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鏡【デジタル完全復元版】 [DVD]
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ASIN:B0002B575A
アイ・ヴィ・シー(2004-07-25)
監督:アンドレイ・タルコフスキー俳優:マルガリータ・テレホワ脚本:アレクサンドル・ミシャーリャンマルガリータ・テレホワ
売上順位:12103
¥ 3,900

レビュー総評点:-55
以前ivcで販売しているタルコフスキーのDVDを買って
画質の悪さにがっくり来ましたが、
今回デジタルリマスターと銘打っていたので
買ってみました。

画質は、まあギリギリ見れるレベルと言えるでしょうか。
でもかつてあちこちの映画館で再上映されていた映像と比較すると、
年月が経過して段々色彩が劣化しているのは明らかです。
経年劣化は致し方のないこととはいえ、
映像の美しさが身の上のタルコフスキーの映画として考えると、
やはり悲しいことです。
IVCのノスタルジアもそうでしたが、
場面によって遜色の度合いがあるようで、
例えばラストシーンも、多分午後から夕方くらいだとは思うのですが、
空の色を見ると撮影当初より恐らく赤みかかっているのではないでしょうか。

久しぶりにもう一度この映画をみて、
自由度の高さに驚きました。
まったく、いつの時代のどこの国の映画であるかなどと
考える必要は無いように思います。
ボーナストラックのインタビューでヤブリンスキーも言ってますが、
体制が崩壊しても創造的な作品が出てくるということはないわけで、
資本主義国家であっても精神的な面での妥協や才能の上での凡庸さは、
免れることは出来ません。
鏡は、後の作品と較べると、ストップモーションもあり、
頻繁な場面転換ありで、いわゆる長回し多用一辺倒ではないですが、
今改めてみても決して古臭くなく、勢いのようなものがあると思います。
印象的なイメージがたくさん出現するというのに、
タルコフスキーだけがイメージビデオ風の映画にはならないのは、
やはり不思議です。 (lucky_dog/2007-11-04)
岩波ホールで上映されたのは70年代末だったと思いますが、それ以来ぴあで上映が告げられると必ず見に行っていた映画。たぶん映画館で10回以上見たでしょう。映像詩という言い方をされますが、現在の「私」を取り巻く現実が、夢や記憶や想像に影響を与えながら展開していくので、それを解きほぐしながら見ることができる映画だと思います。あまり「謎解き」のように見られることはタルコフスキーの本位ではないかもしれませんが。特にラスト、ベッドにふせっている「私」が、「どうにかなるさ」と言いながら死んだ雀を上に放り投げると、雀(想い)は故郷に帰っていき、同時にバッハのヨハネ受難曲が響いてくるシーン。今思い出しながらも目頭が熱くなります。「私」は、母や妻、子どもをめぐる人生の煩わしさや自分の病気に心身共にボロボロな状態なのでしょう。実際の人生では「どうにかなるさ」なんて、どうにもなりゃしないものです。でも、映画のなかでならそれが可能なのですね。そういう意味で、タルコフスキーってなんと幸せな人だったんだろうと思います。実は このDVDはまだ持っていませんが、今から注文します。星はDVDの評価ではなく、この映画に対する私の思いから星5つにしました。 (カッタルコフスキー/2005-05-24)
よく論評として言われているように、タルコフスキーの自伝なので彼にしか分からないのかもしれませんし、分からないので映像的な美しさを伝えるしかないのかもしえません。母や父に対する思いや自分の子供に対する思いは本人にしかわからないと思いますが、、、僕は「言葉で縛られた魂の解放」をテーマにしているような気がします。冒頭の吃りの子供が催眠術で治り、「何でも喋れるようになる。」こと、それに続く「植物も感じたり記憶したり理解したりできるが、人はくだらないことを喋る。言葉なんかでは気持ちが表現できない。」その後の母の記憶の中での「活字の間違い。」を気にして印刷所に駆け込むシーン。たぶんこのようなシーンが意味することは、言葉からの魂の解放だと感じます。感じることが大切であると、、、。だから、彼は映像詩で表現しているのだろうと思います。この映画の核は、決して単なる彼の自伝や幼い頃の記憶を見せて、彼の自伝記憶を伝えたいのではないのだと思います。言いたいのは、「言葉」だけでは意味をなさず、情報量の多い「映像」でこそ、感じるものを創れるという彼のマニフェスト(宣言)なのではないでしょうか。簡単に言うと「キレイな夕焼け」と言葉で表現するのは全く意味をなさず、その夕焼けを見せて、色や風や温度やすべてを見る側に委ねるというようなことでしょうか。映画には、いろいろな評論で言われているように、無論、自伝的な隠喩も隠されており、キリスト教と共産主義そしてブルジョアとの狭間、中国の革命やヒットラーの死体や原爆を見せることで、生きるということが家族や人間関係だけではなく社会的な影響を多大に受けるということ、彼の共産主義からの亡命を仄めかすところや、自分は頑固だったことなど個人的性格を表現しているところもあります。しかし、僕はやはりなんといっても、「言葉」という皮肉にも人にしか備わっていない高度なコミニュケーション方法から、「伝えたいこと」=「その映画のコアアイデア」=「魂」を解放する、彼の宣言映画に見えてなりません。そのアイコンとして十字架というビジュアルも存在するのだと思います。十字架の意味することは、たぶん、「言葉にされた教義」ではなく、絶対的な神の存在を感じることや、祈ることを視覚化したのだと思います。
意味論はこれぐらいにして、、映像はとにかく美しい詩でした。学生の頃は眠くなりましたが、、現在は僕にとって、非常に目が冴えわたる映画です。たぶん映画館が暗かったから?(笑) (amaterasulover/2008-04-01)
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 アンドレイ・タルコフスキー監督の自伝的映像詩である。映画は、作者である「私」による一人称形式で進行し「私」が胸に秘めている母への思いや、別れた妻や息子との間に織りなされる感情を意織下の過去と現実を交錯させながら浮かびあがらせていく……。
 このモノローグは、誰なのか初めて観たときにはわからなかったが、二度観たとき「私」であることがわかり、これで難解と言われる作品にかろうじてついていくことができた。タルコフスキー独特の巧みな演出は、木立を抜ける風のそよぎにも人間の心象を映し出して見せると言われてきた。この作品でも、「水」や「火」といった自然現象がこの監督独自の映像となって、美しい幻想的なイメージのなかに繊細かつ鮮明に語りあげている。意識下の過去と現実を巧みに交錯させて作者の深層心理を浮き彫りにしてゆく。
 私の夢に現われる母。それは、40数年前に私が生まれた祖父の家。うっそうと茂る立木に囲まれた家の中で、母はたらいに水を入れ髪を洗っている。鏡に映った、水にしたたる母の長い髪が揺れている。あれは1935年田舎の干し草置場で火事があった日のこと。その年から父は家からいなくなった。
 私は突然の母からの電話で夢から覚め、エリザヴェータが死んだことを知らされた。彼女は、母がセルポフカ印刷所で働いていた頃の同僚だった。
 両親と同様、私も妻ナタリアと別れた。妻は、私が自信過剰で人と折り合いが悪いと非難し、息子イグナートも渡さないと頑張っている。妻のもとにいるイグナートのことは、同じような境遇にあった自らの幼い日を思い出させる。赤毛の、唇がいつも乾いて荒れていた初恋の女の子のこと。同級生達と受けた軍事教練のこと。それは戦争と、そして戦後の苦難の時代でもあった。
 そして、哀れだった母のこと。大戦中、疎開先のユリヴェツにいた時、母に連れられて遠方の祖父の知人を訪ねて、宝石を売りに行ったのだ。
 母の負担になったかもしれない自分の少年の日々のことを思うと、私の胸は疾く。イグナートが同じ境遇をたどっているのかも知れないと思うと、さらに私を苦しめる……。
 私の母と別れたナタリアの顔が酷似しているとナタリアに言い続ける。そこで「鏡」が登場してくる。そこに映し出された顔をナタリアは見るシーン。(これは一人二役である)「鏡」は現実(当時)から過去へと行きつ戻りつつする橋渡しのように思える。
 また、知人を尋ねて宝石を売りに行ったとき、気をきかせて、婦人はニワトリを1羽つぶし持って行かせようとする。身重の婦人は母につぶすように命じるシーン。羽が舞い上がり、宙に浮いた母の姿。
 難解と言われる作品だが、次々に押し寄せてくるぞっとするほど美しい映像の数々に身を委ねながら、タルコフスキーの「映像の詩学」の深みに降りていくのは快楽だ。 (fwiw6180/2004-12-29)
心地よい映像美!! |||||||||||||||
自分が子供の頃のまだ母親が若かったときの記憶。この映画に何かすごく郷愁を憶えるのは、その記憶に共鳴するものがあるからなのだと思う。草原を吹く風や燃える小屋、いろいろと理屈をつけることもできるだろうが、理屈ぬきで映像に共感することがこの映画を楽しむにはいい。唯、映像をそのまま受け入れることが心地よい映画です。
このDVD、デジタルニューマスターということで綺麗です。(映画館で観たときには、もっと草原や林の緑とモノクロが鮮やかだった印象があるのですが、自分に中で多分に美化されていたようです)特典映像はタルコフスキーという観点のものはありません。映画に関係した人の映像を集めたといった感じです。今回、DVDで見直して特に印象に残ったのが母親・妻の2役?を演じた女優さんのなんとも言えない表情に強く惹かれたことです。タルコフスキーの心情を見事に表現しているのではないかと思いました。 (/2004-08-22)
 この作品は、アンドレイ・タルコフスキーのもっとも自伝的かつ個人的な作品であると同時に、世界平和をも志向したダイナミックな視点をもっているところが魅力。一見、他人からすれば無秩序に並べられている主人公の過去、現在、未来そして夢の映像も主人公の心の中では脈々とつながって生起したイメージであろう。
 見終わってから、タルコフスキーは本気で世界中の人が平和や幸せになることを祈れば、それが訪れると信じていたのではないかと思った。タルコフスキーはしばしばお手軽に映像詩人と称されるけれど、本当は映像を使って世界で始めて祈祷をした人と位置づけるほうがふさわしいのではないかと思った。
 作品の根源にある感情は、絶望であると思う。ただ、この作品は絶望的な状況にありながら希望が訪れることを切望している、その望むという行為の力強さに感動させられる。
 最後に、私が感じたタルコフスキーの作家としての限界。タルコフスキーは物事を突き放して捉えることがあまり得意ではない。自分の内側にある感情を、自分のこととして表現することに長けていたと思う。それがゆえに、彼はコメディーが撮れなかった。決して、作品を貶める意図を持って、この段落を書いているわけではないけれど、映画という大きな世界の中でタルコフスキーがどこに住んでいるのか、漠然なりとも位置づける試みが必要だと思ったから。
 とても漠然として、あいまいなレビューになってしまったけれど、こればかりは見るしかない。 (ajax/2008-04-11)
これこそ『映画』 |||||||||||||||||
草原を吹き抜けていく風
水の表現力について言及されることの多いタルコフスキーですがこの作品においてはなんと言ってもこの風でしょう。このような絵を撮れる人がいたことにただただ感謝するばかりです。私の場合、この作品を何度も見るのはこのカット見たさというのが大部分を占めます。
DVDの映像に満足がいかずたいていはビデオで映画は見ますが、この賞品にはとても満足できました。ぜひコレクションに加えて何度でもこの幻想の世界に酔いしれましょう! (studio YS/2006-08-05)
「僕の村は戦場だった」を見て、その繊細かつ鮮烈な映像と、悲劇でありながら、
ラストシーンの眩しい美しさに、このロシアの監督の非凡な才能を感じた。

それから、岩波ホールで「鏡」を見ることとなる。
「ぼくの・・」は物語を追うことができたが、「鏡」はまったく異質の映画だった。
主人公の意識の具象化のように、過去のさまざまな記憶の像が、戦時下の
ドキュメントフィルムと混じりながら、表出する作りで、長く引き伸ばされた
実験映画をみるような印象・・・全体が茫漠として、時おりバッハが響き渡り、
はっと息を呑むような映像に身体の芯まで浸かるような感じであった。
だが、睡魔にも襲われたのだった・・・。

見終わったその日の夜。
一体何の映画だったのだ、という想いをひきずったまま寝床に・・。
すると、何度も映画の場面が脳裏に蘇っては消えるということの繰りかえしで
寝つけなくなってしまった。「鏡」の世界に身も心も捕らわれてしまったのである。
数日後にもう1度「鏡」を見て、やっと、五感と直感と霊感(?)で
「わかった」のであった。そう、これは体感しなければならない「体験コーナー」の
ようなもの。視覚と聴覚を先入観なしにひたすら映画にゆだね、時おり朗読される
詩の言葉を頼りに、悔い、思い出、喜び、悲嘆、憎悪、希望、夢などのねじれ、
混ぜ込まれた、様々な記憶の深い底に落ち、再び、浮上して、昇華していく、
言い換えると、この世の悲嘆と苦しみから解放され、楽園を夢見る・・そのための
映画なのだ。
だから、うっかりすると、その底にはまって漂い、ついに浮上できなくなる
危険な体験でもあるのだ。

私は、いまだこれを超える映像体験をしたことはない。2度は見ることをお勧めします。
1度では、記憶の淵に佇むだけで終わってしまうでしょうから。


(天と地を行き交う男/2007-02-27)
 人間には、子供の頃の思ひ出を大切にする人と、しない人が居る。その違いは、すぐに分かる。そんな前者の一人が、タルコフスキーである。
 この映画は、タルコフスキーが、自分と自分の家族の過去と思はれる情景をオムニバス風に描いた私的映画である。その中に、スターリン時代における印刷所で、誤植をしたのではないかと怯えて職場に向かふ女性の逸話、第二次世界大戦中の銃後の市民生活、中ソ国境紛争のニュース映像など、ソ連現代史の様々な場面の映像が挿入されて居る。物語ではない。記憶の断片なのである。(1970年代に、黒澤明監督が、この映画について、子供の頃の記憶はこの様な物で、そう思って見れば、こんな分かり易い映画は無い、と言った意味の評を新聞紙上に書いて居た事が印象に残って居る)又、そうした映画の所々で、タルコフスキーの父である詩人アルセニー・タルコフスキーの詩の朗読が挿入されるのも印象的である。
 私は、特に、この映画のラスト・シーンが好きである。野を横切り家に帰ろうとする子供たち。その野を横切る子供たちの光景と共に流れるヨハネ受難曲の冒頭の音楽。−−子供の頃の思ひ出は、何故、こんなに美しいのだろうか?

(西岡昌紀・内科医/タルコフスキーの20回目の命日に) (西岡昌紀/2006-12-29)
とにかく映像美にまず圧倒されます。静かで重厚で叙情的な主人公の生活(過去と現在の交錯する)描写
。心の最も深い部分から映像を媒介にイメージがわきあがってきます。
そして何より終盤の表現がすごい。映画でしか出来ない表現です。
畳み掛けるような(適切な表現が思いつかず、このような言い方になってしまいますが)鏡の表現。これには圧倒の一言です。映画の一つの表現の仕方の極み(私は感動のあまり、しばらくうまく喋れなくなったほどです)。是非手元においておきたい作品です。 (フランス好き/2006-05-16)
 タルコフスキーの作品の中でも もっとも物語性が薄く 従い もっとも映像美に訴えてくる作品。物語がない分 見る人に解釈の自由を齎し 結果として 「最も好きなタルコフスキー映画」であると 多くの人に言わせる傑作だ。

 風、雨、火、土、草

 この映画の主役は彼らである。我々が普段見慣れている「彼ら」が タルコフスキーの手に掛かると 驚くほどの 艶かしさと 美しさを帯びてくる。
 しかも 「この風景は かつて見た事があるな」という既視感を伴う点で 「親近感」すら覚える。
 
 実際にタルコフスキーが描き出す風景を僕らが見たかどうかは この際関係ない。大事なのは 僕らが心の中に持っている 風、雨、火、土、草をタルコフスキーが 掬い上げている点にある。その意味で 人によっては この映画は「自分探し」の体験になるのではないだろうか。

 タルコフスキーは寡作な映像詩人だった。旧ソ連で 製作や公開も ままならない時期も長かったと聞く。彼が夭折した今から見て そんな彼の不遇の時期は 20世紀の映画芸術にとっても 不幸だったと思う一方、 そんな不遇が 彼の異常な集中力を生み出し 結果として 寡作ながらも 見事な傑作作品群を生んだのかもしれない。
 彼の没後20年近くなった今 僕らは そう自分を慰めるしかないのかもしれない。 (くにたち蟄居日記/2006-11-14)
 この映画はストーリーだけ追おうとすると挫折する。タルコフスキーらしく作中で詩を朗読してみたり、主人公が人生の苦況から思わせぶりな台詞を吐かせたり、いわゆる「文学臭」がなくはない。エピソードも「脈絡がない」ように見える。でも映像美は素晴らしい。漆喰が崩れる幻想的な場面や、風になびく草原とかほんとうに独自の世界だ。映画の最後に衝撃的なヨハネ受難曲にのせて草原を年老いた母が孫たちの手を引いて行く場面は映画史に残る。 (エヴァリスト/2009-07-02)
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ざくろの色 [DVD]
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ASIN:B00023GSIS
コロムビアミュージックエンタテインメント(2004-06-23)
俳優:ソフィコ・チアウレリ俳優:セルゲイ・パラジャーノフソフィコ・チアウレリ
売上順位:23076
¥ 6,800(中古:¥ 6,580)

レビュー総評点:308総評点300以上の注目商品
映像美の極北 ||||||||||||||||||
これ以上美しい映画を観たことありません。反共産主義的芸術家と判断され、30年以上の軟禁生活を強いられた後のパラジャーノフが創り上げた余りにも独創的な美的宇宙、『ざくろの色』『スラム砦の伝説』『アシク・ケリブ』の3部作は、ほとんど奇跡のような美的感動を胸に刻み付けてくれます。 (杉原/2004-11-01)
前衛的な表現により、20年以上に渡って投獄され、弾圧され続けた映画作家セルゲイ・パラジャーノフ。生涯4作品のみを残して66才で他界してしまった後、ようやく、ペレストロイカで作品の陽の目をみる。私は「ざくろ色」「アシク・ケリブ」「スラム砦の伝説」のビデオを持っていますが、その中で、一番好きなものはと聞かれたら「ざくろ色」を選びます。言葉も文字も全くわからないのだけれど、とにかく、画面のひとこま、ひとこまが美しい。登場人物(おそらく、若い頃を演じている人物は、女性も男性も同じ人物が演じていることが、頬にある化粧で隠れたホクロで想像が出来る)の信じられないほどの美しさ。思わず、ため息が出てしまうほど・・・上品で美しい。背景の「白い空間の抜き」具合「黒い背景」の構図、脇役として出てくる人物のシュールさ。その美しさとはまた別の魅力として、詩人との結婚を反対する「白塗り顔」のお父さん役の「メイキャップと衣装」が、これまた、美しいのだけど何処かユーモラスで素敵だ。映画全体が、とても美しいアートの展覧会の中の魅力的な絵を、一枚一枚とみているような感じがする。 (ぽあぽあ/2004-11-26)
やっと観ました、セルゲイ・パラジャーノフ「ざくろの色」。
10年以上前、テレビ雑誌の放送予定の映画の1シーンの写真を観て以来、ずっと気になっていた作品です。
美しい、のひとことに尽きます。
ソフィコ・チアウレリの両性具有の美貌に思わず見とれてしまいました。
不思議なおとぎの国へ迷い込んだような世界。
セルゲイ・パラジャーノフの描く日常の中の非日常は、必要以上に作りこまれた秩序・整頓に起因しているようです。
目を釘付けにする奇妙かつユーモラスな画像、効果音、宗教歌。
日本では馴染みのない文化・習俗、それ以上の独自世界。
とはいえ、決して嫌味はなく、むしろその世界に自然と引き込まれてしまいます。
もう一度、もとい何度でも観てみたいと思いました。
なかなか触れられる機会が少ない映画だと思うので、この価格でもオススメです。
むしろ、何度でも観たい映画だと思っています。 (rs6/2005-10-16)
絶対お勧め |||||||||||||||||||||||||||||
極彩色の夢でも見ているようなパラジャーノフの世界。その動き、色遣い、衣装など、日本人の観念を超える。普通の映画の観念すら超えている。ロシア人の詩好きは有名で、帝政ロシアの時代にもソ連の時代にも詩人はたくさんいた。詩人に託して各章が進む。しかし、民族分離独立主義、反ソとみなされ、アルメンフィルムの時代にはきわめて特殊なルートでしか入手できなかった。こうしてDVDになったことは意義深い。映画、文学、美術の世界にいる人は必見のDVDです。 (mistletoe/2007-01-19)
イコン ||||||
アルメニア詩人、サヤト・ノヴァの生涯を綴った美しい映像美の世界。
色彩・砂埃・渇き・水・血を一冊の本のページをめくりながら
鑑賞している感覚・・・一場面一場面がまるでイコンを観ているようだ。
頭だけで考えずに、五感で身体に取り入れて欲しい作品。
観る・・・というより味わう感覚かもしれない。
ちなみにサヤト・ノヴァを演じているのは女優。
美しい男性の役を美しい女優が演じている・・・これも見所。
獄中で強制労働者として自由を剥奪されたパラジャーノフ。
彼に自由を与えていたらもっと彼の作品が観られたと思うと感極まる。 (/2007-08-16)
パリに住んでいるアルメニアの友人に"The color of Pomegranates-ざくろの色"のビデオを見せてもらい...それ以来ずっと探していました。アメリカのAmazon.comに商品があったのですがカスタマーレビューではDVDの画像がかなり悪いとクレームが書いてあり買わないでいたのですが、メーカが違っていたので購入しました。日本Amazonサイトで買って正解でした。彼の作品はアート、今までに見た事のない映像、時間のゆるやかな流れ、色彩、見る物を心地よい彼の世界観にひきこんでいきます。タルコフスキーも好きです。

(catwalk/2006-02-06)
視覚芸術の最高峰 |||||||||||||||||
パラジャーノフの数少ない作品の中で、もっともテンションが高いと思うのが、この『ざくろの色』です。最初の長編『火の馬』もシュールで素晴らしいですが、さらに映像美を追求したこの映画は、各シーンがまるで絵画のようです。
作品に登場する不思議なオブジェの数々はパラジャーノフ自ら制作したもので、衣装や装置はもちろん、画面の隅々まで彼の一貫した美意識に貫かれており、映画というより、むしろアーティストが魂を込めて作り上げた、ひとつの芸術品を見るような思いがします。
晩年の『アシク・ケリブ』も映像は綺麗ですが、長い投獄生活の後で消耗してしまったのか、この映画のように力漲る高揚感はありません。
『ざくろの色』は単にエステティックという枠に収まるのではなく、映像への溢れんばかりの探究心が随所に見え、それがとても刺激的です。
魔術的なパラジャーノフ映画の頂点ではないでしょうか。 (avril/2006-10-06)
目の前に広がる美しい絵画的な世界に、まばたきを忘れた。
オープニングの赤。ざくろの赤が白い布に染みわたる…。
全8章の映像詩編で綴られるこの作品には、ほとんどセリフが無く、サヤト=ノヴァの詩と
鮮やかな民族衣裳をまとったゆるやかに動く登場人物、まるで宝物のような映像でこの映画は構成される。
まばたきすると見逃してしまうから、目を開き続けてこの映画を観なければならない。
ストーリーなんて関係無い、これはまさに『目を開けて見る夢』なのだ。
この夢に身をゆだねて陶酔する…。そんな映画だと思う。
パラジャーノフの作品の中で最も印象に残る作品。 (あべまりあ/2006-12-07)
 中世アルメニアの詩人サヤト・ノヴァの生涯を8章構成で描く。しかし,映画の冒頭で,おおよそつぎのような文章が映される。この映画はサヤト・ノヴァの生涯を描いたものではない。人類にとって記念碑的な価値をもって美しいサヤト・ノヴァの詩の世界を,映画という手段で表現することを試みたものである。みた印象では,詩人の生涯を描くことと,かれの作品世界を表現することとが,一つになっているようだ。具体的なストーリー性のは乏しいけれど,73分8章構成のため,飽きることなく最後まで観られる。観終わると,詩人の人生の旅の広大さを,あるいはかれの生きた世界の大きな開放性を体験したような,すがすがしい充実感がある。

 役者たちはほとんどせりふを話さない。人形劇のような,あるいは影絵のような,そして具体的と抽象的が相半ばするな動きをしてみせるばかりである。前衛的な演劇を観ているようでもある。役者たちの互いの動きがけっこうバラバラで,ひとりひとりをみても,熟練したパントマイマーのような洗練がないところが,かえって観客を過度に緊張させることなく,ほぐれて良い。複数の登場人物の動きを見ていると,主役の陰で独自な動作をするおじさんおばさんとかが発見できるのが楽しい。美しいだけではなく,楽しいし,面白いのだ(何度か大笑いしそうになった)。映画というものの懐の深さを教えられる感動的な作品だった。
(夾竹桃/2008-02-17)
あまりにも前衛的な表現で、旧ソ連で数度投獄までされたセルゲイ・パラジャーノフ監督の作品。
ちなみにこの作品のオリジナル、『サヤト・ノヴァ』こそがその投獄の直接の原因となった模様で、
その後散逸してしまったフィルムの編集をセルゲイ・ユトケーヴィチ監督が手がけたのが本作となります。

詩人サヤト・ノヴァの一生…
独自の色彩のセットや衣装を背景に、ほとんど立ち位置を変えない役者達…
本作には殆ど台詞というものは存在せず、無数の本が風に煽られている描写、幾人もの修道士が並ぶ場面など、
白昼夢のような、各シーンの強烈なイメージばかりが脳裏に焼き付きます。
19世紀終わりから形作られていた映画文法を無視した作風はまさに映像詩、動く絵画と呼ばれるのにふさわしいです。
劇中の宗教的、儀式的な描写もアルメニア人であった彼だからこそ描くことが出来たのでしょう。

ただ一般的な映画で確定要素である“登場人物への感情移入”が不可能な上、
そのあまりにも静かな作風から時と場合、そして人によっては凄まじい眠気に襲われます(苦笑)
それとまるでジョルジュ・メリエスのサイレント映画を観ているような、強引過ぎるフィルムの繋ぎ、
同じ台詞、場面の繰り返しが個人的にはあまり好きになれませんでした…(少し尺も長過ぎる気もする)

多少辛口なことも書いてしまいましたが、美術的、芸術的にはとても独創的で重要な作品だと思います。
(ただ…やはり、一般的な映画を観る感覚での観賞は避けた方が懸命です…) (/)
 美大生のころ、センセイのすすめもあり偶然衛生で作品が紹介されて、録画をしたのがファンになるきっかけだった。録画して安心したせいで、その当時販売されたビデオを購入する事無く、(15000はしたし。)ほったらかしていたら、案の定、廃盤になっていた。その後10年近く、画像の悪い録画ビデオで我慢した日々。ああ、やっと、買えた。しかも3分の1くらいの値段で!
作品はまるで、“宝箱を引っくり返したような世界”と言えばいいか。
独特の様式に乗っ取った不思議な俳優の動き。ぼうっと眺めるのも良し、美しい詩にうっとりするもよし、インテリアとして流しても(?)良し。映像の美しさをもとめる人には特におすすめできます。廃盤になったら、次はもう無いでしょうね~。 (Tigerlilly*/2004-09-10)
内容は主人公の詩人を幼少期から亡くなるまで描いたものです。といってもそれはあくまで主人公らしき人物がいた方が物語として見やすいから置いているだけの様な気がします。正直ストーリーといえるものはありません。それよりも最初から最後まで展開される赤、黒、青、白、黄土、金色などを効果的に使用した圧倒的な色彩美、白塗りメイクを多用した前衛的な演劇、宗教的な意味合いを包含した振る舞い、儀式(羊を生贄として本当に殺してるのはいただけませんが・・)等から見る者が個々に解釈すべき作品なのだと思います。また何も考えず、動く絵画として見てもいいのではないでしょうか。映画好きよりは芸術全般、絵画や前衛劇が好き、もしくは興味がある方におすすめします。でないと買っても腹たつだけだと思います・・ (くみお/2007-09-08)
ある詩人の生涯を抽象的観念的に綴った映像詩です。
まあアルメニアの詩人を念頭に置いているのですが
そこには死生観や詩、またアルメニアを1つの世界として描いているので
ソビエト時代は封印されていたのでしょう。
映像だけで充分に意味がわかる点、さらにその映像の美しさ、観念性の
衝撃は一度観ただけで充分に味わえると思います
映画の内容は詩人の生涯を章立てして短く簡潔にまとめているのですが
こんなに短い時間にこれだけの内容を良くぞまとめ上げたという率直なる
賛美をしたいと思います。
詩人は死んでもその詩才は残る、そしてその作られたものは永遠に人々の賛美を受けることができる、その通りだと思います。アジア的な輪廻転生の概念、生命の源の水などについて気をつけて観ていただければ音楽と映像に酔いしれることでしょう。このような映画はそう簡単にございません。自信を持ってのお勧め作品です。ジャケットのあの美しい顔、衝撃でした。カタログの中身を見るとある画像は付録のポストカードです。必ずお宝になると思います。一度観てつまらないかもしれないですがBGVとして何回も観てください。 (vincent/2004-09-07)
生まれて、宮廷詩人になって(詩人と言っても音楽を奏で吟じる、ミュージシャンのようなものなのでしょう。)王妃に恋をして、囚われて、過去を夢見て、死と出会い、そして死ぬ。彼は死んだがその才能は死なない、「結局世の中から滅ぶものなど何もないのだ。」という言葉にショックを受けました。なんという新しい発想なのでしょうか。映像は不思議でとても偶像的です。一つ一つのシーンをキリスト教のイコンにしているのでしょうか。だから、きらびやかで、神秘的です。動くイコンとでもいいましょうか、舞踏するイコンとでも言いましょうか、その手法が映画としては他に類を見ない強い個性を放っています。眠くなるかもしれませんが見ておいて損はないと思いますよ。次作「スラム砦の伝説」までは、ソ連当局の拘束などもあり、16年の年月が経っているとのこと、そしてフェリーニ、ゴダール、トリフォーといったヨーロッパの映画人がソ連当局に猛抗議をしたこと、しかし、、、この映画のどこが検閲に引っかかるというのか?共産主義において宗教色を色濃く表現したことなのか、、。彼は死んだがその才能は死なないという言葉がだぶります。この映画は編集もセルゲイオリジナルという訳ではなく、オリジナル版がなくなったサヤト・ノヴのフィルムからセルゲイ・ユトケーヴィチ監督が編集し直したものです。ちなみに評価は4と5の間です。 (amaterasulover/2008-04-15)
セルゲイ・パラジャーノフの監督作品です。
アルメニアの詩人、サヤト・ノヴァの生涯にスポットを当てたものです。映像も音楽も最初のざくろが潰れるところから、最後の死をむかえるまで、とても美しくエキゾチックに作られています。どこの場面を切り取っても絵になる、そんな感じです。裸体と貝殻に水がしたたってエロティシズムも感じさせられます。
ストーリーはハッキリ言って難解ですが、場面場面が美しいので、自由に感じればいいのだと思いました。幼年時代の詩人を演じるM・アレクヤンがとても美少年だし、青年時代や詩人の恋人などを演じるソフィコ・チアウレリもとても美しく、うっとりしました。
三十七年前の作品ですが、前衛的で古く感させません。すごいことだと思います。
『我、生と魂は苦悩の中にある。』 (小口栞/2008-01-20)
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大理石の男 [VHS]
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朝日新聞社(1990-10-21)
俳優:アンジェイ・ワイダ俳優:クリスティナ・ヤンダ俳優:イエジー・ラジヴィオヴィッチアンジェイ・ワイダ
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レビュー総評点:-2
この映画は、1970年代末から1980年代初めに掛けて、ポーランドで、自主管理組合「連帯」が台頭し、ポーランドの「社会主義体制」が揺らぎ始めて居た時期に、ポーランドの国民的映画監督であるアンジェイ・ワイダ監督が監督した劇映画です。物語は、ポーランドが「社会主義」国家と成って間も無い時代、英雄として偶像化された或る労働者の人生を、一人の女子学生が、ふとした機会に調べ始め、彼のその後を追ふ内に、戦後間も無い時代の「社会主義」ポーランドの暗部を知ると言ふ物です。即ち、「連帯」が台頭して居たその時代に、一人の映画学校の女子学生が、そうして、「社会主義」ポーランドの過去を検証する事で、観客に、ポーランドの過去と現在をふり返らせる内容に成って居るのです。物語は少々複雑で、日本人である私には、分かりにくい部分も有りますが、主人公の女子学生が、その「英雄」を取り巻く人々を訪れ、彼について聴く中で、ポーランドの戦後が検証されて行くこの映画は、当時のポーランド人の思ひを映す鏡とも言える物です。物語の終わり近くで、主人公の女子学生が悩む姿に、彼女の父親が、優しく彼女を励ます場面が有りますが、私は、この場面がとても好きです。もしかすると、このお父さんは、ワイダ監督自身なのではないか?と言ふ気がします。--日本でこの映画が公開された時、複数のポーランド人が、この映画について熱く語って居た事を今も良く覚えて居ます。彼女達は、皆、この映画に感動して居ましたが、今の若いポーランド人達に、当時のポーランド人の熱い感情は、伝わって居る事でしょうか?--この映画で印象的な事は、若者が、自分が生まれて居ない時代の事柄に関心を抱き、その時代を検証する姿の素晴らしさです。若い者は歴史を知りません。しかし、だからこそ、先入観無しに、歴史を検証する事も出来る事を、この映画は、物語って居ます。日本の若い人達にこの映画を推薦します。(西岡昌紀・内科医) (西岡昌紀/2005-08-04)
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テオ・アンゲロプロス全集 I~IV DVD-BOX II
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紀伊國屋書店(2004-06-19)
監督:テオ・アンゲロプロス俳優:ハーヴェイ・カイテル俳優:マルチェロ・マストロヤンニ俳優:アキス・カレグリスハーヴェイ・カイテル
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レビュー総評点:-6
幻のフィルム |||||||||||
ユリシーズの瞳。それは幻のフィルムを求めての旅。そしてフィルムは希求としての始まりの世界、つまりはこの世界の再誕を錯覚させる虚構としての20世紀の開始であるのかもしれない。かつて故郷を逃れたひとりの旅人は長いときを隔てて帰還する。変り果てた土地。開始される遡行と探索。凍てつくバルカン半島は悲痛である。ひとも建物も河もすべてが閉ざされている。あらゆる外界が静かな拒絶をもって、あるいは無視を装うかのように他者の眼差しでそこに佇む。歴史の夢が、記憶が、そして祈りがゆるやかに交錯する。民族、宗教、イデオロギー。ひとは多くの衣を纏っては次々と脱ぎ捨てていく。希望はいまだ宙吊りのまま冬景色のなかで凍結している。そのフィルムに果たして写っていたのは、原初の光であるのか、わたしたちは未だその答えを見出せないまま映画を観終わらねばならないのである。 (ミスターフー/2005-03-15)
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愛の奴隷 [DVD]
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アイ・ヴィ・シー(1999-04-25)
監督:ニキータ・ミハルコフ俳優:エレーナ・ソロベイエレーナ・ソロベイ
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1976年のニキータ・ミハルコフの第2回監督作品です。ロシア革命当時のサイレント映画撮影現場で繰り広げられる人間模様を彼独特のゆったりしたペースで、美しく描いた作品です。(フランソワ・トリュフォー監督の「アメリカの夜」を思い起こされます。)運転手が居なくなった市電に主人公の女優オルガが一人残され、走り去って行くラストシーンは名場面です。
(高橋厚/2006-10-21)
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殺人に関する短いフィルム [DVD]
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ショウゲート(2005-12-22)
監督:クシシュトフ・キェシロフスキ俳優:ミロスワフ・バカミロスワフ・バカ
売上順位:31048
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レビュー総評点:-1
大きなどんでん返しが最後にあるのかと思いきや、
クライマックスは青年の告白だったところは意外。
あまりにリアルな殺人のシーンは、恐怖を超えて野次馬根性で
思わずひきつけられてみてしまう場面でもあります。

青年の言い訳はたしかに自己中心的です。
しかし、1980年代の、民主化以前のポーランドのどんよりとした暗さが
ひしひしと伝わってきて、自分の力ではどうにもできない
見えない力のようなものに人が翻弄されるさまが
見て取れます。おそらく勉強一筋で生きてきたエリート弁護士が、
生身の人間と対峙し挫折を味わうその重みは、法曹界において
万国共通なのではないかと思いました。 (Portena_en_tokio/2008-04-27)
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ストレンジャー・ザン・パラダイス [DVD]
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キングレコード(2006-11-22)
監督:ジム・ジャームッシュ俳優:ジョン・ルーリー俳優:エスター・バリント俳優:リチャード・エドソン俳優:セシリア・スタークジョン・ルーリー
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レビュー総評点:19
ジム・ジャームッシュ監督の2本目にして日本初公開作。
男と従姉妹と男の友達、三人のちょっとしたふれあいの日々がモノクロで淡々と描かれる。
しかし、よくある「自分探し」系の映画ではない。
ここには私達と地続きの「ある気分」がある。
そしてなにより「映画」がある。

公開前、難波の千日前スバル座で初めて予告篇をみた時の衝撃が忘れられません。
その後、スクリーミン・ジェイ・ホーキンスのレコードを探しまくったのも私だけではないでしょう。
アメリカ映画でありながら、この映画の中には確かに「私達」がいたのです。
だからその年のキネ旬1位などにも何か違和感を感じたのです。

この映画を特異たらしめている「黒味」を黒味として味わうには、本来スクリーンで観るのが一番の映画なのですが、ストーリーがわかったからといって全く風化せず楽しめる点においてはDVDで所有するにふさわしい映画といえるかもしれません。 (大池1丁目12/2006-11-21)
これは素晴らしい!全く予備知識もなく観たのだが、何ともいえない充実感で胸がいっぱいだ。まさしくロードムービーの傑作である。派手なアクションやラブシーンがあるわけでもないのに、ただただモノクロの映像の美しさと演技の素晴らしさとに感激する。あふれんばかりの監督の才能に脱帽だ。

これを観て、無性に旅に行きたくなる人、そしてスクリーミン・ジェイ・ホーキンスのCDを探す人はきっと多いはず(笑)。
(リップクリーム/2007-08-21)
束縛感のなさ |||||||||||

映画好きを自認する方、映画製作に携わる若い方、
は、持っておかねばならぬDVDです。
何もドラマっていえる物、ないんです。
ただそこには、束縛感のない空間と会話があるだけ。
畳んである布団をパっと広げる時の様な・・・。
フィルムって、こう使うのか、って事。
傑作でもあり、見るに耐えなくもあり。 (RANZAN/2007-03-21)
ジムジャームッシュの映画のほとんどにいえることではあるけれど、
この作品も非常に音楽的な映画であると思う。
つまり、頭で見ると言うより、もっと感覚的なもので見る作品なのだ。
そこには教訓めいたものがあるわけでもない。シリアスな展開があるわけでもない。
ハラハラさせられることもドキドキさせられることもない。
外国のどかな田舎道を何時間も何時間もこれといった目的もなくドライブするような、幸福なけだるさがこの映画にはある。
やたら説明的な映画や文学に疲れたときに、この映画を見ると胸がすくだけじゃなく、
何かしら心のからまった糸を解いてくれる感じになる。


(in-sight/2007-05-30)
中学の時に見ました、たしかレンタルビデオか、TVの深夜にやってたミッドナイトアートシアター?だったかで見たのが最初でした、内容と言うより雰囲気がすごく好きですね。 (ヒーロ/2007-05-11)
ニューヨークに住む、ハンガリー人の男。
名前もアメリカ風にウィリーと名乗り、アメリカ人気取りでアメリカに染まろうとしている。
それと気弱そうな人のいい友達。
そこにハンガリーからエヴァが来る。クール。マイペース。
カセットでダダダッ、ダッダッダッ(笑)
アメリカの生活にしっかりと突っ込みを入れるところが可笑しい。
プレゼントを・・るなんて・・笑。

この三人の物語、ところどころ、プップッと笑える。
かっこいいんだか、悪いんだか分からない、でもかっこいい?
どこにでもいるストレンジャーな人たち。
その後どうなったか?気になるな〜。
きっとどこかで生きているのだろう。そして死んでいくのだろう。
誰にでもあてはまるような物語。ダダダッ、ダッダッダッ・・・ (ムーズ/2007-03-11)
別段、おどろくようなストーリーというわけでも、奇抜なシュチュエーションというわけでもないです。
あまりの平々凡々としただらけきった日常がつづいていきます。モノクロの静かな映画で、主演者が”なんも
せんと”ただ立っていて、たいした内容もない日常会話が続くだけです。最後の最後で大きな展開があります。ちょっとした間抜けさに笑っちゃいますが。
しかし、会話の”間”というか、ゆっくりとしたテンポがたまらなくいい心地で、クールです。
この”間”になじむと、たとえば、会社にいくと周りの会話のスピードについていけなくなり、かつ、周囲がみっともなくおしゃべりに感じられます。自分の若干長過ぎの”間”をおいたしゃべりがクールにおもわれます。が、おそらく周囲はダラけているとしかおもってくれないことでしょう。
かっこいい映画なんです。でも、かっこいいという表現にはおさまりません。アメリカ人のいう”クール”って
いうのでしょうか。日本語でいうと、静謐な、が適当かなあ。
登場人物がみんなほぼ定職についていない、というところに、ちょっとした不安がはいりこんでいるのですが、本人達はとくにその現状で問題なしで、働いてみようともしないし、無職という現状をかえようともせず、いたって冷静にしています。そこが、超越していてイカした設定だとおもいます。
BGMもかなり秀逸です。真夜中に、寝る時間を気にしなくていい日にゆったりとご覧になるといいかんじだとおもいますねえ。
大半の人は30分ぐらいで熟睡してしまうような気がしますが。(笑)
(mickey_elephant/2006-10-21)
 ジム・ジャームッシュ監督の作品。なんてことのない作品のように見えて、中野翠が「わたしの若い頃が映画になった」と評していたのが記憶に残る。三部作になっていて、"The New World"、"One Year Later"、"Paradise"、から構成されている NYCに住む主人公のもとに、若い女の子が押しかけててくるのが第一部。一年後、クリーブランドの彼女の家に行くのが第二部。フロリダに行くのが第三部。
 誰しも自分の人生がオリジナルなものと信じて、他の人とは違う経験をしようと空回りした経験をもっていると思う。平坦な日常に非日常を挿入しようとするが、上手くいかない。「あの頃ってParadise(最高)な生活を送ってたっけ?私たちって単にStrangerなだけだったじゃない?」。おしゃれな映画ということになってます。 (hanaohanao/2009-01-27)
内容は退屈なものです。ですが、それも考えようによったら楽しいものなのかも、そんな風に思える映画です。何にもする事もなく、延々とTVを見る。一人でトランプ遊びをする。実際には、すごい空しいことなんですが、この映画では妙に楽しそうです。退屈な人にこそ見てほしいです。きっと見た後は、ジェイ・ホーキンスが聞きたくなり、トランプゲームをやりたくなるはずです。 (有葉千野/2007-08-27)
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ピロスマニ [DVD]
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アイ・ヴィ・シー(1998-10-25)
監督:ゲオルギー・シェンゲラーヤ俳優:アフタンジル・ワラジアフタンジル・ワラジ
売上順位:102524
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レビュー総評点:34
すでに絵画的だ。
不揃いな石畳の街路、木々と共に崖にへばり付く家、妙に中心ががらんとした食堂、全てにおいて異様な色彩感覚とバランス感覚が支配している。
我々日本人にとっては、こうした映像がいきなり眼に飛び込んできてそれだけで充分衝撃的なのだ。
その上ピロスマニの「プリミティズム」と言われた奇妙な動物画や人物画の数々。
全編セリフも少なく音楽も少なく、ゆっくりとしたテンポの展開で、これらの素晴らしい映像をじっくりと楽しませてくれるのだ。
ところでこのピロスマニは、加藤登紀子の歌唱で知られる「百万本のばら」のモデルだということ、ご存知だろうか?
愛しい女性のためにバラを描いたように、酒や食事の代金の代わりに絵を描く、まさに芸術を糧とした彼の生活は新!聞に載った酷評によって一変してしまうのだ。
芸術というものがいかに危うい「価値感」の上に成り立っているのか、その厳しい現実を鋭く描いた映画だ。
蛇足だが、あるシーンで唐突に歌われるグルジアの男声合唱は無形世界遺産に登録された素晴らしいものなので、楽しみにしていただきたい。 (porpola/2003-09-07)
グルジア共和国で生まれ、無名のままに60年の生涯を閉じた、独学の放浪画家「ニコ・ピロスマニ(1862〜1918)」の寡黙な生涯を描いた、旧ソビエト時代のグルジア映画。
ピロスマニの絵はグルジアの風土、民族の暮らし、グルジアの魂を色濃く感じさせてくる素朴な画風だ。
彼の国では「ピロスマニを見ることは、グルジアを信じることである」と今では言われている。彼とその絵は、そんな「グルジアの民族性を普遍化するシンボル」になっているという。

1978年9月8日付の朝日の広告、9月15日からの上映の知らせに寄せての、今は亡き岡本太郎氏の推薦文がある。
「胸にジーンとくる映画だ。純粋な芸術家の運命とはこういうものだ。」
ぼくはこの記事に促されて、神田神保町に今も在る「岩波ホール」へと出かけていったのだった。

画家ピロスマニの人生、それは無欲で素朴、そして朴訥(かざりけがなく話し下手)。
映画に描かれた「ピロスマニ」とは、自己主張とは全く無縁な人物だった。
友人と「チーズやミルクの店」を始めるのだが、商売人資質とはとうてい隔たったピロスマニの対応に、すぐに友人は去ってしまう。
彼がひとりで店番をしていると、やがて次々と貧しい親子が店の戸口に立ち、ついにピロスマニはただでくれてしまうのだった。

そんなエピソードの数々がピロスマニの絵とともに紹介されていくのだが、映画は、劇場に立つ踊子マルガリータの絵などを筆頭に、絵と、映像として映される構図、画面が、一瞬見分けがつかないほどのみごとなスタイルの、それは静謐な映像詩でもある。 (sow-seed/2007-09-26)
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パパは出張中【字幕版】 [VHS]
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東北新社(1998-05-29)
監督:エミール・クストリッツァ俳優:モレイノウ・デパールトリーモレイノウ・デパールトリー
売上順位:6002
¥ 3,990(中古:¥ 229)

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レビュー総評点:4
カンヌ映画祭でグランプリをとった作品というと、「地獄の黙示録」とか「タクシー・ドライバー」とか、少々難解なものが多いですが、これは子どもが主人公のせいか分かりやすいです。同じ監督の「アンダーグラウンド」にくらべても親しみやすく、ユーゴスラビアの歴史や政情を知らなくても鑑賞にさしさわりありません。
新聞の政治風刺マンガを批判した父親が、たったそれだけで「政治犯」として捕まってしまい、残された母と息子たちが生きていく姿が描かれます。この家族をとりまく人々の描写がユーモラスで、共産主義社会の批判という内容をうまくオブラートにくるんでいます。主人公のマリク少年が夢遊病という設定がうまく使われていて、思わず笑ってしまうシーンを生み出してます。
劇中で何度も流れる「ドナウ河のさざなみ(アニバーサリー・ソング)」は、クストリツァ監督が口笛で吹ける唯一の曲だからテーマに採用したそうです。
悲しげな旋律の中に、希望を感じさせる部分がまじっていて、この作品にぴったりの選曲だと思います。 (/)
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某ロシア文学者 おすすめの映画
 
w:13 h:18 350page
徹夜の塊 亡命文学論
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作品社(2002-02)
著:沼野 充義沼野 充義
売上順位:557833
¥ 3,570(中古:¥ 1,800)

レビュー総評点:16
軽やかな力作 |||||||||
 気鋭のロシア文学者がまとめた、10年以上にわたる亡命文学論の集大成。筆者ならではの、親しみやすく平明な文体ながら、読み終わってみると、非常に深い内容がしみじみと伝わってくる本である(学術書である限り、こういうスタンスは非常に重要ではないだろうか)。
 主に、ロシア・東欧(最近では、中央ヨーロッパと言う)の文学にまつわる話が多いので、とまどう人もいるかもしれないが、心配はご無用。知らない作家や詩人の話でもすんなり読めるし、逆にその人の本が読んでみたくなったりするから不思議だ。
 個人的に驚いたのは、『カフカとの対話』で知られるヤノーホが、ジャズ演奏本の著者になっていたという、信じがたい経歴。世の中、知っているようで知らないことがあまりにも多いと痛感する。
  (カーチャ・バンブーク/2002-07-17)
私は沼野光義氏のファンである。氏は東欧文化全体に対する造詣が非常に深く、話も文章もおもしろい。本書もロシア・東欧から亡命した小説家、詩人たちに関する研究書であるが、元となる小説や詩を知らなくても読めるし、その元を読みたくなる文章である。

タイトルに関して、特にこだわりがあるわけではないと著者本人はおっしゃっていたが。氏の多忙さを鑑みるに、どれだけの徹夜をなさっているのか、計り知れないものがある。
(Das Eismeer/2007-12-02)
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某ロシア文学者 おすすめの映画
論壇賞
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