昨今、リテラシーをはぐくむ良書である。
 ちなみに、悪用はダメよ。 (林縦勝/2006-01-20)
この本は数式をほとんど使わないで、身の回りの統計を利用したウソを紹介している。統計を知らないと騙される事があるから、「気をつけなさい」と注意を促すような本だ。統計初心者が読むには最適な本だと思う。
しかし、以下のような問題点もあったと思う。
①日本語訳に問題があり理解できない記述が多少ある。
②事例として紹介されている事のほとんどが1900年代前半のアメリカで起こった事である。そのため時代背景がつかめない。
ただし、これらの問題点があっても一読の価値がある本だと思う。 (toto丸/2005-02-01)
日常生活において、世論調査、アンケートなど統計を目にする機会は多い。
テレビ、新聞などで、統計数字を目にしない日はないといっても過言ではない。
しかし、その統計がウソだったとしたら。。。
統計学の専門家である著者が、いろいろなおかしな社会調査・統計を例にしながら、なぜその統計はウソなのか、ウソをつくために主にどういった方法が使われているのか、そしてウソを見破るためにはどうすればいいか、をわかりやすく紹介しているのが本書である。
内容自体は統計学の入門書であるのだが、扱っている対象が「統計のウソ」という具体的で、かつ興味深いものであり、また数式などは一切使われていないため、誰でも簡単に読み進められるであろう。
ただ、初版が出版されたのが1968年と言うこともあり、紹介されている数字がいまいちピンときにくい。時代背景が違うため、統計数字に関して著者と考えが一致せず、わかりにくい文章がいくつかあったのが気になる。
また、統計学を少しでも学んだことがある人なら、知っていることも多いと思われる。副題にもあるとおり、あくまで入門書であり、高度な技法は紹介されていない。逆に、それがために誰にでも読める内容になっている。 (the_world/2005-08-13)
翻訳に難あり ||||||||||||||||||||||||||||||||
統計の分野でよく推薦されている本ですし、確かに内容は面白く
統計を用いた表現にだまされないために役に立ちますが、
翻訳がまるでなってません。中学生でもわかる誤訳があるし、
日本語の体をなしていない文章がある。
英語が少しできる方なら原書を読んだほうがいいと思います。
それにしてもブルーバックスの翻訳本はなんでこういいかげんな翻訳が多いんでしょうね。編集部がチェックしないのかなあ。 (Kagura250/2006-11-02)
浪人中にはじめて読んだ時は、衝撃的な面白さを感じました。古典的な初心者向けの統計本です。

「みんなが言ってるよ」という話の「みんな」はその人の知人2〜3人程度って話があります。
この本は、さまざまな情報操作の構造を「ありがちなパターン」をきっちりおさえて解説しています。日常よく目にするパターンの「数字のウソ」も多いと思うので、「あるある!」って楽しく読めると思う。

ブルーバックスだけど、入門書なので予備の知識がなくてもすらすら読めます。 (/)
 例えば、テレビ番組等で恐ろしいほど日本の治安は悪化したように伝えられている。しかし、その統計の採り方に大きな変化があったことには一言も触れられることはない。(詳しくは河合幹雄著安全神話崩壊のパラドックス等を読んで下さい。)
 ある程度数学の知識があれば重要犯罪の推移のグラフなどを見ればある年を境にその数が変わっていることに疑問を感じるはずだ。しかし、ここ数年で重要犯罪が倍増したと信じている人の方が多い様に思う。
 このように統計の取り方をちょっといじられただけで認識を誤らされる人が特別な意図をを持って操作された統計を示された場合正しい判断が下せるだろうか。私は疑わしいと思う。
 この本を読んで統計が信頼できる前提がそろっているかどうかを見極める知識をすべての人に持ってほしいと思う。 (yamppv/2004-12-24)
フツーの人こそ読まなくちゃ |||||||||||||||||||||||||||
統計なã‚"てé-¢ä¿‚ないと思っているあなた。あなたのための本です。
片脚ã‚'燃えるストーãƒ-の上にのせ、もう片æ-¹ã‚'氷の上にのせたç"·ã‚'見て、統計学è€...は「かれは快適だ」と言うだろう、という有名な話があります。ç¬'い話ですが、一面の真実でもあります。統計はとりæ-¹ã‚„読みæ-¹ã§ã‚¦ã‚½ã«ãªã£ãŸã‚Šç„¡æ„å'³ãªã‚‚のになったりするのです。統計とその結果の「数å­-」や「グラフ」はæ-°èžã€TV、広å'Šã€æ"¿æ²»å®¶ã®ç™ºè¨€ãªã©ã«ã‚ふれています。数å­-ã‚'言われると信じてã-まう、グラフã‚'見るとç'å¾-ã-てã-まう、というのでは、騙そうとするå'にはã"ã‚"なに都合のいいã"とはない。
どうやって騙すかがã"の本にはå...·ä½"的に書かれています。非常に分かりやすく。副題に統計学å...¥é-€ã¨ã‚りますが、そういうレベルの本ではありませã‚"。フツã!ƒ¼ã®äººãŒæ•°å­-やグラフにまどわされないための、いわば手引き書です。
わたã-は四半ä¸-ç'€ã‚‚前にã"の本ã‚'読み、ã"ã‚"な人é-"になってã-まいまã-た。数å­-やグラフにç-'いã‚'もち、ついæ-°èžã‚„TVにつっã"みã‚'å...¥ã‚Œã¦ã-まうのです。 (Frederick/2003-10-04)
データを批判的に捉えるうえで基礎的な知識を付けることができる本。統計の知識がなくても十分理解できる。 内容は、第三変数の問題、サンプリングの偏り、%や絶対数、など。具体例がひたすら書いてあるのでイメージが湧きやすい。
ただし、この本で終わってしまったらダメ。この本を読んだ方は統計学の入門書(『はじめての統計学』など定評のある教科書、あるいはクリティカルシンキングの本でも良いかもしれない)にステップアップしたほうが理解が深まる。 (world3/2005-01-12)
ユニークなタイトルの本書は、裏から見た統計入門であり、統計に騙されないための実践的手引書である。叙述はユーモアに溢れ、思わずニヤリとさせられる。予備知識なしで気楽に読める。本書を読むと、新聞や雑誌に掲載されている統計の多くがいかにいい加減なものかが分かる。半世紀前に出版されたロングセラーだが、実用性は今日でも変わらない。それは裏を返せば世間での統計の使われ方がちっとも進歩していないということでもあるのだが。翻訳がやや硬いのが玉にキズ。 (ワカシム/2007-06-17)
 統計といえば、解析やデータの抽出などの役に立ち、心理学を初め、諸科学において必須にして基礎となる重要な道具である。
 
 だがしかし、科学のあるところ疑似科学あり。

 統計は、ちょちょいと小細工を弄すれば、厳密にはウソではないものの、実質ウソ、というデータをつくる最上の道具にもなる。
 近年でいえば「増加する少年犯罪」のグラフなど、警視庁白書から本書の方法を使うことで出来上がる典型的な統計的ウソの好例である。
 本書は、その手の統計的まやかしの手法を、これでもかこれでもかと紹介していく古典的名著である。
 原著発売から、既に半世紀近く経つが、古い社会観の項はあれど、質的には通用するレベルであり、全体として解説がわかりやすくてよい。おすすめの一冊。 (/)
統計のバイブル ||||||||||||
 統計は現代社会のあらゆる方面で使用されているが、世の中にあふれている「統計データ」がいかにいい加減なものであるかを本書はズバリと解き明かしている。
 『1924年度のエール大学卒業生の年間平均所得は、2万5111ドルである』
 本書にいい加減な数字の実例として、示された数字である。ここで問題となるのは、1924年という古いデータであることではなく、「2万5111ドル」が「びっくりするほどくわしい数字」であることだと述べられている点である。この数字の算出方法は、実は卒業後25年経過した卒業生のうち住所の判明している者だけに調査を実施して、自己申告により自発的に回答した者だけの所得の平均を取ったものだった。
 この数字の信憑性については、議論を待たない。明らかにサンプルに偏りがある、申告の数字にはウソの可能性がある、等々。このようなデータから得られた結果からは、何も分からないというのが結論である。
 このように本書は古いデータではあるが、統計というものの本質を鋭くえぐりだしている。全て実例に基づいて、それぞれの問題点を挙げており、数式などに関する特別な知識なしに読み解くことができる。世の中にあふれる「ウソのデータ」に惑わされないために、是非、一読をお勧めする。 (ことち/2006-06-10)
リサーチ・リテラシーの原点 |||||||||||||||||||||||||
統計に関して関心のあるものは(あるいは無いものも)一度くらい本書の名前を耳にしたことがあるだろう。本書はしがきにも有るとおり、「だまされないためにだます方法を知ることのすすめ」の本なのだ。取り上げている事例がかなり古く、かつ表現的な妥当性で気になる箇所が散見されるが、それでもこの本の存在意義はいまだにある。統計の知識を全く前提としていないし、数式も全くといっていいほど出てこないので、数学アレルギーを持っている読者には最適だろう。とりあえず、新聞やテレビで垂れ流される社会統計、アンケート調査のカラクリがなんとなく分かれば占めたものだ。もっと言ってしまうと、本書の8章にある、相関関係は因果関係を意味しないという重要なポイントだけでも押さえておこう。統計学で重要なことはいろいろあるが、これこそが「基本中の基本」なのだ。ただ、新聞を読んで違和感を感じる、というレベルを超えて統計を学びたい人は本書ではいささか役不足(仮説検定に関することが言及されていないので)かもしれない。いずれにせよ、テクニカルなことを一切要求しないでリサーチ・リテラシーのなんたるかを手っ取り早く掴みたい読者向けの本といえるだろう。 (itv/2002-08-23)
めちゃめちゃ面白かったです。
今まで統計学に抱いていたイメージが根本から覆りました。
この本を読むと、統計を使って人を騙すことができるようになります、、、というのはあながち冗談でもなくて、身の回りに溢れている統計データを盲信することで犯してしまうであろう大きな過ちと、その危険性が指摘されています。
「先ず、母集団のサンプリングから疑え」と書かれていますが、統計のデータをそのまま鵜呑みにするのではなく、いつ、誰が、何処で、どのような条件下で、どのような性質をもった集団を対象にサンプリングが行われたのか等を考えることが大切なんですね。
また、正しい数字が使われていても、表やグラフや図などの表記の仕方を工夫すれば、いくらでも自分の意図に適った表記をすることができてしまいます。いくらでもヴィジュアルで誤魔化すことができるのです。
統計データの中から「ゆがみ」を意識的に探し出すこと、そして真実を知ろうとする姿勢が大切なのだということを知りました。 (ゆみっちょん♪/2008-04-20)
つまり昔から読まれていてこのような本があまりなかったことだと思います.

現在は恵まれていることに,漫画で統計学を説明している本や
統計学の歴史をたどるような本が出ています.
この本の使命である統計学と呼べないようなものの排除はそれらの
本の方が新しいだけに簡潔でわかりやすいかもしれません.

最後の章に述べてある,統計にだまされないための方策が
当然と理解できる人にはこの本は既に古いと思われます.
但し,各章の例示はとてもわかりやすいので,
統計にアレルギーが起きた人には良いかもしれません. (親カッパ/2007-08-30)
古い本です。そのため書かれている実例もかなり古い。
そこが難点ですが内容は確かです。

大切なのは数字(統計)は客観的であり主観的なものではないなというヒトの思い込み。
そしてそれを意識的に操作し特定のヒトに有利に働かせようとしている事実。

誰がその数字(統計)を作り、誰がその数字(統計)によって得をするのか。
社会の数字には常に意味がある。 (沢口 良輔/2006-05-08)
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